アデプタ・ソロリタス(ウォーハンマー40K)

登録日:2021/11/24 (水) 20:49:57
更新日:2023/01/13 Fri 03:03:22
所要時間:約 113 分で読めます




“異端者を滅却せよ!!”


画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス9版」(codex:Adepta Sororitas) 表紙イラストより






アデプタ・ソロリタスとは、ウォーハンマー40Kに登場する〈人類の帝国〉に所属する宗教組織である。 「修道聖女会」 とも呼ばれており、数多くの修道女(シスター)が敬虔なる信仰心を神なる「皇帝陛下」に捧げている。

と、聞けば物静かで謙虚なイメージがあるだろうが、実際は真逆でバリバリの武闘派で狂信者なのである。

彼女らは 「聖教会」(エレクシアーキー) の戦闘部隊であり〈帝国〉の宗教戦士である。神たる皇帝陛下の敵(内部か外部かは関わらず)を完全に排除する誓いを立てているのだ。
全人類が従うべき 「帝国信条集」 を掲げ、〈帝国〉の純潔さを保持するために信仰の戦いを銀河各地で繰り広げている。その狂信的で盲目的な信仰心は味方からも恐れられており、特に異端者に対しては猛烈な怒りをもって神罰を与える。
彼女らは以下の特徴を持つ。

  • 崇敬の念を抱くのは偉大なる皇帝陛下のみ。

  • 皇帝陛下に背きし異端者、異能者、変異者はどんな理由があっても絶対殺す。

  • 異端の疑いのある者は拷問や処刑(火あぶりの刑など)で贖罪させる。

  • 信者らにも厳しく、内部の裏切り者は贖罪兵器に乗せて贖罪させる。

というエクストリームに頭がおかしい倫理の欠片もない宗教団体なのである。 要はマジキチドルオタに武器を持たせて組織を結成したらこうなるという典型例といってもよい。

画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス9版」(codex:Adepta Sororitas) P291イラストより


概要


フレイマーとボルタ―とメルタをもって、我らは不浄なる敵を浄化する。戦闘装甲服をもって、我らは残忍なる一撃を受け流す。規律と戦略をもって、我らは戦闘に勝利する。だが、我が姉妹たちよ。我らがこの罪に満ちた銀河を征服するには、信仰心をもってに他ならぬ
-ユーニス・エルイタ


「修道聖女会」は、元々 〈皇帝陛下の息女ら〉(ドーター・オヴ・エンペラー) と呼ばれた戦闘教団の精神的後裔であり、神たる皇帝陛下に最も献身的に殉ずる兵として〈帝国〉内にその名を知られている。時に「修道女会」(シスターフッド)や「戦闘修道女」(シスター・オヴ・バトル)とも呼ばれている聖女会は、効果的かつ妥協を一切しない軍事組織として恐れられている。
全人類が従うべき信仰である 「帝国信条集」 を掲げて戦い、人類の純潔さを脅かすあらゆる者を探し出し殲滅するとともに、皇帝陛下の版図の清らかさを守り抜く。彼女らに与えられた第一の任務は、 叛逆せし「異端者」(トレイター)や承認を受けていない「異能者」(サイカー)、忌まわしき「変異者」(ミュータント)といった、存在自体が脅威となる者たちに〈信仰の闘争〉を挑むことである。
だが同時に、聖なる領域を侵犯しようとする異端者の軍勢を銀河から排除する戦いに臨むことも多い。そして、神たる皇帝陛下の敵を撃滅しながら、祈りの言葉を唱和するのである。
【信仰の闘争】
修道聖女会が戦場に赴く際は、本隊が敵に到達する前にまず、惑星の低軌道を周回する艦艇に搭載された大口径拡声器から、讃美詩が大音量で大気中に響き渡る。 (お前ら街宣右翼か)悔悟を促す声が惑星内の都市と大陸に降り注ぎ、断罪の宣告が敵軍の支配領域の中枢にまで届けられる。近所迷惑
そしてそれらの音に、間もなく、エンジンの咆哮と刃の唸り、修道女の戦いの唱和が加わる。かくして聖女会は、正義(狂気)の熱狂とともに進軍するのである。
“退魔”(エクソシスト)ミサイルが黒煙をたなびかせて空に弧を描き、「リトリビューター分隊」はボルタ―砲から弾丸の雨を浴びせて混乱した敵を打ち倒し、塹壕の中や壁の裏に追いやる。その上空を「セラフィム」が舞う。
この飛天使を思わせるジャンプ部隊は、高空から激戦の真っただ中に降下し、突出した敵や逃げ遅れた敵を殺戮するのである。これら緒戦の攻撃が敵軍の戦列を切り込む中、「尼僧長」(カノネス)は、声を張り上げて攻撃を命じ、その後、配下の兵の先頭に立って突撃を導く。
皇帝陛下の正義を執行するために。そして、戦闘修道女たちの分隊に次ぐ分隊が信心無き敵に迫る。
前進位置を素早く確保せんと、装甲輸送車量に分乗して、あるいは戦場の泥と煙の中を、徒歩で進軍して。ボルトガンによる正確な斉射が敵の戦列を切り裂き、「質量反応弾頭」を搭載した弾丸や砲弾が、犠牲者の頭や胴体に穴を穿つ。
「制圧天使(ドミニオン)部隊」が、より高い破壊力を持つ兵器を携えて側面に進出し、敵の密集陣に燃えたメルタの熱線で、重装甲をまとった敵の戦闘機械を破壊する。その後、修道女が形成する整然とした陣形の中から、皇帝陛下の最も狂信的な奉仕者たる者らが敵中に突入する。
熱烈なる「説教師」(プリーチャー)は眼前の異端者らを薙ぎ倒し、「征戦士」(クルセイダー)、「奉死教団員」(デスカルト・アサシン)、「特級贖罪者」(アルコ=フラジェラント)は、群がる敵に斬り込んでいく。それらの傍らで「悔悟修道女分隊」(リペンティア・スカッド)も勇ましく白兵戦に挑み、自らが犯した過去の罪を、敵の血を流すことで償わんとする。
歩兵の頭上にそびえ立ち、敵軍の中に血に塗れた道を切り開くのは「ペニテント・エンジン」をはじめとした戦闘歩行機械で、それらの骨格には罪深き者たちが直接組み込まれており、その者らの苦痛が歩行機械の一歩一歩、そして巨大な刃による一撃一撃を駆動している。
【信仰による奇跡】
また、修道聖女会が武器とするのは、圧倒的な武力と研ぎ澄まされた戦闘規律だけではない。 戦いの激しさを増すと、彼女らは神たる皇帝陛下の助力を仰ぎ、万能なるその力に勝利を願うのである。
そして加護を得た修道女たちは、渦を巻く炎の中からも無傷で帰還し、あるいは、超常的な予測の力で敵からの銃撃を回避する。さらに、大音声の祈りと共に、修道女の分隊は最も悪魔的な敵をも無慈悲なる素早さで粉砕する。
彼女らの射撃は目標の装甲の弱点に奇跡的に着弾し、もしくは敵機の予備燃料タンクに引火して、即座に破滅的な結果をもたらすのだ。 むろん、そのような「事故」はどのような戦場でも起こり得ることではあるが、修道聖女会の軍勢がそれらの特異現象に守られる確率は異常なまでに高く、その「奇跡」の前では、いかに冷徹な論理的解釈を好む「技術司祭」(テックプリースト)でさえ沈黙してしまうほどである。
だが、修道女らは皇帝陛下の信心深き従僕であり、故に、皇帝陛下の神性が、彼女らを通じて戦場に顕現しているだけのことなのだ。
【神たる皇帝陛下の従僕】
修道聖女会の修道女らは、「帝国教導院」(スコラ・プロジェニウム)で、他の〈帝国〉の精鋭戦士や将官の卵らと共に初期の教育を受ける。 孤児として帝国教導院に引き取られた彼女らには、皇帝に対する揺らぐこと無き敬愛が刷り込まれる。
教育を受けた多くの者は「中央執務院」(アデプトゥス・テラ)に加わるが、精神的、肉体的に優れた者たちは「帝国聖教会」(エレクシアーキー)に引き渡され、修道聖女会の一員として奉仕することになるのである。修道聖女会は聖教会中の一組織であり、「大司教」や「伝道師」、「説教師」らが〈帝国〉内における布教と信仰の維持に努めるのに対し、 修道会は〈帝国〉領を正常に保つことだけを命じられている。
そのため、再発見された惑星の住民に対する教化に彼女らが直接かかわることはなく、また、修道女が異端と大逆の誘惑の危険性を説く説法を大衆に行うこともない。その代わりに彼女たちは、 救済の見込みもないほどに信心を持たぬ者、信心を失ってしまった者らの殲滅に力を注ぐのである。
むろん、修道聖女会の一員が聖教会の他の成員に比べると敬虔さに欠ける、というようなことはない。戦場から離れた彼女らは信仰に時間を捧げ、尼僧長の主導のもと、〈帝国〉の聖人たちに祈りを捧げて導きを願う。
だは、そのような礼拝行事も、軍事教練と深くつながっている。 戦闘修道女にとって、武具を正しく整備することは、宣誓や教理問答を正しく暗唱することと同等の重要さを持つのである。
身体的な修練は精神的な修練と関連付けされており、修道女らは、肉体こそが自らの魂の最大の護りであると教えられる。戦闘訓練には神聖なる儀式に捧げるそれと変わらぬ敬虔さが奉じられ、また戦場において彼女らが歌う讃美歌は、信仰心の土台でもあると共に、暴力を促す呪文でもある。
【穢れた地の再教化】
聖女会が戦場に向かう目的には、不浄なるものの殲滅だけでなく、 異端と叛逆の汚染が広まった領域の再聖域化も含まれる。 彼女らは、 「移動式戦闘礼拝堂」(モバイルバトル・チャペル) を用いて戦地に進出することや、巨大な 「侵略型聖堂」(インヴェーション・カセドラム) を惑星軌道から投下することも多い。
これら前線拠点の屋上には聖なる火が燃え、尖塔に据えられたアダマンチウムのガーゴイルからは聖水が音を立てて流れ落ちる。そのような場所を中心として修道聖女会は神聖なる土地の領域を広げてゆき、最後の一員まで敵を狩り尽くし、冒涜的な像や異端の紋章を、一つ残らず火にくべる。
かような浄化を達成するには数時間、数日、あるいは数か月にも及ぶ血に塗れた戦闘が必要で、その間にも新たな領域には神たる皇帝陛下の要塞祭壇が築造され、移動要塞が次々に前線に投入される。そして、最後の戦場が灰のくすぶる平原となり、敵が散在する死体の山となると、その戦場に投入されていた修道女の大部分は、次の戦場へと旅立つ。
彼女らの主任務は神たる皇帝陛下の領地の浄化と聖別であり、それらが完了した後に起こりえる反乱等の鎮圧のためには、わずかな駐留部隊しか残さないのだ。(後先考えてない)修道聖女会は、この方法で戦い続けていくことを皇帝陛下に対する究極の奉仕と考えている。
〈帝国〉は陛下の身体、人類は陛下の血液であり、彼女らの働きによって、その両方の純潔が保たれているのだ。
画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス6版」(codex:Adepta Sororitas) P17イラストより


ゲーム上の特徴


画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P3イラストより

エリート兵士であるアデプタ・ソロリタスは、スペースマリーンと同等の装備を有している。しかし、能力だけ見ればスペースマリーンの廉価版といった感じの能力となっている。
ではソロリタスの強みは一体何なのか。彼女らには 「信仰の奇蹟」 と呼ばれる特殊能力を持っている。
「奇蹟ダイス」を所持している場合に自軍のダイスロールを行う際、ダイス結果の置き換えが可能。


帝国信条集(インペリアル・クリード)


「皇帝陛下の御光のみが光なり!皇帝陛下への信心のみが信心なり!皇帝陛下の真理のみが真理なり!」
-〈反響せし誓い通詞修道会〉第一の詠嘆


画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P8イラストより

【概要】

この第41千年紀(西暦40000年代)においての人類にとって、人類の主は神たる皇帝陛下である。 皇帝陛下とは人類の力の源であり、怪物に対する人類の護りであり、そして崇敬と忠誠を捧げる対象なのだ。
銀河規模に拡大した皇帝陛下を崇拝する信仰が 〈帝国信条集〉 またの名を「帝国国教」と呼ばれる宗教である。その典礼は〈帝国聖教会〉の聖職者団によって監督され、その教条は修道聖女会によって執行される。
銀河を二分した内戦〈ホルスの大逆〉は人類史上最悪の叛逆であった。 銀河には終末戦争を思わせる不和がもたらされ、終結した時には〈人類の皇帝〉は深き傷を負い、生命維持装置である〈黄金の玉座〉に永遠に座さなければならぬ体となっていた。
この騒乱で生まれたのが皇帝を神として崇める教団であり、〈ホルスの大逆〉後、組織がその力を強めると、「信心なき者」は次々に粛清されていくこととなった。その中で産まれた 「帝国信条集」 は〈人類の帝国〉における唯一かつ至高の公認国家宗教である。
過密惑星に溢れかえるスラムから、文明惑星に高くそびえたつ高貴なる尖塔に至るまで、そして孤立した開拓地惑星から、安定した〈歪み〉航路を航行する無数の宇宙船に乗る人々にとって、皇帝陛下は神格化され、崇拝の対象となっている。日々皇帝陛下を讃えるため、租税であったり、彼の名で行われる終わりなき戦いで血を流す形で貢納が捧げられている。
何百万にも及ぶ惑星で信仰されているため、信条集事態の解釈には様々なものが存在するが、 その核となる教条、すなわち、皇帝陛下こそ全能なる人類の神である、とする教条の解釈が分かれることはない。 なお、各惑星における教義や儀式の若干の異同は許容されているものの、 信仰から根本的に逸脱した者は叛逆者であり、死によって罰せられるべきものとされている。
【皇帝陛下の偉業】
〈黄金の玉座〉に接続された状態となる以前から、皇帝を神として崇める〈帝国〉の民は多かった。西暦29798年から開始された〈人類の帝国〉による銀河統一の戦争〈大征戦〉期に皇帝が示した指導力と先見の明は既に伝説となっており、〈大征戦〉で再発見された中でも特に文明が後退していた惑星においては、 炎の翼の生えた戦車で天から舞い降りる従卒を引き連れた皇帝は、まさに神たる存在であった。
皇帝の向かうところ、あらゆる場所で、原始的な生活に帰った者たちの部族が、その尽きること無き意志の力と強固なカリスマに畏れを抱き、跪いた。そして、 彼自身は自らが神であることを常に否定していたものの(むしろ皇帝本人は無神論者でありがた迷惑)、 皇帝の統治の下に再統合された臣民の多くは、彼を神であると信じて疑わなかった。(主にそのような状態になったのはワードベアラー兵団の影響が強いとされる。)
だが、〈帝国〉が銀河のほとんどを手中に収めたその後、皇帝が最も信頼していた大元帥「ホルス」とスペースマリーン兵団の半数が〈渾沌の神々〉に忠誠を誓い、この大逆を契機とした内乱によって、〈帝国〉は壊滅の瀬戸際に立たされた。最終的に叛逆者の軍勢は、本拠地である「地球」(テラ)の帝殿にまで迫ることとなった。
この西暦30005年から勃発した〈ホルスの大逆〉は、皇帝自らがかつての自軍の大元帥ホルスを討ち果たすことによって終結を迎えたが、皇帝自身もホルスから致命的な傷を負い、〈黄金の玉座〉と呼ばれる生命維持装置に接続されることとなった。この神秘的な機関は〈歪み〉の中に皇帝の精神を投射し、その不死なる存在を版図に広く喧伝する役割も担っている。
だが、植物人間と化した皇帝は、もはや剣を振るうことも命を下す事もできない生ける屍となってしまったのだ。
【皇帝崇拝教団の台頭】
皇帝が見せた究極の自己犠牲により、〈帝国〉は滅亡の危機から救われ、彼を敬愛し崇拝する機運が大きく高まった。だが、その熱狂と共に、恐怖も〈帝国〉領を席巻した。
皇帝陛下が最も信頼を寄せていた大元帥さえ異端に堕ちたのである。 他にも忠誠を裏切る者が現れてもおかしくはない。
誰を信じ続ければよいのであろうか? 銀河の至る所に無数の預言者が出現し、それぞれが異なる「皇帝陛下の神聖なる御心」を説いて、反論する者らは人類に対する叛逆者であると糾弾した。
特に力強き預言者らの周囲には、熱狂的な信者(おっかけファン)が「教団」(カルト)を形成し、数の力によって小規模な宗派を吸収、あるいは壊滅させていった。
【救世帝教団】
やがて、一つの教団が支配的な力を得た。 〈救世帝教団〉(テンプル・オヴ・セイヴィアー・エンペラー) を名乗るこの教団は、地球で創設されたものであったが、 その信仰は、「聖工場」(マニュファクトラム)の監督官から、評議会員、高級将校に至るまで、銀河中の支配階級、そして〈帝国〉内のあらゆる社会階層に広がっており、多数の信者がいた。
そのため、〈救世帝教団〉の中心教義に賛同しない組織は懲罰を受けることとなった。教団による束縛を嫌った惑星領事らは、食料と物資の供給を失った。
信仰心が足りぬとみなされた大衆は、死亡率の高い現場作業に従事させられるか、あるいは異端者として、即座に命を奪われた。第32千年紀(西暦31000年代)が訪れるころには、〈帝国〉の民のおよそ三分の二が〈救世帝教団〉の信者となっていた。
あらゆるところに手を伸ばしたこの教団の教義はやがて〈帝国〉の国教として認められ、教団は 「帝国宗務局」(アデプトゥス・ミュニストルム) 、別名 「帝国聖教会」(エレクシアーキー) と改称された。その数世紀後、当時、宗務局の長であった聖教会首座(エレクシアーク)「ヴェネリス二世」は皇帝の代理で〈帝国〉の政治を執り行う 「地球の至高卿」 に就任し、人類の行く末に多大なる影響を与える地位を獲得するに至った。
宗務局の教えから表だった逸脱を許されるのは、〈機械教団〉(カルト・メカニカス)と「スペースマリーン」(ブラックテンプラー戦団除く)の各戦団のみであった。 それらの集団の伝統における皇帝の扱いは、公式な〈帝国〉の教えにおけるものとは大きく異なっていたが、皇帝自身との歴史的な繋がり、そして「技術司祭」(テックプリースト)とスペースマリーンが人類の生存に重要な役割を果たしていることを鑑みて、差異は許容されることとなった。
【信仰の守り手】
〈帝国聖教会〉の聖職者は信徒たちを間近で見守り続け、異端の萌芽を常に警戒している。妖術の行使や変異は根絶され、住民全体が熱狂的な信仰へと掻き立てられ、その狂乱は異種族やディーモンと繋がっている疑いのあるものへと向けられる。
〈帝国宗務局〉は、〈帝国信条集〉に対し罪を犯したと思しき者に対し、苦痛に満ちた尋問や処刑を行う権限を有している。 これらの処罰は、しばしば最も恐るべき方法で公然と行われる。
だが異端者の中には、ここの冒瀆者や孤立した不浄なる小教団よりもはるかに根深く浸透する者たちもいる。このような逸脱行為が広く現れ、熱狂した群衆が反乱のために武装したり、あるいは聖教会の神聖なる砦を脅かした時、 修道聖女会は正義の焔の嵐を解き放つのである。
彼女達は〈帝国宗務局〉の執行者であり、最も狂信的な守り手として存在している。信仰を守るための戦いはそれ自体が神聖なる名誉として見なされている。
戦争に加わっていない場合でも、戦闘修道女は〈帝国〉の偉大なる聖人に導きを求め、祈りを捧げる事に多くの時間を費やす。このような崇拝の祈祷は、厳格なる戦闘訓練や断食の期間、そして修道会創設者の偉業を顧みる際にも取り入れてる。
そうすることで、彼女達の身体を、精神的頑強さと合一させることができるのだ。
コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P9イラストより


帝国宗務局(アデプトゥス・ミュニストルム)

汝、惰弱さを棄てるべし!汝の武器を皇帝陛下の導きに委ねよ。汝の力を信仰で鍛え上げよ。異端者共は皇帝陛下の御威光を拒絶するという大罪を犯したのだ。この生きるに値しない汚物共が未だ存在する事によって、皇帝陛下の領土が穢されているのである。聖ミナの御名にかけて、奴らを引き裂くのだ!
-血の薔薇修道会 カノネス・プリセプター アウユーラ・ケールトン


画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス9版」(codex:Adepta Sororitas) P20,P21イラストより

【概要】
より一般的には〈帝国聖教会〉の名で知られる〈帝国宗務局〉は、創設以来、〈帝国信条集〉の布教と、その実施の監督を行う機関となっており、数多くの「説教師」(プリーチャー)や「贖罪司祭」(コンフェッサー)、「伝道師」(ミッショナリー)、「枢機卿」(カーディナル)が、無数の人類が皇帝陛下に捧げる祈りを見届けている。これら宗務局の局員は常に警戒を怠らず、礼拝が帝国信条集の教義に従って行われているか、そして民の熱狂的な信仰心が適切な方向に向かっているかを確かめ続ける。
〈帝国宗務局〉は大規模な寺院から小規模な礼拝堂の他に、数千の神殿や聖遺物を包摂し、複数の聖域から巡礼者を引き寄せる巨大聖堂を建設している。〈帝国宗務局〉は地球の聖教会の総轄下で、枢機卿や伝道者、説教者、そして熱狂的な俗人が複雑な階層構造を成している。
数十億、数兆に及ぶ〈帝国〉の臣民が、聖教会を通じて信仰からの逸脱がもたらす危険を学び、また、不信心がいかなる病魔よりも恐ろしき感染性と致死性を持つことを知る。 異端を思わせる活動を行った者には破門が言い渡され、信心を失った者が隣人や同僚、家族の中にいることを宗務局に報告せぬ者は、自らも大逆者に等しい罰を受ける。
また、聖教会の聖職者は再発見された諸惑星の住人を改宗させ、警戒の緩みに喝を入れる説教を行うことで、〈帝国〉の信仰を維持し、広める責務を負っている。
【強力な影響力】
〈帝国〉内において聖教会の存在から逃れることは、ほぼ不可能といってよい。兵務局複合工場の労働者や下水に住まうギャングから、世俗離れした官僚機構の書記官や前線で戦う防衛軍兵士に至るまで、人類のほぼすべてが、皇帝陛下の神性さを示す概念が深く染み込んでいる。
彼らは皆、皇帝陛下の名誉を称えるために汗を流し犠牲を捧げる必要性を知っている。そして、 そのような要求が満たされなかった際に降り注ぐ報復の懲罰を何よりも恐れているのだ。
人口が多く、戦略的にも重要な拠点である惑星には巨大な「聖堂」(カセドラム)がそびえ、その窓に施された、聖人の姿を描いた輝く「彩色強化ガラス(アーマグラス)」は低周回軌道からも確認できるほどだ。住民の少ない「死地惑星」や小惑星上の採掘基地にも小規模の礼拝所や聖堂が設けられ、聖教会の担当員が教区を見守り、異端の兆候に目を光らせている。
冒涜的行為には、 宗務局の無慈悲なる鉄槌が下される。 告白が収集され、共謀者は告発されて、罪を犯した者たちは、考え得る限り最も戦慄を抱かせる方法で公の場で処刑を受ける。
そのような見せしめの如き公開処刑は大衆に恐怖を植え付けるが、 〈帝国〉臣民を感染性の異端という名の汚染から守るため、取らざるを得ない手法であると認識されている。 粛清は神聖なる任務であるため、多くの聖教会員は、執行に歓びを感じることも、また悪意を持って刑を執行することもない。
【さらなる汚染への対応】
かくして帝国宗務局は、数千年にも渡って皇帝陛下の従僕らを導いてきた。長い時の間に、彼らが根絶した異端の宗教は数限りなく、あらゆる系統の異教の扇動者を火刑に処し、〈帝国〉から排除した。
地球の聖教会殿堂の地下には長大かつ曲がりくねった地下墓地が存在し、その中には聖職者の日誌や、冒涜を成した者らの血でしたためられた告白の書が収められている。この書庫の奥底、最も近くの秘密の入り口からも徒歩で一日かかるほど深い場所には、「ヴァンダイア卿」、および他の「偽りの預言者」らにまつわる記録が、厳重に守られ、保管されているという。
さらにその奥には〈起源の間〉と呼ばれる聖なる間があり、〈救世帝教団〉の最初期の活動を記した資料が眠っているが、その正確な場所とたどり着くための方法は、聖教会首座、およびその側近にしか知らされていない。だが、〈帝国〉に深く根を張り、強大な存在感をもって君臨してはいるものの、帝国宗務局は、その神聖さを脅かす者に対し、常にその力を見せつけなければならない。
特に銀河を二分する〈大亀裂〉(グレイト・リフト)が第41千年紀末(西暦40999年ごろ)に口を開けて以降は、信心無き者による蜂起や、叛逆者や異種族による侵略が絶え間なく続き、力を誇示する必要が高まっている。反乱や領域の侵犯は、可能な限り、その地域の惑星防衛軍(PDF)が対処する。
だが、脅威があまりにも大きく、地方駐留軍では浄化しきれない規模の「汚染」や侵略である場合、宗務局は修道聖女会を導入し、信仰の敵を排除する。戦闘修道女らは躊躇も慈悲も見せずに、聖教会の怒りを人類に仇なす者らに向けて解き放ち、邪悪なる「異能者」(サイカー)の陰謀団や異端者、変異者らの存在を消し去るのである。

背教の時代

「無理や恐怖や欺瞞のために異端に堕ちたる者には、免罪を与えるべし、と主張する者らがいる。そのような弁舌で慈悲と理解を説いて回る心弱き者は、異端者に勝るとも劣らぬ危険分子ぞ。落ちたる者どもと共に、火炙りにせよ!」
- 尼僧長イスメルダ・カリタドス


画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P11イラストより

【概要】
修道聖女会は、動乱と流血の時代である〈背教の時代〉に設立された。数十年に渡って続いた騒乱は、聖教会だけではなく、〈帝国〉そのものをも引き裂きかねないものであった。
この恐怖と呪詛に彩られた時代には、それぞれの惑星で異なる名が与えられているが、帝国宗務局の年報には〈背教の時代〉と記されている。
第36千年紀(西暦35000年代)、暴虐なる 「ゴージ・ヴァンダイア」 が、聖教会首座と帝国行政局の至高卿の座を簒奪した。これは賄賂と脅迫、強要、殺人といった手段を通じて成し遂げられたものであり、それによってヴァンダイアは、かつて誰も手にしたことのないような、強大な権力を得るに至った。
皇帝が〈黄金の玉座〉に接続されて以来、〈帝国〉に属する百万の惑星を管理する官僚機構と、数多の敵を退け人類を統一に導く信仰、その両方を支配し得た者はいなかった。並ぶもの無き力を獲得したヴァンダイアは、〈帝国〉を己の手中に収めんと画策した。
かくして 〈血の軛〉 と呼ばれる世が始まり、無数の命が奪われ、多くの惑星が燃え上がることとなった。
【聖人セバスチャン・ソア】
〈血の軛〉は数十年に渡って続いた。年を経るにしたがってヴァンダイアは精神に変調をきたし、偏執的になった彼の手で火刑に処される者の数も、急激に増えていった。
この狂乱の最中、〈光の同盟〉と呼ばれる宗派が惑星「ディママール」で興り、影響力を高めていった。当時まだ無名であった 「セバスチャン・ソア」 という名の男に率いられたこの宗派はヴァンダイアによる暴政を糾弾し、〈帝国〉中に向けて希望の言葉を発信した。
嗜虐的な圧政に長く苦しんできた人々は、この言葉を歓迎と共に受け入れた。ヴァンダイアは地球から軍勢を送り、〈光の同盟〉を潰し、ソアを処刑せんとした。
だが、彼が派遣した艦隊は、出撃直後に猛烈な〈歪みの嵐〉に巻き込まれ、壊滅してしまった。現在でもその〈歪みの嵐〉は〈皇帝陛下の怒嵐〉と呼ばれ、恐れられている宙域でのことであった。
ヴァンダイアの妨害を免れた〈光の同盟〉はさらに手を伸ばし、暴虐なる至高卿に叛旗を翻すことに賛同する多くの星系から支持を取り付けた。セバスチャン・ソアは見事な弁舌をふるい、数百万もの人々を味方につけて戦力を増強していった。
間もなくその戦力は、依然ヴァンダイアに忠誠を誓う軍勢と並ぶほどまでに膨れ上がった。だが、真の救済を得られたのは、火星の賢人ら、スペースマリーン、そして「皇帝近衛団」(アデプトゥス・カストーデス)がソアと共に戦うことを選択した後であった。
外部から「聖教会殿堂」を攻撃する作戦が練られ、また、近衛団は防衛戦の内部からヴァンダイアを襲撃する計画を立案した。
【皇帝陛下の息女ら】
共同戦線を張って彼に立ち向かわんとする戦力は強大だったものの、ヴァンダイアも無防備なわけではなかった。今から数百年前にさかのぼった〈血の軛〉の初期、この至高卿は、自らが張り巡らした密偵網を通じて、五百人ほどの規模しか持たない小教団の存在を知った。
無名に近い農業惑星「サン・レオール」を拠点とするこの集団は、 〈皇帝陛下の息女ら〉(ドーター・オヴ・エンペラー) を名乗り、その成員は皇帝陛下を崇拝し、自らの純潔を守る事に身を捧げていた。彼女らはまた、いにしえの戦いの術を学び、自身の精神から現世の煩悩を取り去って、一生をかけて己の戦闘技術を磨かんとする者たちでもあった。
興味を引かれたヴァンダイアは、聖教会首座として〈皇帝陛下の息女ら〉を公式に訪問し、栄誉を授けると彼女らに伝えた。サン・レオールに到着した一向に対し、〈皇帝陛下の息女ら〉は、ヴァンダイアを神たる皇帝陛下の使者とは認めない旨を通告した。
ヴァンダイアが引き連れていた大随行団は色めき立ったが、このときはまだ完全な狂気には陥っていなかった至高卿は、自身の地位を証明する方法を準備していた。彼は、護衛の一人に、「儂を撃て」と命じた。
皇帝陛下の恩寵に護られている故、決して傷つくことはない、と主張したのである。そして護衛が放った光線銃「ラスピストル」の閃光が消えた時、〈皇帝陛下の息女ら〉は跪き、ヴァンダイアを崇めた。 彼の体は、ラスピストルの光線を受けても傷一つ受けていなかったのだ。
後にヴァンダイアは、考えていた通りであったと自慢まじりに書記官に述懐していた。辺境の惑星で孤立していたこの宗派の者たちは、 彼が着用していた防御装置「ロザリウス」から発せられた転換フィールドの効果を知らなかったのだ。
すなわち、〈皇帝陛下の息女ら〉はありもしない皇帝陛下の恩寵に騙されて、ヴァンダイアに忠誠を誓ってしまったのだ。 至高卿に忠誠を誓った〈皇帝陛下の息女ら〉は、聖教会首座の護衛兵に任命された。
彼女らの純潔さを尊ぶ文化と戦闘における優越は新たな兵器を与えられることによって強化され、彼女らが身を挺してヴァンダイアを護るさまは、〈帝国〉の中で語られるようになった。
ヴァンダイアの聖教会首座としての正統性を疑う者あらば、これら精鋭の兵は彼の刃による反論の運び手となった。また宗務局の聖議会が自身らの長であるヴァンダイアを殺めんと企てた時は、彼の警護兵を務める〈皇帝陛下の息女ら〉が議場に向かい、固く扉を閉ざした。
数時間後、彼女らが再び姿を現したときには、その手にはその場にいた大司教全員の首が下げられていたという。
【六人の師母(マトリアーク)】
セバスチャン・ソアのもとに結集した軍勢が聖教会殿堂を取り囲んだときも、ヴァンダイアの護衛たちは攻撃を食い止める最後の砦となった。数か月にも及ぶ戦いの中で聖教会の外周部は瓦礫と化したが、至高卿の首座の間を要する擁する中央区画は、依然破られることなき要塞としてそびえていた。
ヴァンダイアの兵たちは、皇帝陛下と、陛下の恩寵を受けし従僕たるヴァンダイアに対する揺るがぬ信仰心を糧に魂を燃え滾らせ、一歩も退かずに戦い続けた。だが、彼女らが外部からの侵入者の撃退に心を注いでいる間に、聖教会殿堂を内側から攻略せんとする勢力が動き始めていた。
皇帝陛下と〈黄金の玉座〉の護り手である皇帝近衛団は、その任務の性質上、帝殿、そして聖教会殿堂を擁する強大な一翼の構造について、膨大な知識を有していた。その知識を利用して、殿堂の地下を走る迷宮のごとき通路網を抜けて、ヴァンダイアの謁見の間の間近まで潜入した近衛の小部隊があった。
彼らはそこで、 六人の聖教会首座護衛兵 に遭遇した。近衛部隊の長は武器を置き、彼女らに説得を試みた。
「汝らが忠義を誓う至高卿こそが、人類の、〈帝国〉の、そして皇帝陛下の敵である。」、と。だが、ヴァンダイアの従僕たちの信心は、そのような言葉だけでは揺らがなかった。
近衛部隊の指揮官は、彼女らを味方に引き込むため、最後の手段を使うことにした。彼は六人を連れて曲がりくねった隧道を引き返し、彼女たちを、銀河で最も神聖なる場所、皇帝陛下が休息する〈黄金の玉座〉の間に導いたのだ。
そこで彼女らは、近衛団の将やスペースマリーンの「総主長」以外の者には六千年紀に渡って秘密にされてきた、あるものを見せられた。口外した場合には死をもって償う、との誓いを立てて。
この六人が〈黄金の玉座〉の間で目にしたものが何であったかは記録に残っていない。だが、その間から再び姿を現したとき、彼女らの心は怒りに燃えていた。
地下の通路を通って聖教会殿堂に戻ると、六人の指揮官枠であった「アリシア・ドミニカ」は〈皇帝陛下の息女ら〉を全員集め、至高卿の腐敗と堕落の事実を告げた。そして、ヴァンダイア警護の任務を放棄した彼女らは、ドミニカを筆頭に、聖教会首座の私室に向かった。
ヴァンダイアはそこに立て篭もっており、その部屋で彼は秘密の研究に没頭していた。室内は無秩序が支配しており、書記官らは逃げ去った後であった。
警護を務めているはずの者らの姿を認めたヴァンダイアは血に飢えた弁舌をふるい、出撃して侵入者を殺戮するように彼女らに命じた。ドミニカは、ヴァンダイアに冷ややかな視線を向けた。
そして、彼女はヴァンダイアを断罪した。その折の言葉は、彼女が長き眠りについた時に、その墓碑銘として刻まれることとなった。
【ヴァンダイアの最期】

「汝が犯したるは、究極の大罪。汝、皇帝陛下に背を向け、皇帝の導きの光から足を踏み外したのみならず、陛下の名を冒涜し、陛下が御身を削りて作り上げられた、その全てを打ち壊した。汝、陛下が人類に示されし道を穢し、歪めし者。汝が教条に定めるがごとく、かような大罪に免罪は許されず、かようなる大悪人にかけるべき慈悲もなし。我ここに、汝が位階の剥奪を宣言する。汝、闇に歩きし者。生きることは許されぬ。汝が受けるべき刑は、遥か昔に下されて然るべきであった。刻は来たれり。汝の死の刻が。」
- アリシア・ドミニカ

そう告げるとドミニカは「パワーソード」を高々と掲げ、ゴージ・ヴァンダイアに見せつけた。至高卿であった男は理解できない、というふうに首を横に振り、かつて自身の護衛であった者に、こう告げた。
「儂は忙しいのだ。死ぬわけにはいかぬ。」それを聞いたドミニカは、力の輝きをまとった刃を振り下ろした。 剣は、〈皇帝陛下の息女ら〉と初めて対面した日からこの男が身に着けてきたロザリウスを切り裂き、叛逆者の首を落とした。
〈血の軛〉を終焉へと導いた六人の聖教会首座護衛兵は後に、 「師母」(マトリアーク) と呼ばれるようになり、修道聖女会の聖人として畏怖の念をもって崇められるようになった。

【修道聖女会(アデプタ・ソロリタス)の誕生】
〈血の軛〉はヴァンダイアの死と共に終焉を迎えたものの、〈背教の時代〉はその後数世紀にわたって続いた。セバスチャン・ソアは扇動の罪で審判にかけられたが、彼の動機の純粋さは疑うべくもなく、また彼が放逐した暴虐なる至高卿に憎しみを抱く者も多かったため、 彼は無罪とされただけでなく、次代の聖教会首座に就くことともなった。
他の地球の至高卿からの要請もあり、帝国宗務局には多くの変革がもたらされた。中でも大きかったものは 〈非抵抗教条〉 で、 これによって聖教会は常設軍事力を放棄し、保持していた陸戦戦力を「帝国防衛軍」(アストラミリタルム)に、艦隊を帝国艦隊に引き渡すこととなった。
だがセバスチャン・ソアは〈皇帝陛下の息女ら〉だけはこの誓いの影響を受けぬと主張した。

セバスチャン・ソア曰く、

「帝国宗務局は武装した人間(man)を保持することは許されないが、武装した女性(Woman)ならその条項に引っかからない。」

とのことだ。言い訳がましいわ

彼は、信仰を守護するためには軍事力が必要となる事を知っていた。〈皇帝陛下の息女ら〉は帝国宗務局に完全に統合され、 「修道聖女会」(アデプタ・ソロリタス) に改称されたのだ。
他の至高卿はこの措置に困惑したが、彼らとて、新たな聖教会首座や、その地位に伴う権力に歯向かうことは出来ぬのであった。
【六人の師母達】
同時期、修道女たちの軍事的精神的指導者として師母の一人であるアリシア・ドミニカが〈皇帝陛下の息女ら〉が修道聖女会へ再編されるのを見届けた。 将来、何者かが聖教会の全軍勢に勝る、歯止めの付かない力を有する事が無いように、アリシア・ドミニカは姉妹団を二つの大修道院に分離させ、その後には最初期の戦闘修道会へと分割していった。
ドミニカや、彼女と共に〈黄金の玉座〉の間に入った上級修道女たちは各々が師母となり、創設された6つの上位主導下位の庇護者となった。彼女達の死から数千年の時を得た今、師母達は至高の神たる皇帝陛下の規範となる聖人として、天使の如き調停者として崇拝されている。
彼女達の戦闘礼拝堂の神殿は厳粛な傾向があり、師母の伝説的な偉業を称えるための像が建立されている。〈帝国〉の一般臣民の多くは、師母達の恩恵を望み祈りを捧げ、修道女たちは彼女達の名を戦場に刻むために、その名を口にする。

  • “憤怒の精霊”「聖ドミニカ」

  • “殉教者”にして“盾の持ち手”「聖カトリーヌ」

  • “情熱の忍従者”「聖ルーシア」

  • ドミニカの闘士にして“流血の”「聖ミナ」

  • “調停の魂”「聖シルヴァーナ」

  • “疑念を祓う者”「聖アラベラ」

これらの戦士達は神たる皇帝陛下の御前に在った。彼女達は死してなお、皇帝陛下の御名の下で戦う、価値ある者を見守っている。
【粛清の団(オルド・ヘレティカス)】
〈背教の時代〉の終結期、「異端審問庁」は、聖教会により密着して監視を行う秘密集団を組織内に誕生させた。 異端審問庁の庁としての任務が〈帝国〉全域に目を光らせることであるのに対し、 〈粛清の団〉(オルド・ヘレティカス) の主要任務は、 異端の信仰が拡散する前に、その芽を踏み潰すことである。
聖教会は教会自体とその信者を、主に修道聖女会を用いることで統制しているが、〈粛清の団〉は、 聖教会内部の権力者が職権を濫用して〈帝国〉の安定を脅かすことのないよう監視する、追加の予防線として機能している。 〈粛清の団〉の異端審問官は帝国宗務局が率いる征戦である〈信仰の闘争〉にも注意深く監視の目を向け、聖教会が発布した目的に正統性があるか、そして、前線で実際に戦っている者たちが、発布された目的を超えた行為を行っていないか、常に確認している。
臨時に編成される「民兵同胞団」(フラテリス・ミリティア)と呼ばれる戦闘部隊も〈粛清の団〉の監視対象となり、聖教会の司祭に率いられて戦場に向かうこの部隊が、戦闘終了後、解体されるまで見届ける。〈粛清の団〉は、これらの監視を通じて、聖教会の常設軍がゴージ・ヴァンダイア時代の規模にまで膨れ上がることのないよう、牽制しているのである。
コデックス「アデプタ・ソロリタス」(codex:Adepta Sororitas) イラストより

修道会

「修道聖女会が向かうところ、必ずや、神聖なる人類の皇帝陛下の光がもたらされん。その光が触れしもの、全て皇帝陛下の正当なる所有物とならん。戦闘修道女は行軍を続ける。すなわち、十分な時さえ経れば、この世に在りしあらゆる物は、偉大なる人類の盟主のものとなるべし。さすれば、かくあるべし。この世の終わりたる刻までは。」
-「征服の書」第31巻第84章第17節


画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P34,P35イラストより

【概要】
修道聖女会の修道女たちは、大修道院の管轄下にある各 「修道会」(オーダー) に所属している。一般的に修道女は、その命が皇帝陛下の御許に還るその時まで一個の修道会に所属し続けるが、中途で他の修道会に異動する者も珍しくない。
特に、重傷を負うなどして戦闘任務から宗務、あるいは儀典任務に転任せざるを得ないような場合に移動が行われることが多いようである。全ての修道会は、少なくとも一個の 「聖域」(サンクチュアリ) を有しており、修道女らは、その要塞化された住居区で暮らし、祈りを捧げ、訓練に励む。
規模の大きい修道会は監督下にある教区内に複数の聖域を有しており、それぞれに所属する修道女が駐屯している。
【戦闘修道会(オーダー・ミリタント)】
修道聖女会の修道会のうち、最もその存在を広く知られているのは 「戦闘修道会」(オーダー・ミリタント) で、「戦闘修道女」(シスター・オヴ・バトル)という名も、これらの修道会を指すものだ。戦闘修道会に属する戦士たちは、戦技をきわめることによって魂の純潔を得ようと日々、鍛錬を重ねており、かつて〈皇帝陛下の息女ら〉によって考案されたものの中で最も厳格な訓練課程と教条に従う。
戦闘修道会の修道女の兵数は、帝国防衛軍が誇る超巨大軍とは比べるべくもないが、 修道聖女会の戦士、一人一人が有する戦闘能力は、帝国防衛軍の兵士のそれをはるかに上回る。 戦闘修道会の新兵が、帝国防衛軍の古参軍曹に勝るとも劣らない戦いぶりを見せることも稀ではなく、また、特に力強き戦闘修道女らの技能と耐久力は、スペースマリーンのそれにも匹敵すると言われている。また、〈帝国〉の軍勢の大部分が数千に渡る惑星から集められた、様々な文化を持つ兵の「寄せ集め」に対して、 各修道会の修道女らは、一つの信仰と教えのもとにまとまっており、出身社会における因習や煩悩を捨てて、皇帝陛下の最も優秀な駒とならんとする者たちである。
彼女らは体内に流れる正義の熱情でさえも共有しており、異端の圧政者や異種族の怪物を、〈皇帝陛下の息女ら〉と寸分違わぬやり方で殺戮し、焼き尽くす。ただし、それぞれの修道会の間には、典礼や儀式、そして聖教会の怒りを不信心者らに届ける方法といった点において、いくつかの差異も存在する。
例えば、修道会の一つである〈殉教せし我らが聖女修道会〉が用いる戦法「前進する大火」は、いにしえの「炎の進軍」という戦法を発展させたものだが、これは「第三次アルマゲドン戦争」において、数限りないオルクの「徒党」(モブ)を焼き尽くすためのものだった。また。多くの修道会は六人の「師母」(マトリアーク)の一人から、直接教えと戦いの方法を受け継いでいる。
この六人の師母とは、すなわち〈血の軛〉の終結時、〈黄金の玉座〉の間に迎え入れられ、皇帝陛下の秘密を知った六人の戦士達である。 師母は美徳と暴力の鑑、かつ皇帝陛下に最も篤く祝福されたる奉仕者として修道聖女会の中で崇められており、過去の数千年紀の間に全員が殉教を遂げたものの、その憤怒と耐え抜く力がもたらした聖なる功績は、修道女たちの模範となっている。
【非戦闘修道会】
戦闘修道会の他にも、修道聖女会には多数の非戦闘修道会が存在する。 それら修道会の任務には、戦地及び非戦地における傷病者の治療、聖典や謎に満ちた異種族文書の翻訳と解釈、〈帝国〉の支配階級への帝国信条集講釈といったものが含まれる。
非戦闘修道会もそれぞれに聖域を構えており、そのような聖域の多くは多層都市や「聖堂惑星」(シュラインワールド)に存在する。だが、所属する修道女の多くは、任務の遂行と上長である尼僧長への報告を行うため、近隣の惑星等に散らばって活動する。
彼女らが行う奉仕活動は生活に根差したものであり、そのためこれらの修道女は〈帝国〉のあらゆる社会階層の者から歓迎を持って受け入れられているが、 それはすなわち彼女らが、〈帝国〉のあらゆる場所で信者が信心を喪失する兆候に目を光らせているということでもある。

【上位修道会(オーダー・マジョリス)】

  • 「殉教せし我らが聖女修道会」

「異端なる者よ、聞くがよい。たとえそなたが我が命を奪うと能うとも、さすれば我が魂は炎と化すのみ。我が魂は皇帝陛下のものとなり、陛下の神聖なる光と一つになりて輝く。そして我は永遠に導く。信心深き者たちを。その者らに我が力を貸し、そなたと、そなたの呪われし同族が滅殺されるまで戦い続ける。無論、そなたが我が命を奪うことができれば、ではあるが」
- 〈殉教せし我らが聖女修道会〉尼僧長アルレイル

【概要】
〈殉教せし我らが聖女修道会〉の修道女は皆、復讐の炎を身中に宿している。(名前長げえわ)彼女らは神たる皇帝の燃ゆる剣であり、皇帝の聖なる裁きの運び手であり、皇帝に仇なす者らに容赦なき破滅をもたらす。
熱烈なる祈りの声をあげながら。〈殉教せし我らが聖女修道会〉は、 戦闘修道会の中でも特に規模が大きく、また広範囲に展開する修道会である。
その名は銀河の数多の惑星の支配階級にも大衆にも知られており、彼女らの声は正しき者らの心に希望を抱かせ、信心無き者らの心に畏れを抱かせる。この修道会は、皇帝陛下の敵の中でも、特に〈帝国〉とその民に害をなすものを執拗に追跡することで有名で、異種族の略奪者や渾沌の軍勢、異端の教団を発見すると、それが銀河のどこであったとしても即座に集結して、燃え上がる怒りをもって、その者らの存在を消し去ろうとする。
【修道会の創設】
〈殉教せし我らが聖女修道会〉は、かつて〈炎の心修道会〉と呼ばれたこともあり、聖女会初期から存在する四個の戦闘修道会の一つである。この修道会は、セバスチャン・ソアの後を継いだ聖教会首座「アレクシス二十二世」が、二個の大修道院を、より小単位の戦闘部隊に再編したときに誕生した。
〈神聖修道院〉を分割して、〈勇猛なる心修道会〉と共に設立されたのだ。〈炎の心修道会〉を率いることを命じられたのはアリシア・ドミニカの盾持ちであり、〈黄金の玉座〉の間で皇帝陛下と対面した六人の師母の一人でもあった「カトリーヌ」であった。
カトリーヌはドミニカの副官と長く目されており、自身の修道会を持つ以前から、叛逆せし異端者や〈歪み〉の能力者を駆逐する作戦を指揮して、数多くの成功を収めていた。〈炎の心修道会〉の修道女たちを配下に置いたカトリーヌは、より多くの〈信仰の闘争〉に出陣し、〈帝国〉の版図の内外を問わず敵を追い、それらの者に燃えさかる皇帝陛下の火を投げかけた。
【カトリーヌの最期】
カトリーヌが命を落としたのも、〈信仰の闘争〉の途中のことであった。彼女が如何にして信仰に殉じたのか、それにまつわる記録は少なく、また残存する記録の多くが互いに矛盾する事実を伝えるが、最も古く、かつ最も信頼できるものは、「カンデラの書」と呼ばれる焼け焦げた羊皮紙の断片に記されているという。
この書の判読可能な部分によると、カトリーヌに死をもたらしたのは「ムネステウス」の妖術師教団であるとされているが、この教団が何者であったのか、これらの者がどのようにして偉大なる戦士カトリーヌを斃すに至ったのかについては何も述べられていない。聖教会の記録は、カトリーヌの戦死の報が修道聖女会中に悲嘆をもたらし、多くの修道会で数週間にも及ぶ追悼式が執り行われたと伝えている。
だが、〈炎の心修道会〉自体は、悲しみに暮れることも追討を行うこともしなかった。麾下のあらゆる支部、指揮所、聖務団は戦備を整えて結集し、終わりなき報復の戦いを続けることで悲痛を慰めたのだった。要は八つ当たり
この殉教せし師母を讃えるため、修道会は 〈殉教せし我らが聖女修道会〉 と改称された。そして彼女らは、今も復讐に燃える心で戦闘に挑む。
この修道会の修道女は、数千年紀に渡り、弔意を示す漆黒の武器と甲冑を身に着けていた。彼女らが赤色の布をまとうようになったのは、オルクの大族長「ガズグッカル」が仕掛けた「第三次アルマゲドン戦争」後のことである。
【進化する軍事教条】
〈殉教せし我らが聖女修道会〉の修道女は、カトリーヌが有していた燃えるような熱情と弛まざる決意を今日も体現し続けている。戦場においては、消えざる業火を思わせる陣形で広く部隊を展開し、圧倒的な力で前進して立ち向かう者のことごとく灰に帰せしめる。
だが、彼女らの戦いに挑む姿勢は、決して規律を欠いているわけではない。カトリーヌは軍事教条の熱心な学び手であり、〈皇帝陛下の息女ら〉が確立した戦法を、〈帝国〉の他の軍勢が使用していたものと融合した。
彼女の教えは今も〈殉教せし我らが聖女修道会〉に受け継がれており、修道会の修道女らは、驚くべき迅速さで戦略の変更に対応することができる。
【殉教崇拝】
師母が命を失って以来、〈殉教せし我らが聖女修道会〉は、修道女全体を見回しても希有な 「殉教崇拝」 を持つようになった。 聖女会の修道女は皆、皇帝陛下の御為に死ぬことこそが、陛下の従僕として望み得る最上の死であると教えられる。
だが、〈殉教せし我らが聖女修道会〉の修道女らは、これを類い稀なる純情さで追及するため、事情を知らぬ者からすると、あたかも自死志願者であるかのように見えるともいう。孤立した戦闘修道女らは、殺到する敵の大軍に勇敢に立ち向かい、反攻の聖詩を唱える声と、ボルトガンの銃声は調和して、次第にその音量を高める。
そして敵の刃が己の肉体を切り裂く時、修道女らは、自らの魂を進んで神なる皇帝陛下に捧げるのである。そのような高貴たる死は、死したる修道女の同氏らから賞賛の叫びを引き出す。
皇帝陛下の御目は、斯様なる揺るがざる忠誠心と信心の現れによってその戦場に注がれるのである。そして、殉教せし者らの名のもとに、生き残りし者たちは驚異的なるまでの戦果を上げ、数に勝る敵を殲滅し、敗色濃厚で会った戦いを勝ち戦に変える。
〈殉教せし我らが聖女修道会〉の修道女らが崇めるのは、自らが所属する修道会の殉教者だけではない 〈帝国〉の版図の神聖さを守らんとして斃れた者は皆、彼女らの崇拝の対象となる。 彼女らの師母は「盾の持ち手」であり、自らの命を賭して、他の者の命を守り続けた。
この修道会の修道女らは、これを理想として、聖カトリーヌの心を体現して人類を守り抜く者らを讃えるのだ。彼女らは戦闘の詩篇歌を歌って、自らと共に〈信仰の闘争〉を戦い、そして倒れた防衛軍兵士、スペースマリーン、技術司祭たちを礼賛する。
それらの中でも特に勇猛であった者は、修道会所属の修道女が受けるのと同等の栄誉を送られる。修道会の復讐の聖詩に名が加えられ、戦闘前に、修道女たちを鼓舞するために歌われるのである。
【強固なる聖域】
〈殉教せし我らが聖女修道会〉は、〈帝国〉領内の数多の惑星に要塞化した聖域を維持している。これらの中には、聖カトリーヌが行った〈信仰の闘争〉の間に建造されたものも多く含まれる。
修道会の確立された教区の領域から遠く離れて、半ば独立して運営されているものも存在するが、大半の聖域は〈薄明の宙域〉(セグムントゥム・オブスキュラス)内に位置している。様々な場所に支部を置いているため、〈殉教せし我らが聖女修道会〉は、〈帝国〉の最も過酷な戦域の数々に所属修道女を送り込んできた。
惑星「アルマゲドン」では、終結した修道女が大族長「ガズグッカル・ザラガ」率いるオルクの大群から「聖カトリーヌの聖堂」を防衛線と戦った。全戦力の半数にも及ぶ殉教者を出したものの、彼女らは敵軍にも甚大な被害を与え、彼女らの気骨ある奮闘に感銘を受けたグリーンスキンどもがこの攻城戦にぜひとも参加しようと、他の戦線を捨ててまで参集したという。
この修道会はまた、ケイオススペースマリーンの “強奪者”「アバドン」 が「第十三次〈黒き征戦〉」を引き起こした際には、惑星「ケイディア」における戦闘に参加した。最終的にこの惑星は陥落してしまったものの、戦場で戦った者たちの篤き信心は偉大なる奇跡を呼んだ。
〈歪み〉の中から修道聖女会の聖人「聖セレスティン」が姿を顕し、苦戦に耐える防衛軍に力を貸したのである。現在、この修道会の星域の多くは銀河を横断する〈大亀裂〉(グレイト・リフト)により分断されている。
それでも〈殉教せし我らが聖女修道会〉は、〈帝国〉の斃れし英雄たちのため、怯むことなく復讐を挑み続けている。新たに口を開きし〈歪みの嵐〉から溢れ出す渾沌の軍勢あらば立ち向かい、そして、包囲された人類の守護者の陣あらば、進軍してそれらの者の敵を殲滅する。
彼女らの魂に燃える炎は希望の灯火であり、徴でもある。いかに恐怖に満ちたる世になろうとも、皇帝陛下が信心深き者を見捨てることは、決してない。
画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P18イラストより

  • 「勇猛なる心修道会」

「痛みは我が姉妹、我と共に戦う者なり。痛みは我が罪を想起させ、我に贖罪を追い求める力を与える。決して退かず、確かに狙い、そして大地に血を流そうとも戦いを止める勿れ、と。痛みは仲間なり。痛みは友なり。痛みは真理なり。」
-〈勇猛なる心修道会〉修道女エリニカ・ンボトゥ

【概要】
揺るがざる信心に身を固め、〈勇猛なる心修道会〉は、苦難中の苦難さえ耐え忍び、皇帝陛下の敵に死を与える。彼女らに耐えられぬ苦しみはなく、彼女らが生き抜いた痛みは全て、二倍の痛みとなって敵のみにもたらされる。倍返しだ!!
戦場における戦術においても、祈りを捧げる場においても、〈勇猛ななる心修道会〉の修道女は禁欲と忍耐の教条を順守する。これは創設者であり師母の一人である「ルーシア」の教えに由来するものだ。
ルーシアは、ドミニカの共闘者の中では志操堅固の体現者であったと言われ、燃え上がる情熱を持つカトリーヌの対極を成していた。〈神聖修道院〉が分割されることとなったとき、聖教会首座「アレクシス二十二世」はこう記した。
「ルーシアの〈勇猛なる心修道会〉は、〈燃える心の修道会〉の鉄槌を受け止める、動かざる鉄床となるべし」と。だが、設立当初から、〈勇猛なる心修道会〉は、純粋なる防衛戦力以上の働きを成してきた。
師母に率いられ、修道女らは異端と叛逆が深く根を下ろし、妖術と冒涜的な変異が蔓延する惑星を探し求め、それらの惑星上から不信心者を痕跡無きまでに排除することを自らの任務とした。この修道会は、危険な環境における長期の戦いにも進んで臨み、「死地惑星」(デス・ワールド)に潜む邪術教団に包囲戦を挑み、人類の進入を拒む異種族の惑星に襲撃を敢行した。
そしてこのような戦法は、敵を効果的に殲滅するだけでなく、修道女らの贖罪の行としても機能する。ルーシアの教えを記した手稿のうち最古のものは、彼女がこの修道会に対して行った最初の説法を記録したものであるが、その中で彼女は、 修道聖女会は未来永劫に渡って彼女と〈皇帝陛下の息女ら〉が犯した罪を償い続けなければならぬ、と説いた。
一時なれども詐称者ゴージ・ヴァンダイアを主と仰いだ、という罪の。
【ルーシアの最期】
ルーシアは二度の異端に堕ちし教派の手にかかって殉教した。彼女は捕虜となり、彼女の心を壊し、皇帝に対する信心を捨てさせようとする異端者によって、数か月にも及ぶ拷問を受けた。 彼女の目はくり抜かれ、千人にも及ぶ罪なき者が死に至る拷問を受けてあげる叫びを聞き続けることを強要された。
拷問を受けた者の中には、彼女の配下の修道女も含まれていた。この事をルーシアは知る由もなかったが、同時に修道女たちも、師母にこれ以上の苦痛を与えぬよう、死を迎えるまで、決して声を出さずに拷問に耐えたという。
やがてルーシア自身も死に至り、異端教派の者らは、彼女の決心を打ち砕いたと喧伝した。だが、その後十年あまりをかけて、〈勇猛なる心修道会〉はこの教派の成員を一人残らず見つけ出して捕らえ、これたの異端者は皆、彼女らの師母が信心を失ったとする喧伝は虚偽であったと告白した。
捕らえられた異端者がどのような運命を辿ったかは、この修道会の外部には明かされていない。唯一知られているのは、これ以来〈静かなる誓い修道会〉の「医療修道女」(シスター・ホスピタラー)の一団が、〈勇猛なる心修道会〉に派遣されたままとなっており、この一団は〈ルーシアの報い〉と呼ばれる聖域の奥深くで、生命維持と痛覚拡張の腕を振るい続けているらしい、ということだ。
【戦闘教条】
ルーシアがその生と殉教を通じて示した規範は、〈勇猛なる心修道会〉に、修道聖女会内でも独特となる戦闘法をもたらした。修道女らは戦闘開始時に皇帝陛下と彼女らの師母に祈りを捧げ、襲い来る恐怖に耐え抜く力を得んと請い願う。
その後、彼女らは、敵の正面ではなく、補給線と退却路に狙いを定めた攻撃を敢行する。そのようにして敵の退路を断った修道会は、次に地域の基盤施設の破壊を開始する。
水源を干上がらせて、燃料庫を燃やし、有毒物質を運搬しているパイプラインに穴を開けて、その物質が大気内に放出されるようにするのである。未開の惑星においては、敵の物資となる可能性のあるものが全て燃やし尽くされる。
すぐに戦場は惨めな砂漠地帯と化し、対峙した両勢力は消耗戦を戦わざるを得なくなる。だが、〈勇猛なる心修道会〉の修道女は、そのような環境の中でこそ力を発揮する。
彼女らの決意を砕き得る苦難は存在せず、いかなる痛みも彼女らを任務から遠ざけることはない。修道女らは計画された前進を繰り返して陣を進め、敵陣に楔を打ち込んで、敵兵の死体の折り重なった道を切り拓く。
機動装甲服を身に包んだ戦士たちの氷河のごとき前進は、いかに重き傷を受けても立ち、戦い続ける聖女たちの姿と相まって、あらゆる敵から戦意を削る。防戦を戦わねばならなくなった時には、修道女は恐るべき気概を見せ、信心薄き軍勢であればすぐに遁走してしまうほどの猛攻撃でさえも耐え忍ぶ。
砲火が彼女らに狙いを定める中でも聖詩を歌う声は高らかに上がり、しびれを切らした敵が総攻撃に打って出れば、修道女らは弛まぬ果敢さでそれを迎え撃つ。
【退魔の砲弾】
〈勇猛なる心修道会〉の支部には、他の修道会よりも多くのエクソシストと「報復分隊」(リトリビューター・スカッド)が所属していることがよくあるが、これは彼女らが使用する戦法と無縁ではない。彼女らは重火器を用いて長距離砲の陣地を築き、敵陣に死の雨を降らせ、進軍を試みる愚かな者どもを打ちのめす。
この修道会の修道女の多くが、雷のような迅速さで次々に撃ち出されるボルト砲弾の轟きの中にルーシアの高貴なる鼓動を聞くという。また空を切り裂く「エクソシスト・ミサイル」の響きの中に、ルーシアの反抗の叫びを聞く者もいる。
このような逸話に鑑みれば、自らの砲撃がもたらす炎の中に奇蹟を見、自ら作り出した業火の中に進んで飛び込んでゆく彼女らの姿も、あながち特異なものではないのかもしれない。
【増える傷跡が修道女たちの勲章】
また、悪夢のごとき戦場で戦うことを好むため、〈勇猛なる心修道会〉の修道会は、痛々しい傷跡がその体に刻まれていることも多い。 そのような切り裂かれた肉の「聖印」は、この修道会内では栄誉ある勲章とみなされる。
ルーシアが受けた苦難を思い起こさせるものであるからだ。戦闘で片目を失った修道女は、真の祝福を受けし者とされるが、これは、その痛みを通じて彼女らの師母が経験した受難の痛みを身をもって理解し、自らの前に開ける信仰の道を、よりはっきりと見据えることが可能になるからであるという。
〈勇猛なる心〉の修道女は、よほどのことがなければ麻痺薬や痛みを抑える「戦闘薬物」(スティム)を受け取らず、そのまま傷の治療を受ける。 たとえ、その治療が手術や四肢切断を伴うものであったとしても。 お前らオルクの激痛野郎か
彼女らにとって、信心とは全ての苦痛を乗り越える力を与えるものであり、薬物に頼って痛みを避けることは、すなわち、信仰の否定を意味するのだ。 〈勇猛なる心修道会〉においては、創設者の受難を祈念するため、訓練課程や崇拝儀式にも一部、手が加えられている。
新入戦闘修道女は、「聖ルーシアの受難」と呼ばれる聖詩を暗記し、その555節全てを、定められた日課の中で暗記せねばならない。また、 修道女らは、自らすすんで様々な責め苦を受ける。 ドMかな?
これは、彼女らの精神的祖先である〈皇帝陛下の息女ら〉が犯した罪を償うために行われる。彼女らは燃える火の上に直に手をかざして祈りを捧げ、儀式用チェーンソードの刃を自らの肉に食い込ませながら贖罪を請うのである。
【危機に晒される聖域】
〈勇猛なる心修道会〉の聖域の大部分は、〈極限の宙域〉(ウルティマ・セグムントゥム)の深部に設置されており、それらの大多数は異種族や叛逆者の軍勢との激しい戦いのさ中に建立されたものだ。これらの聖なる要塞は、死の惑星の沼地の中、鋭い峰を持つ山脈の山中、数千年紀に渡って生あるものを拒み続けてきた荒涼とした大地といった場所にそびえている。
それらの聖域に飾られたレリーフ像や彩色された強化ガラスの窓は、聖女たちがオルクの大群を追い返すさま、ネクロンを砂の下の追い返すさま、弱なる異端者に浄化の炎を吹きかけるさま、といったものを表す。このような聖域惑星も、銀河を二分する〈歪みの嵐〉である〈大亀裂〉が口を開けた時、多くが永遠の暗闇に呑み込まれ、またケイオスディーモンの侵攻やデュカーリによる略奪の対象となった。
だが、この修道会は決して自らの信仰を疑っていない。多くの支部本拠が皇帝陛下の光から切り離されてしまったが、彼女らは、自身らの苦悩は必ず陛下の御目に届いていると信じている。
この苦難の時代を、彼女たちは〈目焼きの刑の刻〉と呼ぶ。〈大亀裂〉を超えた銀河の北部である〈帝国途絶領域〉(インペリウム・ニヒルス)が、その光を奪われたからだ。
かつてルーシアが目をくり抜かれて二度と見えなくなったように。だが、彼女らの師母と同様、〈勇猛なる心修道会〉は心を強く持ち、自らに降りかかる如何なる戒めにも耐えるのだ。
画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P20イラストより

  • 「血の薔薇修道会」

「燃えよ、異端なる者よ。そして燃えながら知るがよい。我が汝を浄化せしは、汝の魂を救済せんがためではない。我が汝を火にかけしは、我が汝を憎むゆえ。汝の全て、汝の成したることすべてが、我に憎悪を抱かせるゆえ。そして、皇帝陛下の光に背を向けし者に相応しきは、死のみであるゆえなり。」
-〈血の薔薇修道会〉報復修道女ロクサナ・ダスィロフ

【概要】
〈血の薔薇修道会〉は、皇帝陛下に背きし異端者や異能者、変異者に対する憎悪を体現する。 彼女らの〈信仰の闘争〉は、罪無き者を救うためではなく、罪深き者を殺戮するために行われる。
邪悪なる者は、死をもってのみ浄化されるのだ。〈血の薔薇修道会〉の師母は 聖ミナ であり、彼女は、暗く陰鬱な気質と、戦場で見せる鮮やかな戦技で知られていた。〈血の軛〉の時代を生き延びた数少ない記録が語るところによると、彼女はアリシア・ドミニカの筆頭戦士であり、また、セバスチャン・ソアの軍勢が地球に迫ったとき、この進入軍の名だたる戦士の数人を白兵戦の末に殺害したのも彼女であったという。
さらに彼女は、包囲戦のさ中に聖教会殿堂に潜入した近衛兵の一団の隊長とも剣を交え、互いに死力を尽くした末に、同名の言が交わされた、との証言もあるが、これは信ずるには一貫性を欠いているようにも思われる。この決闘にまつわる真実はともかく、〈血の薔薇修道会〉の修道女らはミナを〈皇帝陛下の息女ら〉が説いた戦いの美徳の鑑として崇めており、暴力的なるまでの彼女の力を模倣せんと、研鑽の日々を送っている。
【赤き処刑者】
〈血の薔薇修道会〉が創設されたのは、最初に四個の戦闘修道会に遅れる2500年、第38千年紀(西暦37000年代)の中ごろで、聖母ミナの死後、長い時が経ってからのことでもあった。生前のミナは修道聖女会の大教母のを護衛する修道女の小集団を率いており、この部隊は聖教会首座「ディアシス六世」によってようやく〈神聖修道院〉の所属の修道会とされた。
〈血の薔薇〉の修道女は、最初に参加した〈信仰の闘争〉から現在に至るまで、残忍なる処刑者として知られている。 彼女らは、〈帝国〉の多くの「聖堂惑星」(シュラインワールド)を拷問のるつぼに変えてしまった、スラーネッシュ神の「苦痛教団」(ペインカルト)を討伐するため、ネフィリム星系に送り出された。
この聖女らは後方には〈静かなる心修道会〉の医療修道女と、〈鵞筆修道会〉の通詞修道女が続き、それらの惑星が〈血の薔薇〉によって解放された後、信心深き者たちの心と体の治療に当たる手はずだった。だは、到着した非戦闘修道会の成員が見たものは、死のみであった。
この戦闘修道会の修道女は、惑星から惑星へと移動して、遭遇したカルティストを片っ端から殺戮していったが、その際、足を止めて、捕らわれた者を解放するといったことを一切しなかったのである。多くの宗務局の聖職者や捕虜となった〈血の薔薇〉の修道女らは、修道会が異端者を狩る間、敵教団の地獄のごとき地下牢に、死にゆくまま放置されたのだった。
当時、〈血の薔薇修道会〉の「カノネス・スペリオール」であり、後に殉教して列席されることとなった聖マリは、斃れし姉妹らの血を用いて、この戦争の教訓をしたためた。 「荊の書」 と呼ばれるこの書で彼女は、最も邪悪ならざる道は、信仰に反せし者の迅速なる排除によってこそ開かれる、と説き、それゆえ、 あらゆる種類の慈悲は、正義の怒りを解き放ち終えた後にのみ用いられるべきであるとも述べた。
【憤怒を制せよ】
〈血の薔薇〉の修道女は、修道会に加入した時から、自らの最も暴力的な衝動を育み、溜め込むよう教えられる。信仰に敵なす者に、いつ何時でも解き放つことができるように。
新規参入者が戦闘力を試す試練に挑む際には、異端者の行状を並べ立てた祈祷が唱えられ、魂に背きし者と邪悪なる背教者の物語が繰り返し語られて、訓練を受ける修道女に嫌悪と憎しみが植え付けられる。他の修道会では静かに囁かれるだけの祈りの言葉が、〈血の薔薇修道会〉の聖域では大声で叫ばれる。
内省的な瞑想の代わりに、この修道会の修道女は、自身の中にある憤怒の炎に火をつける方法、挑発を受けずとも、自発的に怒りを燃やす術を教えられる。そのような修行に加え、彼女らは怒りを制御する手段も訓練する。
激情に呑み込まれることは、慈悲の心に耽溺するのと同等の罪であると説かれるからだ。恒常的に訓練を積み重ねることにより、彼女らは、怒りが最も効果を持つときのみ、身中の嫌悪を解き放つことを覚え、その制御された憤怒をボルトガンの弾と共に敵にぶつけるのである。
【戦闘教条】
〈血の薔薇〉の憤怒の教えは、戦場に解き放たれたときにその真の輝きを見せる。修道女らは規律の取れた軌道で前進し、火力で敵の側面を圧倒し、あるいは、狡知に長けた陽動作戦を用いて敵の戦線を引き伸ばす。
そして、敵を十分に引きつけると、修道女たちは即座に突撃を敢行する。敵の隊列とぶつかり合うやいなや攻撃を解き放ち、憤怒に満ちた祈りを声高に叫びつつ、憎悪をぶちまけるのである。
激しい力で振られた銃床が、敵の頭部装甲を頭蓋もろとも砕く。チェーンソードの血を撒き散らしながら胴体に食い込み、引き抜かれ、再び突き立てられる。
引き裂かれた内蔵が、地面を濡らすまで。機動装甲服に身を包んだ戦士たちは、死の蹴りを、拳を、肘を敵に見舞い、骨を折り、臓器を破裂させる。だが、そのような殺戮の熱狂の中においても、修道女の動作は正確なものだ。
彼女らの怒りが爆発するのは打撃が命中する瞬間で、その後はすぐに、再び制御される。第一撃で圧倒的な破壊をもたらした修道女らは、次にボルトピストルを至近距離から斉射して、生存するあらゆる敵を掃討する。
〈血の薔薇修道会〉は、戦闘における苛烈さこそが、皇帝陛下の御心の体現となると信じている。修道女らは、戦いにおいて、彼女らの師母の技能と敏捷さ、そして怒りを自らも得られるよう、祈りを捧げる。巨大な渾沌の闘士や異種族の怪物を前にした時、こお修道会の修道女は、あまりの激情に、その体が輝いて見えることもあるという。
その者の周囲には力の奔流が輝ける雲のように集い、音を立てる。敵は深き赤に染まり、血の涙が頬を伝う。
その者は、雷のごとき速さで動き、憎き敵の牙を避け、受け止める。そして、純潔なる死の一撃を、敵に撃ち込む。
そのような変化を果たした者は、歓喜の叫びと共に受け入れられる。その祝福されたる姉妹の体に、ミナの魂が宿ったことを意味するからだ。
【血の浄化】
〈帝国〉の領内には、かつて叛逆せし異端者に占領されたものの、〈血の薔薇修道会〉が大量の流血によって浄化された惑星が数多く存在している。惑星「ヒドラフール」もその一つで、その星はまた、ミナが殉教した地でもある。
この師母は、一人で祈りを捧げているときに殺戮の神「コーン」の従僕どもに襲撃されたのだという。その後、何が起きたのかを見届けた者はいない。
だが、彼女の遺骸が発見されたとき、その周囲には無数の敵の死体が転がっていたと伝わっている。鎧を付けた頭や四肢が引きの駆れて散乱し、おびただしい量の血が、敷石の上を川と流れていたとも。
彼女の殉教を取り巻く伝説は、〈血の薔薇〉の紋章に残され、崇められている。血を滴らせる、二本の刃として。〈血の薔薇修道会〉は、所属修道女の部隊を〈大亀裂〉に沿った戦地にも派遣しているものの、その戦力の大半は、銀河の南方からの侵略者との戦いにあたっている。
複数の戦線で異種族「ティラニッド」の巣窟艦隊「リヴァイアサン」と巣窟艦隊「ハイドラ」の軍勢と向き合い、飢え狂う怪物どもと、そやつらを崇拝する邪宗「ジーンスティーラー・カルト」の数々を切り刻んできたのである。また彼女らは、ケイオススペースマリーンの一つである大逆兵団「サウザンド・サン」の〈二心教団〉(カルト・オヴ・デュプリシティ)とも数多の戦いを繰り広げ、変化の神「ティーンチ」を信奉する邪術士どもに、ボルタ―と、刃と、そして信仰をもって立ち向かっている。
画像出典:コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P22イラストより

  • 「黒檀聖杯修道会」

「大勝利、と奴らは行った。笑ってしまうね!灯火ひとつに、あれだけのプロメチウムを浪費しておいて。時間と物資の無駄使いもいいところだ。戦場に向け行軍しているべき軍隊に、パレードをさせる?戦の叫びをあげているべきときに、歓びの声をあげる?敵を掃討しているべき時に、市民の歓迎を受ける?インヴィディア尼僧長も、そのようなものに一切、興味を持たなかった。我々は輸送車に乗って、前線に向かった。果たすべき任務を果たすために。」
-〈黒檀聖杯修道会〉大天使修道女シャリア・リデンプトゥス

【概要】
伝統を固く守り、戦いにおいては決して退かぬ〈黒檀聖杯〉の修道女らは、〈皇帝陛下の息女ら〉の戦闘規律を完成させようと研鑽しており、数千年にも渡って磨き上げ続けられてきた戦術を用いて〈帝国〉の敵を討ち果たす。〈黒檀聖杯修道会〉は修道聖女会で最初に設立された戦闘修道会であり、聖なる地球の〈第一修道院〉から選ばれた修道女で構成された。
その創設者、初代指揮官、師母は、圧政者ヴァンダイアに誅罰の断頭を執行せし、皇帝陛下の「選ばれし者」、 「アリシア・ドミニカ」 その人である。彼女の指導のもと、〈黒檀聖杯修道会〉は迅速にその組織と名声を確立し、他の修道会に規範を示した。
ドミニカは修道聖女会の軍事的、宗教的指導者でもあった。この修道会の修道女らは、宗教面においても、戦いにおいても、比肩する者なき規律で行動し、戦闘における力強さは、彼女らの信心の深さと同様、他に例を見ないものだ。
訓練の場でも戦場でも、彼女らは〈皇帝陛下の息女ら〉によって確立された教条に厳密に従う。変更が許されるのは〈帝国〉の、より近代化した武器と防具をそれらの教条に取り入れる時のみであるという。
〈黒檀聖杯修道会〉の修道女の心には、ドミニカが示した「完全性」の再現とならん、という願いが常に燃えている。ドミニカは、数多の戦場においてその膂力と不変性、鋭い戦術的洞察を見せ、神たる皇帝陛下の最も価値ある闘士であることを繰り返し示したのだ。
【台頭する修道会】
他の修道会が〈帝国〉の僻地で信心無き者に対する戦いを続ける中、〈黒檀聖杯〉の修道女は地球と〈日輪の宙域〉(セグムントゥム・ソーラー)の神聖さを守護することに集中した。修道会は惑星から惑星、星系から星系へと教区を拡張してゆき、多層都市の奥深くに潜伏したカルトを掘り起こし、荒涼たる衛星や孤立した前進基地に住み着いていた変異者の巣窟を排除した。
遠い昔に異種族による侵略に屈した「聖堂惑星」(シュラインワールド)は、祈りを唱える戦士たちの波に包まれた。渾沌の従僕どもは、現れるやいなや、非難の宣誓と浄化の炎に見舞われた。
より広い地域に勢力を広げると、〈黒檀聖杯〉の修道女らは、帝国信条集を厳密に遵守していない惑星領事や帝国防衛軍士官を告発するようにもなった。そのような者らの元には説教師や贖罪司祭が派遣され、道から外れし者の矯正が試みられた。
だが、真の信心をもたらす試みに抵抗を示す者はいた場合は、〈黒檀聖杯〉の修道女は躊躇なく軍を進め、不浄なる者らを浄化(処刑)した。ドミニカの修道会の鋭き視線の下では、いかなる罪人も安息することは許されなかった。
【刻の聖杯と共にあらん】
そのような初期の〈信仰の闘争〉に赴く際、ドミニカは〈刻の聖杯〉(グレイル・オヴ・エイジス)を携行していた。これは黒色の石で作られた杯(さかずき)で、この師母が皇帝陛下と信を一つにすることの象徴として作られたものであった。
この聖杯と、それが有していた力については多くが不明のままとなっている。この聖遺物の力が戦場で発動したという記録は少なく、また、それらが述べる内容も、奇蹟的であった、とするものから、異教的であったと、するものまでばらつきがあり、信用するに値しない。聖教会の筆記官が記したものによれば、ドミニカが杯の中身を注ぐと、神たる皇帝陛下の声が響き渡り、一語で敵の総軍を打ち倒したという。
銀河感応逓信局の極秘記録によれば、〈黒檀聖杯〉の師母が聖杯を手に戦場へと現れると、その惑星上のあらゆる異能者(サイカー)が瞬時に炎に包まれて死んだと述べる。また、〈刻の聖杯〉に関する逸話は、異種族アエルダリによって運営される〈黒き図書館〉(ブラックライブラリ)に納められた不気味なる大冊や、あるいは総主長「マグヌス」が記した魔術書「マグヌスの書」のうごめく一葉にも書き残されていると信じられている。
〈黒檀聖杯〉の修道女らもこの聖杯の力そのものについて語ることはないが、聖杯は彼女らの聖なる任務と永遠に追う重荷の象徴であり、すなわち、彼女らがドミニカが〈黄金の玉座〉の間で知らされた隠されし真実の継承者、かつ神たる皇帝陛下にまつわる高貴なる真実の護り手であることを示すものであるとは言われている。聖杯が皇帝陛下の秘密に何らかの形で関わっているものであるとすれば、この修道会がそれにまつわる文書記録をことごとく破壊し、また、そのような文章を書いた書記官を異端として断罪して処刑し続けてきたことは、理解できぬことでもない。
【ドミニカの最期】
皇帝陛下と彼女の修道会に数世紀にわたる奉仕を続けた後、アリシア・ドミニカは〈フリーデスヴァイド浄化戦〉のさ中に殉教を遂げた。聖教会殿堂の鐘楼の鐘が、さほどに悲嘆に暮れた音で鳴り響いたのは、セバスチャン・ソアの死を告げた時以来のことであった。
彼女の殉教は修道聖女会の組織の大きな穴を残した。彼女が歩んだ高貴なる道を継ぐには、自分は相応しき者ではない、と皆が考えたからであった。最終的に、〈聖なる言葉修道会〉の「通詞修道女」(シスター・ダイアロガス)であった「修道女パルミロ」が同胞によって選出され、斃れし師母の後を継ぎ、修道聖女会の大教母となつに的確であるとされた。
パルミロはこれを受諾したが同時に、前任者の信心と先見の力、そして力強さに並ぶことは決してできぬ、と述べたともいう。ただし、パルミロが推挙されたのは、このような深い謙虚さによるものであった。
ドミニカの後を継いで、聖女会に、聖教会に、そして皇帝陛下に奉仕するという役割は、名誉ではなくむしろ重く、かつ感謝の受けることのない務めを負うということであると、皆が理解していたからだ。
【完全性の追求】
〈黒檀聖杯修道会〉の修道女は、あらゆる行いを通じてドミニカの「完全性」に迫ろうと努力を重ねてきた。修道会は銀河全域に渡って〈信仰の闘争〉を遂行してきたが、彼女らの信仰の中心は〈日輪の宙域〉にあり続け、炎と刃をもって、その血における異端の兆候と戦い続けている。
彼女らは、自身は聖女会における第一人者と自負しており、他の修道会の規範となるべきと考えている。修道女の一団が信心を失う、という起きてはならない事態が発生した時に出動し、皇帝陛下と聖教会、そしてドミニカの鉄鎚をその者らに下すのも、〈黒檀聖杯修道会〉の役目である。
【光なき時代】
銀河に〈大亀裂〉が口を開けて以来、人類の他の者らと同様、〈黒檀聖杯修道会〉も様々な恐怖と向かい合ってきた。このドミニカの志を継ぐ者たちは、近衛軍、スペースマリーン、帝国技術局といった旧き同盟者らと共に、解き放たれた渾沌の勢力を〈日輪の宙域〉から遠ざけようと戦っている。
修道女らはケイオススペースマリーンの戦闘集団とも戦い、そのいくつかを殲滅した。中でも強敵だったのは「強奪者の刃」(ブレイド・オヴ・デスポイラー)を名乗る、コーン神を信奉する「ブラックレギオン」の一隊であり、この者らは地球に明確な狙いを定めて殺しの行軍を進めてきていた。
勝利は収めたものの、〈黒檀聖杯修道会〉が受けた損害も大きなものであったという。帝国教導院からは、恒常的に修道女会に新規加入者が送り出されているが、この修道会への加入が認められるのは高い能力を示した者だけで、なおかつ、戦闘修道女となるための過酷な加入の儀式を生き延びるのは、その中の数割に過ぎない。
そのせいで、〈黒檀聖杯〉の修道女には、数限りない異端の侵入が、非常に重荷となってのしかかっている。だが、彼女らが押しつぶされることは決してない。
各修道女は、〈皇帝陛下の息女ら〉によって打ち立てられたいにしえの戦闘法に熟達しており、武器の扱いにおいても信仰においても、達人の域に達した戦士なのである。この修道会は「大天使」(セレスティアン)あるいは「風天使」(ゼフィリム)のくらいにまで昇り詰める者は、修道聖女会の全軍を見回しても比肩する者の少ない、優れた技能を持つ古参修道女である。
それらの者の中でも、特により高き栄誉が与えられた者には、彼女らの師母が〈黄金の玉座〉の間で知り得たという秘密の一片が託されるともいう。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P24イラストより

  • 「銀の聖衣修道会」

「あれはまるで炎の雫か、銀色の雨みたいだった。日没の光が装甲に反射して、目が痛むほどだった。彼女らは前進を止めようとはしなった。老ギャリンクは、命令の出所を確認せよと必死に叫んだが、無駄だった。何も残っていなかった。異端者の前線基地にもだ。血まみれの敵兵の死体の地には、皇帝陛下の天使たちの印なんて何もなかった。」
-兵士ヴァリウス、フォレン第183機甲連隊

【概要】
〈銀の聖衣〉の修道女は、銀色の雷撃のように皇帝の敵に襲いかかる。彼女らは迅速さで知られ、多くの場合、先陣を切って戦場に飛び込んでいく。
そこで彼女らは、守護聖人への深い信心を鎧に戦う。〈銀の聖衣修道会〉の師母は 「シルヴァーナ」 という名で、彼女はドミニカの近衛の中で最も早くに殉教した。
また、シルヴァーナは最も謎めいた人物であったともいう。アリシア・ドミニカによる〈黒檀聖杯修道会〉の設立直後、〈第一修道院〉の残りの修道女はシルヴァーナの指揮下に編入された。
だが、シルヴァーナは、一つの〈信仰の闘争〉さえも行わずに命を失ってしまった。より信頼のおけるいくつかの記録を総合すると、彼女は「奉仕教団暗殺者」(デスカルト・アサシン)に毒殺されたようであるが、何かの殺害の動機となったのかについては様々な憶測が存在するのみである。
彼女の殺害者は、ヴァンダイアが抱いていた聖教会の未来像に依然、傾倒していた者だった、とする説もあれば、忌まわしき所業に、叛逆せし戦闘者「アルファレギオン」が関わっていたのではないか、という推測もある。〈銀の聖衣〉の修道女らは、この暗殺者が狙ったのはドミニカの命であり、シルヴァーナは自らの命を犠牲にして、皇帝陛下の選ばれし者を守ったのだ、と主張する。
これは伝えられているシルヴァーナの気質にも合致する。彼女は、同盟者の中の弱き者を守ろうと、幾度も自身の命を賭したことがあった。聖教会首座「アレクシス二十二世」の日誌には、シルヴァーナの遺骸は〈第一修道院〉の聖域聖堂に安置されていたが、七日の後、彼女の体は不可思議にも消え失せてしまった、と記されている。
残っていたのは、彼女の遺体を包んでいた布に銀色に写った、彼女の骨の図像のみであった。この修道会名は、その聖遺物から付けられたものである。
【行動で示す信仰】
〈銀の聖衣修道会〉は、魂の浄化と、〈帝国〉の版図からの異端による汚染の除去においては、 言葉よりもなされたことがより大きな力を持つ 、と教える。これはシルヴァーナを模範として生まれた信条である。
彼女の勇敢狩る信心深き行状は、〈背教の時代〉を記録した書物に数多く書き残されている。だが、彼女が発した言葉は、当時から残る筆記録には、一言も書き留められていないのである。
彼女らの姉妹らは、この例に倣って不言実行を貫き、訓練を受けている間は、長時間にわたって完全なる沈黙を守る。このような制限が祈祷や崇拝儀式に及ぶことはなく、彼女らも、他の修道会の者らと同じように、戦場に向けて行進する際には怒りの粛清の聖詩を唱和する。
だが、〈銀の聖衣〉の修道女らは、神たる皇帝陛下への奉仕を実行することの方が、陛下の恩恵を祈り願うことよりも、より正しい行いであると信じて疑わない。
【戦闘教条】
〈銀の聖衣〉の修道女は、疑いも恐れも抱かずに危険なる戦いにその身を投じ、圧倒的に数に勝る敵に向かっていく。また、危険な環境にある戦場に向かっても、彼女たちは勇ましく進軍する。
彼女らは、大きな策謀を編むことはせず、また、作戦を企図する戦術を友軍にすら告げないので、(報連相が出来てない)これを嫌がる〈帝国〉軍の将も多い。端的に言えば、 この修道会は、人間であり過ちを犯す者らが、時間をかけ、力を合わせて張り巡らせようとする作戦を信用しておらず、 それよりも皇帝陛下自身による神の導きに重きを置いているのだ。
〈銀の聖衣〉が挙げる戦果は、批判者をただちに黙らせる十分なものである。銀をまとった戦士たちが異種族の群れに殺到し、「侵略型聖堂」(インヴェーション・カセドラム)が渾沌の力にうごめく惑星に突入する。
聖女たちは素早き力の奔流となって、規模に勝る敵の防御陣を打ち破り、前線の後方に設置された巨大な砲台を破壊し、叛逆せし敵将の口から漏れる扇動の言葉を止める。素早き攻撃の後には、彼女らは迅速に軍を退き、そして、敵が混乱から立ち直れぬところを狙い、再度、猛撃を仕掛けるのである。
かように勇敢に攻撃を続けるため、〈銀の聖衣〉の戦士たちは、支援から切り離されて、包囲され、また、敵に数で圧倒されることも多い。だが、そのような状況になってこそ、彼女らの信心は輝く。
修道女らはシルヴァーナに守護を願って叫ぶ。そして、彼女らが信じるように、この殉教せし聖人は、戦場で戦う彼女らを見守っている。
飛来する銃弾は輝く装甲に弾かれて逸れてゆき、敵の野蛮なる刃が彼女らを傷つけることはなく、邪悪なる力の爆発も、奇蹟の力であらぬ所へ方向を変える。聖なる決意に満たされた彼女らは、いかなる劣勢となっても戦い続け、狂乱の中にも力強く立ち、敵を一体、また一体と地に倒す。
戦死する修道女の多くは、部隊の残りの総員を壊滅から救うために命を捨てた者であることが多い。彼女らは、敵軍の銃火の前に自らの身体を投げ出すのである。
彼女らの師母がそうしたであろうように。〈銀の聖衣〉の修道女らが、〈帝国〉の作戦家が生存不能と計算した作戦から帰還したという伝説は、枚挙に暇がない。
その中でも最も知られているのは〈ガイヤの征戦〉の緒戦の突撃である。修道会の初陣でもあったこの征戦で、この修道会のある一個指揮所は、惑星「ドゥヴォスト・プライム」のマグマの平原で、一年にも及んだ戦闘に臨み、ごく少数の戦死者を出しただけで生還したと言われる。
しかも、叛逆兵団「アイアンウォリアー」に所属する「ワープスミス」の髑髏を、三個の手土産にして。
【銀の修道女たちの征戦】
一撃離脱攻撃を得意とするため、〈銀の聖衣〉の修道女は、修道聖女会の中でも最も危険、かつ経験豊富な突撃部隊である。この修道会の指揮所の多くは、大規模な「制圧天使部隊」を擁しており、これらは油断した敵軍の予防線を突破するために集団で投入されたり、あるいは敵支配地域にある要塞や大規模掩蔽壕、司令部などに突撃するため、少数で派遣されたりする。
これらの部隊の制圧修道女は、修道会の崇拝儀式においても主導的な立場を務める。戦場においても、彼女らが唱和する祈りが、他の修道女らの祈祷を先導する。
また、〈銀の聖衣修道会〉は戦死者の扱いについても、他の修道会とは一線を画している。同士が斃れた時も、他の修道会の者は叫びをあげ、魂を皇帝陛下の御元に導く祈りと、敵に対する神聖なる復讐を行う言葉を唱えるが、〈銀の聖衣〉の修道女は、一言も声を発しない。
この修道会の隊列において、死は沈黙を持って迎え入れられるのである。聖教会の学者の中には、この行動をこの修道会における殉教は身勝手であり、倒す敵が戦場に一人もいなくなった後にのみ許される、神聖なる任務からの解放だ、という信条と結びつける者である。
だが、死たる聖女らは、戦闘の終了後、手厚く、そして悲しみをもって処遇される。殉教者はしめやかな葬列によって戦場から後方に運ばれ、傷は縫い清められ、装甲板は修繕されて、磨かれる。
そして彼女らは、所属していた聖域に運ばれ、7日の間、安置される。7日の後、遺骸は取り除かれるが、それらがどのように扱われるのか、修道会の外の者に知らされることはない。
【暗黒の時代の中で】
〈銀の聖衣〉の聖域の大部分は、〈大亀裂〉と呼ばれる巨大な〈歪みの嵐〉に隣接した宙域に存在する。これらの多くは、渾沌の力が銀河を駆け巡り、聖なる星辰波の光が一時的に消えた〈永劫なる闇〉のさ中に失われてしまったと考えられていた。
叫びをあげる大渦がいくつもの副教区を完全に呑み込み、この修道会が見守る惑星の多くが〈大亀裂〉の〈歪み〉の光に曝された。銀河の星図が再編纂され、この脅威の真の規模が明らかになったときには〈銀の聖衣〉に所属する修道女の実に八割近くが〈歪み〉の大あごに呑み込まれてしまったのではないかと推測された。
だが、その後の苦難の年月の間も、この修道会は、規模が縮小したことを感じさせぬ力強さで渾沌の侵略軍に戦いを挑み続けている。〈大亀裂〉に沿った戦場のただ中には、聖女会が予告もなく出現し、不意を突かれた敵を驚異的な素早さで攻撃するという。
失われたと思われていた複数の「支部」(プレシプトリー)が戦場で目撃されたこともある。これらの支部の修道女らが、自らの聖域が置かれていた惑星に何が起きたのかを語ることはないが、彼女らは、以前にも増した嫌悪をもって、〈渾沌の神々〉の従僕らと戦いを繰り広げる。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P26イラストより

  • 「神聖薔薇修道会」

「我が身中に燃ゆるは、顕現せし皇帝陛下の聖なる光。汝の魂を蝕みしは、劣れる渾沌の不浄。異端者よ、我は汝がもたらす暗闇を照らす光輝なり。突然の夜明けが夜の影を追い散らすが如く、我と我が姉妹は、汝をこの聖なる地から浄化する。あらゆる痕跡を消し去りて、汝が存在していたという、その事実すら亡きものにする。」
-〈神聖薔薇修道会〉上級修道女シェアンドラ・ラスマー

【概要】
聖なる光に囲まれ、高貴なる静謐に包まれた〈神聖薔薇〉の修道女は、荒れ狂う嵐の静かなる目、そのものである。彼女らが歌う希望と救済の聖詩は、戦場においてはボルト弾の炸裂と燃え盛るプロメチウムの咆哮を伴奏に鳴り響く。
〈神聖薔薇修道会〉は、他の修道会よりもさらに強固な誓う。自身らは、神たる皇帝陛下の従僕であるのみならず、陛下の神聖なる御心の運び手なのである、と。
彼女らの言葉と所業は、皇帝陛下の全知の智慧に導かれており、よって彼女らを通じてこそ、皇帝陛下の栄光は銀河にあまねくのだ。この修道会は、勝利は信仰によって、そして信仰によってのみもたらされるのものであると説く。
戦士に十分な信心があれば、その者は、敵を呑み込むよう、恒星にすら命ずることができ、その者の信心が深きものであれば、皇帝陛下の御心が星をも動かす、というものである。修道女らは、この信条に基づいてあらゆる戦い、闘争、征戦に臨み、敵に対する大勝利を収めれば、それが皇帝陛下によってあらかじめ定められていた運命であったと考える。
仲間の一人が斃れたとしても、それすらも皇帝陛下の計画の一部なのだと考えられている。一人の殉教者は、千人の魂に火を灯す。そして、決して消えることのない信心の業火を巻き起こすのである。
【解放者アラベラ】
このような信条は、〈神聖薔薇〉の修道女に高潔なる静けさを与えている。そして、彼女らが持つ静謐さは、彼女らの師母である 「アラベラ」 が有していたそれにも近しいものである。
彼女は、いかなる恐怖に直面しても冷静さを保つことで高名であり、アリシア・ドミニカの護衛の中で、最も穏やかな気性の持ち主でもあったという。そのため、ドミニカと近衛団との交渉においても重要な役割を果たし、師母らが〈黄金の玉座〉のまで皇帝陛下に拝謁する、その道筋を付けたと広く語られている。
後にアラベラは、“解放者”(リベレイター)の称号が与えられたが、これは彼女が、信心深着物らを恐怖と猜疑のくびきから解き放ち、人類を信じ無き者らの邪悪から救おうと戦ったからであった。彼女は力強い戦士でもあったが、その真の力は彼女が現れる先々で起こるという、数多の奇蹟にあった。
彼女が目を向けるだけで、異端者は己の体内に渦巻く悪に耐えきれなくなり、内側から破裂して肉塊と化した。また、彼女の威光を目にするだけで、異端者の目が溶けて流れてしまったとも伝わっている。
【銀河を渡りしアラベラ】
アラベラが聖人に列せられたのは死後のことであったが、彼女が無数の奇蹟を成し遂げたのは、その生前においてであった。彼女は数十年にも渡って、〈帝国〉内を渡り歩き、指揮官の、また信仰の灯火の役を務めた。
彼女の殉教を巡る状況は、いかなる聖教会の文章にも記録されていないが、第38千年紀(西暦37000年代)には、彼女の名のもとに〈神聖薔薇修道会〉が創設されている。この修道会は、〈第一修道院〉の修道女をもって聖教会首座「ディアシス六世」が設立したもので、創設初期から、彼女らの師母の名に相応しい所業を成し遂げてきた。彼女らが行った〈信仰の闘争〉は、皇帝陛下の版図の、闇に覆われてしまったと思われていた領域にも光をもたらした。
修道女らは、〈帝国〉の惑星を異端の圧政者から解放し、異種族の妖術師の陰謀団を追跡して殲滅し、〈帝国〉の辺境中の辺境の地にも聖域を設置して、皇帝陛下の神性を伝える前進基地としたのである。〈神聖薔薇修道会〉は〈極限の宙域〉に広い教区を有しているが、アラベラがそうしたのと同様、銀河のあらゆる場所に信仰を広めた。
【戦闘教条】
戦場に向かう〈神聖薔薇〉の修道女は、神聖なる高潔さを身にまとわせて行軍する。数十にもおよぶ修道女らが、完全なる戦術的同調性をもって前進し、戦いの流れに応じて柔軟に陣形を変える。
分隊は、規律に従って「聖三位一体」の砲火を解き放つ。そして、そうしながら、彼女らは声を高らかに上げ、皇帝陛下を讃える聖詩を歌う。
死にゆく変異者の断末魔も、異端者の肉が裂ける湿った音も、すぐにこの聖なる合唱歌と武器の咆哮の合奏に呑み込まれ、聞こえなくなる。修道女は敵の弱点を発見すると、すぐさま、そこを突き、陣形の穴にフラググレネードを投げ込み、露出した敵砲兵隊の側面に高熱のメルタビームを撃ち込む。
敵が優位を見せつければ、聖女たちは固い防御陣を敷き、隊列の感覚を詰めて突撃に備え、攻め来る敵を、狙い澄ました、しかし破壊力に富む射撃で撃滅する。だが、彼女らを真に揺るがざる軍勢とするのは、信心と物理的な攻撃力との融合である。
この修道女らの再編機動には、彼女たちに神速を与える奇蹟が織り込まれている。また、接近した敵の自然発火を願うことも、チェーンソードやボルトピストルと同様、信頼のおける攻撃手段とされている。
〈神聖薔薇〉の修道女は、眼前のあらゆる敵を殺戮しながらも、静謐さを失わない。皇帝陛下の神威を、確信しているがゆえに。
【信仰の軍団】
〈神聖薔薇修道会〉には、多くの場合、異例なほど多数の聖教会の信徒が同行する。宗務局の司祭と、彼らの狂信的な信徒団は、修道女らを取り巻き、奇跡が起きる瞬間を待ち受けているのである。
そのために、たとえ小規模の「聖務団」(ミッション)であろうとも、この修道会の部隊が兵員不足になることはない。中核となる聖女らが、帝国国教に身を捧げし者の集団の支援を受けていることも多く、その者らの祈りと贖罪を願う声は、しばしば〈神聖薔薇修道会〉の戦闘聖詞の旋律と混ざり合う。
この修道会の尼僧長らは、そのような信心深き支援部隊を喜んで迎え入れ、配下の修道女には、いかに弱き従僕であろうとも、その者が皇帝陛下の従僕である限り、陛下はその者を通じて奇跡を起こす御力がある、と教える。また、生前アラベラも、戦いとなればあらゆる衆生をその戦旗の元に集めることで知られていた。
そして、彼女の決意の力によって、その者らを不退の戦士に変化せしめていたという。
【光なき時代に輝く】
修道女以外の者を動員する、というこの修道会の能力は、〈大亀裂〉が口を開けて以来、より重要な役割をはたしている。この巨大なる〈歪みの嵐〉は、数十万にもおよぶ惑星を永遠の暗黒の中に巻き込んできた。
星々の間の星辰感応通信網は異能の力の大混乱により寸断され、数億もの救難信号が叫びをあげる虚無の中に失われた。星辰波の光から切り離され、航海者は遠く離れた星系に船舶を導くことができなくなった。
そのため、救援を求める通信を受信する者があったとしても、その求めに応じて援助が送られることは、ほぼなくなってしまった。〈神聖薔薇修道会〉の聖域の大部分は今や〈帝国途絶領域〉の中にあるが、銀河のその宙域に解き放たれた悪夢に屈した者は少ない。
〈神聖薔薇〉の修道女は消えること無き希望の灯火であり続け、以前と変わらぬ決意をもって、信仰の敵と対峙し続けている。多くの惑星は、未だ〈禍つ神々〉の従僕が押し寄せていないにも関わらず恐慌と恐怖に呑み込まれてしまった。
だが、この修道会が見守る惑星は抵抗の堡塁となっている。聖女会の警邏隊は〈帝国〉の安全に疑問を呈する者を即座に処刑する。
また帝国防衛軍の連隊も修道会の徴発を受け、わずかでも変異の兆候を見せる者は、その際に浄化(処刑)される。各惑星において、聖女会はケイオスディーモンの軍団と大逆者に対する防衛戦を指揮している。
そして、彼女らが守ろうと戦うのは、自らが本拠を置く惑星だけではない。〈神聖薔薇修道会〉の修道女は、〈帝国途絶領域〉の数々の戦場に奇蹟のように現れたことさえあるという。
彼女らが、いかにして助けを求める声を聞きつけるのか、そして、暗闇と恐怖の中をいかに渡っているのか、そのことに疑問を持つ者は少ない。また、疑問を持つ者があれば、修道女らは、こう応える。
アラベラは、常に導きをもたらすのだ、と。たとえ皇帝陛下の御心が不明瞭な時においても。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P28イラストより

【下位修道会(オーダー・マイノリス)】
〈帝国〉の版図には、より小さな戦闘修道会も散在しており、その数は数百にもおよぶ。大きな教区を監督するのに十分な人員を有しているものもあるが、単一の聖域しか持たないような規模のものも多い。
これら〈下位修道会〉は、六個の〈上位修道会〉の精神的な後裔ではあるが、独立して運営され、独自の〈信仰の闘争〉を戦う。

  • 「輝ける聖杯修道会」

【概要】
〈輝ける聖杯〉の修道女は〈黒檀聖杯修道会〉の精神的な後裔であり、信仰と戦場における技能を厳格に保持している。彼女らは「ヴェディル星区」の中心部に複数の聖域を設置しており、「イオタン・ゴルゴン第九連隊」の特務機動兵らと肩を並べて、渾沌勢力による侵攻を迎撃した。
突撃を行う際、この修道会の修道女は「地球の夜明け」と呼ばれる攻撃を行う。戦場となっている惑星に地球が昇りす時に、突撃を開始するのである。
彼女らが戦う惑星は太陽(ソル)の光が届かぬ宙域にあるが、〈輝ける聖杯〉の修道女らは、それでも皇帝陛下の威光が降り注ぐのを感じることができるのだという。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P30イラストより

  • 「荊修道会」

【概要】
〈荊修道会〉は荒れ狂う力であり、殺戮を繰り広げて勝利に突き進む。〈血の薔薇修道会〉の戦闘様式を受け継ぐ〈荊〉の修道女らは、自らの憤怒を長時間継続させることができ、眼前にいる敵が全て切り刻まれるまで、あるいは自身が殉教するまで、ひたすらに斬りかかり、突きかかる。
そうすることで彼女らは聖ミナの殉教の瞬間を再現し、自らを死の旋風に変化させるのである。彼女らの攻撃を受けて、立ち続けることのできる信心無き者はいない。戦いが終わる頃には、この修道会の修道女が着用する薄い色の装甲服は、真紅の血にまみれている。
また、この修道会の墓所に安置される斃れし者の肌には、憎き仇敵の血や体液が塗られるという。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P30イラストより

  • 「鉄の頭布修道会」

【概要】
〈鉄の頭布〉の修道女は、精神的、霊的な耐久力に定評がある。彼女らは、現実を引き裂く異能力(サイキック)戦が繰り広げられている戦場に、正確な攻撃を敢行することを専門とする修道会である。
この修道会は、かつては〈銀の聖衣〉の支部の一個であり、〈セレバイトの乱〉の折に、失われたと考えられていた。だが、最後のセレバイトの公子が追い詰められ、殺された後で、修道女会の修道女は無傷で発見された。
彼女らの聖域は、この星区を襲った恐怖に耐え抜いただけではなく、本拠惑星の自壊を食い止め、かつ、戦闘修道女の募兵まで続けていた。その後すぐに、彼女らは、聖教会首座「ドアル三世」によって新たな修道会として命名された。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P30イラストより

  • 「灰の祭壇修道会」

【概要】
〈灰の祭壇修道会〉が戦場に向かうと、そこでは直ちに炎の奇蹟が起きる。修道女らが、戦場に突如、口を開いた溶岩孔に敵を追い落とした、敵部隊の上に燃え盛る隕石が降り注いだ、聖女らの砲撃を受けた敵の戦闘機械が業火を吹き上げて四散した、といった逸話は枚挙に暇がない。
この修道会は、〈神聖薔薇修道会〉から分離して創設されたが、〈神聖薔薇〉の姉妹らと同様、〈灰の祭壇〉の戦士たちは聖アラベラを崇拝し、皇帝陛下は彼女を通じて御心を伝えたのだと信じている。この師母に近づかんがため、修道女らは大量のフレイマーを携行する。
彼女らは、炎こそが皇帝陛下の聖なる言葉であると確信しているのである。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P31イラストより

  • 「傷つきし心修道会」

【概要】
〈勇猛なる心修道会〉から分離して創設された修道会としては珍しく、〈傷つきし心〉の修道女は「聖ルーシアの受難」から一節のみしか暗誦しない。その一節とは、第482節であり、その中で語られるのは、聖ルーシアが右手の皮が剥がれ、それでも彼女は信心深くあり続けた、という内容である。
会派のしきたりとして、〈傷つきし心〉の修道女は自身の右手の篭手を外し、皮を剥ぐ儀式を行って肉と神経を露出させる。そうすることで、武器を握り、その引き金を引くたびにルーシアが味わった痛みを共有し、この聖人が受けた責め苦に思いを馳せるのである。
不信心者らに向けて、死を解き放ちながら。
画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P31イラストより

  • 「黄金の光修道会」

【概要】
戦闘修道会の中では最小規模の修道会の一つである〈黄金の光修道会〉は、それにも関わらず数多くの〈信仰の闘争〉に赴き、大いなる希望と大いなる恐怖をもたらしてきた。彼女らは〈殉教せし我らが聖女修道会〉の遠い後裔であるが、師母である聖カトリーヌの燃ゆる熱情を体現し続けている。
この修道会は、二度に渡って戦場で全滅したことが確認されたが、黄金の鎧を身にまとった修道女らは、間もなく傍らの戦場に、突如、再臨した。この修道会に新たに修道女を送った、という記録が帝国教導院のデータバンクに一切存在しない。
という噂もあり、〈黄金の光〉の修道女は、その全員が復活せし殉教者なのだ、と信じている者もいる。

画像出典(アイコン):コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P31イラストより

【主な非戦闘修道会】
〈皇帝陛下の息女ら〉は、戦士のみからなる集団ではなく、様々な分野で研鑽を行い、それによって神たる皇帝陛下に仕えていた。これらの多くは〈背教の時代〉を生き延び、〈非戦闘修道会〉に専門分野を与えることで、修道聖女会によって、更に育まれてきた。

  • 「通詞修道会」(オーダー・ダイアロガス)

【概要】
通詞修道会の修道女は、研究者、および助言者の役を務める。彼女らは人間語と異種族後の双方に精通した翻訳者であり、秘儀的な手稿に用いられる言語を長年にわたって学習し、研究する。
彼女らの探求の大部分は、〈黄金の玉座〉に繋ぎ止められる前の神たる皇帝陛下の所業にまつわる、太古の文章の収集に捧げられている。大征戦のさ中に再発見された惑星で暮らしていた人類の多くは、皇帝の到来を記録していた。
皇帝の憤怒を受けた異種族らも同様である。通詞修道会は、これらの記録の、遠い昔に忘れられた言語で記された原文を読み解き、〈帝国〉の「高位ゴシック語」(ハイ・ゴシック)に翻訳する。
それを通じて、より多くの皇帝陛下の功績を世に知らしめるのである。
【解き明かされる暗号】
通詞修道会は、暗号にまつわる高度な知識と技能も有しており、その能力を求められてることも多い。彼女らは、不可解な暗号を解読し、膨大な量の公式声明の山からパターンを見出す。
そうすることによって、修道聖女会、そして聖教会自体が、〈帝国〉の内敵、外敵にまつわる情報を得る手助けをするのである。また、通詞修道女は異端審問庁に協力することも多い。
一見、深い意味を持たぬように見える演説や文章の中に隠された異端のメッセージや叛逆の教唆を見つけ出し、隠された叛逆者に裁きを与えるのだ。著者の人そこまで考えてないと思うよ(真顔)
また、通詞修道会の最上位の修道女らは、〈始原の間〉に納められた太古の書物の保管にあたる。この最も神聖なる文書庫に立ち入ることができるのは、聖教会の中でも特に高位の者のみであり、〈背教の時代〉と、ヴァンダイアの〈血の軛〉にまつわる重大な秘密が封印されているとも言われている。
【戦場における通詞修道女】
戦場においては、通詞修道女は「言葉の伝え手」の役割を果たし、戦闘修道会の尼僧長の命令や反抗の祈祷を遠方に届けて、本体から離れて活動している部隊が、その精神的指導者と対話し続けられるよう手を貸す。さらに、惑星の浄化が完了した後にも通詞修道会の大部隊が駐留して、惑星上に残った異端の痕跡を追う聖教会の奉仕者たちの手助けをする。

  • 「家令修道会」(オーダー・ファミュラス)

【概要】
家令修道会は、随行員、相談役、外交官などを務める者らのネットワークを形成しており、その神聖なる任務は、〈帝国〉の高家を導き、人類に至高の善をもたらすことである。 これらの修道会の修道女は、頑迷なる惑星領事らの間で貿易交渉を取り持ち、大きな力を持つ富豪の家計の間に同盟を結び、皇帝陛下の忠実かつ有能なる臣下の家系が存続するよう、婚姻の仲介を行う。
惑星や星系、星区に戦争の危機が迫ると、家令修道会はその宙域を担当する者の働きを結集して、高貴なる家系が必要とするあらゆるものを用立てする。その者らが〈帝国〉のため力を尽くして戦い、死ぬことができるように。
【信仰の監視者】
交渉者の役割と同時に、家令修道会は聖教会の監視の目でもある。 家令修道女は上流階級に浸透しているため、上級官僚や、強力な圧政者、「自由開拓者」(ローグトレーダー)、「航宙貴族」(ナヴィス・ノビリテ)といった、大きな影響力を持つ人物の動向を、至近で観察することができる。
これらの人物の行状に、帝国宗務局の教えに反するものが見られれば、修道女の報告が厳格な対処策の発動に繋がる場合もある。対処としては、異端の告白を引き出す贖罪司祭の派遣が行われることが多いが、極端なケースでは、叛逆の蔓延を抑えるため、戦闘修道会の介入が求められることもあるという。
一人の家令修道女の証言により、幾世代にも渡って要職を占めてきた家計が断絶され、その墓所が焼かれ、その名があらゆる記録から抹消されるのだ。高貴なる家計をこのように見守ることは〈帝国〉の版図における神聖さを守護するために重要な任務であり、家令修道会の目から逃れようとする者は、帝国信条集に敵なす者と見なされる。
【膨大なる記録】
聖務を遂行する中で、家令修道女はしばしば〈帝国〉の多くの成人らが成し遂げた奇蹟を例に、皇帝陛下の御心が、いかに臣下を通して顕現するかを説く。だが、家令修道会は無数の〈帝国〉臣民の家系記録を持っており、また、〈帝国〉内でも特に信心が深いとされる家系同士の外交や縁戚関係の樹立にも積極的に関わっていく。
そのためこれらの修道会は、〈皇帝陛下の恩寵〉の発現と、それらを記録する行為そのものにも深く関与していると目されている。

  • 「医療修道会」(オーダー・ホスピタラー)

【概要】
医療修道会は〈戦闘者〉もといスペースマリーン戦団を除く、あらゆる〈帝国〉軍の部隊に外科医、内科医、看護師を派遣している。 これらの修道会の修道女は、悲惨なる戦場で医療行為を行うことで自身の信心を証明する。
〈歪み〉の力の爆発によって潰された四肢を切断して焼灼し、喚き叫ぶ兵士の内臓から生きた銃弾を摘出するのも彼女らの仕事である。医療修道女らは真摯にかつ、同情の心とともにこれらの治療を施し、兵士たちから聖人の如く崇められることも多い。
そして実際、多数の医療修道女がその奇蹟的なまでの処置の腕によって、死後、聖人に列されている。
【戦火の中の修道女】
医療修道会の修道女は、帝国防衛軍の連隊から、異端審問官の私兵部隊に至るまで、〈帝国〉の軍事組織の様々な活動に同行し、まや、戦闘修道女の聖女らとも行動を共にする。彼女らは、戦場においても戦場外でも高い技能を発揮することで知られ、〈帝国〉兵が、醜怪な傷をもたらす新兵器を用いた攻撃に曝されている戦地に派遣されることが多い。
医療修道会の聖域には巨大な書庫があり、人類が相対したあらゆる殺人兵器にまつわる記録と、それらがもたらす効果をいかに和らげるかの探索に人生を捧げた修道女らが残した、詳細なる研究日誌が納められている。また、修道会の中には、異端審問官の〈埋葬の団〉(オルド・セバルトゥラム)と共に行動し、生理的、技術的、あるいはディーモンによってもたらされた病原兵器の研究を行っているものや、異能の力を用いた攻撃への対抗手段を開発しているものもある。
医療修道会は家令修道会とも緊密に協働し、変異の拡散を防ぐ目的で血統や家系の記録を行って、異常なる進化が人類にもたらす脅威と戦っている。加えて医療修道会は、敵の兵器が人間の兵に与える効果だけでなく、敵兵の生理の研究も聖務としている。
未知の異種族との交戦が報告されると、医療修道女は、それらの生物の弱点を探ろうと、疲れを知らずに働くという。さらに、聖教会の贖罪司祭も、異端を疑われ、査問を受けているものを生き長らえさせるため、医療修道女の助力を仰ぐことがある。贖罪司祭が、異端の疑いをかけられた者から真実を引き出す前に、医療修道女がその者の四肢を何度も再結合したり、命にかかわる傷を縫合したりせねばならぬことも珍しくない。

  • 「その他の非戦闘修道会」

【概要】
この他にも、修道聖女会において、あるいは聖教会や〈帝国〉の他部門に対して支援的な聖務を行う、多様な種類の修道会が存在する。場合によっては1個の修道会に特に専門的な役割が割り振られ、修道会名もそれに応じたものが与えられることもある。
例えば、〈帝国〉の神聖なる礼拝所や大聖堂を飾る、彩色された強化ガラスの窓を維持管理する「明窓修道会」(オーダー・フェネストルス)などは、その一例である。他の修道会も、神たる皇帝陛下の版図で様々な聖務を行い、それにより、多大なる影響力を有している。
【辺境修道会(オーダー・サバイン)】
辺境修道会は人類の生活圏の最周縁部で活動し、銀河伝道団と共に、新たに再発見された惑星に赴く。 彼女らは、後退した人類社会や原始的なままの人類社会のうち、〈帝国〉の到来に反抗するであろうと予想されるものに浸透することを専門にしており、皇帝陛下の預言者の装って密かに〈帝国信条集〉を布教し、あるいは、その惑星の宗教的指導者に対する反乱を教唆する。銀河伝道団の本隊が到着し、その惑星の住民に名乗りを上げる時には、その到着は辺境修道女によってすでに予言されたものとなっているのだ。ただの自作自演
さらに彼女らは、帝国信条集に共感する原住民を率いて、惑星の指導者に対する突然の蜂起を主導するのである。このような任務のため、辺境修道女は長年に渡り、〈帝国〉から断絶されて活動していることも多い。
そのため地球やオフィーリアVIIには、生涯で一度しか帰還しない者もいるという。
【考古修道会(オーダー・プロナートゥス)】
考古修道会は、聖教会にとって価値があるとみなされた遺物の収集、警護、研究、補修を専門としている。 これらの遺物には、〈帝国〉の臣民が崇拝する、数千にも及ぶ聖遺物や、〈帝国〉の軍勢に鹵獲され、再度、敵の手に渡るのは危険であると判断された物品なども含まれる。
また考古修道女は、戦闘修道会の戦旗や紋章を維持管理し、それらを祝福する役割を負っており、他の〈帝国〉部門の記章の再聖別を依頼されることもある。「バダブ戦役」の後、スペースマリーンの「ラメンター戦団」の戦団旗を補修したのは考古修道会の者たちであり、さらには、第十三次〈黒き征戦〉の事後に回収された帝国防衛軍の「ケイディア連隊」の連隊旗の多くを再構築したのも、彼女らであった。
それぞれの旗の、あらゆる糸を聖油で洗浄し、殉教せし者たちの名を、黄金の糸で縫い取っていったのだ。


主要キャラクター


  • 「モルヴェン・ヴァール」

修道聖女会神聖大教母(アベス・サンクトルム)


【概要】
修道聖女会の精神的軍事的指導者は、近年に 「修道聖女会神聖大教母」 へと昇ったモルヴェン・ヴァールに委ねられている。 「地球至高卿」 でもあるヴァールの断固たる指令によって、戦闘修道会の軍勢は彼女の猛烈な信仰の焔でもって諸惑星を浄化する。
モルヴェン・ヴァールは端的に、厳粛な声で命令を発する。彼女の若々しい外貌は常に断固たる決意を周囲に感じさせる。
神たる皇帝陛下と〈帝国〉を護ることに対して、ヴァールは一切の疑問を抱かずに執拗なまでの献身を示す。彼女はあらゆる修道女にとっての精神的軍事的規範と見なされているのだ。
ヴァールは、他の何にもまして戦士である。彼女は比類なき戦線指揮官であり、卓越した戦闘員だ。
だがヴァールは、単なる一人の戦士ではない。銀河全体に展開している修道聖女会の諸軍が、ヴァールのあらゆる命令を待ち望んでいるからだ。
彼女は修道聖女会を率いる責任者であり、人類の信仰の守護は彼女の手に委ねられているのだ。 このような責務は、彼女に重くのしかかっている。
名誉の証である以上に、聖ドミニカの後継者として見なされる大教母の地位には最も重い責務と責任が課せられている。冷静さと厳格な献身、そして謙虚な忍従心を備えた者にしか、この地位を全うする事は出来ない。
【大教母の損失】
第41千年紀末(西暦40999年)、巨大な〈歪みの嵐〉である〈大亀裂〉が〈帝国〉を南北に引き裂いた際の無秩序な破局の中で、 前任の大教母が登場した船は惑星「オフィーリアVI」か神聖なる地球へと赴く途上で消失した。 この恐るべき損失の報は、徐々に各地の修道聖女会へと広まっていった。
〈大亀裂〉が銀河にもたらした混乱の中であらゆる修道会や、遠方に赴いていた聖務団は独自に、迫り来る狂気と対峙しながら、孤立した自らの信仰の維持に努めた。暗黒の混乱が収まり始めてようやく、大教母が失われたというおぞましい損失が明らかとなった。
混乱の時代、聖教会の統率力の象徴である大教母は、かつてない程に必要とされていた。 こうして〈帝国聖教会〉は 神聖修道院と第一修道院に対して、大教母の候補者を募るように請願した。
【新たなる大教母】
これらの候補者の中で、ヴァールは極めて若かった。 彼女は〈銀の聖衣修道会〉に所属する苛烈で献身的な「上級大天使」(セレスティアン・スペリオール)であった。
ヴァールが怪物の猛攻に直面した際に示した献身は、厳粛な〈銀の聖衣修道会〉も認めるところであった。地球の「聖教会殿堂」内部の諸派閥は、 ヴァールは若く、政治的にも未熟な修道女であるため、彼女を容易に操ることが出来るだろうと考えていた。
ヴァールは、 〈帝国聖教会〉が修道女たちの作戦行動に容喙し、通例で認められている以上の権力を振るうための入り口に成り得る、従順な人物と期待されていたのだ。 聖教会の多くの者が待ち望んでいたのは、儀礼上の従順な象徴であった。
要は〈帝国聖教会〉はヴァールを通じて修道聖女会に口出しして組織をコントロールしようと考えていたのだ。 素人はだまっとれ…
だが、彼ら彼女らが戴いたのは、実直さと鋼鉄の意志を兼ね備えた一人の戦士であった。
【転機の来訪】
モルヴェン・ヴァールの元に〈帝国聖教会〉の代表団が来訪した際、彼女は「レスカードの浄化」に従軍していた。代表団の聖職者たちは、〈帝国聖教会〉の布告を大仰な儀礼と様々な儀式によってヴァールに伝えた。
上級大天使ヴァールは傷つき、血に塗れ、彼女の銀色の装甲服は損傷し、戦火で黒ずんでいた。彼女は一切の言葉を発さず、感情を露わにすることもなく、単なる招聘の言葉に過ぎぬ複雑な任命の儀式に耳を傾けた。
その時、ヴァールは就任に際して祈りの時間を静かに求め、主教や司教、教父、そして聴罪司祭たちから成る代表団を当惑させた。ヴァールは、聖シルヴァーナに捧げられた彼女の聖務団の神殿へと入り、三日間にわたる瞑想を一人で行った。
その間、代表団の聖職者たちは次第に不安と緊張が高まっていた。ヴァールが神殿から姿を現した時、彼女は以前よりも堂々としているように見え、目は鋭く聖職者を見つめていた。
射竦められた聖職者の中には、無意識的に後ずさる者も居た。そしてヴァールは淡々と、大教母の任命を受諾する旨を伝えた。
【威厳ある大教母】
ヴァールは速やかに聖職者団の衛星軌道移送船へと向かう前に、後任者を彼女の尼僧長に託した。任命のために数日間に渡る崇拝儀礼と儀式を計画していた聖職者たちは愕然とした。
急ぎ彼女の後を追うだけの冷静さを備えていた者は、僅かであった。神聖なる地球に到着して数か月後、 ヴァールは彼女を意のままに操ろうと考えていた者にとって、恐るべき相手であることを直ちに自ら証明した。
ヴァールは、聖議会の上級評議員と接見する際にも戦闘装甲服一式を着用し続け、彼ら彼女らに無慈悲な目を向け、そっけない対応を行うことで威圧し、恐怖せしめた。可能な限り多くの修道会と、個人的な繋がりを再構築する事に身を投じたヴァールは、既得権益の保証を求めるあらゆる聖職者を断固として拒絶した。
ヴァールは、修道聖女会神聖大教母が再び、彼女達の司令塔として屹立することで修道会に応えようとした。現在進行中の征戦の情報を吸収し、現地報告や戦略的配置を要求し、〈大亀裂〉の出現によって発生した不信心者の蛮行の洪水を押し返すために修道会が何を行ってきたのかを明らかにしていった。
【不壊の信仰心】
ヴァールのようにして若くして突如権力の頂点に押しあげられた人物は、必然的に進行やおのれの信念に思い悩むことになるだろうと予想されていた。 だが、彼女の精神に現れる苦難が如何なるものであっても、新たな修道聖女会神聖大教母は、己の信仰の鎧に傷かあることを示すのは許されない。
しかしながら、他の多くの戦闘修道女たちが戦い、そして死に行く間にも自らが何もできないことに、ヴァールが苛立っているのは明らかだ。〈帝国〉軍全体を率いる総主長「ロブート・グィリマン」の薦めによって 「地球至高卿」 の地位に昇った時でさえ、ヴァールは戦いへの情熱を冷めさせる事は無かった。
大逆者と取引を行う“哲学者の帯”諸惑星に対する聖教会の征戦を、大教母自ら率いると宣言したことに修道聖女会の内部で驚く者はほとんどいなかった。それ以来、ヴァールは短い在位期間に、あらゆる上位修道会の軍勢を率い数十の戦場を指揮した。
騒々しい説教や鼓舞する言辞ではなく、大教母ヴァールは戦場で規範を示すことで修道女たちを導いた。神たる皇帝陛下に対する彼女の奉仕は、ヴァールという人物を雄弁に物語っている。
【責務の重圧】
ヴァールの司令部を補佐した複数の通詞修道会や家令修道会の上級修道女たちは、数々の将軍や惑星総督、提督、そして常に彼女の注目を集めようと騒ぐ膨大な人々に、手際よく対処した。 モルヴェン・ヴァールは、己が皇帝陛下に選ばれし者だとは思っていない。
彼女は単に、〈帝国信条集〉と、それを穢さんとする無数の怪物の間に立つことを定められた守護者であると考えている。 与えられた高い地位に対し責務を感じているヴァールは、無謀にも勝利する事が叶わぬ戦争に、自ら身を投じる事は決してないであろう。
かつてヴァールが所属する修道会で教えられた殉教は、責務からの解放であるが、責務の究極的な表現行為ではない。 ヴァールの前任者たちが理解していたように、 修道聖女会神聖大教母は最後の異端者や変異生命体、異種族、そしてケイオスディーモンが存在を根絶される時まで、その責務を背負い続けなければならない。
その時が来て初めて、大教母は、かつて己が所属した修道会の一介の修道女に戻ることができるのだ・・。
【信仰の盛装】
修道聖女会神聖大教母が修道聖女会の軍勢を率いる時、彼女は自らが用いるために恭しく補完し続けている武器と装甲服を用いる。 これらの神聖なる遺産を携え戦争に赴く者はこの数千年で極めて少なく、モルヴェン・ヴァールほどの頻度で赴く者はいなかった。
“殉教者の復讐”と名付けられた太古に製造された“模範者型外骨格”の「パラゴン・ウォースーツ」は最も強力で、かつ精巧に作られたウォースーツの一種だ。 37千年紀(西暦36000年代)、火星の「製造総司令」が二世紀に渡り自身の工業神殿に資源を注ぎ込み、“殉教者の復讐者”の修復を行った。
その後、このウォースーツは陥落した工業惑星「ゲーン・クオラ」を救済した際に修道聖女会に贈られている。“殉教者の復讐”に眠る聖なる魂は、皇帝陛下の従僕の中でも最も信仰心が篤く歴戦の者に対してのみ反応する。
このウォースーツの着装者は肩部装甲から、「〈帝国〉を信ぜよ」の聖節が刻まれた恐るべきミサイルを精確に斉射し、“浄罪者”(フィデリス)と名付けられた懸架式ヘヴィボルターによって信仰無き異端者の群れに向けて死を宣告する。大教母の権威が及ぶ二つの大修道院の名がエンボス加工された銃盾は、皇帝陛下御自らの光で輝き、不信得者や邪悪な怪物たちに向けられた憎悪を放っていると伝えられている。
金色の皇帝近衛団が皇帝陛下が座す〈帝殿〉宝物庫からモルヴェン・ヴァールに送った至宝が“幻惑の槍”だ。 皇帝近衛団のみが、この槍の真の来歴を知っている。
いつの日か〈帝国〉には、“幻惑の槍”の光が必要としている今よりも、さらなる暗闇が来ると言われている。皇帝近衛団が、このような恐るべき知識を大教母と共有しているとしても、寡黙で名高いヴァールは、それを彼女の内に留めておくだろう。

画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Morvenn Vahl, Abbess Sanctorum of the Adepta Sororitas」 商品画像より(2021/11/22閲覧)

  • 「聖セレスティン」

生ける聖人


【概要】
両翼を広げ、光輪は燃え盛り、熱烈なる刃を手にした聖セレスティンは皇帝陛下の力の具現化である。 彼女は星の煌めきの如く硝煙に覆われた戦場を照らし、神聖なる光を放つ。
信徒は聖セレスティンの存在によって力と勇気で満たされ、異端者でさえも恐れおののく。逃亡を試みる異端者は賢明である。
聖セレスティンの一撃は皇帝陛下自身の裁きの如く、彼女の人間の姿からは想像を絶する威力でもって不正義を打ち据える。身振り一つで、“生ける聖人”は天空より応報の炎を振り下ろし、負傷した味方に癒しのエネルギーを送るのである。
【生ける聖人の誕生】
“生ける聖人”(リヴィング・セイント)として認定される以前のセレスティンについて判明しているのは〈殉教せし我らが聖女修道会〉の「悔悟修道女」(シスター・リペンティア)であったということぐらいであった。 セレスティンは、〈パラタインの離教〉の異端者に対する長きに渡る戦争の中で倒れた一人の戦士に過ぎなかった。
だが、彼女の肉体が戦いの流血と汚泥から浄化された後にセレスティンは再び立ち上がり、修道女たちに付きそう完全な姿で立っていたのだ。復讐の血の暴風が吹き荒れたパラタイン征戦を想起する者は、離教者のみならず人類の惑星に存在するあらゆる価値無き者を聖域全体から完全に洗い流した征戦者と同様に、セレスティンは征戦の象徴として歓呼を以て迎えられた。
パラタイン征戦の指導者「アンスガール卿」は、この聖なる戦争はパラタイン星域の首都惑星に到達した時に終わりを迎えるであろうと信じていた。だがセレスティンは「サンクトゥス・リス」という名の小規模な僻地惑星を最初に開放する事を主張した。
彼女以外の誰もが知らなかったことであるが、サンクトゥス・リスはかつて聖カトリーヌが訪れた〈炎の心修道会〉の古き神殿が存在していた。セレスティンは荒廃した祭壇を移動させ、その下にある敷石を剥がし、隠されし墓所への入り口を発見した。
セレスティンはただ一人その中に入り、彼女は数千年に渡り誰も立ち入ることの無かった、埃に塗れた階段を下っていく。荒廃した神殿に光が差した時、セレスティンは輝く光の柱を纏い、ケルブと鳩に伴われ墓所から現れた。
その時セレスティンは 光り輝く金のアーマーに身を包み、甘い花びらの薫りに包まれた剣を手にしていた。 その件の光はあまりに眩く、誰もがそれを見上げることが出来ない程であった。
セレスティンは周囲を見つめ、そして彼女と目を合わせた者は天上の崇敬と地獄の恐怖によって等しく打ちのめされた。
【異端に聖なる裁きを】
セレスティンが奇蹟を示した後、アンスガール卿と彼の同胞たるソア主義者から成る評議会はセレスティンが“生ける聖人”であることを宣言した。彼女はパラタイン征戦の聖なる殉教者として称賛され、幾多の信仰の聖戦において尖兵として戦った。
セレスティンの存在は信徒にかつてない熱狂をもたらすとと共に、無数の異端者は彼女の軍の手によって炎に投じられる事となった。多くの者がセレスティンの存在に恐怖した。
彼女の前に立つという事は、かつてない彼女の裁きに身を任せるこという事であるからだ。修道聖女会に対するセレスティンの影響力は、彼女が崇敬を一身に集める存在となった事で驚くべき物となった。
セレスティンは“生ける聖人”であり、彼女が率いる限り戦闘修道女たちは、渾沌の軍勢の根城であり、地獄の如き〈恐怖の眼〉の中心までも付き従うであろう。
【不死のセレスティン】
セレスティンは数百年に渡り、〈帝国〉のあらゆる場において不信心者と戦い続けてきた。 彼女が戦闘で斃れる様は幾度路なく目撃されてきたが、その都度セレスティンは払暁の光の如く再び立ち上がり、新たな活力を漲らせ不正義なる者を討ち果たしてきた。
彼女はしばしば、「ジェミナエ・スペリア」を伴い戦う。ジェミナエ・スペリアはセレスティンの技と恩寵の一部を有する選ばれし闘士であり、身を挺して祝福されし聖人を守護する者であった。
セレスティンとジェミナエ・スペリアが何処に現れるのかを予測する事は困難である。 だが彼女たちが現れる所では、必ずや皇帝陛下の御意志がなされるであろう。

コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P44イラストより

  • “燃え盛る信仰心”「ユーニス・エルイタ」

〈殉教せし我らが聖女修道会〉尼僧総長(カノネス・スペリオール)


【概要】
ユーニス・エルイタは聖なる炎を纏い“懲罰のミトラ”を高らかに掲げ、戦場に赴く。 浮遊説教壇である「聖ホーリーン大聖堂の説教壇」に座す彼女は神聖なるエネルギーの波長に乗り戦場の至る所に現れる。
説教座の「ヘヴィ・フレイマー」は、自らの意志を持つかのように動き、異端者や不信心者を探し出し、そして無慈悲に焼き尽くす。焔がより激しく燃え盛るにつれ、この尼僧総長の声は熱狂的に鳴り響き、彼女が発するあらゆる言葉は惑星「オフィーリアVII」の鐘の如く明瞭なものとなる。
如何に劣勢であろうと、いかに打ちのめされ血に塗れようとも、彼女の声を聴いた〈帝国〉の真の奉仕者はその胸の内に新たなる信仰の火が燃え上がるのを感じる。そうして祈りを口に、正義の憎悪を瞳に湛え、再び戦闘へと復帰するのである。
この“不朽不滅の信仰の炎”こそがエルイタが皇帝陛下より賜りし大いなる恩寵であり、彼女に近侍する者の魂に猛烈なる火を灯すのである。この信仰の業火によって無数の異端者や魔女、そして異星人が焼かれてきた。
そしてこの白熱する炎が幾多の〈帝国〉の勝利を作り上げてきたのだ。
【うら若き時代】
「帝国教導院」(スコラ・プロジェニウム)の門をたたいたその日から、ユーニス・エルイタは驚くべき信仰の高まりを示した。「ゲスセフォーンの大虐殺」によって孤児となったエルイタの悲惨なる経験は確かに彼女の生涯に傷跡を残していた。
だが彼女はそれによって挫ける事なく、むしろ人類の敵に対する憎悪と激情を高める一方、皇帝陛下は臣民を常に庇護しておられ、全ての物事には何らかの御意志が存在しているのだという絶対的な確信を高めていった。ユーニス・エルイタが〈殉教せし我らが聖女修道会〉の列に加わった際、時の尼僧総長「マーリア・ソムナシアン」は既に彼女に多大な関心を寄せていた。
エルイタの感銘を与える演説の才能、彼女の信仰心の強固さ、幾分病的なまでの献身さ、そしてフレイマー兵器に対する並外れた才能、これらがすべて彼女の修練教母の認める所となり、彼女は偉大なることを成し得るという期待が寄せられていた。
【熱烈なる説教者エルイタ】
エルイタはソムナシアンの機体に適う人物であった。エルイタは熱狂を以て応報者の役割を果たし、彼女の分隊における重要な根幹となり、聖別されたヘヴィフレイマーを扱う真に獰猛な戦士となったのだ。
時を経て、エルイタは大天使の地位に昇進し、尼僧総長の護衛兵の一人として浄化の炎を振るった。彼女がソムナシアンの傍らで「フ=ドーロ」の激戦地を戦い抜いた際、ナイトメア・ハイヴと〈毒されし王の街〉の門に至るまでを浄化した。
その後エルイタは彼女が“ホーリーンの希望”の称号を勝ち得るきっかけとなった、大逆兵団「アイアンウォリアー」兵団所属の大逆者の軍勢の猛爆撃の下での運命的な進軍を行った。修道聖女会はミサイルの暴風雨を受けて、「聖ホーリーン大聖堂」の破壊された構造物を僅かに保持している状態であった。
アーチ状の屋根は常に崩落しており、そびえ立つ城塞塔は崩落していた。数百の修道女が崩落の際に死亡し、ソムナシアンも死者の列に加わっていた。
その時、傷を負っていたエルイタは奇蹟的に無傷であった説教壇に上がり、かつての聖ホーリーンの如き演説を行った。その間に炎が彼女の周囲に降り注いだが、いかなる銃弾も砲弾も説教壇に命中する事は無く、エルイタは生き残った修道女に向かって猛烈に説きかけた。
彼女の演説を聞いた者全ての目に再び信仰の灯火が宿り、〈殉教せし我らが聖女〉の力強い鬨の声と共に前進を始めた。そして対価の大きい、しかしながら決定的な勝利がもたらされたのだ。
その日、ユーニス・エルイタは皇帝陛下御自らの恩寵により、マーリア・ソムナシアンの後を継いだ。そして彼女の週同軍の真なる“燃え盛る信仰心”として以後、祝福されし説教壇に座し戦争へと赴くようになった。

コデックス「アデプタ・ソロリタス8版」(codex:Adepta Sororitas) P43イラストより

  • 「エフラエル・スターン」&「“流血の涙”キガニル」

列聖されし救世主


【概要】
エフラエル・スターン は叛徒や変異生物、〈歪み〉の化物、そして異種族の怪物を相手に、〈帝国信条集〉を護る無数の戦いを繰り広げてきた。 彼女の戦闘技術は疑いようもないほど卓越しているものの、スターンがいるところで発現する異端の力に対しては幾度となく告発が行われてきた。
このためスターンと、彼女が連れている異種族「アエルダリ」の同胞 キガニル は流浪の戦士として戦い続けている。エフラエル・スターンはかつて〈殉教せし我らが聖女修道会〉の飛天使であったが、彼女は様々な通り名で知られている。
“三度生まれし者”、“ディモニヒュージ”、“列聖されし救世主”、そして“異端の魔女”。これらの通り名は全て賛辞や、憎悪に満ちた糾弾の中で用いられたものだ。
かつてスターンが訓練し、祈りをささげた聖域には、彼女に関する記録は一切存在しない。もし記録が残っているとすれば、それは〈神聖修道院〉内にある修道院の要塞神殿か、あるいは異端審問庁〈粛清の団〉の高位異端審問官の個人書庫の中だろう。
【復活のスターン】
スターンの偉業に関心を抱くそうした者たちは、現在彼女に向けられている疑念についてである。かつては彼女も一介の戦闘修道女であったが、ある日を境に彼女は流浪の旅へと赴かざるを得なくなる。
その昔、惑星「パーニス」において、行方不明となった考古修道会の運命を確かめるべく行われた捜索の中で、スターンは「スラーネッシュ神」の上級悪魔(グレーターディーモン)と戦い、殺害された。この忌まわしきディーモンは失われた修道会の七百人の修道女たちを異能の力で捕え、彼女達の肉体を用いた肉の牢獄を作り上げた。
ディーモンの信奉者たちは、修道女たちを終わることなき苦痛で苛む不浄なる創作物を“叫びの籠”と呼んだ。だが“叫びの籠”が繋ぎ合わされた修道女たちの肉体を苛み、苦痛を増幅している間、呪われた彼女達は精神と霊的な力を掛け合わせ、信仰へと結びつけていたのだ。
死の直前、己を顧みぬスターンが放った攻撃によって、“叫びの籠”を構成する本質に好機が訪れた。この機を逃さず、修道女たちの魂はスターンの斃れた肉体に霊的な力を注ぎ込んだ。こうして燃え盛る正義の力に包まれたスターンは、 渾沌の従者と戦う、膨大な力を備えた才気あふれる闘士として命を取り戻したのだ。
【流浪の修道女】
この日以来、エフラエル・スターンは暗黒の神々の崇拝者のみならず、彼女が完全に汚染されたと信じる〈帝国〉の者どもと戦い続けている。そのような者たちは信仰を糧にしているかもしれないが、スターンの力の発言を超常的な魔女の技として勘違いするか、あるいは告発する事を選択した者たちである。
スターンはいかなる姉妹たちよりも頑健で、そして俊敏だ。 彼女は敵に聖なる裁きの矢を放ち、たとえ死すともその度に生き返り続けている。
異能の力による変異と異端が胚胎するこの時代にあって、このような超常的な現象は、複数の狂信者がスターンを標的にするのに十分な理由となった。スターンは彼女が守っている部隊の助けを受ける事はない。
宿命の糸によって結ばれたスターンは、キガニルという名前や、単に“パーリア”として知られているアエルダリと共に旅をしている。かつてキガニルは “笑う神”「ゼコラック」に仕える旅芸人勢力「ハーレクィン」 の一員であった。
彼は今や放浪者となり、元いた地の人々からは唾棄すべき者となって、スターンの傍らにいる。キガニルは〈黒の書庫〉として知られている禁忌の知識の保管庫「ブラック・ライブラリー」(黒の図書館)へと繋がる昏き道をスターンに教えた。
彼を通じてスターンは、アエルダリの一派「インナーリ」と接触を行っている。だが、その理由を知る者は、彼女を除いて他に居ない。

コデックス「アデプタ・ソロリタス9版」(codex:Adepta Sororitas) P19イラストより

  • 「エストレッド・トゥルガ」&「アガテイ・ドーラン」


【概要】
エストレッド・ドゥルガは本人も強大な戦士ではあるが、しかし彼女は大いなる謙虚さと共に、自らが帯びるいにしえの至宝旗こそが自身よりもはるかに重要なのだと認識している。彼女は皇帝陛下の裁きを描いたこの自動織旗を守るためならば喜んで自らの命を捧げ、彼女と共に戦う修道女たちはその存在によって大いなる信仰の偉業へと駆り立てられる。
トゥルガが聖遺物を守るようになってから、この不屈の修道女は、アデプタ・ソロリタスの最も血なまぐさい戦いの記録の中で、強大な「警衛の刃」(ブレード・オヴ・ヴィジル)を振るい異端者との戦いに挑む。そして数々の偉業は聖人記録官アガテイ・ドーランによって書き留められるのだ。

ゲームズワークショップ公式通販サイト「Aestred Thurga, Reliquant at Arms」 商品画像より(2021/11/22閲覧)

  • “大贖罪司祭(アーク・コンフェッサー)”「キリノフ」


【概要】
大贖罪司祭キリノフは、これまで何百もの惑星を舞台に、数々の冒涜者や背教者どもに神罰を下してきた。キリノフは聖教会の教義を厳守する者として知られ、彼の熱烈な説教は聴衆を激しい熱狂に駆り立てるのだ。
ただし、キリノフがおさめた成功の大部分は、 熱烈な説教によってではなく、忍耐力と鋭敏な精神によって得られたものだ。 この大贖罪司祭は、聖教会の敵が権威の座から失墜するまでの間、辛抱強く結果を待つことができると言われている。
キリノフは非常に冷酷で論理的な手段を用いて敵を倒すが、 それを派手な身振りや自らの信仰心を証明するような芝居がかった大仰な行動によって隠す。 人心を巧みに操作できる大贖罪司祭キリノフは、敵にとっては極めて危険な存在といえるだろう。
彼の作戦の裏をかき懐柔するのは、ほぼ不可能に近いからだ。
【狂信的なる扇動】
烏合の衆を扇動するには、言葉よりも行動のほうがより強い影響力を持つことを、キリノフは熟知している。 そのため〈帝国〉の様々な戦場では、恐れを知らずに戦う彼の姿がしばしば目撃されるだろう。戦闘修道女の軍勢が進む所どこにでも、キリノフの朗々たる説教の声が響き渡り、ボルターが放つ烈火の如き唸り音とともに聞こえてくるのだ。
キリノフの熱烈なる演説が持つ力は極めて強力であり、彼がいるだけで修道軍は持てる力を倍増させ、正義の怒りに燃えて敵を粉砕するのである。

コデックス「シスター・オヴ・バトル(2nd Edition)」(codex:Sisters of Battle) イラストより

  • “信仰の守護者”「ユーライア・ヤコブス」

【概要】
ミッショナリー、すなわち帝国聖教伝道師の中には、〈帝国〉の教えを銀河全域に広めるのだという情熱に燃えて旅立ったばかりの若者から、長い伝道の日々を経てたくましく鍛え上げられた「銀河伝道会」(ミショナリス・ギャラクシア)の古参メンバーまで、様々なタイプが存在する。そしてユーライア・ヤコブスは明らかに後者であり、これまでに無数の戦いを生き延びてきた。
ヤコブスは、驚くべき忍耐力、実直な実践力、そして静かだが確固とした信仰心を持つことで名高い。彼は騾馬のように頑なで(狂人のように頑なで、と言う者もいるが……)、道を失った惑星を〈帝国〉の支配下へと復帰させる才能は、他の追随を許さない。
一部の者たちは「皇帝陛下自らがヤコブスを御導きになっているのだ」と噂するが、他の者たち(特に、戦場で彼を援護する役を担う戦闘修道女たち)は皆、 「彼はただ厄介事を見つけ出す手腕に長けているだけだ」 と考えている。
【神聖なる散弾銃】
弾丸が飛び交い始めると、ユーライア・ヤコブスは自ら戦闘の最前列に立つ。戦場ではしばしば、百発百中のショットガン「リディーマー」(救済をもたらす者)を手に、呪われた敵どもを忘滅の淵へと追いやりながらぶつぶつと独りごちる彼の姿が見られるだろう。
ヤコブスの手には聖なる軍旗が握られている。これはセバスチャン・ソアによって祝福を受けたとされる神聖な品であり、この軍旗を手に戦場の中心で戦う老伝道師を見た者は誰しも心を打たれ、自らも勇敢さを証明して大いなる武勲を挙げようと奮い立つだろう。


修道聖女会の兵種と兵器

修道聖女会には様々な兵種の修道女が配属しており、それぞれの方法で信仰と戦闘を両立している。また、彼女らの扱う様々な兵器や武器には宗教的な意味合いが含まれており、単なる兵器としてではなく信仰の祭具として扱われている。


「生ける聖人御自らに選ばれる栄誉!そしてこの御方に付き従い、邪悪なる脅威から御身をお守りする栄誉!・・・・私が賜ったこの栄誉の素晴らしさを私は理解さえできているのだろうか?無論できてはいまい。あの御方は皇帝陛下の御意志の顕現であり、一方で私は過ちを犯す、弱く無価値な血肉通う常人に過ぎない。しかし私はこの名誉に恥じぬよう戦おう。ああ皇帝陛下、私は戦います!そしていつか我が肉体が砕け、血にまみれる時、どうか斃れる私を見下ろしてあの御方が微笑んでくださらんことを。そして私の働きに満足していただけますように。」
-修道女ペルセファネ・カウザー

汝、神たる皇帝陛下の篤き信奉者ならば修道聖女会の記事を追記、修正し、陛下の御威光をこのウィキへと広めるのだ!!

さすれば、我らの信仰によってアニヲタ臣民に皇帝陛下の御慈悲が賜ることだろう!!

このウィキから異端者、不信心者が一掃されるまで戦い続けるのだ!我が姉妹たちよ!!

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最終更新:2023年01月13日 03:03