ジェヴォーダンの獣(映画)

登録日:2023/02/15 Wed 10:08:41
更新日:2025/03/10 Mon 09:43:48
所要時間:約 5 分で読めます





歴史の闇に隠された、凶暴な謎が襲いかかる!!




概要

2001年に公開されたフランスのミステリーホラーアクション映画。
フランスの謎多き怪物ジェヴォーダンの獣を題材にしており、前半はほぼ史実通りに、後半からはオリジナル展開に突入する。
グロシーンやあーんなシーンも多いので注意。


あらすじ

18世紀、フランス革命間近のジェヴォーダン地方では、蜂起した群衆が領主の城を取り囲んでいた。
老齢の領主は革命を受け入れており、回顧録を綴りながら静かにその時を待っていた。


この地方より発祥した恐怖の“獣”と、この地を離れた友人達への忘れえぬ想いを胸に…







それは1764年

“獣”がこの土地に初めて姿を現した



登場人物

★は実在した人物
  • グレゴワール・ド・フロンサック
演:サミュエル・ル・ビアン/吹き替え:堀内賢雄
主人公。ルイ15世に仕える王室博物学者。
史実で仕留められた“獣”の死骸を鑑定したというビュフォンの弟子で、王の命により“獣”の正体を確かめるためにジェヴォーダン地方を訪れる。
かつて部隊と共に新大陸を訪れ、数多の傷と大尉の称号を得た歴戦兵で、非常に博識で医者の心得も持ち、経歴から荒事も得意など完璧超人。趣味は写生で、こちらも非常に上手い。
夢はアフリカへ渡り、更に見聞を広めること。

  • マニ
演:マーク・ダカスコス/吹き替え:小山力也
フロンサックの義兄弟。インディアンのモホーク族の最後の生き残り。
強面で寡黙だが意外と表情豊かで、心を許した人間には非常に友好的。
武術の達人であり、徒手空拳で大男を吹き飛ばす、百発百中のトマホーク投擲、劇中で幾度も大立ち回りを演じるなど、本作のアクション担当。
(まじな)いにも長けており、狼や木と会話したり、個人に宿る精霊(トーテム)を視たり、身につけている腕輪には不思議な粉末が入れられている。

★アプシェ侯爵
演:ハンス・メイヤー/吹き替え:麦人
ジェヴォーダン地方の領主。王命を受けたフロンサック達を屋敷へ招き、協力する。
ビュフォンとは旧知の仲らしい。

  • トマ・ド・アプシェ
演:ジェレミー・レミエ/吹き替え:宮本充
アプシェ侯爵の孫。啓蒙家。周囲からは若侯爵とも呼ばれている。
フロンサック達の捜査に協力する傍ら世話係となり、その大らかな性格やウマが合って二人とすぐに打ち解けている。

  • ジャン=フランソワ・ド・モランジアス
演:ヴァンサン・カッセル/吹き替え:山路和弘
ジェヴォーダン地方の名士であるモランジアス家の長男。
享楽的で酒癖が悪く、また教会のお祈りに顔を出さないなど、素行の悪さが目立つ。
かつて海軍で世界を回っている時にアフリカへ上陸し、ライオン狩りで右腕を失っている。
獣狩りの際は隻腕でも使える特注銃と、獣を仕留めた時に分かるように銀の弾丸を込めていた。
ややシスコンの気があり、マリアンヌを傷付けたフロンサックに静かな怒りを滲ませる場面も。

  • マリアンヌ・ド・モランジアス
演:エミリー・ドゥケンヌ/吹き替え:岡寛恵
モランジアス家の長女。
高嶺の花で、美しい美貌に寄せられて振られた男は星の数ほど。
やや奔放な性格をしており、淑女たる教育や家系や義務に雁字搦めの現状にうんざりしている。
フロンサックのアプローチで次第に懇意になっていくが…

★モランジアス伯爵
演:ジャン・ヤンヌ/吹き替え:宝亀克寿
モランジアス家当主。
たまに湯治で家を留守にしている。

  • ジュヌヴィエーヴ・ド・モランジアス(モランジアス伯爵夫人)
演:エディット・スコブ
こちらは熱心な教徒で、“獣”には祈りを捧げるべきだという。

  • サルディス神父
演:ジャン=フランソワ・ステヴナン/吹き替え:稲垣隆史
サンタルバンの司祭。
温厚だが、“獣”のことを神が与えた罰と律している。

★ラフォン地方長官
ジェヴォーダン地方の長官。「インディアンは黒人と同じ」という差別主義者。

  • マキシム・デ・フォレ
劇作家。名士達に取り入ろうとしている。
フロンサックの口八丁であっさり騙されたり、晩餐会で自信満々に朗読した詩を一同に失笑されるなど、不憫な人柄。

  • デュアメル
“獣”退治のために派遣された騎兵連隊の大尉。
部下達は村人に狼藉を働き、オープニングでマニに無双され、目立った成果も挙げられず無能と呼ばわれ、中盤で王命が来たことで解任された。

★ジャン・シャステル
演:フィリップ・ナオン
モランジアス家の領地と、『人狼』という野蛮なアウトロー達の管理者。
史実では地元の亭主で猟師。彼が仕留めた巨大な狼が“獣”の正体だった説あり。

★ジョルジュ
シャステル家長男。『人狼』のリーダー格。
ほぼやられ役。
なお、実在したシャステル家の長男はピエール。

  • マリー・ジャンヌ
シャステル家長女。持病の発作が『獣憑き』に見えることから魔女とも呼ばれている。
マニは彼女にどこか惹かれているが…

★アントワーヌ
シャステル家次男。ジョルジュ共々やられ役。
史実では、彼が連れてきたハイエナ等が“獣”の正体だった説あり。

  • シルヴィア
演:モニカ・ベルッチ/吹き替え:勝生真沙子
高級娼館『テシエ館』でフロンサックが出会った娼婦。ミステリアスなイタリア系の美女で、トランプ占いが得意。
フロンサックと幾度も繋がった。

  • セシル
兄と放牧中に“獣”に襲われた少女。
生き延び、マニの腕輪の粉末で意識を取り戻した彼女は、“獣”を操る何者かを見たというが…

★“
ジェヴォーダン地方を恐怖に陥れている生物。
パリでも話題になり歌まで作られ、正体は悪魔の使いではないかとローマ法王すら密使を送って調べているとの専らの噂。
襲われた被害者は獣の仕業とは思えぬ様相で食らわれ、僅かな生存者は「狼より巨大だった」「銃を恐れない」「悪魔」と口を揃えて証言している。
しかしフロンサックの調査で鉄製の牙を持つなど普通の生物ではないこと、セシルの証言から何者かが使役していることが明らかとなる。
※その他、詳細は項目参照

  • “獣”を操る者
セシルの証言で浮上した者。
奇妙な仮面に悍ましい右腕を携え、犬笛のようなもので“獣”をペットのように扱っている。

  • 『神の狼』
謎の秘密結社。
当時のフランスでは弾圧されていたプロテスタントの過激派であり、「啓蒙主義に寛容な王を“獣”が罰しに来る」という聖典を各地にばら撒いている。
神に忠実な同盟を自称し、その目的は「神の言葉を狂信的なまでに守り広める」こと。
最終目的は“獣”によって民衆の恐怖を高め、王が屈服しないのならフランス全土に“獣”を解き放つというが…



結末



余談

フロムソフトウェアが作ったBloodborneは本作のオマージュらしきものが多い。
服装、獣狩り、精霊、啓蒙、娼婦、丸太トラップ、ガリアンソードなど。

和月伸宏作の『武装錬金』に登場するキャラクターであるヴィクター・パワードや、キャプテン・ブラボーの武装錬金『シルバースキン』のデザインモチーフは本作であり、
単行本のライナーノーツでは「『ジェヴォーダンの獣』に登場する衣装はウットリする程カッコ良いです」とコメントされている。


追記・修正は歴史の闇を明るみにしてからお願いします。



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