レイダー(Fallout)

登録日:2010/01/29 Fri 08:27:22
更新日:2024/12/31 Tue 11:53:51
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「新鮮な肉だぁ!」



【概要】

Falloutシリーズに登場するヒャッハーな人たち。簡単に説明するなら北斗の拳モヒカン共。
米中両国の核兵器による最終戦争後、文明の崩壊した嘗てのアメリカ合衆国ことウェイストランドに置いて物資目当てに見境無く他者を襲い虐殺、強姦、食人といった暴虐の限りを尽くすならず者共。
活動拠点にもドラッグや酒類、猟奇的に弄ばれた死体やそれを利用したオブジェなどが散乱しており、日常生活に於いてもその狂気は健在。

作中でも
やつらが来たら家の鍵をかけて机の下に隠れるんだ。根性と銃があるなら戦ってみるのもいいだろう。
だが、やつらに対して白旗を上げる事だけはするな。その旗で首を絞められるだけだ。
とあるように、最終戦争を生き延びた善良なウェイストランド人たちにとってはただでさえ過酷な生活を更に困難にする恐怖の象徴である。

……のだが、Falloutシリーズの主人公は揃いも揃って超人的な戦闘能力を有するため、作中でのプレイヤーからの扱いは一貫して十把一絡げのやられ役である。
特に序盤では貴重な武器・防具や弾薬類を有する手頃な敵であるため、

  • 1.プレイヤーの視界に入るなり瞬殺され身包みを剥ぎ取られる
  • 2.数日後に新たな装備と共にリスポーンするとまた瞬殺され身包みを剥がれる
  • 3.1に戻る
というループに叩き込まれるのも珍しく無い。どっちが追い剥ぎなのやら......。

更には、どいつもこいつも「ああぁぁぁいぃえぇぇぇぇぇ!!!!!」といった奇声や妙に中毒性の高い辞世の句を残すことから、ゲーム後半になっても面白半分に処して回るプレイヤーも少なくない。
おまけに主人公以外の敵勢力及びクリーチャーとも大体敵対しており、プレイヤーの預かり知らぬ所で狩られている事もしばしば。特にプレイヤー自身のレベルに連動して上位敵がスポーンする後半は顕著。
レイダーがデカい顔をできるのはもう色んな意味でゲーム開始直後のみなのだ。


Fallout1

記念すべき一作目の舞台となったNCR建国前のカリフォルニア南部においては、有名なレイダー集団としてVault15を出た元居住者たちを源流とする「カーンズ」「バイパーズ」「ジャッカルズ」の3グループが誕生している。

カーンズ

Vault15を源流とする3グループのうちFallout1で登場する唯一のレイダー。後の作品でも登場するなど、何気に歴史の長い奴ら。
元はVault15から派生した真っ当なコミュニティであり後にNCR首都となるシェイディ・サンズの近くに拠点を構えていた。
シェイディ・サンズを度々襲っていたようで、ついに後のNCR二代目大統領となる少女タンディを誘拐する暴挙に出るも、ウォーターチップを探して旅に出ていた「Vaultの住人」によって壊滅させられる。
カーンズ苦難の歴史の始まりである

バイパーズ

Fallout1では没となり登場しないレイダー。
バイパーズは蛇を信仰するシャーマニズム的な部族であったらしく、FO1本編の直前にBoSと対立。
ヘルメットを脱いだ隙をついて当時BOSを率いていたマクソン2世を毒矢で射殺するという大金星を挙げるが、キレたBoS側の猛攻により東側へ追いやられていった。
その後New Vegasにて登場するも大きく弱体化しており、他と大差ない弱小レイダーに成り果てていた。

ジャッカルズ

バイパーズ同様に1ではカット、その後も登場予定だったVan Buren*1が開発中止になるなどなかなか日の目を見なかったレイダー集団。
設定自体はしっかりされていたが、New Vegasでやっと登場したときにはバイパーズ以上に何の特徴もない野盗の群れと化していた。


Fallout2

NCR建国後のカリフォルニア北部~オレゴン州においては様々なレイダーが登場するが、ここではサブクエストに関わるレイダーのみ挙げる。

Vaultシティのレイダー(仮称)

Vault8が再入植して誕生したVaultシティを襲うレイダー。
アサルトライフルやショットガン、アーマーで武装しシティのタレットを遠距離狙撃で破壊、当局の捜査・追跡からも逃れるなど、その能力はそこらのレイダーと一線を画している。
その正体は犯罪都市ニュー・リノの四大マフィアの一角ビショップ・ファミリーが雇った傭兵であり、更にその裏ではVaultシティの吸収を目論んだNCRが「NCR参加を報酬にビショップを雇用→ビショップが傭兵を使ってVaultシティを攻撃→Vaultシティが軍事支援を求めてNCRに参加」というマッチポンプを試みていた。

ニュー・カーンズ

前作で壊滅させられたカーンズの生き残り*2が立ち上げたレイダー。故郷であるVault15を占拠し、Vault周囲に居座る不法占拠者(≠レイダー)を守っていた。
Vault立ち入りを許されない不法占拠者たちからはとうの昔に廃墟となっていたVault15の食糧生産機能を復旧させた集団だと思われていたが、実際にはキャラバンから奪った食料を与えていたに過ぎず、照明の一つも直せていなかった。
その一方では性懲りもなくNCRへの嫌がらせを続けていたが、何の因果かNCR大統領のタンディから依頼を受けた前作主人公の孫である「選ばれし者」の手によって再び壊滅、残された不法占拠者たちも取引によってNCRの庇護を受けることになった。


Fallout3

かつての首都ワシントンD.C.で略奪・強盗・拷問・殺人などを行う荒くれ者の集団。
本作からは制作会社・ゲームシステムの大幅変更もあってより猟奇的な印象が強まっており、たまに仲間割れで身ぐるみ剥がされたレイダーもいる。

基本的には理性的な対話など通用せず、戦いたくないなら逃げ隠れするしかないが、索敵範囲が広い為にこちらが視認する頃には発見されている事もしばしば。
とは言えレイダーの域を出る強さなどはなく、精々通常のラッドスコルピオン相手に数で押し勝てる程度*3。主人公側もシリーズ最強の破壊神と名高いVault101のアイツであるためプレイヤーからの扱いはもっぱら動くアイテム箱。
さらにもしプレイヤー自身がCanival(人間の死体を調べると不思議な力でHP回復)のPerkを持っていると、逆に自分達が新鮮な肉にされる事もしばしば。
但したまに火炎放射器やミサイルランチャー、ミニガンといった重火器を装備している者もいるので油断は禁物である。

因みにDLC「Mothership Zeta」(宇宙船)では敵を無限に湧かせて試し撃ちが出来る施設がある。出現する敵はこちらのレベルによって変わるのだが、レイダーだけは終始出現する上ベリーハードなら一人あたり45EXPが稼げる。
爆発物無限バグ等と併用すると一気にウマウマ。

なお某動画サイトにレイダーがルームランナーでトレーニングする動画がある。ヌルヌル動くけど誰が得するんだこれ…。


Fallout:NV

モハビ・ウェイストランドでは旧作に登場したレイダー部族の末裔である「グレートカーンズ」「バイパーガンスリンガー」「ジャッカルギャング」は勿論、脱獄囚の集まりである「パウダーギャング」など大小様々なレイダー集団が鎬を削っている。
ここでは、エンディングで言及されるレイダーのみ挙げる。

パウダーギャング

NCRCF*4に収容されていたレイダー。名前の由来は火薬を扱うことから。
元はNCR内の犯罪者たちで、鉄道レールの敷設や修理の為に働かされていたが、フーバーダムを巡るNCRとシーザー・リージョンの戦争が長期化し人手が足りなくなった隙を突いて暴動を起こし、施設を占拠した。
その後は方針の違いから、NCRCFに留まり周囲で略奪を繰り返す一派と、NCRへの復讐を考えつつ放棄されたVault19に潜伏する一派に分かれて活動している。

フィーンド

ベガス周辺を縄張りとする薬物中毒者集団。NVの中では最も3のレイダーに近い。
扉を開けた直後のVault3を襲撃し全住人を虐殺、そのまま乗っ取っており、いつものレイダーアーマーに加えてビッグホーナー(羊の変異種)の頭骨をあしらったヘルメットを新たに装備。
武器もVault由来のエネルギー兵器が中心で、比較的近くに軍事拠点を設営しているNCRも掃討に手こずるなど中々手強い。
3のレイダーと比較すると過激な言葉は減っているものの、基本的にはトップを除いて発見即敵対でありストーリー上でも強姦だの死姦だのよく出て来るあたりその残忍さに変わりはない。
基本的に無秩序な連中であるが、薬物供給源であるグレート・カーンズとは協力関係にある模様。
とはいえモハビ・ウェイストランドを混沌に陥れる厄介者に変わりはなく、エンディングでは覇権を握った勢力の手によって討伐されていることが多い。

グレート・カーンズ

旧作をプレイした人たちにはお馴染みのレイダー。今作ではモンゴル系の文化を持っている様子が見られ、仲間になるには厳しい試練が課されるなど、固有の文化や歴史を重んじている。

NCRから逃れてモハビへ流れて来た当初は他の三部族と共にベガスを支配していたが、覚醒したMr.ハウスのファミリーになることを拒否した為に追い出され、ビタースプリングスに拠点を構える。
その後モハビにやって来た仇敵NCRに対して止めとけばいいのに喧嘩を売って返り討ちに遭うが、その中で誤ってカーンズの非戦闘員が大勢殺害される「ビタースプリングスの虐殺」が発生。事件後NCRから謝罪と賠償を受けたものの、両者勢力間に強い軋轢を生むこととなる。

現在は無人地帯のレッドロックキャニオンに拠点を設け直し、NCRへの復讐を誓ってシーザー・リージョンと同盟を結んでいる。
しかし、最終的にはグレート・カーンズの固有文化を破壊して完全に取り込もうと言う彼らの目論みには気づいていない。

また虐殺事件後の一時期アポカリプスの使徒の援助を受けた際に薬物の製造技術を獲得、貴重な収益源となっているが、主な顧客はフィーンドであるため間接的にモハビ・ウェイストランドの治安を悪化させている。
メタ的な話になるが、元ネタは『Mongols Motorcycle Club』(MMCC)という実在の暴走族。構成員にコーカソイドが多く、バイカースタイルでモンゴル成分がぱっと見当たらないのはそのため。MMCCはあくまでチンギス・カンをリスペクトしただけで、グレート・カーンズのように末裔だと思い込みはしていない(はず)。


Fallout4

本作では舞台となるボストン各地に統率された小グループを作っている。
南部の輝きの海を除けば比較的核攻撃の被害が少なかったためかかなり理性的な言動が見られ、一部ではパワーアーマーをガラクタで修理し独自に運用するなど、3以降の狂気性がかなり薄まっている。
時折薬物中毒のせいか微妙に違和感のあるローカライズのせいか言語能力がやや怪しい個体が混じっているが、それでも身代金の要求に応じると素直に人質を解放したり交渉次第であっさり見逃されたりなど、概ね話は通じる。

前述の通りPAやミサイルランチャーなどの重装備を有する個体が散見されるため序盤での脅威度は上がっているが、寄り道して爆発物や改造防具、軍用パワーアーマーなどの装備を整えればあっさりうんぬ。するアイテム箱に成り下がる事に変わりはない。
数も相変わらず多く、リスポーン狩りで小銭稼ぎしたり主人公自身が美味しく頂いて回復したりと終盤でも漏れ無く活用できる。

DLC「FarHarbor」…亜種のトラッパーが登場。
霧に飲まれて凶暴化した漁師などの元住民であり、本島のレイダーよりやや良質な防具や放射線ダメージを持つ武器を有するためやや手強い。但しファーハーバーにはもっと質の悪い敵がゴロゴロしているので相対的には癒し兼やられ枠。
DLC「Automatron」…残骸から組み上げたロボットを使役したり強固な防具を作ったりしているインテリ勢力『ラスト・デビル』が登場する。
DLC「Nuca-World」…動物を手懐ける蛮族なパックス、インテリヤクザのオペレーターズ、残虐さの極まった重装甲のディサイプルズが追加されたことでプレイヤーが善良な一般人に略奪行為を働けるようになった。やったね!
なおレイダーの拠点も作れるが、元が荒くれ者故か農業をさせると不満が貯まる。

ついでにDLC「Contraptions Workshop」では薬物を餌に檻に捕獲できるため、オツムの足りない奴らも未だいる様子。居住地に監禁してデスクローと戦わせたりもできる。


Fallout76

〜2102年

シリーズでも時系列が最も早い上に核攻撃の被害も少なかったためか多くのレイダーが存在し、大きなものだけでも5グループが存在したが、ゲーム開始時点では皆アパラチアから脱出または全滅している。

  • 「カットスローツ」︰残虐なゴロツキ集団
  • 「ブラックウォーター盗賊団」:腕の立つ泥棒
  • 「トラッパー」:対人罠を多用する元ハンター
  • 「グルマンズ」:食人集団
  • 「ダイハーズ」:倫理観の残った中途半端なギャング

彼らは皆旅行客だったのだが、最終戦争直後の混乱の中で孤立無援の状況に陥り、当時州都に成立していた暫定政府からも支援を断られてしまう。
そんな中、とあるブラック企業の重役「デビッド・ソープ」がスキー客たちを掌握。彼らを生存のためには他者からの略奪を厭わないレイダーへと変えてしまった。

最終戦争から5年が経った2082年、「カットスローツ」のリーダーとなったデビッドの恋人「ロザリン・ジェフリーズ」が暫定政府を襲撃したが失敗。この際に「ロザリンは死んだ(実際には捕縛され生きていた)」とデビッドに誤った情報が伝わってしまう。
激怒したデビッドは「ブラックウォーター盗賊団」経由でBOSの保管庫から核爆弾を強奪、報復としてクリスマスにダムを爆破し周囲の街と暫定政府諸共数千人を虐殺した。この大虐殺は身内からも顰蹙を買い、「カットスローツ」から離反してレイダーを辞めた者も出た。

その後十数年間に渡ってレイダーはアパラチア地域において大いに栄えたが、2095年ごろには地域全体に「スコーチ病」が蔓延し、他の組織共々窮地に追いやられることになる。
これに危機感を抱いた「ダイハーズ」のメンバーを中心に一部のレイダーがアパラチアから脱出し、残ったレイダーたちも2097年頃までに全滅することとなってしまった。


2103年〜

主人公達の手でスコーチ病が収束し元凶たるスコーチビーストも大きく弱体化したことでアパラチアは滅亡の危機を逃れ、新たなレイダー集団が活動している。
なおモスマンカルト教団は除外。

  • 「クレーター」
「ダイハーズ」の生き残りを中心とした大規模グループ。北部の宇宙ステーション落下地点に居住地を構え、各地を放浪し資材を集める。理性的で農業も行い、勢力ストーリーを進めるとプレイヤーに協力して愛称で呼んでくれる…が総じて口は悪く善良な入植者から物資は強奪、裏切り者は始末する。ヒャッハーというよりは緩めのギャング。

  • 「ブラッドイーグル」
元バイカーギャングで、捕まえた人間を改造薬物で洗脳しメンバーを増やす大規模グループ。南東の巨大地下駐車場をメインに各地に拠点を作る。最低限の知性は残っているが理性は崩壊気味で、見境なく襲ってくるヒャッハー集団。服装はレザージャケットにジーンズ、パワーアーマー着用者もいる。

  • 「フリーラジカルズ」
刑務所の元看守がリーダー、元囚人達がメンバーの小規模グループ。北西の木材会社の敷地を拠点にしている。見た目はいかにも荒くれ者っぽいが、恐らく作中一理性的なレイダー。




「新鮮な項目だよぉ!」
「編集タイムだ!」

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最終更新:2024年12月31日 11:53

*1 IP移行前にFallout3として開発されていたゲーム

*2 カーンズ首領の息子。壊滅の現場に居たが、子供故に見逃されたか単に見落とされたかしたらしい。

*3 これもDLC「Broken Steel」導入後に出現するブリーチ・ラッドスコルピオンになると勝ち目がなくなる

*4 NCR Correctional Facility:NCR矯正施設。早い話が刑務所