カー将軍(科学戦隊ダイナマン)

登録日:2021/02/07 (日曜日) 12:18:00
更新日:2025/05/24 Sat 07:37:39
所要時間:約 6 分で読めます







七本尻尾の軍神にして、最高の科学者である!このカー将軍にお任せください!!



カー将軍とは『科学戦隊ダイナマン』に登場したキャラクターである。

演:石橋雅史


概要

ダイナマン達の宿敵有尾人一族ジャシンカ帝国の最高幹部。
帝国を束ねる首領・帝王アトンの片腕であり名実共に帝国のナンバー2
風貌は黒髪に口髭のある白塗りの顔、骨をイメージした鎧を身に着けたダンディな壮年の男性。
黒いマントを翻し骨でできたステッキを携え、作戦指揮や配下の科学者役のシッポ兵に命令を下す。またこのステッキは戦闘でも主武装として扱われる。
また進化獣やメカシンカの誕生及びメカシンカの巨大化は彼の声紋で行われる。

「尻尾の数の多さ」が身分と地位を決定させるジャシンカ帝国において七本の尾を持つなど地位も非常に高く、そのカリスマ性はアトンに並ぶほどに絶大。
最終盤で戦死した際は帝王アトンが裏切り者の疑いをかけてしまったことを心から謝罪しキメラ王女は哀しみの余り号泣。
それによりジャシンカ帝国全体で国葬が執り行われるなど、戦隊シリーズ全体を通してもあまり例のない異例の待遇と人望を持っていた。


人物

端的に例えるならば謹厳実直な武人
ジャシンカ帝国と帝王アトンに二心無く仕える絶対の忠臣であり、アトンからもメギド王子の教育係も任せられるほどの信任を得ている。
一方で強者系幹部に偶にある下剋上の意識や気概もなく、自分より尻尾の数が少なく地位が低いはずのメギド王子や王女キメラを心から敬い、一歩引いた態度を取り彼らを見守る保護者然とした謙虚な一面を持つ。
レトロ遺伝子により尻尾が増やせると分かった際も自分自身は増やす前のアトンより1本少ない=前のアトンより偉くならない8本尻尾で留めているが、キメラに対しては「5本…いや、6本でも7本でも!」と増やす前の自分と同じ尻尾になる事も全く気にしていない発言からも王族への忠誠心がうかがえる。
その為メギドやキメラからの信頼も非常に厚い。

身内には優しい理想的な上司とも言える漢だが、有尾人らしく尻尾の無い人類への差別意識は強く、1話では密かに人間を地下に誘拐して人体実験をした末に「どうやっても人類に尻尾が生えない」と結論付け、「所詮人間は下等動物!最早人間など邪魔なだけです!!」とアトンに具申し地上征服を提案。
以後も地上侵略のための様々な侵略兵器を開発していった。


しかし高すぎる能力と忠誠心から下剋上を狙っていた女将軍ゼノビアからは露骨に疎まれており、彼自身も過去下剋上を狙ったゼノビアを忌み嫌うなど完全に犬猿の仲。
その嫌いっぷりは尋常ではなく、「こんな女」「大犯罪人」と普段は使わないような毒舌をゼノビアに向け言い放っている。


実力


ヌハハハハハハ!ハハハハハハ!!!

何者だ!

メカシンカをお造りになった有尾人一の科学者!七本尻尾のカー将軍だ!

カー将軍!?

偉大なる軍神でも有らせられる!!


「軍神」の異名に相応しい武芸の技を持つ将軍ながら、自他ともに認める「ジャシンカ帝国最高の科学者」としての顔も備える完璧超人にして文武両道の傑物。
序盤は肩書きの割にはどちらかというと軍師や技術者としての働きがメインの裏方ポジションであったが、メカシンカの登場以後は彼自身も前線に立って戦う機会が増え、その際には四本角の兜を被った戦闘用のコスチュームに衣替えする。
兜のデザインは、なんだかウルトラマンタロウみたいである。

武器は眼を青く光らせてや兜の角から放つ「青い怪光線」「青い鉄壁のバリア」の2つ。
普段は裏方に徹しているが異名は伊達ではなく、その実力はメギド王子や王女キメラをも上回り単独でダイナマン5人を圧倒する。


総じて実力、頭脳、技術力、人望、行動力、忠誠心といった悪の幹部に求められるスペックを極めて高いレベルで全て兼ね備えた不世出の逸材であり、
  • 絶対の忠誠心で組織に仕え、アトンから王子の養育すら任せられた『忠臣』
  • アトンや王女キメラを養育し、立派に育て上げたことで我の強い2人からすら崇敬を得た『師』
  • ダイナマンを小細工抜きで真っ向から苦しめる実力を持ち、一般兵からも尊敬を得た『カリスマ性を持つ武人』
  • 帝国内の科学班を率いて進化獣を生み出す「プログレッサー」やメカシンカを生み出す「メカプログレッサー」、及び様々な侵略兵器を考案・開発した『科学者にして技術者』
  • 地上侵略の為の数々の作戦立案を行い、時には自ら前線に出ることも厭わない『軍師兼作戦指揮官』
  • メカシンカを声紋認証で巨大化させる『巨大化担当』
といった要素を1人で全て兼任して帝国に仕え続けてきた帝国の屋台骨そのものであった…というかこんなハイスペックな大幹部は戦隊シリーズの歴史の中でも早々いない。
実際カリスマ性や人望の高さも相まって、初めて出陣したときにはメギドとキメラが勝利を確信して今までになく勝ち誇っていたほど。


揺るぎない鋼の忠誠心を持ち文武両道な彼はジャシンカ帝国になくてはならない有能な右腕であったが、言い換えれば彼がワンオペで働かなければ組織が成り立たないと言っても過言ではなかったのが何とも皮肉。
実際「帝国」の名を冠しているが内情はカーを除いた残りの幹部はキャリアも経験も浅い王女と王子しかいない*1上に彼等に裏方役としての適性は薄いため、彼が多くの要職を兼務しなければ満足に組織が回らなかったとも言える。そしてカーはその責務に完璧に応えられる逸材であった。
おまけに彼の死によりジャシンカはメカシンカの製造と巨大化が不可能になったので、ジャシンカ帝国の命綱を握っていたのは間違いなくこの人である。


末路

劇中終盤49話ではレトロ遺伝子を奪うべく「コンピュータードラゴン」を制作したが、ゼノビアとダークナイトの策謀により一時は謀反を企んだ裏切り者扱いされてしまった。

…アトン様!誰が本当に忠実な家来であるか…御見せ致しましょう!!!

そしてアトンからの不信を払拭するため単独でダイナマンとの直接対決の為出撃。コンピュータードラゴンが倒れた瞬間その姿をダイナマンの前に現わす。


ダイナマン!お前達を倒して!夢野を取り戻ぉす!!

ダイナマン5人がいる限り!博士は命を懸けて守る!!

アトン様、ご覧あれ!カーの忠誠を!!


バッハの『トッカータとフーガ ニ短調』をBGMに圧倒的な強さと鉄壁のバリヤーでダイナマンを大いに苦しめるが、死力を振り絞り立ち上がったダイナマンのニュースーパーダイナマイトはバリアでも防ぎきれず敗北。
半死半生の身体で最後の力を振り絞って本拠地グランギスモに帰還すると、ビッグバンビームでメカシンカ・コンピュータードラゴンを巨大化させた瞬間絶命した。


ハァ…ハァ…ビック!バン!ビィィム!!

ヌァアアアアアアアアアアッ!!


カー将軍!?カー将軍っ!!


死の寸前まで帝国に忠を尽くし大往生を果たしたカーに対してアトンは哀悼を捧げて国葬を実施。
結果としてまんまと策謀に乗せられたアトンは忠臣を失い、再び反旗を翻したゼノビアに対し怒りを発露させる。

…許せよカー将軍。お前こそ本当の勇者…真の武人であった。
七本尻尾に恥じない有尾人中の有尾人であった…

この仇、アトン自ら果たしてやる!そして必ず十本尻尾になってくれるわ!!


そして死後も「遺言ビデオ」を残しておくことでメカシンカを自動的に作れるよう準備するなど最後まで忠臣を貫き通し、アトンからの評価を更に上げその死を惜しまれることになる。


余談

デザインコンセプトは「長髪キャラで髭のカッコいいオヤジ系」
歌舞伎風の白塗りの怖い顔とは裏腹に、石橋氏の名演もあり放送当時の視聴者からの人気はかなり高く、後年『獣拳戦隊ゲキレンジャー』の電影版で久しぶりにスーパー戦隊シリーズに出演した際の雑誌インタビューで石橋氏が語った「番組を観た子供の親からバレンタインチョコが届いた」というエピソードからも人気の高さがうかがえる。


戦隊シリーズ全体でも人気の高い幹部だったためか、デザインを担当した出渕は「彼に娘が居るという自己設定」でイシリアというオリキャラを考え後年の画集に納め、『非公認戦隊アキバレンジャーシーズン痛』では彼をイメージした敵役「ツー将軍」が登場した。


進化獣やメカシンカの誕生シークエンスのBGMにはクラシック音楽が使われており
  • 進化獣:ベルリオーズの『幻想交響曲 第5楽章』
  • メカシンカ:ジュゼッペ・ヴェルディ作曲の『レクイエム 怒りの日』
が使用された。



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最終更新:2025年05月24日 07:37

*1 一応将軍枠だとゼノビアがいるが、ゼノビアはそもそも下克上する気満々な上に実際反逆を企てた逆賊であるため信用はマイナス。そもそも本来は釈放する気もゼロだったので頭数には入れられない