SCP-CN-1616-J

登録日:2020/11/12 Thu 13:59:45
更新日:2024/12/17 Tue 16:13:26
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SCP-CN-1616-Jはシェアード・ワールドSCP Foundation中国支部に登場するオブジェクト(SCiP)である。


概要

本オブジェクトは現在広範にかつ無作為に広まってしまっており、一切の収容は不可能とされている。
……やべえじゃねえかとか言わない。なぜならこのオブジェクトは別に一般社会に実質的に影響はないのだから。

なので、オブジェクトクラスTiconderoga。もはやこのWikiでTiconderogaは珍しくもなくなりつつあるが、一応解説しておくと、
「収容が著しく困難あるいは不可能、だけどその必要はない」オブジェクトにつけられるオブジェクト。

では、どんなオブジェクトなのか。
これは人間の集団的な活動に際していずれかの個体がランダムに発生させる異常事象であり、
この異常事象を発現する個体をSCP-CN-1616-J-Aと指定する。

  • 集団的活動の開始前、SCP-CN-1616-J-Aは他の参加者に対して、大声で「自分が同活動に向けて十分な準備をしていない」旨を発言します。しかしながら、これまでの例において、往々にしてSCP-CN-1616-J-Aは既に十全の準備を行っており、また発言に反して不安や動揺を示すことはありません。
  • 集団的活動の進行中において、SCP-CN-1616-J-Aは相対的に優秀な成績を収めることで注目を浴びます。これはしばしば他の参加者の能力低下や落ち込みを引き起こします。
  • 集団的活動の終了後、他の参加者は驚きながら、SCP-CN-1616-J-Aに「準備はしていないと言ったじゃないですか」などと質問します。多くの場合、SCP-CN-1616-J-Aは前記発言の理由を説明できず黙り込みます。

……どんな事象かわからないって?じゃあインシデント記録を見てみようか。
ちなみにこの記録はいずれも、異常事象に日々敢然と立ち向かう財団内部で起きてしまっている。

事件番号: #5
活動内容: 新入職員筆記試験
事件概要: 「いけない!昨日は復習してないや……どうしよう…」という旨を受験者の一名が発言。試験の結果によると、同受験者は全56名の受験者の中で2位の成績を収めている。試験結果が公表されたのち、ほかの受験者に「復習しなかったって言ったじゃん」と問い質されたが、同受験者は気まずそうに頭をかき、回答しなかった。同受験者のルームメイトによると、同受験者は前日の夜深くまで復習していた。

そういうことである。
あなたの学生時代にもこういうクラスメイトひとりはいただろう?そいつはSCP-CN-1616-J-Aだったんだよ!

事件番号: #22
活動内容: Dクラス職員バスケット対抗試合
事件概要: 試合前、Dクラス職員の一名が大声で「やべえ。シュートを練習してこなかった。こりゃ点数取れないわ…」と発言。試合中、同職員はスリーポイントシュートを3回決め、試合を通して合計57点を獲得、MVP賞を与えられた。同職員のルームメイトによると、「ここ最近、夜になると必ずグラウンドに出るらしいが、何やってるかはわからない」。

大活躍じゃねえか!

事件番号: #31
活動内容: 夏のカラオケ大会
事件概要: ████博士は登壇前に「あまりうまくないからご容赦くださいね」と発言。その後、博士は息切れせずに「青蔵高原」を歌いきったことで観客の拍手を博した。一部の職員から、数日前に████博士の執務室から歌声が漏れていることが報告されている。

『青蔵高原』はテレビドラマ「天路」のテーマソングとして1994年に発表された楽曲。
非常に高音域が続き、中国では高難度楽曲の代表的存在。
聴いてみれば一目瞭然……ならぬ一耳瞭然だが、はっきりいって数日練習した程度で歌えるようなもんでもない。
ご謙遜を……。

事件番号: #43
活動内容: カオス・インサージェンシー拠点███に対する襲撃作戦
事件概要: 作戦前、「調子が出ないなあ…今回は危ないかもしれない」と機動部隊員の一名が発言。作戦中、同隊員は自力で17名のCIエージェントを撃破し、高脅威異常物品██████の起動を阻止することに成功した。同隊員は作戦中に重傷を負い入院したが、治療の甲斐あって容態が安定している。現在、同隊員に勲章を送ることが検討されている。同隊員と親密な関係にある隊員によると、同隊員は作戦前、作戦シミュレーションルームに頻繁に出入りしていた。

死亡フラグかと思いきやCIエージェントたちを蹴散らしに蹴散らし、未然にアノマリーによる大惨事を回避。
自身も重傷を負うが無事生還。

……大活躍じゃねえか!

そしてこちらが報告書に抜粋された事例のラスト。

事件番号: #55
活動内容: SCP-CN-███の収容措置募集大会
事件概要: 大会前、「はぁ……僕の提案なんか採択されるはずがないよ」と嘆いた研究員がいた。募集大会において、同研究員の提案はその優秀なコストパフォーマンスで正式な収容プロトコルとして採択されている。同研究員が一人でプレゼン原稿を暗記するところが同僚に目撃されている。

イヤミか貴様ッッ


財団の統計によると、集団的活動においてSCP-CN-1616-Jの発生確率は80%に及ぶとされ、
通常の社会人類学では説明がつかないとしてオブジェクト指定された。
また、

  • 事前準備に対する一時的な記憶喪失。
  • 事前準備段階に対する過去改変
  • 自身に有利な影響を及ぼす、または他の参加者に不利な影響を及ぼすキネトグリフまたは音声によるミーム

などが理由ではないかという仮説も建てられたが、いずれも根拠不足として退けられている。
もっと単純なことじゃないかなあ?






SCP-CN-1616-J

干,你不是说你没复习吗?(復習してなかったって言ったじゃないですか!)







これで終わればよかったのだが。

2020年8月7日、空想科学部門により基準次元における物語的変動が検出され、
swn-001-1実体に指定される存在が発したとするメッセージを傍聴した。

やっべえ。今回のコンテスト、アイデアがわかないや。下書きも書いてないし、どうしよう…

財団空想科学部門は、SCP-CN-1109(プロジェクト・ロンギヌス)を遂行してこれに対抗しようとしている。シャレにならない。



余談

本オブジェクトは日本支部『嘘のコンテスト』SCP部門9位。
著者のBenjaminChong氏は中国支部に中国語で投稿したあと、それを自ら日本語に翻訳して日本支部のコンテストに参加している。
昨今中国支部の発展は目覚ましいものがあり、日本支部のオブジェクト数を超えるのではないかとも言われているが、
日本支部のコンテストに中国支部が参戦する事態にまでなるとはまさか思わなかったろう。

内容はもう分かると思うが、「やべー全然勉強してないわー」ってやつ。
日本でも中国でも高評価を得るあたり、海を隔てても同じようなことはあるんだろう。

なおBenjaminChong氏といえばSCP-CN-590を翻訳したことでも知られる人だが、
こと『嘘のコンテスト』に関して言えば、同じコンテストにもうひとつ日本支部サイトメンバーとしても
SCP-2616-JP - 雪中送炭』を投稿している。

ちなみにそちらは『嘘のコンテスト』SCP部門2位及び空想虚構賞受賞。

……您不是说您没有写草稿吗?(下書き書いてないって言ったじゃないですか!)





どうしよう、今回の記事、追記しようにもアイデアがわかないよ。コメントで指摘された箇所もどう修正したらいいんだ……。


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最終更新:2024年12月17日 16:13