特殊/物語風クラス群❨SCP Foundation❩

登録日:2019/03/11 Mon 23:25:27
更新日:2023/09/15 Fri 12:25:37
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特殊/物語風クラス群(Esoteric/Narrative Classes)、旧称Unclassedは、シェアード・ワールドSCP Foundationにおける、
非標準的なオブジェクトクラスの総称である。


概要

『Esoteric』は「難解な」あるいは「選ばれた少数のための」という意味を持ち、
Narrative』は「物語風の」という意味を持つ。

これだけ見るとわけわかんないだろうが、ぶっちゃけて言えば「基本的なオブジェクトクラスではないオブジェクトクラスの総称である」と言える。
かつてはUnclassedという表現であったが、「オブジェクトクラスは付与されてるんだし『アン』クラスドというのも変じゃね?」となったのであろう。
例えば「Apollyon」はS.D.Lockeの提言SCP-3999で使われているが、
一応これらのオブジェクトには「Apollyon」というオブジェクトクラスは「ついている」のである。
まあ、偶に本当にない(None)場合(SCP-048)もあるが。

ExplainedとDecommissionedはそれぞれ『SCP-○○○-EX』『SCP-○○○-D』とアイテム番号自体が変化するわけだから、
通常ナンバーでSafe,Euclid,Keter,Neutralized,Thaumiel以外のオブジェクトクラスがあれば特殊/物語風クラス群となるわけだ。

なんでそんなオブジェクトクラスが存在するの?

雑に言えば、「基本的なオブジェクトクラスじゃそのオブジェクトを区分するに相応しくない」と筆者が思ったから、である。
例えばHiemalがそうで、これは「複数のオブジェクト間で抑制し合う関係にある」オブジェクトである。
単独ではSafeどころかEuclid/Keterであるが、もう片方も収容できれば抑え込めるわけである。

逆に言えば、「そのオブジェクトクラスを付ける理由」が適切に存在しなければ採用してはならず、
財団公式も特殊/物語風クラス群の安易な濫用は非推奨である。
実際、財団はオブジェクトクラスをノリで付けているわけではなく、「収容難度のラベリングをしたい」からつけているのである。
みんながみんな規定外のオブジェクトクラスなんて持ち出したらオブジェクトクラスの意味がないだろう。

+ Apollyonが正式なオブジェクトクラスではなかった頃に記述された
そういう意味に於いてしばしば議論されがちな特殊/物語風クラス群がApollyonである。
元々SCP-2317に付与されていたこのオブジェクトクラスだが(ちなみに後述の通り前例があったりする)、
筆者DrClef氏がこれをSCP-2317に付与した理由は
「誰も付けていないオブジェクトクラスを付けることで絶望感を強調したかった」というものであった。
しかしその後特殊/物語風クラス群の増加、そしてApollyon自体使用数が増えたことで
SCP-2317はオブジェクトクラス自体の付与がされなくなった(これも特殊/物語風クラス群には該当する)。

…のだが、Apollyonの一応のクラス定義は「収容できなくてもうどうしようもないもの」である。はっきり言えば「Keterで間に合う」のである。
もちろん、ヘッドカノンにおいては、
  • Keter:収容困難・不可能だがワンチャンある
  • Apollyon:収容不可能でもうどうにもならない
と分けることも可能だが、そもそも財団が「収容すること自体がアウト」というわけでもないのに普通諦めることはそうそうないのであり、
DrClefが狙ったような効果を持てなければ、Apollyonである必要性も薄れてしまうのである。

ちなみに、意味を持ち得ることによって他者にも使われるようになるパターンもある。
例えば先述のHiemalやArchon、Yesodあたりはそうであり、
それこそThaumielも元々はロジェの提言の独自オブジェクトクラスであった。

なお、これら特殊クラスには大きく分けて「オブジェクトの影響のせいで強引に変なクラスをつけさせられた/つけざるを得なかった」パターンと、「財団の事情で特殊な名前を割り当てた」パターンの2タイプある。

2019年夏ごろからEN本部で新たなオブジェクト分類方法が考案され、一部オブジェクトで利用されるようになった。
Anomaly Classification System (ACS) と呼ばれるこのシステムにもesoteric含むオブジェクトクラス(コンテインメントクラスという名前になっている)は採用されているが、特殊/物語風クラス群を採用する場合コンテインメントクラスは"esoteric"にし、二次クラスという形で個別に以下の一覧に述べるようなクラスを付けるという形になっている。

特殊/物語風クラス群一覧

複数記事で使用されているもの

そのクラスの意味や意義がある程度受け入れられているが、正式なオブジェクトクラスではないもの。

Apollyon

「アポリオン」。2021年6月に正式クラスに格上げされたが、此方にも記述は残しておくことにする。
世界を滅ぼせる力を持つうえに確保も収容も保護も出来ず、プロトコルすら組めないという「手遅れ」系オブジェクトにつけられる。
徹底的に情報を伏せて誤魔化すのがこのクラスに対するやり方だが、将来的にどうあがいてもK-クラスシナリオに繋がるため存在する時点でどうにもならない。
元々はEditthis時代2008年の旧SCP-927で使われていたオブジェクトクラスであり、その際は単なる「Keter超え」でしかなかった。
SCP-2317をDrClef氏が2014年に執筆するに至って、2008年頃からの古参であったDrClef氏はこのオマージュとしてかApollyonを再定義している。
とはいえ、ApollyonをDrClef氏が使用した最大の理由は、「他のオブジェクトに使っていない表現を使うことで絶望感や強大さを示したかった」というものであった。
また、他のオブジェクトに存在しないオブジェクトクラス=そのオブジェクトクラス自体が秘匿されているという考えがあったようである*1

…のだが、まさに特殊/物語風クラス群の増加、及びApollyon自体の複数回の採用を経て、相対的にSCP-2317におけるApollyonの使用意義が減退。
そして再定義を図ったDrClef本人は後悔の弁を述べつつ、オブジェクトクラスの割り当てそのものを廃して「特別アクセス指定: CODE NIGHTMARE REGENT RED」を付与。
しかしDrClef自身が使用をやめ、Apollyon自体の存在意義を否定しているのに反し(というよりむしろ作者が扱いきれなくなったことが魅惑的だったか)、
Apollyonを採用する記事は年々増加している。採用記事のリストは以下の通り。



なおこれだけ深刻であるがゆえに機密性の高いクラスではあるが、なんとその存在が全職員が実験できるワンタメ博士作カードゲームにて明かされてしまっている。大丈夫なのか。

ただし、このクラスがつけられているからと言って、人類の終焉が描かれるわけでは、必ずしも無い。
中には報告書を作成した人物の都合で付けられているだけ、という変わったパターンもある(SCP-4780)

Archon

「アルコーン」。2021年6月に正式クラスに格上げされた。
ギリシア語で統治者を意味し、古代ギリシャでは最高執政官の称号だった。そこから由来してグノーシス主義において地上を支配する低位の「偽の神」をさす名前でもある。
財団が意図的に収容をしないオブジェクトに与えられるもので、収容自体は可能なのだが収容してしまうと財団や人類に収容しない場合以上のダメージを与えるようなオブジェクトが多い。
これが付与されているオブジェクトはSCP-1661*2やSCP-4246などが有名であろう。

Cernnunos

「ケルヌンノス」。
ケルト神話の狩猟神および冥府神である。
SCP-4971SCP-2998-JPに付与されている。
収容は可能なのだが、それに必要なプロトコルに収容する以上の問題があって収容ができないオブジェクトに付与される。Ticonderoga同様暫定的性質があり、どうにか他の収容方法を発見してS/E/Kに分類できるよう研究し、それがダメならArchonクラスにする判断が下るまでの仮クラスのようなものになっている。

Da'aS Elyon

「ダァーズ・エリヨン」
財団による収容が不可能であり、さらに人々が非異常だと思うように誘導しなければならないオブジェクトに割り当てられる。
要は、SCP-8900-EXの、Explained前に割り当てられるクラスとしたらこれである。ちなみに、8900-EXが執筆された当時はこのクラスは存在しなかった。
現在はSCP-2298-JPやSCP-5338、SCP-CN-2879の「フェイクニュース!」に付与されている。

Declassified

「デクラッスィファイド」。
意味は英語そのままである「機密解除」。
これがつけられたアイテムは異常性を持ったままにも関わらず財団が秘匿することなく、世間一般に情報が公開されている。もちろんのっぴきならない事情があってのことである。
SCP-3368とSCP-3882、sanks269=solvexの提言に付与されている。
事情というのは例えばSCP-3882の場合、これは壊れた神の教会と提携しているメタルグループのアルバム群なのだが、これに収録された楽曲には聴いた人がメカニトに関する人や物などを見分けられるようになるミームエージェントが埋め込まれている。
これに曝露した一般人口は来たるサーキック・カルトとの全面戦争に先駆けて味方側である壊れた神の教会勢の持つ「比較的良性の異常」を自ら発見できるようになるため、人々が全面戦争に適応しやすくなるようプロジェクト・アンニュイの一部としてこのオブジェクトの機密は解除されたのである。
sanks269=solvexの提言に関しては、そもそも一般の人が書いた文章であり、文章の内容が拡散されなければならないことから、このクラスが付与された。

Decommisioned

「デコミッションド」。
「廃止された」を意味する英語である。
財団が意図的に破壊・無力化したオブジェクトに付与される。
…え?そのクラスは特殊クラスじゃなくてとっくに廃れたダメ記事晒し上げ用クラスだろって?
それにもうオブジェクトクラスのページに書いてあるからここに書く必要ないだろって?
確かにそうだった。SCP-4456が出てくるまでは。

この記事で財団は、あまりに収容が困難なオブジェクトを意図的に無力化する「解体部門」を立ち上げていた。SCP-4456もそのクチだった。
SCP-4456は簡単に言うと16世紀スペインの無人船で、4~6日ごとにその複製が本体周辺の水域に現れる。
これが約52万ドルもの貴金属を与えられない限り体当たりや砲撃で攻撃してくる上に、この財宝が「以前からスペイン政府の財産だった」という形で発見された。
収容しようとするとあまりに費用がかさむうえ、財団はアノマリーの収容に関係がない特定の国家への寄付を禁じられている。
さらにこれは過去改変じゃないのでタイムパラドックスが発生している可能性が高い。この記事の財団世界はパラドックスが起きたら即崩壊するようなヤワな時空でなくてよかったが、だからと言って避けるに越したことはない。
そういうわけで財団はあくまで冷静にコストを考えて、SCP-4456を燃やし"SCP-4456-D"にしたのだ。
元記事のタグが"Decommisioned"ではなく"esoteric-class"だったため、こちらのページに記述するものとした。
また、この記事以降、Decommissionedを採用する記事は増えてきており、SCP-6676-DやSCP-6900-D、SCP-PL-6470-Jにも付与されている。

Eparch

「エパーチ」。
SCP-2197-JPやSCP-2740-JPに付与されているクラスである。
オブジェクト自体に異常性はないが、他の異常性を持ったオブジェクトと関連する物品などに割り当てられる。SCP-2197-JPはこちら。
このクラスができるより前に、同じような状態のオブジェクトがEX指定されている記事がある。(例:SCP-888-EX)
また、それ自体に異常性はないが、それが内包する一部分が絶対に言及/反応してはならない情報災害的な異常性を持つため、"それ"に一切触れることなく"それ"の存在および性質を暗に示すための隠れ蓑として報告書が作成される場合がある。SCP-2740-JPはこちら。

Gevurah

「ゲブラー」。
元ネタは生命の樹の第五のセフィラであるゲブラーである。意味は「峻厳」。
SCP-366、SCP-500-JP-EXなどに付与されているクラスである。
財団を危険に晒し、財団の目的を邪魔するオブジェクトに割り当てられるオブジェクトクラスである。
…が、この記事に少し登場する。同じ意味で与えられたか判断がつかないのでこっちに置いておく。
また、SCP-4645においてはオブジェクトクラスではなくアノマリー分類システムの攪乱クラスとして用いられている。

Gödel

「ゲーデル」。
元ネタはオーストラリアの数学者、クルト・ゲーデルか。
SCP-4555(※Schrödinger参照)、SCP-5326に付与されているクラスである。
財団が持っている技術を用いれば説明できてしまうものの、現在の科学などでは説明不可能になってしまうオブジェクトに割り当てられるオブジェクトクラスである。

Hiemal

「ヒーマル」。
元ネタは冬気候などを意味する単語Hiemalであろう。
複数のオブジェクト間に相互関係があり、それらが異常性を互いに抑制し合っている場合、これらを一度に収容しなければならない。そういうオブジェクトに割り当てられるクラスである。
SCP-3700やSCP-3787などに付与されている。

Kušum

「クサム」。
SCP-3319の「バージョン A2」、SCP-2113-JP、SCP-CN-2879の「存在することのない/存在したことのない」に付与されている。
収容自体が無期限放棄されたオブジェクトに割り当てられるクラス。
どうやらSCP-3319報告書のこのバージョンが書かれた時点では、あろうことかZK-クラス現実不全シナリオを起こせるとされるSCP-001が収容違反しており、これを無力化することに財団全ての資源を総動員している模様。特に001に対抗できるものではないとこの時点では見なされていた3319は「もう知らん!ほっとけ!」とばかりに放置されてしまった。この状況では他のオブジェクトも相当の数がこのクラスに再分類されていることが予想できる。
また、SCP-CN-2879では、単純に収容が不可能だったから放棄してしまったらしい。

Nagi

「ナギ」
日本製オブジェクトクラスであり、由来は日本語の「凪」となっている。
何らかの影響で長期的に異常性を失っており、かつ復活する可能性のあるオブジェクトに適用される。
要は「Neutralized(暫定)」の代わりとなるクラスである。
Neutralizedクラスと違い、特別収容プロトコルが継続されることが特徴。
現在はSCP-2112-JP、SCP-1249-JP、SCP-2332-JPに付与されている。

Non-Anomalous

「ノン・アノマラス」。
つまり「異常ではない」ものに付与されるオブジェクトクラス。
WJSの提言ykamikuraの提言にのみ付与されている。ykamikuraの提言に関しては、オブジェクトの定義がそのまま「異常では無いもの全て」となっている。


Tiamat

「ティアマト」。
元ネタはメソポタミア神話の海の神ティアマトであろう。
意味としてはApollyon一歩手前レベルの危険度を持つオブジェクトであり、すぐに対処しなければKクラスシナリオ待ったなしである。しかしApollyonと違って財団にはこれらのSCiPを止める(ことができるかもしれない)手段がまだいくらか残されていて、もうそいつとの全面戦争など財団や異常存在の隠匿性とかを放り出してでも抗わないと収容できそうにない…という状態のものに割り当てられるクラスである。もちろんそれが失敗すれば人類の運命は決まってしまう。
SCP-3396やSCP-3895に付与されているが、これらはどちらも物理的実体をもつ奇蹟論的超次元存在で人類すべてに対して同化を迫るやべーやつらで、記事内で財団が全力でアノマリーを利用しながらも進行形でジリ貧になっているのが見て取れる。

Ticonderoga

「タイコンデロガ」。
由来は「2つの湖の間」を意味するネイティブ・アメリカンのイロコイ族の言葉で、その心は「収容済みと未収容の間」。
収容不可能だが、収容する必要もないオブジェクトに付与される。ただし割と暫定的なクラスで、何か事態が動けばKeter等に再分類されることが前提になっている。
SCP-4444のために作られたクラスだが、その後SCP-4270SCP-1682-JPで使われている。

Uncontained

「アンコンテインド」。
財団の管理下になく、かつS/E/K分類のための情報が足りないオブジェクトに与えられる。
これが付与されるオブジェクトは「収容違反でデータが消えた」「そもそもまだ存在していない」「異常性とは関係ない理由で収容できていない下痢など、かなり特殊な状況に置かれている。

Yesod

「イェソド」。
元ネタは生命の樹の第9のセフィラ、イェソドである。
イェソドの意味は基礎、Foundationの意味も基礎である。文字通り財団の基礎となるオブジェクトに与えられる。
スパイク・ブレナンの提言Amamielの提言で使用されている。どちらもキリスト教要素がある。
またSCP-1370-JPにも別のオブジェクトに冠されたクラスとして登場するが、こちらでの意味はこのクラスを付けたO5-12いわく「人類の基礎」とのこと。
ちなみに全く同じ意味の「Redix」というクラスもあるが、こちらはアブラハムの宗教とは無関係なオブジェクトに対して付与される。

Argus

「アーガスまたはアルゴス」
由来はギリシャ神話に出る百眼の巨人でそれを活かした「見張り番」の役目をしていた。
財団よりも適切に扱える人物や組織がいるため そちらに管理を任せた というもの。
普通は収容に特殊な技能や道具が必要ならそれを財団内に組み込むことが多いわけで
収容を外部委託するというのは相応にトリッキーなオブジェクトが多い。
…だが日本支部でこれを付与したSCP−2985-JPは Microsoftのとある製品内に発生した異常 で、
これを財団で収容するには Microsoftの企業と製品全てを財団で接収しないといけない のでコストがかかる、という理由でMicrosoftに指示して収容させるという何ともいえない扱いとなっている。

Ain

「アイン」。
SCP-1690-JP、SCP-7881に適用されている。
由来はカバラの木における「無」「0」を意味する「アイン」からか。
将来的にも回避不可能なYK-クラス:未定義シナリオを齎すオブジェクト」に対して与えられるもの。
Apollyonと被っているが、そもそもあちらは本部の機密オブジェクトクラスであり、『日本支部』には公開されていないと考えればおかしい話でもない。
言ってみりゃ「日本支部」という特殊なヘッドカノンが可能にしたとも言えるが、後に本部に逆輸入され承認済み特殊クラスとなった。

現状一つの記事でしか使用されていないもの

単に一度限り作って使われ後続がないものもあれば、メタ的に「この記事専用です」となっているものもある。後者の場合そのオブジェクトの情報災害・ミーム汚染など異常性のせいでオブジェクトクラスが影響を受けているというのがほとんどである(この項ではそういうクラスは赤字で示す)。

Azathoth

「アザトース」。
元ネタはクトゥルフ神話に登場する神、アザトースである。
このクラスはSCP-4626にのみ割り当てられているオブジェクトクラスである。
意味としてはApollyonのようなものなのだが、Apollyonとの違いは実際に危険ではなく、オブジェクトに自身を危険だと思い込ませているだけだ、ということである。
実際に、SCP-4626のオブジェクトクラスは現在Euclidに変更されている。

Beautiful

「ビューティフル」。
SCP-2690の影響を受けている2つ目の報告書内で登場。

BFF

「ベストフレンズフォーエバー」。
SCP-2790に影響を受けたサイト-54の職員がつけたオブジェクトクラスで、一緒に遊ぶ仲間につけられるオブジェクトクラス
日本支部では横に「ズッ友」と日本翻訳界史上これ以上ないドンピシャの名訳が添えられている。…がそのせいで余計異質感ある。

Embla

「エムブラ」。
北欧神話で一番最初に神々によって創造された女性の名前である。
このクラスはマン博士の提言にのみ割り当てられているオブジェクトクラスである。
マン博士の提言の内容は、反時計回りに歩くと登り道、時計回りに歩くと下り道になるという異常性を持った円形の砂利道であるが、それを発見した博士が砂利道を研究し、異常な物品や現象への研究に没頭する中で危険な異常性を持ったものを作り出してしまう。という内容である。(詳しくはアニヲタwikiのSCP-001か、本家の記事を読んでいただくとわかりやすい)
財団で一番最初に発見された、天然の異常性を持つオブジェクト、という意味で割り当てられたオブジェクトクラスであるのかもしれない。

Former

「フォーマー」。
かつて図書館だったSCP-2602に与えられた、以前図書館だったことを示すLibrary Class。

Glorious

「グローリアス」。
陛下のSCP- MDLXI(被影響者)から賜った格付け。

Hera

「ヘーラー」。
へーレーとも。元ネタはギリシア神話の最高位の女神、ヘーラーか。
SCP-4113にのみ付与されているクラスである。
財団に対して凶暴であり、敵対的であるものの、財団が有効活用できるオブジェクトに割り当てられるオブジェクトクラスである。

Humanoid

「ヒューマノイド」。
「人型存在」や「人型ロボット」という意味合いの英単語である。
ジョリッチ/ディーメティックスの提言にのみ付与されている。

Kronecker

「クロネッカー」。
元ネタはドイツの数学者レオポルト・クロネッカーであろう。
SCP-2062にのみ付与されていた(※Schrödinger参照)クラスである。
財団報告書内にKroneckerという特殊なオブジェクトクラスが出現するというオブジェクトで、この異常性は人事記録やそのほかの文書にも影響を及ぼすという。

Maksur

「マクサー」。
ツイステッドギアーズ=カクタスの提言にのみ付与されているクラスであるが、ワンタメ博士作カードゲームにも名前だけ出てくる。
現在では破壊され、バラバラになっているが、その壊れた部品自体にも異常であるオブジェクトが含まれたり、集め直すと修復の可能性があり危険なオブジェクトに割り当てられるクラスである。

Megiddo

「メギド」。
SCP-7450に付与されているクラスで、Apollyonよりもさらに状況が悪化した、つまり既に世界を滅ぼしたオブジェクトに与えられる。
K-クラスシナリオが発生し、かつ財団はもはやそれを阻止・回復できないという絶望的状況を齎したオブジェクトを示す。

Netzach

「ネツァク」。
元ネタは生命の樹の第7のセフィラ、ネツァクである。意味は「勝利」。
このオブジェクトクラスはビリスの提言にのみ付与されているクラスで、地球自体と、その地球に住む生物に割り当てられたオブジェクトクラスである。

Principal

「プリンシパル」。
「重要な」や「首位の」という意味の英単語である。つまり財団の最重要機密であり、本質だということを表している。
DJ・カクタスの提言 IIIにのみ付与されている。


支部報告書の特殊/物語風クラス群


Axiom

「アクシオム」。
「公理」を意味する英語であり、すなわち「この世の理」そのものであるオブジェクトに与えられる。
R-00Xの提言の核と言えるSCP-000なる存在に付与されている。
収容がどうこうのレベルではなく、立ち向かうことすら許されない。
なんせコレ、60兆の世界から成る人型実体という代物なのだ。その"細胞"の一つである財団世界ができることなんてない。
総体に抗う細胞はガンと呼ばれ、排除される。そうでなくても細胞はいつか死ぬ。それがこの世の理。
そういう点では上のAinと近いと言える。

Bakkhos

「バッコス」。
ギリシア神話の豊穣・ワイン・そして酩酊の神、ディオニュソスの別名である。
時絡の提言にのみ付与されている。
「Bakkhosクラスは生と死の区別が曖昧となり、正常性が崩壊することで収容や保護の意義および概念が根底から変化しうる異常現象に分類される特殊オブジェクトクラスです。」とのこと。
この提言はあの酩酊街関連の記事であることからのネーミングだろう。

Cool

「クール」。
ヤツら絡みだろって?ご名答。もちろん意味は「カッコいい」。
SCP-1850-JPにのみ付与されている。ミーム殺害エージェント(風画像)が財団のロゴを4つにバラして「A W C Y」を表すというCoolな仕掛けになっている。

Daath

「ダァト」。
由来は生命の樹の隠されたセフィラ、ダァトである。意味は「神の真意」で、つまりこのクラスは神託を述べてくれる天使レベルの尊い存在に与えられる。
SCP-411-JPに付与されているが、これの元のクラスはEuclidだった。内容を見るに我々には「尊い」ものには思えないが、この報告書を書いた財団にとってはそうではなかったらしい。何が起こったかは個別記事参照。

Juggernaut

「ジャガーノート」。
ヴィシュヌ神の化身のひとつクリシュナの異名、ジャガンナートから、転じて圧倒的破壊力を意味する。
SCP-654-JPにおいて、「不可抗力」もうダメだあ…おしまいだあ…な感じを表すのに使われている。

Möbius

「メビウス」。
いわゆる「メビウスの輪」のメビウスで、これを発見したドイツの数学者アウグスト・フェルディナント・メビウスから来ている。
SCP-789-JPに付与されているが、コイツの異常性は「これについて財団の報告書を書くと、オブジェクトクラス欄に"Möbius"と書いてしまう」というもの。なのでこのクラス名自体に財団的に意味はない。
「…あれ?それっておかしくない?」となった方は個別記事参照。
メタ的にはメビウスの輪の性質からして、「循環」とか「繰り返し」のような意味を持つ語として使われたのだろう。

Pantokratōr

「パントクラトール」。
日本語では「全能者ハリストス」と表されるギリシャ語であり、すなわちイエス・キリストのことである。
indonootokoの提言にのみ付与されており、作者によると「このクラスは収容対象が財団以上の規模のため収容できない、かつ財団に対し強く干渉するオブジェクトに付与されます。」とのこと。

Schrödinger

おそらく「シュレディンガー」。
未翻訳のSCP-CN-2048のために定義され、Thaumiel、Neutralized、Gödel、Kroneckerと同時に割り当てられている。

Socrat

おそらく「ソクラト」。
Euclidが古代ギリシャの数学者エウクレイデスから来ているように、このクラスは古代ギリシャの哲学者ソクラテスから来ていると思われる。
SCP-1818-JPにのみ付与されている。この宇宙では、エウクレイデスに代わって彼が「原論」(もしくはそれに相当するなにか)を残しでもしていたのかもしれない。
なお我々の知る宇宙では、ソクラテスは何の著作も残していない。数多くの弟子が彼の言葉を再解釈してまとめたものが彼の研究として後世に伝えられている。

Tantum

「タントゥム」。
正直存在自体がネタバレなので詳細は該当記事を参照していただきたいが、一つ言えるのはこのクラスは「唯一の」を意味するラテン語だということである。

Unclassed

「アンクラスド」。
え、その名前は変更されたんじゃないの?ってか分類じゃなくてオブジェクトクラスそのものが「Unclassed」っておかしくない?と思うだろうが、これはオブジェクトの異常性のせい。
これはSCP-1375-JPに付与されているクラスなのだが、コイツは抗記述性という情報災害を持ち、自身の情報が含まれた記録をわかりづらくしてしまう上に反ミームまで持っていて普通は認識できない魚と、それを釣ってさばいて食ってしまったせいで同じ抗記述性を持ってしまった網代宏一さんという熟練の釣り人である。熟練だったので釣り関係限定で反ミームに耐性があり、そのせいで釣れてしまったようだ。
具体的な情報災害はどういうものかというと、「ある目的でコイツの情報に触れて残された記録を、その記録自体を同じ目的で記録し直したものに置き換える」というもの。例えばこのオブジェクト報告書の説明セクションは「説明の説明」となっていて、おそらく当初普通に書かれていた説明セクションの内容それ自体をいちいち説明する内容に変わってしまっている。インタビュー記録もあるが、本当は網代さんにインタビューしたはずなのにインタビュアーにインタビューする「インタビュー記録のインタビュー記録」になっている。インタビューがゲシュタルト崩壊しそうだ。
そういうわけでオブジェクトクラスは「オブジェクトクラスのオブジェクトクラス」となり、オブジェクトクラスそれ自体を分類した結果に置き換えられる。
おそらくどうせ変えられてしまうので元の報告書ではオブジェクトクラスを付けなかったのだろう。その結果、クラスなしが属する「Unclassed」となったと思われる。

Uncontainable

「アンコンテインナブル」。
つまり「収容不可能」。これは表向きExplainedとしているアレよりも明確な「財団の敗北宣言」と言っていいだろう(こちらもアイテムナンバーだけはEXだが)。
SCP-ES-100-EXにのみ付与されている。これは前担当職員曰く「キューバと日本の地図を見ると、全人類の両国への名前認識が徐々に逆転していってしまう」という情報災害だった。
ずっと前から、カリブ海にあるジャパン諸島と東アジアにあるキューバ群島は「パッと見形が似てる」(たしかに片方を南北反転させればわからなくはない)とされていたが、これがある時から突然実際に混同されるようになってきたという。
「大自然の気まぐれによる計り知れない力で、世界の法則が変わってしまった」とも言うとおり、財団になすすべはなかった。アンニュイ・プロトコルが発動され、日本という国は東アジアに、キューバという国はカリブ海に始めからあったのだと全人類の記憶が書き換えられた。
日本支部からしたらもはや001レベルの事案である。


オブジェクトクラスなし

ある意味旧称「Unclassed」の意味に最も合う存在。
具体的には下記1.と2.の場合はオブジェクトクラス欄に「None」とか「N/A」などと書かれているものが多い。それ以外は記事によって多種多様なことになっている。

本来オブジェクトクラスが付与されない=危険度について議論されていないというやべー状況なので普通はそんなことはもちろんありえないのだが、
実際にはいくつかの理由からオブジェクトクラスが存在しない記事もある。

  • 1.オブジェクトではないのでオブジェクトクラスを割り当てない
SCP-048が該当。
SCP-048は「オブジェクト」ではなく、「オブジェクトを割り当てるナンバーそのものが異常である」という迷信である。
つまりオブジェクトについて議論しているわけではないのでオブジェクトクラスなんて存在しないのである。

  • 2.意図的に付与しない
SCP-2165SCP-3930、SCP-1940-JPなどが該当。総じてよく分からんオブジェクトばかりである。
いずれも「存在しないものとして扱う」というプロトコルが組まれていて、後ろ二つなど説明セクションの出だしが「SCP-3930/SCP-1940-JPは存在しません。」である。存在しないモノに与えられるオブジェクトクラスはない。
またリリーの提言のように本当に必要ないのでつけないという例もあるにはある。

  • 3.異常性のせいでオブジェクトクラスを付けられる状態じゃない
Di Molte VociSCP-2508SCP-779-KOSCP-444-JPが該当。
Di Molte Vociはそもそも「権威付けられた文書にできない」オブジェクトであり、従って権威付けられたオブジェクトクラスなんてつけられない。
SCP-2508はそもそも財団公式データベースに載っていないため、オブジェクトクラス自体存在し得ない。
SCP-779-KOは常に結果論的に話して行動させるために「オブジェクトクラスを決定しようとする→オブジェクトクラスを決定したという行動だけが残る」ため、
オブジェクトクラスが何になるかは書けない。
SCP-444-JPはそもそも封印していなければならない報告書であり、「オブジェクトクラスを付与しようとした」時点で手遅れである。

  • 4.オブジェクトクラスでない別の区分
SCP-2317SCP-2718などが該当。
SCP-2317は現在「特別アクセス指定: CODE NIGHTMARE REGENT RED」とされており、
「適正なセキュリティクリアランスを持たないならそもそも見れませんよ」という元々のApollyonに期待した効果に沿った書き方になっている。
SCP-2718は「DAMMERUNGクラス認識災害である。」とされ、オブジェクトクラスの設定自体がなされない。

  • 5.そもそも財団の文書ではない、または財団の文書であってもSCP報告書フォーマットではない
前者ならSCP-1036-JP、SCP-1833-JPギアーズ博士の提言、スキャントロンの提言など、後者ならSCP-2235やSCP-3682が該当する。
オブジェクトクラス欄がないんだからそりゃUnclassedになるよね。
ただし報告書を書いたのが財団みたいな組織の場合、オブジェクトクラスのようなものがついていることが多い。
SCP-1036-JPを書いたのは平行世界の警察、ギアーズ博士の提言を書いたのは財団の前身となる組織、スキャントロンの提言を書いたのはUIUなので当然SCP財団のオブジェクトクラスはついていない。(スキャントロンの提言の方には一応UIU式の「オブジェクトクラス」が付与されている。)
SCP-2235は反ミーム的情報災害で、これをなにかの記録媒体に記録すると急激に劣化させてしまう。知識を持つ人が少ない記録方法ほど劣化が少ないことが分かったので、SCP報告書フォーマットではなくほとんど使われていないURA(未登録異常)フォーマットに登録された。このため記事名が「URA-9611」となっている。
SCP-3682は現象系オブジェクトだが、一度きりしか発生しておらず財団は事後になってから何かが起きていたことを知ったため収容プロトコルが存在しない。SCP報告書フォーマットは個別の特別収容プロトコルが必要なオブジェクトについての報告書なので、これはAnomalousアイテムの現象版といえる超常現象記録として指定された。同じような経緯のSCP-1363-JPはしっかりオブジェクト登録されているのに…

  • 6.オブジェクトクラスを付ける判断が保留されている、または付けるクラスが審議中で決まっていない
SCP-3030、SCP-3557、SCP-4511などが該当。
SCP-3030は非認可のクロステストの結果サイトひとつと大勢の財団職員を巻き添えに生み出された施設で、職員を取り込んだスパコンが定期的にまたは任意入力によってさまざまなアノマリーを「テスト」としてサイト内に生成してくる。これを72時間以内に「収容」できたと見なされればアノマリーは消失するが、できなければサイト外に解放されてしまう。ハッキリ言ってKeter並だが、「これ、収容訓練施設として使えね?」というなかなか外道な案が出てクラス付けが保留された。
SCP-3557は2016年3月18日04:27(UTC)に全財団サイトの「CKクラスシナリオ検出器」というものが一斉に起動したことで感知された規模不明のCK-クラス世界再構築シナリオなのだが、特に世界に変わったところはなかった。何が起きていたのかについての意見が割れたため、それに応じて付けられるオブジェクトクラスもまだ決まっていない。
SCP-4511は単純に「まだわかっていないことが多い」という理由でクラスが決まっていない。

  • 7.オブジェクトクラスはあるが参照できない
SCP-1374-JPが該当。
オブジェクトクラスさえミームベクターになっている状態。

  • 8.あなたが決めてください
SCP-2505とchuukunnの提言が該当する。
SCP-2505の記事は「報告書作成ページ」であり、あなたはSCP-2505の記事を作成する財団職員である。そして、あなたはオブジェクトクラス欄に設置されたセレクトボックスから、好きなクラスを選んで設定することができる。
chuukunnの提言において、あなたはO5-13である。あなたの仕事は、送信されてきた報告書案を読んで、妥当と思うオブジェクトクラスのどちらかに投票すること。さあ、あなたはどっちを選ぶ?



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最終更新:2023年09月15日 12:25

*1 ちなみにThaumielもセキュリティクリアランス5(Thaumiel)を持っている職員でなければオブジェクトクラスの存在そのものが開示されない。

*2 航空機のパーツで出来たオートマトン型オブジェクト。てんかんを引き起こす謎の巨大生物に唯一損傷を与えられる。