登録日:2023/01/15 (日) 11:48:25
更新日:2025/04/09 Wed 20:26:49
所要時間:約 7 分で読めます
『アイの歌声を聴かせて(Sing a bit of harmony)』とは、2021年10月29日に公開された日本のアニメ映画。
概要
松竹とバンダイナムコアーツが共同配給したオリジナル劇場用アニメであり、話題の「AI=人工知能」をテーマにした作品。
アニメーション制作はJ.C.STAFF。
孤独な女子高生の前に現れたのは「あなたを幸せにしたい」と語る、母が製作した
ロボットだった。
彼女が巻き起こす騒動と、揺れ動く人間関係、そして人間とAIの友情を描いたSF青春ドラマである。
AIシオンの突拍子もない言動と、彼女の歌声によって周囲に結果的にもたらされる「幸せ」を音楽に乗せて描くミュージカル要素によって、全体的にエンタメ性が満載となった。
作中でのシオンの歌声は、演じる土屋太鳳本人が務めている。
公開当初からコアな人気を獲得しており、公開から1年後にも1周年記念上映が行われるなど、称賛の声が後を絶たない。
声の出演として、メインには土屋太鳳、工藤阿須加といった声優初挑戦の枠の他、福原遥、興津和幸、
小松未可子、
日野聡といった実力派声優が名を揃えている。
ストーリー
サトミは電子工学系企業・星間エレクトロニクスのAI研究者を母に持つ高校生。
彼女は、平凡ではあるものの友達のいない孤独な学生生活を送っていた。
そんなある日、サトミのクラスにやって来た転校生。それは、母親の研究室で製作されたAIを搭載した
ロボット・シオンだった。
AIの機能
テストのために、学校には秘密でモニター
テストされたのである。
だが、シオンはおもむろにサトミに話しかける。
「ねえサトミ、今、幸せ?」
そうして、シオンはサトミに話しかけては、彼女を幸せにするために歌を歌いだす。
成り行きからシオンの正体を知ってしまった4人のクラスメイトを巻き込み、シオンは次々に歌を歌っては結果的に周囲を幸福にしていく。
当初は勝手気ままに振る舞うシオンを疎ましく思っていたものの、次第にシオンが大切な友達に思えてきたサトミ。
シオンもまた、サトミの「幸せ」の定義について悩みを抱き始める。
しかし、
テストで偽のデータが出ていたことが会社にバレ、命令されていない行動をしたシオンは異常で恐ろしいとして回収されてしまう。
果たしてサトミたちは、シオンを助け出せるのか。そして、シオンがサトミを幸せにしたかった理由とは?
登場人物
CV:土屋太鳳
サトミのクラスに転入してきた謎の美少女。
その正体は、星間エレクトロニクスが開発したAIを搭載した
ロボット。
ちなみに、転入してきたのはAIのモニター
テストの為。
「生徒」という体で送り込まれた彼女が1週間の間、サトミを含む生徒たちから
ロボットだと気づかれなければ
テスト成功、逆にバレれば
テストは失敗となる。
その事情を知ったサトミらはシオンがロボだとバレないよう隠蔽工作に奔走することになる。
何故かサトミの名前を最初から知っており、彼女を「幸せ」にしたいと語り、いつも歌を歌っては、あの手この手の珍作戦で幸せをサトミに届けようとする。
非常に高性能なAIであり、周囲のAIと「対話」し、カメラの映像の書き換えや
BGMの放送、果てにはライトアップに花火の打ち上げと、様々な機械に協力させている。
持ち前の屈託のなさや歌の力で周囲を良い方向に行かせ、徐々に打ち解け始めるも、彼女がサトミにこだわる理由は教えてくれなかった。
その理由とは……?
CV:福原遥
AI研究者の母を持つ高校生。
かつてはよく笑う明るい性格だったが、トウマのために上級生のサッカー部の喫煙を先生に話したところ、サッカー部は出場停止となり逆恨みから「告げ口姫」という蔑称と共にいじめを受け、孤独な学校生活を送っていた。
母の研究を偶然知ったところに現れた「研究対象」のシオンに突然懐かれ、困惑するが、母のためにも秘密を守る決意をする。
そして、シオンの明るい性格によって同じ秘密を持ったトウマ達とも打ち解け、徐々に笑顔を取り戻し、シオンとも親近感を覚えていく。
子供向けアニメ「ムーンプリンセス」が大好きで、高校生になった今も音楽を目覚まし音声にしたりと、愛用している。
CV:工藤阿須加
電子工作部の部員で、AIの大の
オタク。将来は星間でAIの研究をするのが夢。
サトミとは幼馴染だったが、彼が改造して彼女にプレゼントした育成AIを美津子に取り上げられて初期化されて返されてしまい、以来気まずい関係となっていた。
小学3年生の頃からプログラミングの天才であり、現在となっては監視カメラのハッキングやAIの強制停止装置の解除など、独学で凄まじい域に達している。
シオンの正体が発覚してから、彼女のサポートを務めるうちにサトミとも打ち解けるようになっていった。
そして、シオンの後押しを受けてサトミに告白しようとしたが……。
CV:興津和幸
クラス一の人気者の
イケメン男子で、学校の「王子様」扱いされている。
バイクに乗るのが趣味。
勉強・スポーツも出来、気配り上手なため人気者だが、当の本人は「広く浅い80点」の結果しかこなしていないことに内心自己嫌悪を抱いていた。
ガールフレンドのアヤのことも「上辺だけしか見ていない」と思い、気まずい関係となっていたが、シオンの突拍子もない行動が周りに回って二人を素直にさせ、仲直り出来た。
CV:
小松未可子
クラスのイケてるギャルグループの一人。
ゴッちゃんの彼女ではあるが、最近気まずい雰囲気となり、不機嫌気味で周囲に当たり散らしていた。しかし、ゴッちゃんへの恋心は本物である。
当初はサトミやシオンのことを馬鹿にしていたが、シオンのお陰でゴッちゃんに自分の気持ちを素直に伝えられて以来、気兼ねなく接するようになる。
- 杉山 紘一郎/サンダー
CV:
日野聡
柔道部員の短髪男子。だが本番に弱く、試合で一度も勝ったことはない。
落ち着くために訓練用
ロボット「三太夫」を欠かせず、しょっちゅう壊していたが、本番前にシオンと組み手をしたお陰で初めて勝利し、以来シオンに想いを寄せるようになる。
CV:
大原さやか
サトミの母で星間エレクトロニクスのAI研究室チームのリーダー。
男社会の中でも周囲の圧力に屈しず出世し、夫と別れた後も女手一つでサトミを育て上げ、仕事と母親の二足の草鞋を立派にこなしていた。
そして、遂に全ての研究成果を出すためにAI・シオンを無断の実地モニター
テストに出し、予想を上回る結果を出して有頂天となる。
サトミとの関係は良好で、娘からも感謝されており、研究を台無しにしないよう気遣われていた。
だが、西城の陰謀で計画は最初から失敗していたと知り、絶望から飲んだくれてしまうものの、最終的にはサトミのシオン奪還計画に協力する。
CV:浜田賢二
AI研究チームの主任で、美津子の元上司で現在部下。
美津子に五つ年上だが、部下という立場には不満を抱き、そこを西城に利用されることとなる。シオンの送迎を勤めていたためモニター
テストの件で偽のデータが出ていることに最初に気づき、シオンを「恐ろしい」と評した。
ちなみに、過去にトウマの改造したAIを初期化した張本人でもある。
CV:
津田健次郎
星間エレクトロニクスの景部支社長。
陰湿な性格で女性エンジニアである美津子のAI研究の功績を疎ましく思い、彼女の手柄を潰した上で排除を目論んでいる。
AIに対しても「何をしでかすかわからん代物」と軽蔑しており、シオンの成長を知ってからは、プログラムされていない行動を起こした彼女の進化を危険視し、初期化しようとする。
CV:
堀内賢雄
星間エレクトロニクスの会長。
AIの実地モニター
テストのことを知り、支社を訪ねに来る。
穏やかな性格で美津子を影で応援しており、美津子が反乱を起こした時も「次は堂々とやれ」と咎めることなく成果を評価し西条を唖然とさせた。
CV:カズレーザー
サトミのクラスの担任教師。肥満体型で眼鏡をかけている。数学担当。
キーワード
世界的に有名な電子工学製品の大企業。
主に力を入れているのはAI産業であり、景部支社の周囲には星間のAIを搭載した製品で溢れている。
このため、作中では自動化が急速に進んでおり、AIとの共存が当たり前となっている。
AI搭載製品を緊急停止させるためのアプリ。
何らかの理由で暴走したAIを止めるため、カメラ機能で撮影し、コードを発信して機械を止める。
一家に一台、家事サポートをするためのAI。
今日のスケジュールやご飯の炊飯、家のロックまで何でもござれ。
女児に大人気の子供向けアニメ。おそらく夢と魔法の国のプリンセスと
これの合いの子かもしれない。
サトミが大好きなシリーズで、アニメ本編だけでなく、音楽も日常的に聴いている。
電子工作室の部室にあるハードディスク。
ゴミ箱と並べて置かれており、しかもよく似ているため間違われる。
トウマがサトミに小学3年生の頃にプレゼントした子供向けお喋りAI機器。
トウマが改造を施し、高機能を付けられたが、初期化されて返却されてしまう。
AI「シオン」の正体。
野見山に初期化される際、プログラムだけをネットワークに逃がし、そしてトウマが言った「サトミを幸せにする」という命令をずっと忠実に守り、彼女を見守ってきた。
そして、美津子の研究室でAIのモニターテストが行われると知り、ロボットの中にプログラムを転送。
そう、「シオン」として生まれ変わったのだった。
追記・修正は幸せの意味を知ってからお願いします。
- もっと知られるべき名作。みんな見てくれ -- 名無しさん (2023-01-15 22:34:03)
- ハッピーエンドなんだけどあのこれスカイネット化してませんかと不安になる -- 名無しさん (2023-01-16 12:20:39)
- 確か作中のAIがすでに自我を獲得している(人間側は気づいていない)だったはずだから既にヤバい -- 名無しさん (2023-01-16 21:49:51)
- 映画館で見てて土屋太鳳さん歌うま…ってなった。サンダーと練習する時の曲好きでサントラ買ったわ -- 名無しさん (2023-01-16 22:04:29)
- 最初共感性周知で死にそうになるけど、アイが重要視してることって普段人が恥ずかしいからって目を背けてる事実なんだよな~~って気づく。展開が巧い -- 名無しさん (2023-01-17 03:19:58)
- なんとなくで見たら最後泣いてしまったダークホースな名作なんよね。 -- 名無しさん (2023-01-17 07:48:47)
- ↑4シオンが周辺にあるAIの制御乗っ取って操作してるんじゃなくてAIが自分の意志で友達(シオン)を手伝ってくれただけという -- 名無しさん (2023-01-17 23:27:03)
- 観た感想としてはもう少し尺が欲しいというか、12話くらいでやっても良かった気がする -- 名無しさん (2023-06-21 00:06:50)
- Netflixや Huluなどで配信中。 -- 名無しさん (2023-12-15 18:17:56)
- ゴッドファーザーやルックバックもこれもだが、映画じゃやっぱり尺が足りない、ドラマとかでもっと見せて欲しい -- 名無しさん (2025-03-23 12:57:34)
最終更新:2025年04月09日 20:26