デンケン(葬送のフリーレン)

登録日:2021/08/09 Mon 01:29:47
更新日:2025/04/08 Tue 23:22:30
所要時間:約 4 分で読めます





こういう時、宮廷魔法使いならどうすると思う?



出典:葬送のフリーレン、23話『迷宮攻略』、2023年9月29日~2024年3月22日まで放送。
「葬送のフリーレン」製作委員会、マッドハウス、
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会。

概要

『デンケン』とは『葬送のフリーレン』の登場人物。

CV:斉藤次郎

一級魔法使い選抜試験に登場した二級魔法使い。
北部高原の奥地出身のお鬚のおじいちゃん。ヒンメルの死後30年の時点で78歳。
血みどろの拳力権力争いを勝ち抜いた海千山千の老獪な宮廷魔法使いであり、その権力は国すら動かせるほど。
勇者ヒンメル一行の逸話を聞かされて育ったため、会場にいたフリーレンの正体にも気付いていた。

20代半ばの頃に妻を亡くした寡男であり、子供も孫もいない。
そのためか若者の面倒を見るのが好きで、試験中もおじいちゃん感溢れる立ち回りで周囲の世話を焼く。
試験で一時的にチームを組んだリヒターやラオフェンのことを気にかけており、試験が終わって関わる必要がなくなってなお、一緒に仲良く食事している姿が確認できる。
特にラオフェンには大量のドーナツを買い与えたり、食事中に「野菜も食べんといかんぞ」と諭したり完全におじいちゃんと孫のような関係になっており、リヒターにもツッコまれている。

経歴からは権力欲にまみれた俗物に思えるデンケンだが、その内面はむしろ実直で誠実
実は軍の一兵卒から成り上がった叩き上げの実戦派で、宮廷での醜い権力闘争には心底うんざりしていた。
「自分より優れた魔法使いが失脚し迫害される様を山ほど見てきた」と語り、魔法使いに必要なのは実力より人心掌握術と断じている。
ゆえに一級魔法使いの称号にも魅力を感じておらず、権力の頂点を極めるに至っても二級という立場に甘んじていた。
つまるところ、実力的には一級魔法使い相当になっているにもかかわらず、単に試験を受けなかったので二級のままだったのである。
曰く、「魔法使いに質はいらん。一級は権威の象徴であればいい」
また、一級魔法使いにはひとつ望みの魔法を授けられるという特権が与えられるが、
デンケンにとって魔法は栄達の手段であり趣味としては「魔法は探している時が一番楽しい」という持論を持つため、
こちらの方も魅力に感じていない。

そんなデンケンが、なぜ今になって一級魔法使い選抜試験を受けたのか?
その理由は「北部高原にある故郷に帰り、亡くなった妻の墓参りをするため」であった。
ヒンメルが亡くなって以降魔族残党の活動が活発化し、北部高原への立ち入りには一級魔法使いの同行者が求められるようになってしまった。
なのでデンケンは自身が一級魔法使いになることで要件を満たそうと考えたのである。
国家さえ動かせると豪語するデンケンの立場であれば誰かしら一級魔法使いを雇う、あるいは権力でルール自体を曲げる等他に選べる手はあったはずなのだが、そうしなかった理由も後に明かされる。

一次試験ではフリーレンに1対1の戦闘を挑むが、実力と経験の差から指導仕合の如き一方的な敗北を喫する。
合格条件となる隕鉄鳥の獲得も叶わず、魔力も底をついてしまう。
このまま失格を待つだけかに思われたが、デンケンはひとり立ち上がり……

こういう時、宮廷魔法使いならどうすると思う?

最後まで醜く足掻くんだ。

迷うことなく泥臭い方法を選択。諦めるという発想は彼には存在しなかった。
そして他のパーティーの戦闘の痕跡を探してたどり始め、敗走したパーティーを発見する。
彼らはすでに仲間を一人失っているので失格なのだが、ボロボロになりながらも隕鉄鳥だけは大事に抱えていた。
たとえ交渉したとしても「仮に自分が向こうの立場なら気に食わないから金を積まれても断る。こういうのは理屈じゃない」と断言。
隙があれば隕鉄鳥を奪うようにラオフェンを茂みで待機させると、リヒターと共に堂々と彼らの前に姿を晒す。
しかし二人共魔力は残っていない。それは相手も同じだということはデンケンもリヒターもわかっていた。

腹を括れ。男だろうが。

そう言ってローブを脱ぎ捨てて動きやすい格好になったデンケンを見たリヒターは「…おい。冗談だろ。」と声を漏らしてしまうが……




殴り合いじゃぁぁぁぁッ!!!!



……冗談ではなかった。
魔法など一切使わない殴り合いで彼らが持っていた隕鉄鳥を強奪。宮廷魔法使いの意地を見せつけて滑り込みでの突破を果たした。
何ともアグレッシブなおじいちゃんである。
ちなみにリヒターも参戦したようで「イカれた爺さんに殴り合いの喧嘩をやらされた」と愚痴っている。

過去

北部高原の奥地に生まれ、勇者一行のフリーレンに憧れて魔法使いを志す。
しかし家族を魔族に殺され、親戚である城塞都市ヴァイゼの領主、グリュックに引き取られる。
彼の差配によって、デンケンは黄金郷のマハトの元で魔法を学ぶこととなった。

そして本編の50年ほど前、デンケンはグリュックの娘にして幼馴染の女性、レクテューレと結婚する。
レクテューレは元々身体が弱く、治療には多額の費用と権力が必要だった。デンケンは軍に志願し、組織の頂点を目指して奮闘する。
しかし治療は間に合わず、無情にもレクテューレの命は尽きてしまった……。

大魔法使いゼーリエが『特権』を掲げ、大陸魔法協会を作ったのは妻の死からほどなくしてからだった。この時ほどの無力感は後にもなかったという。
こうした過去ゆえに、手にした富も権力もろくに使うことなく日々を過ごしている。
……しかし、フリーレンとの戦いを通して魔法の楽しさを、そしてかつての情熱溢れる自分の姿をも思い出し―――

戦闘能力

その経歴は伊達ではなく、魔法使いとしての知識・実力ともに人類のトップクラス。
一級魔法使い選抜試験に参加した魔法使いの中にあっても、間違いなく(フリーレンを除けば)一番の実力者。
試験官の一級魔法使いたちの間でもデンケンの実力は高く評価されており、「一級魔法使いと比べても遜色ない」と言わしめている。
年齢に見合わない闘争心も併せ持ち、「宮廷魔法使いは最後まで醜く足掻くもの」という信条のもと、MPが尽きてもHPがある限り肉弾戦を挑む姿は大きな反響を呼び起こした。
二次試験では難関ダンジョン「零落の王墓」を攻略すべく、曲者揃いの受験者たちを取りまとめてチームを編成。
見事攻略を完遂し、多数の受験者を最終試験に進出させる立役者となった。

最終試験となったゼーリエとの面接においても、当初こそ「野心に燃えていた二十代の頃のお前に出会いたかった」とのロートル扱いだったが、直接対峙すると評価は一変。
「私とどう戦うか考えたな?」と内心を看破される。
デンケン自身は「すぐに諦めた」と吐露するも、ゼーリエは「普通は戦うという発想にすら至らない」と彼の心意気を評価。晴れて合格を言い渡された。

古い世代の魔法使いのため、一般攻撃魔法以外の攻撃魔法を使って相手の魔力切れを狙う戦法を好む。

  • 竜巻を起こす魔法(ヴァルドゴーゼ)
その名の通り竜巻を発生させ相手に攻撃しつつ竜巻に閉じ込めて動きを封じる。

  • 風を業火に変える魔法(ダオスドルグ)
上記の『竜巻を起こす魔法(ヴァルドゴーゼ)』と組み合わせる事で必殺のコンボとなる。
防がれたとしても防御魔法を全方位に展開しなくてはならず、相手に大量の魔力消費をさせる事ができる。
しかし桁違いの魔力量を誇るフリーレンには簡単に防がれてしまった。

  • 裁きの光を放つ魔法(カタストラーヴィア)
光の矢を光速で絶え間なく放つ事で相手に反撃する隙を与えない。
……はずなのだがフリーレンにはすべて防がれ、反撃までされてしまう憂き目に遭った。
まあこれらに関してはすべてフリーレンが悪い

  • 防御魔法
この世界における一般的な防御魔法。六角形のバリアを蜂の巣のごとく展開し、相手の魔法と同調・分散させる。
魔法に対しては絶大な防御力がある分、消費魔力も多い。

  • 呪い返しの魔法(ミステイルジーラ)
習得には100年の修行を要する神話の時代の難魔法。一級魔法使いに昇格したことによる「特権」でゼーリエから貰った。
『呪い』とは魔族が使う人類がいまだ原理を理解できていない解析不能の魔法のこと。それゆえ人間には回避も防御も不可能である。
しかしこの魔法は「呪いと認識したものをただただ自動的に跳ね返す」という単純ながらも効果的な方法で呪いへの対抗を可能にしている。
ゼーリエ曰く「人類の英知の結晶であるとともに、魔法の論理的解明を捨てた最も原始的な魔法」。

人を殺す魔法(ゾルトラーク)
作中世界における「一般攻撃魔法」。かの大魔族が健在な頃は、あらゆる魔法的・物理的障壁を貫き数多の屍を生み出した歴史的な魔法。
基本的に人類の魔法である防御魔法を使わない魔族にとっても脅威だが、「克服した」と断言される程度には各々で対策済み。マハトもまた、前衛を思わせる身のこなしと絶対不変の黄金により本来であれば軽々と捌く。
デンケンが対峙した相手はよりによって魔族の中でもとりわけ、自分から使うほどゾルトラークに通じる例外的な魔族だったが、封印されていた関係で認識が昔で止まっていた。それぞれに発展、洗練された「長命種にとっては新しい魔法」である性質が鍵となる。
デンケンのそれを受けたマハトが最早別物と断じざるを得ないほどに、「人類の魔法」は時を刻んで進んでいたのだ。

なお、デンケンはクヴァールの友人であったマハトから教えを受けたため、彼のゾルトラークは人間の使う中でも最もオリジナルに近い仕様と思われる*1

余談

名前の由来はドイツ語で「考える」を意味する『Denken』。


追記・修正はお墓参りを済ませてからお願いします。

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  • 主人公←実質主人公(黄金郷編の)
  • 斉藤次郎
  • 完全におじいちゃんじゃねーか…
  • モノクル
  • 老獪
最終更新:2025年04月08日 23:22
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*1 マハト戦では当然ながら改良型の「魔族を殺す魔法」を使っていたが。