汐見ゆとり

登録日:2021/09/17 (金) 14:45:22
更新日:2021/10/04 Mon 15:05:39
所要時間:約 4 分で読めます






私にとって、ワクワクしなきゃラーメンじゃないんです!!



汐見ゆとりとは『らーめん才遊記』の主人公。

演:黒島結菜


概要

「(株)清流企画」の新入社員。年齢は初登場時22歳。
大学卒業後就職浪人をしていたが、半年前に生まれて初めて食べたラーメンに感動して「(株)清流企画」の入社面接を受けるところから物語が始まる。

新作ラーメンやコンサルタントのアイデアをひらめいた際には「ピッコーン!」の声と共に指1本たてた両腕を伸ばす癖がある。
パーティー会場等では脳内でやる程度に抑えることもあるが、大抵空気を読まずに大声で騒ぎ立てることが多い。この辺の空気の読めなさは前作主人公の藤本と同様。
また影響を受けた他の人物がやることもある。濃口らあめん騒動の際にはなんとあの芹沢がやったことで、
さすがのゆとりもこの世のものとは思えないものを見たかのような表情を見せていた。

人物

単純明快な性格の反面、おおよそ社会人にとって必須な社会常識や人間関係の機微を読むという能力に欠けており、
ビッグマウスや苦し紛れにタチの悪い嘘(父親が死んだ、など)を吐く等、非常に子供っぽい性格でもある。
自分の感じたことを言語化、客観化するのも苦手で「フムフム」「ワクワク」に代表されるような独特の表現しかできないことも多い。
しかし、物事を取り組む情熱や熱意は誰よりも人一倍強くひたむきという長所を持つ。

有名な料理研究家の母親から幼い時から料理の手ほどきを受けてきたため、古今東西の料理・食材に関する豊富な知識と調理技術、ずば抜けた味覚を持つ。
濃口らあめんの問題点にも淡口らあめんを食べただけで一発で気づくほど*1
しかし、ヘルシー志向料理評論家であった*2母親の意向でジャンクフードの類やラーメン等はあまり食べたことがなかったため、その手の知識は薄い面もある。

また高度な調理技術とずば抜けた味覚が裏目に出てしまうこともあり、
高齢の夫婦に高い技術力が必要なラーメンを提案しようとしたり、コンペで一般受けしにくい鴨の血を使ったラーメンを出してしまったりと、
自身の高すぎる才能が逆に仇となって失敗してしまう場面が度々ある。

ちなみに社会人としてダメダメなところは多々あったが、接客に関してはコンサルティングの際や「菜妙軒」で従業員をやった際には問題なくできており、
そこから店の問題を考えたり、二人客にうまくラーメンの説明をしてラーメン三杯を注文させたりしていた。

家族

汐見ようこ

ゆとりの母親で、著名な料理研究家としてテレビ出演しており現在は大勢のスタッフを抱えた「汐見ようこ料理研究所」を経営している。
得意分野はヘルシー志向の料理だが、それは料理研究家と大成する為に自分で作り上げたキャラであり、B級グルメから高級料理までありとあらゆる料理は研究済み。
敏腕の経営者らしく話も巧みであり、思考誘導やメディアを使った工作もお手の物。
ゆとりに後継者になって欲しくて幼い頃から英才教育を施すも、ゆとりが大学卒業の時にラーメンと出会ってしまった事でその歯車が狂い始めてしまう。
ゆとりの実力は誰よりも認めている。

橋爪亮二

ゆとりの父親で、汐見ようこの元夫。
職業はカメラマンであり外国にも撮影の仕事でよく出張する。
ゆとり出産後に専業主婦だったようこが料理研究家になる夢を諦めきれず「料理コンテストで優勝したら離婚する」という約束を彼女としてしまい、彼女が優勝してしまった事で約束通り離婚。
当時の亮二は仕事で出張が多かったので、ゆとりはようこが引き取ることになる。
なお円満離婚みたいなものなので、離婚後もようことの仲は良好。肝心のゆとりからはようこに殺されたことにされたりもしたが
ゆとりが大学卒業の時にラーメンと出会ったのは、彼がお祝いを兼ねてラーメン屋に連れて行ったのがきっかけであり、彼女の将来を決める後押しをした存在である。
現在はようこの家から家出したゆとりと共に生活中。


劇中での活躍

らーめん才遊記

母の敷いたレールのままフランスの料理学校へ留学するのに疑問を持った彼女は自分をコントロールしようとする母親に反発。父親の元に家出していた。

その後、紆余曲折あって清流企画の社員として採用されたゆとりは、
清流企画の同僚と共にいくつかのラーメン店のコンサルティング案件を解決。

そして新日本テレビの企画する「ラーメンなでしこ選手権」という女性ラーメン職人の選手権の話が舞い込んで来た際に清流企画代表として参加。
他参加者との戦いで成長したり、芹沢から出された「ワクワクとは何か?」という議題から、
「料理はバランスだが、ラーメンはアンバランス」という自分が抱いていた「ワクワク」の正体を自覚することになる。

その決勝戦前に母ようこがテレビにて「選手権で優勝できなければ清流企画を辞めようこの後継となる」「そもそもゆとりはラーメン好きではない」と発言。
約束もしておらず、ラーメン好きまでテレビで既成事実的に否定されたゆとりは次の日直訴しに行くも母親に言いくるめられ、本当に約束されてしまう。
母の経営する料理研究所のスタッフからも戻ってきてほしいと懇願されるも改めて自分の居場所を自覚したゆとりは改めて優勝を目指す。

しかし、選手権決勝では1票差で石原麻琴に敗れてしまう*3
が、TV局側の不手際で無効票が発生したこともあり、それがあれば自分が優勝していたと開き直り、引き続き清流企画に居座る。
それに関して決着をつけなければならないと考えた芹沢たちにより、今度はようことの「ワクワク・ラーメン対決」が開催されることになる。

ラーメンの成立の経緯(と内心抱いていたラーメンへの見下し)から「ラーメンはフェイク」として1980年代の総決算のようなラーメンを出してきたようこに対し、
ゆとりはこれからのワクワクを提示した水ラーメンで審査員から圧倒的な支持を受け勝利した。

その後、(本来は選手権優勝のご褒美の予定だったが)この件で話題性を得たことのご褒美として、
ゆとりが店長、夏川が副店長の女性スタッフのみによる365日日替わりメニューの創作ラーメン屋「麺屋なでしこ」を開業。

開業から一月後、芹沢に食材業者を紹介してもらった帰りに自身がラーメンにハマったキッカケのラーメンについての話題になる。


ホント、あれは人生を変えた一杯でした

初めての体験なのに懐かしいような…ビリビリしつつ、シミジミもするような…


芹沢に店の詳細を聞かれた際に今いる場所から近いこと、昼食がまだだったこともあり一緒に行くことになる。
その店の名前は「ラーメンふじもと」…前作主人公の藤本の開業したラーメン屋である(上述したゆとりの発言から何となく察した読者も少なくなかったかもしれない)。
ゆとりのラーメンへのセンスは料理の英才教育の賜物というだけではなく、初めて食べたラーメンが藤本のラーメンであったことも大きいといえるかもしれない。

芹沢の「いい店だ」という言葉に「ですよねっ?」と笑顔で返したのが彼女の本作での最後のセリフとなる。


らーめん再遊記

麺屋なでしこは引き続き盛況であったが、ミドルエイジ・クライシスを患い落ちぶれた芹沢に思うところがあり、
持ち前の率直すぎる発言や「東京ガストロノメン」店主・米倉龍大を含めた関係者を煽って新旧天才ラーメン職人対決の企画を実現させるなど行動。

なんとか持ち直した芹沢に対しても「米倉のラーメンも芹沢のラーメンも凡庸な着想でそこそこ(意訳)」と言い放ち、
(芹沢の命令もあって)調理したラーメンで芹沢に白旗を上げさせる。

そして自分以上の若い才能と発想力を持ち、
芹沢達也のカリスマ性に臆さないほどの物怖じしないメンタルを持つゆとりを認めた芹沢に次期社長に任命される。

社長交代の日、「らあめん清流房」新宿本店にて、芹沢が具からスープまで一から仕込んだ「淡口らあめん」を食べさせられる。
前作の濃口らあめん騒動の際に食して以降、何回も食べていた淡口らあめんだったが、芹沢本人が仕込み作ったそれは別格の味であった。
すなわち*4、20年以上前に生み出された「らあめん清流房」創業当時の味。

これだけ美味しいのにも関わらずお客が入らず潰れかけていたこと、
それを社長となった自分に今回食べさせた理由を察したゆとりは黙々と食し、芹沢に覚悟の顔を見せた。


作った主なラーメン


  • 肉だし清湯麺+ベーコンと玉ねぎの炒め乗せ
『麺屋せりざわ』での創作ラーメン「肉だし清湯麺」に対して「今イチ」という感想を抱いたゆとりが実技試験で作った改良ラーメン。
絶妙な配分で追加された炒め物が触感の変化とにぎやかで勢いのある味わいを出しており、
上品さゆえに足りなかった「ワクワク」感が追加されている。


  • 濃厚トンコツ激辛つけ麺
「つけ麺あんざい」における大手フードコンサルティング会社「味惑コーポレーション」とのコンペで出したつけ麺。
鴨の血豆腐と砂肝やセンマイといったモツ類を煮込んだトンコツスープに唐辛子入れたうま味たっぷりの激辛ラーメン。
つけつゆが強烈な分、軽やかさを出すために麺と同程度の太さと形状の春雨をミックスしており、食感の違いも楽しめる。

が、つけ麺激戦区でも通用するつけ麺は作れたものの、そもそも店主がそこまでつけ麺に拘りがなかったことと、
あまりに高度な技術が必要で失敗の許されない血を使った料理を作っていくことは無理だと判断され、
味では勝利したもののコンペでは敗北してしまった。


  • お茶漬けラーメン
「さかな居酒屋ほんだ」でトラブルを起こした相川が店主と和解するために考案されたラーメン。
居酒屋の〆のメニューから相川の出したお茶漬けラーメンというアイデアを元に作成しており、
胡麻油をまぶしてコッテリ感を出した麺の上に濃いめの味付けをしたシジミと昆布の佃煮を乗せ、
その上から緑茶をかけて食べるまさにお茶漬け形式のラーメン(薬味に青ネギとフライド・オニオンがある)。

量も塩分もほどほど、ほとんど脂を使っていないためグリストラップへの負担も引き続き問題なし。
肝臓に良い成分が含まれたシジミを使っていることで酒を飲んだ客の事も考慮されたラーメンとなっている。


  • オマール海老ラーメン
「ラーメンなでしこ選手権」Aブロック一次予選で作った指定食材「エビ」を使ったラーメン。
身はすって鯛そうめんの要領で小麦粉と塩を合わせ麺状にした海老のすり身麺に、
海老ミソも小麦粉と塩を合わせパスタマシンで製麺した海老ミソ麺にし、海老殻を炙って煮込んだスープで両者を直接煮込んである。
オマール海老一匹を凝縮したラーメンと評価されたが、麻琴の作ったラーメンと比べて「ラーメンを使った海老料理」であったため敗北してしまった。


  • 海鮮白湯・酸菜ラーメン
「ラーメンなでしこ選手権」Aブロック二次予選にて、NEOPASA5か所の食材を調達してラーメンを作るというお題で作ったラーメン。
鮮魚を強火で煮込んだ海鮮白湯スープに白菜漬けとゆず大根を入れ、その酸味で魚介のクセを抑え味に奥行きを与えている。
麺は半分に切った吉田のうどんを使用しており、片面のざらざらした断面がスープとよく絡むようになっている。
吉田のうどんを使ったのは難波の妨害工作もあってのことだったが、そこに調理的意味合いを持たせたことで高評価を得た。


  • 水ラーメン
「ラーメン母娘喧嘩!!」の「ワクワク・ラーメン対決」において出された冷やしラーメン。
濾し布巾をのせた金ザルの上にジューサーにかけたトマトを置いておき、自重で寸胴に溜まった透明なトマトだしに、
煮干し、干しエビ、干し貝柱、昆布、唐辛子を入れ数時間かけて水出しし塩で味付けした火を一切使っていないスープと、
クミンの粉末を練り込んでパスタマシンで製麺した清涼感がありエキゾチックなアクセントのある麺を合わせている。
具ものせていないため、水ラーメンの名の通り、まるで純粋な水の中に麺が浮かんでいるような見た目となっており*5
何度も食べたいラーメンとは違うワクワク感に特化したラーメンとなっている。

その後、日替わりラーメンを提供する「麺屋なでしこ」のラーメン第一号として売り出された。
なお、なでしこで出していた水ラーメンには上記の時と異なり湯気のようなエフェクトがついていたが詳細は不明。


  • オレンジワインラーメン
『らーめん再遊記』にて「お酒を使ったラーメン」という課題に対して米倉と芹沢が作ったラーメンを駄目だししたゆとりが作成したお酒を使ったラーメン。

ベースとなっている酒はジョージア産オレンジワイン。
うま味たっぷりかつ程よい酸味からスパイシーなアジア系料理とも相性の良いワインであり、
これに煮干し、ニンニク、鰹節の厚削りを数日漬けておき、それを調理直前に熱したもの。
味付けはあっさりしておりオレンジワインの風味を邪魔しない味噌だまりを使用し、煮干し粉で魚介風味を補強、
適度なコッテリ感を出すために鶏油を浮かせている。淡口らあめん 極とは違う

麺はモチモチとしっかりした食感の中太麺、具は濃い味の鶏肉西京焼きとパクチーという強い味のもの。
これらはワインと料理のペアリングを意識している。

そして最大の特長はアルコールを全然飛ばしていないこと。
オレンジワインを直前に熱するのもそのためであり、これにより魚介風味とニンニク風味を鼻と口いっぱいに充満させ、陶酔感と高揚感溢れる味わいとなっている。

アルコールを飛ばしていない理由はただ一つ。

人はつまるところ、酔っぱらうためにお酒を飲むんです!!

味は二番目!! そんなの常識じゃないですか!

「お酒を使ったラーメン」とはいえ、米倉、芹沢の両者は店主として店でも出せるラーメンにしたいという色気から、
アルコールをほとんど飛ばした代わりに「お酒の旨み」に着目した*6ラーメンを作ったものの、
ゆとりはお酒で最重要なのは酔えることと判断し、「酔えるラーメン」を作ったのである。

これには芹沢も「店に出すにせよ、『酒を使ったラーメン』とあったら、客は『酔えるラーメン』も期待すると考えるべきだった」と白旗を上げていた。


余談

ドラマ版でゆとりを演じた黒島氏はゆとりのウザがられるキャラクターと芹沢のちぐはぐなバランスが魅力点と考え、それを意識した演技を行ったとのこと。
なお、黒島氏は簡単な自炊程度しか料理をしていなかったため、調理シーンの撮影はかなり大変だったらしく、本物の包丁を使うパートは安全を考慮して代役とのこと。


追記・修正お願いします。

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最終更新:2021年10月04日 15:05

*1 前作主人公の藤本が気づいているためわかり辛いが、濃口らあめんのクオリティ高さは「らあめん清流房」全スタッフの内、ゆとりを含めた3人しか問題点に気付かないほどのものである。

*2 実際には自信を売り出していく際に時流に合ったテーマとしてヘルシー志向を選んだだけで、別にジャンクフード等にも精通しており、ラーメンにも人一倍詳しかった。

*3 芹沢的にはテーマにより沿っていたのはゆとりの方だったが、既存ラーメンの概念を求める保守的な審査員もいたことがこの互角の勝負の要因と推測している。

*4 もちろん、日々アップデートはなされてはいるが、当時のラーメン状況と客の舌の状況を考慮すれば大体トントンと言えると思われる。

*5 実際のところは水出しの際に色がわずかについているため、黒いどんぶりを使うことで、より水みたいに見せかけている。

*6 企画段階で他の料理では調味料として使われているのにラーメンではあまり使われていないと言われていた。