サルブラザー/猿原真一

登録日:2022/03/30 Wed 23:07:43
更新日:2025/02/04 Tue 13:55:41
所要時間:約 8 分で読めるというお話






春風や なきあの人と すれ違う


私は生まれながらの変人…らしい。

自覚はないが、周りからそう呼ばれる。


猿原(さるはら)真一(しんいち)とは、スーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の登場人物である。


演:別府由来(ゆらい)
キャラクターソング:「空想談義」

▽目次

【概要】

無職の青年。2001年3月6日生まれ*1の21歳。一人称は「私」。
青色の作務衣を纏い長いマフラーを巻き、外出時にはチューリップハットを被る。
散歩中に偶然拾ったスマホを覗いた所、不思議な世界が見えるサングラスとドンブラスターを入手し、戦士となった(この描写から、恐らくスマホは持っていないか持ち歩かない派のようだ)。
無職なのは本人曰く「私は今まで一度も働いた事は無い。敢えて言えば生きる事が仕事だ」とのことで、二階建ての古びた和風一軒家で1人暮らしをしている。家賃は持ち家だからかからないとしても住民税や公共料金は払えているのだろうか?
その生き方はニート……というより、明治から昭和初期にかけて存在した「高等遊民」*2に近いか。


【人物】

若年ながらその精神は達観しており、常に落ち着いた物腰で話す。
空想の酒を飲むなど相当の変人であり、少々突飛な行動をすることもあるが、自分を頼ってきた者には真摯に対応し、適切なアドバイスを送るため周囲からは慕われている。
博識な一面もあり、その知識を生かして周囲の人間の相談に乗っており、「教授」と呼ばれ尊敬されている。
例:羊を数えても眠れない→じゃあセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシを数えればいい。

加えて、その博識さを応用した予測力や洞察力も持っており、情報だけで会ったことのない人物の心情をピタリと当てるなど、安楽椅子探偵めいた活躍も見せる。

悩み相談のお礼としてお裾分け(主に食料)を貰っており、それで生活している模様。生活に困窮している様子は見られないことから、かなりの数の依頼をこなしているようだ。
詐欺師により一家離散に追い込まれた住民の依頼を受けた際には、ドンブラザーズの仲間達の協力を得て偽の家族作戦を決行し、詐欺師の手口を暴いた事もある。
食にも趣が深く、一口食べただけでその調理法や使われている食材を的中させている。

メンバーの中でも人助けには積極的で、子供が落としたボールを取ってあげる為だけに変身する*3など、正義感も持ち合わせている。
他にも、例のサングラスを入手したことをきっかけに自宅だけ地震に見舞われる等の不運が続いたが、「それも運命」として受け入れていることから度量の大きさもうかがえる。

一方で「金には人間の醜い欲望が詰まっている」という旨の持論があり、金銭あるいは貨幣経済そのものに嫌悪感を抱いている節が見られる。
それ故に相談料を受け取ろうとしないのは勿論のこと、金銭を持ち歩いていないので支払いの際に俳句を詠むなど踏み倒し代替行為に走ることさえある。
顔馴染みのラーメン屋を訪れた時には空想のラーメン(メンマ多め)を注文しては、出された空のどんぶりをラーメンに見立てて啜っている。
それでもウザがられないどころか普通に受け入れられていることから、「実は周辺地域の地主、もしくはその息子なのではないか」と視聴者は考察していたが、ドン25話では履歴書の内容から中卒ということが判明。*4
さらに職歴には「生きること」とデカデカと書いており、その知識を活かせるであろう予備校のバイトは悉く不採用というオチがついた。
それでもなお「見る目がない」と言い張るあたり、どうにも社会というものを甘く見ているフシがある。
高等遊民に近いとか言ってたら実は正真正銘のニートでしたというオチがついた。
このドン25話では自作の俳句を売った際に硬貨を受け取ったら、過度な思い込みのせいなのか本当に火傷を負ってしまった辺り貨幣そのものを物理的に手で扱えない欠点がある。ノーシーボ効果にも程があるだろ。
なので諸事情によりお金が必要となった同回ではキッチンミトンを手に嵌めることで何とかお金を受け取って商売していた。

……とどのつまり、やっぱり井上キャラ変人である(「自覚は無い」と言い張っているものの本人も「自分が変人と呼ばれるパーソナリティである」ことは自覚している)。

そんな泰然自若とした真一だが、桃井タロウを相手にすると調子が狂うのか、彼の言動にムキになって対抗しようとする様子を見せている。
……というかタロウからは「自分の言葉に酔っている」「自己陶酔が激しい」と指摘されているため、上記の性格はキャラ作りによるものという事が示唆されており、タロウの前で見せる姿が恐らく素面の性格なのだろう。
なので風流人を気取っているが根は割と俗っぽい。
ドン20話ではドラゴンファイヤーズとしての活躍が認められて有頂天になりややキャラ崩壊し、中盤からはソノニが自分に対して気があると勘違いしてちょくちょくアプローチしては悉く一蹴される様子もあった。
それでもドンブラザーズの中では一番精神的に安定した常識人寄りなので、劇中では度々ツッコミ役に回ることが多い。

なお俳句に関しては相応に意地とプライドがあるため、俳句を貶されると普段の泰然自若とした態度やキャラ作りを投げ捨ててマジギレする。


サルブラザー




アバターチェンジ!


よぉ~!

ドン!ドン!ドン!ドンブラコ!

アバタロォ~!

ウッキウキ! ウキウッキー!


サルブラザァ~!

よっ、ムッキムキ!


画像出典:暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン3話『あかりどろぼう』より、(2022年3月20日放送)
©テレビ朝日・東映・東映AG



スーツアクター:竹内康博、蔦宗正人(未来)


真一がドンブラスターにアバタロウギア「サルブラザー」を装填して変身する戦士。イメージカラーは青。
モチーフは猿(ニホンザル)だが、体付きは他のメンバーよりもガッシリとしたもので両腕が毛深く筋肉が肥大化している等、見た目はゴリラに近い(オニシスターにも最初ゴリラに間違われたが、即座に訂正した)。
とはいえ、尻が赤く染まっているなどニホンザルらしい要素もしっかり備えている。また、メンバーでは唯一サングラス部分の先端が丸くなっており、これもニホンザルの目元を意識した意匠と思われる。
また、猿の四足歩行を模しているのか、腕を上下させながら飛び跳ねるように歩く独特の歩き方をするのも特徴。

戦闘ではあまり武器は使わず、その豪腕を振るうパワフルな戦法を取る。
更にニホンザルらしく、鈍重な見た目とは裏腹に身軽に動くこともできる等、知的な変身前とは正反対の肉体派となる。
但し、劇的に体形が変わるキジブラザーイヌブラザー程の特異な姿ではないことや、猿原自身が得意の順応性で使いこなしているのか、別段戦闘での不都合等は見受けられない。

猿原が選ばれる以前は、白井という男性が変身しており、彼に近しい人物からは、その姿を「大猿」と呼ばれていた。


サルブラザーロボタロウ


画像出典:暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン10話『オニがみたにじ』より、(2022年5月8日放送)
©テレビ朝日・東映・東映AG


全高:160cm
全幅:153cm
全長:65cm
重量:340kg
スピード:80km/h
出力:2600万馬力

「サルブラザーロボタロウギア」でアバターチェンジする猿モデルのロボタロウ。
見た目がゴリラのように変化しているのか、パワープレイがレベルアップ。
巨大化した腕から繰り出すヘビーなパンチを武器に戦い、剛腕を地面にドンドン打ちつけ、激しい衝撃波で敵を吹っ飛ばす裏ワザが得意。
一号ロボことドンオニタイジンに合体した際、その両腕部および左肩アーマーの前部となる。


【余談】

  • OPのクレジット等の序列は基本的に2番目だが、初めて戦列に加わったのは一番最後である。
  • 知的な真一とは真逆なゴリマッチョのサルブラザーだが、ゴリラは「森の賢者」と呼ばれる程高い知能を持っており、ある意味変身者のイメージに合っているともとれる。
  • 初めてドンブラザーズの仲間に会った際、オニシスターからゴリラと勘違いされたのに対して彼女をウサギと勘違いしていたが、これはおそらく2022年に10周年を迎えた『特命戦隊ゴーバスターズ』のセルフパロディだと思われる。なお、サルブラザーのスーツアクターの竹内康博はゴーバスターズでブルーバスターのSAを担当している。
  • 真一には何か不安な事があったり動揺するとストールを弄る癖があるが、これは演じる別府由来氏のアドリブ。
    「人間不安なことがあると何かしたくなるものだろう」と考え監督に提案し、受け入れられたとのこと。
    因みに真一はその日の気分によってストールの色を変えているらしい。
  • 脚本家の井上敏樹氏のツイキャスでの発言によると当初は骨董趣味のある青年という設定だったが、自分が趣味で集めてる骨董品を撮影に貸し出さなければならなくなる可能性があることに気付き、現在の俳句を詠むキャラクターに変更されたとのこと。
    ……だが、それはそれで毎回俳句を考えなければならなくなったため若干後悔しているらしい。
    真一役の別府由来氏は俳句を気に入っているため是非とも続けてほしいと語っている。
  • 真一の元には困った人が訪ねて来るという設定は元々《シロウト探偵》として話の発端を作るため*5だったが井上敏樹氏が「その作風はドンブラザーズに合わない気がする」と考えた結果、段々形骸化していったらしい。




私は今まで一度も働いた事は無い。

敢えて言えば追記・修正する事が仕事だ。

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最終更新:2025年02月04日 13:55

*1 ドン25話での履歴書より。「3(さ)月6(る)日→さる→猿」の語呂合わせからか。

*2 簡単に言うと「ある程度の高等教育を受けながらも、経済的に不自由がないなどの理由で定職に就かず生活している者(主に男性)」のこと。夏目漱石作『こころ』に登場する「先生」が有名。

*3 これが劇中で初めて変身したシーンである

*4 最初の原稿では高卒の設定だったが、「猿原が受験するところが想像つかん」という理由により、中卒設定に変更された。

*5 因みにタロウの運送業とはるかの学生設定もそのため。それぞれ仕事先や学校で悩み事を引き受けられるように設定されていたらしい。