登録日:2025/06/20 Fri 20:58:02
更新日:2025/06/21 Sat 00:08:08NEW!
所要時間:約 20 分で蒸せます
サシャ・ブラウス…
貴様が右手に持っている物は何だ?
「蒸かした芋」です!
調理場に丁度頃合いの物があったので!つい!
芋(いも)とは、以下の意味を持つものである。「薯」と表記することもある。
1. 植物のからだにおいて、地下にある一部が栄養を貯めて膨らんだもの。農村でしばしば栽培され、地域によってはそれが重要な食料となりうる。本稿ではこちらについて解説する。
2. 1.の意より転じて、洗練されておらず、田舎臭さややぼったさを感じることをあざけって言う言葉。「あんた__ね」「_ジャージ」「_女」
3. FPS用語「芋虫スナイパー」の略。激戦区から遠く離れた場所から狙撃を狙い続けるスタイルを指す。見た目からして消極的な戦法であることに加え、相当な腕前がないとチームの勝利に貢献しづらいことから、蔑称としてのニュアンスが強い。
目次
概要
植物の根や地下茎が養分をため込んで膨張したもののうち、デンプン質を多く含むものをいう用語である。
この概念は「球根」と重なる面もあり、実際に「ジャガイモの球根」という言い方こそ普通はしないが、あながち間違いでもない。
但し、タマネギやニンニク、ラッキョウは葉が地下に潜り、そこに養分をため込んで「鱗茎」と呼ばれる器官を形成するので、「芋」とは呼ばれない。
一口に「芋」と言っても様々な植物種があり(後述)、我々人類の長い歴史において、それらは食用をはじめ様々な形で利用されてきた。
しかし、この「芋」は植物にとって自らの繁殖手段の一つでもある。
動物に食べられてしまってはそこでジ・エンドとなるので、そうならないために有毒成分を持つことも決して珍しくはない。
第一、「芋」と聞いて真っ先に思い浮かべる
ジャガイモにしてからが、もっとも有名な有毒植物として名が上がるほどであるし、タピオカの原料のキャッサバや「こんにゃく」の原料のコンニャクイモも本来は人にとって有毒である。
調理中にサトイモを剥いていると、手に軽い痒みを覚えることがあるが、あれもある意味有毒成分のなせる業である。
彼らとてそういったものでも様々な工夫を凝らして食べる変な哺乳類がいるなんて思ってもいなかっただろう
これら「芋」と呼ばれるものの中には、有毒成分が強すぎるか味が大変悪いためにどうやっても食えないものも存在する。古くはそうしたものもどうにか食べられるようにしてきたが、「飽食の時代」ともいうべき現代にその手段をとってまで食べようとするのは、この記事の筆者はあまりお勧めできない。やはり何と言っても中毒のリスクがそれなりに付きまとうためだ。「どうしても昔の人の食生活を実践してみたい」と思う人は自己責任で。
主食となるが、いかんせん傷みやすいため輸送や保存性の点で穀物に劣るのが難点である。
一方、収量が多く食べるための加工が容易な点では穀物に勝る。
そのため、輸送、保存ひいては貯蓄の点で勝る麦や米などの穀物が租税として物納される一方、農民は租税対象になりにくく収量も多い芋類を主食とする事もしばしばであった。
前述のように、やぼったさや田舎臭さの象徴として「芋」が用いられるのは、こうした歴史的背景に由来する。
食用になる芋
ジャガイモ
南米アンデス高原が原産のナス科ナス属の多年草。小麦、米、トウモロコシと共に「世界四大作物」の一角を占め、アイルランド、イギリス、ドイツ、ベルギー、中欧、北欧などでは主食として扱われている。
「芋」といったらまず思い浮かべるあのゴツゴツした芋である。詳細は
個別記事にて。
サツマイモ
熱帯アメリカ原産のヒルガオ科サツマイモ属の一年草。わが国には江戸時代初期に中国(明)→琉球→薩摩(鹿児島県)のルートで導入され、将軍・徳川吉宗の家臣である青木昆陽のおかげであまねく全土に普及し、江戸時代の飢饉や戦中・戦後の食糧難の際に我々の命を救った。
なお、英語圏ではサツマイモのうち、表皮が小豆色で内部が薄い黄色のものを
Sweet potato、表皮が褐色で内部が鮮やかなオレンジ色のものを
Yamと呼んで区別する。
こちらも詳細は
個別記事にて。
サトイモ・タロイモ/ハスイモ
サトイモもタロイモも植物学上はサトイモ科サトイモ属のほぼ同じ種なので、まとめて記載することとした。サトイモは我が国では縄文時代から利用されていたほど歴史の古い作物の一つで。タロイモの北方型というべき植物である。
江戸時代まで「芋」と言えば本種かヤマノイモ類を指した。お隣の中国でも古くからされており、中国語では「芋」というが、これはこの芋を掘り上げる際に発した驚きの声に由来するという。
地下茎が肥大化した「芋」を煮物や汁の実、雑煮の具として食するほか、「ずいき」と呼ばれる葉柄部分もゆでてえぐみを取ってから煮物や汁の実にして食用にされる。
タロイモは東南アジア、オセアニア、アフリカ、ハワイなどの各地の熱帯地域で盛んに栽培され、品種が多い。実際にハワイの神話では、人類の祖先はタロイモとされている。現地では蒸し焼きにして塩をつけて食すほか、ゆでてつぶし、マッシュポテト上にして主食とする。
植物学上は別種だが、しばしばサトイモの一種として挙げられるハスイモは「芋」という名前こそついているものの、こちらの芋は小さくてかたく食用にはならない。こちらは葉柄のみをゆでてえぐみを取り、煮物や酢の物とする。
コンニャク
前述のサトイモ同様、サトイモ科に属する植物(こちらはコンニャク属)。
こちらはサトイモよりもはるかに高濃度のシュウ酸を含んでおり、ゆでてそのまま食そうものならシュウ酸カルシウムの結晶が口全体にぶっ刺さり、悶絶すること間違いなし。
その激痛たるや、かつて芸能人の所ジョージ氏が自身の冠番組『所さんの目がテン!』において、本種を試食した際に普段試食の際には平常心である様子を見せるのとは対照的に、即座に拒絶反応を起こし、悶絶したほどである。
それゆえ、芋を粉にしたのち、水とともにこねた後に石灰乳を混ぜ、煮て固めた「こんにゃく」にして食する。
本来、この手順で作った「こんにゃく」は真っ白だが、その過程の途中でヒジキやアラメなどの海藻の粉末を混ぜることで、あの独特の灰色になる。
近縁種に、東南アジアで栽培される「ゾウコンニャク」と呼ばれるものがあるが、こちらは芋を「こんにゃく」に加工せず、ゆでてから食する。余談だが、こちらは近縁種である「世界最大の花」ことショクダイオオコンニャク(スマトラオオコンニャク)同様、う○このような悪臭を放つ花を咲かせることで知られる。
ヤマノイモ類(ヤマノイモ、ナガイモなど)
ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で、「芋」と呼ばれる部分は植物学上はヤマノイモ科特有の「坦根体」という。
本来、「ヤマノイモ」とはわが国在来の山野に生える植物である「自然薯」と呼ばれるもののみを指すのだが、現在は「自然薯」とともに、中国原産の栽培種である「ナガイモ」、同じく栽培品で丸めたような形状の「ツクネイモ」、イチョウの葉のような独特な形状の「イチョウイモ(ヤマトイモ)」もひっくるめて「ヤマノイモ」と呼ぶことが多い。
なお、オセアニアや東南アジアの熱帯地域で栽培される「ヤムイモ」もヤマノイモ科ヤマノイモ属に属しており、食用のため利用される。名称こそ日本語の「ヤマノイモ」によく似ているが、両者のつながりは特にない。
「自然薯」は栽培が難しく、ほとんどのものは山に入って収穫しなければならないことから、高級食材の扱いを受ける。「ナガイモ」は今や年中手に入るありふれた食材となっている。
いずれも普通「芋」をすりおろして「とろろ」にしたのち、そば、うどんにかけて食べるほか、麦飯とともに食べる「麦とろ」も美味である。「とろろ」の粘りは自然薯が最も強く、ナガイモが最も弱い。
また、かまぼこやはんぺんなどの魚肉練り製品の「つなぎ」にも用いる。
葉の付け根にできる「むかご」も茹でて塩をつけて食するほか、米と一緒に塩で炊き込む「むかご飯」も秋の珍味とされる。
いわゆる「ヤマノイモ」としてひとくくりにされる植物はほかに、鹿児島県や沖縄県などで栽培され、かなり大きな塊茎(断面が白いものと赤紫色のものがある)を持つ「大薯」、沖縄や中国・台湾で生息例が知られ、食用として利用される「キールンヤマノイモ」が知られる。
カシュウイモ
前述のヤマノイモ類同様、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属しているが、「ヤマノイモ類」の範疇に入れられることはごくまれである。よって、本稿でも区別するものとした。
ツル性の多年草で、葉は細長いハート型で、明確な葉脈を持っている。
歪んだ球形といった形状の芋である。表面は黒味の強い褐色で、表面には長い毛が生えていることから、「毛芋」と呼ばれることもある。葉腋につくむかごも歪んだ球形で、芋ほどではないものの、それなりの大きさになる。
古くは塊茎を掘り出して食したようだが、明治期から昭和期の植物学者・牧野富太郎の代表的著書『牧野日本植物図鑑』には「むかごと根茎を煮て食用にするが、美味くない」(この記事の筆者口語訳)という旨の内容が述べられており、救荒植物の一種として利用するものであったといえるだろう。
和名の「カシュウイモ」は「何首宇」と表記し、「ツルドクダミ」という植物の蔓に見た目が似ていることに由来する。
近縁種の宇宙イモ(エアーポテト、宇宙芋)は直径15cmほどのかなり大きいむかごを食用にする。このウチュウイモは、草姿がカシュウイモとほぼ同一であるため、カシュウイモの改良種であるとされる。むかごはなかなか癖の強い見た目だが、見た目に反して癖がなく、ジャガイモに似た味と食感で、煮物や揚げ物にして食すと美味であるといわれる。
ハリイモ
前述のカシュウイモやヤマノイモ類同様、ヤマノイモ科ヤマノイモ属に属しているが、「ヤマノイモ類」の範疇に入れられることはごくまれ。
東南アジアや中国南部一帯で栽培されるつる性多年草で、茎や楕円形の芋に針状の棘があることからこの名がある。なお、「トゲドコロ」という別名もあるが、これもやはり芋の見た目にちなむ。
癖のある見た目だが、味はよく、甘味があって栄養価も高い。ゆでて塩をつけて食すのが一般的な食べ方であるとされ、みそ汁やコロッケにもされる。
近年は健康に良い成分のみを抽出したサプリメントも開発され、少しずつではあるが、健康食材の一種として知名度が上がっている。
昭和時代の植物学者・北村四郎の著作集の一つである『北村四郎選集2 本草の植物』における『本草綱目の植物』の章によれば、中国ではハリイモに対して「甘藷」の漢字を当てているが、わが国ではこの名称がサツマイモに誤って当てられており、本来のサツマイモの漢字表記は「蕃薯」が正しいという。
タシロイモ
ヤマノイモ科タシロイモ属に属する熱帯アジアやミクロネシアなどが原産の多年草である。地下に直径10cmないしは15cmの褐色の球形の塊茎ができ、そこから長さ1mほどの茎を出し、3つに深く切れ込んだ掌状の大型の葉を出す。
塊茎ではそのままでも加熱しても苦みとえぐみが強すぎて食用には向かず、食するには塊茎を砕いて水にさらし、沈殿した澱粉を取り出し、それを乾かして粉にする必要がある。
和名は、この植物を我が国に持ち込んだ明治時代の植物学者・田代安定に由来する。これにより、一時的に沖縄島や小笠原諸島で栽培されたという。
近縁種の「タッカ・シャントリエリ」はもっぱら黒猫を思わせるような見ためをした花を観賞用とするために栽培されるが、こちらも塊茎が食用にされた歴史を持つ。
ホドイモ・アピオス
いずれもマメ科ホドイモ属の蔓性多年草である。前者は中国や日本の在来種で、後者は明治中期にわが国に導入されたアメリカ原産の種である。
草姿は両方ともよく似ているのだが、前者は地中に大きな芋が一つできるのに対し、後者は小さなイモが複数できる。芋は鮮やかな黄褐色で、両端の尖る楕円形ないしは球形である。
いずれも蒸かしてから塩をつけて食べるほか、炒め物や煮物にして食べる。
なお、東北地方で「ホド」の名称で栽培される作物は「アピオス」の事である。
ヒカマ(クズイモ)
メキシコが原産とされるマメ科クズイモ属の蔓性多年草である。わが国では沖縄県で少数が栽培される程度で、あまり普及していない。
芋はカブに似た形状で、ふつう500g程度だが、生育条件によっては2㎏を超すこともあるようである。表面はジャガイモを思わせる色合いだが内部は白く、梨のような甘みがあるという。
和名で「クズイモ」と呼ばれるのは、地上部分が葛のようであることから。芋は食用となるが、豆やその莢は有毒である。
キャッサバ
トウダイグサ科イモノキ属に所属する植物で、これまで上げてきた芋類には珍しい低木、すなわち「木本植物」である。
芋はサツマイモに似た形状だが、それよりも細い見た目である。本種の芋はふつう製粉したのち、水と練って丸め、乾燥させてタピオカに加工される。このタピオカは独特の見た目とモチモチとした食感がウリで、わが国において幾度かブームを引き起こしている。
もともと本種の芋に有毒成分の青酸が含まれ、到底そのままでは食用にすることができないため、生の芋を見かける機会はそれほど多くない。、タイ料理などの東南アジア料理やブラジル料理に用いるためのエキゾチックな食材を扱っている店で生の芋を見かけることがあるが、それは品種改良の結果毒素を持たなくなったものを販売していると思われる。
栽培こそ芋を土にさしておけばそこから芽を出してあっという間に成長するほど簡単であるが、主要な芋類と比較して全世界に普及を見ていないのは、毒抜きにかなりの手間がかかるためであるとされる。
食用以外にも、葉の形状がパラソルの骨組みのようで面白いので、この葉を観賞用にするために苗が花屋や園芸店の通販で出回ることがある。
キクイモ
北アメリカが原産のキク科ヒマワリ属の多年草で、我が国には幕末から明治時代にかけて渡来し、当初は飼料用だったが、大正~昭和の戦前になって野菜としての利用もなされるようになっている。
ヒマワリ属に属するだけあって、草姿は同属のヒマワリをミニチュアにしたような見た目である。
秋に地中にできるごつごつとした形状の芋を掘り出して食用にする。芋は白っぽい黄褐色のものと赤紫色のものがある。
芋にはデンプンは含まれないが、イヌリンが含まれるため、果糖やアルコールの原料にされる。低カロリーのため、健康食品としても注目されている。
ジャガイモとゴボウに似た風味とシャリシャリとした食感を持ち、煮物や漬物などにする。
一方で、野生化した個体群が外来種として問題となり、駆除対象の植物として知られることもある。
ヤーコン
ペルーやボリビアなどの南アメリカ地域が原産のキク科スマランサス属に属する多年草で、わが国には昭和時代末期に渡来し、健康野菜として少量が栽培される。
芋はサツマイモにそっくりな形状であるが、サツマイモとは異なり、でんぷんではなくフラクトオリゴ糖を蓄積しているので、ホクホク感はなく、梨(和梨)や蓮根を思わせるようなシャリシャリとした食感とさわやかな甘みがある。このため、加熱調理をせずにサラダや酢の物にして食べる。もちろん、煮物や天ぷらにしてもおいしい。
ダリア
メキシコが原産のキク科ダリア属の多年草で、我が国には江戸時代に渡来し、当初は「天竺牡丹」と呼ばれた。
多くの品種があり、現在は園芸植物としてすっかりおなじみのダリアだが、実は球根が食用になることをご存じだろうか?
我が国では食用としてのなじみはほぼ皆無と言ってもいいほどである、原産地では球根をイモ類の一種として食用にしている。
かつてアイルランドで「ジャガイモ疫病」が蔓延したことでジャガイモの収穫量が激減し、代替品を探す必要に迫られた際には救荒作物として栽培された。
現在の比較的新しい品種は花を観賞用にすることに特化しているため、いざ球根を掘り出して食べても、水っぽくておいしくないことが多いそうである。球根を食してみたいならば原種系の品種を購入するのがおすすめである。
ルートチャービル
セリ科キャエロフィルム属に属するヨーロッパ中部が原産の多年草で、名前にある「チャービル」と同じセリ科であるが、属が異なる(チャービルはチャービル属に属している)。また、チャービルの葉がハーブとして利用されるのに対し、本種の葉は有毒で利用できない。
元々は野生品を利用するにすぎなかったが、ジャガイモ疫病が発生し、ジャガイモの収穫量が大きく落ち込んでその代替品が必要になった際にヨーロッパにて重宝した作物の一種である。
栽培が難しいので、現在はフランスでごくわずかに栽培され、高級食材として利用されるのみである。
チョロギ
お正月の具材として有名で、黒豆の上に載っている赤い渦巻き状のものがそれである。とはいってもこれは赤い甘酢につけているためであって、実際は白っぽい褐色なのだが。
中国が原産のシソ科イヌゴマ属の多年草で、地下の根の先端にできた全長3㎝程の巻貝のような形状の芋(地下茎)を食する。澱粉は含んでおらず、シャキシャキとした食感がウリである。前述のように赤い甘酢に漬けた漬物とするほか、サラダやフライにする。
クワイ
こちらもお正月のお節料理の具材として有名。芋(地下茎)から芽が出ている様子を「めでたい」にかけた縁起ものである。
オモダカ科オモダカ属の水生多年草のオモダカが栽培され、突然変異を起こしたものであるといわれる。よって、植物学上はオモダカの変種とされる。
原産地は中国とされ、日本に渡来した時期は不明だが、奈良時代や平安時代の書物にはすでに名前が見られ、江戸時代には盛んに栽培されていた。根茎が青色がかった鼠色の「青クワイ」、淡青色の「白クワイ」、小粒の「吹田クワイ」の3種類があり、いずれも水田で栽培されるが、最も栽培が多く、年末年始にかけてスーパーマーケットやデパートで出回るのは「青クワイ」である。
茹でると栗やサツマイモを足して2で割ったような風味で、煮物にすることが多い。
ショクヨウカンナ
カンナ科カンナ属の多年草で、西インド諸島ならびに南アフリカ原産が原産である。わが国には江戸時代に渡来したという記録が残っているらしいが、現在に至るまでほとんど普及していない。
観賞用にされるカンナ(ハナカンナ)同様、初夏~秋に花を咲かせるが、温室で栽培する場合、ほとんど一年中花を咲かせるという。
地下に棒状の芋(地下茎)を持ち、ハナカンナのそれより太くなる。この芋は澱粉に富み、味もよく、ジャガイモに似た味がするという。
クズウコン
中央アメリカが原産のクズウコン科マランタ属の多年草で、地下茎から澱粉をとるために、各地の熱帯地域で栽培される。和名は「葛鬱金」という意味で、葛のように地下茎から澱粉を取り、全体の草姿がウコンに似ているためである。
地下茎は棒状あるいは生姜型で、澱粉質に富む。英語圏ではこの澱粉質を「アロールート」と呼んでお菓子に利用する。わが国でいうところの「葛粉」と同じ感覚である。
食用にできない芋
オニドコロ
ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で、里山で普通に見られる。
全体的な草姿はヤマノイモに酷似しているが、ヤマノイモと違い、いもは苦味が強く、「ジオスジン」というアルカロイドを含んでいるので、食用にはされない。
古くは何度も茹でて有毒成分を抜いてから食することもあったが、飽食の時代である現代に試すのは筆者としてはあまりお勧めできない。
ニガカシュウ
前述のカシュウイモの原種ではないかとされる植物種である。全体的な特徴はカシュウイモの項目を参照にしていただきたい。蔓性の多年草で、葉はカシュウイモのそれと少し似ているが、比較的丸みを帯びている点で区別できる。
本種の芋やむかごは苦味が強く、「舌がしびれる」ほどであるといわれる。このため、山菜について解説する書籍では、本種を有毒植物の一種として記載していることがある。
その一方で、「加熱すると苦みは消え、食用にすることができる」「ジャガイモに似た味がする」という報告もないわけではない。
とはいえ、現在はどちらかというと本種を有毒植物として見る向きが強いため、「食用にできない芋」に本種を組み込むこととした。
ソメモノイモ
ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草で、南アメリカが原産である。わが国においては南西諸島に分布しており、それ以外の地域ではインドネシアなどで生息が確認されている。
10m近い蔓を伸ばし、地中に暗赤色の60㎝以上もある大きな塊根を結ぶ。
八重山諸島ではこの塊根を細長い形状にすりおろして乾燥させ、煮出して「八重山上布」という布を染めるのに用いた。本種を使って染めた布は鮮やかな朱色になるという。
ヘビイモ
インド・ネパールの標高200m前後の地点を原産とするサトイモ科サウロマタム属の多年草である。
直径15㎝程の、ごつごつとしたコンニャク芋を思わせるような形状の塊茎を持つが、有毒成分を含んでおり、いかなる処理をしても有毒成分を完全に抜き去ることが難しく、「煮ても焼いても食えない」を地で行く植物である。
この塊茎から芽を出し、全長70㎝から80㎝にまで成長する。葉の付き方もコンニャクのそれに似ている。
和名は、茎の独特な模様をヘビに例えたものである。
芋にまつわることわざ・慣用句・比喩表現
・家柄より芋がら
良い家柄より、食べられる芋がらの方が値打ちがあるということ。そこから、落ちぶれた名家出身の人物が今なお虚勢を張るさまをあざけって言う言葉。
・一番愚かな農夫が一番大きなジャガイモを得る
知識や経験が少ない人でも、幸運が味方して大きな成果を得ることがあるという意味。また、あまり苦労をせずに得をした人をやっかむ意味もある。元々はドイツのことわざで、原文は「Die dümmsten Bauern ernten die dicksten Kartoffeln.」。
・芋づる式
サツマイモの蔓を手繰り寄せると次々と芋が連なって出てくる様子から、ある一つのことをきっかけとして、関連する人物や物事が次々と明らかになっていく様をいう。
・芋の煮えたも御存じない
芋の煮え具合を指す際には菜箸を刺して確認するが、そのことを御坊っちゃん・お嬢ちゃん育ちの人は知らない。
そこから、世間の事情に疎い人をあざけって言う言葉。江戸いろはがるたの「ゐ」。
・芋を洗うよう
狭い所で大勢の人が込み合う様子。たくさんの芋を水を張った桶に入れ、棒でかき回すようにして洗うようすから。
・芋を引く
怖気づくこと。及び腰になること。芋を収穫する際に腰を落とすような動作になることから。
いわゆる「ヤ〇ザ言葉」の一種なので、日常生活ではあまり用いない方がよい。
・塗り箸で芋を盛る
物事がやりにくく、もどかしい心情を意味する。漆塗りの箸で煮た芋をつかもうとしてもぬるぬると滑ってつかみにくいことから。
・山の芋鰻になる
起こるはずのないことが起こること。真逆の意味である「山の芋鰻にならず」という表現も存在する。
追記・修正は毎日何かしらの芋料理を食べてからお願いします。
- 盗難アジアって誤字ってますね -- 名無しさん (2025-06-20 21:24:27)
- 直しといたで -- 名無しさん (2025-06-20 22:23:03)
- 何故かなかなかって項目ではない気がするけど。そもそも「芋」ってだけじゃなんのことを書けばいいかもわからない。 -- 名無しさん (2025-06-20 22:49:14)
- 合言葉の確認だ...山ッ! -- 名無しさん (2025-06-20 23:19:05)
最終更新:2025年06月21日 00:08