勇者ヒンメル

登録日:2021/07/08 Thu 01:40:26
更新日:2024/04/13 Sat 08:36:34
所要時間:約 5 分で読めます





楽しく冒険して迷宮に潜って魔物を倒して宝を探して、

気が付いたら世界を救っていたような、そんな旅がしたいんだ。



出典:葬送のフリーレン、13話『同族嫌悪』、2023年9月29日~2024年3月22日まで放送。
「葬送のフリーレン」製作委員会、マッドハウス、
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会。

概要

『勇者ヒンメル』とは『葬送のフリーレン』の登場人物。
人間の僧侶ハイター、ドワーフの戦士アイゼン、エルフの魔法使いフリーレンを率いて魔王を討伐した伝説の勇者。


人間の男性。年齢は旅立ち時は16歳、魔王討伐時は26歳。
泣きぼくろの映える涼やかな美男子。
好きな物は『ルフオムレツ』『迷宮踏破』『フリーレン』
迷宮好きは筋金入りで、「一つの階層を全て踏破してから次に進むものだ」と豪語し、正規ルートを発見してもいちいち分かれ道まで引き返して別路を確認するほど。
ゆえに「歴史上もっとも多くのミミックに引っかかった迷宮を攻略したパーティー」とフリーレンも回顧している。
ヒンメル一行があまりにダンジョンを攻略しすぎたせいで、後の世ではダンジョンの攻略の必要に駆られる事態が激減し、
ダンジョン攻略に適した魔法を学ぶ者が大きく減って人間の魔法ではダンジョン内ではろくに戦えないという時代になってしまうほど*1

剣技の実力は本物なのだが、お調子者かつナルシスト、さらには若干天然なところがある。
魔物の討伐依頼や人助けの報酬として、自らをモデルとした「勇者の像」を作らせるのが趣味(勇者の像のポーズは100通り以上ある)
「勇者の像のポーズをどうするかで18時間悩みつづけ、その間ずっと待たされていた職人が最終的にキレた」だの、
「冒険出発直前に王様にタメ口を聞いて処刑されかけた」だの、行く先々で面白エピソードが掘り起こされる愉快な男。
しかし困っている者は決して見捨てない高潔な人柄で、回想に登場するたびに天井知らずで株を上げていく勇者の鑑でもある。
自分の像を各地に作らせたのも、長命種のフリーレンが未来で1人ぼっちにならないようにという優しさからであった。
仲間達を始め多くの人たちから慕われており、その生きざまは死してなお周囲に影響を与えている。
フリーレンを始めとして、「ヒンメルならそうした」というのは多くの人間の行動原理になっている。

少年時代から剣技の腕前は相当なものだったらしく、村を訪れていた行商人を襲った魔物を短剣1本で討伐している。
この際返礼として『勇者の剣』のレプリカを貰い受け、それを切っ掛けに後に魔王討伐の旅を決行した。

その後何処かでアイゼンを仲間に加え、森の中でひっそりと暮らしていたフリーレンをスカウト。
メンバーを揃えてから王様に銅貨10枚の支度金をもらい、魔王討伐の旅に出発した。
(銅貨10枚はアイゼンも顔をしかめるくらいにはした金。この時代は「勇者=魔王討伐に乗り出した勇気ある若者」という扱いであり、
多くの自称勇者が討伐に失敗し命を落としていた。支度金を渋られるのもむべなるかな。)
その後10年の旅の果てに魔王を討伐し、無事王都に帰還する。

魔王討伐の旅に10年もかかったのはそれだけ長く厳しい旅路だったから……だけではない。
  • 寝坊魔で出発が遅れるフリーレン
  • 週に一度は二日酔いで使えないハイター
  • 迷宮の階層は全て踏破しないと次に行かない、どんな頼みでも基本は引き受けて荷物持ちといった些細な事でも気軽に応じるヒンメル
と、旅が長くなる要因をたくさん抱えた御一行だったからである。

魔王討伐後は平穏な生活を送りつつ、各地に封印した魔物の様子を見て過ごしていた。
そんな彼も50年の月日には勝てず、すっかりハゲた白髭のおじいちゃんに。しかしハゲにはハゲのこだわりがあるらしく、身嗜みは欠かさない。
老いてなおその存在は魔族への抑止力となっており、彼の存命中は魔族は表立って行動しなかった。*2
実際、亡くなる数年前まである程度の実力も維持していたようで、北方諸国の女神の石碑まで単独で旅をし、
その際には襲ってきた魔獣も難なく倒している。


フリーレンと再会した後、50年周期でやってくる流星を見るための旅に出る。
別れの直前に見た流星の再訪を4人揃って迎えられたこと、そしてもう一度かつての仲間たちと旅ができたことに満足し、その生涯を終えた。享年76歳。
葬儀に参列したフリーレンは、10年も共に旅をしたのに「ヒンメルのことをほとんど何も知らない」事実に気付いて愕然とし、ポロポロと涙の雫を落とすのであった。


勇者の剣



僕はいつか本物の『勇者の剣』を手に入れて、魔王を討ち倒す。


ヒンメルの使っていた剣は、前述の通り『勇者の剣』のレプリカである。

『勇者の剣』。
女神によってもたらされ、『剣の里』の聖域にて勇者を待つ伝説の武器。
勇者の剣を扱えるのは『大いなる災いを撃ち払う真の勇者のみ』であり、歴史上のどんな英雄でさえも台座から引き抜くことは叶わなかった。

今回の勇者も本物ではありませんでしたか。

―――勇者の剣は、ヒンメルを拒絶した。
しかしそれでも、夢破れた偽物の勇者は前を向く。

僕は魔王を倒して世界の平和を取り戻す。

そうすれば偽物だろうが本物だろうが関係ない。

その言葉どおりにヒンメルは魔王を討ち倒し、世界を救った。
剣に選ばれなかった偽物の勇者は、見事本物の勇者となってみせたのだった。

勇者の手に渡ることのなかった剣は、今も聖域の台座で眠り続けている。
しかしヒンメルを英雄に仕立てたかった人々にとってこの事実は都合が悪く、ヒンメル愛用のレプリカ品=本物の勇者の剣とされてしまった。
当のレプリカ品はヒンメルの遺体と共に埋葬されたため、世間的にはもう剣の里に勇者の剣は存在しないことになっている。
しかし勇者の剣は現在でもその力を恐れ破壊を目論む魔物を惹きつけ続けており、
実際に剣が抜かれその役目を果たすまで守り続ける使命がある剣の里は、
魔物の討伐を冒険者などに依頼できず自前で行わねばならないという問題を抱えてしまった。
そのため事情を知るフリーレンが50年に一度剣の里を訪れ、周辺の魔物を退治するという約束を里長と結んでいる。
時間にルーズなので初回が80年後だったが、フリーレンは里の人間の自衛力を信頼しており最初から80年は平気と思っていた。

勇者の剣をヒンメルが抜けなかった理由は不明。
単純に勇者の素養がなかったからなのか、あるいは女神が想定している世界の危機が魔王ではなかったのか―――
魔王を倒して本物の勇者になってから抜けと言う話だったのか


戦闘能力

現状回想シーンで少し描かれた程度であり、実力のほどは未知数。
武器は前述のとおり『勇者の剣』のレプリカ。
見た目を似せただけのまがいものではあるが、10年の旅を通してずっと愛用し続け、最終的に魔王すらも討ち取っている。
旅立ちの時点ではせいぜい「とても強い剣士」という程度でしかなかったようで、『人類最強』は南の勇者の称号だった。


勇者を名乗ってはいるが、戦闘スタイルは剣技一辺倒で魔法を使ったことはない。
携行しているのは『勇者の剣』のレプリカ一振りのみで、他の剣や盾は持っていないようである。
『勇者の剣』はいわゆる「だんびら」で厚みもあるため、おそらくはこれを防御にも活用していたものと思われる。
判明している限りでは、
  • 人質をとった魔族に反応すら許さず、一瞬でその腕を切り飛ばして人質を奪還後距離を取る
  • 断頭台のアウラ服従させる魔法(アゼリューゼ)を使う前に斬りつける
  • フリーレンが破るのは不可能、アイゼンがヒビなら入れられるかもと評した七崩賢『不死なるベーゼ』の魔法障壁の一部破壊に成功する
といった描写がある。
おそらくは常識外れの攻撃力を持つ超高速の剣士だったのだろう。
流石に、単純な力(最低でも握力はアイゼンに劣る)と耐久に関してはアイゼンの方が優れていたであろうが。


パーティーの統率者としても極めて優秀。
即死魔法の使い手である腐敗の賢老クヴァールを相手取り、被害を受けることなく封印状態にまで持ち込んでいる。
魔王討伐以外の「迷宮踏破」「魔物の討伐依頼」「人助け」にも精を出す方針だったため、一時はアイゼンに不満を持たれていたが、
それがむしろメンバーの成長を促し、ついには魔王討伐を完遂するに至った。
自らも含め、メンバー4人全員が五体満足で王都に帰還したことは特筆すべき点であろう。

断頭台のアウラを始めとする魔王軍残党はヒンメル以外の勇者一行がまだ存命(フリーレンに至っては現役)でも、
ヒンメルの死を期に活動を再開しており、彼の存在を相当に恐れていたことがうかがえる。


対人関係

パーティーの回復役を担う腹黒僧侶。

ヒンメルとは同じ村で育った幼馴染の間柄であり、ヒンメルが報酬としてレプリカの勇者の剣を譲り受けた際に「偽物の剣じゃ偽物の勇者にしかなれない」とハイターにからかわれ、「じゃあ本物になってやる」と決意し、ハイターを巻き込んで魔王討伐に乗り出したのが旅の切っ掛け。


ドワーフの戦士であり、パーティーにおけるタンク役。

ヒンメルと肩を並べるアタッカーとして共に戦った。
魔王を倒したいのに、迷宮をいちいち全制覇したり、積極的な人助けで時間を浪費するヒンメルの性格には度々愚痴を溢していた。

しかし「俺は終わった後に『くだらなかった』って笑い飛ばせるような楽しい旅がしたい」
という言葉に諭され、今となってはその「くだらない旅」が何よりの思い出になっている。
フリーレン以外では現在も存命中。


ヒンメルが最後にスカウトしたエルフの魔法使いで、現在の物語の主人公。
森の中でダラダラと過ごしていたフリーレンを見て「なんとなく」その強さを看破したヒンメルはメンバーに勧誘した。

魔王軍と相対して以来ダラダラと生きてきた自分にそんな資格は無いと一度は匙を投げたが、「僕は『今』の話をしている。」と窘められたことで同行を決意する。
このフレーズは後にフリーレンも使っており、ヒンメルの存在は今も彼女の価値観に大きな影響を与えている。

旅路の中でヒンメルは彼女の寝相の悪さや三日三晩泣き喚く癇癪などに度々悩まされていた。

フリーレンのスカートをめくった子どもに大人気なくマジギレしたり投げキッスで失神したり、鏡蓮華*3の指輪を片膝立ちでフリーレンの左手の薬指に嵌めたりと、
彼女に思いを寄せていたと思われる描写が多数見受けられる。
また各地にヒンメルが多数の銅像を建てたのも、未来でメンバーが先立っても一人ぼっちにならないようにする為らしい。

しかしフリーレンの口ぶりから、直接好意を伝えてはいなかった様子。
恐らく寿命の問題等で共に長く過ごせず、自分が先立つ時に悲しませてしまうことを考慮したのだろうか。漢である。

フリーレンの外見は幼いため、そのフリーレンに好意を抱くヒンメルは当初ロリコンと読者に思われていた。

実はヒンメルは少年時代に一度だけフリーレンに会ったことがあった。
森で迷子になっていたヒンメルに村の方向を教え、元気づけるために花畑を出す魔法を使ったらしく、それを見て魔法を「綺麗だ」と思ったらしい。
つまりヒンメルからすると、少年時代に憧れた年上のお姉さんと旅している感覚だったようだ。


余談

名前の由来はドイツ語で『天国』を意味する『Himmel』。

フリーレン・ハイター・アイゼンにはそれぞれ意思と技術を受け継ぐ弟子がいるが、現在のところヒンメルに弟子がいたという話は出ていない。
強いて言うなら、ヒンメルの影響を受けたフリーレンたちが実質弟子のようなものだろうか。

2023年の第1回キャラクター人気投票、それに続き2024年に行われた第2回でも共に第1位となっている。結果もイケメン。


追記・修正は銅像のポーズを考えながらお願いします。

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最終更新:2024年04月13日 08:36

*1 ゾルトラークに対する防御魔法の関係で、攻撃魔法が自然物を利用するものが主流になっているという事情もあるが

*2 断頭台のアウラはヒンメルの死後に力を取り戻し北の辺境でも魔族の残党がヒンメルの死後に暴れ始めた。

*3 花言葉は「久遠の愛情」。指輪はフリーレン自身が選んだものだが、(フリーレン本人は)花言葉については知らなかった。