カリフォルニアロール

登録日:2020/12/13 Sun 17:06:27
更新日:2025/03/11 Tue 16:55:00
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カリフォルニアロールは、寿司の一種であり、
アメリカ合衆国カリフォルニア州で生まれた巻き寿司(変わり寿司)である。
カリフォルニア巻き、加州巻きなどとも呼ばれる。

海苔を内側に巻き込むか、あるいはそもそも使用しないのが特徴である。


概要――なんで海苔で巻かないのか

カリフォルニアロールは、巻き寿司というカテゴリにありながら、海苔を内側に巻き込み、
外側に海苔を露出しないのが特徴的であり、海外(特にメリケン)で生まれた巻き寿司の多くが
このカリフォルニアロールから影響を受けた海苔を露出しない巻き寿司となっている。

カリフォルニアロールと呼ぶ場合、通常はカニカマ、アボカドきゅうりなどを巻いたあと、
表面、すなわち外殻を海苔ではなく白ごまやとびこを使って飾り付ける。
日本で作られるカリフォルニアロールではマヨネーズが使われることもあるが、
本場アメリカではマヨネーズが使用されることは少ない。……本場?
本物のカニ脚を使うこともあるが、西洋人は基本的に魚介類の生食に抵抗感が強いため、
カニカマのほうが主流である(カニそのものはソフトシェルクラブなどでアメリカでも親しまれている)。
あと、カニカマは海外では健康食扱いされているようなのでなおさらである。

ここから西洋人がステップアップして、本来の形の寿司を食べるようになることもあるというので、
カリフォルニアロールはいわば寿司世界への入り口ともいえる。
しかし日本人からすると海苔が外殻にないわ、アボカドを使うわと逆に抵抗感が生まれてしまう。

このカリフォルニアロールが生まれたのはもちろんカリフォルニア州であるが、
そのカリフォルニア州はロサンゼルスのリトルトーキョーにある東京會舘というレストランに招かれた
寿司職人、真下一郎がオーナーからの提案を受けて生み出したものとされる。
アメリカ人が当初寿司の海苔を気味悪がって剥がして食べていたのを逆手に取ったわけである。

このカリフォルニアロールによってアメリカには寿司ブームが起き、イケてる人の食べ物という認識が広まったという。
このあと、カリフォルニアロールからの派生寿司が多く誕生した。

カリフォルニアロールの亜種

フィラデルフィアロール

カリフォルニアロールがカリフォルニア生まれなら、フィラデルフィアロールはフィラデルフィア生まれ……じゃない。
クラフトフーヅ社のフィラデルフィアクリームチーズを使ったからフィラデルフィアロールなのだ。
クリームチーズとスモークサーモンを具材とし、酢飯で巻く。
生のサーモンを使ったりすることもあり、また酢飯の外殻に更にスモークサーモンを巻くことも。

スパイシーツナロール

ツナはツナでもツナ缶ではなく、ちゃんとしたマグロの赤身を使ったロール。
しかし日本人が普通に赤身を食うのとは異なり、ベトナムやタイ、中国などで使われるスパイシーソースを使用した
辛味を与えた巻き寿司である。アボカドなどは使わないことも多いため、まだギリギリアジア。

生まれたきっかけは80年代、まだ寿司がメジャーでなかった頃、余ってしまったマグロを腐らせたくないが、
そうは言っても通常より鮮度の劣るマグロをスパイシーソースとキューピーマヨネーズで和えたもの。
アメリカのマヨネーズではなく、キューピーマヨネーズと和えるのがミソ。
キューピーマヨネーズは日本のマヨネーズだから、まだギリギリアジア。

亜種に天かすを外殻に使ったクランチロールなんてものも。

ドラゴンロール

外殻にアボカドとサーモンを使用したロール。
見た目が龍っぽいだろ?

なお芋虫に見える人もいるらしく、キャタピラーロールなんて別名も。

モンキーロール

ブラジルで食べられている亜種ロール。
なんと具材にバナナの実、外殻にバナナの皮を使ったもの。

他にもブラジルでは青唐辛子を巻いたタンピコロールなんてものもある。

レインボーロール

様々な魚の刺身を外殻に巻いた、虹色みたいな飾り付けのロール寿司。

ボルケーノロール

発祥はカナダ。
他のカリフォルニアロール亜種が具材や巻く物の違いななか、
こいつは基本的な部分はカリフォルニアロールと同じで、カニカマとアボカドを巻いたもの。

じゃあ何が違うんだよって?このボルケーノロールは、カリフォルニアロールを天ぷらにしたものである。
つまり揚げたカリフォルニアロール。
そしてそのカリフォルニアロール天にスパイシーソースとマヨネーズをかける。
スパイシーツナロールじゃないんだから……
火山の名も伊達ではないということか。

なお天ぷら系ロールには、素直にソフトシェルクラブの天ぷらを巻いただけのスパイダーロールなんてのもある。
こっちはアメリカ。

アラスカロール

サーモンを外殻と中の具材に使ったロール。
サーモンロールではないのはカリフォルニアロールに倣ったためか。
スパイシーツナロールの要領でスパイシーソースとマヨネーズをかけるとスパイシーサーモンロールになる。


今日の日本における受容

カリフォルニアロールといえば、日本では海外のなんちゃって寿司の代表格として散々挙げられてきた歴史がある。
しかし今では日本でもこうしたロール寿司は認知されてきており、「寿司ではないがスシ」という認識を持たれてきている。

なかでもカリフォルニアロールは日本人が生み出したこともあり、
他の海外の創作寿司(例えば香港のあずき軍艦やカナダの寿司ピザ)と比較しても知名度は抜群であり、
いまや東京麻布にもロール寿司専門店の『うらまきや』なるテイクアウト寿司屋が生まれる状況ができている。

寿司という概念を外せば、ライスを使った創作料理であり、チャーハンやパエリアの流れとすれば普通のごはんである。
また、海外でも昨今は「普通の寿司」が受けてきており、
カリフォルニアロール自体も派生でどんどん寿司に近似してきているのは見逃せない。
これによって日本人からの抵抗感も薄れており、見た目の面白いインスタ映えする寿司という方向になってきているのかもしれない。
結局の所美味しければ何でも良いというのが人間の本音であろう。


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最終更新:2025年03月11日 16:55