あやかしトライアングル

登録日:2021/05/02 Sun 18:17:07
更新日:2023/12/08 Fri 18:09:27
所要時間:約5分で読めます





不思議な妖怪「」のいる世界―

三者の思いがめぐり、まさかの事態へ…!


『あやかしトライアングル』とは、『週刊少年ジャンプ』および『少年ジャンプ+』で連載されていた漫画である。

概要

作者は矢吹健太朗
『週刊少年ジャンプ』で2020年28号(6月15日)より連載開始。
単行本は全16巻で、7巻の時点で累計100万部を突破した。

忍者と妖怪をテーマにした純和風ラブコメディで、忍者の主人公と妖怪を惹きつける体質のヒロインによる不思議な青春の日々を描く。
…と、ここまでなら良くも悪くも和風物の王道であるが、何とこの作品第1話で主人公がまさかの性転換してしまう。
そのため、ジャンル的には擬似的ではあるが一種の百合要素も含んでおり、その唐突過ぎる展開は初連載時点で多くの読者を驚かせた。
そして、作者お得意のお色気シーンも勿論豊富。単行本では思いっきり無修正になっていたりする。

原案は同作者の読み切り作品『れお×レオ』で、一部のキャラクターデザインや設定にその意匠や名残が見受けられる。
更に連載前の27号は「To LOVEる -とらぶる-」の後継者である「ゆらぎ荘の幽奈さん」が連載終了したので、その枠を引き継ぐ形で連載が始まった。
なお、To Loveるのヒロインの一人でありアイドルとして活動していたルンが本作でも壁掛けポスターという形で登場していたり、主人公・結城リトの父である栽培は本作でも人気漫画家として知られている。
To Loveるで言えば、無印終盤からダークネス序・中盤頃の時系列と同じ世界観を共有している模様*1
また、物語終盤ではデビュー作である『邪馬台幻想記』との意外な繋がりも描かれる。

2022年20号(4月18日)掲載の88話をもって本誌での連載が終了。翌週4月25日より『少年ジャンプ+』へと移籍連載される事が正式決定した。
作者の矢吹健太朗は移籍連載の理由を、

「すずのダークネス化が止められなくなったから。」
「本誌では無理だった、あんな話やこんな話を掲載したくなったから。」

などと本誌にて語っている。
移籍後は毎週月曜日に新しいエピソードが公開されるようになっており、3週連載して1週休むのが基本スタイルとなっている。
また、移籍後は紙媒体の連載でなくなったため、扉絵を毎週カラーにしている。

TVアニメ版は2023年1月より放送しているが、コロナ禍の影響で映像制作が中断、2月中は既に放送した1~4話をプロデューサーの中山信宏氏と原作者の矢吹氏によるオーディオコメンタリー付きで放送し、3月は前半に5話と6話を、後半は総集編と特別編を放送する形となり、2023年7月より第1話から放送再開することになった。
そして同年9月25日、アニメ放送の終了と同日に原作も全144話で有終の美を飾った。


あらすじ

日本の某所にある田舎町「小美呼市(おみこし)」。そこには「妖」と呼ばれる不思議な存在と、悪い妖から人間を守る祓忍(はらいにん)が居た。
そこに住む祓忍の風巻祭里(かざまきまつり)と、花奏(かなで)すずは幼馴染だが最近はどこか溝ができていた。
そんな二人が高校進学を翌日に控えたある日、すずは小美呼市の妖を統べるシロガネに出会い、危うく彼に食い殺されかけてしまう。
駆け付けた祭里がシロガネの力の大半を封印したことで事なきを得たものの、シロガネの妖術「性醒流転」によって祭里は女性になってしまう。
祭里とすずは祭里の体を、シロガネは本来の力を取り戻すべく行動を共にし、二人と一匹の奇々怪々な日常が始まるのだった。

用語

基本的には我々がよく知る『妖怪』とほぼ同じだが、目視できるのは同じ妖か特別な出自を持つ人間、人間以外の動物に限られる。
妖力という不思議な力を体に宿しており、その力で様々な超常現象を引き起こす。
但し、理性や戦闘能力はピンキリで、種類によっては人間と分かり合える妖も存在する。

  • 祓忍
人間に害をなす妖を狩る忍者。早い話が対魔忍
「祓忍法」という特別な忍法や「祓忍具」という特別な武器を駆使する。
また、変わり身の術等オーソドックスな忍法も使用できる。
それぞれの祓忍の家系が手を組んで「祓忍組合」という一大組織を作っている。

  • 魂魄(こんぱく)
妖や人を含めた生物のエネルギーの総称。
魂は精神力を司り、魄は肉体の形や強さを司る。
人間には両方が備わっているが、妖には魄しかない。
魄を全て失うと、その持ち主は死亡してしまう。

登場人物

主要人物

CV:千葉翔也(男)、富田美憂(女)
本作の主人公。
中学生にして祖父からその仕事を継いだ若き祓忍。
生真面目で男気溢れる少年ながら、シロガネによって女性にされてしまう。
詳しくは個別項目参照。

  • 花奏すず
CV:市ノ瀬加那
本作のヒロイン。実家は商店街で喫茶店を営んでいる。
一見すると普通の少女だが、実は常人よりも魄が強く、妖を惹きつける体質を持つ「妖巫女(あやかしみこ)」と呼ばれる存在。
幼少の頃から妖を視認し慣れ親しんできたが、その性質のせいで人から気味悪がられていた過去を持つ。そんな時に同じく妖が見える祭里と出会い、親交を深めていったことでお互いに淡い恋心を抱くようになる。しかも内心では「祭里なら女のままでもイケる?」とすら思い始めている。
基本的に心優しく穏やかな性格だが意外と欲望に忠実。甘いものに目がなくどこか緩い。犬猿の仲の祭里とシロガネを取り持っている。
話が進むにつれてむっつりスケベの本性と妖巫女としての力を発現させ、使いこなしていく。
また、シロガネが封印されていた分も含めて、力をほぼ完全に失って以降は、彼の代理として妖の王の座に収まる。

  • シロガネ
CV:玄田哲章
小美呼市一帯を縄張りにする「妖の王」。
普段は祭里から「猫だるま」と呼ばれるようなずんぐりむっくりとした白猫のような姿をしているが、本体は巨大な化け猫で、強力な妖術の数々を操る。
一人称は「我」で、「~である」という独特の口調を用いる。
王の肩書を鼻にかける傲岸不遜な性格で、特に男女のラブロマンスには敏感で激しい嫌悪感を抱く。「ハレンチな!」と叫ぶことも。
祭里を性転換させたのも、自分をダシにしてすずとイチャつく展開が許せなかった為という何とも個人的且つ狭量過ぎる魂胆が由来である。その一方で普通の猫として女子生徒達に可愛がられてご満悦になる等何ともマイペースな部分も多い。
己が妖怪だから一方的に襲撃してきた人間達を撃退するうち、人間達はシロガネの力を怖れて神社を建て神として崇め始めたかと思えば、時を経るにつれ参拝客は減る一方で盛ったアベック達には夜ごと秘事をこれでもかと見せつけられ、畏敬の念諸共にその存在さえ忘れて神社は廃れる始末。
そんな対応を二転三転させる人間のことを「身勝手な奴ら」として忌み嫌っており、祭里とは些細な喧嘩が絶えない。
だが、すずのことは自分が狙っている餌であり、彼女の作る団子の味を気に入っているということもあってそれなりに気に掛けている。
封印された自分の力を取り戻そうと日々奮闘(?)している。
おかげで読者からは「作中の良心」だの「常識人」だの「最後の砦」だの呼ばれている

北彩高校

  • 鳥羽弥生
CV:戸松遥
すずの中学時代からの親友。
ハイテンションな性格でスキンシップが激しい。
恋の噂に敏感。

  • 月丘ルーシー
CV:木野日菜
すずの中学時代からの親友。実家は結構な大富豪。
金髪で語尾に「っす」つ付けて話す。様々な漫画やゲームを愛するオタク少女で、オカルト趣味もある。
UFO召喚の儀式の最中に偶然出会った男の祭里に化けたシロガネ(本人は「シロマツ」と名乗る)を宇宙人と勘違いし、恋心を抱く。

祓忍組合

  • 風巻清弦
CV:魚建
祭里の祖父で同居人。
「~だヨ」という独特の語尾を持つ。
現役時代はかなりの手練れであり、シロガネとも交戦経験がある程であった。
流石に引退した現在ではそこまでの力は発揮できていないものの、祭里の指南役として十分すぎる腕前は健在。
現在はアイドルやゲーム三昧の隠居生活を満喫している。

  • 二ノ曲宗牙(にのくるそうが)
CV:石毛翔弥
祓忍の家系「二ノ曲家」の次期投手で、祭里達の一つ上の先輩。
三白眼の釣り目にギザ歯という悪人顔だが、真っ直ぐな性格で無害な妖なら命を救う優しさも持ち合わせている。
初任務の祭里に付き添った際、「どんな苦境に陥っても妖を絶対に許さない」という強い信念を持つ姿から仲間でありライバルだと認めている。
実は女性耐性がゼロであり、ほんの一瞬パンツを見ただけでも戦意を喪失してしまう程。妖巫女であるすずを最初は警戒していたが、交流を深めていく内に彼女に恋していく。
最終的には彼女の想いを知ったことで手を引くも、今度は女性になった祭里が気になり始めているらしく…?
「神速」の異名を持ち、目にも止まらぬ超スピードが武器。
作中の良心その2

  • 二ノ曲ポ之助
CV:新井里美
宗牙に付き従う式鬼(しき)と呼ばれる妖。
種類は「鳩天狗」で、その名の通り山伏の格好をした鳩のような姿をしている。
語尾に「ポ」とつけて話す。
野良猫に襲われていたところを宗牙に助けられて以降彼に忠誠を誓った。
その人相で何かと誤解されやすい宗牙の理解者でもある。

  • 香炉木恋緒(こうろぎれお)
CV:山根綺
代々祓忍具を作る香炉木家の娘。
祭里は古い付き合いであり、初めて出会った時に自分の祓忍具を作る担当に指名された。
常に敬語で話す。作る祓忍具はどこか独特な形をしているが、祭里にはそれが気に入られている。
自分を認めてくれた祭里を大変慕っており、時にその気持ちが大きすぎて逆セクハラに走ることも少なく無い。
大の匂いフェチ。
元々は聖ゾディアンヌ学園に通っていたが、祭里達のサポートの為に母が理事長を務める北彩高校に転校してきた。
実は宗牙と同級生で、彼とも幼馴染。
毎度祓忍具を作っては彼を実験台にし、その俊足を育てる一因になった。

取り巻く妖

  • 歌川画楽
CV:田丸篤志
日本を代表する画家。
一見すると飄々した男性だが、その正体は有名な画家が使っていた絵筆に宿った付喪神。
描いたものを実体化させて自在に操る画現術(がげんじゅつ)の使い手でもある。
元の持ち主の影響で大の猫好き。本人はその中でも特にシロガネに目がなく、王として慕う以上にその体を弄りたがっている。

  • ラチカ
ロシア民話の絵本から生まれた付喪神の少女。
本体である絵本が日本に売られたことで、図らずも来日してしまい、孤独に怯えていた所で声をかけてきた雲外鏡と仲良くなった。
生意気盛りで意地っ張りだが、根は友達思いで素直。
雲外鏡を新たな妖の王にすべく、すずに危険な嫌がらせやいたずらを連発したが、自身の孤独を見抜き、それを受け入れたすずが許したことで彼女達と和解し、以後、鈴の口利きもあって、画楽の元に身を寄せる。
雪や氷、冷気を操ることができ、能力そのものは強力ながら、熱湯等熱い物が苦手。

  • 雲外鏡
雲を纏った鏡のような妖で、ラチカからは「ウーちゃん」と呼ばれている。
「~だわさ」と語尾に付けるおばさん口調で話すざっくばらんな性格。
日本でラチカに最初に声を掛けた妖で、それ以来常に行動を共にしている。
元々は人間に忘れられ、力を失っていく一方な日本の妖事情を憂いており、復興のために自分が新しい王になろうとし、ラチカと共にすずに悪の限りを尽くした。
ラチカの改心と共に自身もすずを認め、以後は彼女達と親しくなる。
鏡のある場所に、自分や任意の人物を瞬時に転送できる他、鏡の向こうの世界・「鏡界」を展開できる。



追記修正は性転換されてからお願いします。



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最終更新:2023年12月08日 18:09

*1 本作では宇宙人や妖怪は存在しないものとして一般人には認識されているが、ダークネス終盤にてルンは自分が宇宙人であることをカミングアウトする展開を迎えている