登録日:2022/10/05 Wed 05:15:14
更新日:2025/03/24 Mon 14:17:30
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エリクト・サマヤとはアニメ『
機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE』の登場人物。
『PROLOGUE』の内容がサマヤ家を中心に描いているため、実質主人公とも呼べるポジションである。
CV:市ノ瀬加那
☿生い立ち
小惑星に建造されたヴァナディース機関の実験ラボ・フォールクヴァングで
開発マネージャーである父ナディムと
テストパイロットである母エルノラら家族や仲間たちと暮らす4歳の少女。愛称は「エリー」。
赤い髪色が母親譲り、褐色肌と丸い眉毛(麻呂眉)が父親譲りの容姿をしており、天真爛漫で人懐っこい性格をしている。
なお、ラボ内には彼女以外に子供はいない様子。劇中では常にうさぎのぬいぐるみを担いでいた。
4歳の誕生日を迎えた日も誕生日祝いを中断して急に入った仕事を続ける両親に拗ねて、
一人、ガンダム・ルブリスの格納庫へ愚痴をぶつけた際に、たまたまコックピットにいた機関の代表である研究者カルド・ナボに諭され(…むしろ唆され?)
ルブリスと「お話」するために「認証」を受ける。
その後、ラボが襲撃を受ける中、ルブリスのコックピットの中で怯えていた際にエルノラが合流。
乗り込んだエルノラはルブリスを起動するも、エリクトがパイロットとして登録され、GUNDフォーマットのレイヤーが33までコールされている事実を目の当たりにする。
コンソールパネルをタッチして目標を補足し、瞬く間に三体もの敵を撃墜したエリーはエルノラに向けて、その爆発を見て言った。
目を輝かせながら無邪気に評するエリーにエルノラはうなだれるしか無かった。
しかし敵MS・べギルベウが繰り出すアンチドートによりGUNDフォーマットのリンクが阻害され、ルブリスは窮地に立たされる。
直後、ナディムが乗る量産試作ルブリスが駆け付けべギルベウへと特攻。
死を悟ったナディムから送られる最期のメッセージ―それはナディムからの誕生日祝いの歌だった。
二人はバースデーソングを一緒に歌う。
その歌と共に宇宙空間に突如爆発-4つめのろうそくの光が広がっていった。
父親を含む多くの人間たちが死んだことを理解したのかは描かれていない…
そして物語は『水星の魔女』へと続いていく―
☿疑問
容姿の特徴やCVが同じであることから、エリクトは本編の主人公
スレッタ・マーキュリーの幼き日の姿…と見られるが、
実は確証が無かった。
2022年夏、各地で開催されたプレイベントでの『PROLOGUE』初公開時点ではスレッタ=エリクトと誰もが信じて疑わず、元ネタの一つと思われるシェイクスピアの「テンペスト」の設定も相まって「本編の12年前だろう」という推測のもとに考察をしていたファンも多かった。
しかし2022年10月2日に発表された公式小説「ゆりかごの星」内の描写から見解が分かれ始めた。
指摘されている点を箇条書きすると以下の通りとなる。
- 公式サイトなどからスレッタとエリクトの関係性・同一性(偽名、改名であるなど)に関する文章が一切無い。
- デリング・レンブランなど『PROLOGUE』から引き続き登場する人物たちの本編における姿が、十数年程度の経過にしては異様に老けている。
- 本編第6話及び7話にて、『PROLOGUE』での事件を思わせる「ヴァナディース事変」は本編よりも21年前の出来事だと語られている。
- エリクトは母であるエルノラを「ママ」と呼ぶが、小説「ゆりかごの星」にてスレッタは6歳の頃から母親を「お母さん」と呼んでいる。
- 小説内ではスレッタとエルノラの親子関係について言及がない。
- ガンダム・エアリアルはスレッタが6歳の時点で既に完成しているが、新造機であるにしてもルブリスの改修機であるにしても、どのみち後ろ盾を無くしたエルノラが1人で作ったにしては開発期間が短すぎる。
- エリクトは小惑星上に建設されたフォールクヴァングで日々を過ごしていたのだが、小説内で「スレッタは物心ついた時から水星しか知らない」と書かれている。
また、本編での描写においても、
- 性格が違う。(社交的で好奇心旺盛なエリクトに対し、スレッタは人見知りとほぼ真逆の性格である。単に成長過程で変わった可能性はあるが)
- 本編5話にて、アリヤ・マフヴァーシュの占いでスレッタに兄弟がいるのではと指摘されるが、スレッタは兄弟はいないものとして育ってきている。
- 『PROLOGUE』が本編の何年前なのかという予想をひっくり返しかねない設定が徐々に明かされてくる。
- 8話でミオリネが用意したヴァナディース機関の紹介ビデオに登場したカルド・ナボ博士に対してスレッタは「この人誰ですか?」と面識がないことを仄めかしている。
これらの内容から、一部の視聴者の間では「エリクトとスレッタは別人ではないか?」と考察されていた。
(エリクトがスレッタの母であるとする説、姉であるとする説など)
ただ確実に言えるのは、PROLOGUEにて描写された事件こそ、復讐に生きる「魔女」を生み出し、スレッタ・マーキュリー本人も知らない宿命という名の「呪い」を背負わせてしまった切っ掛けであるという事だろう。
このように多くの謎を残し本編は始まったのだが、
これらの謎と生き残ったサマヤ親子がどうなったのか、彼女たちと類似したマーキュリー親子、ルブリスとエアリアルの関係性も語られないままSeason1は幕を閉じたのであった。
そして………
☿本編にて
長らく名前も出ず、安否も同行も分からない状態だったが、Season2第2話(14話)において、遂にこれらの疑問と予測に対し明確な答えが提示されることとなった。
プロローグ以来の本編初登場を果たした彼女だが、その翌週の15話のOPから、こちらでも映像が差し変わる形で登場することになるのだが………
なんとこれ以上ない満面の笑みでサムズアップをするというこれまた衝撃のシーンであった。
(本編で再登場した時はどこまでも冷たい表情を浮かべてたのにOPの彼女は何故こんなにも楽しそうなのだろうか…?)
その後ペイルのCEO達に任務(という名の脅迫)を受けて、
エランがエアリアルに接触してくる。
彼はエアリアルがスレッタ達の手元を離れている間にエアリアルを奪取しようと目論んだのだが機体は全く動かないどころか、起動する様子もない。
かつて4号が普通に動かせたという記録を知っていた彼はこの結果に訝しむが、その直後エアリアルがパーメットスコア6を強制発動し、過剰なデータストームがエランに襲い掛かる。
4号の時とはまるで真逆とも言うべき事態とデータストームの過負荷に苦しむエランがエアリアルの奥に見たもの
それは………
その沢山のエリクトたちの中から1人だけエランの前に降りて彼女は告げる
この言葉と共にエリクトは更にデータストームの出力を上げてエランを苦しめ、彼は激痛に耐え切れずエアリアルを動かすことも叶わなかったのだった。
そしてグエルが学園に戻って来たことで、事態は動く。
プロスぺラの言動に危機感を募らせたミオリネはスレッタがもうガンダムに乗らないことを条件にプロスぺラとある約束をする。
同時にグエル、ミオリネ、プロスぺラが裏で結託しペイルから離反したベルメリアの技術も借りて、エアリアルにとある細工を施す。
それをただ一人知らないスレッタはグエルとの決闘に臨むことに。
そして決闘でエアリアルはスレッタの思いに感応するかのようにパーメットスコアを青の6から更にスコアを上げた白に変化、スレッタは切り札のガンビットライフルを用いて、グエルを追い詰めた。
しかしその刹那、スレッタの耳に
というエアリアルの声が響き、直後にエアリアルの全機能が停止、そしてグエルは動きを止めたエアリアルを破り、ミオリネとエアリアルはスレッタから離れることになるのだった。
その後はベネリット本社にエアリアルは格納されていたのだが、地球寮の励ましで本社に来たスレッタと邂逅、ここでスレッタはエアリアルに搭乗し、いつも自分がしてきたように会話をする………筈だった。
スレッタはエアリアルのコックピットに乗ったのに、どことも分からない奇妙な場所に誘われる。
+
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そこで彼女が見たものと、遂に明かされる恐るべき事実(ネタバレ注意) |
☿真実
そこはエアリアルの真相領域の中だった。
この場所に初めて訪れたスレッタが見た者、それは
自身を幼くしたような顔を持つエリクト・サマヤ『たち』の姿だった
彼女たちが何者かも分からないスレッタは混乱するが、彼女たちの声が自分がいつもガンダムに語り掛け、聞こえていた声と一致したので、彼女たちこそが自分が語り合っていたエアリアルなのだと自覚するスレッタ。
しかしこの後にエリクトから聞かされる真実はスレッタですら受け入れきれないものだった。
エリクトはスレッタ告げる
君たちは僕の遺伝子から創られたリプリチャイルドということだよ
プロスぺラは水星の過酷な環境で限界を迎えた幼いエリクトの意識をルブリスに移し替えることに成功する。
そのエアリアルに改修するのだが、その過程でエリクトにいくつかの補助を儲けた。
一つはガンビットなのだが、これは後の計画の要にもなるため普通のビットにはない代物をつけた。
それが『カヴンの子』である。
これはエリクトの意識を拡張するための存在でエリクトの遺伝子を用いて創られたエリクトそっくりの子供たちである。
この子供たちが一人一人ガンビットに宿ることで、エアリアルのガンビットは並の機体を遥かに凌駕する性能と超常現象を引き起こしていたのである。
もう一つが他ならぬスレッタ・マーキュリーの存在。
彼女は他のガウンの子とは違い、予め肉体を持って創られたエリクトのクロ―ンである。
エアリアルの中にいるエリクトの代わりに現実世界でプロスぺラとエリクトの大願である計画を進めるために創られた存在、それが彼女である。
そしてエリクトの遺伝子を用いて創られたガウンの子とスレッタを一纏めにしてリプリチャイルドとエリクトは述べた。
つまりスレッタは自然のままに生まれた訳でも、プロスぺラが腹を痛めて生んだ子供でもないということである。
|
全ての真実をスレッタに告げ、エリクトはエアリアルの中からスレッタを追い出す。
同時にスレッタの前に現れたプロスぺラも事実を知り縋るような思いで自身に訴えかけるもう一人の我が子に「エリクトの言葉は真実だ」と言い切り、彼女を切り離した。
唯一人取り残された家族の慟哭を背に、二人の親子は進む
『全てを失った21年前の復讐を果たし、今度こそ自分たちの居場所を取り戻すために』
スレッタにとって幸運だったのは、置き去りにされた理由はスレッタがどうでもいい道具などではなく「自分達の復讐に、これ以上スレッタを突き合わせる必要がなくなったので自由にしてあげよう」という家族としての愛情が少なからずあったこと。先のミオリネもほぼ同じ理屈で似たような対応をしたのだが、いずれもその真意を告げずに敢えて突き放したことでスレッタは自由どころか孤立する事となった。スレッタがそこで納得するはずもなく、ストーリーが佳境へと至る転換点となった…。
☿余談
わずか4歳でガンダムパイロットに選ばれた彼女は、6歳でガンダムを操縦した風花(機動戦士ガンダムSEED ASTRAY)を超える最年少記録を達成してしまった。
しかも少年兵として活動していた刹那や三日月よりも下の年齢で人を殺している。
歴代のガンダムパイロットたちが見たらどう思うのかが気がかりである…
番宣PVの内容から明るい作風を想像した視聴者層に絶望を叩きつけた。
そして続く本編1話の内容は比較的明るめだった事で、「情緒のジェットコースター」と評する視聴者も見られた。
肉体の一部が白く発光するガンダムキャラには
前例が存在し、その存在は生まれながらにしてデータ空間内で活動するデータ上での存在でもある。
…
過剰な負荷を危険視されたことを考えると彼はスコア8に到達していたのだろうか?
更に、同じ作品に出てくる
ある人物は肉体を保管した状態で意識をデータ空間に移し、後に「カヴンの子」のような複製存在も登場している。
データ空間への意識の移動と及びデータ空間内で活動、複製存在の生成に関してはアド・ステラの技術がベースになっているのだろうか?
- コメントのログ化を提案します。 -- 名無しさん (2023-03-02 22:32:08)
- 案の定スレッタとは別人でエアリアルに組み込まれてたな… -- 名無しさん (2023-04-16 17:27:04)
- エアリアルの中身がこの子ってことは、ゆりかごの星見ると僕っ子に成長したんだろうか -- 名無しさん (2023-04-16 18:50:01)
- フェネクスのリタみたいな状態かな -- 名無しさん (2023-04-16 18:52:25)
- ただ気になるのは第6話のエラン4号との決闘時の描写なんだよな…エアリアルにエリクトが組み込まれてるのは確定したけど、エリクト"1人だけ"で済んでるのか…それ以上があるならグレイズ・アインやフェネクスも真っ青の倫理観ガン無視機体と化すぞ… -- 名無しさん (2023-04-16 20:03:00)
- 最悪BDシステムか、或いはゼノギアスの人機融合ギアかな… -- 名無しさん (2023-04-16 22:01:28)
- 殺意が高すぎる -- 名無しさん (2023-04-17 00:25:15)
- ↑3 水星にスレッタ以外に子供いないのは単なる過疎化じゃなくて…みたいな説あるからなあ -- 名無しさん (2023-04-17 01:03:24)
- ↑4まさかのカートリッジ(意味深)式…? -- 名無しさん (2023-04-17 08:57:25)
- ep0でカルド・ナボが言っていた「人類が宇宙に出るには脆弱過ぎる」への回答の一つの形がエリクト=エアリアルなのかと。どういう事情でそうなったかは不明だけど、エリクトが人としての肉体を失って、代わりに得た肉体がエアリアルなのかと。 -- 名無しさん (2023-04-18 20:12:21)
- ガンド技術自体が精神面での適応が必要な要は「ニュータイプ専用」みたいなものだと思ってる。ガンダムはより適応した精神でないと過剰なストームにやられる。故にエアリアル(と他ビット)にはエリクトのメンタルモデル(エアリアルにはオリジナルモデル?)が搭載されているとか考えたらスレッタが機体+ビットに「みんな」って言ってた理由もなんとなく分かる。その実験とかは分からないけど、スレッタもその為に生み出された実験体の内の1人だったとかだったら納得できる所も出てくるしマーキュリー姓もムラサメみたいな単なる所属を示す為だけのものだったりしそう -- 名無しさん (2023-04-19 08:44:11)
- ↑ミスった、ガンド技術っていうかガンドフォーマット技術 -- 名無しさん (2023-04-19 09:09:50)
- どー見ても姉同様に親父の遺伝子継いでるとしか思えないスレッタを、母はどうやって親父の死後何年もしてから妊娠したのか…と考えるとやっぱスレッタはエリクトのクローンなのかな。歳が違っても遺伝子が同じならアリヤの占いでは双子判定になってそう -- 名無しさん (2023-04-19 13:05:37)
- エヴァがチラつくな! -- 名無しさん (2023-04-20 05:11:44)
- エアリアルの中から全部見ててスレッタの肉体と精神交換してもお姉ちゃんだから最後は妹に譲るとかになる最終回だと泣いちゃう -- 名無しさん (2023-04-21 10:20:00)
- 上でコメントのログ化を提案しましたが、反対意見がなかったためコメントのログ化を実行しました。 -- (名無しさん) 2023-04-23 13:41:05
- 5号への対応見ると割とこの子の方がスレッタよりも自分で考えて動いてるって感じで何処か大人っぽい -- (名無しさん) 2023-04-30 18:50:41
- 「5号君はキモいからエリーにもお断りだった」とかあんまりな意見があってちょっと笑う。あのシーン自体は全く笑えないホラーでしかないんだけど… -- (名無しさん) 2023-04-30 19:29:08
- エリクト「だが4号くんなら妹との交際を認めてやってもいい」 -- (名無しさん) 2023-04-30 19:29:47
- ↑3 見た目は幼くても年齢は25歳だろうし まぁ年齢相応の人生経験は間違いなく無いけど… -- (名無しさん) 2023-05-01 18:05:39
- 物理的にも箱入り娘だけど歳を重ねて成長してる所は成長してるね -- (名無しさん) 2023-05-28 22:28:09
- 5号を拒絶したのは、愛する妹に危害を加えたからでしょ -- (名無しさん) 2023-06-08 18:26:28
- まさかの小姑エンドである。妹の嫁と仲良くやっているみたいだけど -- (名無しさん) 2023-07-02 18:22:37
- 見た目は幼女のお姉ちゃんで毒舌キャラの小姑とか凄いなw -- (名無しさん) 2023-07-02 18:29:56
- スパロボに出たら子狸はサブパイロットと強化パーツのどちらになるかな…?そして刹那に「お前もガンダムだ」と言われて欲しいw -- (名無しさん) 2023-07-03 22:43:03
- プロローグで一番話題をかっさらったお姉ちゃんは最終回でも話題をかっさらっていった 属性過搭載すぎんでしょお姉ちゃん -- (名無しさん) 2023-07-04 11:35:03
- リプリチャイルドのうち肉体を持って作られたのはスレッタだけ→カヴンの11人はエリクトの生体データと精神データを元に最初からデータストーム上で作られた、いわば複製AIで、別に「肉体を殺されて精神をビットに入れられた」ってわけじゃないんだよね…? -- (名無しさん) 2023-07-06 07:55:32
- レオス・アロイと対面したら何言うんだろうな 「君は最初から人間じゃないんだね」って気付くんだろうか? -- (名無しさん) 2023-07-10 00:06:46
- データストームで生きる7歳の身体のままホッツさんに宿った、母親譲りの煽り才能を持つ28歳小姑 -- (名無しさん) 2023-08-24 13:27:10
- ある意味似たような境遇(自身の人格を複数の身体(機体)に同時に宿すことを目指したような技術が使われてるし)エリクトだったらドゥガチ総統のバイオ脳を「本物のドゥガチ総統ではない」ことを感じ取ったりできるかもしれるんだろうか。バイオ脳自身が「生身のわしなら」なんて言い方している辺りバイオ脳は「限りなく近いが、同じではない」疑いがあるし -- (名無しさん) 2024-11-13 16:59:08
最終更新:2025年03月24日 14:17