スペキオン星人 ジェニオ

登録日:2021/08/10 Tue 20:40:26
更新日:2025/05/03 Sat 15:49:47
所要時間:約 5 分で読めます





『完全』という言葉は、神にしか使えないものだよ?


スペキオン星人 ジェニオとは、特撮テレビドラマ『特捜戦隊デカレンジャー』に登場する敵キャラクターである。

CV:野田圭一

身長:192cm
体重:90kg
出身地:スぺキオン星
罪状:124の惑星で一万人以上の人々の自由を奪い、鏡の世界に閉じ込めた誘拐及び幽閉罪
ジャッジメント:デリート不許可→デリート許可
登場エピソード:Episode.28「アリエナイザー・リターンズ」~Episode.29「ミラー・リベンジャー」


概要

光るものを好み、肉体を光の粒子に変えて光を反射するもの中に潜り込んで移動できるスぺキオン星人のアリエナイザーで、リバーシア星人 ヘルズ三兄弟と同じく、特キョウ指定の凶悪アリエナイザーでもある。
黒いロングコートを纏ったような姿をしており、頭部は紫色のミラーボールのような幾何学模様が描かれ、側頭部には人間の手の骨のようなものがついている。


人物像

一人称は「私」
凶悪犯らしからぬ穏やかで知的な口調で話すが、人々を鏡の中に閉じ込めた生きたポートレートを「芸術作品」と称する芸術家気取りで、それを作る為に誘拐と幽閉を繰り返すなど、本性はアリエナイザーらしく自己中心的な快楽主義者。
しかも、ほんの少しの光さえあれば瞬時に移動できる体質を悪用して宇宙警察から逃げ続けたのみならず、重罪を犯していながらも、宇宙警察や宇宙最高裁判所が閉じ込められた人々の解放方法を知らないのを良いことに一度はデリートを免れているという悪運も持つ。
そんな芸術家肌な気質や、宇宙警察すら半ば手玉に取る技術からアリエナイザーの中には彼をカリスマ的存在として崇拝する人物も多数存在し、ファンレターまで送られる程。
さらにジェニオ本人も、その「ファン」の名前や特性を正確に記憶している。
そして何より、15年前にデカブレイクことテツの両親の命を奪った張本人でもあり、彼にとってはまさに親の仇である男。
そんなテツのことは皮肉交じりに「坊や」と呼んでいる。


活躍

Episode.28「アリエナイザー・リターンズ」


フフフ…フフフフフフ…
おやおや、珍しい訪問者だな。


続出する過去のアリエナイザー犯罪の模倣の手掛かりをつかむべく、犯人のアジトに張られていたジェニオ逮捕時の映像や新聞を頼りにアルカポにやってきたテツ*1と面会。
既に心当たりのあったジェニオだがすぐには話さず、交換条件として「15年前、両親の最期は覚えているか?」と質問。
それに対しテツは「あの頃はまだ幼かった…後になって人づてに聞いたことしか知らない。ただ、炎に包まれた母親が微笑む顔だけを覚えている。でも…その時何と言っていたのかは……」と回答。
そしてそれを聞いたジェニオは、自身のファンの一人であるパウチ星人 ボラペーノがその犯人であることを仄めかした。
こうして模倣犯を知ったテツが地球署に連絡した事で、ボラペーノはデカレンジャー達によってデリートされた。そして、更にジェニオは母親の遺言を思い出せないテツに対し、事件当時について語り出す。


フフフフフフ…見事な推理だったねぇ。
あ、そうだ。「母親の言葉を思い出せない」と言っていたねぇ。知りたくないかい、坊や? ママの最期を……


あの日いつものように、ポートレート作成の為の人間を探していた所、些細なミスから宇宙警察に見つかり、追われていた。
そんな中、進路上にテツとその両親が乗った車が通りかかると、衝撃波を放ってそれを吹き飛ばした。
車は横転し、父親は即死。母親も致命傷を負った。
しかしこの時、既に目がまともに見えなくなっていた母親は近くにいたジェニオを救助に来た人と思い込んだのか幼いテツを助けるよう懇願してしまう。
そして間もなく車は出火し、同時に炎に包まれていく母親の姿に目を奪われていたからか、ジェニオも思わずテツをそのまま抱き上げると、直後に母親はこう言い残した。


{ありがとう鉄幹……あなたが生まれてくれて、お母さん本当に幸せだった…
あなたの事を愛しているわ……これからも、永遠に…


直後、車は爆発した。

その光景を思い出したテツは思わず涙ぐむが、これこそがジェニオの狙いだった。
頬を伝って落ち、キラリと反射した涙にジェニオは潜り込んで姿を消してしまう。

そうしてまんまとアルカポから逃亡したジェニオは、自分を逮捕したテツに復讐すべく、行動を再開するのだった…


また地球で会おう…!坊や…!


Episode.29「ミラー・リベンジャー」


ジェニオ!観念しろ!このクリスト星には…お前が逃げ込む光はない!

フフフフフフフフ…よく追い詰めたな。しかし、これが最後ではない…
宇宙最高裁判所は、私をデリートできないからねぇ…

何!?

次に会う時には…坊や。君に「死以上の苦しみ」を味わわせてあげよう。
フフフフ…フフフフフフ…!


地球へとやってきたジェニオは、そんな過去の「約束」を果たすべく動き出す。
それはテツの仲間を襲い、彼らの苦しむ様を見せつける事。
実際、自分の体質であらゆる場所に神出鬼没に現れ、センちゃんウメコホージージャスミンを次々にさらい、テツの精神をかき乱す。
さらにはバーツロイドに操縦させた怪重機 メガロリアを街に送り込んでテツを挑発。
結局メガロリアはデカレッドが操縦するデカバイクロボに倒されるが、その直後、近くにあったビルの窓から出現。
それと同時に、自身の胸部を開いて鏡を展開。
ビルの窓と合わせて合わせ鏡の無限回廊を作り、さらにそのまま胸から放つ光線でデカバイクロボごとデカレッドを光に変えて鏡の中に閉じ込めてしまった。
……が、初めからバンはそのメカニズムをテツに解明させるべく自ら囮になっていたのだ。
そして、その秘術「ミラーイリュージョン」の要が胸の鏡だと知ったテツは、マシンボクサーで一気にビルの壁を駆け上がり、ジェニオの元に駆け付ける。


フフフフフ…来たか、坊や…

ジェニオ!お前だけは許さない!!


家族を手に掛け、更には仲間にすらも手を出したジェニオに怒りを爆発させたテツは変身し、胸の鏡を壊しにかかるが、ジェニオは剣と光線銃を武器に迎撃。
さらには窓や鏡に囲まれている地の利を味方にしてデカブレイクを翻弄する。
そして追い打ちをかけるかのごとく、ジェニオは今までに捕らえたデカレンジャーが鏡の中で苦しむ様を見せつける。


どうかね?これが私の最新作だよ。
坊や、君の大切な仲間達の生きるポートレートだ…心行くまで、鑑賞したまえ。

ジェニオ!先輩達を出せ!


デカスーツのバイザーから身を出したジェニオは、デカブレイクを締め上げる。


それは、できない相談だねぇ…!
君には「『死以上の苦しみ』を味わわせてあげる」と約束したからねぇ。

いかがかね?私の芸術的ポートレートは完璧だろう!
『悲しみの仲間達』とでも、名付けるか…


そのままデカブレイクを苦しめ続け、怒りと無力さからくる苦しみに飲まれたままの彼を殺害しようとするが、そこへ仲間達が立ち上がった。


ジェニオ!残念だが、お前の作品は失敗作だ!

何!?

芸術家を気取っても、所詮は犯罪者!

大体、芸術的センスがないのよ!

どこが失敗作だというんだ!?

地球署の仲間は……6人なんだよ!

画竜点睛を欠く……。テツのいないポートレートなんて駄作だ!

先輩…!

貴様ら…!


5人の挑発に気を取られた隙を突いてデカブレイクは拘束を解き、ジェニオに一矢報いた。
一方のジェニオは自分の芸術を愚弄されたことに怒り、デカブレイクを痛めつける。


ここまでのようだね、坊や。お仲間達の望み通り、完璧な作品にしてあげよう…!


そうして胸の鏡を開くジェニオだったが、その一瞬の隙をついたデカブレイクは必殺拳ソニックハンマーを発動。
見事に鏡を叩き割り、5人やそれまでに捕らえられていた人々を解放する事に成功する。
5人も戦線に復帰し、完全に形勢逆転。その猛攻撃に流石のジェニオも圧倒され始める。
そして人々が解放された今、もうジェニオが生かされる理由はなかった。
デカブレイクのジャッジメントによって、改めてデリート許可が下される。



デリート許可!

フフフフフ…
この鏡を壊され、確かに生きるポートレートを作る能力は失った。
だが、全ての力を失ったわけではない…

何!?

私を止める事はできない!

私は光の速さなのだ…!


それでも往生際悪くデカブレイクの顔のバイザーを利用して光速で逃げ出そうとするが、向かってきたところでデカブレイクの超光速拳スーパーライトニングフィストが炸裂。
大きく吹き飛ばされたジェニオはデカブレイクに頭部をつかまれる。


ナンセンス!俺の拳は、光よりもっと速いぜ!!


そしてとどめに光速拳ライトニングアッパーを喰らい、天高く飛ばされてジェニオは爆散した。


もっとぉぉぉ光をぉぉぉぉぉ…!


こうして宇宙の大犯罪者の悪夢は終わり、テツもまた過去と決着を付けられたのだった。
それはまるで、ようやくテツに夜明けが訪れたかのように……


Vシネマ『特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー


トリノイド0号サウナギンナンの能力によって、サキュバス・ヘルズと共に復活。
しかし、意思を持たないガワだけの復活だったため、生前のような美学や冷静さは無く単純に破壊活動をするだけの傀儡のようになってしまっていた。

戦闘では暴走したかのような戦法で、デカブルーとデカグリーンと因縁の相手であるデカブレイクを苦しめたが、
そこに現れたアバレブルーの整体知識により、背骨が若干曲がっている事が明かされ、そこを突かれて再び倒された。

美学を追求した天才犯罪者が、死後にこのような醜い姿になってしまうとは何とも皮肉である……


余談

  • 出身星と名前の由来はそれぞれイタリア語で鏡を意味する「スペッキオ(specchio)」と天才を意味する「ゲニオ(genio)」から。


  • ジェニオが一度逮捕されたクリスト星は、Episode.14に登場したアリエナイザー・クリスト星人ファーリーの出身地として名前と設定が登場している。

  • 偶然ではあるが、野田氏はジェニオが登場する少し前の2004年春季に出演していたアニメ『この醜くも美しい世界』で、「ヒカリ」という名前の少女に従う役(アイオニオス)を演じており、「光」になれるジェニオと妙な繋がりがあったりする。

  • キャラクターの元となったのは『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士。初登場した時のテツの尋問シーンは同作のオマージュとなっている。


次に会う時には…坊や。君に「項目作成以上の追記と修正」を味わわせてあげよう…
フフフフ…フフフフフフ…!

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最終更新:2025年05月03日 15:49

*1 この時テツは看守の案内の元、ブレスロットルやSPシューターといった光を反射する物を預け、隊員服のバッジやワッペン、ファスナーなどもテープで隠し、つや消しのサングラスをかける等、ジェニオの退路を断つために万全の状態だった