過去改変

登録日:2011/08/17(水) 18:25:35
更新日:2020/01/13 Mon 13:47:24
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様々な呼び方が存在するが、この項目では「過去改変」に統一して紹介する。
過去改変は文字通り過去を変えてしまう事であり、よく物語のテーマ等に使われる。

現実では、過去に行く方法が未だ存在しないため、過去改変は出来ない。
創作なら過去改変を自由に描けるので多くの作者が過去改変を題材とした作品を描いている。

過去へ行く方法そのものについてはタイムトラベルタイムスリップの項目を参照。


後一応、各作品ごとのネタバレ注意。


◆過去改変のルーツ

さて、ここで神々が云々かんぬん言っていた時代に遡る。

古代の人々は「人は皆、神によって決められた運命に導かれる」的な、いわば「運命」を強く信じていた。
古い時代で予言や占い等が重要視されていたのはその為である。

現代日本より厳しい自然や争いの日々の中にいた人々は、
「たとえ不幸な目にあっても運命なのだから仕方ない。いちいち気にするな。」というポジティブな諦めでもって日々の苦難を乗り越えてきたのである。

これに対して学者達は、運命に囚われない考え方を模索。
その末に考え出したのが、「過去に原因→未来に結果」と言う、今の科学のベースとなる考え方だった。

この、「過去に原因→未来に結果」の考え方を拡大したのが過去改変のルーツである。と、思われる。


◆過去に行くには


現実では、過去に行く方法は無いが、創作では数多くの方法がある。

タイムマシン
最もポピュラーな方法。
タイムマシンを使って過去に渡る。タイムマシンの形は様々で、空飛ぶ絨毯のような物車のような物といった乗り物タイプから、中には得体の知れない巨大な装置の物もある。
乗り物タイプはタイムマシンごと過去に渡り、巨大な装置タイプは使用者だけを過去に送る。
また、後者には元の時代に戻る為の道具とセットで使われる。そうしないと元の時代に帰れない。
場所固定なものと場所移動可能なタイプが存在するが、前者においては基本的に移動する場所の土台の移動は許容される(宇宙に出るとかは基本ない)。

能力
不思議な能力で過去に渡る。
タイムマシン等の道具や乗り物を必要としないが、大抵の場合は使用後にかなりの疲労や能力の消耗等を伴う。
また、使用者の力量によっては、行ける範囲が決まっていたり、行こうとした時代と違う時代に着いてしまったりする。

土地
特定の場所に行くと過去に渡る力が作用し、過去に渡る。
このタイプは、大体がその土地の過去に飛ぶケースが多い。また、過去に渡る力が発生するのに幾つかの条件がある。

ざっと3つ程例を挙げたが、他にも方法がある。


◆過去改変によって発生する結果

1.過去に原因→未来に結果型
最も使われるパターンで、現代科学の礎にもなった。
過去を変えてしまうと、それが未来に響いてしまう。

このパターンで最も有名なのは、やはり日本が生んだ名作漫画『ドラえもん』だろう。
主人公であるドラえもんが未来からやって来て、数々のひみつ道具でのび太を手助けし、彼が歩むはずだった悲惨な未来を見事明るい未来へ変えてみせている。
他にも『ドラえもん』にはタイムマシン等のひみつ道具を使って過去を変え、新たな未来へ書き換える作品がいくつかある。
ただし良い未来へ変わるパターンはドラえもんやのび太が「誰かを助ける為に過去を変える」話*1が多く、彼らが「自分の欲求を満たす為に過去を変えようとする」話*2は大抵上手くいかないことが多い。

また、主人公側と敵側で使う用途が極端に分かれ、敵側が使用すると大体過去の人物を抹殺→抹殺した人物の子孫が消滅という事になる。
逆に主人公側はこれを阻止しようとするが、主人公側が敵側が行った方法で敵を葬る事は少ない。
まぁ、少ないだけでするキャラもいるし、そういう作品もある。代表的な例としては『ドラえもん のび太と鉄人兵団』だろう。
しずかやリルル達がタイムマシンで過去に遡り、敵側の歴史を大幅に変えることで敵達の存在を消滅させ、地球の危機を救っている。

最も単純だが、最も矛盾を起こしやすいパターンでもある。

例:「ある人の死」を止めるために「主人公が過去へ行って」歴史改変
→「ある人の死」は無かった事になり、主人公が元の時代に戻ると、「ある人」は生きている。
だが「ある人の死」があったから「主人公が過去へ行った」のなら、
「ある人の死」が無くなったら「主人公が過去へ行った」という行為も無かった事になるのでは?
等々……

この例では、「特定の出来事を無かった事にする」場合は、
元の時代に帰るとその「特定の出来事」による影響は無かった事にされ、人々の記憶からも消えるというパターンが多いが、
「特定の人物を消滅させる」場合は、元の時代にいるその人物が突然消滅し、
それまでにその人物が関わった出来事は無かった事にされないというパターンが多い。上記の『鉄人兵団』が後者の例であり、過去を変えたしずかだけでなく、現在で敵と戦っていたドラえもん達も歴史改変前の出来事を覚えていた。
その為、大抵メインキャラには過去改変に対する特殊な耐性が身についているパターンも多い。
ただし『ドラえもん』の場合は『鉄人兵団』が特殊例で、普段の話では歴史を変えた者以外の記憶は改変されている*3


2.過去に原因→パラレルワールド発生型
上の派生で、過去を変えると本来の歴史とは違う歴史を辿る世界、つまりパラレルワールドが出来てしまう。
上のパターンのような矛盾は起こらないが、このパターンの場合、どうやってパラレルワールドを行き来するかが問題となってくる。

このパターンで1番有名な例といえばやはり『ドラゴンボール』だろう。
未来世界からやってきたトランクスが、元々心臓病で死ぬはずだった悟孫空に特効薬を渡すことにより、
本来の歴史に加え悟空が生存しているパラレルワールド(作中ではこちらが主軸)が発生する。

また、『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』では、過去の世界でドラえもんが「ヒーローマシン」を起動させた状態でその場に置き去りにして現在に帰ってしまったことで、
ドラえもんやのび太達が元々住んでいたはずの「現在」が、妖怪達に支配され人間が絶滅してしまった「パラレルワールド」に分岐してしまっている。
ただし『ドラえもん』で「過去に原因→パラレルワールド発生型」の作品は『パラレル西遊記』が唯一で、その他の作品は全て上記の「過去に原因→未来に結果型」や、
下記の「運命型」、「歴史の修正力」のどれかに分類される。


3.運命型
過去改変とは少し違ってくるが、一応説明しておく。
上記の過去改変のルーツで説明した、「人は皆、神によって決められた運命に導かれる」といった考え方を採用している。
その為、例え過去で原因を残したとしても、そうするのも運命に沿った行動である事になり、結局未来は変わらない。
つまり、過去改変が運命に組み込まれている事になるのである。

しかし、作品の中でそれを知っている人物は一握りの人数しかおらず、その人物も含めて多くの人数が運命に振り回される事になる。
大往生したのに大復活して未来改竄素敵計画なんて企てたらまた大往生しちゃったあのSTGなんかがいい例。

ドラマ化もされた『信長協奏曲』では、タイムスリップした高校生のサブローが織田信長と入れ替わってしまうが、
戦国の常識などまるで知らないサブローが信長として行った政策などが史実の信長のソレと完全に一致しており、彼のタイムスリップが運命に組み込まれていることを示唆している。

また、『ドラえもん』の中に父親の若き日に出会った女性を見に行くという話で、その女性は変装したのび太であるという話もある。
つまりのび太が過去で変装して父に会うのは確定事項であり、過去でのび太が変装して少年時代の父親の前に現れたから、現在の父親がドラえもんやのび太に「自分が子供の頃に出会った女性の話をする」という結果(ドラえもんとのび太が父親の少年時代に向かう理由の発生)に繋がっている。

他にも、何らかのトラブルが発生→原因を探るため過去に遡る→実はそこでドラえもん達がやったことがそのトラブルの原因だったというオチの話*4も多く、未来から来た自分達に助けられ、後でドラえもん達が時を遡り過去の自分達を助けるという話*5もある。

この運命型の厄介な所は、未来人が過去に時間移動するとその未来人が移動をした瞬間までの歴史的事実は確定事項になってしまうこと。
例え未来人がその世界に一切干渉することなく、ほんの一瞬だけ行き来したとしても、未来の事実を過去に持ち込んだ時点でその間の歴史は決定づけられてしまう。
もし未来人が来なければ当該時間の人々にとって無数の可能性を秘めた未来のはずが、時間移動したことによって抗えない一本の道に決定づけられてしまうのである。
まさに運命と言えよう。


4.歴史の修正力
ある意味運命型の派生であるが、より1.へのアンチテーゼ的意味合いが強い。

上三つに比べるとやや知名度は低いが、藤子・F・不二雄氏の作品群、『戦国自衛隊』シリーズ、
GS美神』、最近では『JIN-仁-』等、割と有名どころで使われていたりする。

大まかに言えば、歴史にはある程度決められた道筋(=運命)が存在し、例えタイムトラベルを行って過去を変えたとしても、
似たような出来事が「穴埋め」として発生したりするなどして「本来の歴史」に可能な限り近付こうとする何らかの「力」が働くと言うもの。
その為、場当たり的な変化を起こす事は出来ても根本的・大局的な歴史改変はどうやっても行えない。
有り体に言ってしまえば、「どれだけ人間が足掻こうと、歴史と言う大きな流れそのものに手を加えることは出来ない」と言う、
タイムトラベルによる因果律への干渉を否定する考え方である

「力」がどの程度、どの様に働くかは作品によってまちまちだが、
概ね歴史上大きな役割を果たす人物や事件に対して強く働くのが一般的である。

『戦国自衛隊』を例に挙げると、織田信長を抹殺してその立場を簒奪し、
未来(我々からすれば現代)の技術力を以て戦国以降の歴史を大きく改変しようとする者が現れるが、
「歴史を元に戻そうとする者達」の猛攻を受け敗北。
更にはご丁寧に「(その後の歴史に於ける)織田信長の役割を代行する者」まで用意されるという「修正」が働いた。

また事象を重ねて歴史を修正していくと言う関係上、時間的なスパンが長くなればなる程修正力は強く働くと思われる。

ダレン・シャン』最終巻ではこの「修正力」理論が登場し、「修正力が作動しない細かな干渉を繰り返していき、自分に好ましい未来を引き寄せていく」という抜け道が語られた。

ドラえもん』の場合、のび太の両親であるのび助と玉子が結ばれるのを妨害した場合、
まず間違いなくのび太は産まれてこなくなる(実際のび太は二回ほど消滅の危機に陥っている*6)。

しかしのび太から時間にして百年、世代的に四代離れたセワシは、
歴史の修正力によりのび太がジャイ子と結婚しようが静香と結婚しようが何の問題もなくこの世に産まれてくる。

これをセワシは「東京から大阪に行くのに車や新幹線や飛行機、舟を使っても、行き着く所は結局同じ」と表現している。また、「(のび太の運命が変わっても)ほかでつりあいをとる」とも発言している。
関連として挙げておくと、柳田理科雄氏の『空想科学読本』には「のび太より後の時代にジャイ子の血筋ががセワシの系譜に入るのではないか」と言う考察がある。

セワシは歴史の修正力を逆手に取り、自分の存在を消すことなく一族にとって都合の悪い歴史を改変した訳である。
ただしこの場合でも、のび太とジャイ子の間に生まれるはずだった兄弟たちと同歴史上で静香が生むはずだった子は確実に存在が抹消されている。

ドラゴンクエストXのバージョン4では正に「歴史の修正力」という言葉を使い、「主人公の介入が無意味となりほとんど本来の歴史と変わらない」「過去で戦死した人物が兄と弟で入れ替わっても、現代のある人物については先祖が入れ替わっただけ」「地盤沈下による大地の滅亡を防いだが、今度は隕石の落下で滅びる」といった形で、歴史を変えることは簡単ではないことを強調した。

このように運命型と異なり、歴史の修正力のメリット部分をうまく扱う描写のある作品も少なくない。
例えば「ループもの」や「創作物の世界に転生・転移もの」などでは自分にメリットがある過去改変をしつつも、
未来知識が無駄にならない程度に歴史の流れが維持されている場合が多い。


過去改変を扱った作品(※ネタバレあり)

1.過去に原因→未来に結果型

2.過去に原因→パラレルワールド発生型

3.運命型

4.歴史の修正力


???「スネーク! 追記・修正だけはやってはいけない!」

???「未来が変わってしまった、タイムパラドックスだ!」

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