野球で戦争する異世界で超高校級エースが弱小国家を救うようです。

登録日:2022/02/04 Fri 00:04:00
更新日:2024/08/31 Sat 00:03:19
所要時間:約 10 分で読めます





『野球で戦争する異世界で超高校級エースが弱小国家を救うようです。』とは、『月刊少年シリウス』に連載されていた漫画作品である。全10巻。
(単行本としての発売は全10巻の内7巻までとなり、8巻~最終10巻までは電子書籍のみとなった。)
タイトルが長いので公式通称は「異世界エース」。
原作は『落第騎士の英雄譚』や『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』の海空りく、作画は『WILD WIGHT WEST』の西田拓矢。
なろうっぽいタイトルであるが、マンガのみであり特に原作小説があるというわけではない。
コミックス1巻のあとがきによると元は小説として考えていたとの事。

あらすじ

超高校級球児が異世界で野球に挑む!
甲子園からの帰路、命を失った常夏太一。
未練を残したまま死んでしまった太一が、行き帰り元の世界に戻るためには、
野球で全てを決める異世界で弱小国家の人々を救う必要があった!?

異種族の身体能力を相手に、最新の理論に裏打ちされた技術で勝負を挑む――!
(公式紹介分より)


概要

タイトル通りの内容としか言えないが、獣人等もいる異世界「ガリア」を舞台に冒険等はせず、真面目に野球だけをやっている辺りは逆に新鮮かもしれない。
戦争を止める為に神により強制的に争いを禁じられ、代わりに野球で決着をつけるようになったのも30年前と古い話ではなく、暴力による戦争時代の人間も年寄りを中心に数多く生き残っている。
その為、野球についてはまだ未成熟であり、カーブ等の変化球が「魔球」として人間には投げられないと思われてるレベル。
魔法等も存在する世界ではあるが野球の試合においては魔法の使用は禁止されており、現実同様、選手の身体を鍛えて試合に臨む。
しかし狼の獣人は鼻が利く、兎の獣人は足が強い等、人間とは異なる異種族の身体的特徴から、野球については未成熟ながら一部の能力は現実の人間を超えている。
肉体を活かした野球に対し、現実世界で積み重ねられてきた数々の野球理論を活かして戦うのが本作のウリである。

それとは別に作画の趣味もあってか、女性の下半身の描写には力が入っており、特に尻については読者から今回のノルマと言われる程、毎回力が入っている。
原作者はこの点でもって小説ではなくマンガにした事を強く喜んでいる。


各国及び主要人物

【フリーダム】

ガリア東部に位置する主人公の転生先の国。
ある事情から過去に大敗を喫してそこからは負けが込んでおり、主人公が呼ばれた時点で既にほぼ国が潰れる直前の状態。
野球においても主力となりうる成人男性は奴隷として他国に奪われてしまっており、物語開始時点で残っているのは女子供と老人のみ。
それでも人数が足りず犬まで混じっていた。
キャッチャーは(見た目は若いが)四十肩で肩を上げるのがつらく、外野は老人のみなので、打球が外野まで飛んでしまえばどうしようもない。
主人公が到着した時点でやっていた試合も「55-0」と一方的にも程がある試合になっていた。

  • 常夏太一(とこなつ たいち)
MAX158kmのストレートに多種多様な変化球*1を持つ本格派右腕で、夏の甲子園で通算打率7割のスラッガーという怪物高校生球児
というか、野球に必要な才能はほぼほぼプロ選手レベルの物を持っている。
プロでの活躍も期待されていたが、甲子園の帰り道にバスが事故り死亡。
死後、神に呼ばれて復活のチャンスを与えられ、異世界に転生する。

野球に関しては技術だけでなく知識もかなりの物を持っており、それを元に敵チーム攻略、チーム育成にと頑張っている。
野球については真摯に取り組みながらも楽しんでやる物という信念を持っており、戦争代わりになった事で野球で汚い事をしたり苦しめたりといった事が起きている現状には否定的。
人当たりのいい性格ではあるが、戦争代わりの野球で負けられない状況と言う事もあり、敵味方問わず厳しい物言いをする事も多い。核心を突いた(常識的な範疇での)挑発や煽り、ささやき戦術も積極的に使う等、舌戦も一流。

フリーダムに於ける打順は3番または4番。右投左打。

  • クルーシェ
太一が来る前のフリーダムのリーダーでエースでメインヒロイン。ケツがデカい。
女騎士という種族で野球の邪魔にならない程度に鎧を着ている。
(鎧を脱ぐのは負けて虜囚になった時だけらしい。種族とは一体。
性格も女騎士といわれて想像するタイプ。
130km超えのストレートが持ち球。*2コントロールもいいがストレートしか投げられない。

太一との勝負に負けチームのエースを譲り、後にキャッチャーに転向。
最初は他に適した人材がいなかった為だったが、訓練の末に太一の球を受け止められるようになり、太一の恋女房(野球的な意味で)としてチームを支えている。
打順は主に1番。右投右打。

  • アティ
ドワーフ族の女の子。
見た目は太ましい幼女。
小柄ではあるがドワーフ族らしく力が強く器用で、太一からも「良いバッター」と認められるほど打者としての能力は高いが足は遅い。
バッターとしての思考能力は高いがその思考が鈍目な為、色々考えている内に投げられてしまい、太一が来るまでは結果は振るわなかった。
当初は一塁手だったが三塁手へ転向。打撃開眼以降不動の2番打者としてフリーダムを支えた打撃巧者。右投右打。

  • ニーナ
アティの母であり太一が来るまでのキャッチャーで四十路。
唯一残っていた働き盛りの大人。
太一が来た後はクルーシェがキャッチャーとなった為にファーストを守っていたが、四十肩のせいで肩が上がらないので、ヴォルフスムント併合後はサポートへと回った。
フリーダムを精神的に支える皆のお母さん。右投右打。

  • アリス、イリス
サキュバスの幼女姉妹。アリスがショート、イリスがセカンドの所謂二遊間を守る。
種族柄異性への嗅覚は鋭く、それが反応しないので二人ともユーリが女性だと最初から気づいていた。
太一からも信頼される守備力を持つが打力に乏しく、8番と9番の下位打線で起用されている。
アリスが右打ち、イリスは左打ち。

  • トメ、イトウ、ジョニー
フリーダムの老人達。
人数合わせとしか言いようが無く、入れざるを得なかった対ヴォルフスムント戦では外野に置かれていたが実質戦力外。
ヴォルフスムント併合後は当然ながら選手を抜けた。

  • マロン
ガリア所属の妖精。
明るい性格で太一にこの世界での常識やルールを教えている。


【ヴォルフスムント】

人狼族が中心の国で、身体能力の高さを活かしてフリーダムに圧勝していた。
人狼族は身体能力の高さ、特に足の速さが特徴。また目が少し悪い分、耳と鼻は凄く敏感。*3
フリーダムを相手に勝利を重ねて領土を奪い取る等していたものの、実はウォーターシップタウン(WST)への負債も多く、生存税を支払ってギリギリ生き残っている状態。

  • ユーリ
ヴォルフスムントのエースで狼の獣人族。右投右打。
持ち球はカーブ。
背の低い男の子に見えるが、実は女の子。
狼は女性が群れを率いるが他種族は男性主体な事が多い為、下に見られないよう表向きは男のような見た目をしている。

鋭いカーブでフリーダムを翻弄していたが、フォームに癖がある事を太一に見抜かれチームに打ち込まれてしまう。
敗北後は酷い目に遭うことは分かった上で国の負債を一人で背負ってWSTに自身を差し出したが、太一がヴォルフスムントを負債を含めて全て奪った為、救われる。
以降は元ヴォルフスムントのメンバーのまとめ役をしつつ、フリーダムのレギュラー選手兼控え投手として鍛えている。
太一には男だと思われていた為、重要な話をする為にと(悪意無く)風呂に誘われ、混浴してしまう。

  • ファラ
ユーリの妹。外野手でフリーダム戦では三番、WST戦では四番を務めた。左投左打。
身体の肉付きで選手としての力量を見切るなど、鋭い眼力の持ち主。打撃センスも嗅覚に頼らずして高レベル。
そして重度の尻フェチ。太一のは特に絶賛していた
ユーリと同じく、敗北後はフリーダムのレギュラー入り。

  • ダックス、ドーベル
元ヴォルフスムントのメンバーで、低身長でよく喋るのがダックス*4、高身長で寡黙なのがドーベル。
敗北後はフリーダムのレギュラー選手となる。
野球選手としてはちゃんと活躍しているが男の脇役なので、この漫画では影が薄く出番らしい出番が無い。

  • リアム
ヴォルフスムントの監督妖精。
ちょっと生意気なギャルっぽい雰囲気の妖精。
マロンとは幼馴染。


【ウォーターシップタウン(WST)】

兎獣族という兎の特徴を持った獣人の国。
種族的特徴として力は非力だがとにかく足が速く、短距離の俊敏性と全身のバネの強さ、そして視野の広さを持っている。
それらを活かした足でひっかきまわす野球を得意としている。
フリーダムを裏切ったドレイクも所属しており、フリーダムの2つ目の試合相手。
兎獣族は戦争時代に力の弱さから虐げられた種族であり、戦争のルールが変わった後は野球への適正の高さから今までの恨みを返すために容赦なく他国に侵略している。
ルール違反ギリギリの行為*5も数多く行っており、自国のグラウンドは兎獣族に有利なように土の下に細工も施している。

  • ドレイク
全種族で最も身体能力が高いと言われている竜人族の青年で元フリーダムのエース。
クルーシェの父に拾われクルーシェ達とも共に育った仲だが、種族的特長から国のエースとしてメキメキ成長した結果、最悪の形に増長
チームを力で支配し続けた挙句に大事な一戦でWSTに寝返りわざと敗北、国を売ってWSTへと移った。
当然ながらクルーシェ達フリーダムの住民からは売国奴として憎悪あるいは恐怖の対象となっている。

フリーダムに対しては恩義は一切感じておらず、自身の歴史に関われた事を光栄に思えとまで言い放ったほど。
そういった性格からキャッチャーであるエルアライアーともドライな関係であり、打たれた時にはエルアライアーの采配ミスとして文句を言っていた。

スライダーを決め球にしており、その曲がり方は太一でも初打席では三振を取られる程。加えて回を追う毎にキレを増すスロースターター型でスタミナも優れていると本来なら大口に見合うだけの実力はある。
しかし、スライダーに「使われている」「頼り過ぎている」事を確信した太一*6の作戦にハマってしまった結果...

  • エルアライアー
WSTのリーダーにして、チームのキャッチャー。
虐げられた老人達の怨念を背負っており、かつての恨みを返す為に手段を選ばず他国に勝利を続けている。
チームメイトに対しても役立たずは問答無用で切り捨てる等かなり厳しくあたっており、恐怖でチームをまとめている。*7

キャッチャーとしてのレベルは高く、キャッチング技術と戦術で制御の利きにくいドレイクの球を制御している。また、フレーミング等も使いこなしている。
ドレイクとは協力関係はあっても親交を持っているとは言えず、エースとして勝利に貢献しているドレイクに対しては進言はできてもあまり強い事は言えない様子。

  • インレ
エルアライアーの妹。「死神インレ」の異名を持つ諜報・工作員兼選手。
スライディングキャンセルや減速無しのターンなど兎獣族随一の走塁技術を持つ。

だが戦争の恨みを別のやり方で繰り返している事には否定的で、エルアライアーの命令でフリーダムの国を焼いた際には事前に中の人を避難させる等、できる範囲で兄には逆らっていた。

後に特使としてフリーダムに加入し兎獣族特有の俊足と走塁技術を買われ1番打者として起用される。

  • リドル
WSTの監督妖精。
スーツを着て眼鏡をかけた優男風の見た目をしており性格は非常にドライ。
休戦協定の穴をつく行為については穴をついてる時点で違反ではないと考えており、神が厳しく動くようでは気が休まらないとまともに働く気もない。


【ドワーフの国(国名不明)】

親戚がいる事もあってかフリーダムとは良好な関係を築いており、太一の望む訓練道具を作ったり、練習試合をしたりと交流している。

  • ガモン
ハゲでサングラスをかけたエロじじいというどこかで見たようなじじい。
ニーナの旦那の父であり、アティの祖父。
孫であるアティの女性的な意味での成長を喜ぶ等、ちょっと危ないじじい。
ドワーフの種族の特長を活かした力任せな野球には苦言を呈しており、理論的な選手育成を考えているが、国内の人間からは理解されていない。
その為、太一の考えには強く理解を示しており、太一の望むアイテム(フラフープ)を作ったり、太一の特訓にもなる野球ダンジョン*8を開放したりとフリーダムに協力している。
また、戦争をしていた時代の人間でもある為、戦争時代に苦しめた種族に対しては心苦しくも思っている。



【その他】

物語冒頭、神の住居である(見た目四畳半の)部屋に死んだ太一を呼び出した神。
パッと見は野球狂いでなんJ民のハゲたじじい。
神としてのルールによる制限はあるようだが人智を超えた力を持っており、太一の初めてのオ〇ニーのオカズまで知っていた。

大の野球好きであり太一の事も応援していた為に、事故で死んでしまった際には酷く動転していた。
太一の死を強く惜しんでおり、異世界で国一つ救うくらいの徳を積めば現世に生き返らせてやれると太一に提案。
以降は観客席から試合の様子を眺める等、傍観者として太一を応援している。

  • 女神
転生先の異世界を統べる神。
野球ですべてを決める世界になったのは上記のハゲじじい神の意見が元のようで、野球のルールはまだしも駆け引きにはあまり詳しくない。
太一の転生については、ハゲじじい神の横槍があった事に怒っている。
普段は妖精の目を通してルール違反を咎めている。


用語

  • 休戦協定
神の制定した争いを禁じる世界のルール。
各国の妖精が試合における審判兼休戦協定の監視役となっており、暴力沙汰があった際には神により罰せられる。
ただし「妖精の目を通さなければ」破っても罰は無く、盤外戦術が行われたり、一部の妖精は国の味方をしてわざと問題を見ないようにする等、抜け道も多い。


  • 決戦
国家存亡をかけた一戦。
負けた国は勝った国に併合される。
太一加入後のヴォルフスムントとの初戦開始時に太一(フリーダム)から早速提案された。
本来なら滅びかけの村と(実はWSTに負債が多いが)発展した町ではつり合いが取れないが、「ヴォルフスムント側は一点でも取った時点で勝利」の特殊ルールを提案した上で更に煽りも入れた事で了承させた。

  • 魔球
現代野球における"変化球"の、「ガリア」においての総称。
一種類でも扱えれば一国のエースにのし上がれるほど重要なウェイトを占めており、投球方法はさながら現代の最新兵器の製造方法のように国家最重要機密として国毎に秘匿されている。
野球が出来てから30年と日が浅く*9、現実においては近年でも新しい変化球が生まれている事を考えれば、この扱いも妥当といえる。
ちなみに現実においても19世紀後半にキャンディ・カミングスが初めて(諸説ある)カーブを投げて「魔球」と呼ばれている。
カーブで勝利を重ね、下手投げルール時代故に完封が難しかったのに3回も完封を記録している。



追記編集は野球で戦争する異世界からお願いします。

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最終更新:2024年08月31日 00:03

*1 WST戦までにカーブ・スライダー・チェンジアップを披露。加えてカーブは投げ方を知っているだけで正式な持ち球ではない...が、ユーリと遜色ないレベルの精度を持つ

*2 ガリアの人間族としては球の速い方で、現実では高校球児(男子)の平均以上レベル

*3 太一が転生する以前のフリーダム戦ではキャッチャーミットの臭いで投球コースをカンニングしていた

*4 かなりのコンプレックスのようで自分より小さいアリス・イリスを見てホッとする程

*5 というかバレたら即ペナルティ判定の蛮行や犯罪案件

*6 記憶水晶の映像を見た時点で既に殆ど看破していた模様。現代野球のレベルからすれば相当分かり易い弱点だったのだろう

*7 妹のインレ曰く「誰よりも優しかったからこそ誰よりも残酷になった」

*8 バッティングマシンやビジョントレーニングもあり現実の地球と遜色ないクオリティーの高さだが、課題をクリア出来ないと触手モンスターに襲われる罰ゲーム付き

*9 現実で現行のルールに近い物が出来たのは19世紀頃。