SCP-1875

登録日:2020/10/25 Sun 04:15:35
更新日:2024/10/12 Sat 20:48:31
所要時間:約 10 分で読めます





注意
この項目は割と怖い内容を取り扱っています。閲覧の際は監督評議会の可決を得たうえで、気を付けて閲覧してください。



SCP-1875「アンティーク・チェス・コンピュータ」は、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するSCiP。
オブジェクトクラスEuclid

概要

SCP-1875は、4つの構成物(SCP-1875-1~4)を組み合わせると対戦AIを積んだチェス盤になってくれる完全機械仕掛けのチェス対局機である。これがホントのオートチェス●≡=

…気を取り直して。このオブジェクトは19世紀に作られたものである。
そんな昔に自動対局してくれる機械なんかないだろって?
少しマニアな方なら、”トルコ人”という名前を聞けばピンとくるだろう*1。しかし、SCP-1875はそういった変なカラクリもイカサマもない。まず人間が隠れられる構造になっていないのである。

  • SCP-1875-1
72センチ四方、高さ64センチ、64マス刻まれたかなり本格的なチェステーブル
SCP-1875-3とドライブシャフト*2で繋げられており、チェス盤に仕込まれた電磁石を操作することで駒が動く。
1990年代のイギリスで、とある大学教授の研究室から回収、そのまま収容した。
年代測定の結果、19世紀のイギリスで鋳造された鉄でできていることが判明した。

  • SCP-1875-2
32個の東洋系のチェス駒セット
チェス盤を回収した後、教授の遺産を知る有志の情報をもとに、ニューヨーク在住の人物から回収した。
底面に磁石が貼り付いたこれをSCP-1875-1と組み合わされることで自動操作が可能になる。どうやらこの駒、人骨から削り出されたものらしい…。

  • SCP-1875-3
1840年ごろに製造されたMaudslay,Sons & Field Ltd*3定置式蒸気機関
但し改造が施されており、ローマ数字のラベルに合わせることで五段階の速度調整ができる。
教授の遺産から回収されたSCP-1875-1を動かす動力源で演算部のクロック調節機能、つまり難易度設定のダイアルである。

  • SCP-1875-4
江戸時代の日本で使われていた、当世具足*4甲冑。兜と目を合わせると不安感が長く続くという報告がされている。
教授の遺産であるSCP-1875-3に同梱されていたらしい。教授はどんな趣味をしていたのだろうか。
こいつをチェス盤の前に座ることで、あたかも日本の侍がチェスを打っているかのような演出を作り出すことができる。そこは将棋だろとか言ってはいけない。



補遺-01:受納レポート

全文が気になる方は、是非本家を先に見ておいてほしい。

このオブジェクトは1990年代に、財団によってすべて収容されたのは先ほども述べた通り。

”ザ・サムライ”という名前でこの不思議なチェス盤は”トルコ人”と同様に見世物として金稼ぎの道具に使われていた。もうちょっとマシなネーミング無かったかな…。
20世紀に発生したサンフランシスコの大地震で、その時期に所有していた人物もろとも破壊されたと考えられていたらしい。
かつての所有者は何人か特定できたが、これを作った人は未だ分かっていない。

だが、教授の遺産を管理していた人によると、こいつが作られたのと近しい時期に、ロシアのチェス王者の娘二人が失踪したという
オブジェクトとの関連性はいまだ不明だが、結局その娘たちは見つかっていない。

補遺-02:インシデント 1875-55A

ここに、とある実験記録のアーカイブが残っている。それを引用させてもらう。

From: 1875-P█ [副研究監督]
To: _DL_1875
Subject: Re:テスト 1875-55
Date: 1999/11/77 1999/11/07, 16:58

SCP-1875の組み上げは完了し、チェスに必要なハードウェアが完全に動作していることが確認されました。テストでは、ある現代のチェスコンピューターの変更可能なチェスの強さを、SCP-1875の分析的知能の判断基準として用いました。

我々は、収容中のSCP-1875に1名のDクラス職員(1875-D1)をチェスボードの黒の側に、1875-4と向かい合うように座らせ、白の側の後ろから観察を行いました。対局は5回行われ、1回ごとに蒸気機関の速度設定を切り替えました。駒を動かすための指示はプレキシガラスで遮蔽された1875とDクラスの外側から無線マイクで与えられました。

1875-1は5回のゲームをいかなる被害を受けることなく完了し、次の任務のためにサイト-██と移送されました。

以下の簡易表はそれぞれの速度設定でのイロ・レーティング・システムによって見積もられた一覧です。我々が確認したⅠ~Ⅴまでの速度設定での測定結果は以下の通りです。

どうして日付が一度間違えられているのかは一旦置いておこう。イロ・レーティング・システムというのは、一対一の勝負事の強さを示す指数のこと。チェスの場合、大体2550以上でタイトルを獲得できる実力があると言える。

(I): 800-1000 イロレーティング

(II): 1000-1200

(III): 1200-2500

(IV): 2500-████

(V): 0-████(?)

"V"に設定した試験では異常値が出たままでした。また、チェスに熟達した研究者による追加試験が行われました。(参照:ファイル-1875-Ⅴ-██,対局-█-████ )

  • 当初、SCP-1875のイロレーティングは████を上回り、これは設定"Ⅳ"のレーティングを██%上回る数字でした。
  • 対局█の後、SCP-1875の指し方に非論理的な駒の動かし方が観察されました。
  • 対局██の間、不正な駒の動きが観察されました。我々に進行中の対局を断念させようと強いるものだと思われます。この活動はテストが進行するにつれ、より頻繁に発生するようになりました。
  • 対局██の後、不規則な駒の運動が観察されました。SCP-1875が動かす駒の速度は増加し、盤上の駒同士が激しくぶつかり合い始めました。
衝突により幾つかの駒が傷ついたため、我々はより損傷の少ないテスト形式が立案されるまでテストを中断することにしました。

職員は速度調整"Ⅴ"が経年劣化と摩耗により故障している可能性を示唆しています。

…なーんかきな臭くなってきたな。

実験報告はここまでだが、問題なのはこの後起きた現象。

実験から五分後、SCP-1875の研究に参加していた全ての財団職員のメールボックスに、一通の不審なメールが届いた。

From: 1875-P█ [研究分析者]
To: _DL_1875
Subject: Re: Fwd: Re: テスト 1875-55
Date: 1999/11/77 1999/11/07, 17:03
添付ファイル: шахматы.bat [17.2 Mb]

a1 b2 c3 d4 e5 f6 h7 g8

[<1875-IMG-1AB>は削除されました]

この、削除された画像がかなり厄介なものらしい。なんでも、この画像は二人の少女の白黒写真なのだが、見たら不快になるレベルで婉曲しているという。
…ん?二人の少女?

添付されているファイルの名前は、ロシア語で「チェス」を意味する言葉である。これが財団のパソコンやらの上で暴れたらしい。財団が警告を発するのが間に合わず、この画像に曝露してしまった職員が何人かいたのだが…その影響を示す。
  • T+0(露出) - 激しくはない不安感。
  • T+15min - 頭痛・体温の上昇。
  • T+2hr - 不穏感・不眠・幻聴(一般的に静かな、子供の無邪気な笑い声)。
  • T+4hr - 激しい不安感、及び幻視。
  • T+7hr - 意識はあるにも関わらず、外部刺激に対して反応が鈍くなる。
  • T+11hr - 短い正常化期間。暴露した人物は回復したように見えるが、1875-IMG-1ABを見たコンピュータへの即時のアクセスを要求する。
  • T+12hr - 自傷行為。
  • T+14hr - [削除済み]
まあ手遅れだよね。薄々わかってたけど。

注意: 1875-IMG-1ABへの曝露シナリオが発生した際の最優先事項は、暴露者を即座にコンピュータから引き離し、全てのコンピュータをネットワークから削除することだ。 - OG-█

更なる補足と特別収容プロトコル

さて、この後に本家記事では二つの添付ファイルがついているのだが、そのどちらもクラックされていて読めない。というわけで、そのインシデントが発生した後に財団が気づいたことについて補足していく。

先ほど言った、ロシアの天才チェス師の娘二人が失踪した事件。言うまでもないだろうが、SCP-1875が密接にかかわっている。

SCP-1875-1の頭脳部分。AIにあたる部分は、では何で出来ているのかというと、
この双子の脳組織が組み合わさって構成されている。イメージとしては、エヴァのアレに近い。この部品がSCP-1875をどのように動かしているのか自体はまだ確定していないが、…恐らくは、見世物小屋でチェスを嗜んだ客人たちは、この双子を同時に相手取っていたという事になるだろう。ツマミをⅤに合わせた時に一見動作不良が起きたのは、双子の協力による本来の実力を最大限発揮した結果ともいえる。

また、チェスの駒にあたるSCP-1875-2のDNAは、この双子の物と一致している。…チェスが作られた時点で双子がこの世にいなかったことは確定した。

という事は、問題の画像に写っていた女性二人というのも、この二人と考えるのが自然だ。少なくとも、こういった事象が多発している財団世界にとっては。つまり、SCP-1875は、何らかの手段でネットワークに干渉する機能を持っているという事になる。

というわけで、SCP-1875は電波を全て遮断した密室、専門的に言うと「ファラデー箱」に保存されることになった。こいつを収容したサイトには、最低二人のネットセキュリティ専門家、武装した警備員、そして児童心理学の専門家を配置する。一応組み立てた状態で放置することはしないだろうが、サイト監督者の許可なしに速度調整レバーを”V”に設定することはできない。

また、サイトの区画内に、記録領域を持った電子機器を持ち込むことは禁止されている。研究データを外へ持ち出す際は、紙に印刷されたものを利用することになる。

¡CORRUPTED!

クラックされた添付ファイルと、それに伴う報告がある。

一つ目が、「補遺-03: インシデント 1875-55B」。これはインシデント 1875-55Bの後に起きたものらしい。データが破損してしまっているため詳細どころか全容すら全く以て不明だが、本家記事では、ログインしないと見ることができない文章が存在する。編集の都合上、ここではその部分を「あなた」という表現に変更して記述する。


やっぱり何が起こったのかはさっぱりわからない。そしてこの後、1875-ノヴェンバー-77という特殊な手順が執行されたらしいのだが…その詳細も不明。なお、添付ファイルは有害なため削除された。

最近の収容手順の変更についての説明

SCP-1875が収容されているサイトのコンピュータネットワークが危殆化したと、我々は考えています。この結果を受け、サイトとの全ての電子的通信はさらなる通知があるまで切断されました。

監視司令部(Overwatch HQ)は、いかにして1875が無線通信信号を送受信するのか我々が理解するまで、以前のノヴェンバー-77の執行を猶予する事を宣言しました。以上に従い、私は収容手順を以下の二つの事項に変更を加えました。(1)無線データネットワークへのSCP-1875の暴露に関する事項、(2)1875-IMG-1ABにさらされた個人の治療に関する事項。

O5-█

追記・修正は、チェスで勝利してからお願いします。


























補遺-04: '1875-'ノヴェンバー-77※閲覧注意




追記が修正ををををヲヲヲヲヲヲヲヲwoヲヲヲヲヲヲヲヲwヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲwwヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲヲwヲヲヲヲヲヲ

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1875 - Antique Chess Computer
by TheMadStork
http://www.scp-wiki.net/scp-1875
http://ja.scp-wiki.net/scp-1875

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最終更新:2024年10月12日 20:48

*1 ”トルコ人”は18世紀後半に作られた、自動でチェスを指してくれる機械だが、実際は中でチェスの名人が操っていたという、周到ないたずら人形である。84年間ほぼ無敗という地味にすごい伝説を残し、戦った人物の中には、あのナポレオン・ボナパルトも含まれている

*2 動力を末端に伝える装置。現実世界では自動車やオートバイによく使われる

*3 1798年に開業、1900年に廃業した、ロンドンの工業会社。船舶で使う蒸気機関を開発していた。因みに、世界的に有名なダイアモンド「コ・イ・ヌール」をカットする切削機を作った会社でもある。

*4 従来の派手さを求める傾向から一転し、大量生産に向き、なおかつ防御力にも優れた方式の鎧。しかも構造が簡便になったおかげで、かえって凝ったデザインにすることができた。