ディーゼル10

登録日:2022/07/24 Sun 22:35:21
更新日:2024/10/23 Wed 13:08:41
所要時間:約 14 分で読めます




邪魔だ、どけどけ!
ここにはやり残した仕事があるんだぁ!
今度こそ片付けてやるぜぇ!
覚悟しろ!

ディーゼル10(テン)とはアニメ『きかんしゃトーマス』の登場キャラクターの一両。

概要

劇場版一作目『きかんしゃトーマス 魔法の線路』より登場。そのため原作絵本には登場しないキャラクターである。

黄土色の車体の大型のディーゼル機関車で、車体上部に取り付けられた大型の作業用アームのピンチーが特徴的。車軸配置はBo-Bo*1。モデルはイギリス国鉄クラス42ディーゼル機関車*2

元々再登場させる予定は無かったがそのインパクトの強さからその後も劇場版を中心に時々再登場している。
また、再登場する度に性格や担当声優がコロコロ変わるのも特徴。

運用

そのピンチーを使って破壊工作や障害物の撤去を行うのが主な運用。
機関車であるが現状客車や貨車を牽引している様子は見られない*3*4
また、今のところ彼の乗務員が姿を見せたことは無い。

性格

普段蒸気機関車とディーゼル機関車は対立関係にあるがディーゼル10の場合「バラバラにしてやる!」「役立たずのスクラップの山にしてやる!」と宣言する*5など蒸気機関車達に対して非常に強く敵意を向けており、その性格は乱暴で極悪非道。
また、他者に対し妙なあだ名を付けることが多い。トーマスは「タンポポ頭」、トビーは「ティーポット」、蒸気機関車達は「ブリキのヤカン」、ミスター・コンダクターは「キンキラ野郎」、ジュニアは「キンキラ野郎ジュニア」、修理待ちで吊り下げられているシドニーは「きらきら星さん」と呼んだ。
その一方自分の彫刻を作って自画自賛したり石炭を被って汚れた際には「折角の美形が台無しだ。」と発言したりとナルシストであり、他にもドジでマヌケな行動が目立つなどどこか憎めない一面もある。
そして「タンクに入れられると動けなくなるから」という理由で砂糖が苦手。砂糖を見るだけで震えて逃げ出すレベル。

劇場版一作目以降はこれに比べると性格がやや穏やかになり、蒸気機関車達と対立することはあれどスクラップにしてやるなどと発言することは無くなった。それでも時折邪悪な面を見せることも。ただ「穏やかになった」と言っても劇場版一作目は本来とは大きく異なる世界観のパラレルストーリーのような作品なのでこちらが本来の性格なのかもしれない。

各作品の活躍

※各作品のネタバレに注意
担当声優は日本語版/原語版で示す。

魔法の線路

CV:松尾銀三/ニール・クローン

劇場版一作目。
今作では元々いた黒い方のディーゼルが登場していないためか殆んど「ディーゼル」と呼ばれている。

過去にソドー島で暴れ回りソドー鉄道を恐怖に陥れたりレディーを再起不能になるまで痛め付けたりしていた。
そして本編開始後には項目冒頭の台詞と共にトーマスとゴードンの横を凄まじいスピードで走り去って行った。
ディーゼル10の悪名はかなり広まっていたようで、トーマスからは「僕ら蒸気機関車の天敵」「血も涙も無いディーゼル」と評され、あのゴードンでさえも彼の姿を一目見ただけで震え上がった。
しかしソドー島にはこれから唯一ディーゼル10を抑えられる存在であるミスター・コンダクターも来ることになっていた。

その後トーマスとジェームスの前に現れ「てめぇら蒸気機関車は意気地無しでへそ曲がりのクズ鉄の塊だからな!」と吐き捨て、自身がソドー島に戻ってきたのは「消えた蒸気機関車(のレディー)をブッ壊し、他の蒸気機関車もスクラップにするため」とバラす宣言。

そして子分の双子のディーゼル機関車ドッヂ(CV:岩崎ひろし/ケヴィン・フランク)とスプラッター(CV:坂東尚樹/ニール・クローン)にも計画を説明。しかしそれぞれ名前を呼ぶ暇は無いからとまとめてスプロッヂと呼ぶ。
だがピンチーはピンチーで自我を持っているようでスプロッヂに計画を話終えた後ピンチーに顔面を殴られた。その後も度々ピンチーが勝手に暴走する。

続いて「クシャミの出る粉」を撒くイタズラを仕掛けるがヘリコプターのハロルドが粉を散乱させたせいでトーマスも巻き込めたがスプロッヂは自滅。

その晩トーマス達の機関庫を襲撃。しかしミスター・コンダクターに砂糖を見せ付けられ*6、捨て台詞を吐いて退散した。

また別の日の夜、トーマス達の話を盗み聞きして知った魔法の線路の情報を基にミスター・コンダクターを始末する作戦をコントの後スプロッヂに説明。
「おい、スプロッヂ!こっちだこっち!一緒にパーティーやろうぜ!」>
「やったぁ!パーティーだ!」>
「わぁお!パーティー大好き!」>
「風船も飾る?ご馳走は何かなぁ?」>
しかしそうはさせまいとトビーが鐘を鳴らしたところピンチーが驚き暴走し、屋根が倒壊した。
「危ない、屋根潰れる…。」>


「コラ、ピンチー!こっち戻って来い!背伸びすんな!」>
「ああ面白かった。」>
「あの、ボス。屋根を壊したのは何か訳があるんですかい?」>
「それも全部…。」>
「……あったりめぇだ!訳があるからやったんだこのマヌケが!」>

その後はミスター・コンダクターを捕らえ魔法の車止めについて話すよう脅すがミスター・コンダクターがたまたま持っていたペンチでピンチーのホースを切られ彼を逃がしてしまう。
このことをスプロッヂに責められた時の漫才は必見。
「ああ、あれね。わざとやったに決まってるじゃん!あの野郎を、試してみたんだよ!逃げられるかどうか。」>
「ウソウソ。」>
「パンツに火が付いた。」>
「パンツ履いてる?」>
「トレパンだよ。」>
「そっか。」>
「それまで!お遊びの時間はもう、おしまい!」>
「ああ…。」>
「さあ次のレッスンを始めるぞ!テーマはどうやったらバカを卒業出来るかだ。」>
そう言った矢先ピンチーが石炭ホッパーを叩いて石炭まみれに。
「折角の美形が台無しだ!」>
「はぁ?」>

続いて風車でふざけて吹っ飛ばされ彼の屋根の上に着地したジュニアを誘拐。精錬所へ連れて行き、そこにいたジェームスもろとも溶鉱炉へ突き落とそうとしたが隠し持っていた最後の魔法の粉で逃げられる。

そして最終局面。トーマスと復活したレディーを追うが、その無茶な扱いから遂にスプロッヂに愛想を尽くされる。レディー達を追う中壊れかけの橋を通過しようとしたところその大きな車体とピンチーの重量が災いし橋が限界を迎え、橋から落下。下を通った泥浚いの艀に転落し、そのまま運ばれて退場した。

あぁ…。まあいいさ。
クルーズにはもってこいの季節だ。
なぁ、はっは…。

みんなあつまれ!しゅっぱつしんこう


劇場版二作目。
今作以降は黒い方のディーゼルと共演するので「ディーゼル10」と呼ばれ区別されている。
前作で初登場し、今作にも続投したキャラクターは他にレディーもいるがレディーはトーマスの夢の中にしか登場しないので(作中における)現実世界に登場したのは彼のみである。
あと今作以降ピンチーが暴走することは無くなった。

性格は前作と比べかなり大人しくなり自ら悪事を働くことは無く、ピンチーでスクラップや嵐で散らばった瓦礫の処理を行っていた。
それでもかなり気難しい性格で、蒸気機関車達からは恐れられており、トーマス達は彼を避けるようにしていた。

しかしトーマスの起こした事故が原因で空港の滑走路が破損。修復のためにロードローラーのジョージを連れてくる必要があるが、線路が瓦礫で塞がれ通れなくなっていた。そこでトーマスは勇気を振り絞りディーゼル10の手を借りることにした。最初は乗り気では無かったが空港が開業出来なければどの機関車も役に立てなくなるという発言を受け協力。結果空港の復旧に大きく貢献することになった。

トーマスをすくえ!!ミステリーマウンテン

劇場版三作目。
他のディーゼル機関車に混じって、台詞の無いモブキャラとして登場。
行方不明になっていたトーマスが見つかったことを聞いて喜んでいた。

ミスティアイランド レスキュー大作戦!!

CV:黒田崇矢/マット・ウィルキンソン

劇場版五作目。次回作『ディーゼル10の逆襲』に先駆けての登場。
初のCG化。
本編での出番は無いが、騒動を終え笑い合う蒸気機関車達に対し邪悪な笑いと共に

そうやって楽しそうに笑ってられるのも今の内だ。蒸気機関車どもめ…。
フッハッハッハッハ…!待っていろ…。

と意味深な発言を残す。

ディーゼル10の逆襲

CV:南海キャンディーズ 山里亮太(劇場公開・DVD時)、仁科洋平(テレビ放送時)/マット・ウィルキンソン

劇場版六作目。
遂に自身の名を冠した作品が登場。
ゲスト声優に南海キャンディーズの山ちゃんが起用された*7
not声優の出演者さんの恒例通り?テレビ放送や公式chでの配信の場合は普段から声優業してる方の吹き替えに変更される*8。山ちゃん版も良い感じなのに…

老朽化したディーゼル整備工場の現状を嘆いており、整備工場のリニューアルを目指している。
しかしトップハム・ハット卿はディーゼル機関車の言うことは聞いてくれないと思い、まず手始めに新しい仲間のベルやフリン*9にトーマスが夢中になったことで劣等感や孤独感を抱き自身を特別扱いしてくれる仲間を求めるパーシーを懐柔する。そしてパーシーにトーマスを通じトップハム・ハット卿へ整備工場をリニューアルするよう伝えるという任務を与えた。

次にディーゼル10はクレーンが壊れて使い物にならないのにソドー整備工場にはクレーン車のケビンがいるのは不公平だと言う。その晩パーシーはトーマスが機関庫のパーシーのスペースを一時的にフリンに貸しているところを目撃。遂にパーシーはトーマスと絶交。そしてヒーローになることに憧れるケビンを唆し彼をディーゼル整備工場へ連れていく。
しかしパーシーからまだトーマスに話が伝わっていないと知らされるとディーゼル10も僅かに怒りを見せる。

その後ケビンがいなくなったことが判明したことでようやくパーシーは皆にディーゼル整備工場について話す機会が出来た。そしてパーシーはトーマスがケビンを連れ帰るよう仕向ける。

だが話が伝わるのが遅すぎて痺れを切らしたのかディーゼル10はソドー整備工場に他のディーゼル機関車達と乗り込むことを決意。パーシーからソドー整備工場の責任者のビクターが不在であることを知らされるとデンとダートにトーマスを軟禁させ*10「ヒーローになる心の準備が出来たかい?」と言うとパーシーに案内を担当させた。

こうしてソドー整備工場に辿り着いたがディーゼル10は何もしなかった。パーシーは彼に褒められるのを待ったが突然ディーゼル機関車達は工場を占拠したのだ。工場の乗っ取りを宣言し、工場内で好き勝手するディーゼル機関車達。パーシーはそれはいけないと言うがディーゼル10は…。

俺の邪魔をするな、愚かな蒸気機関車め!

そう、端からパーシーを仲間だなんて思っていなかったのだ。こうして用済みになり切り捨てられたパーシーは目を覚まし、騒動の鎮圧に動く。

蒸気機関車達はディーゼル機関車達の元へ行くとトップハム・ハット卿もやって来た。そしてトップハム・ハット卿はディーゼル10に対し騒動について説教をした。これにはディーゼル10も逆らえなかった。
そしてトップハム・ハット卿はディーゼル整備工場のリニューアルを宣言した。
その後は機関車達の活躍もあり見事ディーゼル整備工場は生まれ変わった。


このように今作におけるディーゼル10は(動機はともかく)久々の完全な悪役である
それに暴力的な手段で凶行に及んでおり、ギャグ的な面も目立った一作目と比べると他者の願望に付け込み操り、用が済めば冷淡に切り捨て、殆んど滑稽な様子を見せることが無かったと知略面が非常に長けているのである
ちなみに今作で整備工場内に彼専用の機関庫があることが判明するのだが設備の老朽化もありやたらシャッターに挟まれる。これが今作唯一のディーゼル10のギャグシーン。

きえたクリスマスのかざり

CV:仁科洋平/マット・ウィルキンソン

短編411話目。
最初で最後のディーゼル10短編進出回にして主役回。
クリスマスのために整備工場を飾り付けるが飾りが少ないことに不満を抱き、パーシーから飾りを強奪する。
その後、密かにトーマス達の機関庫の飾りを盗むも、見つかって追いかけられる。最後はトップハム・ハット卿からのツリーや飾りのプレゼントを見て反省した。

これは3Dアニメーション制作のシーズンの終盤期は「2エピソード1組のうち、片方はなんらかのSDGsをテーマとする回」「子供向けの教育・教養番組」の色が強いこともある。つまりクリスマスを祝うことの重要性*11を本来の視聴者たる子供たちに伝える仕事を任されたわけである。
まあ2Dアニメーションのシーズンに比べると割と良くも悪くも好き勝手やってたんだけど。どう考えてもパニックムービー撮りたかっただけにしか見えない『ちゅうごくのすいしゃ』とか。*12

その他作品

Thomas and the Beanstalk

絵本作品。
『ジャックと豆の木』のトーマス版で、冒頭でトーマスに体当たりしたり巨人と結託して黄金の機関車*13を捕まえたりした。ちなみに巨人と組む時巨大化した。

DC☆SUPER FRIEND MINIS

玩具「ミニミニトーマス」のプロモーションアニメ。
DCコミック』とのコラボ商品で、ディーゼル10はジョーカーに扮し、ハーレイ・クインに扮するミリー*14と共に悪事を働くがスーパーマンに扮するトーマス、バットマンに扮するディーゼル、サイボーグに扮するスペンサーに倒された。
ちなみに元々ジョーカーがあのような見た目で化粧が濃すぎるのでこのディーゼル10、全然ディーゼル10に見えない

余談

ディーゼル10の出番は以上だが518話にてレベッカの妄想に彼のピンチーが登場する。しかしレベッカとディーゼル10の絡みは描かれている範囲では存在しないためどのような経緯でそのピンチーについて知ったか不明。


あぁ、まぁいいさ…。
追記・修正にはもってこいの季節だ…。
なぁ、ははは…。

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最終更新:2024年10月23日 13:08

*1 B…動輪が二つある台車であることを示す。o…それぞれの車輪が独立して駆動することを示す。-(ハイフン)…台車同士の区切り。なので動輪が二つある台車が二基あり、合わせて動輪が4つあるD級機関車である。日本のディーゼル機関車ではDD200形で採用されている車軸配置。

*2 なお、原作絵本ではディーゼル10は出てこないが、同型機が第18巻第1話にイメージとして登場(ステップニーがソドー島に来るまでのイメージシーン、3台並ぶディーゼル機関車の一番右の車両)。当然こちらにはピンチーは存在しない。また、鉄道車両かは不明だが第24巻3話でピンチーそっくりなアームが壊れたスクラフィー(貨車)の残骸整理をしている場面がある。ちなみに黒のほうのディーゼルのモチーフは同クラス08ディーゼル機関車。

*3 プラレール等の玩具では貨車が付属している場合がある。

*4 日本で言えば国鉄DD53系(実質的には除雪車)のような「特殊な用途にのみ使用する」機関車の可能性もあるが、このあたりの説明がなされたエピソードは今のところ存在しない。

*5 と言っても本当に彼にスクラップにされた機関車はいない。対象年齢的にそのような描写があっても困るが。但し過去にレディーを再起不能になるまで痛め付けたと言及されている。

*6 この時の驚き顔は必見。

*7 冒頭では前作『ミスティアイランド レスキュー大作戦!!』の映像も使用されたが、声優は黒田氏から差し替えられている。

*8 『世界まるごとアドベンチャー』ラリーカーのエース(日本語吹き替えは平成仮面ライダーシリーズでもおなじみ、DA PUMPのISSAさん)のように、変更されなかった作品自体はある

*9 前者は消火機能を持った蒸気機関車(モデル車は存在するが消火機能は架空のもの)、後者は軌陸消防車(道路も線路も走れる消防車)。いずれも特別な能力を持っている。

*10 ケビンは壊れたクレーンで遊ぶのに夢中になっていた。

*11 本来はイギリスの映像作品であることを思い出してほしい。キリスト教圏にとって、クリスマス…すなわちイエス・キリストに関連する宗教的イベントは日本以上に重要な年中行事であり文化である

*12 難民の定着問題と「流れ着いた土地への譲歩・適応」を描いた『ニアとすうじ』…というかニアの設定そのもの、リサイクルだけではなくリユース・リデュースの重要性をリアル鉄道ネタも絡めてオチに持ってきた『ダックのがっこう』など、比較的真面目に向き合っている回もちゃんとある。念のため

*13 原典における金のハープに相当。

*14 本編では別に彼女は悪役ではない。