SCP-6140

登録日:2021/07/19 Mon 21:27:15
更新日:2024/02/10 Sat 23:58:06
所要時間:約 17 分で読めます




SCP-6140とは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト。
SCP-6000コンテスト3位作品でもある。
あのダエーバイト文明にかかわるオブジェクトである。

オブジェクトクラスは堂々のKeter
また、アノマリー脅威分類システムにおいては、攪乱クラス5「Amida」、リスククラス5「Critical」とどちらも最大。
SCPに慣れたアニヲタ支部職員なら、もうこの段階でヤバさを察することができるだろう。

特別収容プロトコル


このオブジェクトへの対抗として

  • 世界オカルト連合
  • アメリカ国防総省ペンタグラム
  • 中国人民解放軍超常部隊
  • ロシア連邦軍参謀本部情報総局"P"部局

の4組織と財団が合同し、統合任務部隊オメガ-100「最後の砦」が編成された。
不死身のゲーマーとか現実改変を行うイエローストーンの出来損ないとかを除けば財団最大の戦闘力を誇る機動部隊ニュー-7「下される鉄槌」はこの部隊の指揮下に入る。
また、活動地域内の財団施設では避難が進められ、代わりにオメガ-100の隊員が配置される。

説明


では本題に移ろう。
SCP-6140とは…なんと「ダエーバイト帝国そのもの」である。
正確には「SCP-140に記述されているダエーバイト帝国」。
人型実体に支配され、無数の人々を奴隷とし、中央アジア一帯を支配した、あのダエーバイトである。

さて、このダエーバイト帝国について記述されているのがSCP-140「未完の年代記」である。
このオブジェクトについて大雑把にまとめると

  • 「ダエーワ年代記」というタイトルの本
  • 読んでると不安やパラノイアを覚えるが、それでも続きを読みたくなる
  • インクや血液に触れるとダエーバイトに関する新しい記述が増加し、その内容に沿って過去改変が発生する
  • もとはSCP-140ーAという裕福な個人によって自費出版され、いまだに一部が回収されていない
  • 改変を避けるため、財団で保管中の1部を除きすべて発見、破壊する必要がある

といった感じ。初期オブジェクトらしく割とシンプルな内容である。


さて、このSCP-6140、すなわちダエーバイト帝国はサーキックの反乱によって、紀元前には既に滅亡している。
しかし、SCP-140の収容違反によって引き起こされる事象140-CKによって状況は変わる。
これは、2022年3月20日にダエーバイトの故地である中央アジアにSCP-6140が出現するというもの。そう、

ダエーバイトが復活するのである。



ダエーバイトの凶悪さは、この帝国が関わっている各種のオブジェクトやサーキックとの闘いの記録をみればおわかりいただけるだろう。
しかも人類に対してほぼ間違いなく敵対的、現実改変を行う性質も持つため、仮に復活すれば、最悪の場合CK-クラス:再構築シナリオが発生、人類は再び人外の存在たるダエーワによって支配されてしまうだろう。

仮に人類が勝利を収めたとしても、その被害は間違いなく甚大。戦後に財団の存在を隠蔽し続けるのは不可能である。
すでにBK-クラス``壊された虚構シナリオ``が始まっているのだ。

補遺6140-1


財団は各種のSCP-140をはじめとして、考古学的調査、碑文や文献の調査、パラ統計などをもちいて危険度調査を実施。
その結果導き出されたのは、復活の迫るダエーバイトの恐るべき危険性であった。

陸軍 予想兵員数240万。外国供給元より近代設備を調達可能。
空軍 比較的小規模ながら近代的な空軍。ステルス技術の有無は不明だが、異常による改造の可能性は有り。
海軍 領土範囲の大部分が陸地に囲まれている。
国際同盟 SCP-6140は国境を越えて周辺国に多大な影響を与えている可能性が高い。SK-クラス"支配シフト"シナリオへの即座の移行を防ぐため、地政学的構造を保つ取り組みが進行中。
インフラ 複数の地点で戦争が行われている場合でも、軍隊や設備を難なく移動させる能力を持つ可能性が高い。
スパイ活動 不明 国家のスパイ組織が存在する可能性は高いが、詳細は不明。
ヒューマノイド改造 特定の目的を遂行するため、個人に重大な変化を与えることが可能。戦術的な能力は不明。
最上級多能性実体との共謀 緋色の王との協定により、破壊能力が強化されていると考えられている。
生物兵器 歴史的文献によると、高度に発達した異常な変身能力を有する。植物または菌類由来の伝染病が存在する可能性も高い。
核兵器 深刻 ダエーバイト帝国が核兵器と大陸間弾道ミサイルを所有しているのは確実。


なんだこの圧倒的戦力。
「緋色の王」との契約や変身、さらには現代兵器の接収によって質を強化した圧倒的物量の陸上部隊に加え、それを支えるインフラ構築能力、さらに生物、核兵器のような大量破壊兵器まで持ち合わせている
唯一の弱点は内陸国ゆえの海軍だが、必要になる頃にはユーラシア大陸ほぼ全域が彼らの支配下になっているだろう。
SCP-2217のように、財団と要注意団体が協力体制を築いたのも納得の危険度である。

補遺6140-2


では、なぜ強大なダエーバイトの復活が引き起こされる事態が発生したのか。

原因は、SCP-140の大規模な収容違反であった。
異常性を持つ「ダエーワ年代記」、すなわちSCP-140に指定されているのは著者であるSCP-140-Aによって自費出版された75部分らしい。
うち49冊はおそらく周囲のインクを吸い込む異常性によって破壊され、
20冊はすでに財団によって回収、処理されている。
で、残りの未回収の6冊はSCP-140-Bに指定され、捜索が実施されていた。

そのうちの一冊を保有していたのが第11代エルギン伯リチャード・ブルース。
彼はこの本の特異性を知っていたため、インクや血液に近づけることはなかった。
しかしセキュリティが不十分だったらしく、軽装備の集団によって保有していたSCP-140-Bを奪われてしまう。

彼はこのことを、個人的に関わりのあった要注意団体、マーシャル・カーター&ダーク株式会社に連絡。
危険性を考慮した同社は連絡役を通して財団と接触、回収を容認。
機動部隊ミュー-3「最高額入札者」が捜索のために派遣された。

調査の結果、SCP-140-Bを盗んだのは、「緋色の王」の復活を狙う宗教団体「緋色の王の子ら」の一派だと判明。
かの有名な「処置-モントーク110」の被害者であるSCP-231群を収容していた組織である。
ミュー-3は彼らを追撃、スコットランドのマレー、エルギンにある家屋にたどり着き介入を試みる。

しかし、彼らの「儀式」は終わった後だった。

ほぼ同刻、財団内に収容されていたSCP-140が突如として燃焼を開始、消失してしまう。
同時にGOC、境界線イニシアチブ、蛇の手が保管していた1部ずつも焼失。残る行方不明の1冊も同様に焼失したと考えられる。
実施された儀式の内容は「唯一の真の帝国を、この古びた羊皮紙から生み出す」というものであり、この儀式が成功したことにより、残存するすべてのSCP-140が呪術的共鳴で同時破壊されたのである。
また、この儀式終了後には、存在するダエーバイト関連のあらゆる人工物がオミクロン型ヒューム放射線を発し始めた。
おそらく、高いヒューム値を発生させ、現実の改変…すなわちダエーバイトの復活を行う儀式だったのだろう。
この儀式は「深夜0時」の象徴たる冬至に行われ、「夜明け」の象徴たる春分…
すなわち、2022年3月20日に効力を発揮し、ダエーバイトが再び出現する。

もはや彼らの復活は避けがたいものになってしまったのだ。

補遺6140-3


2021年12月28日、3か月後に迫ったCK-クラスシナリオに備えて、O5-1は全職員にメールを一斉送信した。

財団職員各位

3ヶ月後、前例のない規模のCK-クラスシナリオが発生します。2022年3月20日、ダエーバイト帝国が現代の現実世界に出現します。現状の予測では、領土範囲は中央シベリアとカザフスタンの大部分に取って代わるとされています。ダエーバイト帝国及びSCP-140について馴染みがない職員は下記概要をご確認ください。

  • 現実世界に出現した場合、ダエーバイト帝国は史上最も敵性的かつ異常な国家となります。血液呪術、植物呪術、降霊呪術を含む複数の新型の呪術習慣がこの地域で発展してきました。
  • 国教は、暴力的な神である緋色の王を崇拝しています。現存宗派(緋色の王の子ら)は幾度も神の召喚を試み、世界の終焉を引き起こそうとしてきました。
  • また、同帝国は異常な武力を持ち、現代の技術や武器を入手すれば大幅に強化されるでしょう。危険度や性質は不明ですが、広範囲に及ぶと推測されています。

現存の全ての探索的研究は一時中止とします。不要不急の収容作業は一時中止とします。可能な限り多くの人類を守るため、各サイトにタスクが割り当てられています。各々の優先事項については詳細連絡をお待ちください。

3月19日、必須要員は現実錨使用のサイトに移動し、CK-クラスシナリオへの対抗策を実施します。クラス-A及び指定の職員は余剰次元サイトに移動となります。現在、財団への遡及的な混乱を防ぐ目的でシャンク/アナスタサコス恒常時間溝(XACTS)の追加設置を進めています。

私たちは、ダエーバイト帝国の復活に屈しません。3月20日に何が起ころうとも、正常は守られます。私たちの世界は保たれます。

O5-1デスク
確保、収容、保護。


ダエーバイトの復活は避けられない。
財団は現在の人類を守るため、他組織と組んで最後まで戦い続ける覚悟を決めた。
決戦は3か月後、中央アジア。
敵は史上最も強大な戦力を持ち、強力な異常存在を味方とする敵対的国家。しかし、諦めるわけにはいかない。

財団の明日はどっちだ。



警告。収容違反が開始されました。


































この記事を読んでいる財団職員諸君は、歴史の記述に関するものはすべて正しいとは限らないことはご存じかと思う。
マルコ・ポーロの「世界の記述」では「日本の家はすべて金箔張りである」と記述されているが、無論そんなことは無かった。
モンゴル人は道行く先で虐殺、略奪を行ったとされるが、そのすべてが事実だとは考えにくい。

このような事態は記述者の無知や偏見、あるいは願望による事実の歪曲が原因である。

そしてこれは、財団世界においても例外ではなかったのだ。









百聞は一見に如かず。


SCP-6140とはシェアード・ワールド「SCP Faundation」に登場するオブジェクト。
オブジェクトクラスはKeterを経てNeutralized

特別収容プロトコル


アーカイブ書類以外ではSCP-6140-Aを正式名称で呼ぶことが必要となる。
また、この情報はレベル1に指定されて誰でも研究可能。

要するにプロトコルはあってないようなものなのだ。
140-CKと、ダエーバイトの復活はどうなったのか。

説明


2022年3月20日、春分の日、確かにSCP-6140-A、存在しないはずの国家は現れた。
だが、この国家は財団が予想していたものとは大きく異なる、きわめて牧歌的かつ平和なものだったのである。

この国の名は「ダエーバスタン共和国」。国連に加盟しているれっきとした国家である。
複数の宗派を持つ国のようで、かつてはソビエト連邦の構成国だったが、どういうわけかSCP-6140発生前まで強制的に現実世界から抑制されていたのだ。

そして、危険なダエーバイトに関する記録SCP-140はかなり不正確な部分が多かったことが確認されている。
また、同オブジェクトの文明復活作用に関する仮説は部分的にしか当たっていなかったようだ。

なお、この情報は、ダエーバイトの復活への対策として設置されたスクラントン現実錨によって保護されている財団職員には知らされていない。そのため、財団内部の「現実」と、世間一般での「現実」に差異が生じてしまっている。
現在、財団はこの事実を職員に知らせる準備を整えているようだ。

補遺6140.1


以下の表は、SCP-140内における記述と6140後の現実との相違点をまとめたものである。

SCP-140における記述 6140後の実態、現実
ダエーバイト人の歴史は一貫性が高く、ほぼ変化していない。 完全な間違い。ダエーバイト文化は技術や環境の変化に伴って大きく発展した。
ダエーバイト帝国は緋色の王のカルト教団を有し、現代まで緋色の王の子らとして存在し続けた。
教団は緋色の王が具現化する暴力的なマスキュリニティを重視。
緋色の王は存在しなかった。緋色の王の神話はSCP-140-Aによる作り話。
エプテム・アンソアの統率力を軽視し、ダエーバイトの母権性を西洋の父権性に寄せたいという思いから。
ダエーバイト帝国は歴史上のどの文明よりも大きな奴隷人口を有した。全人口の約75%が奴隷。 事実。しかし、このピーク後すぐに奴隷革命が起こり、ダエーバイト帝国は転覆した。
以後の国家はいずれも革命の後継者であるとして、あらゆる形の奴隷制度を廃止した。
例外として一時的に存在したコエーバー宗派は軍事クーデターによって崩壊している。
ダエーバイト人は、"ダエーワ"と呼ばれる異常な人類の亜種に率いられていた。
ダエーワは超自然的寿命を持ち、カニバリズムの風習を有した。
ダエーワは人間であり、自らを神聖な存在と称し、カニバリズムの風習を有した。しかし、ダエーワ支配階級は奴隷革命の際に帝国と共に転覆した。
以後のダエーバイト国家は様々な指導的地位にダエーワの称号を使用したが、元来の支配階級との関係は薄く、自らを神聖な存在とは称していない。
不死の兵士SCP-076は暴力と農業以外のことを考えることができない人型異常実体。財団によって収容されている。
同様にSCP-073も財団によって収容されている不死の人型異常実体であり、SCP-076の兄弟と考えられている。
それぞれ名はアブ・レシャルとクァイン。創世記のアベルとカインと関連がある可能性が推測されている。
アブ・レシャルとクァインは、どのアブラハムの宗教とも無関係であり、ダエーバイトの文化的英雄であった。
共にダエーバイト帝国の奴隷革命を指導した。いずれも異常性はなかった。
ダエーバイト人は異常な園芸文化を持ち、様々な効果と知力を得た植物を生み出すことができた。
SCP-3140、SCP-392、そしてSCP-3399が収容されている。
ダエーバイトの園芸は非常に高度だが、異常性はない。ダエーバイト人が生み出した技術が世界中の園芸の基礎となっている

このように本来のダエーバイトは異常な文明などではなく、現実でも十分ありうる道をたどってきた国家である。
特に、異常物を多数生み出してきたとされてきた園芸技術に関しては、むしろ現代の社会に明らかにプラスの影響を与えていたのだ。

補遺6140.2


記録上のダエーバイトと実際に出現したダエーバスタンのあまりに大きな不一致に対し、当然財団は調査を実施。
「もしかして『ダエーワ年代記』には、著者バイアスがかかっていたのではないか?」という疑いの元、SCP-140の著者であるSCP-140-Aに対する調査も実施された。
結果、著者たる人物の特定に成功したのであった。

SCP-140-A。
その正体は、第6代エルギン伯爵トーマス・ブルース。SCP-140の最後の6部の持ち主であったリチャード・ブルースの祖先である。
もともと彼はアブ・レシャル・キュリックスなる人物を支援してSCP-140を出版したのだと考えられていたが、
調査の結果これはトーマスのペンネームだということが判明したのである。

トーマス・ブルースは1786年に「ダエーワ・ハン国」を訪れた。そういや未完の年代記の最新版だとモンゴル帝国に滅亡させられたとか言ってたな。
当時のダエーバイトは地域同士が小競り合いを繰り返す程度にまで衰退していたが、それでも彼は同国の過去の歴史に惹かれ、記述を残すことに決めた。
が、彼の書いた「ダエーワ年代記」には、同国の歴史の大部分については語られず、同国の神話と歴史を混合させた記述が成されていたのだ。
そして出版された75部のうち、最後の1部が存在していたのはダエーバイト国立図書館。
これにより、同書は2度のCK-クラスシナリオを免れたようだ。

このトーマス、あろうことか「この本の内容が本物であったらいいのに」とか考えてしまった。彼は真実の歴史を「輝かしく残酷なダエーバイト帝国」の歴史にゆがめようとしてしまったのである。

トーマスは「ダエーワ年代記」を出版した際、謎のオカルト信奉者と接触し、大規模な儀式を実施。
1788年、夏至の日である6月20日に同書は出版された…いや、されてしまった。

そしてその年の冬至たる1788年9月22日、SCP-6140は始まった。

間違いだらけの歴史書「ダエーワ年代記」、いやSCP-140によって、過去は改変されてしまった。

ダエーバイト国家は、現実世界から完全に消滅したのだ。

同国の過去に関して残されたのは、本来存在しない歴史をもたらすSCP-140だけになってしまった。


補遺6140.3


こちら側の現実に存在しない間、どうやらダエーバスタンは別の現実の中にあったらしい。
その世界にも財団は存在し、ダエーバスタンにはサイト-761とエリア-25という施設が存在していることが判明した。
同施設の職員はダエーバスタンが存在する現実のみを認識しており、混乱が生じていたが、幸いこちらの財団に対しても忠誠心があった。

O5評議会はダエーバスタン人の財団職員、ジャド・レシャル・プラッタン博士にダエーバスタンの歴史の概略の説明を求める。彼は異変の翌日、3月21日に報告を行った。

全文を乗せると長引くため、基本的には要旨のみを書く。

6140発生当時のダエーバスタンの財団施設はいたって正常であった。この日に何かが起きるとは予期していないのだから当然である。
彼は「現実世界」のことは自分たちのほうがよく理解していると宣言、説明を始めた。

確かにダエーバイトは多くの奴隷を有し、ダエーワという貴族階級(断じて異常な儀式で力を得た存在ではない)に支配されていた。
しかしある日、ダエーワである一人の王子が奴隷の息子を食したことに怒った奴隷たちは暴動を起こして彼を処刑。
やがて反乱は帝国中に広まり、ついには帝国そのものを崩壊させたのである。イオン「えっ」
最も多くの奴隷を有していた国は、最も早く奴隷制度を崩壊させた国となったのだ。

だが、その過去を見た男、トーマスによってすべてが変わってしまった。
その過去の時代の物語のみを、彼は過去、そして現在のすべてとして塗り替えたのである。
奴隷の革命は彼にとっては面白みに欠けるものだった。
こうしてダエーバスタンの人々は、「違う、そうじゃない」という声すら上げることができず、むごい過去が蓄積されているのを眺めているしかなかったのだ。

博士の報告の最後はこのように締められている。

彼がしたことは悲劇以外の何物でもありません。だから私は、今ここで、あなた方に懇願したいことがあります。彼と同じ過ちを繰り返さないでください。同じ行動を取らないでください。私たちをまた、暗闇に押し返さないでください。

どうか、お願いです。

こうしてダエーバイトの脅威は去り、あるべき現実であるダエーバスタンが帰ってきた。
数百年ぶりに再会した彼らに、何が起きるのかはわからない。
私たちにできるのは、財団とダエーバスタンがより良い明日を迎えることを祈ることだけだ。





SCP-6140
「真の帝国」


…それは穏やかで平和な国であった。


余談


このオブジェクトが反映しているのは、ある意味では「ダエーバイト文明」という設定がたどってきた歴史そのものと言える。

もとは最初期のオブジェクトであるSCP-140の中に登場するだけだった同文明。
それがサーキックやメカニトの設定の深まりなどに伴って、「アベルを作り出した」、「過去の記憶を改竄する画像を考案した」、「首型の身の成る植物を育てていた」などとどんどん設定が盛られていったのだ。
本来は普通の国家だったダエーバスタンが、財団から恐れられるダエーバイト帝国として勝手に認識されるようになっていったことは、これにどこか通じるところがあるかもしれない。
そして、トーマスが年代記においてこれらの設定を作り上げた理由、それは「単なる奴隷の革命は魅力に欠ける」と考えたため。
ダエーバイトの設定の増加を引き起こしたのも、おそらく「魅力あるものにするため」という考えであろう。
なかなか創作者への皮肉の効いたオブジェクトかもしれない。

このオブジェクトが参加した6000コンテストのテーマは「Nature」。
英語の「Nature」には「自然」の他に「本質」という意味もある。
同コンテスト1位と2位が「森林(=自然)」を舞台にして話を構成しているのに対し、この作品では「本質」という意味のほうにフォーカスしていると考えられる。

著者の一人であるstormbreath氏曰く、「SCP-140の能力は『本物のダエーバスタン』の情報を一掃し、『偽のダエーバイト帝国』が存在したという物理的証拠を生成する」というもの。また「仮にSCP-140が完成した状態でこのイベントが発生していたら、それこそ年代記に書かれているような強大なダエーバイトが降臨する」とのことである。

ダエーバイトは実際は普通の国家であることが判明はしたが、「ダエーバイト製」とされてきたオブジェクトや「緋色の王」が消滅したわけではないようだ。彼らに対する警戒、収容はこれからも続く。
というか、あくまで古代ダエーバイトそのものは割と普通の国家というだけで、財団の施設が置かれていたことからもわかる通り、SCPオブジェクトそのものは普通に存在するのだろう。
そもそも、凶悪な古代ダエーバイトの存在がないと、サーキックやメカニトのカノンにつなげることができない。ヘッドカノンの取捨選択は読者に任せるほかないだろう。

追記・修正はダエーバスタンを愛する人がよろしくお願いします。



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最終更新:2024年02月10日 23:58