SCP-1883-JP

登録日:2021/01/23 Sat 14:19:39
更新日:2023/12/26 Tue 10:00:06
所要時間:約 3 分で読めます




SCP-1883-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。
項目名は『過保護』。



概要

SCP-1883-JPは一般的な点字ブロックに似た形を有する生き物群である。
見た目黄色いがこれも微細な体毛が黄色いために黄色く見えるものであり、
鼓動していて心拍音も聞こえるものの、実際にどのへんに臓器があるのかは不明である。
SCPオブジェクト特有の謎破壊耐性を有するため、損傷させたりサンプルを得る試みはすべて失敗に終わっている。

SCP-1883-JPは必要に応じて自身の個体数を増加・あるいは減少することができる。
よって本質的には1体の生物と見ていいのだろう。ボルボックスみたいな群体なのかもしれないけど。
通常の点字ブロックでいう「警告」状態と、「誘導」状態の2種類の姿を瞬時に切り替えることも可能。

そんなSCP-1883-JPは高橋由美さん(SCP-1883-JP-1)という62歳のおばあちゃんの足元に出現する。
この高橋おばあちゃんは幼少期の頃の事故で両親と弟を亡くし、
自身もガラス片による損傷と心的外傷後ストレス障害*1により両眼を失明してしまっている。
そんな高橋おばあちゃんの足元にのみこのSCP-1883-JPは出現し、
彼女の行く方向に危険があれば危険のない方向に誘導するし、
階段など高低差のある場所にもワープして、とにかく高橋おばあちゃんの足元から一切離れることはない。
高橋おばあちゃんはSCP-1883-JPについての異常性を認識しており、絶対の信頼を置いており
SCP-1883-JPから足が1歩でも離れることを極度に拒絶する。

そんなSCP-1883-JPは反ミーム性なのかそれ以外の精神影響なのかは不明だが、
たまたま記憶補強薬を摂取していたエージェントにたまたま遭遇したことではじめて発見され収容に至った。
記憶補強薬がなければ一生見つからずに終わっていたのかもしれない。

インタビュー

高橋おばあちゃんいわく、幼少期に事故に遭い入院していた時に、このSCP-1883-JPが出現したのがはじまりとのこと。
家族を失い、視力も失ったことで毎晩毎晩泣いていた高橋おばあちゃんに、突如このSCP-1883-JPが声を掛けてきた。
当初はベッドの下からおーいとかもしもしーとか聞こえてきたのでお化けかなんかかと思ったらしいが、
自分以外には声も聞こえないどころか見えない(看護師さんが下を覗き込んでもそんなのはいないと言っていた)など、
孤独を感じさせるような点字ブロックの言に、家族を失い天涯孤独となったことで共感を覚えた高橋おばあちゃんは親近感を覚えた。
この点字ブロックのおかげで人にぶつかることも、階段から転げ落ちることもなくなり、
高橋おばあちゃんにとっての友達だと言えるというのである。

なお声も寝息(寝るんだこいつら)も高橋おばあちゃん以外には聞こえないらしい。
なお寝ていてもテレパシーのようなもので高橋おばあちゃんが動こうとすると起きて行動するようだ。

実験

財団はさまざまな実験を行ったが、壁が出てくれば静止させるし、
車や飛行機の中にも出現するし、ランダムで電流が流れる2本の通路をあるかせれば
最初こそ戸惑うものの、間違わずに流れない方に誘導する。
なお高橋おばあちゃんにSCP-1883-JP以外の場所を歩かせるように指示するとひどく動揺し、
SCP-1883-JPも動揺して床一面を覆い尽くした。

インシデント

そんな高橋おばあちゃんとSCP-1883-JPだがある日のこと、就寝中に震度6の地震が起きたことで
高橋おばあちゃんが前のめりに転倒し、SCP-1883-JP上から体が外れた。
このとき高橋おばあちゃんはひどく動揺し錯乱した言葉を発したが、
その際にSCP-1883-JPは今までに確認されていた以上の個体数に分身し、
高橋おばあちゃんを囲んで箱を作り上げた。
18時間のちに彼女は開放されたが高橋おばあちゃんはその時の記憶を持っていなかった。

その際に彼女の様子を確認していた研究員は、高橋おばあちゃんが目が見えているかのような行動を取ったと発言している。











ちょっとした余談

本オブジェクトは、『嘘のコンテスト』に投稿された。
SCP-2233-JPSCP-2472-JPSCP-2616-JPSCP-CN-1616-Jなど
「何かしらの『嘘』がテーマとなる」作品が投稿されるコンテストであり、
先述したオブジェクトたちも「大多数の葬儀の参列者にとって基底世界の牟田さんとのつながりは『嘘』」
「実はあなたが愛しているのは猫、というのは『嘘』でヒゼンダニ」
「先輩がオブジェクトの特性からすると『嘘』の供述を行っている」
「勉強してたのに「してないやどうしよう」と『嘘』を言わせる異常性」
と嘘がテーマとなっている。

さて、今回最後のインシデントでおかしな点が指摘されている。
高橋おばあちゃんは幼少期に両親と弟を亡くし、自身も失明してしまっている。
しかし地震が起きたとき、高橋おばあちゃんはまるで目が見えているかのような行動を取った。
錯乱したのはおそらく、急に視界に視覚情報が出現したことであろう。
幼少期から目を閉ざして生きてきた高橋おばあちゃんにとってそれは混乱の種になったことだろう。
だからSCP-1883-JPが急に取り囲んだのだろう。

しかしよくよく考えるとおかしい話である。
そんなに急に視覚って回復するか?それも若いうちならばともかく老人になってからである。
……もとから失明してなかった可能性のほうが高いんじゃないかな。

とすると、この点字ブロックくんたちが急にきな臭くなってくる。
SCP-1883-JPは自分たちの寂しさを埋め合わせる、
ただそれだけの理由で高橋おばあちゃんが本当は失明なんかしてないのに
失明していると思い込ませてずっと一緒にいるように仕向けたんじゃないのかということである。
実際、幼少期の記憶にもおかしな点が存在する。
看護師さんが下を覗き込んでも、というが失明している少女が看護師さんが下を覗き込んだなどとどうやって理解したのだろうか?
また失明した理由も心的外傷後ストレス障害が含まれているが、点字ブロックと出会って友だちになったのであれば、
トラウマは軽減されている(=直に目が見えるようになる)とするのが自然であろう。
それなのにそれから目が見えない生活を強いられてきたということは、
インシデント時の記憶操作と思しき行動といい
高橋おばあちゃんに失明していると思い込ませて寄生してきたんじゃないかと考えられよう。

高橋おばあちゃんはたまたま幼少期からこのSCP-1883-JPの声が聞こえてしまったがために、
SCP-1883-JPから「友達」として目をつけられてしまい、
本来あるべき健常者としての生活を奪われてしまっていたのである。
おそらく本当は目が見えないことでも泣いていたわけではなく、
いきなり家族を失ったこと、それだけで泣いていたはずである。

なお、「目が見えないと思い込まされている」以外の考察として、
「SCP-1883-JPは高橋おばあちゃんが上にいるとき、高橋おばあちゃんの本来の視力を奪って周囲を認識している」という考察もある。



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最終更新:2023年12月26日 10:00

*1 要はトラウマという意味である。