SEKIRO 外伝 死なず半兵衛

登録日:2021/04/21 (木曜日) 23:22:00
更新日:2021/05/01 Sat 19:00:26
所要時間:約20分で読めます





それがしは彼岸の者 故に名はないが…

いつの頃からか こう呼ばれておる

「死なず半兵衛」



SEKIRO 外伝 死なず半兵衛は、フロムソフトウェアから発売されたアクションアドベンチャー、
SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE(以下、隻狼)のコミカライズ作品。全一巻。
著者の山本晋氏はモンスターハンターのコミカライズ、 「モンスターハンター 閃光の狩人」(原案:氷上慧一氏)の作画を務めた経歴があり、
躍動感のある戦闘シーンが見応え抜群。

タイトルの「死なず半兵衛」の通り、隻狼に登場したキャラクター、半兵衛が主人公に抜擢され、彼が荒れ寺に辿り着き、と出会う前の出来事と生き様が描かれる。
そのため隻狼のキャラはほとんど登場せず、この作品単体でも楽しめる作りになっているが、原作経験者だとニヤリする演出も。


【あらすじ】
時は戦国。力で全てを手に入れられた時代…
剣聖、葦名一心がその力で築いた北の国、葦名。しかし一心も人の身である故に、永遠に生きることはできない。
今や日本の中央勢力に在る内府が葦名をも平定せんと、虎視眈々としていた。

葦名にある山合いの村に、一人の侍がやってきた。
ざんばら髪にボロボロの着物。村の若者・正吉は落ち武者と見て、村には行かせんと斬りかかるが、侍は抵抗する気力もなく倒れ、正吉の姉・鈴によって介抱され、村へ運ばれていた。
正吉は不審がるものの、村に野伏せりの一団が向かっている報を受け駆け出される。
しかし多勢に無勢、剣の心得がある者も屠られ、絶体絶命。せめて一人でも道連れにと覚悟する正吉の後ろに、一人の侍が現れた。


久方ぶりに  斬り合う意味がありそうじゃ

それがしを殺めることのできる者は在るか?


作中のセリフから推測すると、原作の4~5年前の出来事のようだ。
(本作の時間から2年後が「竜泉詣での年」。原作の狼の記憶、平田屋敷襲撃事件が3年前、「竜泉詣での年」であった)

【舞台】
隻狼同様、北の国「葦名」が舞台。
しかしその葦名も本来は多くの権力者によって治められていて、それぞれ土地を所有し家の名を掲げていた。
本作の村は「高峯」という武家が持つ領地にある。

【用語】

  • 死なず
何かの手段で不死の身となった者の総称。本作では「虫憑き」と、「変若水」による「赤目」の二種類が存在する。
「変若水」とは葦名の何処から流れ出る水で、それが濃く淀んだものが「変若の澱」となり、飲んだ者は理性を失う代わりに獣の如き力と生半可では死なない体を得、「赤目」になる。
「虫憑き」は「変若の澱」に適応して変異した百足によるもの。その百足を口にし、寄生されることで「虫憑き」となり、「赤目」よりさらに強い不死性を持つ。
  • 葦名流
剣聖葦名一心が編み出した流派。
高峯の地でも習う人が多く、作中では一般的に認知されている。
中でも「葦名流一文字」は本作では大きく扱われ、必殺の一撃として描写されている。
大上段から打ち下ろし、例え初撃を受け止められても、すかさず二撃目を繰り出し相手を刀ごと両断する「一文字二連」は、葦名一心も愛用する技。
なお、ゲーム内でも一文字二連はスキが多少大きいことを除けば非常に優秀な流派技である。

【登場人物】

  • 死なず半兵衛
まだ死なん 死ねぬなら 生きる他ない

ボロボロの状態で葦名の村へと流れついた、落ち武者のような風貌の男。
全身に古傷らしき跡が見られ、肋や頬骨が浮くほどやせ細っているが、素人構えとはいえ大振りな刀の一撃を躊躇なく腕で受け止めるなど異様な様子も見受けられる。
しかし、言葉を発することもなく空腹で倒れ、そのまま村で介抱されることになる。
腰には落ち武者としては妙に拵えの良い刀を下げているが……

その正体は、葦名で乱世を争う猛将、田村主膳に仕えた武将の一人。
少年時に捨てられ、名前も知らないまま死を待つ所、仙峯寺の僧侶に虫を憑けられ死なずの放浪者となった。
その死なずを活かし剣の腕を鍛え、戦場に身を投じ、猛将田村主膳に挑むが、力及ばず槍に斬り裂かれる。
しかし田村は死なずの力を目にし、捨てるには惜しいと招き入れ、ついには田村の側近までのし上がっていた。
なお、このとき槍に半分に斬られても死なない彼に田村が「半兵衛」という名を与えた。
その田村が葦名一心に破られ、半兵衛が主君の敵を討とうと一心に襲いかかるがそれも敵わず、「葦名流一文字二連」に刀ごと両断されたのが本作冒頭となっている。
本作の主人公。原作経験者から「其処許おじさん」という愛称が付けられた通り、二人称が「其処許」なのが印象的。
訳あって「虫憑き」と呼ばれる不死の身となっており、いくら斬られようが、体が両断されようが、何度でも生き返る。
それを生かし、原作では自らプレイヤーの練習相手に買って出る。
あくまで手加減して相手をしていた原作ではその実力は不明だったが、本作では腕力が強く、洞察力も高いと相当な強者。
それは彼の元々の剣の心得に加え、「死なず」という体質を最大限に利用して幾度も果たし合いを経験し、それらを糧に強くなっていたためである。
が、葦名一心や田村主膳など圧倒的に技量が上回る相手にはさすがに歯が立たない。
葦名一心に半分折られていた刀を長年使い、その手入れもできずに居た。

齢は本作でも不明だが、その風体から正吉に「爺さん」と呼ばれる。
序盤に空腹で倒れるも鈴と正吉に助けられ、一宿一飯の恩義で彼らの村に助力を貸すことに。
その後もなんだかんだで村の問題解決へ尽力するなど、根はお人好しと言える。
無愛想かつ強面で最初は子供の長吉に怖がられていたが、蜘蛛の巣を使った虫取り棒や竹トンボを作ってやるなど存外可愛がっていた。


【山合いの村】
本作の舞台。割と大きな村だが、戦の影響で男手が不足。
また最近では神隠し事件に会い、一年で山へ踏み入った9人もの村人が行方不明になり、それらを探しに山に入ろうと今度は野伏せりに出くわす始末。
神隠しは野伏せりの仕業と考え、村長へ話し高峯の兵を要請しようとするが、内府がいつ攻めてくるかもわからない時勢ではそれも叶わない。

  • 正吉
この先は儂らの村! 通すわけにはいかん!

村の青年。村を愛し有事な際は恐れずに買って出るが、今まで一人も斬ったことなく実力は低い。
野伏せりの襲撃に会い半兵衛に助けられ、村の男衆をこれ以上減らせんと半兵衛へ神隠し事件の解決を要請し、共に行動することに。

そもそも一般人であり剣の心得もないため、半兵衛にはもちろん野伏せりの一団にも歯が立たない。
神隠し事件解決後は自分の無力さを痛感し半兵衛へ稽古を付けてほしいと頼む。

山に入れば 神隠しに合う

正吉の姉。息子に長吉がいる。
素性不明の半兵衛へも親切に世話する、心優しい女性。芯は強いが、父も夫も戦でいなくなって、正吉も長吉いつか…と内心を吐露する場面も。

  • 夜刀丸
村の中でも剣の心得のある者として知られ、葦名流の道場に通っていた。
野伏せりの襲撃の際は正吉と共に迎え撃つが、力及ばず。

名前が出て次のページに斬り殺される文字通り即落ち2コマが読者の腹筋の体幹を破壊した。
しかしよく見ると野伏せりの一団も何人かやられて、夜刀丸も別に一方的に殺されたわけでもない模様。

  • 山人
「川上の山人」と呼ばれる村一の怪人。
村には馴染めず、川上の家に住むが、正吉だけはたまに様子を見に行く。
猿の肉を口に入れるなど奇行を繰り返すが、一年前に神隠しに会い、村最初の失踪者となった。

【高峯家】
二百年近く続いた武家であり、舞台の土地の領主。
鉱山により富を築い、二十年前の国盗り戦では葦名に付き武勲を挙げたが、今ではその名も没落の一途。

  • 高峯比良近
高峯家の長、領主。
国盗り戦では「槍の高峯」と呼ばれる名手。

  • 高峯虎道正嗣
高峯家の倅。
葦名流の剣術に長け、大上段から繰り出す「葦名流一文字」が必殺の一撃。

【その他】
原作にも登場した人物。

  • 道順
全身を白い布で覆った異様な風体の男。
高峰の館の地下にて、「変若水」「赤目」ひいては「死なず」について研究を進めていた。
半兵衛のうわさを聞き、研究のため身柄を欲している。
ご存知ド外道。本作では高峯家の助力を元に研究を進めていた。

本作では虎道の回想にのみ登場。
葦名へ反骨心を持つ虎道は弦一郎を見るや否や、「剣の腕なら俺の方が…」と殺気を向けるが、いつの間にか目の前に迫ってきた弦一郎の凄まじい威圧感に怯え、何もできずに居た。

国盗り戦で葦名を築いた英雄。「剣聖」とさえ呼ばれる、超人的な剣術を誇る。
敵大将・田村主膳を討ち戦を終わらせたが、直後に田村の側近であった半兵衛に挑まれ、「葦名流一文字二連」であっさり彼を両断した。

しかし一心もまた人である故、今では病に侵され、隠居の身となっていた。

原作では「死なず」に対して「ワシは見たことないが…」と述べたが、本作冒頭にて半兵衛を斬ったとき彼は既に「虫憑き」であった。その後、一心は半兵衛と出会ってはいない。

  • 田村主膳
原作冒頭、国盗り戦にて葦名一心に敗れた将。
モブ侍からは「葦名を制するのは田村か、葦名衆の一心であろう」と評され、実際一心と激戦を繰り広げた。



「そうか高峯の…」「追記、修正よしなに頼む」




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最終更新:2021年05月01日 19:00