サツマイモ/さつまいも

登録日:2012/11/09(金) 11:34:04
更新日:2022/10/17 Mon 10:44:37
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概要

サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属の植物。学名はIpomoea batatas L.、英名はSweet Potato。

原産地は熱帯アメリカ。
日本では、17世紀に明から琉球へ伝わり、18世紀に入って薩摩藩を中心に広く栽培されるようになった。

ちなみに当時の明ではサツマイモの持ち出しは禁止されていたのだが、
進貢船の役人『野國総管』が琉球の飢饉を救う為に危険を侵して密輸したそうである。
ちなみに沖縄では“うむ”と称していて、かつては一部地域を除いてサツマイモを主食にしていた。

その後、徳川吉宗が飢饉対策になるより育て易い作物を探していた際に、
薩摩藩で広まり出していたサツマイモ(当時は甘藷と呼ばれていた)を勧められ、農家に広く奨励したという。
痩せた土地でも育ちやすいが、寒さには弱い。9月~11月に旬を迎える秋の味覚である。

「紅あずま」、「安納芋(あんのういも)」、「金時」といった品種が有名。
皮が白く実がねっとりした「黄金千貫(こがねせんがん)」なども出回っている。
マイナーなところでは干し芋用の「玉豊(たまゆたか)」など、用途毎に品種がある。
日本においては黄色が主流だが、アメリカではほとんどが紫芋で、肉料理の付け合わせとして食べている。


成分

サツマイモは6割以上が水分でできている。
他には炭水化物(でんぷん、食物繊維)、
カリウム、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンC、 ビタミンE、葉酸などが多め。
栄養バランスが良く、準完全食品とも称されている。

根菜故にでんぷん質が豊富で、なおかつ糖類の代謝に欠かせないビタミンB1も含まれるので、大事なエネルギー源となる。

切り口から出る白い乳液のような物体はヤラピンという成分で、食物繊維と共に便通を改善してくれる。
また、お肌の守護神ビタミンCや抗酸化作用バツグンのビタミンEもたっぷり補えるため、美容効果は大きい。

「おいしくて栄養満点なんて最高じゃないか!」と思われるかもしれないが、ちょっと難点もある。


……オナラである。


サツマイモを食べるとなんだかお腹が張ってオナラが出やすくなる。
実はこれ、サツマイモのでんぷん質が消化しにくい事が原因。
消化しにくい分、それを消化してオナラも作り出す腸内細菌がたくさん発生するのである。

オナラ射出のピークは食べてから6~7時間後だそうなので、
「人前でオナラなど言語道断だ」という放屁マナーをわきまえた紳士淑女の方々は、
ロケーションとタイミングを十分に確認してから召し上がっていただきたい。

また、サツマイモは胃液の分泌を促すため、胸焼けを起こす場合もある。
オナラの件もあるので、味も栄養価も秀逸だからといってうっかりたくさん食べてしまわぬようにご注意を!

近年注目されるようになったGI値(食べた後血糖値が上がる速度)は55。
ジャガイモ(GI値90)等に比べてとても低く、芋類では最低クラス。穀物では玄米、麺類ではそばと同等。
主食にできる類の食材の中ではGI値が低く、低インシュリンダイエットなどで使われる例がある。
ただし加熱調理するとGI値が上がる傾向にあるので注意が必要。
単に甘いものが欲しいだけなら生の果物のほうがGI値・カロリー共に低いため、食べ応えを求める場合に使いたいところ。

ナス科のジャガイモの芽と違い、ヒルガオ科のサツマイモの芽には天然毒素であるソラニンやチャコニンは含まれていないので、
口にしても害はない。
美味しくはないが。


購入時のポイント

お買い求めの際は、以下の点に注目しておいしいサツマイモを見極めよう。

  • 皮にツヤがある
  • 皮の色が鮮やかで均一
  • 太くずんぐりとして重みがある
  • かたいヒゲ根がない
  • 表面の溝が浅い

購入後すぐに使用しない場合は常温保存すべし。
前述の通り、寒さに弱いので、冷蔵庫での保存はNG。
また、密閉すると傷みやすくなるので気を付けよう。

調理法

  • 下ごしらえ
皮の表面を布巾などで優しくこすって汚れを落とし、両端をカット。
そして料理に合わせて適度なサイズに切ったり皮を剥いたりした後、5~15分ほど水にさらしてアク抜きする。

  • 加熱の仕方
サツマイモをじっくり熱すると、βアミラーゼという、
酵素の働きによってでんぷん質が麦芽糖に変換されるため、格段に甘くなる。
逆に電子レンジの急な加熱では甘みが少ない。

主なレシピ

  • 焼き芋
素朴なおやつ。自然な甘さがダイレクトに伝わる王道メニュー。作り方はシンプル。焼こう。
石焼き芋は永遠のロマン。焼き芋屋台を見かけなくなった今では一部のスーパーやコンビニで買える。

  • 蒸し芋
素朴なおやつ。
焼き芋よりもうちょい水分多めが良い場合は焼かずに蒸して蒸かし芋にしよう。
電子レンジで作る場合は濡れた芋をペーパータオルとラップでくるんでワット数を200Wほどに下げてじっくり加熱すれば甘くなる。

  • 干し芋
素朴なおやつ。独特な歯応えがクセになる逸品。白い粉が吹いている部分は特に甘い。
芋を丸ごと蒸してから、冬の間干しておく。形状や品種で多数のバリエーションがある。
「乾燥芋」、「芋切干」、「ほしか」、「きりこ」、「東山」など、地域によって呼び名が違う。
スーパー等で売られており、小さめのパックでも数百円単位と、割と高価なおやつでもある。
多くの干物・乾物の例に漏れず、もとは保存食の一つ。国産では茨城県産が圧倒的なシェアを誇る。
干して縮んでいるため量単位の栄養価が凄まじく、食べ過ぎには注意。
最近ではペット用の干し芋も流通している。

素朴なおやつ。詳しくは項目にて。

  • スイートポテト
大変スイートな洋菓子。サツマイモ、牛乳、砂糖、
バターなどを混ぜて整形し、表面に卵黄を塗ってオーブンで焼いたら出来上がり。黒ゴマはお好みで。

レトロな味わいがたまらない和菓子。
皮をむいて蒸したサツマイモを裏ごししてから塩・砂糖と合わせ、ラップを敷いた容器に詰める。
その上から更にラップを被せ、ギュギュッと力強く押した後冷蔵庫で冷やして完成。

  • 大学芋
外はカリカリ、中はホクホク。
乱切りにしたサツマイモを油で揚げた後、水飴・砂糖・醤油などを火にかけて作ったタレ、そしてゴマを乗せる。
肉団子と一緒に食べても◎。

  • 蒸しパン
しっとり、ふっかふか。
薄力粉とベーキングパウダー(もしくはホットケーキミックス)と卵と牛乳と砂糖を混ぜて生地をつくる。
あらかじめ蒸して角切りにしたサツマイモを生地に混ぜ、ペーパーカップに流し込んで蒸し器で15分蒸す。竹串で刺して生地が付かなければOK。

  • 鬼まんじゅう
ゴロゴロ、もちもち。東海地方の郷土料理。
角切りにしたサツマイモに砂糖をからめ、薄力粉を水で溶いた生地と混ぜて蒸す。
蒸しパンや普通のまんじゅうと比べるとサツマイモの割合が多くゴツゴツとした見た目が特徴。

外はサクサク、中はホクホク。
輪切りのサツマイモに衣を塗って油で揚げるだけ。
細切りにしてかき揚げにしてもよし。鹿児島県の郷土料理「がね」がよく知られている。

サツマイモの甘みをほんのり堪能できる。
普通の白米ではなく雑穀米やもち米で作っても美味。

  • 煮物
スイートな甘煮、甘くてさっぱりしたレモン煮、日本料理らしい甘しょっぱさが懐かしい甘辛煮、バターの香りで箸が進むバター煮やバター醤油煮などなど。リンゴと一緒に煮るのも良し。
おかずやお弁当のほか、おやつに食べても美味しい。

  • 芋焼酎
漢のジュース。お酒は20歳になってから。
よりサツマイモの香ばしさを味わえる焼き芋焼酎なんてのもある。


主な出演作品

  • あした元気にな~れ! ~半分のさつまいも
人々の主食として登場。
このアニメの原作は故林家三平の妻・海老名葉子による著書『半分のさつまいも』。

  • はだしのゲン
主人公のゲンが軍艦マーチのメロディーに乗せて、
「ジャンジャンジャガイモサツマイモ~♪」と歌っている。

  • 美味しんぼ
89巻第3話「サツマイモキネマ」で存分に食されている。

  • トリコ
アニメオリジナルの食材「まさつまいも」として登場
。第1回グルメモンスターコンテスト入賞作。

  • 星のカービィ
初代にアイテムとして出現。
カービィがゲットすれば一定の間だけ飛行状態になり、空気弾を連発できる。

  • 激走戦隊カーレンジャー
芋長の芋羊羹として出てくる。物語のキーアイテム。

  • じゃがいぬくん
はりぽてとちゃん(サツマイモとハリネズミを足して2で割ったようなもの)として活躍。

  • ドラえもん
しずかちゃんの大好物。
ひみつ道具にもそれっぽいものがある。

  • サザエさん
焼き芋、ふかし芋、天ぷら、芋版、オナラ、芋掘り、焼き芋屋さんetc.と、ネタを挙げればキリが無い。
焚き火や火鉢で焼き芋など昭和ならではのネタも。
原作のサザエは初登場シーンで蒸かし芋を食べている。

  • ちびまる子ちゃん
定番おやつとして蒸し芋が登場するほか、アニメでは石焼き芋、芋掘りをテーマにした回がある。
あの「おてもやん」は失敗した芋版から生まれた。

  • かいけつゾロリ
オナラが作品の根本となっているこの作品ではサツマイモの重要性は異常。

  • 21エモン
芋掘りロボット・ゴンスケはサツマイモに並々ならぬこだわりを持っており、彼の育てるサツマイモは絶品。

  • おおきなおおきなおいも
ベストセラー絵本。いもほり遠足が延期になってしまった園児たちが紙におおきなおいもを描いて…

  • からいもと盗人
熊本県の民話。不作に悩む天草に薩摩のご禁制品からいも(サツマイモ)が渡る話。



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最終更新:2022年10月17日 10:44