登録日:2025/06/20 Fri 20:58:02
更新日:2025/07/21 Mon 14:22:44NEW!
所要時間:約 20 分で蒸せます





サシャ・ブラウス…
貴様が右手に持っている物は何だ?


「蒸かした芋」です!
調理場に丁度頃合いの物があったので!つい!
――『進撃の巨人』より



(いも)とは、以下の意味を持つものである。「」と表記することもある。

1. 植物のからだにおいて、地下にある一部が栄養を貯めて膨らんだもの。農村でしばしば栽培され、地域によってはそれが重要な食料となりうる。

2. 1.の意より転じて、洗練されておらず、田舎臭さややぼったさを感じることをあざけって言う言葉。「あんた__ね」「_ジャージ」「_女」

3. FPS用語「芋虫スナイパー」の略。芋砂。
  激戦区から遠く離れた場所から狙撃を狙い続けるスタイルを指し、ずっと伏せ撃ち姿勢のまま動かない様子からこう呼ばれる。
  こうしたプレイスタイルはチームの勝利に貢献しづらく、転じて「いるだけで役に立たない味方プレイヤー」を指す蔑称としての意味合いも強い。
  FPS用語も参照のこと。

本稿では1について解説する。


▽目次

概要

植物の根や地下茎が養分をため込んで膨張したもののうち、デンプン質を多く含むものをいう用語である。
この概念は「球根」と重なる面もあり、「ジャガイモの球根」という言い方こそ普通はしないが、実際そういう表現はあながち間違いでもない。
但し、タマネギニンニク、ラッキョウは「球根」と呼ぶことができるもの、葉が地下に潜り、そこに養分をため込んで「鱗茎」と呼ばれる器官を形成するので、「芋」とは呼ばれない。
オニユリやヤマユリ、カノコユリなどの食用になるユリ類の球根、すなわち「百合根(ユリネ)」は加熱するとほくほくした澱粉質の食感であるし、現在でこそ山野草として知られるが、かつては澱粉を採取して食用や薬用として利用したカタクリの鱗茎も、これらも葉に養分がため込まれて「鱗茎」が生成されているので、「芋」とはみなされない。

一口に「芋」と言っても様々な植物種があり(後述)、我々人類の長い歴史において、それらは主に食用として、様々な形で利用されてきた。
しかし、この「芋」は植物にとって自らの繁殖手段の一つでもある。
動物に食べられてしまってはそこで「ジ・エンド」となるので、そうならないために有毒成分を持つことも決して珍しくはない。
第一、「芋」と聞いて真っ先に思い浮かべるジャガイモにしてからが、もっとも有名な有毒植物として名が上がるほどであるし、タピオカの原料のキャッサバや「こんにゃく」の原料のコンニャクイモも本来は人にとって有毒である。
調理中にサトイモを剥いていると、手に軽い痒みを覚えることがあるが、あれも軽い有毒成分による作用である。また、人によってはとろろを食べると口の周りが少しかゆくなることがあるが、それもヤマノイモが持つ、軽い毒成分の作用によるものである*1
彼らとてそういったものでも様々な工夫を凝らして食べる変な哺乳類がいるなんて思ってもいなかっただろう。


これら「芋」と呼ばれるものの中には、有毒成分が強すぎるか味が大変悪いためにどうやっても食えないものも存在する。古くはそうしたものもどうにか食べられるようにしてきたが、「飽食の時代」ともいうべき現代にその手段をとってまで食べようとするのは、この記事の筆者はあまりお勧めできない。やはり何と言っても中毒のリスクがそれなりに付きまとうためだ。かといって、「絶対にやめろ」と言い切ってしまうのは、それはそれで先人の努力を否定することになりかねない。
そういうわけで、「どうしても昔の人の食生活を実践してみたい」と思う読者の方々はあくまでも自己責任で実践することをお勧めする。

でんぷんに富み、主食となるが、いかんせん傷みやすいため、輸送や保存性の点で穀物に劣るのが難点である。
一方、収量が多く食べるための加工が容易な点では穀物に勝る。
そのため、輸送、保存ひいては貯蓄の点で勝る麦や米などの穀物が租税として物納される一方、農民は租税対象になりにくく収量も多い芋類を主食とする事もしばしばであった。
前述のように、やぼったさや田舎臭さの象徴として「芋」が用いられるのは、こうした歴史的背景に由来する。
とくに薩摩藩はサツマイモばかり食べていると思われていたようで「薩摩の芋侍」なんて言葉が残っているほど。
実のところ、貴族や江戸の侍などの上流階級も昔から普通に芋を食べていたのだが、飢饉や災害の非常食として芋が重宝された*2結果、「芋をよく食べる=非常食を普段から食べている貧乏人」というイメージがついてしまったのが原因らしい。


食用になる芋

ジャガイモ(Solanum tuberosum)

南米アンデス高原が原産のナス科ナス属の多年草。小麦、米、トウモロコシと共に「世界四大作物」の一角を占め、アイルランド、イギリス、ドイツ、ベルギー、中欧、北欧などでは主食として扱われている。
「芋」といったらまず思い浮かべるあのゴツゴツした芋である。
あの「片栗粉」の原料の一つでもあり、我々が毎日直接的ないしは間接的に摂取しているイモ類と言える。
芽や陽に当たって緑化した芋、ビー玉大の大きさほどしかない芋は「ソラニン」という成分を含んでいて有毒であるが、これらによる中毒事故は包丁で芽や緑化した箇所を削り取ったり、小さい芋を収穫しないようにすることで防ぐことができる。また、地上部の葉や茎もソラニンをたっぷり含んでいるので、決して食べないこと。
しばしば「馬鈴薯」と呼ばれることがあるが、この「馬鈴薯」という植物は別の植物(=マメ科のホドイモ)を指すという説もある。
詳細は個別記事にて。


サツマイモ(Ipomoea batatas)

熱帯アメリカ原産のヒルガオ科サツマイモ属の一年草。わが国には江戸時代初期に中国(明)→琉球→薩摩(鹿児島県)のルートで導入され、将軍・徳川吉宗の家臣である青木昆陽のおかげであまねく全土に普及し、江戸時代の飢饉や戦中・戦後の食糧難の際に我々の命を救った。
なお、英語圏ではサツマイモのうち、表皮が小豆色で内部が薄い黄色のものをSweet potato、表皮が褐色で内部が鮮やかなオレンジ色のものをYamと呼んで区別する。
茎(つる)も青菜として食用にすることができ、戦中戦後によく食されたが、現在も青菜の少ない夏において貴重な青菜兼健康野菜としてつる専用のサツマイモも作出され、栽培されている。
実際、同属の近縁種である中国野菜空芯菜(クウシンサイ)(ヨウサイ、アサガオナ)も地下に芋こそできないが、茎や葉は炒め物にして食用にすることができる。
こちらも詳細は個別記事にて。


サトイモ・タロイモ(Colocasia esculenta)ハスイモ(Colocasia gigantea)

サトイモもタロイモも植物学上はサトイモ科サトイモ属のほぼ同じ種なので、ここではまとめて記載する。

サトイモはタロイモの北方型というべき植物である。
我が国では縄文時代から利用されていたほど歴史が古い作物の一つで、江戸時代まで「芋」と言えば本種かヤマノイモ類を指した。
お隣の中国でも古くから食されており、中国語では「芋」一文字でサトイモを指し、「(ウー)」と発音するが、これはこの芋を掘り上げる際に発したどよめきの声に由来するという。
地下茎が肥大化した「芋」は、大抵は丸っこく、親芋を囲む様に子芋を生じる。中には「()(ガシラ)」という変り種(掌を広げた様なごつごつと枝分かれした芋になる)もあるが。
この芋を煮物や汁の実、雑煮の具として食する。古くはコメの取れにくい地域における正月、いわゆる「餅なし正月」において重要な主役としての役割を担っていた。東北地方、とくに山形県では「芋煮」の主役として欠かせない存在である。
ジャガイモのように茹でてつぶしたのち、コロッケにしてもおいしい。
芋以外では「ずいき」と呼ばれる赤みがかった葉柄部分も、表皮を剥いて食べやすい大きさに切り、ゆでてえぐみを取ってから煮物や汁の実にして食される。
なお芋もずいきもシュウ酸の針状結晶を含んでおり、生のままや生煮え状態で食べると口内を傷つける(えぐみの原因でもある)。この結晶はサトイモの場合は加熱すれば壊れるので、きちんと火を通して食べよう。

タロイモは東南アジア、オセアニア、アフリカ、ハワイなどの各地の熱帯地域で盛んに栽培され、品種が多い。実際にハワイの神話では、人類の祖先はタロイモとされている。現地では蒸し焼きにしてをつけて食すほか、ゆでてつぶし、マッシュポテト状にして主食とする。
「サトイモ属」とは別種であるものの、ポリネシアで栽培され、「タロイモ」の一種とされる植物に「キルトスペルマ・メルクシィ」(Cyrtosperma merkusii)という植物がある。こちらは葉柄が3mほどにもなるもので、塊茎には毒がある。この芋をすりおろしたのちに水にさらしたり、茹でたりすることで毒は抜けるので、こうなれば主食として食することができる。余談だが、わが国ではこの(しゅ)の幼い個体がエキゾチックな観葉植物としてまれに花屋で出回る。

植物学上は別種だが、しばしばサトイモの一種として挙げられるハスイモは「芋」という名前こそついているものの、こちらの芋は小さくてかたく食用にはならない。
こちらは葉柄のみをゆでてえぐみを取り、煮物や酢の物とする。高知県では「りゅうきゅう」と呼んで、茹でたものを「田舎寿司」という野菜と酢飯だけで作ったお寿司の具材とする。酢飯の白とハスイモの茎のライトグリーンのコントラストが美しい逸品である。
熊本県では「肥後ずいき」という特産品が知られているが、これはハスイモの茎を乾燥させ、細く切ったものを縄状に編んだものをいう。
江戸時代の武家において保存食として珍重された。これと「味噌玉」をお椀に入れ、お湯を注げば今でいう「即席みそ汁」の出来上がりである。
大奥では大人のおもちゃとしても重宝されたという。


コンニャク(Amorphophallus rivieri)

前述のサトイモ同様、サトイモ科に属する植物(こちらはコンニャク属)。マンナンという成分を含んでおり、これが「こんにゃく」が「お腹のお掃除屋さん」と言われるゆえんである。
だがその一方で、サトイモよりもはるかに高濃度のシュウ酸を含んでおり、ゆでてそのまま食そうものならシュウ酸カルシウムの結晶が口全体にぶっ刺さり、悶絶すること間違いなし。
その激痛たるや、かつて芸能人の所ジョージ氏が自身の冠番組『所さんの目がテン!』において、本種を試食した際に普段試食の際には平常心である様子を見せるのとは対照的に、即座に拒絶反応を起こし、悶絶したほどである。
それゆえ、芋を粉にしたのち、水とともにこねた後に石灰乳*3を混ぜ、煮て固めた「こんにゃく」にして食する。
本来、この手順で作った「こんにゃく」は真っ白だが、その過程の途中でヒジキやアラメなどの海藻の粉末を混ぜることで、あの独特の灰色になる。

近縁種に、東南アジアで栽培される「ゾウコンニャク」(A.paeoniifolius)と呼ばれるものがあるが、こちらはマンナンを含まないので、芋を「こんにゃく」に加工せず、ゆでてから食する。
余談だが、こちらは近縁種である「世界最大の花」ことショクダイオオコンニャク(スマトラオオコンニャク、A.titanum)同様、かなりの悪臭を放つ花*4を咲かせることで知られる。


アメリカサトイモ(Xanthosoma sagittifolium)

西インド諸島から中南米が原産のサトイモ科アメリカサトイモ属の多年草である。属名のラテン語を日本語読みした「キサンソトマ(クサンソトマ)」や、原産地での「ココヤム」という名称でも知られている。
我が国では沖縄県で時に栽培される。全体的な姿はサトイモによく似ているが、葉は先端が尖り、網状脈で縁取られる。
我が国のサトイモのように芋や葉柄を食用にするのだが、サトイモに比べてえぐみが強いので、よく加熱する必要がある。
普通葉柄は黄緑色だが、紫色に色づく品種もあり、そちらもまた煮て食されるほか、葉柄と葉を観賞用にする。


ヤマノイモ類(ヤマノイモ、ナガイモなど。Disocorea.sp)

ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で、「芋」と呼ばれる部分は植物学上はヤマノイモ科特有の「坦根体」という。
本来、「ヤマノイモ」とはわが国在来の山野に生える植物である「自然薯(ジネンジョ)」(Dioscorea japonica Thunb.)と呼ばれるもののみを指すのだが、現在は「自然薯」とともに、中国原産の栽培種である「ナガイモ」(D.polystachya Turcz.)、ナガイモの栽培群の一つで丸めたような形状の「ツクネイモ」、同じくナガイモの栽培群の一つでイチョウの葉のような独特な形状の「イチョウイモ(ヤマトイモ)」もひっくるめて「ヤマノイモ」と呼ぶことが多い。
なお、オセアニアや東南アジアの熱帯地域で栽培される「ヤムイモ」もヤマノイモ科ヤマノイモ属に属しており、食用のため利用される。名称は日本語の「ヤマノイモ」によく似ているが、その点においては両者のつながりは特にない。
こちらはヤマノイモと違ってあまり粘らず、食感が澱粉質なので、蒸かして塩をつけて食べる。
「自然薯」は栽培が難しく、ほとんどのものは山に入って収穫しなければならないことから、高級食材の扱いを受ける。その一方で「ナガイモ」は今や年中手に入るありふれた食材となっている。
いずれも普通「芋」をすりおろして「とろろ」にしたのち、そばうどんにかけて食べるほか、出汁や酒、みりん、醤油、白味噌、卵などで伸ばし、麦飯にかけて食べる「麦とろ」も美味である。「とろろ」の粘りは自然薯が最も強く、ナガイモが最も弱い。
また、この「とろろ」は加熱するとふわふわとした食感になるので、かまぼこやはんぺんなどの魚肉練り製品の「つなぎ」にも用いるほか、お好み焼きの「たね」にも混ぜてもよい。
葉の付け根にできる球芽、いわゆる「むかご」も茹でて塩をつけて食するほか、米と一緒に塩で炊き込む「むかご飯」にしてもおいしく、そのホクホクとした食感が好まれ、秋の珍味とされる。
いわゆる「ヤマノイモ」としてひとくくりにされる植物はほかに、鹿児島県や沖縄県などで栽培され、かなり大きな塊茎(断面が白いものと赤紫色のものがある)を持つ「大薯(ダイジョ)」(D.alata L.)、沖縄や中国・台湾で生息例が知られ、食用として利用される「キールンヤマノイモ」(D.pseudojaponica Hayata)が知られる。


カシュウイモ(Dioscorea bulbifera L. f. domestica (Makino) Makino et Nemoto)

前述のヤマノイモ類同様、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属しているが、「ヤマノイモ類」の範疇に入れられることはごくまれである。よって、本稿でも区別するものとした。
ツル性の多年草で、葉は細長いハート型で、明確な葉脈を持っている。
歪んだ球形といった形状の芋である。表面は黒味の強い褐色で、表面には長い毛が生えていることから、「毛芋(ケイモ)」と呼ばれることもある。葉腋につくむかごも歪んだ球形で、芋ほどではないものの、それなりの大きさになる。
古くは塊茎を掘り出して食したようだが、明治期から昭和期の植物学者・牧野富太郎の代表的著書『牧野日本植物図鑑』には「むかごと根茎を煮て食用にするが、美味くない」(makinomantaro口語訳)という旨の内容が述べられており、救荒植物の一種として利用するものであったといえるだろう。
和名の「カシュウイモ」は「何首烏芋」と表記し、地上部の蔓や葉が「ツルドクダミ」という植物*5の蔓に見た目が似ていることに由来する。
近縁種の宇宙イモ(エアーポテト、宇宙芋)は直径15cmほどのかなり大きいむかごを食用にする。このウチュウイモは、草姿がカシュウイモとほぼ同一であるため、カシュウイモの改良種であるとされる。むかごはなかなか癖の強い見た目だが、見た目に反して癖がなく、ジャガイモに似た味と食感で、煮物や揚げ物にして食すと美味であるといわれる。


ハリイモ(Dioscorea esculenta (Lour.) Burkill)

前述のカシュウイモやヤマノイモ類同様、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属しているが、「ヤマノイモ類」の範疇に入れられることはごくまれ。
東南アジアや中国南部一帯で栽培されるつる性多年草で、茎や楕円形の芋に針状の棘があることからこの名がある。なお、「トゲドコロ」という別名もあるが、これもやはり芋の見た目にちなむ。
癖のある見た目だが、味はよく、甘味があって栄養価も高い。ゆでて塩をつけて食すのが一般的な食べ方であるとされ、みそ汁コロッケにもされる。
近年は健康に良い成分のみを抽出したサプリメントも開発され、少しずつではあるが、健康食材の一種として知名度が上がっている。
昭和時代の植物学者・北村四郎の著作集の一つである『北村四郎選集2 本草の植物』における『本草綱目の植物』の章によれば、中国ではハリイモに対して「甘藷」の漢字を当てているが、わが国ではこの名称がサツマイモに誤って当てられており、本来のサツマイモの漢字表記は「蕃薯」が正しいという。


タシロイモ(Tacca leontopetaloides)

ヤマノイモ科*6タシロイモ属に属する熱帯アジアやミクロネシアなどが原産の多年草である。地下に直径10cmないしは15cmの褐色の球形の塊茎ができ、そこから長さ1mほどの茎を出し、3つに深く切れ込んだ掌状の大型の葉を出す。
塊茎ではそのままでも加熱しても苦みとえぐみが強すぎて食用には向かず、食するには塊茎を砕いて水にさらし、沈殿した澱粉を取り出し、それを乾かして粉にする必要がある。
和名は、この植物を我が国に持ち込んだ明治時代の植物学者・田代安定(たしろやすさだ)に由来する。これにより、一時的に沖縄島や小笠原諸島で栽培されたという。
近縁種の「タッカ・シャントリエリ」(T.chantrieri André)はもっぱら黒猫を思わせるような見ためをした花を観賞用とするために「ブラックキャット」という愛称で栽培されるが、こちらも塊茎が食用にされた歴史を持つ。


ホドイモ(Apios fortuneri)・アピオス(Apios americana)

いずれもマメ科ホドイモ属の蔓性多年草である。前者は中国や日本の在来種で、後者は明治中期にわが国に導入されたアメリカ原産の種である。
草姿は両方ともよく似ているのだが、前者は地中に大きな芋が一つできるのに対し、後者は小さなイモが複数できる。芋は鮮やかな黄褐色で、両端の尖る楕円形ないしは球形である。
いずれも蒸かしてから塩をつけて食べるほか、炒め物や煮物にして食べる。
なお、東北地方で「ホド」の名称で栽培される作物は「アピオス」の事である。
一説には、ジャガイモの別名として知られる「馬鈴薯」は、本種に充てられるべきではないかと言われている。


ヒカマ(クズイモ、Pachyrhizus erosus (L.) Urb.)

メキシコが原産とされるマメ科クズイモ属の蔓性多年草である。わが国では沖縄県で少数が栽培される程度で、あまり普及していない。
芋はカブに似た形状で、ふつう500g程度だが、生育条件によっては2㎏を超すこともあるようである。表面はジャガイモを思わせる色合いだが内部は白く、梨のような甘みがあるという。
和名で「クズイモ」と呼ばれるのは、地上部分のつるが同じマメ科の(クズ)のようであることから。芋は食用となるが、豆やその莢は有毒である。


キャッサバ(Manihot esculenta)

トウダイグサ科マニホット属に所属する熱帯植物で、これまで挙げてきた芋類には珍しい低木、すなわち「木本植物」である。
芋はサツマイモに似た形状だが、それよりも細い見た目である。
栽培こそ芋を土にさしておけばそこから芽を出してあっという間に成長するほど簡単で、更に作付面積当たりのカロリー生産量は芋類・穀類の中では最高なのだが、主要な芋類程には全世界に普及を見ていないのは毒抜きにかなりの手間がかかるためであるとされる(芋に有毒成分の青酸が含まれている)。
十分に毒抜きされてないキャッサバの摂取で死亡したり、痙性不全対麻痺などの症状を示すコンゾ(Konzo)を発病する例がアフリカで確認されている。

それでも生産地域では毒の少ない品種(甘味種/スイート)を、皮や芯を取り除いたうえで根菜として蒸す・茹でる・揚げる等して食しているという。
日本では生の芋を見かける機会はそれほど多くないが、タイ料理などの東南アジア料理やブラジル料理に用いるためのエキゾチックな食材を扱っている店で生の芋(おそらく甘味種)を見かけることがある。

有毒の苦味種(ビター)も様々な方法で毒抜きしたり、デンプンを精製したり、発酵させてアルコールの原料にされたりしている。

キャッサバのデンプンは水と練って丸め、乾燥させてタピオカに加工される。このタピオカは独特の見た目*7とモチモチとした食感がウリで、わが国において幾度かブームを引き起こしている。
実は我が国においてタピオカが導入されたのは意外と古く、江戸時代末期の事である。蘭学者の高野長英が「答必膃加」の漢字を当てて日本に紹介している。明治期・大正期にもブームを起こしたが、それは現在のようにデザート用としてではなく、コメに代わる主食兼保存食としてであった。

食用以外にも、葉の形状がパラソルのようで面白いので、この葉を観賞用にするために苗が花屋や園芸店の通販で出回ることがある。緑色地に黄色い模様が入る「バリエガタ」という品種が人気である。


キクイモ(Helianthus tuberosus L.)

北アメリカが原産のキク科ヒマワリ属の多年草で、我が国には幕末から明治時代にかけて渡来し*8、当初は飼料用だったが、大正~昭和の戦前になって野菜としての利用もなされるようになっている。
ヒマワリ属に属するだけあって、草姿は同属のヒマワリをミニチュアにしたような見た目である。
秋に地中にできるごつごつとした形状の芋を掘り出して食用にする。芋は白っぽい黄褐色のものと赤紫色のものがある。
ジャガイモとゴボウに似た風味とシャリシャリとした食感を持ち、煮物や漬物などにする。
ちなみに芋に含まれる多糖類はデンプンではなく、人間には消化できないイヌリン。芋でありながら低カロリーなため、健康食品としても注目されている。また果糖やアルコールの原料にもされる。
一方、野生化した個体群が外来種として問題となり、駆除対象の植物として知られることもある。
英名をerusalem artichokeというが、イスラエルの都市・エルサレムとは一切関係がない。これは古いイタリア語でGirasole Articioccoと呼んでいた際に、Girasoleの部分が訛ったためであるとされる。



ヤーコン(Smallanthus sonchifolius)

ペルーやボリビアなどの南アメリカ地域が原産のキク科スマランサス属に属する多年草で、わが国には昭和時代末期に渡来し、健康野菜として少量が栽培される。
芋はサツマイモにそっくりな形状であるが、サツマイモとは異なり、でんぷんではなく「フラクトオリゴ糖」」を蓄積しているので、ホクホク感はなく、梨(和梨)や蓮根を思わせるようなシャリシャリとした食感とさわやかな甘みがある。このため、加熱調理をせずにサラダや酢の物にして食べる。もちろん、煮物や天ぷらにしてもおいしい。
詳細は個別記事にて。


ダリア(Dahlia pinnata)

メキシコが原産のキク科ダリア属の多年草で、我が国には江戸時代に渡来し、当初は異国情緒にあふれながらもどこか牡丹の花を思わせる見た目からか、「天竺牡丹(テンジクボタン)」と呼ばれた。
多くの品種があり、現在は園芸植物としてすっかりおなじみのダリアだが、実は球根が食用になることをご存じだろうか?
我が国では食用としてのなじみはほぼ皆無と言ってもいいほどであるが、原産地では球根をイモ類の一種として食用にしている。
かつてアイルランドで「ジャガイモ疫病」が蔓延したことでジャガイモの収穫量が激減し、代替品を探す必要に迫られた際には救荒作物として栽培された。
現在の比較的新しい品種は花を観賞用にすることに特化しているため、いざ球根を掘り出して食べても、水っぽくておいしくないことが多いそうである。球根を食してみたいならば原種系の品種を購入するのがおすすめである。


ルートチャービル(Chaerophyllum bulbosum)

セリ科キャエロフィルム属に属するヨーロッパ中部が原産の多年草で、名前にある「チャービル」と同じセリ科であるが、属が異なる(チャービルはチャービル属に属している)。また、チャービルの葉がハーブとして利用されるのに対し、本種の葉は毒があるので利用できない。芋は白いニンジンをずんぐりむっくりにしたような形状である。
元々は野生品を利用するにすぎなかったが、ジャガイモ疫病が発生し、ジャガイモの収穫量が大きく落ち込んでその代替品が必要になった際にヨーロッパにて重宝した作物の一種である。
栽培が難しいので、現在はフランスでごくわずかに栽培され、高級食材として利用されるのみである。


チョロギ(Stachys sieboldi)

お正月の具材として有名で、黒豆の上に載っている赤い渦巻き状のものがそれである。とはいってもこれは赤い甘酢につけているためであって、実際は白っぽい褐色なのだが。
中国が原産のシソ科イヌゴマ属の多年草で、地下の根の先端にできた全長3㎝程の巻貝のような形状の芋(地下茎)を食する。澱粉は含んでおらず、シャキシャキとした食感がウリである。前述のように赤い甘酢に漬けた漬物とするほか、炒め物やサラダ、フライにする。
和名は、韓国語の「ジロイ」(ミミズ)に由来するが、言いえて妙である。


オカ(Oxalis tuberosa)

カタバミ科カタバミ属に属する多年草で、アンデス高地が原産である。同地ではジャガイモと同様、重要な主食として利用されている。わが国ではごくまれに家庭菜園用に苗が「アンデスカタバミ」という名称で出回る程度である。
地下茎は概して短い棒状となり、こぶ状に肥大化して塊茎となり、白・黄・赤・紫など様々な色がある。
シュウ酸によるえぐみが強いので生食はされず、下茹でしてから揚げ物やスープ、煮込み料理の具材にして食す。


ショクヨウキュウコンキンレンカ(Tropaeolum tuberosum)

ノウゼンハレン科ノウゼンハレン属の多年草で、南アメリカが原産地である。特にアンデス高地やボリビアで多く栽培され、現地名の「マシュア」という名称でも知られるほか、我が国には明治後期には導入され、後述する塊茎の特徴から、「玉凌霄葉蓮(タマノウゼンハレン)」とも呼ばれた。
地上部はハーブのナスタチウム(ノウゼンハレン)を小さくしたような見た目で、花もナスタチウムのそれによく似ているが、一回り小さくなる。
地下にこん棒型ないしはごつごつした球形の塊茎を結び、塊茎の色は黄色や白、黄色時に赤い模様の入るものなどさまざまである。
塊茎は焼いて食べるほか、えぐみがないので、刻んだ生の塊茎をサラダに混ぜて食べることもある。


クワイ(Sagittaria trifolia var. edulis)

こちらもお正月のお節料理の具材として有名。芋(地下茎)から芽が出ている様子を「めでたい」にかけた縁起ものである。
オモダカ科オモダカ属の水生多年草のオモダカが栽培され、突然変異を起こしたものであるといわれる。よって、植物学上はオモダカの変種とされる。
原産地は中国とされ、日本に渡来した時期は不明だが、奈良時代や平安時代の書物にはすでに名前が見られ、江戸時代には盛んに栽培されていた。根茎が青色がかった鼠色の「青クワイ」、淡青色の「白クワイ」、小粒の「吹田クワイ」*9の3種類があり、いずれも水田で栽培されるが、最も栽培が多く、年末年始にかけてスーパーマーケットやデパートで出回るのは「青クワイ」である。
茹でると栗やサツマイモを足して2で割ったような風味で、煮物にすることが多い。
江戸時代を舞台にした時代劇で、お医者さんのことを「慈姑頭(くわいあたま)」と呼ぶことがあるが、これは髷をまっすぐ結ったヘアースタイルを、芽を出したクワイの根茎の形状に例えたものである。

中華料理でシャキシャキとした食感のサトイモのような野菜がしばしば「中国クワイ」として紹介されるが、これはカヤツリグサ科ハリイ属の「オオクログワイ」(Eleocharis dulcis)という植物で、クワイとは別種である。
皮をむく前の「芋」に該当する部分は直径2cmから4㎝程となり、クワイより一回り大きく、表皮は黒みをおびた褐色である。栗の実を一回り大きくしたような見た目なので、英語圏ではWater chestnutと呼ばれる*10
オオクログワイが栽培化される前の水田雑草で、オオクログワイより一回り小さい「芋」を結ぶ「シログワイ」も食用にすることができ、かつては救荒植物として知られたが、同時に田んぼの害草としても知られ、現在は「厄介者」としての扱いを受ける傾向にある。


ショクヨウカンナ(Canna edulis)

カンナ科カンナ属の多年草で、西インド諸島ならびに南アフリカ原産が原産である。わが国には江戸時代に渡来したという記録が残っているらしいが、現在に至るまでほとんど普及しておらず、各地の植物園で標本的に栽培されるのみである。
観賞用にされるカンナ(ハナカンナ)同様、初夏~秋に花を咲かせるが、温室で栽培する場合、ほとんど一年中花を咲かせるという。
地下に棒状の芋(地下茎)を持ち、ハナカンナのそれより太くなる。この芋は澱粉に富み、味もよく、ジャガイモに似た味がするという。


クズウコン(Maranta arundinacea)

中央アメリカが原産のクズウコン科マランタ属の多年草で、地下茎から澱粉をとるために、各地の熱帯地域で栽培される。和名は「葛鬱金」という意味で、葛のように地下茎から澱粉を取り、全体の草姿がウコンに似ているためである。
地下茎は棒状あるいは生姜型で、澱粉質に富む。英語圏ではこの澱粉質を「アロールート」と呼んでお菓子に利用する。わが国でいうところの「葛粉」と同じ感覚である。
「アロールート」の名称は前述のタシロイモやショクヨウカンナから採取した澱粉やフロリダソテツ(ソテツ科ザミア属、Zamia pumila)から採取した澱粉にも用いられたが、前者はそれぞれ「ポリネシアン・アロールート」「クイーンズランド・アロールート」、後者は「フロリダ・アロールート」と呼ばれ、区別された。




食用にしない芋・食用にできない芋

クワズイモ(Alocasia odora)

四国や九州南部、台湾、中国、フィリピン、ニューギニアに生息例が知られるサトイモ科アローカシア属の多年草で、属名の「アローカシア」で花屋や園芸通販で出回っており、しばしば観葉植物として栽培される。
名前はずばり「食わず芋」で、サトイモにそっくりな見た目だが芋は食えないことから。
食えないといっても「硬い」「不味い」とかそんなレベルじゃあ断じてない。全草に含まれる高濃度のシュウ酸の結晶が口の粘膜にぶっ刺さって激しい苦痛に悶絶し、嘔吐や下痢などの症状を引き起こす。ひどい場合には死ぬ
太平洋戦争中、ニューギニアで日本軍の兵士が究極の飢餓状態のなか、「野生のサトイモがある」と思い込んで本種を食べてしまい、激しい中毒症状に苦しみ、生死の境をさまよったという記録が残っている。
各地に残る「弘法大師と石芋の伝説」*11のモデルになった植物ではないかといわれる。


ヘビイモ(Sauromatum venosum)

インド・ネパールの標高200m前後の地点を原産とするサトイモ科サウロマタム属の多年草である。
直径15㎝程の、ごつごつとしたコンニャク芋を思わせるような形状の塊茎を持つが、有毒成分を含んでおり、いかなる処理をしても有毒成分を完全に抜き去ることが難しく、「煮ても焼いても食えない」を地で行く植物である。
この塊茎から芽を出し、全長70㎝から80㎝にまで成長する。葉の付き方もコンニャクのそれに似ている。
和名は、茎の独特な模様をヘビに例えたものである。なお、特徴的な葉の模様から観葉植物として人気のあるサンセベリアのことを「ヘビイモ」ということがあるが、これは英名のSnake plantを誤訳したものではないかと言われる。また、サンセベリアはキジカクシ科に属するので、本種とは縁遠い植物である。


オニドコロ(Dioscorea tokoro Makino)

ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で、里山で普通に見られる。
全体的な草姿はヤマノイモに酷似しているが、ヤマノイモと違い、いもは苦味が強く、「ジオスジン」というアルカロイドを含んでいるので、食用にはされない。
古くは何度も灰汁で茹でて水にさらすことで有毒成分を抜いてから食することもあり、江戸時代にはこれが栽培化されて根茎の苦みが和らいだ「ヒメドコロ」(一名エドドコロ、Dioscorea tenuipes Franch. et Sav.)という野菜が栽培されたが、現在は逸出し、再び野生化している。
毒抜きにかなりの時間と手間がかかり、調理方法も制限されるので、飽食の時代である現代に試すのは筆者としてはあまりお勧めできない。


ニガカシュウ(Dioscorea bulbifera L. f. spontanea (Makino) Makino et Nemoto)

前述のカシュウイモの原種ではないかとされる植物種である。全体的な特徴はカシュウイモの項目を参照にしていただきたい。蔓性の多年草で、葉はカシュウイモのそれと少し似ているが、比較的丸みを帯びている点で区別できる。
本種の芋やむかごは苦味が強く、「舌がしびれる」ほどであるといわれる。このため、山菜について解説する書籍では、本種を有毒植物の一種として記載していることがある。
その一方で、「加熱すると苦みは消え、食用にすることができる」「ジャガイモに似た味がする」という報告もないわけではない。
とはいえ、現在はどちらかというと本種を有毒植物として見る向きが強いため、「食用にできない芋」に本種を組み込むこととした。


ソメモノイモ(Dioscorea cirrhosa Lour.)

ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で、南アメリカが原産である。わが国においては南西諸島に分布しており、それ以外の地域ではインドネシアなどで生息が確認されている。
10m近い蔓を伸ばし、地中に暗赤色の60㎝以上もある大きな塊根を結ぶ。
八重山諸島ではこの塊根を細長い形状にすりおろして乾燥させ、煮出して「八重山上布」という布を染めるのに用いた。本種を使って染めた布は鮮やかな朱色になるという。








芋にまつわることわざ・慣用句・比喩表現

・家柄より芋がら
良い家柄より、食べられる芋がらの方が値打ちがあるということ。そこから、落ちぶれた名家出身の人物が今なお虚勢を張るさまをあざけって言う言葉。


芋幹(いもがら)で足を衝く
油断して思わぬ失敗をすること。また、大げさなことやあり得ないことの意。


・一番愚かな農夫が一番大きなジャガイモを得る
知識や経験が少ない人でも、幸運が味方して大きな成果を得ることがあるという意味。また、あまり苦労をせずに得をした人をやっかむ意味もある。元々はドイツのことわざで、原文は「Die dümmsten Bauern ernten die dicksten Kartoffeln.」。


・芋づる式
サツマイモの蔓を手繰り寄せると次々と芋が連なって出てくる様子から、ある一つのことをきっかけとして、関連する人物や物事が次々と明らかになっていく様をいう。


・芋の煮えたも御存じない
芋の煮え具合を指す際には菜箸を刺して確認するが、そのことを御坊っちゃん・お嬢ちゃん育ちの人は知らない。
そこから、世間の事情に疎い人をあざけって言う言葉。江戸いろはがるたの「ゐ」。


・芋を洗うよう
狭い所で大勢の人が込み合う様子。たくさんの芋を水を張った桶に入れ、棒でかき回すようにして洗うようすから。
慣用句としては十二分に残っているが、実際にこの方法で芋を洗う人は少なくなってきている不思議な言い回し。


・芋を引く
怖気づくこと。及び腰になること。芋を収穫する際に腰を落とすような動作になることから。
いわゆる「ヤ〇ザ言葉」の一種なので、日常生活ではあまり用いない方がよい。


・塗り箸で芋を盛る
物事がやりにくく、もどかしい心情を意味する。漆塗りの箸で煮た芋をつかもうとしてもぬるぬると滑ってつかみにくいことから。


・山の芋鰻になる
起こるはずのないことが起こること。また、物事が意外な変化をすること。
ウナギの生態が謎に包まれており、「山芋がウナギに化けている」という伝説まで生まれたことから。
真逆の意味である「山の芋鰻にならず」という表現も存在する。


・芋っぽい(女の子)
「ダサい」「モブっぽい(外見)」の意。つまり華やかさがあまりに少ないとか、「ブスではないんだけどかわいくはない」系統の女の子の外見の比喩。
性質上実在する女性に言うとあまりにも失礼なため、だいたいはいわゆる二次元媒体のキャラデザの説明やジャンル分けに使われる。
このためか、多くはあまりポジティブな意味合いのキャラクターデザインとは見なされないものの、人や場合によってはむしろ好ましいキャラデザインと見なされることも。
衣装チェンジ要素のある作品だと「チェンジ前がこれ系、チェンジ後がいかにも正統派アイドル然とした可愛い外見」はあるあるネタ。例として荒木比奈(『アイドルマスターシンデレラガールズ』)






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最終更新:2025年07月21日 14:22

*1 とはいえ、サトイモやヤマノイモのもたらす痒みは手を洗えば数十分ほどで収まるほどのもので、それほど過敏になる必要はない。また、サトイモに至ってはよく加熱したものを食べれば口がかゆくなることはない

*2 江戸時代中期に青木昆陽が著した『蕃藷考』によりサツマイモの有用性が認められ、飢饉の際にこぞって栽培された他、江戸時代後期には蘭学者・高野長英が非常時における早蒔きのソバとジャガイモの有用性について述べた『二品考』を記し、救荒作物として日の目を見たことが実例として挙げられる。但し、明治時代まで我が国においてはジャガイモの調理法に合うような食材やその調理法に乏しかったため、そちらの普及は大幅に遅れている

*3 草木灰で代用されることも

*4 無論人間への嫌がらせではなく、これらの原産地であるインドネシアのスマトラ島のような熱帯地域では、受粉に一役買ってくれる昆虫の種が少ないためである

*5 余談だが、ややこしいことにこの植物は名前に「ドクダミ」とありながらも、ドクダミ科ではなくタデ科に属する

*6 古くはタシロイモ科という独立した科に分類されていた

*7 本来のタピオカでんぷんの色は純白だが、イカ墨を混ぜることで真っ黒な見た目になる

*8 幕末~明治期の農学者・津田仙(津田梅子の父)の記録によれば、イギリス全権公使・オールコックが逗留先の高輪東禅寺において、手持ち無沙汰を解消するため、非常食として持参していた芋を庭に植えて育て、収穫した芋を自ら調理し、老中・安藤対馬守信正にふるまったのが我が国における最初の記録であるらしい

*9 江戸時代から現在の大阪府吹田市に該当する地域で栽培されてきたことからこの名前がある。一時栽培が減少して消滅しかけたが、地産地消の取り組みで栽培が再開された

*10 果実をゆでて食するミソハギ科の水草の菱(ヒシ)もこの英名で呼ばれるが、これは茹でて食する際のホクホクとした食感を栗に例えたものである

*11 旅の途中で空腹にあえぐ弘法大師こと空海が、とある村の住人が芋を煮ているのを見てその芋を分けてくれるように頼んだところ、村人は「この芋はどれだけ煮ても石みたいに硬いですから、お坊様にはとても差し上げられません」と意地悪を言い、空海に芋をあげなかった。やがて、その意地悪な村人が芋を食べようとしたところ、本当にその芋が石のように硬くなって食べられなくなっていた…という伝説