SCP-CN-001 > Veleaferの提言


登録日:2022/04/05 Tue 20:50:00
更新日:2025/02/08 Sat 20:00:49
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<記録開始>



財団演繹部門承認管理文書

特別クリアランスレベル6/4056所持職員にのみアクセス可

無許可の職員は即座に特定され、上位現実との置換が行われます。






[クリアランスは認証できていません。それでもアクセスしますか?]









私は書き続ける。

Veleaferの提言とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つであり、SCP-CN-001に関する提言枠。「SCP-CN-001」とは聞きなじみが無いかもしれないが、これは中国支部の001提言。中国支部にもちゃんと001提言はあるのだ。

現在のオブジェクトクラスは後述。というか一番最後に記載する。
肝心のメタタイトルは「演繹部門」。…あまりに直球すぎる!いちおう、財団の内部部門をそのままメタタイトルにする例は一応「SCP-2360-JP - 財団エレベーター部門」などがあり、決してずば抜けて特殊な訳ではないが……


…というわけで、このオブジェクトは財団内部部門である「演繹部門」に深く関係するオブジェクトだ。
また、001提言であることも相まって演繹部門の他のオブジェクトが当たり前のように出てくる。よって、ここからは、それら演繹部門のオブジェクトを知っている前提で話を進めさせていただく。演繹部門(SCP Foundation)や、下記を参考に他オブジェクトを読んでから来てほしい。

また、当オブジェクトにおいて登場する他のオブジェクトは、以下に示す4作品だけなので、SCP-CN-173やSCP-CN-430、SCP-CN-1504、SCP-1748-JPを読む必要までは無い。

ちなみに読み進める順番だが、クロスリンク等を考慮するとSCP-CN-801SCP-CN-980SCP-CN-606SCP-CN-909と進んでいくのを推奨する。
上記4作品はいずれも当wikiに解説記事があり、一応、どこから読んでも良いようになっているが、この順番で読んでいった方がより良く理解ができるだろう。


また、もしも当記事にSCP-CN-606、すなわちVeleaferさんが登場した場合、分かりやすさを考慮し、その場合の色分けはSCP-CN-606の項目に統一させていただく。



準備はできた。それでは「演繹部門」の世界をともに辿っていこう。



さて、本家報告書では一番最初に最新版の報告書があるのだが、分かりやすさ重視でこれは後回しにする。
そもそもこれは、SCP-5000同じく補遺が本編系のオブジェクトだ。そういうわけで補遺から見ていく。


補遺 インシデントSCP-CN-001-D

どうも、この「インシデントSCP-CN-001-D」とやらがこのSCP-CN-001の鍵となってくるらしい。という訳で見ていこう。
ちなみに、全ての補遺はレベル5機密情報だ。


SCP-CN-001-D-1.SAV 起

まず、補遺の最初には旧版のSCP-CN-001報告書が記載されている。見ていこう

SCP-CN-001旧版報告書


SCP-CN-001とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つであり、SCP-CN-001に関する提言枠。
オブジェクトクラスは「Keter」となっている。

SCP-CN-001とは、因果的な異常性を持つ複数の人型実体である。
SCP-CN-001に対して強制収容をしようとすると、すべて諸事情により実行出来なくなるか、要注意団体や異常物品の介入により失敗する。収容以外にも、消極的な影響を与えようとする試みも、極稀な成功例を除いてほとんど失敗している。

もう一つ、SCP-CN-001-Θと呼ばれる存在が居る。
こいつは、SCP-CN-001が生まれた時に同時に出現する人型実体*1であり、ほとんどの場合対応したSCP-CN-001と敵対する
そして、SCP-CN-001とSCP-CN-001-Θは必ずなんらかの事件を起こし、最終的にどちらかが死亡する。また、両方が死んでしまった場合や目的遂行能力を失った場合は、その瞬間に異常性は失われ、一定期間後に新たなSCP-CN-001とSCP-CN-001-Θが出現する。

ちなみに、SCP-CN-001及びSCP-CN-001-Θはほとんどの場合、人間やアノマリーとして出現するが、極稀にそれ以外のも出現する。
また、ほとんどの個体は要注意団体のつながりを持っているらしいが、具体的なことはオブジェクトの異常性によりつかめていない。

特別収容プロトコルは、「SCP-CN-001と異性のレベル4職員を、SCP-CN-001の近辺に配置して、財団側の交渉役をやらせてね」という感じ。まあ、収容も何もできないんだから当たり前といえば当たり前だ。


報告書本文はこれで終わり。ただ、この後にVoctor博士O5-11に送ったメールが載っている。あれ、Voctor博士は死んだはずでは……?

さて、Voctor博士がいうに、このSCP-CN-001は演繹的性質を持つオブジェクト。つまり演繹部門が担当するべきオブジェクトだというのだ。
Voctor博士達はいくつか実験を重ね、001が主人公で、-Θが敵役であることを断定した。

ここで、Voctor博士が再編集した報告書をここに載せる。

SCP-CN-001改訂版報告書

SCP-CN-001とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つであり、SCP-CN-001に関する提言枠。
オブジェクトクラスは「Keter」となっている。

SCP-CN-001とは、演繹性質を持ち、因果論的な異常性を持つ実体の総称だ。同様に、SCP-CN-001-Θというのもおり、SCP-CN-001と同様の異常性を持つ。
SCP-CN-001は、現実の物語において主人公の役を担当し、SCP-CN-001-Θはの役を担当する。

物語の中盤から終盤において、SCP-CN-001とSCP-CN-001-Θは必ず正面衝突し、最終的に物語の道筋に沿った結末へたどり着く。そして、オブジェクトは形而上(メタ)的な性質を持つため、余分な干渉は不必要であり、不可能だ。

そういうわけで特別収容プロトコルは
  • 不干渉原則*2に基づき、SCP-CN-001と-Θに対しては経過観察を行ってね。
  • 無関係者がSCP-CN-001関係の被害に会った場合は救助してね。カバーストーリーも流布してね。逆に、それ以上のことはしないでね。

と、とてもシンプルなものとなっている。

この報告書に対し、O5-11は提案を受け入れ、報告書を上記のものに差し替えた。
そして、財団の情報班が重大な情報を発見。なんとSCP-CN-001が引き起こす事件と全く同じの筋書きの小説を発見したのだ。
早速演繹部門は調査を開始。その小説の作者をPoI-4609と指定して、サイト-CN-99に招き入れた上でインタビューを行った。




PoI-4609へのインタビュー

インタビュー全体を引用して入れるには長すぎるので箇条書きで要約する。

  • あの小説は、(かの天王星外のような)入れ子式小説だった。なんか最近流行ってるから便乗して書いてみた。
  • 小説を連載し続けて連載し続けて、500回ほど積み重ねたところで異変が訪れた。
  • 中の物語が繰り返しをはじめたんだ。何度掘り下げても、前に書いたことのあるストーリーになってしまう
  • 物語を変えようとはしてみたけど、どれも上手くいかなかった。
  • 内容は、主人公と敵役との間での物語だった。


概ねこんな感じだ。物語が強制的に固定されてしまう、明らかに異常なことが発生しているのが見て分かるだろう。しかも、この物語はSCP-CN-001として現実に反映されてしまっている。
Voctor博士がこの件について研究すると、とある衝撃の事実が浮かび上がってきた。


O5-11との通話


<Voctor は会話を作成しました>

<Voctor は会話に参加しました>

<O5-11 は会話に参加しました>

O5-11: 何があった?

Voctor: ああ神よ。

Voctor: 最悪の事態が発生したのです。

O5-11: 一体何が?

Voctor: ……まず、結論から言いましょう。

Voctor: 物語がループしているのです。

ここから、Voctor博士はO5-11に、現在の状況の説明を行う。

“重層物語”という構造についてはもう説明せずとも大丈夫だろう。とある世界があって、その下に劇がありその下に劇中劇があり……上にも同様に……というやつだ。

ただ、その重層物語の構造が捻じ曲げられ、輪になってしまっている
どういうことか。すなわち
世界があり、その下にがある。その下に劇中劇、さらに下に劇中劇中劇劇中劇中劇中劇劇中劇中劇中劇中劇…と続けていると、いつの間にか我々の世界に戻ってくるのだ。その後、そこから作中作を続けようとしても、現れるのはもとの劇中劇だ。

あのPoIが体験していた状況の正体がこれだ。入れ子式の小説をずっと書いていたと思ったら、ある日突然現実に戻ってきて、それがSCP-CN-001SCP-CN-001-Θとして現実に反映されていた、というわけだ。もちろん、ループなのだからその後に入れ子しようと思っても同じ物語になってしまう。


さて、これの何が「最悪な事態」なのかというと、物語のリソース不足が発生してしまうことにある。
SCP-CN-909にて、SCP-CN-909が重層物語から独立しているせいで、リソース不足(ネタ切れ)により物語ループが収束していっている話があっただろう。
あれと同じことが起きているのだ。もともとは、重層物語は上に無限に続いている可能性が高かったわけだからネタ切れなど気にせずにいられたのだが、ループしている=有限である。しかも、あのPoIがいう限り、そのループに含まれている物語層の数はだいたい500程度。いつかは物語も収束してしまうだろう。

しかし、問題はそこではない。ぶっちゃけ、500も物語があればネタ切れくらいワンチャン耐えられそうだ。ただ、物語が収束することによって主に2つの、致命的な事象が起こってしまう。

1つ目は、PKクラス「オール-イン-ワン『実存のパンデモニウム』」イベントの発生だ。これはSCP-3812にて登場するK-クラスシナリオなのだが、ここに3812の紹介を載せてしまうとすごい長さになるので省略する。
まず、物語ループが収縮する過程で、財団が収容するアノマリーのような、異なる世界の物事は他の物語に浸透していく。その結果、「他の物語」が一周回ってきて財団世界にたどり着くと、そんなアノマリー達が財団世界に大量発生する。これが積み重なっていくと、見事PK-クラスの完成だ。

2つ目は、RKクラス「物語崩壊」シナリオの発生だ。これは演繹部門においてちょくちょく登場する用語で、重層物語がダイレクトに破壊されるというK-クラスシナリオだ。
どうも、物語ループが発生すると、異なる物事が同じ物語内に侵入するということが起きるらしい。
Voctor博士の例えをそのまま使わせていただくが、たとえばある物語世界では重力が存在しなかったとし、ある物語世界では斥力が存在しなかったとする。
この2つの物語が融合するとどうなるか?答えは簡単。論理の破綻だ。
論理が破綻した先のことはVoctor博士にも分からないという。だが、その不具合は徐々に積み重なり、いずれ世界は崩壊する。

そしてこれは、物語ループに含まれる物語の数が減れば減るほど被害度が上がっていく。今は500個だからまだ良いが、論理の破綻によりどんどん世界が崩壊していったら?その数がどんどん減っていき、最終的にはすべての法則を内包した世界が1つだけ生き残る。ただ、その世界もいずれ成り立たなくなり、滅亡する。
こうして、物語ループに含まれていたすべての物語層は滅亡を迎える。「小説を書きなぐった紙を丸めて燃やすよう」とVoctor博士は例える。これがRKクラス「物語崩壊」シナリオだ。


これまでの説明でチンプンカンプンだった方は、とりあえず「ループで世界がやべぇ!」ということだけ覚えておけば良い。

O5-11: このシナリオを食い止める方法は?

Voctor: ありません、サー。次元歪曲や空間異常とは勝手が違います。これは形而上です。形而上的な事柄に限って、我々が自力で解決することはできません。


ちなみに、先ほどから表示されている謎画像は、現時点で判明している物語構造を表している。例えば、上の図だと完全な輪。すなわち完全な物語ループになってしまっている。


SCP-CN-001-D-2.SAV 承

内部通達

監督者評議会および演繹部門にのみ開示可
RKクラスシナリオの発生の潜在的な可能性および調査・収容活動の困難さを鑑みて、監督者評議会メンバー及び許可されたレベル5職員は、可及的速やかにサイト-CN-99に保管される全体構成安定爪の付近へ集合し、RKクラスシナリオ後の物語再帰まで待機してください。通達されていない職員に対しては本件を秘匿し、Kクラスシナリオ発生まで引き続き作業を行わせてください。

そういうわけで、監督者評議会からすぐに通達がなされた。余談だが、PoI-4609へのインタビューからここまでは全て同じ日の出来事だ。K-クラスが絡んでくると仕事がめっちゃ速い財団。

エージェント・Collapsibleとの通話

ここから、おそらくVoctor博士の友人で、演繹部門の人間でもあるエージェント・CollapsibleとVoctor博士の通話記録になる。

<Collapsible は会話を作成しました>

<Collapsible は会話に参加しました>

<Voctor は会話に参加しました>

Collapsible: こりゃ大変なこった。

Collapsible: 11はどうするつもりだい?

Voctor: あいつは真実なんか吐かないさ。物語再帰なんて、皆を騙すために作ったただの口実だ

Collapsible: なんとかする方法は?

Voctor: ねえよ。

Voctor: すべてがバラバラになるだけさ。

Collapsible: はあ……まるでビッグバンで原点に戻るってヤツ?そりゃ悲しいよな。

Voctor: いや……

Voctor: 原点に戻る

Collapsible: は?

Voctor: ……まだなんとかする方法はあるかもしれない。まだ間に合う可能性はある

Collapsible: なんだと?

Collapsible: 方法って何だよ?

Voctor: 物語がループしているなら、新たに物語ループを追加して、我々の世界を繰り返し描写する。あのPoIがやったように。

そう、ループを利用して、何回も何回も財団の物語層を描写すれば、SCP-CN-909のように、半ば”自己創作”のような状態になり、我々自身で物語改変ができるようになる。こうすれば、RKクラスからも世界を守れるかもしれない。

ただ、これに対してCollapsibleは……

Collapsible: だが現実全体に適用するテンプレートが足りない。しかも、こんなことしたら物語の論理が破綻するぞ?909が背負うのは彼自分自身だけだったが、我々の場合、世界全体、あるいはそれ以上のものを背負うことになるが、本当にできると言うんかい?

要するに、そんな世界・宇宙単位での”自己創作”、できるわけないじゃないか、ということ。しかも、すこしその自己創作を疎かにしただけで物語が破綻してしまう。本当にできるのか、ということだ。

しかし、Voctor博士は言い放つ。

Voctor: 980があれば、あるいは。

Collapsible: ご冗談を。

Collapsible: サイト-CN-99はつい昨日O5に徴用されたばかりだぞ?今から980を取りに行くって?藁にもすがるあいつらが素直に渡すとでも?

そう、SCP-CN-980があれば、あれの物語改変パワーでなんとかなるかもしれない。しかも、SCP-CN-980対象者は「物語の主役」となって運が良くなるのだった。これはもしかしたら行けるかもしれない。
ただ、内部通達でもあった通り、現在O5達はサイト-CN-99内のSCP-CN-980周辺で待機している状態にある。そんな状態でO5達が980をおとなしく渡すはずがない。
では、渡してくれないならば奪うしかないだろう。

Voctor: 一人だけ、協力者がいる。

Collapsible: お前はまたそうやって僕を引き込もうとする。

Voctor: お互い死の道連れだ。ついでに世界を救えるかもしれないぞ

Collapsible: お前の口調とは思えないな。

Voctor: 正直の話、自分自身がただの傀儡だってわかった時はね。自分の一挙手一投足が、どんなにあがいても越えられない存在の作った台本通りに踊らされてるだけだってわかった時は、自分の存在がどれだけちっぽけなのか気付かされたよ。*3

Voctor: だがな、もう一切合切吹っ切れたよ。世界を救うことと比べると、些細なことでしかない

Collapsible: どこのたのしいざいだんかよ。

こうして、Voctor博士とエージェント・Collapsibleは共同でSCP-CN-980を奪うことになったのだった。
もちろん財団の理念には反するし、O5にも逆らうことになるが、何分世界を救うためだ。仕方ない。



作戦実行


さて、およそ2週間半後、ついに計画は実行された。場所はサイト-CN-99地下3階。
状況から察するに、エージェント・Collapsibleが財団のセキュリティを引き付け、そのすきにVoctor博士が980を奪う、といった作戦らしい。

さて、Collapsibleが施設に来ると、さっそく機動部隊アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")の隊員が襲ってきた。
背後から誘導式ショッキングダーツが飛んできたり、複数の隊員から同時射撃を受けたりするが、Collapsibleはそれを見事にかわして進んでいく。

そして、Voctor博士とCollapsibleはブルートゥースイヤホンで通話をしているらしく、Voctor博士の声が聞こえてきた。

Voctor: おい、テンプレート(ジャンル)は「伝奇」で間違いないか?

Collapsible: もちろんさ。今の僕はKonnyみたいにすごいぞ。その代わりに、レッドライトハンドの怒りを買ってしまったがな。あいつみたいに早死したくないね。

その後、認知神経毒の混ざった黄色い煙幕が投げ込まれるが、濡れたタオルを口鼻に当ててなんとか対応。
その煙幕に紛れて隊員の1人を殺害し、レベル5のクリアランスカードを奪い取った。その後、機動部隊員が爆弾を起爆させるもCollapsibleは無傷。機動部隊員は対象を見失ったとして追跡をやめた。

謎の人物

そうしてすこし経った頃、乗り物を探しにサイトの車庫まで来たCollapsibleに異変が起こる。
なんと車庫の入り口から1人の人間が現れ、未知の手段でCollapsibleを攻撃した。ちなみにCollapsibleは無傷。現れた人物は[データ削除済]と推定されている。

Collapsible: 誰だお前?

[データ削除]: O5-11だ。

Collapsible: は?えー、Voctorよ、ここに11と自称するヤツがいるんだが。

Voctor: いや、そいつはもう11じゃない。

Collapsible: じゃあ───

<謎の人物の手中に突然として未知の黒色物質で構成されるマシンガンが出現する。同人物は出現したマシンガンでエージェント・Collapsibleを攻撃する。エージェント・Collapsibleはすぐさま大型車両の影に隠れる。謎の人物は射撃しながら、エージェント・Collapsibleに接近していく。マシンガンの弾切れは観測されなかった。>

Collapsible: Voctor!これはどう見ても人間じゃないぞ!

突如現れた謎の人物に襲撃されるCollapsible。しかも明らかに異常な力を使ってくる。

Voctor: やはりか。

Voctor: ソレは11であり、11ではない……実際のところ、本当の11なんて者はいない。

Collapsible: は?

Voctor: ループは重層物語の全階層を包含しているわけじゃなかった。むしろ重層物語はそもそも上方に無限に広がる。ループは途中のある階層から始まったものだ。

Collapsible: つまり……上の連中の仕業ってわけか。

Voctor: 無論さ。それを思いついた途端、ソレが君の目の前に現れた。

O5-11: 遅すぎると思わないか?

Voctor: 耐え切れ。

そう、これまでは重層物語全体がループしていると考えられてきたが、それは違う。ある層より下の層だけループしているのだ。ちょうど下の図のように。
すなわち、下の方の物語をループさせて破滅させ、それで下位層の住人がどのような反応をとるか、悠々と眺めているドSな真犯人が重層物語の上の方にいるのだ。
Voctor博士がそれを思いついたとたん、計画を邪魔せんとばかりにこのO5-11が現れた。すなわち、このO5-11もそのドSな真犯人が作った刺客だ。


ちなみに、画像中の大きめの点は、そのドSな真犯人を表している。ループの上の方にいることが見て分かるだろう。

SCP-CN-001-D-3.SAV 転

さて、引き続きエージェント・CollapsibleとO5-11(?)の戦いを見ていこう。

Collapsible vs O5-11

<実体の手中にあるマシンガンはある種のレーザー源に変化し、横方向から車庫を切り払う。その後、エージェント・Collapsibleの足元の地面が変化を始め、粉砕し、墜落する。周囲の都市が、建築が、そして遠くの山脈までも墜落した。やがて、存在するものはエージェント・Collapsibleと実体しかなくなった。周囲は虚無になった。>

Collapsible: 現実が崩壊したか?

O5-11: いや。だがもうすぐだ。この物語にもはやテンプレートとロジックは存在しない。お前もまた、上位の物語が投下した道具で生を永らえているに過ぎない。

O5-11: だが、ここは私の物語だ。私が創造主なのだ。

車庫どころか世界ごと消えてしまい、周囲が虚無になってしまった。どうやら、O5-11が用意したフィールドに連れてこられてしまったようだ。
そして、このO5-11は上位創作者からの刺客。このフィールドならなんでも物語改変できる

<実体は非ユークリッド幾何学的な反転変換を行い、存在のトポロジーを全物語まで拡大させ、あらゆる次元から浸透しエージェント・Collapsibleの殺害を試みた。しかし、エージェント・Collapsibleは即座に無形に転換するとともに、局所的現実を圧縮した。実体は再度反転変換し、圧縮範囲を離脱した。>

明らかに非現実的なことが起こっているあたり、物語が崩壊しかけているのがよくわかるだろう。
というかこのエージェント・Collapsible、O5-11の攻撃を避けた。O5-11はなんでも物語改変できる筈なのにもかかわらず、だ。

O5-11: どうやってそれをできた?こんな設定を与えた覚えはない。ああわかったぞ、お前は繰り返された物語に自身を何度も代入し、代入ごとに設定に変更を加え、最後にこの物語に戻ってきたな?

そう、財団には、物語の中に自分を取り込むことのできる「代入装置」というのがある。
Collapsibleは、それで自分を物語の中に代入し続け、し続け、し続け、し続け……そして上からこの世界に戻ってきたのだ。

よって、CollapsibleとO5-11はもはや対等の関係。O5-11の改変も、Collapsibleのように物語ループを1周しないとCollapsibleには届かない。

O5-11: だが、お前一人だけでは、こんな芸当ができるとは思えないな。

Collapsible: 他言しないと約束したのさ。

O5-11: Voctorの仕業だろう?私がこの物語の神であることをゆめゆめ忘れるな。彼は誰であれ、もう死んだも同然だ。物語ループの物語量が減少するとともに、お前自身の論理もやがて破綻する。お前はエラーの一部となるのだ。

<エージェント・Collapsibleは実体とともに無形から超然へ至り、反復した反転変換で互いの存在を上書きしようとした。混沌が空間から生まれ、エージェント・Collapsibleを囲み、絡みつける。エージェント・Collapsibleがそれを振り払うと、また大いなる虚空が彼を覆い、そして破裂した。虚空の中に雨が降り出す。その雨水の一滴一滴が、Collapsibleの母親が強姦の末に殺害された死体に凝縮した。それは断末魔を発しながら、エージェント・Collapsibleを埋め尽くす。>

Collapsible: こんな手段で僕を潰せるとでも?

状況がどんどん意味不明になっていっているのも、物語がどんどん崩壊していっているからだ。あまり深く考えない方が良いだろう。

O5-11: お前の力が弱まってきている。物語も、ついに結末を迎えるだろう。

<エージェント・Collapsibleは突然と拡張し、次元数を上昇させながら頂点へ至った。しかし、一切の上に存在する巨大なハンマーが振り落とされ、エージェント・Collapsibleは叩き落される。その後、は開かれ、無尽蔵の質量が存在するはずもない宇宙を満たした。けれど、それはCollapsibleにとっては、石ころが踏み潰されるのと同等の出来事だった。>

Collapsible: それは今じゃないがな。

突然のSCP-CN-756登場。というか、Collapsibleが少し押し負けてきている。大丈夫だろうか。

で、この後のやりとりは違和感のない程度に少し中略させていただく。全文を見たい方は本家報告書を覗いていただきたい。

O5-11: お前にはもう力がない。

<Collapsibleは無形から有形へ落ちる。次元空間の外側から宇宙へ落ちる。幾千万の星々から唯一つの青い惑星へと落ちる。力無く大地に叩き込まれ、額は重く地面に打ち付けられた。止めどなく血が流れる。>

O5-11: 980があっても、お前はもう終わりだ。

<実体はエージェント・Collapsibleの下半身を捻り潰した。血と肉の匂いは虚空を漂う。そして、実体はエージェントを持ち上げて、無間へと投げ捨てた。しかし突然、実体は違和感に気づいた。物語の展開があまりにも従順だったからだ。>

O5-11: 980はどこだ?

Collapsible: ……僕……の……ところには……ない……よ……。

<実体は憤怒した。自分が騙されたと認識したからだ。一瞬のうちに、十万本もの光線がCollapsibleの眼球を貫く。悲鳴をあげながら、彼は生と死の狭間で存在がすり減るまで苦しむことになる。そして、実体は物語を検索してみると、計画の最大の穴を発見した。やり場のない怒りを持ったまま、実体はその場を去った。>

ついにエージェント・Collapsibleが死んでしまった。
だが、O5-11は、エージェント・Collapsibleがこんなに強いのはCollapsibleが980を持っているからだと考え、Collapsibleから980を奪い取ろうとした。

しかし実際に980を持っているのはご存じの通りVoctor博士であり、Collapsibleは敵を引き付けていただけだ。

それを知ったO5-11は憤怒し、そのままVoctor博士のもとへ向かった。


Voctor vs O5-11


Voctor博士は現在、虚空の中に座っており、その周囲には一台の端末発電機円柱状の機械爪が置いてある。
そこに突然、O5-11が出現した。
しかし、ここで980の物語改変パワーが炸裂。Voctor博士の周囲には球状のバリアができており、O5-11は近づくことが出来ない。
そして何より、980の物語改変の中心となっているのは他でもないVoctor博士。つまり、この物語改変において「主役」はVoctor博士なのだ。これは強い。

ちなみに、ここにある「端末」はおそらく、多機能演繹人型実体機の文章制御端末だろう。これで頑張れば物語改変ができそうだ。


カウンター: 12


Voctor: 悪い、Collapsible。

Voctor: 君を巻き込んでしまった。

O5-11: お前にはできない。誰にもできない。

Voctor: ……どういうことだ?

O5-11: 君の仲間は十分、時間を稼いだ。だが、それもここまでだ。これは上位の意志だ。上位の連中は随分と芝居が好きでね。そして私も、だ。

Voctor: 黙れ。

O5-11: しかし、君の友達は確かに私を驚かせた。最初は彼が980を持っているから、私の制御が効かなかったと思った。だが、彼が死んだ時に、私はようやくわかった。お前が彼を物語ループに代入していたのだ。だからこそ、私の編集も物語ループを一周しないと届かない。

O5-11: 実に賢い。あやうく負けるところだった。だが、お前の死を上位の連中が望んでいるかもしれない


カウンター: 10


ここで、Voctor博士は端末に入力をし始める。

ここにVoctorというやつがいる。彼は物語ループを補修しようとしている。彼は考えながら書いている。止まることはない。

O5-11: 哀れなことよ。

彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている彼は彼にはできないことに誰にもできないことにきづいた。

常に物語改変をし続けようと絶え間なく同じ内容を書き込んでいるVoctor博士。しかし徐々に、O5-11からの妨害を受け始める。

O5-11: そこから出ろ。楽にしてやる。

彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は球状空間の外側の世界に変更を加えようとしたしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功ししかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功した成功成功成功成功成功成功成功成功成功成功失敗した


カウンター: 8


ループが減らない減っていく、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた消せない彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた。

すまん

O5-11: お前はやはり失敗した。お前一人では物語を支えることはできない。何人来ても同じだ。

大量の取り消し線からも分かる通り、Voctor博士も必死に抵抗するが、O5-11にやや押し負けてしまう。
良い場面だが、ここでも違和感のない程度に中略させていだく。

彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にますますますますたくない彼は本当に死にたくないしかし誰も助けに来ない誰も助けに来ない。

誰かいるか?

O5-11: いない。

いるいない。

彼の指から血がこぼれ落ちる彼は叫び出した彼は叫び出した彼は我慢しようとしたが我慢できなかった、彼は叫びだした

誰かいるか?

やばい、このままではVoctor博士まで死んでしまう。


カウンター: 4


この球状空間の中には世界の最後の一人がいる。彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない


カウンター: 2


彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死ぬだろう
彼は笑った


カウンター: 1




彼は死んだ


カウンター: 0




ついにVoctor博士までも殺害されてしまった。物語も崩壊を続け、財団世界には人間は誰も残っていない。

もはやこの世界に救いは残っていないのか。


いや、物語ループがもはや点となってしまったこの世界で、大きめの点、すなわち今回の真犯人に「何か」が近づいてきている。

SCP-CN-001-D-4.SAV 結



すべてがやがて終焉を迎える。

再び始めよう。



真犯人の正体

本家報告書の筋書きからは離れてしまうが、ここで今回の真犯人について解説をしておこう。

結論から言うと、今回の真犯人はVeleafer氏である。創作サイト「SCP Foundation」メンバーのVeleafer氏だ。
もともと、Veleafer氏はVeleafer議会の中でも「管理者」という特別な人物だったのだが、それでもVeleafer氏がいる物語層は、我々と同じ、財団世界の一個上なはずだ。普通なら、とうの昔に物語ループに巻き込まれているのだ。

さて、Veleafer氏が犯人だとする証拠は主に2つ。

1つ目は、すこし前提知識が必要だ。
演繹部門の追加講座: いくつかの新理論と問題についての応答」という演繹部門のTaleが存在する。その名の通り、演繹部門における形而上学の理論を色々と説明してくれるのだが、その中に「準物語(サブ・ナラティブ)理論」というのがある。

これによれば、物語の中のキャラクターは決して第四の壁を破ることは出来ないのだそう。確かに実際、どんなに第四の壁をぶち壊して作者を殺すような物語が執筆されたとしても、現実的に考えて作者はピンピンしている。実際に殺されることなどありえない。あくまで物語なのだから。

では、Veleafer氏の作品はどうだろうか。
言っていなかったが、SCP-CN-606 も SCP-CN-801 も SCP-CN-909 も SCP-CN-980 も全てVeleafer氏の作品だ。

では、これらの記事を見ていこう。バリバリに第四の壁を越えているではないか。特にSCP-CN-801とSCP-CN-606のコンビネーション。実際に上位物語層の人間が死んでしまっているではないか。

これは、普通の創作者にはできない芸当だ。
ただ、これも先述の「準物語(サブ・ナラティブ)理論」の1つなのだが、上位創作者は劇中劇の間の壁なら壊せる
だから、Veleafer氏がこんな壁を壊すような物語を作るには、Veleafer氏がより上位の物語の住人だと考えるしかない。

それこそSCP-CN-801みたいな、無限に物語層の壁を壊していくようなモノを生み出すには、重層物語の全てを操れるような、そんな能力でも無いと無理だろう。

2つ目の証拠は単純明快だ。
先ほど、O5-11は真犯人からの刺客、と述べたが、ではその真犯人はどうやってO5-11を送り込んだのだろうか。
まあ、一番シンプルな方法は報告書自体を編集して書き加えるだろう。では、この報告書の作者は誰だったっけか……(項目名を覗く)


そう、この報告書の作者自体、他でもないVeleafer氏だったのだ。
ここまで来れば、Veleafer氏が真犯人である可能性は極めて高いだろう。それも、重層物語全てを操れるような力を備えている、と。

真犯人の特定はできたものの、Veleafer氏が居なくなったわけでは無い。というか、VoctorやCollapsible含めた財団世界の人間は全滅である。
一体、ここから財団世界はどうなってしまうのだろうか。


家凸


Veleafer:
何?!お前は誰だ?なぜ私の家に————

A99:
君の負けだ。

Veleafer:
はあ?

A99:
結局の所、君は君の創作したキャラクターにも勝てない。

Veleafer:
お前は誰だ?!

A99:
Voctorが死ななかったのは実に驚きだった。しかし、彼はすべてに罠をかけたのだ

Veleafer:
なんだと?

Veleafer:
何かの冗談か?

そう、重層物語から独立していることで、唯一無傷だったA99、すなわちSCP-CN-909Veleafer氏に家凸を仕掛けた。
そう、Voctor博士は2人を含めた財団世界が滅亡してしまうことなど想定済み。そのときの予防線として909(入れ替わり後)を召喚したのだ。

ちなみに話は逸れるが、やはりVoctor博士は909入れ替わりの件で死にかけていたらしいし、909も死んだと思ったらしい。
そこからどうやって「人間」として復活したのかは謎だが……演繹部門のパラテクでどうにかなったのだろうか。あるいは、Veleaferとは別の上位創作者が物語改変で復活させたのか。

まあ、これはいったん置いておこう。


困惑するVeleafer氏に、909はSCP記事の編集画面を見せびらかす。
なんか色々「**」とか入っているのは「wiki構文」というやつで、簡単に言うと、これを文中にいれることで特定の文字を太字にできたりする。*4



A99:
全く、粗悪なものだ。

Veleafer:
保存ができない。

A99:
Voctorから私のことを聞いているだろう。番号は909だったはずだ。説明はいるか?


<沈黙>


A99:
ループが不完全だったことがわかった時*5、彼は私に連絡したのだ。


SCP-CN-909との通話

<SCP-CN-909 は会話に参加しました>

Voctor: A99。君に頼みたいことがある。

SCP-CN-909: 君が死ななかったのは実に驚きだが、借りは作っていないはずだ。

Voctor: 私は——

Voctor: 私の死で、私の愛するこの世界を蘇らせたい。

Voctor: それでもダメか?

SCP-CN-909: どういう意味だ?

Voctor: まもなく、RKクラス「物語崩壊」シナリオが発生する。我々の創造主、上位の物語の誰かが我々の重層物語をループ状に結んで、それで芝居を観る気だ。

Voctor: その結果、我々は全員死ぬことになる。君以外はな

SCP-CN-909: 私の物語が独立したループだからか?私の推測によると、君たちの世界が終わると、私は上位の物語へと駆逐される。望むところさ。

Voctor: 君に、この世界を再編集してほしい

SCP-CN-909: 私が私のために世界を編集しない確証があると?

Voctor: 君はもはやロボットなどではないからだ。君は人間だ。君は上位物語の存在に恐れるだろう。超越することができても、君を捕まえることができる存在はいずれ現れる。本質的に、君は人間嫌いであると同時に、人間の思考様式を保持しているのだ。

Voctor: 君は危険を冒すだろう。

Voctor: 私の言う通りにすれば、君は神になる

SCP-CN-909: あまりにも危険すぎる。

Voctor: しかし、君はもうロボットではないし、ロボットの思考様式に囚われる必要もない。君は人間だ。なぜならば、君が会ったことのある生命の中で、人間はもっとも賢い存在だ。

Voctor: でなければ、君はアリになっていた。

<SCP-CN-909 は退室しました>

Voctor: ……

<SCP-CN-909 は会話に参加しました>

SCP-CN-909: 乗った。


Veleafer:
な……この私が、下の連中に嵌められるなんて……

A99:
お前の死を上位の連中が望んでいるかもしれないな。

A99:
そして私も、あの時と同じセリフを言おう。








Veleafer:
ダメだ!



Veleafer:
それは、私のモノだ!君に奪われるはずがない!



Veleafer:
[データエラー]



A99:
君の負けだ。



<Veleaferは空間の中で散っていく。有形から無形に、無形から浮遊に。やがて、彼は完全に希釈された。>



A99:
かわいそうに。

Veleafer:
で、すべて解決したか?

A99:
君は……ああ、解決したよ。

Veleafer:
よし。今後、ここはもう俺達の管轄じゃない。君は自由だ、この物語は君のものだ

A99:
議会の決定か?

Veleafer:
ノーコメントだ。

A99:
わかった。勝手にしろ。


SCP-CN-001報告書

SCP-CN-001とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つ。

メタタイトルは「演繹部門」。

現在のオブジェクトクラスは「Asura」。当オブジェクトにのみ指定されている特殊オブジェクトクラスだが、これといって説明は書いてない。試しにAsuraで検索したところ、「インド神話・バラモン教・ヒンドゥー教における神族・魔族」と出てきた。
オブジェクトの異常性なども考えて解釈するに、「神のような絶対的な力を持つ」という意味だろうと思われる。

概要

SCP-CN-001とは、重層物語の文章制御権だ。簡単に言うと、「重層物語を自由自在に操れる力」みたいなものだ。もちろん、SCP-CN-001さえあれば我々の世界も財団世界も自由に物語改変することができる。

現在、そのSCP-CN-001は、「SCP-CN-001-1」と指定される存在が握っている。
SCP-CN-001-1とは元SCP-CN-909だ。こいつは通常の重層物語から独立しており、先述のインシデント001-D後、SCP-CN-001の編集者となった。

もちろん、重層物語は上に無限に続いている。SCP-CN-909、いやSCP-CN-001-1の上にも物語層は続いている。しかし、SCP-CN-001-1をはじめとした多機能演繹人型実体機には上位存在の改変が効かない。よって、SCP-CN-001-1より上層から来た物語改変は、SCP-CN-001-1により遮断される。

現在、SCP-CN-001やSCP-CN-001-1に対して財団は収容措置を施していない。SCP-CN-001へどのような編集を施すかは完全にSCP-CN-001-1に一任している。

ちなみに、SCP-CN-001の原作者(おそらくVeleafer氏)と、現在SCP-CN-001を握っている人物は違うため、論理の部分的な破綻は不可避だ。
ただ、そのくらいは全体構成安定爪でどうにかなりそうなもの。誤差だ。

で、とうのVeleafer議会は、重層物語の変動を黙認しているらしく、この件に対しての返答は無い。議会への連絡・協調は引き続き演繹部門が担当する。


Voctor博士とエージェント・Collapsibleの功績は評価され、2人には勲章が授けられた。











[ファイルを受け取っています]
Loading……
[受け取りが完了しました]


A99:
完了だ。

Veleafer:
勝手に聞かせてもらうけど、これからどうする気だ?

A99:
……

A99:
私は書き続ける。





そして太陽がまた昇る


























Veleafer: 渡してしまっていいのだろうか?
Veleafer: もちろんさ。これでアレはもう僕たちの担当じゃない。







これから先、演繹部門がどうなっていくのかは誰にも分からない。
しかし、財団は文章制御権を手に入れ、RKクラスを回避した。

Voctor博士とエージェント・Collapsibleの活躍は決して無駄なものではなく、それは後世に受け継がれていくのだ。



数多の ”演繹” とともに。





SCP-CN-001
Veleaferの提言


演繹部門








<おしまい>



























+ ...
キャスト:

Voctor博士──────────Dr.Voctor
エージェント・Collapsible──────────Collapsible
O5-11──────────[機密]
SCP-CN-909──────────A99
Veleafer議会メンバー──────────エキストラ




脚本: 05-O、この"O"は"Odyssey(永き旅の物語)"の意。





謝辞:

深淵の天使W Asriel──────────すべての画像を提供していただきました。
klaes──────────作成した画像は不採用としましたが、気持ちは伝わりました。




…And You!








<記録終了>


追記・修正は演繹部門に入ってからお願いします。



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最終更新:2025年02月08日 20:00

*1 1人とは限らず、複数出る可能性もある。

*2 おそらく、非異常の物語に財団は介入しないでね、というもの

*3 実際、Tale-CN「演繹部門の追加講座: いくつかの新理論と問題についての応答」では、演繹部門の新人職員は自殺率が高いことが語られている。

*4 アニヲタwikiとSCP財団ではwiki構文が異なるが、Veleafer氏の編集画面ということで本家記事に合わせる。

*5 おそらく、「承」と「転」の間