デルバート・ウィンターズ(Fallout76)

登録日:2021/03/23 Tue 13:15:18
更新日:2022/11/07 Mon 23:03:46
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こんなことになった時、私もこう思った…これで終わりだと。
だが…そうじゃなかった。私たちはこうして生きている。

デルバート・ウィンターズはMMORPG「Fallout76」に登場する人物(故人)である。
世界を滅ぼした核戦争直後の世界で、必死に生き延びようとした人々の1人だった。

+ Falloutシリーズのことを知らない人向けの世界観解説
2077年、世界は核の炎に包まれた!
だが、人類は死滅していなかった!

2077年に起きた全面核戦争、通称「最終戦争」で文明が滅んだ後のアメリカ合衆国が舞台。
  • 合衆国政府は滅び、多くのインフラが壊滅。水も電気も貴重なものに。
  • 法治機関も衰退し、悪漢は「レイダー」と化して略奪と殺人に勤しむ。
  • そもそも土地も河川も放射線で汚染されている。水を汲むのも命がけ。
  • 放射線と謎のウィルスのせいで動植物も突然変異を起こしている。見て見て、人間より大きいサソリがいるよ!当然、襲われたら殺されてしまう。

そんな世界ではあるが、人々はどうにかこうにか生き延びていた。
  • 貴重な汚染されていない水源を中心に街を築いたり…(Fallout
  • 戦前に建設された核シェルター「Vault」の技術を使って戦前並みの居住地を作ったり…(Fallout2
  • 飛行機の残骸をかき集めて街を作ったり、廃棄された軍艦の中に街を築いたり…(Fallout3
  • カリフォルニア州に人口70万の国を築いたり…(Fallout:NewVegas
  • かつての野球場の中に街を築いたり…(Fallout4

しかし、そうした事例は全て、最終戦争から80年~200年が経った後に起こったことなのである。
核戦争の直後に地上で生き延びた人々は一体何をしていたのか?これを初めて詳細に描いたのが「Fallout76」なのである。


誰?

アメリカ合衆国の東部の山間にある「ウェストバージニア州(通称「アパラチア」)」。
その北西にある小さな街「フラットウッズ」。宇宙人騒ぎで有名なこの街で、彼は生まれ育った。
従軍経験もあるようだが、世界が核戦争で滅びた2077年当時は牧師としてフラットウッズの教会に勤めていた。

この時、彼は自分が生き延びてしまったことに当惑していた。
というのも、彼は最終戦争を「神の怒り」であると解釈し、敬虔な信者だった自身が天に召されることを期待していたようなのである。
いわく、「私はこの地上であなたのために戦った。今度はあなたのそばで戦いたかったのに!」とのこと。

けれども彼は生き延びてしまった。このため、彼は趣味の料理に没頭することで気を紛らわそうとした。
そのうち、彼の住むフラットウッズには同じように生き延びた人々が結成した生存者の互助組織「レスポンダー」がやってきた。

彼は自身も生存者を助けることが使命なのだと考え、この組織に参加することを決意した。
その際、自身が勤めていた教会を彼らに提供した(その後、教会は病院や研究所として使われることとなる)。

何をした?

料理の指導

生存者の多くは現代のアメリカ社会を生きていた普通の人々である。つまり、料理の心得がない人も多かった。彼いわく「ゴミ箱の裏で生のネズミに食らいつく」生存者の姿を見たとのこと。

そして上述の通り、彼は料理を趣味としていた。また後述するが材料となる野菜や牛などを育てるための心得もあった。それを活かし、彼はフラットウッズで無料の料理教室を開いていたのである。

またその他にも、彼は物資の窮乏する戦後世界で少しでも美味しい料理が食べられるよう、変異した動植物や戦前の保存食を活用したレシピの開発にも邁進していた。
これらはフラットウッズを越えてウェストバージニア州全土、さらには州外の人間にさえも知られるような人気のメニューとなっていく。

…ただ、肝心のフラットウッズの人々はただの「牛肉のリブアイ・ステーキ」が一番好みだったようだ。

農業と牧畜

流通が寸断された戦後社会においては、当然ただ待っているだけでは食料は手に入らない。
彼は自宅の裏手などを使い、農業と牧畜も営んでいた。

つまり核戦争の直後から動植物の育成をやっていたわけだが、彼の日記には動植物が戦後の環境の中で次第に変異していく有様に困惑している様子が描かれている。

  • 頭が2つある牛が生まれるようになった。最初は少なかったが徐々にその数は増えていっている。東から来た人はこれを「バラモン」と呼んでいた。
  • 植物も混ざり合うようになった。トマトとジャガイモが交雑しており、食べたらケチャップ味のダンボールみたいだった(Fallout4から登場した『テイト』はこの時期から存在していたようだ)。

こうした変異動植物について、彼は自分で実食して試すことを信条としていたようだ。もっとも戦前の記憶色濃い生存者からは、そうした行為に対して当惑されることもあったようだが…。

生存者の精神的ケア

荒れ果てた戦後アメリカ(通称『ウェイストランド』)で逞しく生きる戦後人を見ていると忘れそうになるが、そもそも荒廃した世の中で生き延びることはとてつもなくハードなことである。さらに核戦争直後だと「他の誰かではなく、自分が生き延びて良かったのだろうか」という罪悪感(いわゆるサバイバーズ・ギルト)に悩まされる者も多かったようだ。

このため、彼は牧師としての経験を活かし、サバイバーズ・ギルトを治療するための集会や読書会などを開いていたようだ。

最期

アパラチアのレイダーについて

彼の最期について述べる前に、アパラチアのレイダーについて少し解説しておきたい。
核戦争直後にアパラチアに出現したレイダーは、元は略奪稼業とは程遠い人々だった。

山間部にあるアパラチアの山々にはスキーリゾートが点在しており、そこには金持ちの旅行客も多く訪れていた。
そして核戦争が起きた日付はスキーシーズンに突入しつつある10月23日であり、当時もリゾートはそういった旅行客でごった返していたのである。

核戦争後、スキーリゾートの客は孤立無援の状態に陥り、周囲に救援を求めるも断られてしまう。
そんな中、とある企業の重役だった男が周囲からの略奪によって生き延びることを提案。最終的に旅行客を掌握した。
そんな彼の下で作られたのが、アパラチアのレイダーだったのである。

元が金持ちの旅行客であったため、彼らは教養もあれば人を使うことにも慣れていたらしく、後年のレイダーと比較して非常に強力な集団であったようだ(Fallout4に出てきたヌカワールド・レイダーズに近い)。
そして彼らの提唱する周囲からの搾取で生きるやり方が、地道に生活を再建しようとするやり方に比べて魅力的に見える人々もいた。
このため、アパラチアの生存者の中にはあえてレイダーに身を投じるものも少なくなかったようだ。

ソフィー・イェーツ

さて、核戦争から20年近くが経った2096年、デルバート・ウィンターズは組織に加入した新人の面倒を見ることになった。
彼女の名前はソフィー・イェーツというのだが、彼女はまさに上述のような、地道なやり方よりもレイダーの生き方の方が魅力的に見えるタイプの人種だった。
残された音声記録(ホロテープ)では、彼女は以下のようなことをしゃべっている。
  • 組織(レスポンダー)のことは「おままごとに興じている」と罵る。
  • 「脳みそがあれば、山間部に行って(レイダーに加わり)、重荷を降ろしなさい」と叫ぶ。
  • さらに「デルバートは私を止めようとした。余計なことを…」と語っている。つまり…。
Fallout76の舞台となる2102(2103)年、デルバート・ウィンターズは死体となって自宅に横たわっており、胸にはナイフが突き刺さっている。
上記の記録以外も含めた状況証拠から、彼はどうやらソフィー・イェーツがレイダーに参加するのを止めようとして、刺されて亡くなってしまったようだ。

彼が残したもの

彼が死亡してから程なくして、参加していた組織レスポンダーも、レイダーとはまた別口の脅威のせいで全滅してしまう。
後を追うようにレイダーも全滅してしまい、結果2102年の段階でアパラチアは無人の大地と化してしまった。

しかし、デルバート・ウィンターズが残したものは、Fallout76のプレイヤーが操る「Vault76の住民」に受け継がれることとなる。
フラットウッズで受けることができる訓練プログラムでは、ホロテープ越しに彼から食料の用意の方法を学ぶことができる。
またアパラチア各地に残された「デルバートのレシピ」から学べる料理の中には強力なバフ効果を持つものもあり、強敵との戦いに役立つ。

また、(アップデート後の)2103年になると生存者がアパラチアに戻ってくるようになるのだが、その中にはデルバートのレシピの評判を旅路の最中に聞いたことがある者もいる。
彼は最終戦争後20年足らずしか生きることはできなかったが、その名はこれからも人々の記憶に残り続けることだろう。少なくとも、Fallout76のサービスが継続する限り…。


追記・修正はデルバートのレシピを全種類集めた方にお願い致します。

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最終更新:2022年11月07日 23:03