ヤーコン(野菜)

登録日:2021/10/15 (金曜日) 20:01:55
更新日:2021/10/17 Sun 20:44:43
所要時間:約 6 分で読めます




ヤーコンとは、キク科スマランサス属の多年草。主に塊根や葉を食用とする野菜である。
日本では1970年代に北朝鮮経由ではじめて伝来したが定着に至らず、本格的な定着は1980年代にニュージーランド経由で伝来してからである。

じめん使いのツンデレおじさんについてはこちらの記事を参照。

食材としてのヤーコン

先述の通りキク科の植物であり、主に塊根(いわゆる)を食用とする野菜。
また、も乾燥させたものを熱湯で煎じれば飲料(ヤーコン茶)となる。
なお、これ以降は断りが無ければヤーコン=塊根部として記述する。

原産地は南アメリカのアンデス山脈一帯であり、現地の先住民により紀元前から栽培されてきた。
このため「アンデス・ポテト」の異名を持つが、そもそも「オリジナル・ポテト」たるジャガイモも同郷であるため、誤解を招くだけの不適切な異名である。

収穫期は晩秋から初冬の、初霜が下りるかどうかの頃。
塊根はサツマイモのそれとよく似た細長い~太くて大きい楕円形でサイズも同程度だが、皮は薄茶色,中身はクリーム色とやや地味な配色をしている。

食感はジャガイモやサツマイモの様なホクホクしたものではなく、梨の果実に例えられるシャキシャキした歯応えのものなので、知らなければ少々ギャップがあるかも。
食味は若干の土臭さと渋味が気になる人は気になるが、瑞々しさと仄かな甘味を感じる癖のないものであり、比較的万人受けするといえる。

日本での歴史は先述の通り比較的最近で、同時期に伝来したモロヘイヤに比べると知名度的にまだまだメジャーな食材とは言い難い。
だが、その高い栄養価から健康志向の人達にはよく知られており、一般的な知名度もじわじわ上げてきている。

ヤーコンの栄養価

根菜の例にもれず糖分を多く含んでいるが、そのほとんどはフラクトオリゴ糖であり、デンプンはほぼ含まれていない
フラクトオリゴ糖はバナナや玉ねぎにも含まれる多糖類の1種であるが、
砂糖の3~5割の甘味を有しながら、人間には消化できないためにカロリーとして吸収されず、
このためヤーコンのエネルギーは約40 kcal / 100 g*1と、糖質の多い根菜類ながら比較的低カロリー*2である。
また、カルシウムの吸収促進,ビフィズス菌等の善玉菌の増殖促進と悪玉菌の活動抑制にも寄与することで腸内環境の改善にも一役買うとされるなど、その健康効果は多岐に渡る。
ヤーコンのフラクトオリゴ糖含有量はあらゆる野菜の中でも随一であり、ヤーコンのアイデンティティともいえる。

その他の栄養価、健康効果としては、
  • 水溶性の食物繊維が豊富であり、これまた腸内環境改善に有効
  • 抗酸化作用があることで知られるポリフェノールも豊富*3で、発がん抑制にも効くとされる。
  • 根菜類の例にもれずカリウムが豊富で、血圧の上昇抑制も期待できる。
等々。
ヤーコンが健康志向の人達に好まれるのもわかるだろう。

ヤーコン茶

先述の通り、ヤーコンは葉もお茶として利用可能。
こちらは初夏の頃から生い茂りまくるので塊根よりも早く収穫可能。1株あれば十分量の茶葉が確保できるだろう。

作り方は簡単。
摘んだ葉をカラカラになるまで乾燥させ、茶葉と同様に熱湯で煎じてやればいい。
ヤーコン茶は濃い目の茶褐色をしており、こちらにもフラクトオリゴ糖やポリフェノール等の有用な成分が溶出している。
期待される効能は、血圧や血糖値の上昇抑制,がん予防,体脂肪の減少,等々こちらも優秀。

ただこのヤーコン茶、それはもう激烈に苦い
その上キク科だけあって独特の芳香も強烈で、苦手な人は飲み下すのもままならない。
薄めに煎じればその辺は和らぎ、フラクトオリゴ糖由来と思われる仄かな甘味が感じられるので、健康飲料として続けるなら好みの濃度を模索すると良いだろう。

植物としてのヤーコン

生命力,環境適応力ともに優れる植物。
1つの株から育てれば、太く固く逞しい茎が地中から何本も生え、草丈は2m近くにまで伸びる。
限界まで伸び切ると、頭頂部にヒマワリのそれによく似た小さな(正確には頭状花序*4)をいくつも咲かせる。
原産地では一分岐辺り数十の花を咲かせるそうだが、日本では開花時期が秋以降とやや遅いためそれよりは少ない。
北海道や北東北等の寒冷地では咲けないことも珍しくない。

その強さ故に家庭菜園にも向く。特長としては、
  • 乾燥に強く、かといって湿気を嫌うわけではないので、そこまで土の湿気を気にしなくてよい。
  • 痩せた土地でも適応できるので、ちゃんと耕した土地なら大体丈夫に育つ。
  • 害虫が寄り付きにくく、防虫や殺虫の作業も基本的に不要。むしろキク科植物の芳香のおかげで他作物の防虫になる。
  • 病気とも基本的に無縁。
  • 1株からの収穫量は5 kg前後となかなかのもの。
  • 収穫後の塊茎を越冬させれば、春には芽が生えてくる。これを切り分けて植えることで翌年には更に株を増やせる。
等々があり、総じて放任主義でもよく育つ。

一方で弱点,難点として、
  • 極端な高温には弱く、酷暑の年はやや元気がなくなる。
  • 低温も苦手で、寒冷地では屋外での越冬は不可。苗の時点では霜が降りたらひとたまりもない。
  • 高い草丈と生い茂りまくる葉っぱが日陰を作るので、他の作物への日当たりを悪化させかねない*5
  • 生育期間が春先~晩秋と比較的長く、その間土地を占有してしまう。
といったものがある。

主なヤーコン料理

 癖が少なく食べやすいので、生のものをスライスしてサラダにしても美味い。
 何なら収穫直後に泥を落として丸かじりもおk。

  • バター焼き
 輪切りにしてフライパンで焼く。シンプルに美味い。

 ヤーコン料理のド定番。
 ゴボウの代わりに使って違った食感を味わうもよし。一緒に使って同時食べ比べができるようにしてもまたよし。

 タケノコの代わりに使うとまた違った美味さがある。
 むしろ最近はタケノコって高いし、こっちの方が主流になる日も近い?


追記・修正はクエイクバッジを取得してから売ってるスーパーを見つけてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年10月17日 20:44

*1 出典によって多少の違いあり。他も同様。

*2 例えばジャガイモなら同じ100 gで76 kcal,ゴボウで65 kcal,サツマイモなら140 kcalもある。

*3 このため僅かに渋味がある他、切り口を放置すると赤黒くなってくる

*4 無数の花が枝を介さず密集して咲き、あたかも1つの大きな花のように見えるもの。ヒマワリ含めたキク科の植物に多い咲き方。

*5 ただし、里芋やショウガのような乾燥を嫌う作物にとっては逆に恩恵となる。