登録日:2021/10/13 Wed 21:12:56
更新日:2025/02/09 Sun 17:51:57
所要時間:約 78 分で読めるぜ!!
行くぜ!野郎ども!!
いくさだァァァア!
画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Dawn of War3」 Orks Key Artより
オルクとは、
ウォーハンマー40Kに登場する強くて賢けえイカした野郎どもだ!
俺たちオルクに自分のシュクメーやら小難しいことはいらねぇ!!
要は
強い奴が正しい
つうシンプル極まりねぇルールで生きてんだ。
俺たちに似たオークとかいうセイコーとかわけわかんねーもんに執着してる雑魚野郎とは訳がちげぇんだ!!
以上!!これが俺たちオルクよ!
追記修正はめんどくせーからサイコーな内容で書いとけよインゲン(人間)ども!!
緑はサイコーだぜ!!
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なに!?これじゃオルクのことがわかんねーだって!?
仕方ねぇな!!耳の穴かっぽじってよーく聞きな!!
俺たちオルクの生き様ってやつをよ!!
オルク(ウォーハンマー40K)
行くぜ!野郎ども!!
いくさだァァァア!
画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Dawn of War3」 Orks Key Artより
オルクとは、
ウォーハンマー40Kに登場する異種族(宇宙人)の一つである。彼らは別名
「
グリーンスキン
」とも呼ばれ、暴力による野蛮なる文化、特殊な体質、圧倒的な繁殖能力などを持ち、あらゆる異種族とは一線を画す特徴を持つ。
見た目はまさに宇宙オークといった感じだが、このオルクはなんと、
性欲を有していない。(ここ重要)
その代わりに
戦闘欲が存在し、常にだれかと戦わなければ生きていけないのだ。
しかも
痛覚を有さず、彼らは戦いを常にエンジョイしている
筋金入りの戦闘種族である。彼らはこんな見た目だが、
実はオルクは菌類であり、オルクの死体から胞子が飛び出て、そこからオルクが大量に生まれ出てくる。
その繁殖力は驚異的なものであり、しかも
生前の戦闘経験を引き継いで生まれてくるのだ。
オルクは惑星や月、アステロイドベルト、その他にも生命を維持できるありとあらゆる場所において生息しており、その生息域は銀河系全域へと及んでいる。
オルクは部族社会で構成され、様々な部族と呼ばれるグループが対立あるいは、協力が行われている。そして部族が力を蓄え、異種族の星々に軍事侵攻を行う
〈いくだァァア!〉
が実行されると、
数億、数兆の軍勢を率いて侵略を行うのだ。
オルクたちは知能は高くないが、それを補うだけの大群と能力を持ち合わせており、今日もオルクは戦いをハイテンションで戦争をエンジョイする。
残酷なる戦争と圧政を描く本作の中でもオルクは幸福感が一番高い種族なのだ。
オルクは生きるために戦うのではない。戦うために生きているのだ!
画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Armageddon - Da Orks」 イラストより
これが俺たちオルクだぜ!(概要)
オルクを始めとしたグリーンスキンは銀河のあらゆる星に巣食う、危険極まりない種族である。闘争と征服を常に追い求めるオルクとその眷属は、あらゆる種族や文明を圧倒すべく脅かしているのだ。
絶えまない戦争と流血の中で、数多くのオルクの“帝国”が隆盛と没落を繰り返してきた。幸いにもそのほとんどは短命であり、暴力の嵐を巻き起こしながらも程なく自爆する。
しかし、ひとたびオルクが一つにまとまれば、目の前に立ちふさがるすべての敵を粉砕し、文明化された脆弱な他種族どもを血の海に溺れさせるだろう。
暴力に対する飽くなき飢えは、オルク他の力の源であると同時に弱点でもある。
オルクの諸部族は、ほとんどの時間を部族間抗争に費やしているからだ。こうして過酷ないくさを繰り返す中で、オルク社会には真の強者のみが生き残る。
時に、極めて強大なオルク族長が出現することがある。彼は、
ライバルどもをブチのめし、抗争中の部族を全てシメることとなろう。こうして成り上がった大族長の下には、ツーカイな大虐殺(カーネージ)の約束をちらつかせて、他の部族のオルクたちが続々と引き寄せられてくる。
こうなれば、あとは早い。たちまち大規模な軍事侵攻である
〈いくさだァァァア!〉(グァァァグ!)
・・ある意味においては宇宙規模のオルク民族大移動であり、またある意味においてはオルクたちの聖戦がおっ始まるのだ。オルクたちが〈いくさだァァァア!〉の大号令と共に突き進む時、銀河そのものが震撼するであろう。
そしてこの暗黒の時代においてはこれまで類を見ない〈いくさだァァァア!〉が銀河各地で巻き起こっているのである。
【オルクとは】
オルクたちが持つ「哲学」はただ一つ、
「強い奴が正しい」(マイト・メイクス・ライト)
である。数え切れないほどの千年紀をグリーンスキンたちはいくさとともに生きてきたが、
この哲学に一瞬たりとて疑いを抱くオルクは一人もいなかった。
この揺るぎない自信こそが、オルクという種族が持つ最も危険な特徴である。この銀河を永遠なる戦争の中へと引きずり込もうという使命を、彼らは決して放棄したりはしないだろう。
醜く暴力的な怪物オルクは、
グリーンスキンと呼ばれる者たちの中でもいわゆる支配者階層に君臨する。
彼らの下に控えるのは、より体つきの小さい
ゴブリンのような「
グレッチェン
」や「
スノットリング
」といった格下種族でオルクたちの雑用をこなしている。
オルクたちは、野蛮なグリーンスキン文明を、自らの鉄拳によって支配しているのだ。オルクは自らを「この銀河で最強にタフで、最強に攻撃的な種族」と自負しており、そしてこれを証明すべく、彼らは行く手を立ち塞がる者を全てをブチ殺すのだ。
画像出典:コデックス「オルク5版」(codex:Orks) 表紙イラストより
俺たちゲームでもマジツェェ!(ゲーム上の特徴)
一つ一つの兵のユニットは弱めだが、オルクの強みは何と言っても
数の暴力による人海戦術
である。各種兵士ユニットのコストは安いので、大量にユニットを投入することが可能となっており、敵を手数で圧倒することが可能である。
また、接近戦闘が主体で攻撃回数も多いので、いかにユニットを近づけて手数を増やせるかがカギとなる。
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P3写真より
俺らの体はタフでハンパねぇ!(オルクの身体的特徴)
画像出典:設定資料集「Liber Xenologis」 P70イラストより
オルクの身体的特徴はだいたいこんな特徴を持っている。
-
自己回復能力で取れた手足もくっつけて元通りにできる。
-
オルクはじめとしたグリーンスキン種族は真菌類である。
-
性欲を持たず、死体から放出される胞子で繁殖する。(ここ重要)
-
性欲がない代わりに「戦闘欲」が存在し、常に戦わずにはいられない。
【タフな身体】
〈人類の帝国〉では学名「オルコイド」と呼ばれるオルクの肉体は極めて頑丈で、驚異的なまでの攻撃に耐えられる。また、
オルクはたとえどれほど致命的な外傷を負ったとしても、ほとんど痛みを感じないのだ。
このため彼らは、信じがたいほどの傷を負ったままでも戦い続けられるし、人類の医学的に言えば「すでに死んでいる」はずの状態からでも、ごくわずかの時間ならば戦闘を続行しうる。オルクを研究している学者の中には、こうした性質こそがグリーンスキンの暴力的ユーモア感覚の源であると信じている者もいる。
オルクにとって痛みや恐怖という感覚はほとんど無意味であり、それゆえ脆弱な敵が切り刻まれた時の反応は彼らにとって「興味や娯楽の対象」だというのだ。それゆえ敵が恐怖に泣き叫ぶのを見たオルクはしばしばガラガラ声でゲラゲラ笑い、一方でグレッチェンは意地悪い忍び笑いを漏らすのである。
オルクの体には数々の生理学的秘密が隠されているが、
その中で最も特筆すべきは植物的な共生システムであろう。
オルクの肉体は、
動物的特長と真菌類的特長を持ち合わせている。
きわめて植物に近いその生態が、オルクに驚異的な頑健さをもたらしているのだ。オルクの体色が緑色なのも、彼らの血中を流れ、また彼らの消化器官の一部をも形成する、ある藻類の影響だ。
オルクの体組織が損傷を受けると、この藻類が分解され、損傷した組織を驚くべきスピードで復元し始める・・。これこそ、オルクが持つ驚異的な新陳代謝作用の正体なのである。
また、グリーンスキンが備える
自己回復能力
も極めて強力だ。例えば、戦闘中に手足をバラバラに切断されたオルクがいたとしよう。
このブッタ斬られた手足を元の場所にくっつけ、適当に縫い合わせておくだけで、驚くなかれ・・。
なんとそのオルクは再度いくさに撃って出られる程に回復するのである。
また、たとえ頭が胴体から完全にチョン切られたとしても、オルクの頭部はしばらくの間生き続けられるし、これらの吹っ飛んだ頭をホチキスで胴体にくっつける手術は医者である激痛野郎の定番メニューなのだ!
(ホチキス留めは立派な医療行為である!)
かなりの重症でもない限りオルクを長時間にわたって行動不能にすることは難しく、
オルクを完全に始末しようと思えば灰になるまで焼き払うしかない。
【緑の巨体】
典型的なオルクの身長は、人類のそれと大差ない。
ただ、オルクが丸まった背をしっかり伸ばしさえすれば、人間よりも一回り以上大きくなるだろう。
オルクの体には信じられないほど筋肉質で固い。指の先まで重い筋肉が詰まったようなその腕は長く、オルクが大股でその辺をノシ歩くと、重厚なコブシは大抵地面スレスレの位置に来る。
ごつごつと節くれ立った手の先には、敵の喉元を易々とかっ切れる、鋭い鉤爪が生えているのだ。オルクの肌は緑色で、なめし皮のように固い。
その皮膚は無数のいくさキズやカサブタ、あばた、寄生生物などによって覆われている。オルクの頭蓋骨はあり得ないほど硬い。
人間の頭であれば間違いなく陥没するほどの強烈な衝撃を受けても、軽々と吸収してのけるのだ。
分厚く重いまぶたの陰には、殺しのためだけに備わった血のように赤い眼がギラギラと燃え、大きなアゴからは鋭くも不揃いな牙、本来ならばオルクよりもはるかに大型の肉食獣が持つべきサイズの巨大な牙が伸びている。オルクの会話はとても遅い。しかも恐ろしいほどなまりが強く、荒々しいしわがれ声で唾と悪態を撒き散らす。
語彙もオソマツなので、単刀直入かつ暴力的な物言いをする。
【オルクの繁殖】
オルクはどこぞのオークみたいにインゲン(人間)のオンナとパコパコするようなことはしないし、子供を産み落とすこともしない。
オルクは真菌類のように胞子の飛散によって繁殖する。
どこかに定着した胞子は、それから時間をかけてゆっくりとオルクへ成熟してゆくのだ。
一人のオルクが死ぬと、それが引き金となって大量の胞子が放散され、それが発芽することで、数十ものコクーン(繭)が形成される。
周囲の状況などによって、これらのコクーンの一部からは格下種族の「グレッチェン」や「スノットリング」、あるいはただのキノコなどが出てくることもあるが、大部分のコクーンからは、オルクが誕生するのだ。
しかも、オルクが生えてくるまでの熟成期間はきわめて短い。オルクの胞子は、風に乗って広範囲に飛散する。
このため、ひとたびグリーンスキンによって汚染されてしまった戦闘地域からこれを完全撲滅することは、惑星を焼き払う「究極浄化」(エクスタルミナトゥス)による業火の粛正でもないかぎり、まず不可能だ。
ごく少数のオルク胞子が、それまでまったくオルクが存在しなかった遠隔地まで飛散することもあるだろう。樹木がうっそうと生いしげる熱帯のジャングルや、乾燥した砂漠地帯など、
通常の文明種族では生存困難な地域でも、オルクにとっては何ら問題のない環境である。
胞子はたちまちのうちにその地域一帯へと拡散し、誰にも知られることなく、ひそかに成長を続ける。ごく短い熟成期間を経て、
コクーンから生まれたばかりのオルクたちが群れ集い、明確な格差のない小集団を形づくるだろう。
「野生野郎」(ワイルドボゥイ)
とも呼ばれるこれらの小集団は、やがて自分たちの親である
「いくさ組」(ウォーバンド)
を探し出し、合流を果たすのだ。いくさ組に合流した野生野郎たちは、そこでオルク文化を学び、新たな戦士としてオルク社会に迎え入れられる。
そしてイナカ(フィーラル)っぽい槍と斧を、スラッガとチョッパに持ち替えるのだ。もっとも、そう上手くいくさ組が見つかるとは限らない。
親であるいくさ組がその惑星から完全に駆逐された後だったり、あるいは他所へ行ったケースもあるだろう。こういった場合、野生野郎たちはいくさ組に合流する代わりに、自分たちでイナカオルク部族をつくり上げる。
【イナカオルクの脅威】
初めのうち、イナカオルク部族は、その惑星にとって大した脅威にならない。彼らは他のオルクから見てもなお、野蛮でイモい(田舎者)連中なのだ。
そんなイナカオルクたちは、昔ながらのやり方で狩りや冒険をしながら暮らしている。やがて部族が大規模なものに成長すると、彼らはより幅広い種類のスクイッグを飼育し、グロックスやメガドンといったグレイトな牙を持つ獣を乗りこなすようになるだろう。
そしていつの日か、祖先たちによって踏みしめられた土地を再発見すると、イナカオルクはすぐに武器や装備を漁ることを学びだす。この新たなオモチャによって生み出せる騒音や破壊を、彼らはめいっぱい楽しむのだ。
この一大発見から間もなくして、イナカオルク部族はいくさをおっ始めるであろう。雄叫びや絶叫とともに、彼らは山岳地帯やジャングルからあふれ出し、この攻撃を予想だにしていない敵の居住地域へと襲いかかるのだ。
こうして、新たな「戦争の円環」(いくサイクル)が回り始める。ひとたび惑星がオルクの胞子によって汚染された場合、その惑星を待ち受ける運命はただ一つ。
永遠に終わらない、暴力と狂気の無限ループだけだ。
【押さえられぬ戦闘欲】
グリーンスキン種族を巡っては数多くの謎が存在するものの、しかし一つだけ疑いようのない事実が存在する。それは
オルクの血に飢えた気質に他ならない。
オルクによる侵攻は時に不治の病に例えられる。ひとたび惑星や星系がグリーンスキンの攻撃に晒されたが最後、この地が滅ぶまで何度でも襲撃が繰り返されるだろう。
惑星の守備隊がオルクの侵攻を一度は撃退したとしても、戦勝を祝っている間にも新たなグリーンスキン部族が目につかぬ僻地にてその数を増やしている。それと同時に、この戦いを生き延びたオルクの生存者は、この惑星でいかに「良きいくさ」が行われているかの物語を宇宙の彼方に伝えるだろう。
良きいくさと聞いて居ても立っても居られないのがオルクの性質であり、それゆえ前回の侵攻の被害が癒えぬうちに新たなるオルクの大群がこの地へ降り立つこととなる。こうした攻撃は回数を重ねるごとにその激しさを増し、宇宙から次々に押し寄せるグリーンスキンに惑星僻地からあふれ出したイナカ部族が合流する。
惑星の防衛拠点が1つ、また1つと陥落し、惑星住民たちは戦いに狂乱したオルクの大波に飲み込まれることとなるのだ。こうしたいくさの特に厄介な性質は、惑星の防衛軍が激しく戦えば戦うほど、事態がより深刻さを増していくということだ。オルクが1体倒されるということは、別の2体がいくさの臭いに引き寄せられるということを意味しており、それゆえオルクの攻勢を激しく撃退すればするほど、より多くの熱狂したグリーンスキンが押しよせてくるようになる。
実際その結果として幾つかの惑星は〈いくさだァァァア!〉の中心地となってしまっているのだ。惑星の防備へと突っ込むたびにオルクの数と凶暴さは飛躍的に増していき、最終的に惑星の内外からのオルク侵略は撃退の限界を超えてしまう。
こうした状況にあって防衛軍の取りえる選択はたったの2つだ。
その場に踏みとどまって死ぬまで戦うか
、
あるいは救える限りのものを伴って逃げ、荒れ果てた惑星をグリーンスキンに明け渡すかである。
【変人野郎(マッドボゥイ)】
マッドボゥイ。すなわち「変人野郎」とは、
成長過程でオツムがアレになったり、あるいは〈大亀裂〉から放たれる〈歪み〉のエネルギーによって狂気へと陥ったオルクである。
彼らの外見は、いわゆる普通のオルクであるが、ファッションセンスがヤバい。ド派手な服に身を包み、錆びた鉄バケツだの、スクイッグのヌイグルミだのを持っていくさ場に繰り出す。これは、彼らの「笑いポイント」が常識からいかにカケ離れているかを示す好例だ。
変人野郎は、頼まれてもいないのに「奇人野郎」(ウィアードボゥイ)の後ろについて回ることでも有名だ。そのため彼らは、マトモなオルクたちの家から離れた場所に掘っ立て小屋をこさえ、小さな集落を作って暮らしている。
変人野郎を見かけることは「ラッキーなサイン」とされ、彼らが徒党を組んでいるところに出くわすのは、実にイイ感じのアレだという。もっとも、変人野郎が近くにいると、いくらかの不便が出てくるのも事実だ。
例えば、夜襲を仕掛けようと、いくさ組が声をひそめているまさにその時、変人野郎たちがイキナリ「大声コンテスト」を開催する事もある。または、敵に向かってスティックボムのピンだけを雨あられと投げつけてドカーンが巻き起こるのをしゃがんで待ち構えていることさえあるのだ。
ただ、いくさ場において、変人野郎は何気に強い。なぜなら、
どんな予見の力に長けた戦術家でさえ、いくさでコーフンした変人野郎が次にどう動くかを予測できないからだ。
素手で敵の歩兵部隊を八つ裂きにした次の瞬間、その場でとつぜん互いのハナをほじり出すような連中である。彼らが一体何をしでかすかなど、誰にもわかるハズがない。
【背水の陣】
〈大亀裂〉の出現により、オルクに侵略された惑星にはこうした厳しい選択すら許されぬものとなってきている。惑星の防衛軍は〈帝国途絶領域〉の暗闇に孤立し、もはや逃げ場も増援の望みも残されてはいない。
それゆえ彼らに出来ることはその場に留まり、バリケードの背後にこもって勝ち目のない消耗戦を耐え抜き続けることのみなのだ。渾沌の従僕と星間種族が銀河の各所で激しい戦いを繰り広げている中、突如到来したオルクの〈いくさだァァァア!〉によってこうした係争戦域の多くがさらなる無秩序へと陥る事例が数多く発生している。
こうした場合、激しい殲滅戦を通じて既に疲弊しきっていた紛争の当事者たちは荒れ狂うグリーンスキンによってさらに横合いから殴りつけられることとなるだろう。結果に待つのは恐るべき事態だ。
オルクは行く先にあるもの全てを片っ端からブッ潰して廻る為、両軍の大戦略は瞬く間に崩壊する。かろうじて通っていた補給線は寸断され、長らく侵略を跳ね除けてきた惑星も蹂躙される。
たとえ両陣営が互いの憎悪を乗り越えて手を結び、オルクの侵略軍に立ち向かったとしても、事態は既に取り返しのつかない状態になっている。間もなくして、両陣営のあらゆる抵抗は粉砕され、後に残るのは彼らの打ち砕かれた残骸を漁る野蛮なグリーンスキンのみである。
誰が一番エレえのかわからせてやる!(種族のヒエラルキー)
「インゲンはなぁ、ピンク色でしょべぇ。オレらオルクみてぇにタフでねえし、ミドリ色じゃねえのよ。しかもな、奴らはみんな同じサイズとくる。だから誰が一番エレえのかが、あいつら自身がわからねえ。連中は制服だの勲章がねえと、他人のエラさがわかんねえんだ。そのうえ、インゲンが他の野郎をシメてえ時は何を使うか知ってるか?ハッタリだよハッタリ。「俺は超スペシャルだからてめえは俺の格下だ」とか「俺様がてめえよりも物知りなんだから黙って俺様の言うことを聞きやがれ」だの、ダラダラほざきやがるんだ。それでな、ここからがケッサクなんだ。ハッタリをカマされた他の連中はな、たいてい半分以上がそのハッタリを信じねぇわけよ。だからけっきょく、インゲンは他の奴らをブチのめして言う事を聞かせるしかねえんだ。な、わかるべ?インゲンってのはまどろっこしいよな。そこで俺たちオルクよ。インゲンどもが「誰が兄貴分か」をわかんねえで仲間割れしてん間に、オルクはインゲンを一人残らずブチのめすのさ」」
オルクから見た人間社会像と、人間社会の持つ問題点への洞察
画像出典:TRPG「OnlyWar Enemies of The Imperium」P43イラストより
【概要】
海賊のねぐらから星系規模の帝国に至るまで、オルクの勢力の有様は様々だ。(暴力的だという点では共通している)グリーンスキンが惑星や星系に侵攻してきた場合、オルク自信が防衛軍を叩き潰すのと同じくして、オルクたちが持ち込んだ侵略的生態系もまた現地の惑星を圧倒するだろう。
グリーンスキンの社会と生態系はあまりにも強靭であり、銀河のほとんどいかなる場所にも彼らは生息している。毒性大気の「死地惑星」(デス・ワールド)や火山活動が活発な生まれたばかりの惑星、遺棄され大気も失われた軌道ステーションなど、ありとあらゆる極限的環境においてオルクの生息、それどころか繁栄が確認されているのである。
漂流を続ける流星や、恒星スレスレで
放射線を浴びに浴びている小惑星帯でもオルクの部族は目撃されており、腐食性の化学物質溜まりや、恐るべき捕食者がうごめく光なき暗黒惑星、更には究極浄化が行われた惑星の残骸にすらその存在が報告されている。〈帝国〉の「自由開拓者」(ローグトレーダー)が言うところによると、渾沌の勢力の根城となっている〈恐怖の眼〉の内部にすらオルクの勢力圏が存在するという。
目撃された場所がいかなる不毛の地であれ、あるいは目撃された個体数がどれほど少数であれ、そのまま放置すればグリーンスキンは指数関数的にその数を増し、恐るべき脅威となるだろう。数週間もしないうちに、小規模な襲撃隊はあたかも怪しげな
錬金術でも使ったかのように無秩序な大群と化し、破壊と戦争がもたらされることとなる。
銀河に棲まう他の種族たちはこれまでオルクの異様なまでの繁殖スピードを説明するため数多くの仮説を立ててきた。そうした仮説は自然発生的分裂増殖から死後の胞子散布まで様々であり、中でも悪名高き「ヴァンデルマイスト仮説」は「グリーンスキンはどこかの平行世界に生息しており、オルクが戦争を行っている場所であればどこであれ、完全な形で異世界からあふれ出してくるのである」と理論付けている。
こうした適当な仮説の多くは考慮にも値しない馬鹿げたものであるが、
しかしオルクを一体見つけたら、もっと多くのオルクが近くに居ることは間違いない。
尽きる事無き戦闘欲と、戦いを生き残るたびに大きく育っていくその身体構造ゆえに、荒れ狂うオルクの大群は瞬く間に惑星の防備を蹂躙することだろう。惑星に墜落したオルクの宇宙船からグリーンスキンの一団が脱出に成功し、都市の地下へと逃げ込んだ場合、数週間もしないうちに彼らは殺意に満ちた大群へと膨れ上がり、征服欲の赴くままに全てをブチのめすことになる。
殺されなかったものは奴隷にされ、破壊されなかったものは略奪される。そして間もなく次なる惑星がオルクによって征服されるだろう。
都市は廃墟となり、支配者たるグリーンスキンの圧制のもとで人々は鎖に繋がれ、労苦に喘ぐこととなるである。
【明確な上下関係】
オルクの集落を直接「調査」し、どういうわけか彼らの元から生きて帰ることに成功した者たちは、オルク社会の厳格な上下関係について語っている。
彼らの上下関係とは、地位や生い立ちなどではなく、体つきのデカさと強さによってのみ決まるのだ。
まず最もデカいオルクが頭となって、格下たちに命令を飛ばす。
この命令は格下から格下へとリレーされてゆき、最後にはグレッチェンと呼ばれる奴隷種族に押し付けられる。グレッチェンよりさらに小さい、スノットリングと呼ばれるグリーンスキンもいる。
スノットリングはあまりにも小さく、さらにオルクよりも単純なオツムしか有していないため、何か物を取ってきたり集落に生えるキノコの世話をするぐらいしか役に立つことはない。グレッチェンといい、スノットリングといい、何とも惨めな格下ライフを強いられる小型グリーンスキンだが、
実のところ彼らはオルクと共生関係にある。
使いパシリをする代わりに、格下は兄貴であるオルクたちによって守られているのだ。
【失われし種族】
オルクたちの伝説(というと少々大げさだが)は、ちび飼いたちによって語り継がれるのが一般的だ。ちび飼いとは、格下グリーンスキン種族を育てたりシゴいたりする役目に特化したオルクである。
ちび飼いたちの語るところによると、グリーンスキンには伝説的な支配者層がかつて存在していた。そしてこの支配者層にあたる者たちが、自分の身を守るために戦士階層としてオルクを創造したのだという。
彼らはとにかく体が小さく非力であったため、自分たちを猛獣や侵略者の攻撃から守るために、強く恐ろしいオルクという種族を造り出したのだ。ちび飼いたちは、この謎めいた全オルクの祖先たちを
「脳ミソ大将」(ブレインボゥイ)
と呼んでいる。
この謎の支配者階層は科学技術を発展させ、下層に位置するグリーンスキンたちを監督しながら、様々な惑星へと移住していったという。その他、脳ミソ大将は今日のスノットリングへと退化してしまった、という伝説もある。
この伝説によると、オルクたちが起こした反乱によって、脳ミソ大将は子供のような怪物へ落ちぶれてしまったのだとか。だが、そんな脳ミソ大将たちに、何らかの思いがけない悲劇が訪れたに違いない・・。
なぜなら、彼らはもはや現在の銀河には生き残ってはいないからだ。
オルク伝説の中には恐ろしい疫病の物語が残されている。
そして、この疫病が脳ミソ大将たちの人口を激減させ、最終的には絶滅させてしまったというのだ。また別の伝説としては、脳ミソ大将は従者たるオルクたちよりもさらに戦闘的であり、最もデカくて強いオルクたちを引き連れて究極のいくさを探しに行ったのだというものもある。
脳ミソ大将の辿った道筋の真相がどうだったにせよ、
彼らは自分たちの高度な知識を、奴隷階級にあたるグリーンスキンの遺伝子構造内に埋め込んでいたことだけは確かだ。
〈帝国〉の「生物学賢人」(マゴス・バイオロジス)の大部分も、「オルクたちが41千年紀の現在にあって、きわめて高水準な科学技術を維持しているのは、外的要因により爆発的に促進された進化の結果、すなわち彼らの遺伝子コードにあらかじめ刻まれた数々の技術情報に起因する」という学説を支持している。
ちび飼いの語る伝説や〈帝国〉による仮説にどれほどの真実が含まれているかは、
オルクにとはほとんどどうでもいいことだ。
オルクは無知で野蛮だが、生まれながらの生存者である。
彼らはいずれも驚くほど臨機応変
または行き当たりばったりで頑強だが、オルクの大部分は自分が何故そうなのかについて気にすることはないだろう。
“失われし…種族(ロストレース)?ああ、負けレース(ロストレース)のことだな。それなら俺も知ってるぜ。大変だったらしいな。砂漠横断レースの最後のストレートまでいったのに、三輪バイクでズっコケて負けたって話だろ。この話、俺が何本かキバを払って仕入れた、とっておきの奴だぜ”
【オルク以外のグリーンスキン種族】
【概要】
単に「格下」(グロット)とも呼ばれる種族のグレッチェンたちは、
オルクよりも遥かに人数が多い。
グレッチェンの生態はオルクと似通っている。
しかし、グレッチェンはオルクのように強くもないしタフでもない。だが、この弱点を埋め合わすように、
グレッチェンには持って生まれたズル賢さがある。
彼らは自分たちよりも体格のビッグなグリーンスキンの周りを、肉付きの悪い足でチョロチョロと走り回っている。そして相手がスキを見せようものなら、いかにも貪欲そうな指先で獲物をひっつかみ、盗み去ってゆくのだ。
【身体の特徴】
グレッチェンの頭部は大きな球根状をしており、そこに幅広でボロボロの耳がくっついている。この耳がうなだれて、ツルツルの頭部にピッタリとくっついていたら、それはグレッチェンがおびえている証拠だ。(大体常にそうである)
グレッチェンの口元には鋭い針のような歯が並び、弱者や衰えた者の肉を突き立てられる時を待っている。また、ビーズのように小さな彼らの目玉は、いついかなる時でも暴力を振るうチャンスを求めて、悪意に満ちた光をたたえているのだ。
グレッチェンの顔から突き出した大きな鼻は、並外れた嗅覚を彼らに与えている。耳も同様で、更に優れた聴覚をもたらしている。
さらに、彼らは暗闇の中でも鋭い視覚を維持できるらしい。これらの特徴をあわせもつグレッチェンは、きわめて自己防衛本能に優れた部族と言えよう。
これにより、彼らは凶暴な猛獣によって支配された弱肉強食の社会で生き残るのみならず、そこそこ元気にうまいことやっていけているのだ。
【ズル賢い子分】
ちなみに、格下の中には、自己防衛本能を第六感レベルにまで研ぎ澄まし、オルクの旦那にうまく媚びへつらうことによって生き残る確率を最大限に高めている者もいる。根性の座ったグレッチェンの中には兄貴分たるオルクの後ろでしかめっ面や挑発的なジェスチャーを取る者もいるが、面と向かってこうした危険を冒すほどのマヌケはそれほど多くない。
グレッチェンは要領がよく、さらに生き残るためのポジション取りにも秀でているため、多くの格下が「技術野郎」(メクボゥイ)や「頭目」(ノブ)といった大物オルクの助手や小間使いとして働いている。一方それ以外のグレッチェンはなるべくオルクの眼につかれないように、スクラップの山や入り組んだトンネルなどオルクのデカい体が入り込めないような場所にねぐらを作って集団生活を送っている。
いくさの時が迫ると、格下たちは「ちび飼い」の「スクイッグハウンド」や仕事熱心な「バーナボゥイ」によって巣穴から追い出されることとなる。
【いくさ場におけるグレッチェン】
たった一人のグレッチェンは、人間サイズの敵にとって、大した脅威にならない。そんな格下たちに唯一の強みがあるとすれば、それは
「数の強み」
であろう。
いくさ場にて、グレッチェンたちは死体から漁った弾を自分たちのオソマツなガンからスポスポ吐き出しながら、大規模な徒党を組んで突き進む。そして戦死者たちの山に勢いよくダイビングすると、我先に死体漁りを始めるのだ。
金切り声を上げるグレッチェンの大群に追い詰められれば、いかに優れた戦士であっても自信が消し飛んでしまうだろう。グレッチェンは特に乗船攻撃においてその危険性をいかんなく発揮する。
兄貴分たるオルクたちがなりふり構わぬ接近戦を挑む一方で、ズル賢いグレッチェンたちはこうした戦いを避け、疫病のように敵へと忍び寄るのである。格下たちはエアダクトの中を這い進み、重要な機械部品を破壊したり盗んだり、あるいは無力な怪我人で一杯の医務室を蹂躙したりする。
グレッチェンたちが艦艇の「ヴォイドシールド発生装置」を破壊したり、ダクトから重要拠点へと溢れ出すのを眼にすれば、いかなる敵とて彼ら小型の卑劣なグリーンスキンに、畏怖とまでは言わないでも恐怖の念を抱くことになるはずだ。
画像出典:TRPG「Only War: Core Rulebook」 P366イラストより
【概要】
「鼻タレ」(スノット)とも呼ばれるスノットリングは極めて小型のグリーンスキンであり、未熟なグレッチェンのようにも思える。彼らのヒョロヒョロした手足はあまりにも小さいため、ガラスやスクラップの破片よりも大きくて複雑な武器を扱えない。
またスノットリングにはそもそも、より大型のグリーンスキンが持つ暴力的で好戦的な性質が欠如しており、戦士として極めてションボリな能力しか持ち合わせていないのだ。「ショック・アタックガン」とも呼ばれる奇妙な武器の弾としては極めて優秀であるものの、
主人のオルクにとって、スノットリングはペット同然の存在なのである。
【縁の下の力持ち】
しかし、そんな鼻タレたちがオルク社会で重要な役割を果たしていることも忘れてはいけない。オルクが暮らす集落に近くに決まってニョキニョキと生えている大量のキノコ群を世話するのは、スノットリングたちの仕事だ。
スノットリングは
オルク社会における「食料」「飲料」「薬」を全て生産している。
また、オルクの「糞尿穴」(セスピット)に生息するキノコっぽい猛獣たちを世話するのもスノットリングの日課だ。
彼らは生まれながらにしてキノコ類と仲良しなので、各糞尿穴の中でこの貪欲な猛獣たちに生きたまま喰われてしまうスノットリングたちは、せいぜい一日当たり数十人かそこらという。オルクの集落近くに生えてくるスノットリングの人数は、「ちび飼い」と呼ばれるオルクの社会階級の一つによってしっかりと管理され、栽培されている。
ちび飼いは凶暴かつ情け容赦ない奴隷使いだ。彼らは命令に対する絶対服従を強いるべく、保育を任されたスノットリングをアノ手コノ手でイジメ抜く。かの恐るべきつつき棒や、獰猛なスクイッグ・ハウンドなどは、その一例にすぎない。
画像出典:コデックス「オルク4版」(codex:Orks) P34イラストより
【概要】
スクイッグは「クネクネ獣」(スクイッグリー・ビースト)とも呼ばれ、オルクの「シンプルかつ持ち運び可能な再利用システム」を支える重要な生き物だ。わかりやすく説明しよう。
スクイッグはオルクの排泄物を食べる。そしてオルクがスクイッグを食べる。完全無欠のエコロジーだ。
スクイッグには様々な種類があり、バラエティ豊かな亜種に分類できる。例えば「技術野郎」(メクボゥイ)は「オルクスクイッグ」の鼻からねばねばした黒い液体を搾り取り、これを機械の潤滑油として使用し、吸水性に優れた「スポンジスクイッグ」で飛び散った汚れをふき取る。
一方で激痛野郎は「医療スクイッグ」を使って傷口や飛び散った手足を縫い合わせる。さらには「スナックスクイッグ」、「ノミ取りスクイッグ」、「バッグスクイッグ」、さらにはヘンテコな「楽器用スクイッグパイプ」まで存在するのだ。
いかなるスクイッグであってもオルクはその使い道を見つけ出してきたのである。こうしたスクイッグ種の中でも最大級のサイズを持つのが「スクイゴス」だ。
オルクたちはスクイゴスの背中にカゴと大砲をくくりつけ、ノリノリでいくさ場へと送り込むのである。
【恐るべきツラ噛み】
食用から医療用までスクイッグの用途は幅広いが、その中で最も悪名高いのは、凶暴きわまりない「ツラ噛み」(フェイス・バイター)だろう。
人間が軍用犬を使うように、オルクたちもツラ噛みを攻撃用スクイッグとして利用するのだ。ツラ噛みの見た目は「凶悪なキバを備えヨダレをダラダラたらす巨大な口が、二本の脚の上に乗った感じ」としか言いようがない。
この猛獣を飼うことは、いくさ頭にとって一種のステータスである。「頭の好意をムダにしやがった連中」をペロリとたいらげるために、彼らの大部分がツラ噛みを連れ回しているほどだ。
この他にも、オルク集落にある不潔きわまりない糞尿穴の中では、鋭いキバを持った様々なスクイッグが繁殖し、ツラ噛みと同じように飼育されている。スクイッグたちは、いつ降ってくるとも知れないほんの一滴のオコボレや、足をふみ外して落ちてくる不運な連中を待ち受けながら、空に向かってキバをカチカチ鳴らしているのだ。
画像出典:設定資料集「Liber Xenologis」 P75イラストより
【オルクの社会階級】
オルクは本能的に、
自分よりも体のデカい者に従うという習性を持つ。
もちろんこれは、
相手の肌がヘルシーな緑色である、という条件付きだ。
たとえどんなに相手が強かろうと、
グリーンスキンでない者の命令に従うぐらいならば、オルクたちは死を選ぶだろう。
オルク社会をシメるのは、
その中で最も体がデカく、最も力強いオルクだ。
いわゆる
「いくさ頭」(ウォーボス)
、もしくは「族長」と呼ばれる者たちである。さらに数々の部族をまとめ上げる強大な指導者は
「大族長」(ウォーロード)
として知られる。
彼らはまさに「殺戮機械」(キリングマシーン)と呼ぶべき怪物であり、その身長は取り巻きのオルクたちより一段高く、筋肉に覆われた肩幅は完全装備のスペースマリーンよりもなお大きい。中には他よりも頭がちょいとばかしキレるために権力の座につく者もいるが、基本的に族長の座にノシ上がるために最重要とみなされるのは、他のあらゆるリーダー的資質を差し置いて、まず戦士としての能力である。
いくさ頭は見渡すかぎりの縄張りを自分一人の手でシメるために、自分に反抗する者が一人もいなくなるまで、目ざわりな連中を徹底的にブチのめして回らねばならないのだ。
いくさ頭の決定を実行に移すのは、「頭目」(ノブ)と呼ばれる支配者階層である。頭目は通常のオルクよりもデカく、リッチで、ことさら攻撃的な者たちであり、それを「分からせてやる」ことに余念がない。
オルクがいくさ場へと赴く時、彼らは「徒党」(モブ)として知られる無秩序な集団で行動する。個々の徒党はより大きないくさ組に属しており、いくさ組はいくさ頭と頭目によってシメられている。
中でも特に「ゴフ氏族」のオルクたちは、いくさ場に大量の兵隊を送り込むことで名高い。彼らは敵軍の人数を何倍、何十倍も上回るほどの緑の大津波となって、いくさ場へと行進していくのだ。
デカくて凶悪なオルクは、より弱っちいオルクに好き放題命令できるが、
しかし戦場以外での「実用的な」仕事に関してはオルクもてんで使い物にならない。
それゆえ、食料を調達したり、メッセージを届けたり、何かを取ってきたり、者を運んだりなど、オルク社会における日常的な使いパシリの仕事は、
全てグレッチェンのたちに押し付けられる。
そして、オルクが何かを蹴り飛ばしたい衝動にかられた時、絶妙なタイミングでその足元にいることも、グレッチェンの大切な役目だ。
このため、オルクはふんぞり返ってイバり散らすことや、喧嘩をおっぱじめることや、新しいブチ殺り方の発見などに、大切な毎日を費やせるわけだ。もっとも、当のグレッチェンたちは自分たちの役割に満足しており、充分ハッピーである。彼らも格上たちに対して怒りや恨みを抱くが、それとて、とても小さいものだ。
どう転んでもグレッチェンにとってオルクたちの存在は認めざるを得ないキビシイ現実である。
そして、この現実から目を背けることは結局、
頭をボコボコにブン殴られることにしかつながらないのだ。
ちなみに、自分の旦那であるオルクに満足いくサービスを提供できるグレッチェンになると、比較的快適なライフをエンジョイできるようである。
グレッチェンらが、オルクによって支配される過酷なグリーンスキン社会の中で、独特な起業文化を発展させてきたことも記そう。
グレッチェンの多くが、キノコ
ビールの販売、スクイッグの串焼き屋、喧嘩が始まった時の賭けの仕切り、趣味と実益を兼ねた死体漁り業といった
独自のヤミ商売を、サイドビジネスとして立ち上げている。
他のオルクをシメあげろ!(オルクの社会)
「俺様のプランは超シンプルだ。まず突っ込む。途中で出くわした奴にはドガドガ(ダッカ)をお見舞いしとけ。ほんで塹壕まで着いたら中にいる奴らに靴底を舐めさせてやるって訳だ。このプランが気に入らねえって奴がいたらブン殴ってやるから前に出な。分かったか?」
画像出典:アニメ「Hammer and Bolter」 「Old Bale Eye」より
【概要】
オルクの生き方はオルク自身と同様に単純で暴力的なものだ。
オルクは「何故これをやるのか」「どうすればもっと上手くやれるか」などということをクヨクヨ考えて時間を無駄にすることはない。
その代わりにひたすら行動あるのみである。本能と能力の導くまま、オルクは暴力と征服のサイクルを回し続けているのだ。オルクは極めて特徴的な文化を持つ。
その発祥は、長い年月の末に不明となって久しい。かつて彼らが有していた理想社会が破壊され、汚された結果、現在のオルク文化が生まれたわけだが、まあ全体的に見て、結果的にオルク文化はうまいこといっている。この成功の理由はおそらく、現在のオルク文化で基礎をなす、あるきわめてシンプルな考えによるものだろう。
それはどんだけ頭がアレなスノットリングでも理解できる・・
「強い奴が正しい」(マイト・メイクス・ライト)という信念だ。
【シンプルなライフ】
オルクが持つ最大の強みは、
物事に対するアプローチの単純さにある。
。彼らにとって宇宙は単純明快な場所であり、他の種族を蝕んでいるような苦悩や心配を彼らが抱くことはない。
基本的にオルクは
「俺様のシュクメー」などという小難しいことは考えず、計画が思った通りに運ばなかったとしても単純にイラつくだけである。
オルクは
失敗の理由を深く追及することはなく、オルクが持つ短所について考え込むこともない。
運悪く近くにいたグレッチェンや、[[ライバル]]部族にその鬱憤をぶつけることはあるだろうが
彼らは単にもう一度、今度は違うやり方で
最初のやり方は忘れてしまったので 同じ目標にトライするだけである。そうしてオルクは猛烈なトライアンドエラーを通じて驚異的発展を遂げてきたのである。
その間に他の種族は高邁なる哲学への没頭や幾千年紀もの伝統への執着を通じて袋小路を右往左往し、停滞と衰退を繰り返した挙句に、オルクによってブチのめされるのである。
【シンプルなヨクボー】
一般的なオルクは、
「ブチのめす相手」
、
「誰をブチのめせばいいか教えてくれる自分よりデカい誰か」
、そして
「シメて格の違いを分からせる自分より小さい誰か」
の三つが居れば概ね満足である。オルクが空腹を感じることはほとんど無く、
彼らは基本的に何でも食べることができるからである。
(グレッチェンやスノットリング、場合によっては他のオルクも!)
デカいオルクが弱いオルクを食って生き延びるのは彼らにとって当然の摂理であり、他の種族のように
同族食いに禁忌を感じることはないのである。
オルクの欲望は
戦闘欲と殺戮欲に特化しており、ほとんどのオルクは富や財宝を集めることにほとんど関心をよせてはいない。
唯一例外があるならば、よりド派手で殺傷力に優れた武器や車両を所有したいという欲求だろう。より発射音がデカく、短時間に大量の弾丸をブチ込める「バラ撒き」(シュータ)や、超絶スピードでカッ飛ばせるバギーを手に入れるためならば彼らは文字通り何でもする。
そしてお目当てのブツを手に入れた瞬間、そのオルクの眼はよりデカくてイカした別の何かへと注がれ始めるのだ。
【オルクの通貨】
オルク社会において、
「歯」
はオルクの経済システムを支える
重要な貨幣
であり、要するにカネである。中でも、デカくて鋭い象牙のようなキバにのみ価値があるとされ、人類が持つ歯など、オルクから見ればあまりに弱々しくションボリ極まりないものだ。
これはある意味、最もナチュラルな経済システムと言えるだろう。
オルクの歯は、数年に一度のペースで生え変わるからだ。
このため、オルク社会に流通する歯の本数が急激に減少し、決定的な欠乏状態が発生する事もない。
また、ひどい貧困状態に陥ってしまったオルクも、
しばらくすれば歯が生えてきて、ひとりでに貧乏からオサラバできるという仕組みである。
多くの文明が頭を悩ませている経済の難局や格差社会問題を、オルクは種族全体が生まれながらにして持つ実用主義の気質によって、超シンプルに解決したのだ。
【オルクの戦利品文化】
オルクたちは、
あるいくさ頭が今までどれだけ強い敵をどれだけブチ倒してきたかによって、そのいくさ頭がどれだけ大物かを知る。
時代を代表するようなハンパねえいくさ頭たちは、例外なく強敵どものドクロを戦利品とみなし、体にブラ下げたり、玉座をデコレーションしたりしてきた。
こうした戦利品には他の奴らをビビらせる効果だけでなく、いくさ頭をムカつかせたオルクに「権威の重み」を味合わせるための鈍器としても用いられるようだ。いくさ頭は玉座や戦利品ラックを強敵だったオルクのドクロで飾る習慣を持つが、しかし彼らがその縄張りを星々の彼方まで広げていけば、さらに様々な敵をブチ殺す機会に恵まれることとなるだろう。
そしてオルクは、
いくさ場でブチ殺した敵の中で「一番強かった野郎」の頭をブッちぎって身に着け、他の連中に見せびらかすのである。
中でも、スペースマリーンのカブトは、いくさ頭の戦利品ラックを彩る品としてかなりイカす物と見なされるらしい。
人類の誇る最精鋭たる彼らの残り物をブラ下げるということは、自分が超強ええことを他のオルクに見せつける証となる。
しかもスペースマリーンの兜は、どれもが超カラフルでイカす色だ。(ここ重要)
これも、派手好きなオルクたちに支持される理由の一つである。
【闘争まみれのライフ】
個人的な視点で見ても、宇宙的な視点で見ても、オルクがその能力をいかんなく発揮できるのはいくさ場、すなわち
戦場において他にない。
そしてオルク社会全体、彼らの技術的進歩、オルクの個人的な成長、これら全てを支配するのがあらゆる種類の
「闘争」
なのだ。
闘争の中に身を置いた期間に比例して、そのオルクの体格と力は増し続ける。活発な戦闘地域で数年間に渡ってドンパチを続けたオルクは、闘争による興奮と刺激が全く与えられなかったオルクに比べて、数段デカい野郎になっている事だろう。
より長くより激しいいくさは、より大きく強い戦士を生み出すのだ。
かの「大族長トグザ」が「デュロス星域」で巻き起こした数十年にも及ぶ〈いくさだァァァア!〉において、この傾向は実証された。
〈いくさだァァァア!〉のクライマックス時、
古参オルクたちの身長は実に人間の倍ほどに成長していたという。
【内輪もめと決闘】
周囲に戦う敵が全くいなくなると、オルクたちはその惑星に土着の猛獣たちを探し、これらを相手に根性試しを始める。
根性試しもできないとなると、しまいにオルクたちは仲間同士で戦い始めるだろう。
理由は単純で、ただ闘争を楽しむために仲間同士で戦い合うのだ。共通の敵が存在しない場合、オルク内での内輪もめは、実に1時間に1回の頻度で発生すると考えてよい。
族長の座を分捕るべく、手下の頭目が挑戦をふっかけてくるのもこういった時だ。このような権力争いの決着は、ズル賢い企みから高性能爆弾まで様々な方法によってカタをつけられるが、古来からの習わしにのっとった伝統ある決闘が、最も一般的な決着の付け方として現在にまで受け継がれている。
このタイマンバトルの勝者が、新たないくさ頭の全員にとって実に楽しい娯楽でもあり、オルクたちの間でとても人気が高い。
挑戦者が敗北した場合は当代のいくさ頭によって処刑され、逆に当代のいくさ頭が負けた場合は、もちろん権力の座から転げ落ちる。
大抵はそれだけで済まず、たぶんブチ殺されるだろう。あらゆるオルク集落には闘技場があり、いくさ頭の座を賭けた決闘のみならず、他の連中のイザコザや恨みつらみをスッキリさせる場所としても利用されているようだ。
オルクたちにとって、決闘は荒々しくも単純明快な「裁判制度」なのである。
【根性試し】
オルク文化には、ほかにも有名な根性試しの方法がいくつもある。
その一つが
「スクイッグ喰い競争」
だ。ここで競い合うオルクの
ライバル同士は、自分が喰われる前に、「ツラ喰い」(フェイスバイター)のスクイッグを食い殺さねばならない。
その他にもオルク集落の周辺をレース場としてポンコツビークル同士が繰り広げる、
「首ヘシ折り猛レース」
も有名だ。このレースにおいて、競争相手に対してガンをブッ放すことは礼儀作法に反するとされている。
少なくとも一週目の間は
【コダワリを持つオルク】
一人前に成長したオルクは、より大規模でモーレツな闘争へと身を投じるようになるだろう。敵陣地への浸透作戦から全面戦争まで、その種類は様々だ。
オルクは何かに熱中しやすく、病みつきになりやすい性質を持つ。
そのため、ビッグないくさに身を投じ、闘争によって生み出されるコーフンが最高潮に達した時、そのオルクはいくさ場で体験した何か1つの事柄に対して病的なコダワリを抱くようになり、他のことはどうでもよくなってしまうことがある。
オルクは、
「自分と考えの似た部族の仲間を探す」
という習性を持つ。そして同じコダワリを共有する仲間を見つけると、そこから専門家同士のユルユルな集団を作るのだ。
例えば、敵の戦車を破壊する事に無上の喜びを見出すようになったオルクは、「戦車壊し」(タンクバッスタ)の仲間入りを果たすだろう。一方で他人に火を付けずにいられなくなったオルクは間もなく地元の「放火野郎」(バーナボゥイ)とつるむようになる。
まぁこのように、オルクの愛するサブカルチャーには実にいろいろあるわけだが、その中で最も大規模かつオルクたちに人気も高いのが、「スピード狂団」(カルト・オヴ・スピード)であろう。
【オルクの発明品】
オルクがいくさの役に立たない発明に価値を見出すことなどありえないが、オルク・テクノロジーは他の種族の水準から見ても驚くほど進んでいる。いくさ組の中にすげえ技術屋が1人か2人いれば、そのいくさ組はエネルギー兵器や巨大転移ビームといったありとあらゆる奇妙な装置の数々を用いられるようになるだろう。
こうした発明の多くはいまだサイズの都合により宇宙艦艇や超重兵器にしか搭載することができないが、それでも彼らの発明は戦いにおいて非常に大きな役割を担っている。技術マニ屋によって投射されるフォースフィールドは〈帝国〉が用いる小火器の多くを遮断でき、攻撃にも防御にも用いることが可能である。
攻撃手段として用いる場合、敵をフィールドに閉じ込めたり、そのまま粉砕したり、あるいは敵の攻撃をそのまま跳ね返すといった使い方ができる。テレポーテーション技術は、オルクの発明の水準の高さを表すもう一つの例である。
グリーンスキンはテレポーテーションによって「デカ人形」(ガルガント)のような巨大兵器さえも思いのままに戦場へと転移させることが可能であり、これを応用することで敵を戦場の彼方へと吹き飛ばすといった使い方も行っている。
フツーじゃない野郎ども(特殊なオルクの集団)
【概要】
オルク社会には数多くの特殊な集団が存在し、独自のコダワリを持っている。
【概要】
もし、全オルクが単細胞な殺戮機械種族に過ぎないとしたらどうか?
危険極まりない存在であることに変わりはないが、
それだけでは惑星から惑星へと略奪の星間旅行を繰り返す高度な科学技術レベルを維持することはできない。
事あるごとにブン殴られても従順であり続ける
グレッチェンには、残念ながらオルクが使う武器の整備をしたり、ましてや武器を発明したりするほどのオツムが備わっていない。
もちろん、オルクが重傷を負った時などに患者のアレを縫い合わせるといった手術も、グレッチェンには無理な注文である。
これらの高度な技術を必要とする仕事は、「ハミ出し野郎」(オッドボゥイ)と呼ばれるオルクの社会階層にすべて任されているのだ。
オルク社会には、様々なハミ出し野郎たちがいる。
しかし、その中でも重要なのは
「技術屋」(メク)
、
「激痛野郎」(ペインボゥイ)
、
「ちび飼い」(ラントハード)
、そして
「奇人野郎」(ウィアードボゥイ)
だ。技術屋はその名の通り、
オルクの独特な科学技術を使って何かを発明したり、整備したりする連中である。
激痛野郎は要するにオルクの医者なのだが、彼らはする必要もない奇抜な外科手術を施したくてウズウズしているため、激痛野郎の手当てを受けると、
助けになるどころか余計にひどい医療過誤を被ることが多い。
ちび飼いは、
小型の格下グリーンスキンたちを飼い慣らし、いくさ場へと引き連れてゆく役目を負ったオルクだ。
最後に、奇人野郎は
強力なオルクの異能者(サイカー)であり、〈いくさだァァァア!〉によって生み出されるグレイトな爆発的エネルギーを敵に叩きつける連中である。
人類の常識から見れば極めて奇抜な事だが、ハミ出し野郎たちは誰しも、
産まれながらにしてこれら専門分野に対する深い知識と理解力を有している。
例えば技術屋は、誰からやり方を教わる必要もなく、エンジンや発電機などをデッチ上げ、しかもそれらは確かに動く。同じように激痛野郎も、不運な患者の腹をえぐって手術に取り掛かる時、ドクドク動く体のパーツの中で、どの細い管がどの辺にくっついていればいいか、などが本能的にわかるのだ。
これらの知識が果たしてどこからやって来るのかと聞かれれば、ハミ出し野郎たちは
「そんなもん、俺様の血の中にハナっから入ってんだよ」
と答えるだろう。ハミ出し野郎たちの答えが正しいとするならば、
オルクの遺伝子構造は人為的に作り出されたものであり、その人工的螺旋構造の内部に、これらの専門知識が蓄えられているということになる。
「これらの特殊遺伝情報は、自分たちがいなくてもオルクが生き残れるように、彼らの創造者である脳ミソ大将が埋め込んだものではないか」
と推測する者たちがいる。とはいえそのプロセスがどのように働くかが解明されたわけではなく、この説自体もあくまで仮説の域を出ないものだ。
オルクが成長するにつれ、その遺伝子構造内に隠されていた潜在的専門知識が発現し始める。こうしてハミ出し野郎となったオルクは、自分の居場所を見つけ、オルク社会内で特定の役割を果たすようになるのだ。
そして、
こういった専門知識を持っていなかった場合、そのオルクは各部族の中心をなす兵隊の大軍勢に加わり、殺戮と大虐殺のコーフンにあふれたライフへ身を投じるべきなのである。
【概要】
オルクはオルクなりに、他種族が用いる機甲部隊の運用法をぼんやりとは理解している。
イナズマ機甲軍団として知られる先遣機甲部隊には、その部族が持っている限りのバトルワゴンが搔き集められており、そこにノリノリのオルクを詰め込んで敵戦線に突っ込ませれば完成だ。
「ゴルクの緑コブシ」「キルクラッシャ軍団」「ナルメクの死のキャタピラ」といった有名部隊で知られるイナズマ機甲軍団は、バトルワゴンをデッチ上げた技術屋や、これを戦いにブチ込むよう命じるいくさ頭にとって実に誇らしき戦力であり、この戦車部隊が敵にぶつかる様子を見ればその理由も一目瞭然だろう。タイヤとクローラーが泣き叫ぶ敵を踏みしだきながら泥と血を跳ね上げる中、原始的な絵文字とボロボロの旗が、このワゴンがどの族長に忠誠を誓っているのか、そしてその族長がどれだけ最強であるのかを高らかに誇示する。
原始的なスピーカーからは「ゴフロック」や野蛮な雄叫びが流れ、それに合奏するようにワゴンのガンが鳴り響く。兵員スペースに収まり、あるいは外側の手すりに掴まっているオルクの乗客たちは、戦火に包まれた空に向けていくさ歌をがなり立てる。鎧われた死の車列が自軍の戦列へと迫り来る様子を見た者であれば、あれこそがまさしく純粋なる恐怖であったと語るだろう。
そしてその恐怖は、イナズマ機甲軍団が戦列を蹂躙し、圧倒的破壊をもたらすにつれてさらにとめどなく高まっていくのである。イナズマ機甲軍団はとりわけ軍隊ノリを好むブラッドアックス氏族とスピード狂のイーヴィルサン氏族によって広く用いられているが、決して他の氏族も用いない
というわけではなく、挙句の果てには無頼団のいくさ組でさえも、十分なバトルワゴンがあればイナズマ機甲軍団を編成することが知られている。イナズマ機甲軍団の規模には大きくバラつきがあり、少数で小回りのきく部隊を編成することもあれば、部族全員がワゴンに乗って超大規模な民族大移動を繰り広げ、彼らが通った後には砂嵐が巻き起こるほどのイナズマ機甲軍団が編成されることさえある。
時にイナズマ機甲軍団には護衛部隊や支援戦力が加わることもあり、それによって対機甲戦闘力と戦略的柔軟性を高めることも可能である。デフコプタの編隊がイナズマ機甲軍団の進軍に先行し、敵の配置を偵察してから地面のお仲間にご注進申し上げるというのもよくある光景だ。
ウォーバイカーの徒党もしばしば同じ目的で用いられ、先遣部隊として敵を蹂躙したり、あるいは必要に応じてワゴンの護衛に戻ったりと柔軟性の高い運用が可能である。イナズマ機甲軍団の中には、超重戦車によって率いられた者まで存在する。
その場合、「スカルハンマ」や「キルバースタ」のようにデカさと機動性を兼ね備えたいくさ砦がワゴン軍団の中心にバーンと陣取り、その圧倒的な火力によって敵の防衛線を
消し炭に変えるのである。
【概要】
オルクは、猛スピードでカッ飛ばすことを愛する。ガンをぶっ放した時に発せられる轟音や、トラックのきしみ、いくさの喧騒などと同じように、
「スピード」とは、オルクが深層心理下で求める要素の一つなのだ。
顔に激しく吹き付ける風を感じたり、自分たちの後ろに砂ぼこりが巻き上がって巨大な雲のように立ち昇るのを見たり、超絶チェーンがほどこされたエンジンのあげるうなり声を聞いたりすることを、オルクは愛してやまないのだ。
「ショックジャンプ・ドラッグスタ」や「ブームダッカ・スナズワゴン」、「ラッカトラック・スクイッグバギー」や爆走する「ウォー
バイク」の大群に至るまで、グリーンスキンの多くは乗り込む隙間がある限り車両に乗り込み、高速でカッ飛ばしながら敵をぶっ飛ばす。ガンを満載にしたオルクのビークルは、〈帝国〉で用いられるものほど頑丈ではないが、戦場のスクラップから容易に組み上げることができ、はるかに「撃っちゃ殺り」(シューティ)で、そして彼らにとって最も重要なことに、首がヘシ折れるほどの猛スピードでカッ飛ばせるのである。
一部のオルクは、スピードがもたらすコーフンのとりことなって、「爆走族」(スピードフリーク)メンバーになる。
この狂団(カルト)に属するオルクたちは、愛車のサドルから滅多に降りないとすら言われるほどのクルマ好きだ。
このニヤケ笑いを浮かべた暴徒たちは、排気ガスを鬼のように吐き出すポンコツ車や
バイク、粗雑な造りだが抜群の戦力を持つ飛行機械などに乗り込んでひたすらカッ飛ばす。そして、地面を走ってノロノロやって来る仲間たちに先んじて、戦闘の真っただ中へと突き進むべく、狂ったような雄たけびを上げながら敵軍へと斬りこむのだ。
当然ながら、彼らはいくさ組内で大部分のビークルを多数保有することになる。そのため、愛車を快適に転がせるよう、爆走族には「技術屋」(メク)などの「ハミ出し野郎」(オッドボゥイ)が何人も付きそっている。
【概要】
技術屋の中には、ブッ潰し度が過去サイコーに高い機械の発明を目指してアレコレする者が少なくない。彼らは真っ昼間から「殺しのカンヅメ(キラーカン)とおっかねえ奴(デフドレッド)の大軍団を連れていくさ場にバーンと登場する」ドリームを見る。
そう、まるでいくさ頭が津波のような数の兵隊を引き連れていくさに出るのと同じ感覚で、歩行機械だらけの軍をシメたいと、そして、他のいくさ頭どもに一泡吹かせてやりたいと、本気で考えてしまっているのだ。そしてそれは、技術屋のアレとかコレをもってすれば、ぶっちゃけ実現可能なドリームなのである。
だが、このドリームをかなえるべく本気で取り組んでしまうと、シゲンを使い果たして部族を追い出されてしまう。そう、「スッポ抜け技術屋」(レネゲイド・メク)になってしまうのだ。
すげえ技術屋の一人「バグナッツ」は、そんなスッポ抜け技術屋の代表格であろう。バグナッツは、自分の言うことをよく聞くとても「いい子」な三人の給油小僧の将来を思うあまり、バトルワゴンを解体してジャンクパーツを調達し、殺しのカンヅメトリオを結成させてしまったのだ。
ここまでは別に良いのだが、問題はそのバトルワゴンである。そのクルマはこともあろうに「血まみれホイール」部族をシメるいくさ頭「“壊し屋”キルスタル」の愛車であった。
しかも、もちろん無許可で解体した故に、これを聞いたキルスタル族長のゴキゲンはかなりナナメな方向になったのである。その日、バグナッツは代わりの新車を納品させられたうえ、新車のボンネットの上でさかさ吊りにされたまま一夜を明かすことになった。
こうして築かれたバグナッツの伝説は、一般常識から外れた発明ゴコロを持つ技術屋、要するに全ての技術屋にとって、良い教訓となっている。
【概要】
「昔ながらのやり方」を重視するオルクのサブカルチャーと、オルク流の機械強化テクノロジーが融合して誕生したのが、いわゆる
「猛獣掴み」(ビーストスナッガ)
の大進撃である。猛獣掴みの連中にとって、スクイッグで解決できない問題など存在しない。
実際、猛獣掴みの周囲には危険なスクイッグが数多く出現する。いかなる猛獣掴みも、スクイッグの凶悪なアゴによって手足を、一本、二本失うか、あるいは見せびらかすに足る壮大な噛み傷を負うまでは「俺らの一員」とは見なされないという。
猛獣掴みは数え切れぬほどの種類のスクイッグを飼育している。騎乗用スクイッグ、食用スクイッグ(先に自分が食われなければの話だが)、オイル搾りスクイッグ、走り書き絵文字伝令スクイッグ、房飾りのように頭に装着するフサフサスクイッグ、そしてガンの照準システムに接続されたギョロ目スクイッグなどなどだ。
こうしたスクイッグには原始的な戦化粧と猛獣掴みがこしらえた異種族の革の鎧が施されており、それによってさらに野蛮で凶悪な見た目となっている。
【狩人たちのライフ】
あらゆるオルクのサブカルチャーは、元を辿れば気の合うオルク同士が共有する強迫観念のようなものである。猛獣掴みにとってのそれは、
狩りがもたらすスリルだ。
彼らは最大最強の獲物を見つけ、追跡し、追い詰め、ブチのめし、そこからの戦利品によって自らの強さを証明するために生きているのだ。猛獣掴みはこのスリルを追い求め、平原から砂漠、森やら沼やら廃墟やらをあちこちを移動する遊牧生活を送っている。
狩りを容易にするために、猛獣掴み達は機動性を高く保っているのだ。彼らが一箇所に長くとどまることは滅多になく、食事や睡眠、果ては野蛮な機械強化手術も移動しながら行う。
典型的な猛獣掴み部族の中心には、オンボロの「キルリグ」や「ハンタリグ」が数台置かれている事が多い。鼻息荒い踏み付けスクイッグに牽引されたこの陸上戦艦には、筋骨隆々の猛獣掴み野郎がわんさか乗っており、牙や爪を次の獲物に突き立てるチャンスを今か今かと待ち構えている。
リグの周囲には部族最強の狩人たちが群れを成している。彼らが愛騎とするのは凶悪で、多くの場合機械強化が施された「スクイノシシ」(スクイホグ)である。
部族の族長は分厚い頭蓋骨を持つ「スマッシャスクイッグ」や、巨大で恐るべき「スクイッグザウルス」にまたがって突撃を先導する。一方で部族の格下(猛獣掴みの間では「鞍乗り小僧」と呼ばれている)は可愛いペットのような扱いを受けている。
彼らは掴まれるところにぶら下がり、疾走するスクイッグの間を飛び回り、スクイホグに踏み潰されないように最善を尽くす。
【猛獣掴みのいくさ】
迫り来る猛獣掴みの進撃を前に隠れ場所など存在しない。彼らの後ろからは埃が猛烈に巻き上がり、爪や蹄、鋼鉄の車輪による進軍の下で大地が鳴動する。
だがこうした兆候すらも敵の助けとはならない。ひとたびグリーンスキンとその車輪が勢いづいたら、それを止められるものはほとんどいないのだから。
猛獣掴みは十分デカくて危険な敵を(どうしても他に居ない場合は数が多い敵も)価値ある獲物とみなす。凶暴な異種族植物や「ティラニッド」の「カーニフェックス」のような巨大戦闘獣、そして異端の魔導兵器や重装戦車、超重歩行兵器や巨大な戦闘巨兵までもがこうした獲物に該当する。
猛獣掴みはひたむきな凶暴さをもってこうした獲物をブチのめそうとするのだ。猛獣掴みが好む戦術は、彼らが「スティッカ」と呼ぶ鎖付きの銛を投げ、獲物の体に打ち込むというものだ。
その後、何人かの猛獣掴みが鎖を掴んで獲物のトンズラを阻止する一方、残りの連中は獲物に群がり、これを切り刻んでバラバラにする。平均的な猛獣掴みが他のオルクに比べてデカく、逞しいのはこうした力比べの風習によるものなのだ。
巨大なオルクが腰を深く落とし、鎖を巻き付けた緑の筋肉を曲げる。走り去ろうとする戦車に綱引き勝負を仕掛け、仲間たちがその履帯を破壊するまで引き止めるその姿を忘れられるものなどおるまい。
【恐るべきシャーマン】
猛獣掴みは決して適当に獲物を選んでいるわけではない。猛獣掴みは獲物を追跡するための鋭い目を持っているだけでなく、「朦朧野郎」(ウールボーイ)によって導かれているのだ。
この原始的で野蛮、そしてきわめて不快な異能者は、極めて動物的な形で〈いくさだァァァア!〉と結びついている。彼らはシャーマン的な力を用いてヴィジョンをかき集め、最高の獲物へと猛獣掴みを導くのだ。
朦朧野郎のヴィジョンは猛獣掴みの社会にとって極めて重要であるため彼らは一般的な奇人野郎よりも高い尊敬を受けている。危険で不安定ではあるものの、彼らは一種の神託者として扱われているのだ。
彼らの多くは部族のキルリグの上に設けられた朦朧タワーに専用の部屋を与えられている。見晴らしの良いこの場所に住むことで、朦朧野郎は獲物を遠くから見つけることができるだけでなく、他のオルクの頭をふっ飛ばさずに済むよう安全な距離を保つこともできるのだ。
猛獣掴みの多くはスネークバイト氏族に属している。彼らはどちらも自然と調和した生き方を好むためだ。
しかし、星々を放浪する猛獣掴みはどの氏族にも存在し、多くのいくさ親分が彼らを自分の〈いくさだァァァア!〉に引き入れようと躍起になっている。それに彼らの大進撃の後を辿れば、素晴らしいケンカが待っているのは間違いないのである。
俺たちオルクのテリトリーはビッグだぜ!(オルクの版図と惑星)
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P26,27イラストの図表を元に解説を追加
【概要】
銀河は広大であり、生命が居住可能な星系は冷たくも何もない虚空によって互いに隔てられている。
にもかかわらず、オルクはこの銀河において比類なき繁栄を極めており、あの惑星にも、この惑星にも、考えられるあらゆる惑星に巣食っているのである。
彼らがこのような繁栄を得るに至った方法は想像を絶するほど多様で、なおかつそのいずれも危険極まりないものであるが、しかしそれゆえにこそ効率的だと言える。オルクは無数の惑星に息づき、彼らによって完全支配された惑星に限らず、オルクと他種族の間で絶え間ない戦争状態が続く惑星や、オルクたちが先住種族を暴力でビビらせ奴隷にしてコキ使っている惑星など、実に様々だ。
この銀河全体を見渡せば、オルクの支配する領域、オルクたちの帝国、そして巨大な「宇宙泳ぎ」(スペースハルク)に乗って銀河の虚空をさまようオルクの大軍勢がいくつも存在する。
ゆえに、人類の宇宙船がどこへ向かおうと、その先で必ずやオルクを発見することになるだろう。
人類がオルクと遭遇を果たしてから数万年が経過しようとしているが、初遭遇から現在までの間、人類はこの野蛮なる異種族と数え切れないほど熾烈な血濡れの戦争を繰り返してきた。
そして、オルクと人類の闘争に変化がみられる兆しは、全くもって皆無である。
【どこにでもいる野郎ども】
幾千年紀もの昔、一機の無人探査機が地球(テラ)を後にした。この探査機に託された使命は、宇宙の淵へと達することであった。
この無人探査機は、一万四千年の間で漂流した今もなお、微弱なシグナルを〈帝国〉へと発信し続けている。しかし、探査機からもたらされたシグナルを解析する「技術司祭」(テックプリースト)たちは、失意のどん底へと叩き落された。
送信されてくるシグナルは、その大部分がオルクの存在を意味するものだったからだ。
結論として、たとえ人類がこの宇宙のどこへ旅しようとも、そこには極めて高い確率で既にオルクが「ハバを利かせて」おり、たとえオルクが存在していなかったとしても、人類の到着から間もなくしてオルクも到着することがわかった。
人あるところにオルクあり。
それは人類にとって、極めつけの失望であった。この銀河を汚す緑色の染みのように、オルクの帝国は広がり続けている。
オルクに全く汚染されていない星系など、一つも存在しないという。一部には「オルクには標準的な宇宙航行手段がない。その理由は、オルクの胞子が宇宙空間を満たすエーテルの波に乗って、銀河の虚空すらもただよえるからであろう。」という学説すらあるという。
しかし、真実はもっとシンプルだった。グリーンスキンたちが高度な宇宙航行技術を確立してこなかった理由は、彼らがそもそも
「自分たちが何処に向かっているか」
など全く気にせず、たどり着いた先で既にいる連中を残らずブチ殺すだけだからである。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク5版」(codex:Orks) P19イラストより
【宇宙泳ぎ(スペースハルク)】
オルクたちの最も主要な星系間移動方法は、「特異航宙体」(スペースハルク)、彼らが呼ぶところの「宇宙泳ぎ」を使ったものである。スペースハルクとは、いにしえの宇宙艦艇の残骸、アステロイド、氷塊、難破船やその積み荷の漂流物などが、宇宙空間や〈歪み〉空間を数千年以上にも渡って漂い、激突し合い、超巨大な集塊へと成長したものだ。
その内部には、様々な異種族、渾沌に従う〈背きし者〉(レネゲイド)、ないしは更に恐るべき存在が巣食っていることもある。しかし大抵の場合、これらは銀河の虚空を永遠にさまよう無人の幽霊船だ。
スペースハルクに乗りつけた強欲な積み荷造りたちが、恐ろしい破滅の運命を辿るといった物語は、〈帝国〉中で語り継がれている。しかし、それと同じぐらい多く語り継がれているのは、いにしえの科学技術や異種族のテクノロジーといった、途方もない価値の財宝がスペースハルク内に眠っている、という魅力的な伝承だ。
オルクの生息する星系にスペースハルクが現れると、オルクはあらゆる手をつくしてこれを分捕ろうとする。山のように巨大な牽引ビーム装置の大群を配置してスペースハルクを捕えると、彼らはこれを巨大な略奪船へと改造してしまうのである。
洞窟状になったスペースハルクの格納庫には、数え切れないほどの襲撃機が詰め込まれ、不規則なハチの巣状に掘りぬかれた穴の中には、数百万人を超えるオルクといくさ機械がひしめく。ひとしきり改造が完了すると、攻撃船、巡洋船、護衛船といった取り巻きのオルク艦隊を引き連れて、宇宙泳ぎは再び宇宙空間を漂い始める。
やがて宇宙泳ぎは、奇人野郎や技術屋の助けを借り、〈歪みの嵐〉や〈歪みの亀裂〉の中へと導かれるだろう。こうして、〈歪み〉空間に突っ込んだ宇宙泳ぎは、そこから万事ナイスにいけば、どこかの惑星の近くへと吐き出され、侵略を開始するのだ。
ひとたび〈歪み〉空間に消えた宇宙泳ぎは、てんでデタラメの無軌道な方向へ漂流するため、いつ、どこに吐き出されるかわからない。しかし、当のオルクたちには全く問題ないことだ。
冒険を愛してやまないオルクたちの荒ぶる魂は、整合性や方向性などといった価値観とは無縁だからである。このようにして、オルクたちは今日も銀河のどこかを
荒らしている。
闘争という名の疫病を、時空を超えて、この宇宙のすみずみにまで蔓延させるために・・。
【オルク岩】
オルク岩とは要するに、中身をくり抜いてエンジンやガンやクルー用兵舎などを満載にした小惑星のことだ!
さすがに、オルク岩を使って〈歪み〉空間を抜けることはできない。
それでも、オルクたちはハンパねえ速さでオルク岩を建造するため、オルクが生息する星系内ではオルク岩の数が急速に増加してゆく。そのデッチ上げ方たるや驚くべきもので、宇宙泳ぎを切り取った大型の残骸や、ツギハギの宇宙廃棄物などを小惑星にブチ込むだけで完成である。
オルクたちはオルク岩に乗り込み、シンプルかつ強力な牽引ビームを使って惑星の衛星軌道を出入りしながら、同じ星系内の星から星へと旅するのだ。〈帝国〉の宇宙艦艇を指揮する艦長たちはしばしば、アステロイドベルトの内部を航行中に、オルク岩による奇襲を受けることがある。
何の変哲もないアステロイドのいくつかが、自分の艦に向かって近寄ってきたかと思うと、一斉にブッ放し始めるのだ。いうまでもなく、このダマシ討ちはオルクたちにとってサイコーなエンターテインメントの一つである。
スピードや機動力には欠けるものの、小惑星と宇宙廃棄物で作られたオルク岩は、それを補って余りあるほど頑丈な装甲に守られているからだ。
【ゴルクのニヤケ面】
41千年紀(西暦40000年~41000年)の末期において、
強大な〈歪みの嵐〉(ワープストーム)が銀河を横断するように広がり、〈人類の帝国〉の版図を文字通り真っ二つに分断した。
銀河を襲った
未曾有の大厄災は後に人類では
〈大亀裂〉(グレイト・リフト)
と呼ばれるようになる。
この大厄災は渾沌最強の代理戦士である強奪者(ディスポイラー)「アバドン」のたくらみによるものであった。しかし大多数のグリーンスキンはこの〈大亀裂〉がなぜ、どのようにできたかなど知る由もない。
オルクたちが目にしたのは、虚空を引き裂き、触れるもの全てを飲み込むように広がる巨大な裂け目であった。オルクは
「ハンパなく強くてマジで頭がキレる」ゴルク神
と、
「ハンパなく頭がキレてマジで強ええ」モルク神
という二柱の神を信奉している。
グリーンスキンたちにとって、この〈大亀裂〉はまさしく、星々を飲み込まんと開かれたゴルク神のニヤけた口元そのものであった。確かにこの星間現象からは膨大な数の帝国叛逆者やケイオスディーモン、その他渾沌の様々な怪物が湧き出していたが、部族の中でもキレ者のオルクは「ゴルク神だってこんな気色悪い奴ら食いたかねえや」という真理をすぐさま指摘したという。
彼らによれば、ゴルクはその代わりに渾沌信者を吐き出すことで、オルクがこれと戦い、勝つことができるようお膳立てをしてくれるのだという。同様に、〈大亀裂〉によって故郷の惑星が飲み込まれたオルク部族も神の御意志に疑問を抱くことはなかった。
すなわちゴルクから見てこの部族は「ちょっとショボい」ため、惑星を飲み込むことで彼らを宇宙から追い出し、スムーズにいくさ場へと直行できるようにしてくれるのだ、というのである。間もなくして、冒険心に富んだ族長たちのアイデアがひらめく。
「ゴルクがグルグル野郎どもを飲み込んで吐き出してるなら、俺たちもゴルクに飲み込まれれば同じことが起きるんじゃねえか?」というのである。かくして何十ものグリーンスキン大艦隊が〈大亀裂〉へと突っ込み、新たなる獲物の元へと投げ出されることを夢見て〈歪みの嵐〉へと姿を消したのである。
俺たちのイカしたゴッド(オルクの神々)
【概要】
オルクは二柱の神を信仰している。
ただしオルクは他の種族がやるようなやり方で神を崇めることはない。
オルクの信仰には聖職者や壮大な寺院は存在せず、
その代わりに他の種族の聖像や神殿をブチ壊すことによって自らの神々を讃えるのである。
オルクが作り上げる神像は見上げるほどの大きさを誇る歩行兵器であり、こうしたいくさ兵器のデカ足の廻りではグリーンスキンたちが群れ集うと戦いへと雪崩込み、最も本能的なやり方で神々への「祈り」を捧げるのだ。
銀河において、オルクを一つの“勢力”とみなすと、彼らは今なお勢力を拡大しつつある数少ない“繁栄勢力”のひとつと言える。そして、銀河に渦巻くオルクの思念というものも、人類やアエルダリの思念がそうであるように、〈歪み〉(ワープ)という名の非物質空間でたゆたってきた。
そして、銀河中から流れたまったオルクの思念もまた、やがて一つの存在として形を成し、
「ゴルク」
と
「モルク」
という名を持つ、オルクの神々となったのである。
【二柱の神】
オルクが呼ぶように、ゴルクとモルクはたしかに神と呼ぶべき力を備える存在である・・。しかも、そうとう強い神のようだ。
実際彼らが本当の意味で敗北したことは、一度たりともないからである。
彼らが下品に嗤いながらカマすだけで、他の神の攻撃はことごとく逸らされてしまうそうだ。
ゴルク神は「長い牙を見せて嗤い、彗星並みにデカいスパイク付きの棍棒で正面から相手の頭をブチのめす」とされ、知性の神たるモルク神は「相手が自分の方を見ていない瞬間を待ち続け、相手がそっぽを向いたスキをついて腹に一発ブチこんで勝つ」という。ゴルク神とモルク神がいかなる姿をしているか知りたいなら、オルクの建造する巨大兵器を見ればよかろう。
ガルガントやストンパは、機械の巨体にオルク根性を宿したハンパねぇ最強兵器のみならず、オルクの技術屋らが、神々の姿に似せようと必死こいて作った大傑作に他ならぬからである。そしてこれらは、ゴルク神だかモルク神だかの姿を、どちらかはわからないが、正直
どうでもいいことだ。
とにかく神の姿をデザインの源泉としているのだ。ストンパやガルガントは、オルクにとってまさに究極の神像であり、信仰の拠り所にして超強えマシンでもある。そしてこうした兵器が戦場でとる行動は、まさにオルクの考える神々そのものだ・・。
とにかく超デケぇ音を立てて動き、近くにあるもの全てをブチ壊し、好き放題にあたりを歩き回り、売られたケンカは全部買うのである。ゴルカノートとモルカノートもまた、ゴルク神とモルク神の一側面を模しているとされる。
この巨大な装甲戦闘スーツは特定の神を讃え、これを真似すべく作られたものである。そしてこれらの操縦士は白熱した戦いの中でしばしばゴルク(だかモルクだか)のヴィジョンに取り憑かれるという。
【終末の刻】
〈大亀裂〉、またの名を〈ゴルクのニヤケ面〉(ゴルクス・クリン)が銀河を2つに分けた今、オルクの神々の雄叫びはより大きく響き渡り、戦いと殺戮のヴィジョンがあらゆるグリーンスキンにもたらされている。奇人野郎たちはゴルクとモルクの声となって喚き叫び、〈いくさだァァァア!〉に次ぐ〈いくさだァァァア!〉によって銀河を混乱のズンドコにブチ込むべくオルクたちをいくさに駆り立てるのだ。
〈歪み〉の中にあってオルクの神々は形而上学的な征戦路(ウォーパス)をノシ歩き、ゲラゲラ笑いながらディーモンの大群を蹴散らしているという。間もなく現実宇宙のヴェールが砕け散るであろうことを彼らは知っている。
そしてその時こそオルクの神々は非物質空間からその姿を現し、銀河全てのオルクを率いて破滅的な〈終わらねぇいくさだァァァア!〉(グレイトグァァァグ!)へと乗り出すであろう。
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ゴルク(強くて賢けえ(ブルータル・バット・カニン))
オルクの神々はどちらも
「いくさの神」以外の何物でもないのだが、どちらかと言えばゴルクのほうがその称号にふさわしいと言える。ゴルクこそは族長、頭目、ゴフ氏族とスネークバイト氏族、そして小細工抜きで敵をブチのめしたいという欲求を持つあらゆるオルクの守護神である。
ゴルクは暴力の雪崩の如き存在であり、手当たり次第にブン殴り、蹴っ飛ばし、キバの生え揃った口から絶えず雄叫びを上げているのである。ゴルクこそはあらゆるグリーンスキンの暴力性の集合体であり、その陽気な戦闘意欲はオルクたちをイケイケな気分にするのである。
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P13イラストより
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モルク(賢くて強ええ(カニン・バット・ブルータル))
技術者に新たな発明のアイデアがビビッと湧いてきたり、ブラッドアックス氏族が戦略の天啓を得たり、あるいはデススカル氏族が敵を背後からブスリとやるチャンスを得たりといったケースはすべてモルク神の御業である。もちろんモルクも暴力を厭うわけでは無いが、しかしより狡猾なやり口を好んでいるのだ。
モルク神はハミ出し野郎の強迫観念や、格下の眼に潜む邪悪な輝き、そして待ち伏せから飛び出す前の特注野郎のニヤケ面を司っているのだ。モルクはオルクの獣じみた狡猾さの集合体であり、オルクが哀れな犠牲者を驚かせ、困惑させるたびに大喜びするという。
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P13イラストより
アタマがアレでもわかるオルク語講座(オルクの絵文字と言語)
「俺様が建物やらクルマやら何やらをゲットした時にはな。そいつに絵文字を貼っつけておくのよ。そうでもしねえと誰がそいつをゲットしたのかわかんねえだろ?こないだはラグブラッズの野郎の悪口を背中に貼っつけてやったらアイツだいぶ怒ってたな。へっへっへ・・・。」
“にやけキバ”グルブラッグ(後日彼は、腹にチョッパがブッ刺さり、顔に「ラグブラッズここにあり」と絵文字が書かれた状態で発見された。)
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P22,P23イラストより
画像出典:コデックス「オルク5版」(codex:Orks) P30イラストより
【概要】
オルクの言語は「絵文字」(クリフ)の形で記述される。文章を構成するそれぞれの絵文字は、氏族、すみか、基本的なオルクの考え方や概念を意味するものであり、またオルクの名前を構成するための要素でもある。
オルクはこれらの絵文字を自らの持ち物や欲しいもの、あるいはただ目の前にあるものなどに書き込むが、多くの場合は自分で直接書くのではなく格下にやらせるようだ。
【6以上の概念を知らない】
オルクは物の数を数えることができるが、頭がオソマツなので
6以上の数を数えることができない。
なので、
オルクにとって6以上の数は「たくさん」という事にしておき、大量の数を認識することができないのだ。
それらの弱点を克服するため、
オルクは6以上の数を数字ルーン文字で表すようにしている。
たとえば、
10という数は5を意味するルーンを2つ書かれ、100は5を意味するルーンを25個書くことによって6以上の数を数えることが可能となっているのである。
群れるが勝ち(部族と氏族)
バッドムーンはキバとイケてるガンをタンマリ持ってるだろ。ブラッドアックスはコソコソ野郎でデススカルは泥棒野郎だ。ほんでイーヴィルサンはいつより早くて、ゴフは殴り合いが大好きだ。スネークバイトはすげえタフだし、無頼団の連中はブチ殺しのプロだ。ゴルクとモルクがなんで氏族を作ったかわかるだろ?こうすりゃオルクはなんでもできるってことよ!
画像出典:ボックスセット「Shadow War: Armageddon」 ボックスアートより
【概要】
オルクは無秩序極まりない種族であり、その軍勢も、あるいはその集落も外部の目からは到底組織化されているようには見えないだろう。しかし実際のところ、グリーンスキン社会は粗野ながらも長きに渡って培われた伝統を有しており、その中心を成すのが部族と氏族のシステムである。
オルクは闘争と共に生きる。
それは、まさに弱肉強食の社会。
オルクの部族では、
最も強き者が頂点をきわめ、弱き者はより強き者の配下におさまり、征服者の威光を借りて生活しているのだ。
もしも、部族の族長が他のより強き族長にブチのめされたら、負けた側の部族は、丸ごと新しい族長の配下におさまる。
だが、負けた側のオルクたちは、これを悔しいどころかありがたいとすら感じているらしい。
なぜなら、新しい族長は、前の族長よりも強いに違いないからだ。
オルクにとって、これは実に理にかなった社会の仕組みなのである。
【部族制度】
部族とは、分かりやすく言えば“ひとところにかたまったオルクぜんぶ”を意味する。
オルクがどの氏族に連なっているかどうかは、正直どうでもよい。
共通の敵をブチのめすことができるなら、オルクはそれで満足なのだから。それぞれの部族は、いくさ頭のなかでも最もデカく、ケンカの強い
「族長」
によって率いられている。
族長は、その名が示すとおり、まとまりのないオルクたちを、自身の力と権威で支配する者だ。
縄張り内に住むライバルグループ同氏が抗争に走ったり、それらが内乱に発展したりしないように、常に目を光らせているのが族長である。
【いくさ組】
部族とはいっても、その規模は数千から数百万まで様々だ。その部族を支配する族長がどれほど強いかで、手下の人数も決まって来る。
むろん、一つの部族に族長は一人しかいない。自分一人で監視できる連中の割合は減ってしまう。
そこで族長は、自分の腹心たちに自分の役目の代理をやらせる。一人のいくさ頭にだいたい百人ぐらいの手下を与え、一つの
「いくさ組」
を作らせるのだ。
それぞれのいくさ組は、たいていの敵にならドンパチをカマすのには十分な戦力を備えた軍ともなる。たいていのいくさ組では、そのほとんどを多数の兵隊で固めているものだ。
もっとも、中には例外もある。オンボロのジェット戦闘機の編隊(スクワッドロン)を中核に備えたいくさ組もあれば、「鋼鉄歩き」ばかりが揃ったいくさ組も決して珍しくはないのだ。
気の合うオルクたちは互いにつるみたがる傾向があり、それゆえ多くのいくさ組には爆走族のチョッ速機械化部隊や放火野郎のアブない一団がうろついている。さらにそのいくさ組をシメるいくさ組の好みによってもいくさ組の戦い方や見た目は変わってくるものだ。
いくさ組の中には大量の兵隊とデカい頭目で大群を為して突っ込むのを好むのもいれば、オンボロの装甲車両部隊や大量のバラ撒き、あるいはド派手な大砲を備えることを好むいくさ組もいるのである。
【氏族制度】
すべてのオルクは、必ずどこかの部族に属している者だが、それを超えた枠組みとして、
「氏族」
という概念がオルク社会には存在している。部族は、戦争にあふれた世の中で常に離散集合を繰り返しているが、かたや氏族は今も昔も変わらず存続してきた。
氏族は組織ではなく、性格や文化、ものの考え方の「類似性」に名を与えたようなものだ。
たいてい大規模な部族においては、複数の氏族出身者が顔を揃えているものだが、
同じオルクといえども所属する氏族によってその性質や好みは大きく異なるため、多くのオルクは同じ氏族の出身者でいくさ組を固めたがる傾向を持つ。
もちろん彼らが混ざって戦うこともあるにはあるが、氏族同士の微妙な対抗意識に気を散らされないで済む方がオルクも安心して戦えるというものである。この銀河には、「ゴフ」、「スネークバイト」、「バッドムーン」、「ブラッドアックス」、「デススカル」、そして「イーヴィルサン」という6つの大規模な氏族が存在すると言われている。
【主な氏族】
“俺らこそが最強よ。あ?なんだコラ。このオレを信じられねえって顔をしてんじゃねえか。オラ、来いや。この役立たずの虫野郎が。教えてやろうじゃねえか”
【概要】
ゴフ氏族のオルクは自分たちのことを「オルクの中のオルク」と見なしている。オルクの中でも一際デカく、暴力的で残忍な彼らは一切の「小細工」に興味がなく、
いくさといえばすなわち大規模な軍勢で押し寄せ、敵がペシャンコになるまで踏み潰すことだと思っている。
ゴフ氏族のオルクたちは、ガンの発射音と、チョッパが敵ののどや胴体に命中したグチャ音を聞くのを何よりも楽しみにしている。事実、ゴフのオルクは、
殴り合いを始めるための「因縁ふっかけ」が実にうまく、仲間内ですら、何かにつけて殴り合う。
兵隊たちはちょっとした悪口やガン飛ばしをきっかけにすぐさま殴り合いを始めるが、大抵の場合、
オルクたちはすぐにケンカの原因を忘れてただ乱闘を楽しむこととなる。
ゴフのオルクはただでさえ腕っぷしが強いうえに、
年がら年中殴り合いの成果るを送るため、高い格闘スキルが備わっている。
ゆえにゴフ氏族は、近接距離での戦闘を好み、タイマンでの殴り合いを尊ぶのだ。
【戦闘教条】
ゴフ氏族の「いくさ組」(ウォーバンド)は徒歩の兵隊を多数そろえる傾向にある。ゴフ氏族のオルクに必要なのは
「よき殴り合い」
のみであり、そのため彼らは群れを成して「この親分についていけばいくつか頭をカチ割れそうだぜ」と見込んだいくさ頭の元へと集うのである。
ゴフ氏族のオルクは白兵戦をこよなく愛しているため徒歩で戦場を進軍することが多いが、近くを走るトラックに運よく出くわしたならば、一刻も早く敵へとぶつかるために大急ぎで乗り込むことだろう。ゴフ氏族の徒党は少なくとも20人の兵隊からなっており、ゴフ氏族出身者が多いいくさ組ではそれがさらにわかりやすい・・。
数百もの徒党を成す徒歩の兵隊どもが、軍の主力を成しているからである。彼らは鉄板で補強されたブーツで大地を踏み鳴らし、地響きを立てながら進軍してゆく。
敵の中にはこの大規模兵突撃を、防衛線を蹂躙するための意図的戦術だと「好意的に」解釈する者もいるが、
実際のところこれは個々のオルクが深く考えることなく徒党の仲間について行っているだけのことである。
とはいえオルクが戦場をまっすぐ進軍していけば、どうせいずれはブン殴るに足る相手に出くわすのだから、このやり方も理に適っているとは言えなくもない。
【シンボル】
ゴフ氏族は“黒牛の頭”を氏族のエンブレムにしている。暴れまわる牛から連想されるイメージは気まぐれで、粗暴で、しゃにむに暴れまわる獣は、ゴフのイメージにシッポリ合うからだ。
角つき兜もまたゴフ氏族の攻撃性を表すシンボルであり、これは
頭突きをかますことで便利な武器にもなるオマケ付きだ。また、ゴフの纏う軍装は
黒をメインカラーとしている。
彼らに言わせれば、黒こそまっとうなオルクの色であり、ギラギラした装いは「ビビリ野郎と変人野郎にくれてやれ」ということだ。ゴフ、黒と白のチェック模様やジグザグ模様で装備を飾りたてることを好むが、迷彩だけは「小心者のあかし」として、(特注野郎を別にすれば)絶対に身に着けないらしい。
どうやら、
「なさけねぇ格下みてえに、こそこそ身を隠して『よき戦い』から逃げるような野郎はマトモじゃねぇ」ということのようだ。
【最強の氏族】
ほとんどのゴフは、他のグリーンスキンをシメることをゴルク神から与えられた権利だと考えており、とりわけ他氏族の(ゴフ氏族に言わせれば)雑魚どもに対してはその傾向が強い。ゴフ氏族の中でも特に長く戦い続けてきたオルクは「キズ野郎」(スカーボゥイ)と呼ばれ、ゴフ氏族のいくさ組の最強部隊として徒党を組んでいる。
一方でゴフ氏族のいくさ組と頭目はオルクの中でも最も恐るべき存在として知られており、兵隊たちから
「敵よりもよっぽど怖ええ」
と大いにビビられている。それゆえ通常は自分勝手な兵隊たちも彼らの前では必死こいて戦うのである。
ゴフ氏族のオルクたちは闘技場でも最強の名をほしいままにしているが、しかし彼らにとって賞金のキバはあくまで戦いのオマケにすぎないらしい。ゴフ氏族のオルクがいつも手下の兵隊に自慢しているように、
「そりゃキバのために戦うのもいいぜ。だがな、てめえもゴフならタダでも喜んでブン殴らなきゃな」
ということなのである。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P15イラストより
「極悪太陽がお気に入りなのは二つよ。速く走ることと、ブチ壊すことさ。おっと、好きなだけじゃねぇぜ・・。俺たちはな、それがハンパなくうめえのよ。」
【概要】
全ての爆走族がイーヴィルサン氏族に属しているわけではないが、しかしイーヴィルサン氏族のオルクの大半は爆走族である。チョッ速で、ド派手な敵をブチ殺し、そして明るく派手な赤色に塗られているマシンがあるとすれば、それはまぎれれもなくイーヴィルサン氏族の愛車と見て間違いないだろう。
“極悪太陽”の名でも呼ばれるイーヴィルサン氏族のオルクは、とにかくバカデカい騒音と速いクルマをこよなく愛してやまない。
バギーや巨大な「ウォーバイク」、そして超音速のヒコーキなどを手にするためなら、イーヴィルサン氏族のオルクは持っているキバを全てはたいてそれを手に入れるだろう。
中でも特別リッチなイーヴィルサンともなると、技術屋に愛車の特別改造を依頼し、より多くのタイヤ、より大きなエンジン、そして轟音を発する「ロキットブースター」などをゴテゴテ装着するという。
とにかくクルマが速くなりそうならどんな改造でも大歓迎であるため、翼の付いたウォー
バイクや、
ジェットエンジンが括り付けられたトラック、あるいはスクイッグの回し車を動力にして回るプロペラのようなヘンテコ
魔改造すらも珍しくはない。
【マイカーを駆るオルクたち】
イーヴィルサン氏族のオルクたるもの、多少長生きしていればだいたい自分の愛車を手に入れているものだ。コツコツと貯めたキバで購入する事もあれば、もっとシンプルに氏族の他のオルクからブンドることもある。
もし自家用車を持っていないならば、そのオルクは他の車に相乗りしようとする。それも無理ならば、とりあえずのところはいくさ組の車のエンジンの近くに集まり、排気のプロメチウム臭を大いに吸い込むことで満足するしかない。
それゆえ徒歩で移動するイーヴィルサン所属のオルクは、多くの場合トラックやバトルワゴンに乗っていくさ場を駆け巡り、それができない場合も雄叫びを上げながらなるべくチョッ速で敵へと駆けていこうとするのだ。
【戦闘教条】
イーヴィルサン氏族のオルクが一つの場所に留まることはほとんど無く、常に新たな獲物を探し続けている。それゆえ彼らは、
時に戦いの趨勢が決すると見るやその戦場から離れたり、あるいは陥落させた都市や惑星をあっさり放棄する事さえある。
彼らが特に好むのは追撃戦である。
何しろ追撃戦ならば愛車のエンジンを全開にし放題なのだ。
イーヴィルサンを相手に撤退を行う敵は多くの場合その決断を悔やむという。スピード中毒のオルクたちはこれ幸いと満面の笑みを浮かべながら爆走レースを開始するからである。
〈帝国〉の諸軍は、イーヴィルサン氏族を「オルクの強襲部隊」として位置づけ、大いに恐れている。彼らの乗りこなす高速トラック、バギー、バトルワゴン、といった車両は、〈帝国〉の鈍重な機甲戦力を引っかき回し、常に裏をかいて攻撃してくるからである。
イーヴィルサン氏族のいくさ組が大いに好む戦術は、まず敵の戦列に向けてまっすぐ突撃をカマし、その後で反対側まで突破して、そこからさらにもう一度突撃を行うというものである。ウォー
バイクやバギー、そしてトラックで構成された車列が敵陣を縦横無尽に駆け巡り、車上のオルクたちは銃をブッ放しながら大いに歓声を上げるのだ。
この戦術は敵を迎え撃つことに主眼を置いた軍勢に対してまさに破壊的な効果を上げる。敵が必至の防衛線の穴を塞ぎ、応戦を試みている間にも、爆走族のオルクたちはまた別の個所を再び突破し、指揮系統がズタズタになるまでこれを繰り返すのだ。
タウ・エンパイアの狩猟部体やデュカーリの略奪隊のように機動力に優れた軍勢であっても、イーヴィルサン氏族の爆走族には手を焼いている。爆走族はこうした高機動戦力にも必死に食らいつき、彼らが言うところの「爆走いくさ」を繰り広げるのである。
【シンボル】
「極悪太陽」のエンブレムは、「しかめっ面をしたオルクの顔を持つ太陽」だ。彼らの軍装は
赤をメインカラーとし、彼らの「愛車」も多くが赤く塗られている。
これは、オルクの古い格言である
「赤けえのは速ええ」(レッド・ゴーズ・ファスタ)
にあやかったものであり、
実際赤いものは早く動くものだと、彼らは信じてやまない。
イーヴィルサン氏族出身のいくさ頭ともなると、鼻ッ面からフカシ筒まで悪趣味な赤に塗り上げている。彼らが自身の愛車を赤に塗る文化は、はるかなる昔、
彼ら自身の騎獣に敵の血を塗りたくった儀式がそもそもの由来らしい。
事実、特に伝統あるイーヴィルサン系部族では、愛車に敵の血を塗り付ける慣習が今でもなお残っている。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P16イラストより
「我々ブラッドアックスはだな、人間野郎どもから色々お勉強させてもらったわけよ。たとえば、人間野郎を殺すのに最高の方法、とかをだな。」
【概要】
ブラッドアックス氏族はほとんどのグリーンスキンから「オルクらしくねぇ奴ら」と見なされている。この悪名は彼らの戦術を重んずる傾向によるものであるが、実際オルクが用いる戦術は非常に大きな効果を発揮するのだ。
敵指揮官にしてみれば、いつ、どこで、どうやって戦うかについてわざわざ考えを巡らせるオルクが存在するということ以上に驚くべきことなど存在すまい。“血まみれの斧”の名で知られるブラッドアックス氏族のオルクたちは、他氏族から
「マジで信用ならねえ連中だぜ」
と思われている。
なぜなら、
ブラッドアックスは堂々と人類と商売をカマすのみならず、いくさの前にいちいち「どういくさ」をするかなんてことを考えるわ、たかだか不利になったぐらいで戦場から引き上げるわで、まったくオルクらしくないのである。
ブラッドアックスのこうした気質は他の種族であれば指導者階級を構成するのに相応しいものである。
だが、彼らのこうしたスキルは、現在のオルク社会でことごとく裏目に出てしまい、「日和見のスカタン野郎ども」という、実に遺憾極まる評判が付きまとうことになった。ハッキリ言っておくが、ブラッドアックス氏族は周囲からいわれているようなオルクたちはではない。
確かに彼らは、
〈帝国〉との接触をたびたび持っているし、しばしば傭兵として〈帝国〉のために戦ったり、報酬として〈帝国〉の装備を受け取ったりもしている。
だが、ブラッドアックスにしてみれば、本当のお楽しみはこれからなのだ。
人間野郎が作った武器で人間野郎をズパズパ撃ったりガスガス殴ったりするほど「面白れぇ」ことがあるだろうか?
【悪名高きアラシ兵隊】
ブラッドアックス氏族の若者の多くがアラシ兵隊となっていることもまた、この氏族の評判を悪くしている。この奇妙な部隊は、オルク社会のアナーキー最高な風評に反抗した「若い衆」が規律を求めて駆け込む堪り場であり、ここで彼らは思う存分軍事教練や靴磨きに精を出すのである。
他のオルクたちにバカにされるのを気にも留めず、アラシ兵隊は毎日毎日辺りを行進したり、互いに敬礼したりとオルクらしからぬ生活を思う存分満喫する。
多くの場合アラシ兵隊は大人になると共に隊を抜け「まっとう」な徒党へと戻っていくが、中には(特にブラッドアックス氏族出身者に顕著であるが)規律の味が忘れられぬあまり隊に留まり、黒いピカピカのブーツを履いた若者オルクたちを率いる立場へと登る者もいる。
【汚ねぇやり口】
加えて、ブラッドアックス氏族は軍用迷彩を好み、その軍装には常にカモフラージュパターンが使用されるが、ここでもまた評判を落としている。ブラッドアックスにしてみれば、「考えてもみやがれ。敵をブチ殺す前に殺されたら、それこそつまんねえだろうが。」と言う事らしい。
こうした理由ゆえブラッドアックス氏族は特注野郎と相性が良く、ブラッドアックス氏族のいくさ組には多数の特注野郎がハバを利かせている。他のオルクと異なり、特注野郎は敵にコソコソ近づくことを好み、ありとあらゆる「汚ねぇやり口」を使うことで知られている。
【恐るべき戦略】
もちろん、ブラッドアックス氏族のいくさ組は特注野郎のようなキワモノだけで構成されているわけではない。ブラッドアックス出身のいくさ組は、
他氏族の脳タリンなカシラどもと違い、戦略というものの考え方を心得ている。
大規模作戦や長期に渡る戦役の作戦立案すら、彼にかかれば一発オーケーなのだ。地上部隊の攻勢とダッカジェットの地上攻撃を組み合わせたりだとか、「特注部隊」(コマンド)を秘密裏に敵の後方へと送り込んだりするのもお手の物である。
幅広い戦術を自由自在に操るこれらのいくさ組は、多くの場合いわゆる「諸兵科連合」的編成がなされている。すなわち歩兵(徒歩の場合もあれば、クルマに乗り込んでいる場合もある)を中核に、これを機甲部隊や野砲、ヒコーキによって支援する形である。
特にブラッドアックス氏族が用いる「イナズマ機甲軍団」(ブリッツ・ブリゲード)は悪名高く、これにブラッドアックス氏族のオルクらしからぬ撃ち逃げ戦術が加わることで敵軍は大いに当惑し、最終的にはペシャンコにされてしまうのである。ブラッドアックスのサエた頭脳を侮った敵は、オルク相手に戦術負けするというこの上ない屈辱を味わうこととなるだろう。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P17イラストより
「へぇ?あんた、いい目をしてんじゃねぇか。こいつはあっしのお気に入りでね、ずいぶん長いことしまっといたのさ。あ、いや、もちろんペンキ塗りたての新品だぜ?もしあんたが欲しいなら、譲ってもええよ。応相談だ。」
【概要】
デススカル氏族のオルクは狡猾で手グセが悪く、信用ならない上に底意地が悪いと良いことづくめだが、戦場からスクラップを集め、そこから武器や戦車をデッチ上げることにかけては右に出る者がいないという。
「くたばりドクロ」の名でも呼ばれているデススカル氏族は、並ぶものなき分捕り屋として名高い。
彼らは他のオルクから何かを「パクる」「いただく」「ガメる(他人の金銭や品物を盗む)」「借りる」「チョロまかす」「あさる」すべてにおいて一級のスキルを誇るが、そうやって手に入れた物を元の持ち主に返すことがたいそう苦手な連中だ。デススカル氏族のオルクが持つ創意工夫や発想力は平均的な技術屋以上のものがあり、もしデススカル氏族が何かを盗むのにかける時間と労力を、他のことに向けていれば、または自分が盗んだ品に対して、それを盗むのに傾けたのと同じぐらい情熱を捧げたのなら、彼らは素晴らしい科学者や有能な技術者になっていたことだろう。
所有権に対するデススカルのおおらかな考え方を見れば、彼らの多くが分捕り屋であるというのも決して不思議な事ではない。これはつまりデススカル氏族のいくさ組は信じられないほどのダッカ(ドカドカ弾丸を連射すること)を戦場にバラ撒くことが出来るということを表している。
これによって彼らは敵の車両や装備を、お持ち帰りしやすいサイズに粉砕するのである。
【ブン捕りのプロ】
デススカルの目から見ると、戦争とは二つのプロセスから成り立つ。
ブチ殺すことと、その後に続くブン捕りである。
ドンパチとボコスカが終わって初めて、デススカルの兵隊たちの仕事時間が始まる。戦場に散らばる死体からありったけのブツを、靴ヒモから弾薬までをひっぺがして持ち帰るのだ。
加えてデススカルのオルクは、たいてい気色の悪い戦利品、頭の皮やドクロなど、胸を悪くするようなシロモノを集めることも忘れない。仕事を終えて野営地に戻ると、デススカルたちはめいめいに店を出し、バーゲンセールやバザール、オークションなどを開催する。
特定のお宝や、あるいはいくさの最中に自分が盗まれたものを取り返したりするために他の氏族のオルクたちはこうした店を訪れるが、大抵は一文無しになって店を出ることになる。なにしろデススカルは例え他のオルクをブン殴っている間さえ、同時にフトコロを漁るという離れ業の持ち主だ。
【リストア業務】
デススカルの収入源は、死体漁りだけではない。
壊れた車両は特に人気があり、破壊された戦車や兵員輸送車両、そしてヒコーキなどはどれも彼らの格好の獲物でもある。
デススカル氏族のオルクたちはこうしたお宝をいくさ場から引きずり出すと、スクラップにバラしたり、あるいは技術屋の手を借りてリストアしたりする。多くの敵にとって、かつて自軍が用いていた車両が自軍に牙を剥く光景は恐ろしいものであり、デススカル氏族のオルクたちはこうした車両の砲塔から悪態を付きつつ、かつての持ち主に弾丸という名の「代金」を撃ち込んでやるのである。
【シンボル】
“くたばりドクロ”はその名の通り「ツメの生えたドクロ」を氏族のエンブレムとしている。彼らは盗んだ品をたくみにカスタマイズし、「こりゃあ、あっしが前から持ってる物でさあ」と言い張ることも得意だ。
このプロセスでよく見られるのが
「青く塗る」
ことである。青という色は、
神々の注意を引き、災難から守ってくれると
デススカルは語るのだ。
デススカルの
「青いのサイコー」
思想は根強く、車両に青い手形を付けるのは定番の「俺のもん」宣言であり、青の「戦化粧」(ウォーペイント)も人気である。極端な例では、出撃の前夜、頭からつま先まで全身を青に塗りたくる
オルクらしからぬ野郎もいるらしい。
奇妙なことに、この風習には実際ご利益はあるらしく、敵の弾丸はしばしばデススカル氏族のオルクからギリギリそれてしまうという。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P18イラストより
「敵に高級なドガドガ(ダッカ)をブチ込んでやるのは最高だな。そいつを他のオルクに見せびらかしてやるのはもっと最高だ!」
【概要】
他の氏族のオルクに言わせれば、バッドムーン氏族は「たくさんキバを貯め込んでやがる鼻持ちならねえ奴ら」ということになるだろう。しかし同時に彼らは、この黄色い装束に身を包んだオルクたちが銃をぶっ放し始めたら物陰に隠れたほうが賢明だということも知っている。
それぐらいバッドムーン氏族が繰り出す圧倒的なドガドガ感(ダッカ)は一見の価値ありなのだ。“悪たれ月”の名でも呼ばれる''バッドムーン氏族のオルクたちは、全氏族で最もリッチな連中である。
なぜなら、そこに所属している奴らはオルクの通貨である
キバ''が、他の誰よりも速く伸びるからだ。バッドムーン氏族であるというだけで、最も低級なオルクですらある程度のキバを持ち、それなりに快適な暮らしを楽しめるのである。
これは一見アンフェアな格差に思えるが、実はそうでもない。バッドムーンの誰かをブッ飛ばして、キバを分けてもらえばいいからである。
もっとも、バッドムーンのオルクをブッ飛ばすことができればの話だが。実際、多くのいくさ組はそれ目当てでバッドムーンの徒党をそばに置いておき、「貯金箱」代わりに使っているという。
これはバッドムーン氏族のオルクたちにとっても悪い話ではない。自分をブチのめしてキバを奪っていくほどに強いオルクに付いていけば、まず間違いなくナイスないくさにありつけるからだ。
【成金のオルク】
バッドムーン氏族は、オルク社会の中でいわゆる
商人としての役割を担っており、さらに物を売り買いする時の値段もバッドムーンのオルクが一方的に付けている。
ちび飼いの中には「そもそもキバで物を売り買いするっちゅう事自体がバッドムーンの思いつきにちげえねえ。自分のキバが伸びるのが速ええからってそうしやがったんだ。」と考えている者もいるそうな。
もちろん多くのちび飼いはそうした意見には否定的だ。彼ら曰く「違げえって。キバを早く伸ばして金持ちになったんだ。」だそうである。
だがこうした議論はあまり白熱することはない。なぜ早くキバが伸びるのか考えるよりも、
さっさとバッドムーンのオルクをブン殴ってキバをいただいた方が得だからである。
バッドムーン氏族のオルクたちは、いかにも成金らしい「エゲツねぇ振るまい」で有名だ。例えば、彼らの乗るクルマや装備は、たいてい悪趣味な金ピカのデコレーションで飾りたてられている。
バッドムーンは黄金を他の金属よりも好んで用いており、その下品な口元にはたいてい一つか二つの金歯をのぞかせている。
ほとんどのオルクにとって、
柔らかくて武器やクルマの材料に不向きな黄金はゴミクズ同然であり、
それゆえ彼らは喜んでキバとの交換にバッドムーンへ黄金を売っているという。
【リッチな装備】
バッドムーン氏族の徒党は常にナイスな装備に身を包んでいる。
少なくともオルクの一般的水準から見ればだいぶマシだ。
そして頭目ともなるとギラギラした旗や巨大な改造済みバラ撒きを持ち、そして格下の召使いや技術屋の大砲なんかを引きつれている。実際、バッドムーン氏族のいくさ組においてグレッチェンたちはあの手この手を使って大いに繁栄しているのだ。
中でも気の利く格下はオルクの親分にうまいこと取り入り、おべっか使いとしてオルクたちのギラギラした追加装備を運ぶ役割を担うという。
【シンボル】
黄色と黒が彼らの軍装色であり、「ファイアパターンの背景に浮かぶねじくれた月」が彼らのエンブレムだ。また、彼らの軍装は派手な色使いのみならず、
成金趣味の装飾でピアスや宝石の数々などでさらに下品な輝きを見せつける。
何か貴重そうなものを見つけると、バッドムーン氏族のオルクはそれを自分の体にくっつけたり、クルマにボルト留めしたりして、他のオルクにそれを大いに見せびらかす。だが、その出で立ちで彼らをナメてはいけない。
笑いすら誘うド派手な悪趣味な軍装の下に入っているのは、やはりオルクなのだ‥。バッドムーンのいくさ頭が背負っているド派手な「ボスポール」は、単なる金持ち自慢ではなく、敵の頭をカチ割るための道具でもある。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P19イラストより
「ワシらは、この土地を離れる、離れて戦争を見つけに行く。それで、近くにいる奴全部殺す。それが昔ながらの、一番いい生き方よ。」
【概要】
スネークバイト氏族は古き良き伝統をこよなく愛しており、
その文明レベルはイナカオルクよりもいくらかマシといった程度である。
しかしだからと言ってスネークバイト氏族のいくさ組が他より弱いということは決して無い。
彼らがひとたびその野蛮な憤怒を爆発させると、これを耐え抜ける敵はほとんどいないだろう。“蛇咬み”の名でも呼ばれるスネークバイトのオルクたちは、
テクノロジーが進歩している他氏族から、むやみに後進的な「土くせぇ連中」と見なされているのだ。
彼らは高度な技術のアレコレを軽蔑し、代わりに尖った骨や重い棍棒、鋭いチョッパといった「間違いがねえ」物を愛用している。戦いを前にすると彼らは泥や戦化粧で体を覆い、自分がこれまで倒してきた獣のキバや爪をネックレスにして首から下げ、そして剥いだ毛皮を身に着けるという。
【怪物を飼い慣らす者たち】
スネークバイト独特の古風な暮らしぶりから、彼らはまるで使い古したブーツ並みに薄汚れているが、同時に使い古したブーツ並みにタフである。スネークバイトは酪農に優れた氏族であり、彼らのグロッドやスクイッグは、オルク社会において最も凶暴であるという話だ。
スネークバイト氏族のいくさ組が戦いへと赴く際、彼らはこうした怪物たちも連れて行くため、彼らのキャンプは唸り声を挙げるスクイッグや叫びながら逃げ回るグレッチェンでシッチャカメッチャカになっている。他の氏族のオルクが凶暴なスクイッグや珍しく気性の荒い(もしくは命令に絶対服従する)グレッチェンを探す場合、まずスネークバイト氏族のもとを訪れることになるだろう。
スネークバイトが飼い慣らしている獣の中でも最も凶暴な怪物と言えば、強大なる「スクイゴス」に他なるまい。この
巨大生物は敵の戦闘兵器をひっくり返し、歩兵部隊を丸ごと踏み潰すことすら可能である。
よく訓練されたスクイゴスはスネークバイト氏族の飼い主にはほぼ忠実であり、体臭で飼い主を嗅ぎ分けることができるだけでなく、生きた戦車として、あるいは巨大な作業用の役畜として、飼い主のために働くという。
【シンボル】
スネークバイトのエンブレムである
“毒ヘビ”は、“蛇咬み”の由来でもある彼ら独自の成人儀式から取られたものだ。スネークバイトの若者は、猛毒を持ったヘビを操って、わざと自分の体を咬ませる。
そして、体に毒が回るよりも速く、若者は自ら傷口から毒を吸い出し、一人前となったタフさを証明するのだ。この儀式ゆえ、
スネークバイトのオルクたちは毒に免疫を持っており、毒ヘビをはじめとする数々の「毒持ちペット」を連れ回す文化を育んできた。
事実、移り住んだ惑星にいるヘビが残念なほどに「ショボイ」毒しか持っていない場合に備え、
彼らはいつでも猛毒持ちの動物たちをペットとして連れているのだ。
スネークバイトにとってヘビは最高のペットであり、攻撃的であればあるだけよいとされる。
【戦場におけるスネークバイト】
スネークバイトの「ちび飼い」たちは、数多くのグレッチェンを育ててきた。格下は、スネークバイトが飼育する得体の知れない珍獣たちのエサやりに、とても便利な連中である。
戦争になると、グレッチェンたちはひとところに集められ、ガラクタじみた武器を持たされて戦場へと追い立てられる。そして多くの場合、
グレッチェンたちはビッグなガンの操作を任されることにもなるようだ。
皮肉なことに、スネークバイト氏族のいくさ組の中でこうした
テクノロジーの動かし方を多少なりとも理解しているのはグレッチェンだけであり、そのためスネークバイトが手に入れた武器がより洗練された先進なものであればあるほど、それらは最終的に格下へと押し付けられることになるのである。
その一方でオルクはと言えば、他の氏族に比べても特に大規模な徒党を組み、いくさ歌を大いにがなりながら自らを狂乱状態まで高めていく。
戦場にあって、スネークバイトの軍は凶暴さのみならず、古式ゆかしきムリヤリな攻撃で有名である。血に飢えてなだれ込むオルク、暴れ回るスクイッグ、ヤケクソになって敵をメッタ刺しにするグロットの大群は、敵を下敷きにしてもなお止まらないのだ。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P20イラストより
【概要】
無頼団は、部族や氏族から飛び出したり追い出されたりしてオルク社会からはじき出されたならず者の集まりである。彼らは海賊とも傭兵ともつかないようないくさ組を立ち上げて銀河を暴れまわり、共闘しつつも互いに分け前を巡って競争し続けているのである。
フリーブーターズ。すなわち「無頼団」とは、要するに銀河をマタにかける
宇宙海賊というか、傭兵というか、とにかくまぁひどいゴロツキ連中のことだ。
彼らは、自分たちの出身氏族や元々ケツを並べていたいくさ組に関係なく、様々な連中がひとカタマリになっている。むろん、彼らがオルクであることには変わりなく、冒険と闘争、そして他人の物を奪うことをこよなく愛する連中だ。
彼らは自分たちよりも規模がデカければ、どんないくさ組にも手を貸すことで有名である。そのいくさ組が誰かといくさを始めるらしいとなれば、なおさらだ。
最近だとこうしたケースはもっぱら「〈歪みの嵐〉がグリーンスキンのナワバリを飲み込んだ」という形で現れることが多い。もちろん大部分のオルクたちはその惑星や宇宙要塞がブッ壊れる前にトンズラをかますのだが、それでも〈大亀裂〉の強力なエネルギーはオルクのオツムに多大な影響を与えてしまう。
こうしたオルクの多くは、より一層残忍で貪欲な略奪者になるか、あるいはもっと分かりやすく変人野郎になるのである。
【個人主義的な集団】
彼らがフリーブーターズとなった理由はどうであれ、無頼団のオルクたちはオルク社会の大部分から切り離され、多くのグリーンスキンからは「オルクらしくねぇ」と思われるような独自の文化を作り上げていく。彼らは新たな部族に合流するだけでもなく、また本来の出身氏族の伝統を守るわけでもなく、自分たちの中で最もデカくてワルいオルクを
「無頼賊長」(フリーブーターズ・ウォーボス)
に担ぎ上げて、銀河をうろつきながら行く先々で片っ端から略奪して回る迷惑な放浪の旅に出るのである。
彼らもオルクゆえ、良き殴り合いを求める気持ちは失っていないものの、無頼団のオルクたちは過剰なまでの貪欲さで悪名高い。なるべく沢山のキバをかき集めることこそが彼らの行動原理なのだ。
そうした「個人主義」的性質ゆえ、このゴロツキたちはケバケバしい色合いとジャラジャラした「絵文字」(クリフ)で自分を飾りたて、武器にはギラギラした貴金属を用い、そして背中の旗印やクルマの車体には片っ端から「ジョリー・オルク」の海賊旗を掲げている。いい感じの獲物を見つけた無頼団はイナズマの如き勢いで略奪を仕掛け、ハゲタカのように宇宙航路を
荒らしまわる。
そして傭兵として他のいくさ頭の下で(その族長のキバが尽きるまでは)戦うこともあるのである。
【ギラギラ野郎どもの集まり】
無頼団のいくさ組の多くは「ギラギラ野郎」(フラッシュギット)を中心に構成されている。その理由は簡単で、傭兵暮らしをしているオルクの末路は、
金持ちになるか、それともさっさとおっ死ぬかのどちらかしかないからだ。
しかしこうしたカコクな環境にもかかわらず、無頼団のいくさ組は他のオルク部族にも劣らぬ多様性を持ち、場合によってはごった煮っぽくなっていることも少なくない。「ワル技術屋」(バッドメク)や「ワル医者」(バッドドク)などはその代表格だし、無頼の兵隊が寄せ集めの徒党を組んでいることもある。
「ナマイキ格下」(レネゲイド・グロット)たちが、ワルバイカーや涎を撒き散らす変人野郎、放浪途中のゴルカノートやモルカノートとつるんでいる光景も無頼団では珍しくないのだ。上空の「殺り艦」(キル・クルーザー)から支援を受けつつ、無頼団のいくさ組は略奪相手へ獰猛に襲いかかり、大いに殴り合いを楽しんだ上で、盗めるものを片っ端から盗んでさっさとトンズラをかますのである。
画像、アイコン出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P21イラストより
いくさだァァァア!(グァァァグ!)
画像出典:ゲーム「Warhammer 40,000: Armageddon - Da Orks」 より
【概要】
オルクでは種族が率いる破滅的な大規模侵攻のことを
〈いくさだァァァア!〉(グァァァグ!)
と呼ぶ。数え切れぬほどのグリーンスキンが群れを成して次から次へと惑星を蹂躙する。
オルクの進撃によって惑星の文明社会が崩壊し、 防衛軍が撃滅される中、そうした戦いそのものが新たなオルクを際限なく惹き付け、その道筋には無秩序な破壊のみが残されるのである。人類が食料と水を求めるように、オルクは戦闘を求める。
「戦うこと」に対する生理的欲求を満たすため、彼らは「誰が一番強ええか」を決めるべくオルク同士での戦闘を繰り返し、産まれながらにして持つ戦士としての能力を磨き続けるのだ。銀河的スケールで見れば、オルクの同族争いは大きな脅威になりえない。
しかし、一つの惑星でオルクの人数が増加の一途をたどり、人口密度の限界を突破したとなると、これは差し迫った問題になる。
なぜなら彼らは、星間規模の民族大移動に乗り出すからだ。
これが〈いくさだァァァア!〉の混じりけの無い熱狂的暴力に叩きつけられ、星系すらも粉砕する、まさにオルクたちの聖戦なのである。
【発端】
通常、〈いくさだァァァア!〉は極めて小規模なところから始まる。
とある1人のオルクにスゲえ大虐殺のドリームが訪れるところから、〈いくさだァァァア!〉はスタートするのだ。
こうして啓示を受けたオルクは自分の手下たちに大虐殺と征服の夢を説き始め、部族を率いて惑星の他の部族をシメに行くのである。戦いで勝利を収めるたび、その族長の伝説は膨れ上がっていき、より多くのグリーンスキンがその血塗られた旗のもとに集うようになるだろう。
雪だるま式に膨れ上がる軍勢が絶えず敵に差し向け続ける事ができるならば、初めはほんの「滴」に過ぎなかった援軍の人数も、やがて「大津波」へと変わるのだ。技術屋たちも、さらにとんでもねえ建造プロジェクトを実行に移すべく、共同作業を開始するだろう。
〈いくさだァァァア!〉にふさわしい、よりデカいガン、よりビッグないくさ機械を作るために、間もなく族長の軍勢には、煙を吐き出しながら進む“動くトリデ”や巨大な戦闘機械などがいくつも姿を現す。これらはどれも、ツギハギにされた廃鋼と、オルク技術屋ならではの技術屋魂によって造られている。
さらにこうした部族の中にはゴルカノートやモルカノートもうろつくようになるだろう。これらのパイロットたちは狂気じみた熱心さで新しい〈いくさだァァァア!〉を探し求めているからだ。
技術屋が徒党を組んで作業することで、踏み付け野郎や「デカ人形」(ガルガント)さえもが建造されているかもしれない。デカ人形のとてつもない巨体を見上げたオルクは皆、心の奥底にある原始的なアレにファイアが燃え上がり、彼らが潜在的に生み出す〈いくさだァァァア!〉のエネルギーもさらに激しいものとなるのである。
【興奮の臨界点】
同じ族長にシメられていてもなお、氏族や部族間での競争意識がなくなるわけではない。他の連中よりはるかに「ブチ殺り感」(キリネス)にあふれたいくさ機械を作ろうと、彼らは必死になっているのだ。
デカ人形を建造するだけの材料にありつけなかった技術屋たちは、代わりに「殺しのカンヅメ」(キラーカン)や「おっかねえ奴」(デフドレッド)歩行機械を量産したり、いくさ頭たちが自分たちの軍勢を率いて戦場に乗りつけるための、最強バトルワゴンを作り上げる。そして、大爆発を起こしたように〈いくさだァァァア!〉が惑星全土へと広がってゆく。
もはや大陸レベルの遠征ではなく、惑星レベルの大遠征だ。
ここらへんから〈いくさだァァァア!〉を率いる族長は部下のいくさ組たちから大族長として認められるようになっていく。
力で押さえつけて奴隷にした惑星先住民たちを使って、大軍勢のためのさらなる弾薬も製造されてゆく。さらには、オルクたちを宇宙へと運ぶ荒削りな「工場船」(ファクトリー・シップ)や「いくさ船」(ウォーハルク)の建造も、急ピッチで開始される。
目前に迫った流血への欲望が臨界点に達し、こらえきれなくなると、危険な熱狂の大波が大軍勢を押し流す。いまや、オルク軍はあふれんばかりの人数に膨れ上がっている。
大いくさへの期待はもはや最高潮に達し、彼らの上空は武骨で巨大なオルクの宇宙船によって埋め尽くされてゆく。オルクがいよいよ本格的な惑星侵略へと乗り出すのだ。
画像出典:コデックス「オルク5版」(codex:Orks) P19イラストより
【緑の大津波】
この出撃に先立ち、大軍勢が終結を果たした光景は、まさに壮観である。惑星地表を埋め尽くす無数のオルクたちと数千にも及ぶエンジンが一斉にうなりを上げ、空気は真っ黒い排気ガスで満たされ、大地は緑色で覆われる。
大地は無数のビッグなタイヤと、雷のような地響きとともに進むデカ人形のおみ足によって踏みならされてゆく。グリーンスキンの歩兵が地平線を覆うほどの数でひかえ、自分たちの武勇伝といくさ頭に対する忠義を示す軍旗を、高々と掲げている。
彼らの上げる鬨の声は、数キロ以上に渡って轟き渡るだろう。巨大なモルカノートやゴルカノート、ビッグガンの砲列、奇妙なエネルギー射出武器、フォース・フィールド発生装置などがあげる騒音、機械のきしみ、ブンブン音などが緑の大軍勢の中でけたたましく鳴り響く。
錆だらけのビークル編隊によって造られる、オルクの「イナズマ機甲部隊」も忘れてはいけない。その後方から立ち上る排気ガスと土ぼこりは、宇宙空間からも観測できるほどだ。
爆走族はエンジンを吹かしまくり、兵隊は手持ちのシュータやスラッガをやたらめったら空に向けて撃ちまくって進軍する。その前方では、地面を覆う緑色のカーペットのようにひしめくグレッチェンの大部隊が、弾除け任務をおびて必死こきながら走っていることだろう。
【赤く染まる惑星】
かくしていくさ場は、見渡すかぎりの緑色によって埋め尽くされる。
もっとも、オルクたちは知っている。
もうすぐ、このあたりを覆う色は緑ではなくなることを。
そう、赤だ。
血の赤が大地を染め上げるのだ。
ブラッドエンジェル戦団が我慢できない光景
この段階に達した時、もはや〈いくさだァァァア!〉の脅威は明白である。奔放なる破壊衝動の解放、オルク根性を感じよ。
ゴルク神とモルク神が注目している。〈歪み〉から、彼らの戦士たちがどのような結末を辿るか見ておられるのだ。
オルクの〈いくさだァァァア!〉は最強無敵。その咆哮の前に、今日もまたひとつの惑星が滅びる。
兄貴、出番ですぜ!(主要キャラクター)
「俺様がこの宇宙を真っ平らに踏み鳴らしてやる。歯向かって繰る奴は残らずブチ殺す。俺様はやるぜ。なぜなら俺様はオルクで、オルクは戦って勝つために生まれてきたからよ!」
最強大族長(グランド・ウォーロード)にしてゴルクとモルクの一子分、そして〈終わらねえ大いくさだァァァア!〉の総元締めたる ガズグッカル・マグ・ウルク・サラカ
【概要】
ゴルク神とモルク神の預言者たるガズグッカル・マグ・ウルク・サラカ。
“〈いくさだァァァア!〉”の預言者とも呼ばれる、超有名な大族長である。
まあ、惑星に住まう全てのオルクを、たった一言で一人残らずソノ気にさせてしまえる大族長というのはそういない。
実際、今の銀河で一番「カオが効く」大族長といえばガズグッカルのことだ。
今、彼が一言命令しただけで、数億、数兆のグリーンスキンが動く。
だが、ガズグッカルがかくもビッグな族長になるまでには、なにげにソーゼツな過去があったのである。
【事故ったガズグッカル】
ガズグッカルは、実にショボイ感じの惑星「ウルク」に住まう、ゴフ氏族出身の一人の兵隊(ボゥイ)であった。ある日のこと、彼がケツを並べていた部族はスペースマリーンの「指揮聖所」(コマンド・サンクトゥム)を襲ったのだが、
その折にガズグッカルの頭にボルトガンの一撃を喰らい、ズガイ骨のほとんどがズガンと吹き飛んでしまったのである。
脳ミソも同じような状態で、いわゆる「ちょっと冗談じゃない」ぐらいのダメージだった。
その時彼の手術に当たったのが、デススカル氏族の激痛野郎、若き日の「
グロッツニック
」である。
グロッツニックは目がアレだのを輝かせ、すぐさまガズグッカルを手術(オペ)った。かくして、
ガズグッカルの頭は、アダマンチウム鋼の装甲スカルに置き換えられ、外見上は何とかなったのである。
【アレに目覚めたガズグッカル】
この手術が、ガズグッカルの心に隠れていたアレな力を目覚めさせたのか、ガズグッカルが単にアレになってしまったのかはわからない。だが、この時以来、ガズグッカルは
イキナリ態度がデカくなり、「
俺様はゴルク神とモルク神と話ができるぜ
」とたまうようになった。
理由はとにかく、この日を境に、何らかのダークなパワーがガズグッカルの味方をするようになったのは事実だ。なぜなら、
一介の兵隊だった彼は、その後メキメキと部族内での地位を上げていったからである。
ガズグッカルは、兵隊仲間を全員ブチのめして頭目となり、そのまま惑星ウルクをシメる大族長の地位まで、「隕石みてえなスピード」で成り上った。オルクは、力と勇気があって、ケンカの強い野郎をリスペクトする。
そしてガズグッカルは、
身内で最も力があり、もっとも勇気があって、とにかくケンカが強かった。
しかも、それだけではない。
そんじょそこらの大族長にはないモノを、ガズグッカルは持っている。
それは、ガズグッカルにだけ視えるヴィジョンだ。
分かりやすく言えばアレである。
ある日、ガズグッカルは手下を集めて大演説をブチかました。いわく「
てめえらは銀河をシメるまで戦え。それが運命だ。
」
以来ガズグッカルは、乗り込む先々で新しい部族を配下に収めるたび、彼の「ウンメー論」でソノ気にさせていった。こうして、ガズグッカルはまさしく飛ぶ星を落とす勢いで権力の座を駆け上がっていったのだ。
【〈いくさだァァァア!〉に乗り出すガズグッカル】
やがて、ノッピキならない事態が起こる。惑星ウルクを照らす太陽がアレになり、もうすぐおっ死ぬらしいことが分かったのだ。ここでガズグッカルは吼えた。
「
見やがれ野郎ども。ありゃあゴルク神のお告げよ。今日という日こそ、今までに見たこともねえデカさの〈いくさだァァァア!〉をおっ始めろっちう話なんだ。
」と。
かくして、ガズグッカルの〈いくさだァァァア!〉は始まったのである。数多くの者が大族長ガズグッカルに続き、そうでない連中はブチ殺された。
オルクたちが選んだのは、予言者についていくことである。
なぜなら、ガズグッカルの下につけば、ハンパねぇいくさがいくらでも楽しめる。
ひょっとしたら死ぬかもしれないが、どうせ死んだら終わりなので、
オルクにとってそれはどうでもいいことだ。
さらに運命のいたずらか、ガズグッカル率いる部族は、この絶好のタイミングで〈宇宙泳ぎ〉(スペースハルク)“ワールドキラ”を手に入れることに成功し、これに乗り込んで次々と星々への侵略を開始した。
彼は7個の星系の防衛軍を粉砕し、工業惑星「ディノスティクスV」を略奪し、スペースマリーンの「アストラルドレイク戦団」を最後の一人までブチ殺し尽くした。それ以来というもの、ガズグッカルの征服リストはその長さを増し続けているのである。
そして、遂にガズグッカルは自らの名を銀河に轟かせる大きな戦いがかの有名な惑星「
アルマゲドン」で起ころうとしていた。
【第二次アルマゲドン戦役】
〈帝国〉領の惑星
アルマゲドンは商業、軍事産業、物資輸送の中心地であり、地球(テラ)が存在する〈太陽の宙域〉へ向かう重要な〈歪み〉航路に位置していた重量拠点であった。この惑星は資源に富み、「帝国宇宙軍」(インペリアルネイビー)の戦力、「帝国防衛軍」(アストラ・ミリタルム)の連隊多数、そして強大なる「アイアンスカルの巨兵団」の分遣隊によって堅く護られていた。
だがそれでもなお、
アルマゲドンはガズグッカルに対する備えができてはいなかった。この予言者じみた大族長が莫大な兵数と猛烈な勢いを有していたというだけではない。
アルマゲドンの惑星総督「ヘルマン・フォン・ストラブ」は壊滅的に無能で自惚れの強い人物だったのだ。オルクを見くびっていたストラブは遅々としてこれに対処せず、一方で〈帝国〉中枢に対して万事順調であるという体面を保ち、結果としてまんまとガズグッカルの術中にハマることとなった。
ガズグッカルの〈いくさだァァァア!〉は「
アルマゲドン・プライム大陸」を進撃し、出会った「惑星防衛軍」を片っ端から粉砕するとともに、破壊した戦車からスクラップを回収していった。要塞が一つ、また一つと陥落していく中、ストラブはそれでも援軍要請を送らずにいた。
〈帝国〉側が追い込まれていく中、惑星防衛の運命は
「セバスチャン・ヤーリック」
という名の不屈なる政治将校に託されることとなった。彼は、フォン・ストラブへの不服従により遠方の多層都市「ハイヴ・ハデス」へと追放されていた。
【追い込まれし〈帝国〉の軍勢】
一方で、ストラブが突破不能(キリッと断じていた地獄の如き赤道帯ジャングルをガズグッカル率いる大群は横断した。「アルマゲドン・セカンドゥス大陸」に到達したガズグッカル軍は、アイアンスカル巨兵団の「巨人機」(タイタン)を粉砕すると、後には絵文字が刻まれた残骸だけが残された。
嵐の季節が終わったちょうどその時、ガズグッカルは自らの軍勢を率いて「ハイヴ・インフェルナス」へと殺到した。ガズグッカルは爆走族のいくさ組を汚染焦土へと解き放ち、南方の多層都市群に逃れようとする難民と〈帝国〉戦力を迫撃させた。
追い詰められたストラブは古代の「ウィルス爆弾」を投入したが、アルマゲドン・セカンドゥスの敵味方入り交じった戦場において、この無差別殺傷兵器はオルクと同じぐらい人間側にも死者を生み出した。そうした混乱のさなかにもガズグッカルは固い決意と共に自らの〈いくさだァァァア!〉を遂行し、防衛軍のわが身を省みぬ抵抗にもかかわらず多層都市「ハイヴ・ヘルズリーチ」を粉砕する。
ガズグッカル軍は破竹の勢いで〈帝国〉軍を追い詰めていったが、その後に起きたハイヴ・ハデス包囲戦では、この戦争の趨勢を突如として大きく変えることとなる。
【ヤーリックの逆襲】
ハイヴ・ハデスへと追放された政治将校ヤーリックはオルクとの戦いに長けた古参の指揮官だ。政治将校団でのキャリアを通じてヤーリックはいくつかの連隊に同行し、いくつもの戦役でオルクと戦った。
彼はオルクの文化や言語を研究し、そこからオルクに対する戦術を次々と編み出し、数多くの勝利を勝ち取ってきた。そして彼は対オルクのエキスパートとして名が知られるようになったのだ。
追い込まれたハイヴ・ハデスの〈帝国〉軍はヤーリックの指揮の元、取り憑かれているかのような奮戦を見せた。戦いがあまりにも凄まじいものであったためオルクたちの進撃も鈍り、ガズグッカルが自ら包囲戦の陣頭指揮を執ることとなった。
一般的なゴフ氏族の大族長とはかけ離れた狡知を有するガズグッカルは、持てる限りの戦術や策略を駆使したが、ヤーリックはそのたびに対抗策を講じてこれを防いだ。あらゆる戦線で、あらゆるバリケードで、果てには多層都市の入り組んだダクトや狭い通路でも、オルクは人間の民兵部隊と戦いを繰り広げた。
ガズグッカルは遂に、ヤーリックという好敵手を見出したのである。この大族長は程なくしてこの粘り強く尊敬に値する敵を打ち倒すことにひどく執着するようになった。
【いくさ場からの撤退】
執着はオルクにとって強みでもあれば弱みでもある。執着はオルクを不屈の戦士にも、恐れ知らずのパイロットにも、(
アレではあるが)成果溢れる発明家にもするが、一方で破滅に導きもするのだ。
そしてハイヴ・ハデスにはさらに多くのオルク戦力が引き寄せられていき、一方で他の都市である「ハデス・タルタルス」や「ハイヴ・アケロン」を攻撃していた部族は後詰めを引き抜かれた状態で指示もないままに戦わねばならなくなった。惑星
アルマゲドンに、「ウルトラマリーン」、「サラマンダー」、「ブラッドエンジェル」といったスペースマリーン諸戦団からなる〈帝国〉の増援が姿を現したとき、これらオルクの二線級部隊はひとたまりもなく瓦解することとなった。
だが新たに到着したスペースマリーンによってガズグッカル軍が包囲されてもなお、ガズグッカルが諦めることはなかった。ガズグッカルはグリーンスキン離れした頭脳によって自らの執着がもたらした損害を再認識すると、戦況を取り戻すための計画を実行に移していたのだ。
しかし今ガズグッカルが立ち向かわんとしているのは、ブラッドエンジェル戦団が誇る戦略家たる戦団長「ダンテ」と、そうそうたるスペースマリーン戦団の指揮官たちが率いる連合軍であった。廃墟と化したハイヴ・ハデスを守るためにヤーリックが払った莫大なる犠牲も相まって、ガズグッカルの〈いくさだァァァア!〉はついに瓦解したのである。
歴史上、ほとんどあらゆるオルク大族長は自ら率いる部族と運命を共にしてきた。しかし彼は、統制を失ったオルクたちを置いて惑星
アルマゲドンから逃亡した。
いつの日か戻ってくると誓いつつ。ともあれ
アルマゲドンはこれまでガズグッカルが経験したことのない規模の戦いであった。それをもう一度味わう機会をガズグッカルが逃すはずがない!
【どデカい狙い】
惑星
アルマゲドンでの敗北から五十七年後、ガズグッカルはさらに大規模な〈いくさだァァァア!〉を率いて帰ってきた、今や“
アルマゲドンの獣”として知られるようになったかの大族長の帰還に備え、
アルマゲドンの守護者たちは数十年をかけて惑星の再建と要塞化を進めてきた。だがガズグッカルとて無為に過ごしていたわけではない。
彼はこの期間、いくつもの戦いを経て
ライバル部族を征服し、その中で奇妙な新兵器開発技術の
テストと改良を重ねてきた。
いかなる敵といえども、目にしたことのないものに備えることはできない。
【第三次アルマゲドン戦役】
その後に待ち受ける戦いは徹底的の一語に尽きた。ガズグッカルは敵も(そして味方すらも)思いも寄らないやり方で戦争を進めた。かの最強大族長は無頼団の傭兵を使って
アルマゲドン周囲の農耕惑星と輸送艦隊を襲わせ、補給線を寸断するとともに、大族長が帰ってきたという恐怖を振り撒いたのである。
ガズグッカルは
アルマゲドン星系を攻撃する際、オルク艦隊に大雑把ながらも共同攻撃を行わせ〈帝国〉の宇宙防衛戦力を包囲殲滅していった。ふたたびハイヴ・ハデスを攻めて落とすことにこだわることなく、ガズグッカルは“宇宙泳ぎ”にトラクタービームを搭載させ、これを用いて小惑星を捉えると、それらを低軌道からハイヴ・ハデスに向けて投下した。
そしてガズグッカルはオルク岩として知られる降下要塞を投入し、スクラップ製の潜水艦を建造して荒れに荒れる海を渡り、「スーパーテリーポーター」によって巨大な戦像を戦場に転移させた。それでも〈帝国〉は打ち寄せる津波のように増援を次々と送り込んでくる。
ガズグッカルが全力で挑んだにもかかわらず、
アルマゲドンの戦いは終わりなき消耗戦と化したのだ。かつて無い規模の戦いが繰り広げられる中、大族長を襲うゴルク神とモルク神からのヴィジョンはさらに激しく、苦痛をも伴うものになっていった。
そして一切の前触れ無く、ガズグッカルは姿を消した。噂によれば最強大族長ガズグッカルは超絶なる大啓示を受け、その中でゴルクとモルクが彼に新たなる聖務を与えたのだという。
別のある噂によれば、大いなる緑の神がガズグッカルをつまみ上げ、停滞状態を打開するために星々の彼方に放り投げたのだという。また別の噂によれば、ガズグッカルは単に新たなる野望に駆られただけなのだという。
〈帝国〉の低俗なプロパガンダによれば、ガズグッカルは尻尾を巻いて逃げたことになっている。
【ゴルクのニヤケ面】
そして今、〈ゴルクのニヤケ面〉こと〈大亀裂〉が銀河を二分すると、
ガズグッカルの征服の規模は10倍に増大した。
ガズグッカルを
アルマゲドンから出立させる原因となった強烈なヴィジョンについては、〈大亀裂〉から生じた〈歪み〉のエネルギーであるという説もあれば、あるいはゴルク神とモルク神御自らが手下の奇人野郎を通じて彼に語りかけた言う説もある。
真実がいかなるものであれ、ガズグッカルは〈終わらねえ大いくさだァァァア!〉を率いて星々をめぐり、神々からのヴィジョンもより頻繁に、より激しく大族長を苛んでいる。ちび飼いたちの噂によれば、ガズグッカルは“緑のすげえ何か”を通じて遥か遠方の出来事を垣間見、さらには影響を与える能力を獲得したとのことである。
【パワーアップした大族長】
ガズグッカルの大暴れを止めようとする勢力の動きさえも、彼にさらなる活力を与えるだけに留まっているようだ。
ライバルを下していくたび、ガズグッカルの悪名は更に高まっていく。
惑星「カラヘイム」や惑星「オブスティナサス」はガズグッカルの侵略軍に対して断固たる防衛態勢を敷いたが、最終的にガズグッカルがこれらを粉砕したことで、結局はかの大族長がさらなる名声を勝ち取るのみに終わった。噂によれば、〈方舟〉「アレイトック」のアエルダリとスペースマリーンの「スペースウルフ戦団」における獰猛なる戦士たちは、かの最強大族長を討ち、〈終わらねえ大いくさだァァァア!〉を粉砕すべくそれぞれガズグッカルを襲撃したとのことである。
そのうち後者はほとんどその目的を達したかと思われた。スペースウルフ戦団の強大なる狼団長「ラグナー・ブラックメイン」は過密惑星「クロンガール」にてガズグッカルと戦い、この戦いは両者相討ちで決着するかと思われた。
しかし重傷を負ったブラックメインがルビコン・プライマリスを渡って「プライマリス・スペースマリーン」となって強化されたと同様、アレ医者「グロッツニック」は彼が長年研究を重ねてきた
「新型スーパーオルク・ボディ」
に親愛なるガズグッカルの頭部を接続したのである。
これによってガズグッカルはパワーアップし、これまで以上にデカく、いまだかつて無いほどに恐るべき存在へと変貌した。
装甲に覆われたその図体はもはや生身の大族長というよりもゴルカノートに近く、武装の面でも同様である。
「ゴルクのクロオ」はあまりの巨大さゆえに完全武装のプライマリス・スペースマリーンさえもバラバラにスライスすることが可能である。カスタムシュータ「モルクの怒鳴り」はあまりにも多くのダッカをばら撒くため、犠牲者は赤い霧となるまで倒れることすら許されない。
ガズグッカルはもはや生ける兵器であり、ゴルクとモルクの現世における化身であり、永劫に星々を駆け巡る〈いくさだァァァア!〉の偉大なる予言者なのだ。ガズグッカルの目は既に銀河全域へと向けられている。
そしてその野望が実現してしまうのではという恐れも高まっているのだ・・。
【旗持ち小僧「マカリ」】
ガズグッカルのように恐るべき怪物の懐に入れる存在がいるとすれば、それは大族長お気に入りの旗持ち小僧マカリぐらいなものであろう。この勇敢なる格下小僧は長年にわたってガズグッカルの側につき従い、大族長のいくさ旗をその細腕が出せる限りの勢いで振り回してきた。
ガズグッカルはマカリの長寿を途方もない幸運を誇りにしている。これまでこのお気に入り小僧に襲いかかろうとして不可解にも油で滑ったり、武器が突然故障したりした敵は数知れない。
これはつまり、マカリであっても永遠に生きることはできない、などとかの最強大族長に伝えるだけの度胸を持ったオルクがいなかったということを表している。つまるところ、これまで何十人もの「マカリ」がガズグッカルに付き従って鉄火場へと駆けていき、スクイゴスの尻に敷かれる、「デスストライク・ミサイル」の爆発に巻き込まれる、あるいはたんに老衰で倒れるなどして死ぬたびに、ガズグッカルがその哀れな死に気づく前に、取り巻きによってコッソリと(
またはムリヤリに)他の格下小僧とすり替えられてきたのである。
画像出典:コデックス「オルク9版」(codex:Orks) P18イラストより
【概要】
サイコーにグレイトな
バイク野郎は誰か?文句なしにこのヴァズダッカ・ガズメクである。
ターボエンジン搭載のデカブツが彼の愛車だ…。それはかつてただのウォー
バイクだったが、
今やそれはバイクと呼ぶことさえはばかられる、「マジでヤベえ」怪物となってひさしい。
【生ける伝説】
砂漠の惑星カーサック・プライムでイキガっていた「小僧」(ユーフ)のころから、ヴァズダッカは
バイクいじりにハマっていた。
バイクを解体して組み立て直し、さまざまなチューンアップとカスタマイズをすることが彼のすべてだった。
当時から、
バイクいじりよりも彼が愛したのは一つだけ・・。
仕上げたバイクを乗り回すことである。
ある時ヴァズダッカは、地元のレース「バーニングホイール」で優勝をかざった。その日の朝、ヴァズダッカがガラクタを寄せ集めて作った
バイクでの参加だったが、そんな急造品で優勝をカッさらわれたとあっては、他のバイカーもナットクがいかない。
そして、「てめえの
バイクはルール違反じゃねえか。汚ねえ野郎だ」と言われたわけだが、ヴァズダッカはその場で逆ギレして“大あばれ”したのだ。彼は自前の「ドガドガ砲」(ダッカ・カノン)を撃ちまくり、
村もろともレース会場を焼け野原にするや、怒りさめやらぬ様子で、一人荒野の果てに走りさっていった。
そしてこれは、ヴァズダッカの運命を大きく変える出来事となる。それから何年もしないうちに、ヴァズダッカ・ガズメクは、「生ける伝説」として超有名人になっていた。
彼のドラマチックなタイミングのセンスはピカイチで、いくさ場といういくさ場において、彼はいつでも絶妙なタイミングで“参上”し、接戦をモノにしてきたのだ。アウトローなワル医者に作らせた“目パッチリ薬”を常用する彼は、昼も夜もなくいつでも
バイクにまたがっている。
彼がサドルを離れる時は、彼が
バイクの整備や改造をする時だけだというウワサだ。
【銀河を駆ける爆走族】
やがてヴァズダッカは、ピンで*銀河をツーリングすることに飽きたらなくなっていった。そんなわけで、彼は、行く先々で彼の理想を語りまくり、彼の下には数えきれないほどの爆走族が付き従うようになる。
そしてそれはドンドンデカくなり、銀河を横断する勢いの〈いくさだァァァア!〉となったのだ。ヴァズダッカの〈いくさだァァァア!〉がそれがどんな結末を迎えるのかは、まだわからない。
ただ、銀河のあちこちで、彼らが「超暴走行為」(ハイスピード・メイヘム)をまき起こすことだけは確実だ。
【スカーレックスVI強襲】
今なお続くヴァズダッカの〈いくさだァァァア!〉。だが、実は〈帝国〉領工業惑星「スカーレックスVI」において、彼の〈いくさだァァァア!〉が解散寸前まで追い込まれたことがある。
この惑星において、爆走族のいくさ長がシメるバイカー大軍団は、巨大ロボット兵器「戦王級巨兵」(ウォーロードクラス・タイタン)をかかえる「帝国技術局」(アデプトゥス・メカニカス)の兵団に出くわしたのだ。爆走族の装備する実弾武器では、かのゴッドマシーンのメタルボディにキズをつけるのがせいぜいだったし、デカ野郎がブッ放すメガブラスタは、爆走族をハジからハジまで焼きつくし、惑星の地表をオルクの血と
モーターオイルでビシャビシャにしやがったのである。
かくもスゲえ戦力差を見せつけられ、爆走族はもうダメかとまで思われた。しかし、ヴァズダッカはあきらめていなかった。ヴァズダッカは、戦場を見下ろす台地の上めがけて
バイクを走らせるや、全速力でガケから飛び出したのである。
空中でもエンジンをフカし続け、そのままタイタンのエネルギー障壁「ヴォイド・シールド」へ突っ込んだのだ。ヴォイド・シールドのせいで、ヴァズダッカは
バイクもろとも発火したが、それでもなお、彼はスロットルを開きつづけた。
そう、まるで大気圏に落ちてきた隕石のように、彼と彼の
バイクは燃えながら空をつっ切り、そのままタイタンの「指揮管制室」(コマンドコックピット)へブチ込んだのである。それだけではない。
指揮管制室に突っ込むや、文字どおり燃えるヴァズダッカは中にいたパイロットを全員瞬殺したのだ。この時点で、バトルの決着はついたも同然だった。
かつての〈帝国〉領工業惑星であるスカーレックスVIはヴァズダッカの支配する星となり、かつての「聖工場」(マニファクトラム)群は、ヴァズダッカの〈いくさだァァァア!〉を支える超巨大なクルマ工場になったのである。「今までで一番デケえ敵倒したぜ記念」として、この日ヴァズダッカがゲットしたのが、彼の背中で今なお燃えつづける3つのドクロだ。
そう、それは他でもない。タイタンの筆頭継承者「プリンセプス・ルクレティオ」と、その助手たちのドクロである。
画像出典:コデックス「オルク5版」(codex:Orks) P60イラストより
【概要】
史上もっともグレイトな「奇人野郎」(ウィアードボゥイ)、ゾグウォートは、死地惑星「カタチアン」にあって、地表が皆既日食におおわれた間に生まれた。
彼が自分の繭から生まれでる前からすでに、ゾグウォートは生存との戦いにあったという。
なぜなら、後にゾグウォートを産み出した胞子は、
毒ヘビの巣の中に着床し、発芽してしまったからである。そう、繭の中に眠る胎児のころから、ゾグウォート
赤ちゃんは
毒ヘビにかまれまくっていたのだ。
ヘビの毒は強いものだったが、ゾグウォートは死なずに生まれたばかりでなく、繭からあらわれるやすぐ、ゾグウォートはあたりにいた
毒ヘビにかみつき返したという。カタチアンの月が動いて太陽がその影から現れた時、不気味な光の中に浮かび上がった姿。
それは、土を掘りかえして地表に現れようとする、毒に体をおかされたオルクの幼子であった。かくして地上に姿を現したゾグウォート坊やの両手には、
死んだ毒ヘビがからみつき、その血にまみれた口には、死にかけた別の毒ヘビがくわえられていたそうだ。
【毒使いソグウォート】
ゾグウォートが足をつけた地元の部族において、彼は「神さんのお気に入りかもしれん」と評判になった。なぜなら彼は、
生まれてからというもの、毒ヘビがどんなに近くにいても、絶対に嚙まれないことがわかったからだ。
ヘビたちは、ゾグウォートを攻撃するどころか、かわりにスルスルと彼の体にまとわりつき、彼のキズにまみれた体で暖をとるようになったのである。ゾグウォートは、部族の他の連中とくらべてもなお天気屋で、ブチ切れると手がつけられない若者だったらしい。
体の大きい連中がゾグウォートをイジメようとしてもムダであった。そういう連中は、
ゾグウォートのヒトカミが毒ヘビのそれよりもさらにヤバい毒を持っていることを、身をもって思い知らされるだけだったのである。
やがて、部族の戦士たちはゾグウォートを「モルク神のお気に入り」と呼んでリスペクトするようになり、部族一の有名人となった。
ゾグウォートが生まれてから、たった一年の間での出来事である。
【アレ使いソグウォート】
しかし、ゾグウォートが本当の力を見せたのはこの後のことだ。ついにセーシュン時代をむかえた若人ゾグウォートの回りを、こともあろうに超凶暴なサイキック現象がとりまいたのである。
これを知った部族の長老たちが考えたことは同じだった・・。「あの若いの、奇人になる」。この日以来、若きゾグウォートは“お守りっぺ”たちに預けられ、そこら辺を好き勝手にほっつき歩けないようになったのである。
同時に、その晩から
“何でかわからんがオルクがスクイッグに変わっちゃう事件”
なるものが、部族でたびたび起こるようになった。ある日。ゾグウォートが足をつけた部族は、カタチアンの戦士たちに襲いかかる。
その時、ゾグウォートが見せた力は、部族の戦士たちにとってまさに“神がかった”ものであった。いくさをむかえてコーフンする部族の中にあって、ゾグウォートはナマのグァーグなパワーをその身に集め、地面を踏みならしてはピョンピョン飛びはねまくったという。
そして、限界までエネルギーをためこんだ後、彼は、緑色の光を敵に向けてビャーッと放ったのだ。光がおさまった時、敵がいた場所に残っていたものは、もぬけのカラになった服、持ち主をなくした武器、そして、やたらめったらハネ回る、スクイッグの群れだけだったという。
その後もゾグウォートは色々ないくさで活躍したが、おりしも、帝国防衛軍の一個中隊を「イッパツの緑のビャー」でしとめた時、彼は両方の目玉を失ってしまっている。(これについてゾグウォートに聞くと、じいさんになった今でもなお「わしはあれをワザとやった。モルク神のお告げ。」とうそぶくらしい)
【無頼団での活躍】
やがて、ゾグウォートが年をとり、さらに気ムズかしく、付き合いづらいオルクになってきたころには、部族のいくさ頭だったスカブガッツよりも地元で有名になっていた。これを知ったゾグウォートじいさんは何匹かのスクイッグスネークをつれて部族をみずから離れ、宇宙へと飛び出していった。もっとビッグなオルクの国を探すために。
現在、ゾグウォートじいさんは「無頼団」の一員となって銀河をアレしている。彼は
「グァーグの力が少しでも強い場所」を目指しており、他のオルクからみなぎるパワーを吸い込んで、超巨大バクハツを起こすチャンスを探しまわっているのだ。
事実、現在名の知られたいくさ頭たちの背後には、ゾグウォートの援助が見え隠れしている例も少なくない。彼の伝説はもはや不動だ。
「敵の超強え野郎をイッパツでスクイッグに大変身」させられる男を、他のオルクが放っておくはずもない。
画像出典:カードゲーム「Warhammer 40,000: Conquest」「Old Zogwort」イラストより
ハゲタッカ部隊総帥
【概要】
「超レーコクな殺し屋」(マーシレンス・キラー)にしてシゴキ愛好家、ザグストラック閣下は、「ハゲタッカ部隊」と自称するアラシ兵隊の総統閣下であらせられる。
閣下は、とにかく弱いのがお嫌いだ。
同時に閣下は、
ご自分より下の者をシゴきまくり、閣下のご命令に絶対服従を強いるのがたいそうお好みである。
閣下は、ただでさえいつでもゴキゲンがナナメな方向でらっしゃるが、その上ブチ切れやすく、すぐに誰かを殺そうとする性格をお持ちだ。
閣下は超コワいのである。
【敬拝せし総統閣下】
ハゲタッカ部隊の隊員は、閣下を心の底から超ソンケイしており、閣下の有名な
「ブチ切れムード」の発現を、他のあらゆる敵よりも恐れている。
閣下が口を開かれる時、どなり声よりも小さい声を出されることはない。
また、閣下の目がひとたび「気がタルんでいる者」「臆病者」を見つけると、
その隊員はその場でズバンと処刑される。
それゆえに、どんなに図体がデカく、調子こいてるオルクであっても、閣下の前ではおとなしくなり、従順に絶対服従するのだ。
これはあくまでウワサであるが、閣下は人間の居住地にてこの世にボーン(産まれた)されたという。そして閣下は、生まれるとすぐにそこを脱出され、奥地にいた閣下の「親」部族のもとへ身を寄せられた。
ハゲタッカ部隊の隊員らによると、「生まれたその日から今日まで、閣下は毎日少なくとも一人以上をブチ殺しておられます。」という話で、実際ザグストラック閣下は、誰かを殴り殺す「きっかけ」を常に探しておいでだ。閣下のガンつけを拝見すれば、閣下がいつでも「きっかけ」を探しておられることが分かるだろう。
隊員らに聞けば「閣下がいくさ頭にガンをつけたら、いくさ頭は目をそらしました。」だの「閣下がナーウルフにガンをつけたら、ナーウルフが頭を下げました。」だの「閣下がスクイゴスにガンをつけたら、スクイゴスもブルってました。」だのという話をしたうえ、「これらはまったくもってマジな話であります」としめくくるはずだ。
【愛機ハゲタッカ】
そもそもハゲタッカ部隊という名前は、
ザグストラック閣下の専用機“ハゲタッカ”からとられたものだ。
“ハゲタッカ”とは真紅に塗り上げられたデカいいくさ爆弾ヒコーキである。
ちかごろオルクが使うモダンなヒコーキと比べて格段に旧式なアレだが、そのいくさパワーたるや超ヤバいものであり、武装がとにかくすさまじい。むろん、“ハゲタッカ”がヒリ出す武器の一つにハゲタッカ部隊が数えられるのは当然だ。
いくさの勢いが最高潮を迎えると、ザグストラック閣下率いるハゲタッカ部隊は、高速で低空飛行する“ハゲタッカ”からズバーンと降下をカマし、最前線へと一気になだれ込む。閣下の一声で“ハゲタッカ”の爆弾投下穴がオープンし、ズラリと並んだアラシ兵隊の眼下には、最前線の光景がありありと見えるようになる。
次に、閣下の「総員ロキットパック点火」号令が轟くと、アラシ兵隊の鉄ブーツがドバーンとハネあがり、閣下の敵めがけた強襲突撃作戦開始とあいなるのだ。その際ザグストラック閣下は敵へのご挨拶とばかりにロキットパックに付属しているブリッツミサイルを手当たり次第にブチ込んでいく。
【恐るべきハゲタッカ・クロオ】
このハゲタッカ部隊特有の戦法は、それだけで十分破壊的な戦果をもぎ取るが、この作戦をより恐ろしいものにしているのが、ザグストラック閣下の機械足、愛称
「ハゲタッカ・クロオ」
だ。ザグストラック閣下がスペースマリーンのドレッドノートにナマ足をもぎ取られたあの事件以来、閣下は両足を機械化されておられる。(ちなみに、閣下の足をもぎ取ったドレッドノートは、その後、閣下ご自身がその装甲をひっぺがえされ、動かなくなるまで中身をガジガジにお噛みになった。)
「ハゲタッカ・クロオ」とは、ピストンで動く「パワークロオ」の“足”バージョンで、空から降下してくるや、閣下はこのハゲタッカ・クロオで敵の体に着陸し、胸グソ悪くなるようなサイコーの「グチャ」をお楽しみになる。こうして、昔から恐ろしかったザグストラック閣下は、ハゲタッカ・クロオを備えて以来、さらに恐ろしくなった。
【惑星ザグ】
かつて、惑星「セント・リズモンズ・ホープ」は美しき神殿複合体と礼拝庭園を備えた楽園の如き惑星であった。しかしザグストラック閣下の〈アラシのいくさだァァァア!〉が直撃したことでこの惑星は廃墟と化し、その後閣下のお気に召すように作り変えられた。
今やこの星は惑星「ザグ」と呼ばれており、巨大な要塞や兵隊キャンプ、技術マニ屋の工場に加え、どんな訓練狂のアラシ兵隊でも満足できるだけの広大な行進グラウンドや射撃練習場が設置されている。さらに要塞化された惑星首都“閣下砦”を見下ろすかつての聖山には、捕虜となった〈帝国〉の彫刻師によって巨大なザグストラック閣下の彫像が刻まれているのだ。
閣下の像に見張られながら、隊員たちはより一層の訓練に励むのである。
【閣下の野望】
〈ゴルクのニヤケ面〉こと〈大亀裂〉が銀河を引き裂いてより以来、ハゲタッカ隊員たちはザグストラック閣下の野望がさらに大きくお膨らみになっていることに気付く。閣下はハゲタッカの旗のもとにさらなるアラシ兵隊をお搔き集めになっており、さらにブラッドアックス氏族とゴフ氏族のいくさ組を次々とシバいて傘下にお加えになっている。
どうやらザグストラック閣下は、全ての〈アラシのいくさだァァァア!〉(ストームグァァァグ!)を過去にする〈アラシのいくさだァァァア!〉をおっぱじめようとなさっているようなのである。すでに閣下は惑星「セント・レズモンズ・ホープ」を陥落させ、この惑星を閣下好みにおつくり直しになった。
だが閣下の狂気に満ちた瞳の輝きを見れば、隊員たちは否応に気付くだろう。閣下の野望は決して1つの惑星をお潰しになったぐらいで収まるようなものではないと・・。
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P63イラストより
「ガズグッカルが俺たちをアルマゲドンに連れてきた。ガズグッカルは俺たちに、インゲンどもをブッ殺し、デケえ街を全部ブッ潰せって言ったんだ。いまガズグッカルはどこにいる?ちょっと戦いがキツくなったらさっさと銀河のどっかにケツまくりやがった。まあそりゃ奴の勝手だ。俺たちゃあどこにも行かねぇぞ。アルマゲドンはオルクのもんだ。ガズグッカルが要らねえってんなら、俺のもんにしてやらあ・・。」
【概要】
惑星
アルマゲドンで任務にあたる「帝国防衛軍」(アストラミリタルム)の悪名高き「対オルク特殊部隊」(オルクハンター)隊員は、対オルク戦闘に特化したエキスパートたちだ。そんな彼らが唯一恐れるオルクが一人だけいる。
“亡霊”の異名を持つスニックロットだ。
アルマゲドン・プライムとアルマゲドン・セカンドゥスの間に広がる密林の野営地で、対オルク特殊部隊のベテラン隊員たちは、“亡霊”のことを眉をひそめて語り合っている・・。
ヒザのたけまで草に覆われたジャングルを、一枚の葉音すらさせずに通り抜けられる、悪魔のような敵の話を。彼らは付け加えて、「奴は復讐のためにだけ生きている。奴の目は憎悪の炎に燃えさかっているのさ。」と。
そして彼らは話を締めくくる・・。「奴の手にかかった犠牲者は、両眼をくり抜かれ、出血多量で死ぬまで放置されるんだ。頭の皮をナイフで綺麗に剥がしてな。」と。
【復讐の始まり】
スニックロットは、
はじめてガズグッカルがこの惑星を攻めた「第二次アルマゲドン戦役」の際、誰からもリスペクトされる「特注部隊」(コマンド)の隊長だった。
アルマゲドン・プライムとアルマゲドン・セカンドゥスの間に広がる密林“緑の地獄”に初めて足を踏み入れたオルクたちの間で、スニックロットとその配下はまさに「超一級だぜ」と、おしみないリスペクトを受けていたという。
かくも広大な死のジャングルにあって、スニックロット率いる特注部隊は、部族の主力から離れて潜行任務にあたっていた。しかし、攻撃目標である
ケルベロス基地を目と鼻の先にひかえたその時、スニックロットはショッキングな知らせを受ける・・。
「部族はほぼ壊滅。この緑地に根城を持つ帝国防衛軍のジャングルファイター(カタチアン連隊)どもに奇襲される。」
これを受けて、スニックロットは力なく部下たちに撤退を命じた。
だが、その心は復讐に燃えていた。「まずこの環境をネジふせ、味方につけてやる。人間を殺すのは、それからだ。」
【緑の亡霊】
かくしてスニックロットの復讐は始まった。全面戦争では数で負ける。
それを理解した彼は、ジャングルの奥地に留まり、神出鬼没のゲリラ戦を開始したのだ。
かつての装備を捨て、彼らは緑色の肌があらわになるまで、最低限必要なもの以外を全てはぎ取った。
オルクのタフな体は、
天然のカモフラージュとなったばかりか、過酷な死の密林でも生き延びる力をもたらし、彼はやがて、ジャングルに生える植物がそうであるように、この気候こそが快適と感じ始めた。
こうして気候を味方としたスニックロットらは、ただでさえ伝説的だった隠密戦術と潜入工作のスキルを、さらに高めはじめる。
彼らのスキルはオルクらしからぬ緻密さになった。「真夜中に帝国防衛軍の兵舎に音もなく忍び込み、他の誰にも気付かれずに兵隊を殺した」という話まであるほどだ。
かくして、スニックロットの恐怖伝説が始まった。
そしてそれは今なお終わっていない。
惑星
アルマゲドンに対する〈帝国〉の軍事的努力がことごとく打ち砕いてきているのだから。
【赤いドクロの死神】
「赤ドクロ特注部隊」(レッドスカル・コマンド)。スニックロット隊長率いる特注部隊には、いつからともなくそんな異名がついた。
これは彼らが、
誰かを殺害すると必ず頭皮をはぎ取り、そこから流れ出る血で犠牲者の頭を真っ赤に染め上げるからである。
最初の失敗から50年後、ガズグッカルが再びアルマゲドンに戻ってきたときも、赤ドクロ特注部隊はゲリラ戦を続けていた。
工業惑星
アルマゲドンに林立する多層都市で、スニックロットの名を知らぬものなどいないほど、彼の悪名は高くなっていたことが、50年前との違いだった。ある者は「真夜中に倒した敵の血をすする亡霊なんだ。敵の血をすする悪鬼だ。」と語り、またある者は「奴の両腕に巻いてあるクサリはただのクサリじゃない。兵士たちの識別票なんだ。奴は真夜中、ジャングルに浮かぶ月明かりの下で、殺した兵の名前を順番に数えているんだ。」と叫ぶ。
そしてある者は、スニックロットの使う長いコンバットナイフの話をしてくれるはずだ。今まで何人の高官や高級将校、そして彼らと一緒に寝ていた女が犠牲者になったか・・。
そして彼らの血を、スニックロットのナイフがどうやってすすったかを。
【味方にも恐れられる存在】
惑星
アルマゲドンのおぼろげな薄闇に包まれた多層都市の内部にあって、善良なる〈帝国〉の母親たちは、スニックロットの話を全てが実話にもとづいた恐ろしい伝説を、子供たちに言い聞かせ、子供たちの突飛な行動を戒めている。スニックロットは、おそらく銀河で最も恐怖を受けるオルクであろう。
かの対オルク特殊部隊ですら、自分がスニックロットの次なるターゲットにならぬよう、皇帝に祈りを捧げるほどなのだから。それが今や、多くのオルクまでもが同じ祈りを抱くようになっている。
渾沌のディーモンが惑星
アルマゲドンへと溢れ出した結果、〈帝国〉とグリーンスキン軍の中に、このより大きな脅威に対処するため一時的な共闘を余儀なくされるものもあった。
スニックロットはそのような軟弱な妥協を大いに憎悪し、そのような「罪」を犯したオルクの頭目や族長を次々と始末するようになっていったという。
影の中へ引きずり込まれ、「インゲンとつるむ」ことの警告として生首を晒された頭目は1人や2人ではないのである。
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P65イラストより
無頼団の海賊王
【概要】
バッドラック船長。
無頼団の間でも一番評判の悪いオルクだ。
「あばれスクイッグの目をポンする」ような無頼団の業界で、彼の名前はもはや伝説的ですらある。数十年の長きに渡り、巨大な鉄アゴがご自慢の殺り艦“黒れえキバ”(ブラックトゥーフ)におさまったバッドラックは銀河をマタにかけ、いくつもの星で悪事を働いてきた。
彼の手下である悪党は、「バッドラック船長のギラギラ野郎ども」という、実にヒネりのない名前で知られている。バッドラックの行動範囲は広く、近頃名の知れてきた族長たちは、誰もが一度はバッドラックを雇ったことがあるらしい。
船長はいつも「俺が手助けしたやんなかったら、あいつらの半分はもうくたばってるだろうな。」と実にエラそうに語る。バッドラックとその手下たちがいくさ場でどう戦うかを見れば、それがハッタリでないことがわかるだろう。
【イカしたファッションセンスと武器】
バッドラック船長のファッションセンスは、まさにギラギラ野郎の大将らしいブッ飛び方をしている。「ブル・グロックス」並みに下品な顔、妙にデカいうえにキズだらけの頭、「帝国宇宙軍」(インペリアル・ネイビー)の提督どもから力づくで奪い取った勲章やメダルを一つ残らず身に着けるなど、まあ、その外見は言うにたえない。
しかも、びっしり生えそろった彼の歯は、彼がかつて襲った〈不絶灯の宮殿〉(パレス・オヴ・アンダイイング・ライト)からいただいた、超レアな金属「ウル=ゴールド」とアダマンチウム鋼の合金でメッキされている。そのうえ、船長のキバはあまりにも多すぎ、口からいつでもハミっているのだ、
だからいつも笑っているように見えるが、だがそう見えるだけだ。
また、船長は金メッキされたアーマーで身を固めている。いつでも目がくらむように光るアーマーには、汚れや曇りなどないよう、いつでもサイコーの手入れがされている。
彼のアーマーが汚れるのは、誰かをブチ殺した瞬間だけだ。そして背中の絵文字旗はこれでもかとばかりに船長の最強さを誇示している。
彼のロングコートは鉛ライニングされているらしく、彼の愛銃“コロシ屋”(ダ・リッパ)から漏れているヤバい光線から彼を守る効果があるらしい。どうやら“コロシ屋”は本当にヤバいガンらしく、「近くに立っただけで死ぬ」というウワサだ。
もともと、とある「星区管理行政官」(サブセクター・ガバナー)の護衛だった「オグリン」から頂戴したのだ。ただ、船長は実弾が出るのが気に入らず、不安定ではあるが強力なプラズマ発生器と弾倉を取り替えてしまった。
ゆえに“コロシ屋”は、トリガーが引かれるたび「太陽みてえにマブい」光線が出せるようになったのだ。
【バッドラック船長のカコクでイカしたウンメー】
バッドラック船長は、仲間のバッドムーン氏族出身者たちの手によって部族から追い出された。その理由は、
「この野郎はキバが生えすぎていやがる。フェアじゃねえ。」
からである。
かくして追放されて以来、バッドラックは無頼団の業界で一気にのし上がった。同業の船長たちを一気に追い越し、瞬く間にサイコーなクラスの船長となったのである。
バッドラックの伝説を上げればきりがない。「ガラガック大族長」率いる艦隊に雇われた際、艦隊はティラニッドの巣窟艦隊「クラーケン」の侵攻に直面した。
その時バッドラックは、こともあろうに「ノルン・クイーン」種のいるハイヴフリートの中枢をガムシャラに攻撃するという暴挙に出て、見事クラーケンを撃退したのである。また、〈ドガドガ戦争〉中、バッドラックとその一党はタウ・エンパイアの「狩猟部体」を相手取り、よりによって射撃でタウを撃破するというハナレワザもやってのけた。
果てには、かの「ヴォイドホエール」をタイマンでブチ殺した、という話もあるほどだ。オルクの基準からすると、バッドラックは希代の戦略家でもある。
また、べらぼうに高い「相談料」を前払いできるほどにリッチならば、船長はどんな族長にもその知恵と力を貸す事で有名だ。
むろん、いくさが終わった後、殺り艦“黒れえキバ”に戻って再び旅立つ前、船長は「成功報酬」を請求してくる。
それは、雇い主より先に好きな戦利品をチョイスしてお持ち帰りしてしまうことだ。
それでもなお、大族長たちはバッドラックを雇おうと必死になって彼を探すという。
たとえナイスなスクラップを根こそぎ持っていかれることが分かっていても、バッドラック船長とそのギラギラ野郎どもが敵をギタギタにする光景は、それだけの価値があるのだ。
【バッドラックの近況】
近年、バッドラックの襲撃はますますその大胆さ派手さを増しており、「テリーポータ装置」を駆使して手下のギラギラ野郎たちを思い通りの場所に送り込んだり、あるいはフォースフィールドの泡を使って敵を狩場に閉じ込めたりと八面六臂の活躍を見せている。こうした戦いの技術的バックアップを行っているのが、ワル技術屋「モグロック」である。
このギラついたバッドムーン氏族のすげぇ技術屋はバッドラックに命の借りがある。騎士惑星「アラリック・プライム」を巡り行われたいくさの破滅的な末路において、モグロックを救出したのが他ならぬバッドラックだったのである。
それ以来、バッドラックはモグロックをおおいにコキ使い、ありとあらゆる技術的なアレやコレを作らせているのである。こうしたモグロックの援助により、バッドラックはネクロンの財宝惑星「タンホテップ」を略奪し、〈帝国途絶領域〉内で孤立した惑星を次々と襲撃し、さらには渾沌の戦将「“改悛せし”ナシュガール」の大近衛軍を撃破した。
こうした勝利によってバッドラックの宝物庫は未だかつてないほどお宝で膨れ上がり、“黒れえキバ”は今や超絶カスタムによって多層都市を廃墟に変えるほどの火力モンスターとなったのである。
画像出典:コデックス「オルク8版」(codex:Orks) P67イラストより
手術手術手術!もうずっと手術の時間ですわいなあ。
【概要】
昔からグロッツニックは、ビョーキとも思われるほどの情熱をもって、他人の頭をイジリ回してきた。うら若き頃、オルクの目から見てもハンサムではないゴフ氏族の兵隊が彼のテントに運ばれてきた時、
ガズグッカル
という名のそいつは自分の脳ミソを両手で抱え、ほとんどなくなった頭に必死こいて押し当てていた。
これを見て、医者(ドク)の目がギラリと光ったのは言うまでもない。手術(オペ)を開始して2時間後、すっかり元気になってテントから飛び出したガズグッカルの頭は、ピカピカ新品のアダマンチウム装甲スカルに置き換えられていた。
その後、ガズグッカルが大族長になるまでにかかった期間は、ホンの1週間たらずだったという。
【やべぇ手術】
部族に
「どうやらグロッツニックの手術がキッカケだったらしい。」
というウワサが走ったおかげで、彼のテントの前には、診察待ちのオルクで長い行列ができるようになった。ここでまた、医者の目がギラリと光ったのは言うまでもない。
彼はさっそく部族でも一番リッチな頭目連中のもとへとツラを出し、
「あんたがたも「ガズグッカルになろ手術」を受けんさいよ。」
と、自分からも説得して回ったのである。そんなわけで、このあたりは新型スカルで頭を手術(オペ)ったオルクであふれかえることになった。
しかし、
医者が新型スカルの中に入れたのは、患者の脳ミソだけではなかった。
リモートコントロールでドカンする爆弾も仕込んであったのだ。
それぞれのリモコンは患者ごとにこさえてあり、
しかも医者はそれを見せるどころか、患者たちに一言も言わなかったのである。
何も知らない善良なオルクたちは、「ガズグッカルになろ手術」を受けようと相変わらず行列を作り、グロッツニックはそのウデをふるいまくっていた。
そんな毎日の中、頭目(手術済)の誰かがグロッツニック「センセイ」を怒らせると、
なぜかその日のうちに頭がドカンしてくたばる事件が起こり始める。
これが何件か続くうちに、さすがの頭目連中もナニゴトが怒っているかようやく気付いた。
むろんブチ切れた頭目連中であったが、やはり自らも手術済のために、直接グロッツニックに手出しができない。
そこで頭目連中(手術済)は、ちょっとした事故にを仕立てることにした。
ある日「おっかねえ奴(デフドレッド)の一台なんですがねえ。どうも調子が悪いんで、あいつのケーブルをちょいと見てやってくださいよ」と呼び出されたグロッツニック。だが、待ち受けていたデフドレッドは、調子が悪いどころではなく、殺る気マンマンであった。
デッけえ腕でガッチリつかまれた医者は、そのまま地面に押さえつけられ、
丸ノコで頭をパックリと開かれてしまう。
デフドレッドがズンズンズズンと立ち去った後には、グロッツニックだけが残された。
【復活のグロッツニック】
だが、くたばりかけた「院長」を、彼の格下野郎たちが放っておくはずはなかった。「院長」を見下ろす格下野郎たちの目がギラリと光ったのは、やはり言うまでもない。
くたばりぞこないの「院長」を担ぎ上げた彼らがテントの中へ消えたのは、その日の晩だった。テントからは、すぐさま骨ノコだのハンマーだの打ち鳴らす音があたりに響きだし、ご近所の安眠をおおいにさまげたという。
手術は朝まで続けられた。まさに大手術であった。
グレッチェンたちは必死だった。必死なあまり、開頭状態で固定し、寝かせてある「院長」のドクロの中、だいたいヒジの深さくらいに夜食をズッポリ落っことした者が出たほどである。
また、彼らの熱意はペットにも伝わったらしく、ペットのクモが「院長」の患部に侵入してしまったほどだ。(たぶん暖かくて柔らかそうだったからであろう)
手術の間、体力が低下したグロッツニック院長の心臓は何度も止まったが、そのたびに「院長」の体にはかの「格下つつき棒」(グロット・プロッド)がビシバシあてがわれ、そのショックで甦生を繰り返したという。夜明け前、
新型のメタルスカルをゲットしたグロッツニックは元気にテントから飛び出した。
「院長」の命は助かったのだ・・。
だが、彼の頭はもはや、残念なアレになっていたのである。
月のあかりを浴びながら、彼はニタニタ笑い、大声で唄い、踊り出した。この即興エンターテインメントは、彼が押しまくるリモコンスイッチの音と、遠くから聞こえる爆発音の連続も手伝い、まさに一巻のオペラだったそうだ。このオペラは、押せるリモコンスイッチがなくなるまで続いたという。
【アレ医者の手術センス】
その日から、
グロッツニックの手術センスはよりアレになった。
たとえば彼は、ケガもしていないのに自分の手足を切り飛ばして「サイボオルク」なボディパーツにしている。
理由を聞けば「ヒマだったから」という。これらの部品の持ち主は、患者が気前よく譲ってくれたもの
または、後ろから鉄板で頭をブン殴られて気絶した患者の物らしい。
また、彼の診察を受けようとする気合が入っている野郎は今もなお少なからずいるが、その多くが、自分の脳ミソを生きたスクイッグに挿げ替えられてしまっているようだ。
最近では、患者から提供された内蔵やら手足やらをアレやらをつなぎ合わせ、「スーパーオルク」なる超スゲエ何かを制作中というウワサもある。かくもアレな医者であるグロッツニックが今でも生きていられるのは
「ガズグッカルのカオのおかげだべ」
とされているが、実際にはそれだけではない。
アレ医者グロッツニックは、ケンカもめっぽう強いのである。
【グロッツニックの台頭】
ガズグッカルの取り巻きに収まっていることこそが成功への近道である
と、グロッツニックは確信していた。それゆえゴルク神とモルク神によって与えられた「大事な使命」をのために、かの大族長が惑星「
アルマゲドン」を離れた時、グロッツニックもこれに同行したのである。
ガズグッカルが
ライバル族長を次々とシメ、その軍勢を配下に加えていく中、グロッツニックは抗争によって生まれた死体の数々を見聞し、その中で最高の頭目を検体として回収し、極悪非道な実験に使用していった。さらにグロッツニックは他の「激痛野郎」(ペインボゥイ)をボコボコにすると、これを下っ端助手に加えていったのである。こうした助手たちは文句ひとつ言わずに働く・・。
それも当然である。
一言でも文句を言った激痛野郎はたちまち姿を消してしまうからだ。
噂によるとグロッツニックのビョーインにはおぞましき「脳ミソボット」がうごめいており、その中にはしくじった助手たちの知識が保管されているという。
アレ医者のやりすぎ行為にいくさ頭たちが不満をつのらせていることはガズグッカルも承知しているが、いまのところグロッツニックの熱意に水を差すことは控えている。
果たしてグロッツニックが大族長のために何を研究しているのか、そして彼の壮大なる研究が成就した時にいかなる恐るべき事態が巻き起こるのか、いまだ知る者はいない・・。
【死体泥棒(コープススータ)】
グロッツニック先生はゴフ氏族の中で長らくその腕を振るってきているが、
しかし彼自身はれっきとした「デススカル氏族」である。
最近彼は、デススカル、激痛野郎、そして無頼団を結集していくさ組を立ち上げ、戦場からスクラップではなく
死体を蒐集するという形でデススカルとしてのルーツに立ち返っている。
グロッツニックの“
死体泥棒”たちはまず敵へと殴りこんで死体を増やしてから、グロッツニックのオメガネにかなった死体や負傷者を引きずっていく。このいくさ組には数多くのサイボオルクや、生物学的にカスタムされた怪物「ツギハギ野郎」で構成されている。
ブチ殺りノコギリや巨大な注射をきらめかせ、グロッツニックの
死体泥棒たちは次から次へと戦場を渡り歩くと、グロッツニックの恐ろしい実験に用いるための「材料」を片っ端から搔き集めて特製「ミートワゴン」へ放り込んでいくのである。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Mad Dok Grotsnik」 商品画像より(2021/10/13閲覧)
【概要】
この銀河に、「モズログ・スクラグバッド」よりもタフで不機嫌、そして好戦的なオルクは存在しない。岩スクイッグよりもゴツゴツした革と、カンヅメ野郎どもに言うこと聞かせられるだけの機械義肢、そして超自然的なまでの捕食本能を兼ね備えたモズログは、猛獣掴みたちがなりたいと望む理想の姿である。
不機嫌でそっけなく、常に苛立っているモズログは、グリーンスキンよりもスクイッグを大いに好んでいる。彼はあえて放浪の日々を送り、怪物的な猛獣を次々と狩っている。
モズログの部族仲間は「奴はずっと一人でいるせいで少々おかしくなっていやがるのよ」とうそぶくが、そんな彼らもモズログが持ち帰ってくる獲物の量には感心せざるを得ず、結果としてモズログのしたいようにさせている。だがこうした生活は、モズログの部族が〈いくさだァァァア!〉に加わることで変化を迎えた。
この時、大族長「ゴブグラインダ」は「ユルウィンII」を侵略するさなかであった。その隣にある、峻険な山々と多発する嵐を特徴とする原始惑星「ユルウィンIII」はケイオス・スペースマリーンの「アイアンウォリアー兵団」に属する戦闘集団が基地として用いられていたが、彼らは大量の砲撃によって惑星の巨大動物たちを目覚めさせてしまう。
【危機からの脱出】
モズログが行っていた狩りの最中に、岩盤から姿を現し、モズログを飲み込もうとしたのも、こうした怪物の一つ、「ゴライアス・ガットモウ」であった。モズログの乗騎はこれを生き延びられなかったが、運命のいたずらにより、モズログ自身はキバと暴れまわる舌を避け、生きたまま飲み込まれていった。
彼はガットモウの広大なる体内奥深くで生き延びたのである。モズログの生還譚の中には伝わる中で尾びれがついた部分もあるかもしれないが、一般的な説によれば彼はそこから道を切り開いて脱出し、その過程でこの獣を殺したのだという。
一説によれば、彼が部族の野営地に戻ってきた時、半ば消化されていたモズログは、穴だらけになったガットモウの目玉を、荷物で一杯で粘液まみれのズタ袋のように引きずっていたという。
【狩人の伝説】
これに感銘を受け、そして少々ビビったゴブグラインダは、生還したモズログに機械強化を施すよう腕利きの激痛野郎に命じた。後に猛獣狩りと呼ばれるモズログは、この臨死体験によってすっかり変わってしまった。
彼は常に大きく、より凶悪な獲物を追い求めるようになり、そのサイズは彼を死の淵に追いやったゴライアス・ガットモウさえも超えるようになっていった。オルクの中には「モズログを殺せる奴なんざいねえ。」と言う者も居れば「アイツはそのうちホシだって狩っちまうぜ。」と言う者も居る。
真実はどうあれ、モズログは今や彼にあこがれる連中や取り巻き、
ライバル志望の奴らで構成されたいくさ組を従えており、そいつらはモズログとその狩りを追い回しては、その素晴らしい殺しの栄光の分け前になんとか預かれないかと願っている。モズログの信奉者のあまりの多さから、モズログこそが全ての猛獣掴みのいくさ組を代表していると見なされることも多いという。
【ビッグチョンパ】
手に負えないスクイッグ、スクラップ泥のワル獣、ノルバック親分のバギーを喰っちまった犯人、モズログの愛騎となるまで、ビッグチョンパには数多くの異名があり、これまで垂れ場から這い出してきた怪物の中で最もワルくて凶暴だともっぱらの評判であった。しかしそんな強固極まりない怪物も、モズログのひと睨みで大人しくなったのだという。
しかし実際のところ、モズログは三日三晩に渡ってビッグチョンパを打ち据え、殴り、追いかけ回し続け、ようやくかの最強スクイッグザウルスの背に乗ることを認めさせたのだという。その日以来、モズログとビッグチョンパは決して離れることなく過ごしている。
噂によれば、これはたとえ一分でもモズログが離れてしまえば、ビッグチョンパが寂しさのあまり大殺戮を繰り広げてしまうからなのだという。
画像出典:コデックス「オルク9版」(codex:Orks) P32イラストより
チビどもは死ぬほど使えるぜ。こいつらはオルクじゃ入れねえ隙間にも入れるし、物を取って来るのも得意だ。地雷を掃除するのも役立つし、いざという時にゃあなかなか美味しいしな!
【概要】
ほとんどのオルクは「格下小僧」(グレッチェン)たちのことを、雑用を押し付けたり食用にするしか能の無い役立たずだと考えている。
だが、ゾッドグロッド・ウォートスナッガの考えは違う。
この凶暴な目をした放浪者は、最強で超ワルい小僧を生み出す秘密を知っており、一番高値を付けた雇い主にその力を貸すのである。
ちび飼いはオルク社会でも少々変わり者とみなされている。
彼らは格下小僧と好き好んで関わるだけでなく、蹴っ飛ばしもせずにチビどもを訓練しようとしている。ちび飼いは口承で歴史を伝える風習を持ち、怪しげな発明品や、同族どものバカ騒ぎに付き合うほどのノリの良さは持ち合わせていない連中だ。
さらに彼らは、スクイッグのクソにまみれるという悪習(というより悪臭)が存在する。そうすることでスクイッグ檻に入っても喰われにくくなるらしいが、オルクの基準から見てもさすがに反社会的だ。
こうした性質にもかかわらず、オルクたちはちび飼いたちを許容するだけでなく、彼らに一種のリスペクトさえも抱いている。なにしろ彼らのおかげで、部族の格下や鼻垂れどもが足元をチョロチョロせずに済むのだから。
しかし、ゾッドグロッド・ウォートスナッガはそうした普通のちび飼いたちとは訳が違った。
【忠実なる格下小僧】
ゾッドグロッドは常に一つの奇妙な考えを抱いていた。彼は小僧だけでなく、わずかではあるが、スクイッグさえも訓練できると確信しているのだ。ベルや美味しいキノコ、そして激痛野郎特製の血清を用いることで、彼はより優れた格下や鼻垂れ、そして様々なスクイッグを繁殖させることに成功した。
ゾッドグロッドの動物園はどんどん大きく、強く、そして凶暴になっていった。彼らは心配になるほど高い問題解決能力を有しており、ゾッドグロッドの命令に忠実過ぎるほど忠実に従ったため、ゾッドグロッドは本来他のちび飼いが使用する「格下つつき棒」を使う必要さえなかったという。
【激昂のちび飼い親分】
彼の丹精込めて鍛え上げた格下小僧は「特上小僧」と呼んでおり、通常のグレッチェンよりも高い能力を有していた。ただゾッドグロッドにとっては悲しむべきことに、オルクたちはこの新しい考えを認めようとはせず、彼の部族においても特上小僧の価値を理解するものはほとんどいなかった。
ゾッドグロッドの血統書付きスクイッグがどこかの騒がしい爆走族のタイヤの下敷きになるたび、興味なさげな頭目の尻で潰されるたび、面白半分のオルクに撃たれ、バラバラにされ、喰われるたび、ゾッドグロッドはさらに孤立し、他のオルクに敵意を抱くようになった。ある日、彼の部族にいた「オズモグ」という名の技術親方が、自分の「ショックアタックガン」のワープトンネルに彼の特上小僧を片っ端から放り始めた。
それは特上小僧を危険な〈歪み〉の空間に放り込んでどこかに転送してしまうという、あまりにも過酷な扱いであった。自らが手掛けた特上小僧を踏みにじられたその時、ゾッドグロッドの堪忍袋の緒が切れた。
「思い知らせてやらあ!」
部族のオルクたちはブチ切れたゾッドグロッドがオズモグを圧倒したその手際に大いに感銘を受け、一介のちび飼いがどうやって技術親方をショックアタックの吸入口に入る大きさまで潰したのかしきりに不思議がった。
しかしそれでも、ゾッドグロッドと生き残りの特上小僧たちは部族からの追放を余儀なくされる。
【無頼のちび飼い親分】
しかしこれは皮肉にも、ゾッドグロッドにとって最高の境遇であった。
一般オルク社会から解き放たれた彼は無頼としての生き方を受け入れ、格下小僧を鍛える腕前を他の部族に売り付けつつ、その使われ方を監視することができるようになったのだ。
確かに最初は、わざわざ格下の手を借りようなどという客は稀であった。だがゾッドグロッドはあきらめず、キバを叩いて風変わりな血清の数々を買いあさり、特上小僧たちの能力と凶暴さをさらに伸ばしていった。さらに彼はピストン駆動のつかみ機能付き超高電圧格下つつき棒、名付けて「ビリビリ掴み」を発明するとともに、「スクイッグコロリ」を名付けた強力な「コンビニードル・スラッガ」のシリーズを改良し続けている。
現在この強力なスクイッグコロリはバージョン5であり、特別調合の血清が注入された注射弾を打ち込むことが可能である。あるいはゾッドグロッドのあまりにも強い信念こそが、実際の科学的成果を越えて彼の仕事を発展させているのかもしれない。
いかに頭のニブいいくさ親分でも、今ではゾッドグロッドの狂気と傭兵としての腕前を認めているほどである。ひとたびゾッドグロッドご自慢の超高代謝型特上小僧たちが口から泡を吹きながら敵を蹂躙し、猛烈な凶暴さでキラーカンを操縦し、メクガンをオーバーヒートさせながらメッタ撃ちしているのを目にすれば、ゾッドグロッドを雇う価値も分かろうというものだ。
画像出典:コデックス「オルク9版」(codex:Orks) P33イラストより
野郎ども!いくさの準備だ!(オルクの兵種と兵器)
オルクのアレやコレ(小ネタ)
オルクの英語版の表記は
「Orc」
ではなく
「Ork」
であり、最後のCがKに変わっている。これは、
本家ウォーハンマーFBで登場する「オーク」と区別をつけるためである。
英語圏のインターネットでは
「ダッカ」(Dakka)
というスラングが使用されている。
このダッカというのは、オルクが連射銃が出す発射音の擬音及び撃ち出す武器のことを表している。(日本語版では「ドガドガ」と訳されている)
それと同様、英語圏のネット上でも
銃を乱射、連射することを「ダッカ」と呼び、ネットミーム及びスラングとして主にFPSなどのゲームプレイ時で使用されている。
オルクが負けるこたあねえ。俺たちが勝てば勝ちだろ。もしくたばったら、それはそれよ。そもそもおっ死んだんだから、結果はどうでもいいだろうが。まあ、もし逃げなきゃいけね時があっても、それも負けじゃねえ。また戻ってきてブチのめせばいいんだからな。
さあ、そろそろ時間だぜ?この記事読んでるあんたの出番だ。あんたがこの記事を追記・修正することで、この記事はもっとビッグな記事に近づける!
他の記事よりもデケえ記事になってアニヲタWikiで一番イカした記事にしてくれよな!そしたら俺たちオルクがどの記事よりもサイキョーよ!!
緑はサイコーだぜ!!
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- オルクに侵攻されると惑星全体が汚染されるので、帝国は惑星破壊爆弾で浄化したりしている(ゲームの設定) -- 名無しさん (2021-10-13 22:10:03)
- 遂に来たか暗黒の世紀のエンジョイ勢 -- 名無しさん (2021-10-13 22:30:29)
- メタ視点でも、善寄り勢力の人類とかエルダーの設定が救いが無さすぎて、オルクの何にでもオチがつく生き様に癒される -- 名無しさん (2021-10-13 22:55:43)
- ケイオスの四大神が降臨しようとティラニッドの全巣窟艦隊が結集しようとこれだけは言える。オルクは決して滅びない。 -- 名無しさん (2021-10-13 23:03:28)
- 長・・・過ぎ・・・ 40kらしいと言えばらしいが、ページ分割出来そうでない? -- 名無しさん (2021-10-13 23:13:11)
- AoEのクルールボーイに相当する細身のやつらが、いつかは登場するかな? -- 名無しさん (2021-10-14 00:53:46)
- 緑よりも赤のほうが最高ですぞ!! -- 名無しさん (2021-10-14 01:15:53)
- hkま -- 名無しさん (2021-10-14 01:34:02)
- ↑ミス 他の勢力が揃いも揃ってディストピアだったり世紀末だったりする中、戦う事が至上の楽しみでそれしか頭にないからお先真っ暗な銀河でもハッピーに生きてるって、皮肉なような納得なような -- 名無しさん (2021-10-14 01:35:19)
- ストレスないです、どんな環境でも0から宇宙間航行できるまで文明発展できます・・・なんだこのチート -- 名無しさん (2021-10-14 20:24:49)
- 「10という数は5を意味するルーンを2つ書かれ」なるほど5進数か→「100は5を意味するルーンを25個書くことによって6以上の数を数えることが可能となっているのである」やっぱ脳筋バカだわ -- 名無しさん (2021-10-15 15:31:18)
- オルク、俺達がファンタジーで求めてる蛮族をすべて満たすので大好き…、あとガズグッカルについてかかれてるとヤーリックの解説も欲しくなるよな… -- 名無しさん (2021-10-15 21:27:33)
- 今更だけどこの記事の最後のセリフスゲェ気持ちよくて痺れるわ……蛮族だけど物凄く清々しいわ -- 名無しさん (2021-10-16 07:44:10)
- どの訳もいいけれど、やっぱりwaaagh!は、元のほうがいいな。雄叫びと戦争という単語が調和してる -- 名無しさん (2021-10-20 19:34:02)
- ティラニッドに食い尽くされた星でも時間かければ繁殖できそう -- 名無しさん (2021-10-20 19:48:24)
- オクタリウス戦域において、ティラニッドはオルクを食らい力を増す。そしてオルクはティラニッドと戦うことで健康になり力を増す。共倒れを狙ったらこのありさまだよ。 -- 名無し (2021-10-20 22:24:46)
- ↑ それでも共倒れにならなかったということは集合意識体がオルクとの戦いから手を引いたのかな? -- 名無しさん (2021-10-21 21:52:10)
- 他の種族のネームドキャラ紹介はダークで重厚なのに、オルクのそれはどいつもめちゃくちゃな奴ばっかでホント笑うわ -- 名無しさん (2021-10-21 22:17:36)
- ↑×2 まだ続いてる それで一応ティラニドの進行は止まってる -- 名無しさん (2021-10-21 22:42:49)
- ↑ ハイヴマインド的にはオルク喰い放題でウハウハなんだろうか。長期的に見たらオルクが優勢になっていくような気が。 -- 名無しさん (2021-10-22 21:57:24)
- ↑優勢にならないように帝国やアエルダリが妨害工作と防衛線の構築を行っていた。けれども、ついにオルクとティラニッドの両方があふれ出したぞ。 -- 名無しさん (2021-10-23 14:27:55)
- 視点を変えると、強大化したティラニッドの戦力を以てすらオルクを崩せなかったということなんだよな。冗談抜きで銀河最強を名乗る資格のある種族だと思う。 -- 名無しさん (2021-10-23 22:09:33)
- 「オルク達には自分達の祖となった知的種族の伝承があり、遺伝学的にも何らかの知的種族による遺伝子操作があったらしき痕跡がある」「本能的に戦いを求め、痛覚すら持たず戦いをためらうような一切の情動を持ち合わせない」「オルクの遺体からは更なるオルクや、オルクの居住に適した菌類が発生するオルクの遺体そのものが環境改造装置として作用する」……なんとも種の起源が気になる話だけど、絶対オルクから真実は知りようがないのがまた…… -- 名無しさん (2021-10-23 23:48:01)
- 50Kぐらいになったらこの宇宙にオルクとティラニッドしか残ってなさそう。 -- 名無しさん (2021-10-26 12:58:35)
- 別作品だけどアラガミみたいな生物の形をしているだけの全自動テラフォーミング装置じゃないのか?こいつらって -- 名無しさん (2021-10-26 18:16:58)
- ↑×3設定が変更される前のネクロンのコデックス(4版)では、〈旧き者〉が〈天界の戦争〉末期に「緑色の肌(グリーンスキン)をした頑健なクロルク」なる種族を作り出したらしい。古い設定だからあくまで参考程度に。 -- 名無しさん (2021-10-27 18:58:24)
- まあ、旧設定だとオルクの魅力が削がれちゃうからね、なんだかよくわからないやばい種族、それがオルク…、我々はオルクを前にして考察せずにはいられない -- 名無しさん (2021-10-28 23:33:48)
- 生物面でも社会面でも、ある意味完結及び完成されているから、結構感心している。 -- 名無しさん (2022-07-06 19:44:03)
- すごい絶妙な設定の種族、どう考えても文明を維持できなさそうに見えてちゃんと機能不全を起こさないようになっているというか -- 名無しさん (2022-07-06 20:30:20)
- ガズグッカルさん、MTGコラボで「兜砕きのズルゴ」のイラスト違いカード(一応カード名はガズグッカル名義だけどルール上は「兜砕きのズルゴ」扱い同テキストのイコリアゴジラコラボ組形式)になるみたいだけどどうなるんだ。ウォーハンマー世界じゃガチで侮れないオルクの大ボス格みたいだけど、兜砕きのズルゴってMTG側だと結構なネタキャラだぞ…… -- 名無しさん (2022-10-09 23:09:00)
- 彼ら…特にゴフ氏族の気質的に互いに乱闘を始めたらどちらかが死ぬまで闘い続けるのかなあ? -- 名無しさん (2022-10-10 02:04:36)
- JOYTOYのアクションフィギュアにオルク主役のアクションゲームまで・・・野郎共の時代来たな! -- 名無しさん (2022-11-02 00:09:00)
- アクションゲームではノブから始まりジーンスティーラーパトリアークやインペリアルナイト果てはストンパまでタイマンで相手にするオルクはやっぱサイキョーよ -- 名無しさん (2022-11-03 19:14:20)
- オルクはこのゲームの世界観に全く合わない勢力であると同時にこのゲームの世界観を完全に体現した種族。矛盾?そんな言葉はオルクには無い。 -- 名無しさん (2022-11-04 22:13:09)
- 無類のブロックチェック好き種族 -- 名無しさん (2023-04-13 02:18:38)
- タタカイダイスキを地で行くからコーンからは好かれそうだけどそんな事は無い不思議さ -- 名無しさん (2023-04-14 18:32:10)
- 馬鹿すぎてケイオスが現実世界に顕現するための恐怖や苦痛といった精神的エネルギーに乏しいから信者にできないどころか信者になりうる人間とかぶち殺しまくる オルクの神であるゴルクとモルクがいくさの神だから自分が信仰対象にならない コーンからしても目の上のたんこぶというかお前らさぁ…な連中がオルク 緑はサイコーだぜ! -- 名無しさん (2023-04-14 19:01:01)
- 高齢化、経済格差、性差etc……この手の文明社会がたいていの場合抱えることになる諸問題を種族的特性ととんでもねえ脳筋思考で大体全部解決しているサイコーな種族。 -- 名無しさん (2023-05-13 12:05:20)
- 戦争が繁殖にガッツリ繋がるから「おんなきしだァァァア!」の感覚で「いくさだァァァア!」と言ってるのかしらん -- 名無しさん (2023-11-03 17:59:34)
- こいつらの族長が討たれたら途端にパニックになって敗走する性質なんなん?これさえなければとっくに銀河の覇者になってただろ -- 名無しさん (2024-03-25 22:47:55)
- オルクの頭がいるからギリギリ保ってた統率力を失うから後は好き放題やって自滅する -- 名無しさん (2024-11-18 18:09:56)
- そういう意味でも「状況が悪くなったら撤退を選べる」「部下に個々の〈いくさだァァァア!〉を率いさせて手が届かない戦場を任せることができる」ガズグッカルは最強大族長と呼ばれるだけの頭脳と度量の持ち主 -- 名無しさん (2024-12-28 10:01:14)
- これでもギンガワの多くを支配していたウラノール帝国時代や科学技術の面で人類帝国を凌駕していたビーストの帝国(遺伝子操作でアスタルテス並に頭の良いオルクや衛星を作り出す技術云々で技術の暗黒時代並のハイテク国家)に比べると確かに今のオルクは衰亡しているし、ガズグッカルが危機感を抱くのもわかる -- 名無しさん (2025-01-16 14:34:08)
最終更新:2025年02月09日 17:51