登録日:2021/07/13 Tue 18:25:47
更新日:2025/05/11 Sun 08:45:23
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登場するレンジャーを指して「ターボレンジャー」と呼ぶこともあるが、
本家の高速戦隊とは無関係。
原典のカーレンジャー同様、流用の都合でギャグが多めだが、一方で新規撮影された戦闘シーンの割合は過去作よりも増えている。
本作の前日談として、映画『パワーレンジャー・ターボ 誕生! ターボパワー』がアメリカで公開された。
過去作と比較して業績が低迷したと評価されることが多い本作だが、これはギャグの作風の影響もあったが
正確には「(学園物などの)人間ドラマ → 敵が現れて戦う」という従来の体制が続き、マンネリ化に達したことに加えて、
『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』『パワーレンジャー・ジオ』のレギュラーキャラ ゾードンやトミーが本作の途中で退場したのが原因で古参ファンが離れたことが大きな要因である。
玩具売上もあまり振るわず、制作スタッフは「車モチーフの
ロボット玩具は
トランスフォーマーと競合を強いられるので安定した売り上げを出し難い」と語っている。
レギュラーの一新などのテコ入れは上手く行かず、人気の低迷が原因でシリーズは次作で打ち切られることが決定。
物語ラストでパワーレンジャー陣営が大敗北するという衝撃的な結末が用いられた。
次作の『
パワーレンジャー・イン・スペース』はそうした低迷を吹き飛ばす高い業績を記録、打ち切りは撤回された。
『
パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』以降の各作品は日本の原典と同じく、シーズンごとに変身するキャラクターが交代する形式となる。
『パワーレンジャー・ジオ』以降、スタッフ内で影響力を大きく強めていた
坂本浩一が原典の内容を脚本家やエディターに通訳して説明するようになり、ストーリーや体制が日本の戦隊シリーズや原典により近付くようになった原因である。
「ゾードン編」の最終作は『パワーレンジャー・イン・スペース』とされているが、レギュラーの登場人物が全員離れたことから、本作をパワーレンジャー1部の最終作品と見なすファンが存在する。
本作は『パワーレンジャー・イン・スペース』『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』と共に
パワーレンジャーシリーズの転換となった作品であるのは間違いない。
登場人物
〇パワーレンジャー
演:ジェイソン・デビッド・フランク 吹替:
荻原秀樹
愛称はトミー。『パワーレンジャー・ジオ』から引き続き、レッドターボレンジャーに変身する。
高校卒業後はレーサーとなったが社会人とパワーレンジャーを両立するのは難しく、ゾードンの後押しもあり、T.Jにパワーを託して脱退した。
この展開は演者が「自身のキャリアを広げたい」として降板を申し出たことが理由。
レーサーの設定は本作のみで、7年後のレギュラー出演となった『パワーレンジャー・ダイノサンダー』はレーサーを辞めて、大学に入学。
大学卒業後は科学者に転向していたことが明かされた。
- ジャスティン・スチュワート / ブルーターボレンジャー(ブルーレーサー)
演:ブレーク・フォスター 吹替:久保田恵
劇場版でロッキー / ジオレンジャーIIに代わり、ブルーターボレンジャーとなった少年。
12才でありながら高校に飛び級で入学する天才少年で、大人顔負けのマーシャルアーツを取得している。
父親のディーンは仕事で単身赴任しており、一緒に暮らせないのを寂しがるなど年相応の振る舞いも見せる。
ターボパワーレンジャーの中ではメンバー交代が唯一無かったが物語途中で仕事よりも息子との絆を優先して、エンジェルグローブで新しい仕事に就いてまでして一緒に暮らせるように取り計らった父と離れる選択ができず、宇宙に同行しなかった。
ブルーターボレンジャーに変身すると他のメンバーと変わらない体格になる。
演:ジョニー・ヨング・ボッシュ 吹替:川中子雅人
『パワーレンジャー・ジオ』から引き続き、グリーンターボレンジャーに変身する。高校卒業後は遊園地のスタントマンとなった。
エンジェルグローブ高校サッカー部のコーチもしており、それを契機に出会ったカルロスにパワーを託して脱退した。
カルロスとの先輩後輩の関係は次作『パワーレンジャー・イン・スペース』でも取り上げられた。
- ターニャ・スローン / イエローターボレンジャー(イエローレーサー)
演:ナギア・ブリース 吹替:大塚瑞恵
『パワーレンジャー・ジオ』から引き続き、イエローターボレンジャーに変身する。
高校卒業後はラジオ局のDJとなったが社会人とパワーレンジャーを両立するのが難しく、アシュレーにパワーを託して脱退した。
- キャサリン・ヒラード / ピンクターボレンジャー(ピンクレーサー)
演:キャサリン・サザーランド 吹替:金月真美
『パワーレンジャー・ジオ』から引き続き、ピンクターボレンジャーに変身する。高校卒業後は教育実習生となった。
前作のラストでトミーとは将来 結婚することが明かされているが、本作では恋人同士でお互いに進展はしていない。
本来の志望であるバレエも続けており、ロンドン留学の話が持ち上がり、キャシーにパワーを託して脱退した。
〇ターボパワーレンジャー(2代目)
- セオドア・ジェイ・ジャービス・ジョンソン / 2代目レッドターボレンジャー
演:セルウィン・ウォード 吹替:岸祐二
愛称はT.J。トミー以上の大柄の青年だがトミーより年下。
野球選手になるために元
プロ野球選手だった父の友人を頼りにエンジェルグローブに向う途中で戦いに巻き込まれ、
ディバトックスの分断作戦で危機に瀕していたトミーを救ったことで、レッドターボレンジャーに任命された。
- カルロス・ヴァラーツ / 2代目グリーンターボレンジャー
演:ロジャー・ヴェラスコ 吹替:滝下毅
サッカー選手志望のヒスパニック系の青年。
登場当初は運動神経は高いがチームワークを軽視する自信過剰な性格だったが、アダムとの交流で大きく成長。
彼からグリーンターボレンジャーに任命された。
- アシュレー・ハモンド / 2代目イエローターボレンジャー
演:トレーシー・リン・クルーズ 吹替:宮島依里
エンジェルグローブ高校のチアガールの少女。
危険も顧みず、街の人々をモンスターから救おうとした勇敢な行動を認められ、ターニャからイエローターボレンジャーに任命された。
- キャシー・チャン / 2代目ピンクターボレンジャー
演:パトリシア・ジャ・リー 吹替:藤原美央子
歌手を志していた東洋系の少女。
夢のためにストーンキャニオンに向かう途中でT.Jも乗っていたバスに同乗していたため事件に巻き込まれ、
T.Jと共にトミーを救ったことで、キャサリンからピンクターボレンジャーに任命された。
後にファントムレンジャーに恋心を抱くことになる。
『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』でケンドリックスの後任として、2代目ギャラクシー・ピンクレンジャーとなる人物の候補として挙げられていたが演者がプロデューサーと不仲だったため実現しなかった。
「ロスト・ギャラクシー」本編でもその名残が見られる。
〇パワーレンジャーの協力者
CV.デヴィッド・ウォルシュ 吹替:下山吉光
ゾードンの故郷である惑星エルターからやってきた警官
ロボット。
八つの銀河系を守っていた正義の
ロボットとして知られている。
原語版の名称はブルー・センチュリオン。
原典はVRVマスター。
惑星エルターからやってきた戦士で、明言されていないがゾードンの同族と思われる。
透明になる能力を持ち、レスキューメガゾードをターボパワーレンジャーに与えた。
CV.カテリーナ・ルアチーニ 吹替:土屋利秀
アルファ5の後任として、ターボパワーレンジャーのサポートを任された
ロボット。
アルファ5とは異なり、軽口を叩く様な口調で話す。
「ヨーヨーヨー」が口癖。
CV.ボブ・マナハン 吹替:齋藤龍吾
宇宙の善の勢力の支配者。
大きく成長したパワーレンジャーを前に、地球が自分の庇護が必要な段階を過ぎたと判断して、エンジェルグローブ高校の卒業式が行われるのと同時期に後任の司令官をディミトリアに託して、アルファ5とともに故郷である惑星エルターに帰還した。
ところが……!!
演:キャロル・ホイト 吹替:松谷彼哉
ゾードンの後任として、ターボパワーレンジャーをサポートするインクィリス星人の女性。
常に「ではないか?」「しては?」と疑問系で会話を行うが、これはインクィリス星人の文化では共通語で普通の事である。
生き別れの姉妹がいるらしい。
原典は恐らく ラジエッタ・ファンベルト。
演:ジョン・マッギー 吹替:乃村健次
NASADAの司令官。変身能力やゾードを失ったターボパワーレンジャーに
スペースシャトルを提供。彼らがゾードンを救うべく宇宙に旅立つのを支援した。
『パワーレンジャー・イン・スペース』でも準レギュラーとして登場している。
エルター星でゾードンが開発した
ロボット戦士。
T.J.たち 5人の人格がコピーされており、ターボパワーレンジャーに変身できる。
『パワーレンジャー・スーパーメガフォース』では、ブルーターボレンジャー以外の4人がジャスティン(こちらは本人)と共に登場した。
〇一般人
『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』『パワーレンジャー・ジオ』より引き続き登場している コメディリリーフでシリーズの人気キャラ。
詳細は個別項目を参照。
『パワーレンジャー・ジオ』から引き続き登場。
本作では警官を辞めて(解雇されて)シリーズおなじみのエンジェルグローブ高校内に設置しているユースセンターで営業中のジュースバーに転職。
アマゾンへ旅立った アーニーの後を引継ぎ、ジュースバーのオーナーとなった。
〇ディバトックス海賊団
前日談に当たる映画で婚活を邪魔されたディバトックスがターボパワーレンジャーを逆恨みして、彼らへの復讐と地球征服に乗り出した。
初期は宇宙船のサブクラフトを拠点にしていたが、後に宇宙要塞 スペースベース(バリバリアン)に拠点を移した。
芋長の芋羊羹は「食べ物で強くなるのはドラッグを連想させる」ということでオミットされ、被弾した対象を巨大化させる
ミサイルを代わりに用いる。
演:キャロル・ホイト → ヒラリー・シェパード・ターナー 吹替:寺内よりえ
超越的存在のマリゴルと結婚して、その力を自らの物にしようと企んでいたがターボパワーレンジャーの妨害により失敗。レンジャーに復讐を目論む。
3000年前にも結婚直前まで行った相手に土壇場で逃げられたらしく、男運の無さをコンプレックスにしている。
大の爆弾狂であり、爆弾や
ミサイルによる作戦を好む。
強欲で、わがままな性格で目的のためには手段を選ばない冷酷な性格だが、マリゴルの容姿も知らないままに婚活しようとしてキャサリンとライゴグにドン引きされたり トラブルで記憶を失い、ピザ屋で働くなど、かなりのドジかつ薄幸。
滅多に前線に出ることはないが目から怪光線を出したり、舌を伸縮する能力を持つ他、イーグルゾード(スカイギギューン)に搭乗して戦闘をしたことがある。
本作の打ち切りの所為で本編では明確に明かされていないが劇中の言動から、ディミトリアの行方不明の姉妹は彼女であることが示唆されている。
ただ、そうなるとディミトリアはハボックやママDとも血縁関係にあることになるのだが……
身の上の設定はゾンネットに酷似しているが、それ以外は似ている部分は少なく、本作オリジナルのヴィランに分類される。
原典は副長ゼルモダ。ディバトックスの甥。
スーツは原作の流用ではなく、パワーレンジャー用に新規に製作された。
前日談に当たる映画で溶岩に落ちた筈だが、何故か生きたまま登場するという原作並みの
ギャグ補正を見せている。
ゼルモダと同レベルのバカであり、空気を読めずに地雷を踏んではディバトックスに折檻されるのがお約束。
ディバトックスに協力しているのも「ほっとくと何をしでかすか分からないから」とのことで、部下・身内の情というよりも
腐れ縁で付いて来ているような印象が強い。
T.Jとはライバル関係で自分の頭を棚に上げて、坊主頭と呼んで馬鹿にしていた。
海賊のくせにカナヅチで泳げない。
CV.アレクシス・ラング 吹替:河相智哉
原典は総長ガイナモ。
ディバトックスの手下で海賊団の副船長。
彼もスーツがパワーレンジャー用に新規に製作されている。
CV.スコット・ページ=パグター 吹替:長嶝高士
原典は発明家グラッチ。
モンスター製作などを担当する科学者だが影が薄い。
CV.トム・ワイナー → リチャード・カンシーノ 吹替:堀川仁
原典はリッチリッチハイカー教授。
ディバトックスの弟で、エリート戦闘員(ワンパー)は彼の私兵。
独自戦力として、メタルザウルス(ブレーキング)を有している。
ハボック以外にも、ディバトックスの弟がもう1人いるらしいが未登場。
半魚人のような本作オリジナルの戦闘員。
カラフルな色のワンパーは「アクションシーンではターボパワーレンジャーと見分けが付き難い」という判断から代打として登場した。
〇その他のヴィラン
演:キャロル・ホワイト 吹替:火野カチコ
ディバトックスとハボック将軍の母親で、エルガーの祖母。
原典に該当者がいない本作オリジナルの顔出しのヴィラン。
一族の統率者で、かつて不甲斐ない夫を「後悔と破滅の渦」に追放したことがあるらしい。
終盤に名前だけ登場した次作の大ボス。
惑星エルターに奇襲を仕掛け、ゾードンを拘束した。
日本語吹き替え版では『パワーレンジャー・ジオ』が未放映などの影響から「パワーレンジャーがこれまで戦って来た悪の組織の裏で手を引いていた黒幕」とされたが、
原語版では「ゾードンの拘束を発端に各勢力に同盟を呼び掛けて、一大勢力を結成した」ということになっている。
とはいえ、名を聞いたディバトックスの反応から見るにゾードン拘束前から悪の組織の中でも格別の重鎮だった模様。
終盤に登場した。本名は不明。
日本語吹き替え版ではディバトックスにの帰還命令を伝える風に翻訳されていたが、原語版ではダーク・スペクターの結成した同盟に加わるようにスカウトしに来たことになっている。
しかし、パワーレンジャーの基地 コマンドセンターをディバトックス海賊団が破壊して変身能力を失ったターボパワーレンジャーたちをあと一押しで殺害できるタイミングだったにもかかわらず、
地球など取るに足らない存在と見なしていた、この使者は「ダーク・スペクターの指示だ」と一刻も早く招集に応じるようにディバトックスを急がせ、
ダーク・スペクター陣営と敵対する勇気がなかったディバトックスは戦闘を途中で切り上げて帰還した。
結果として変身能力を失ったとはいえ、ターボパワーレンジャーたちを放置させたことが後の終焉に繋がることになる。
〇余談
第29話に登場した メタルマングラーは原典でお蔵入りとなったバリンガーZのスーツを改修して作られたキャラである。
追記・修正は敗北してもなお諦めずに宇宙に旅立ち、
新たな赤い戦士に出会った人にお願いします。
- 原典のエグゾスに該当する奴はいないのか -- 名無しさん (2021-07-14 17:03:51)
- ↑ゴールドゴイルというおとり用のモンスター扱い -- 名無しさん (2021-07-14 19:42:08)
- 社会人と戦隊の両立は大変だから引退……本家激走戦隊カーレンジャーの皆さんが聞いたらどんな顔するか… -- 名無しさん (2021-07-14 20:14:56)
- ↑菜摘あたりが「アタシたちは安月給で働きつつ戦ってんの!甘えない!」とか言いそう -- 名無しさん (2022-10-16 07:34:03)
- TTFCで見た人曰くトミー時代はびっくりするぐらい爆弾作戦が多いとのこと。 -- 名無しさん (2023-02-25 21:38:28)
- 原点でのグラッチの声はそのまんまなんだね… -- 名無しさん (2025-05-05 08:35:17)
最終更新:2025年05月11日 08:45