火炎地獄(遊戯王OCG)

登録日:2022/05/06 Fri 17:04:16
更新日:2025/05/06 Tue 21:20:35
所要時間:約 8 分で読めます







《火炎地獄》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか使用できず、このカードを発動するターン、自分はこのカード以外の手札のカードをフィールドに出すことができない。
相手ライフに5000ポイントのダメージを与える。







概要




《火炎地獄》とは遊戯王OCGの1枚。
初出はvol.7。


相手のライフポイントを5000削るというもしかしなくても驚異のバーンカードである。


遊戯王OCGで初期のライフは8000でゲームが開始されるため、1枚でその半分以上、2枚でライフ全てを削り取る事が出来る。
他のTCGを見ても初期ライフの半分超を1枚で確実に持っていく火力は存在しておらず、凄まじいコスパを誇る。

流石に1ターンに1枚しか使用できないため、1ターンで2枚使って削り切るという反則技芸当は不可能だが、それ以外には発動に際してコスト・発動条件・発動後に残る制約がないため、バーンを主体とするデッキでは勿論、汎用カードとして入れてもゲームを崩壊させかねないレベルで役に立つ1枚である。



























   *   *
 *   + OCGではうそです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *











真の概要




《火炎地獄》がバーンカードである事は事実だが、遊戯王OCGにおいてはそんなインチキじみた効果ではもちろんない。
OCG版の本当の効果はこちら。



《火炎地獄》
通常魔法
相手ライフに1000ポイントダメージを与え、
自分は500ポイントダメージを受ける。





実際に与えるダメージは1000で、なおかつ自分も500ポイントのダメージを受ける。


5000の後だとショボく感じるかもしれないが、1000ダメージも初期ライフの8分の1にあたり、1枚で削ることのできるダメージ量としては大きい部類に入る。
自分にも500ポイントのダメージが入ってしまうものの、ゲーム終盤の瀕死状態でないならば痛手にはならないため、バーン特化デッキでは十分採用の余地はある。
同じバーン系通常魔法には相手にのみ800ダメージを与える《昼夜の大火事》も存在し、差し引きではそちらの方が得のように思うかもしれない。
しかし実際フルバーンを使う上では相対的なライフ差よりもとにかく1ターンでも早く相手のライフを削り切る方が重要なので、基本的に《火炎地獄》の方が評価は高め。

より細かく見ていくとひたすら高火力のバーンカードで相手のライフを焼き尽くす【フルバーン】では勿論採用圏内のカードとなる。
他にも通常魔法であるため、連弾の魔術師によるバーンデッキ、【連弾バーン】では最重要パーツとなるが、ロックを仕掛けてバーンを決めていく【ロックバーン】だと単発のダメージで終わるこのカードよりも長期的にダメージを与えられるカードが優先されがち。
また、通常魔法であるがゆえにチェーンの起点にはなるが、チェーン数を伸ばすのには使えない関係から、【チェーンバーン】でも重要度が多少落ちる。

またこのカードは効果ダメージを自分と相手の両方に発生させるので、「自分がダメージを受ける」事で効果を発動するカードの能動的なトリガーにできるという特有のメリットも存在し、バーン以外の使い方として上記の効果を持つカードを置く含むデッキ等でも採用の余地がある。
具体的には《H・C サウザンド・ブレード》や、【サンアバロン】、V・HERO(《V・HERO インクリース》や《V・HERO ポイズナー》などレベル3モンスター)や《Emダメージ・ジャグラー》(自身のサーチ効果の為の間接的な墓地送り手段)などが該当する。
勿論自分へのダメージを《地獄の扉越し銃》などで相手に跳ね返し、合計1500のバーンにするなどの使い道もある。


因みにこのカード、「固定数値のダメージを与えること」が主な効果とする魔法カードの中では、同じく1000ダメージを与えられる《デス・メテオ》と並んで相手に与えられるダメージ量が最も大きい。


ダメージ量が同じ魔法カードという観点で《デス・メテオ》と比較する場合、《デス・メテオ》は自分にダメージが発生しないため、自分の残りライフを気にせず使えるという点で優っている。

しかし相手のライフが3000以下の場合、《デス・メテオ》は発動できないため、引導用のバーンとしては使いにくい*1、後半に引いてもただの死に札にしかならないと言った問題点も抱えているため、発動タイミングの多さでは《火炎地獄》に軍配が上がる。

……と、上記のような差異はあるが、どちらも単体で高火力のバーンが可能である事に変わりはない為、【フルバーン】【連弾バーン】などで併用されるのが一般的である。


因みに《火炎地獄》のテキストを読む限りでは「相手が1000ポイントのダメージを受けてから自分が500ポイントのダメージを受ける」という、エラッタ後の《破壊輪》の様な自分と相手が別々のタイミングでダメージを受ける効果の様に見えるが、実際にはダメージを受けるのは同時。つまり相手ライフが1000以下かつ自分ライフが500以下の場合に発動すると、引き分けになる。マスターデュエルなどではテキストの内容に従って「相手に1000ダメージ→自分に500ダメージ」と言う演出になっている*2ので、間違えて覚えないよう注意が必要である。


余談


  • 初期からあるこのカードだが、アニメでこのカードが使われたのは意外にもVRAINSが最初(+現状唯一)。
    藤木遊作がUnknown名義で行動していた時期に、サイバース族デッキを獲得する為の詰めデュエルで登場。
    自分にもダメージが発生する効果である事を利用し、《リンク・リスタート》の発動トリガーとする形で効果を自ら無効にした。
    因みにこの処理自体はOCGでも可能なのだが、この詰めデュエル時は《セキュア・ガードナー》の効果が適用されており、効果ダメージを受けない状況だったため、そもそも《リンク・リスタート》自体が発動できない。

  • 「ライディングデュエル」用に「Sp(スピードスペル)」としてリメイクした《Sp-火炎地獄》がWCS2009以降でオリジナルカードとして登場する。
    「ライディングデュエル」で使用される「スピード・ワールド」はダメージ1000ごとにSPC(スピードカウンター)が1減るため、ダメージを与えつつSpの妨害に利用できた。ぶっちゃけ妨害として見るとわざわざ1枚消費をするほどの性能ではなく、この時期はライディングのバーンデッキ自体が弱かった*3ためにあまり使い勝手は良くない。
    一方、WCS2010以降では《スピード・ワールド2》に切り替わった事でSPCを削れなくなったものの、発動条件の緩和・《スピード・ワールド2》のバーン効果を始めとするSpのバーンカードの追加・ライディング自体のバランス改善*4が影響し、総合的にはこちらの仕様の方が強力。ライディングのバーンデッキの選択肢として有力な一枚となっている。



追記・修正はフルバーンを全力で回しながらお願いします。


















かえんじごく まほう



あいてのライフポイントを5000もうばう しゃくねつじごくをはっせい














………と、ここまでOCG版の《火炎地獄》について解説してきたが、ここで冒頭で書いた効果内容を振り返ってみよう。



《火炎地獄》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか使用できず、このカードを発動するターン、自分はこのカード以外の手札のカードをフィールドに出すことができない。
相手ライフに5000ポイントのダメージを与える。






OCG版の効果については先に記述した通りなので、「今更こんな嘘記述がどうした」と思う人もいるかもしれないが、実はこの効果、根も葉もない嘘の記載という訳ではなく、本当にこの効果を持つカードだった時期が存在するのだ。


真の概要2



というのも実はこのカード、ゲームボーイのソフトである遊戯王デュエルモンスターズの記念すべきゲームソフト第1作目「遊戯王デュエルモンスターズ」で収録されていたのだが、このゲームはOCG初のパックであるvol.1が発売される前のカードであるため、(OCGとは異なる効果として)正真正銘、上記の効果で実装されていた過去があるのだ。
(厳密に言うと「1ターンに1度しか使用できず、手札の他のカードをフィールドに出せない」の部分は、「お互いのプレイヤーは1ターンに1枚しかカードをプレイできない」と言うルール側の制約で、このカード自身に課せられた制約ではない。)




このゲームでも初期ライフは8000で設定されているので、2回発動すればゲームエンドになる
ダメージを受ける側は《治療の神 ディアン・ケト》*5を使う事で延命は可能だが、このゲームではライフの上限が9999となっているため、使いどころを間違えると命取りになるため、まさに「地獄」のようなカードである。



上記の通りインチキじみた効果なのだが、その分入手難易度はとてつもなく高く、「通信対戦を200のカセットと行う」事。間違いやすいが「通信対戦を200行う」」ではない。それでも十分きついのだが。
つまり(複数人でカセットの使い回し等をしていないという前提の下で)最大200人と通信対戦を行う必要があるというボッチには涙目かつ友達の多い人でも高難易度な入手仕様となっている。
さらに恐ろしいことに本ゲームではセーブデータを消去するコマンドが非公開で、1本のカセットのセーブデータ消去を繰り返して回数を稼ぐことも実質不可能となっていた。

なお《火炎地獄》の影に隠れがちだがDM1では完全下位互換のバーンカードもやたらとダメージが高く、《昼夜の大火事》で2000ダメージ、《火あぶりの計》で1000ダメージも与える事ができる。
(そちらのレアリティも高く、《昼夜の大火事》は通信対戦を150本のカセットと行うのみ、《火あぶりの計》は闇遊戯から90勝ボーナスまたは勝利時に2048分の10=0.49%でドロップする)
しかし2000ダメージなら普通にモンスターを出して殴ればそれくらい出せるため、1ターンに1枚しか手札をプレイできない制限をそちらに割くかは迷う所。
攻略本でも「目先のダメージや回復より、相手より先に切り札カードを出した方が、圧倒的有利になるのがこのゲーム。」と 実にもっともな事が書かれており 、トドメを刺せる時や壁合戦の時に使うのが有効とされている。《火炎地獄》の5000ダメージが適正かは別の問題として。


その後ゲームボーイでは「遊戯王デュエルモンスターズII 闇界決闘記(Dark Duel Stories)」から「遊戯王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記(バトル オブ グレイト デュエリスト)」まで計3本ソフトが出ているが、流石にこの効果ではまずいと考えたのか、ダメージ量は1000まで減少し、入手も容易になった。
だが、「遊戯王デュエルモンスターズII 闇界決闘記(Dark Duel Stories)」では同名カードを1つのデッキに何枚も入れられ、かつ毎ターン手札が5枚になる様に補充されるので大量投入してバーンに特化させれば容易に勝利することが出来た。
一方、上記の初代ソフトと上記の3作はカードの通信交換が可能だったため、獲得した《火炎地獄》を通信交換で初代ソフトの方に送り付けることが出来れば、上記の200本の通信対戦をすることなく、容易に《火炎地獄》の獲得、及びデュエルでの使用が出来るという地獄のような状況になった事もある。



因みにGBシリーズのルールを踏襲したゲームボーイアドバンスのソフト「遊戯王デュエルモンスターズ8 破滅の大邪神(Reshef of Destruction)」では、上記の暴れっぷりを考慮したのか、「制限カード」に指定されている。
…攻撃権+攻守500ダウンと引き換えに自身の攻撃力分のバーンを行う《イグザリオン・ユニバース》や、自身を墓地へ送り相手の最も攻撃力が高いモンスターの攻撃力分のダメージを与える《魔鏡導士リフレクト・バウンダー》が無制限カードで使えるため、超ぶっ壊れのフェニックスモードを縛ってもバーンデッキそのものはDM3や4より圧倒的に強くなっているのだが。

GB時代のゲームが収録された「アーリーデイズコレクション」にはチートモードとして「全てのカードアンロック」「所持カードを最大9枚にできる」という物があるのだが、DM1のこのカードも当然可能。
なのでデッキの4分の1近く、《火炎地獄》というふざけたデッキにする事が可能。
しかし、本作には2025年4月段階、通信機能を利用することはできず、逆に言えばこのカード自体は9枚までしか入手できないことには注意である。





「アニヲタ地獄」の入手は、名称の異なる200の項目の追記・修正を行ったうえでお願いします。


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最終更新:2025年05月06日 21:20

*1 効果処理時に相手ライフが3000以下になる分には問題なく使えるので3000より多いタイミングで発動した後複数のバーンカードでチェーンを積み上げ、相手のライフを1000以下まで下げれば引導火力になりうる。

*2 マスターデュエルでも見かけ上タイミングが違うように見えるが効果処理としては同時であり、1000ダメージで相手のライフが0になったとしても自分への500ダメージの処理は行われる。

*3 Spはコストの問題で防御・バーン・ドローのどの面で見ても碌に使えるものが無く、必然的にほぼすべての動きを罠に頼りきりになる為、《王宮のお触れ》や《Sp-大寒波》と言った罠メタ1枚でほぼ勝負が決まってしまう

*4 Spの魔法罠除去が全体的に軽くなり《スピード・ワールド2》の除去も追加、ダメージでSPCを削っての封殺もできなくなっって総合的に《王宮のお触れ》等の罠メタを除去しやすくなった。また、《王宮のお触れ》と並ぶ天敵だった《Sp-大寒波》が弱体化し一線を引いた

*5 こちらも本ゲームでは回復量が5000に設定されている。