ローマの休日(映画)

登録日:2021/06/12 Sat 11:45:00
更新日:2025/01/29 Wed 17:56:25
所要時間:約 7 分で読めます







永遠に続く、たった一日の恋。






アカデミー最優秀主演         
女優賞に輝く
オードリイ・ヘップバーン
王夜ロ
女空マ
さ・ン
ま・チ
の・ッ
逃・ク
避美な
行貌ロ
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  マ
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名匠ウイリアム
   ワイラー製作監督
 パラマウント超特作

   グレゴリイ・ペック
   オードリイ・ヘップバーン
ローマの休日





【概要】

ローマの休日(原題:Roman Holiday)』とは、1953年(日本では1954年)に公開されたアメリカ映画である。
監督はウィリアム・ワイラー、主演はグレゴリー・ペックと「銀幕の妖精」ことオードリー・ヘップバーン。
ローマを訪れていた王女様の束の間の休日と、彼女が一人の新聞記者の男性と出会い、別れるまでを描く。

恋愛映画の金字塔として今なお語り継がれる名作で、日本でも帝国劇場などで複数回に亘りミュージカル化されている。
本編のシーンがテレビCMで使われることも多い。
また、公開から60年以上経過した2020年では京都大学発のグループ『十人十色』が中心となって、本作をフルカラー化するためのクラウドファンディングが行われた。
特に映画のラスト10分間の二人のやり取りは有名。まだ見ていない、知らないという方は是非とも自分の目で確かめていただきたい。既にパブリックドメインとなっているため、動画サイトでも無料で全編視聴できる。



【ストーリー】

親善旅行中、イタリアはローマを訪問した某国の王女・アン。
しかし彼女は王女としての堅苦しい公務に追われ、精神的に衰弱してしまっていた。
その様子を目の当たりにした付き人は、就寝前のアン王女に睡眠薬を注射するよう担当医に頼む。
そこで担当医は「気持ちが楽になってよく眠れる」という安定剤を投与する。

付き人や担当医が部屋を出た後、アン王女は屋敷からの脱走を決意。警備が手薄な窓からこっそり部屋を出る。
そしてバルコニーや裏口を経由して屋敷から外に出た彼女は、敷地の外へ出ていく車の荷台に身を潜めて、ついに屋敷を抜け出した。
その後、車が止まったタイミングで荷台から降り、安定剤を注射された事などお構い無しに夜空が見下ろすローマの町へと駆けていく……

‐ ‐ ‐ ‐ ‐

一方、新聞記者のジョーは仕事終わりに友人たちとポーカーに興じていたが、持ち金を全部持っていかれる前に帰る明日は王女の会見にインタビューに行かなくてはならないという事で、先に帰ることにした。

一人帰路につくジョーだったが、その途中で道端で居眠りしている若い女性を見かける。
「さすがに若い女性が一人こんなところで寝ているのはまずい」と考えた彼は、タクシーを止め、これに乗って家に帰るように促す。
だが、女性は意識が混濁して足取りもおぼつかず、一人でタクシーに乗ることもできなかった。
ジョーは仕方なく自宅のアパートに彼女を連れて帰り、自宅の長椅子に寝かせてあげた。

翌日、寝坊して王女の会見へ取材に行けなかったジョーはそのまま出社。会見の内容について支局長に問い詰められても、適当にウソを吐き誤魔化そうとする。
しかし支局長は、王女が今日未明に高熱を出し、今日の予定は全てキャンセルされたことをローマの新聞で知っており、ジョーのウソはすぐに見破られてしまった。
そして、その際に支局長に見せられた新聞記事の写真から、ジョーは自分が介抱した女性の正体がアン王女その人だったと知る。
そこで彼はアン王女の秘密の独占インタビューを特ダネの記事にすることを密かに計画し、カメラマンである友人のアービングに協力を仰ぐ。
そして記事のネタ集めのため、彼女の秘密のローマ観光の案内役を引き受けることに。

束の間の自由に心を踊らせるが、彼らが新聞記者であることや特ダネを入手するという企みに気付いていないアン王女。
それぞれの思惑が交差する中、初夏の日差しが降り注ぐローマで、彼女にとって忘れられない一日が始まるのだった……。



【登場人物】

  • ジョー・ブラッドリー*1
演:グレゴリー・ペック

新聞記者。支局長やジェバンニ借金しているし遅刻もするなど、勤務態度はあまりよろしくない。
偶然保護した女性の正体がアン王女だと知り、彼女のプライベートを記事のネタにするためにローマ観光の案内役を引き受ける。
しかし、アン王女と接している間に少しずつ心情に変化が起きて……?
ローマの名所「真実の口」ではお約束のドッキリを披露する。


  • アン王女
演:オードリー・ヘップバーン

某国の王女様。王女としての激務に追われ、「一日中何でも気が向くままにする」という夢を密かに抱いており、この度とうとうそれを実行に移す。
ジョーの前ではアーニャ・スミスと名乗り、学校を抜け出してきた女子学生ということにした。


  • アービング・ラトビッチ
演:エディ・アルバート

ジョーの友人のカメラマン。ヒゲがトレードマーク。
彼から王女と特ダネ記事の話を聞き、記事の売り上げを山分けするという約束で企みに協力する。
カメラが内蔵された仕込みライターを使い、煙草を吸いつつシャッターチャンスを窺うが……。
ジョーからの散々な扱いに文句を言いつつも、最後は男気を見せたことでファンからの人気も高い名脇役。


  • 支局長
演:ハートリー・パワー

ジョーが務める新聞社『アメリカン・ニュース』のローマ支局長。
高熱を出したはずの王女のインタビュー記事を入手してくる、と豪語したジョーに対し、記事を本当に入手できるかどうかで「ダメだったら500ドル」と賭けさせる*2
王女のインタビュー記事に関して「政治の話で250ドル、服装の話題で1,000ドル、王女の秘められたロマンスや秘密の独占発表なら5,000ドルの特ダネになる」と予測していた。


  • ジョバンニ
演:クラウディオ・エルメッリ

ジョーの住む安アパートの管理人
保護した女性がアン王女であると勘づいたジョーに「俺が帰ってくるまで俺の部屋に誰も出入りさせるな」と頼まれ、銃を持ってドアの前で立っていた。
家賃を滞納している上に借金しているジョーから「明日には持ち金が倍になる」という話を聞いたが、あまり期待していなかった。


  • マリオ・デラーニ
演:パオロ・カルリーニ

トレヴィの泉近くで働く美容師。
アンの大胆なオーダーに応じ「友達が見てもすぐには分からない」ショートヘアにカット。
秘密の休日の立役者の一人となる。


【余談】

  • ヘップバーン氏にとってのハリウッドデビュー作にして、初のアカデミー主演女優賞獲得作品となった。
    そして当時まだ無名だった同氏は、本作の大ヒットによって一躍大スターとなった。

  • 配給会社のパラマウント社は当初、当時売れっ子の若手俳優だったペック氏のみを主演に据え、ヘップバーン氏は助演とするつもりだった。
    だが、彼女の才能を見抜いたペック氏は「彼女(ヘップバーン)は僕と同じ主演にすべき。彼女は初主演で必ずアカデミー賞を獲得する。そうしないと後悔するぞ」(要約)と彼自身が配給会社を説得し、ダブル主演となったという。
    その後、ペック氏の言葉が見事的中したのは言うまでもない。

  • 有名な「真実の口」でジョーが手を食いちぎられたかのようなドッキリをしたシーンは、実はペック氏のアドリブ。
    その為、ヘップバーン氏はこのシーンでは演技でなくガチで驚いている。
    またペック氏はそれだけでなく、当時新人だったヘップバーン氏を気遣ったり、現場のスタッフにも色々と助言をしており、今作の大ヒットの要因は、間違いなく彼の内助の功もあったと言えるだろう。

  • 脚本はイアン・マクレラン・ハンター氏がクレジットされている……が、これは実は名義貸し。実際に書き上げたのはダルトン・トランボ氏。
    トランボ氏は「ハリウッド・テン」と呼ばれる、映画業界のマッカーシズム*3反対派の有力者で、この頃は映画業界から事実上追放された状態だった。
    本作に限らずノンクレジットや偽名や名義貸しを駆使して脚本家の仕事をしてはいたが。
    イアン氏はこの作品でアカデミー原案賞を受賞したが、1993年にトランボ氏に改めて贈呈された。

  • スペイン広場の階段に座ってジェラートを食べるシーンもよく知られている。
    だが、2023年現在は条例によりこの広場での飲食も階段への座り込みも禁止されている上、破れば罰金も徴収されるので、顰に倣うことは残念ながらかなわない。
    昇り降りしたり眺めたり、写真を撮ったりするだけにしましょう。

  • 設定は初夏だが、撮影当時のローマは連日40度以上を越す猛暑日が続き、体調不良でリタイアする者が続出。
    演者も満身創痍の状態で撮影に臨み、ヘップバーン氏も吹き出物に悩まされたという。


  • この項目が立てられた6月12日は恋人の日。ブラジルを中心に、恋人や家族や友人同士で愛情と友情を深める日とされている。
    また、主役を演じたグレゴリー・ペック氏の命日でもある。





追記・修正は、束の間の休日にお願いします。


The      
      End


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最終更新:2025年01月29日 17:56

*1 訳によっては「ブラッドレー」や「ブラドリー」など表記にブレがある。

*2 逆の条件は無し。遅刻と嘘のペナルティか?

*3 共産党員やシンパの排除政策、赤狩り。