パパはわるものチャンピオン(映画)

登録日:2023/05/31 (水) 22:35:59
更新日:2023/06/05 Mon 20:33:43
所要時間:約 2 分で読めます






ヒーローだけだとプロレスつまんないじゃないですか





『パパはわるものチャンピオン』は同名の絵本を原作とした邦画。2018年9月21日公開。
主演をプロレスラーである棚橋弘至が務め、他の新日本レスラーも多数出演している。
リングを荒らしブーイングを一身に浴びるヒール(悪役)という、プロレスに必要不可欠な存在はその子供目線で見るとどんな存在であるかが描かれている。



ストーリー


大村孝志はかつては人気と実力を兼ね備えたプロレス界のエースとして活躍していたが、怪我や世代交代の影響で、今は悪役覆面レスラー・ゴキブリマスクとして、観客からブーイングを浴びながらリングに上がる日々を送っていた。しかし、そのことを息子の祥太には打ち明けられずにおり、孝志は大きくなったら正体を伝えようかと考えていた。

だがある日、祥太は学校で父親の職業についてしつこく問われたことで刺激され、隙を見て父親を尾行する。そこで正体がみんなの嫌われ者であるゴキブリマスクであるということを知ってしまう。
さらに祥太の父親がプロレスラーであることがクラス内で話題になり、しかもそれが団体No.1の人気選手ドラゴンジョージと勘違いされてしまう。訂正しようとする祥太だが、仄かな恋心を抱いていた平野マナに「サインをもらってきてほしい」と頼み込まれて、それを承諾してしまうのだが……



主な登場人物



  • 大村孝志
演:棚橋弘至

かつてはプロレス団体『ライオンプロレス』のエースとして活躍していたが、怪我や加齢の影響もあって現在は会場をヒートさせるような反則を行いベビーフェイスを引きたてるヒールであるゴキブリマスクとしてリングに上がっている。
祥太との仲は良好だが、年齢的にプロレスの仕組みが理解できないだろうと判断し自分がヒールレスラーであることは妻である詩織にも口止めさせていた。
だが内心はゴキブリマスクとしての自分に悩んでおり、ライオンプロレスの祭典『Z-1クライマックス』に出場した際勝手にマスクを脱いで正々堂々と戦うという禁忌を行った。
しかし古傷の影響で試合は中途半端な形となってしまい、社長からは解雇を宣告され、無理した影響で病院に運ばれ、息子は半分自業自得とはいえイジメを受けるなど散々な目に合ってしまう。
しかしZ-1の優勝者であるドラゴンジョージが次のシングルマッチの相手として孝志を指名。もう一度ライオンプロレスのリングに上がれることとなった孝志は、あえてゴキブリマスクの姿で入場しこれまでの集大成と言わんばかりにヒールファイトでドラゴンジョージを追い詰める。
惜しくも試合には敗れるも、その魂を震わすような戦いに会場は惜しみない拍手とブーイングに包まれた。


  • 大村祥太
演:寺田心

孝志の息子であり小学生。夢は「パパみたいに大きくて強くなること」。しかし父親がどんな仕事をしているかは全く知らなかった。
クラスメイトにそのことをつっこまれたことで父親の正体に俄然興味が湧き、こっそり孝志の車に忍び込んで尾行。その先で孝志がプロレスラー、しかも会場中からブーイングを飛ばされるヒールレスラーゴキブリマスクだということを知り、大きな溝が生まれてしまう。
さらにたまたま観戦に来ていた憧れの女子である平野マナに父親が団体の現エースであるドラゴンジョージと勘違いされ訂正する間もなく引くに引けない状況に追い込まれてしまう。
偶然出会ったプロレスオタクの編集者大場ミチコ経由でドラゴンジョージのサイン色紙をゲットし一躍クラスの人気者になるが、クラスメイトたちと観戦していたZ-1の試合中突然マスクを脱いだ孝志に対し「パパ!」と叫んでしまい嘘がバレ、一転イジメの対象となりマナにも嫌われ不登校になってしまう。
だがミチコから孝志の凄さとプロレスの面白さを改めて聞かされたことで、イジメられることを承知で登校を決意。そこでクラスメイト相手に「パパは悪者だけどやさしい。今度の試合でドラゴンジョージを倒す」と啖呵を切ってみせた。
その後元から仲の良かったクラスメイトたちやマナと和解。ドラゴンジョージとの一戦を見届けたあとはゴキブリマスクとして退場する孝志に「卑怯だぞゴキブリ!」と最高のブーイングを贈る。
その後、将来の夢を「パパみたいなわるもの」へ変え、手作りのチャンピオンベルトを孝志にプレゼントした。


  • 大村詩織
演:木村佳乃

孝志の妻であり理容室を営んでいる。プロレスラーという職業についてはしっかりと理解している一方、祥太へのカミングアウトについては早い方がいいというスタンス。
孝志が現状に不満を抱いているが上手く立ち回れないことも気付いており、度々背中を押している。


  • 大場ミチコ
演:仲里依紗

重度のプロレスオタクな雑誌編集者。隙あらばプロレス関連の記事を書こうとしている。
ひょんなことから祥太と出会い、その父親が大村孝志であることを知り大興奮。孝志とドラゴンジョージのサイン交換に応じる。
その後孝志がZ-1に出たことをキッカケにゴキブリマスクに関する特集記事掲載の許可をもらうも、ゴキブリマスクが敗れて以降は暴走懇願むなしく特集はボツになってしまう。
だが溢れんばかりのプロレス愛が詰まったそのボツ記事は祥太経由で孝志の手に渡り、孝志が再び立ち上がるキッカケの一つとなった。


  • ドラゴンジョージ

変なデザインのグッズが大量に売られサイン会は長蛇の列ができる、老若男女に大人気なライオンプロレスのエースレスラー。
本来なら孝志とシングルマッチが組まれることはまずない立場だったが、Z-1での行動に思うところがあったのか、Z-1優勝後に『あの頃の大村孝志』との対戦を希望した。結局孝志はゴキブリマスクとして現れるも、最後まで試合をやりきったことで孝志復活の一助となった。
ちなみに最終盤で見せた必殺技フライハイをドロップキックで迎撃するという1シーンは実際の試合でも見ることができる。


  • 寄田
演:田口隆祐

ゴキブリマスクの相棒であるギンバエマスクとしてタッグを組んでいるレスラー。孝志がかつての路線に戻りたがっていることは知っていたが、Z-1でマスクを脱いでベビーフェイスのように戦うというブック破りをしてしまったことについては激怒し激しく詰め寄った。
演者である田口隆祐は現役のプロレスラーだが、その妙に堂々とした演技から木村佳乃に俳優の人と勘違いされていた。


  • スイートゴリラ丸山
演:真壁刀義
Z-1でゴキブリマスクと対決したレスラー。孝志が突然マスクを脱いだことに動揺するもなんとか試合をこなし勝利する。
映画を再現した試合ではドラゴンジョージことオカダとタッグを組んで登場した。


  • 平野マナ
演:根本真陽

祥太憧れの女子。父親としょっちゅう観戦に来ているほどのプロレスファンで、特にドラゴンジョージがお気に入り。
一方でゴキブリマスクは嫌っており、それが祥太を追い詰める一因となった。
だがヒールレスラーとして嫌っているだけでプロレスラーそのものは尊敬しておりヒールの必要性も理解しているため、素直に孝志を応援すると決めた祥太と和解することができた。


  • 平野大輔
演:淵上泰史

マナの父親でありこちらもプロレスの大ファン。プロレス初心者である祥太に夢を壊さない程度のいい感じな解説を行う。
だがゴキブリマスクを嫌われ者と紹介した影響もあってか、祥太は孝志がみんなに嫌われていると強く思い込むこととなる。


  • 編集長
演:大泉洋

ミチコの上司。のらりくらりとしたお調子者だが売り上げには非常にシビア。
ミチコが提案したゴキブリマスク特集も敗退が決まった途端売り上げ増加につながらないと判断し打ち切った。


  • 大友
演:大谷亮平

孝志の主治医。孝志の膝の具合をよく知っており、ドラゴンジョージ戦に向けてメンテを行う孝志にフライハイの使用は1回までと警告する。
実際フライハイの元ネタであるハイフライフローを使い続けている棚橋もマトモに走れないほど膝がボロボロである。


  • 本田功
演:寺脇康文

ライオンプロレスの社長。若手を推していく方針らしく、ベテランかつ古傷のある孝志をやや邪険に扱っていた。
Z-1出場予定のレスラーが怪我をしたことで孝志を代役として立てるが、突如ゴキブリマスクのマスクを捨てた孝志に激怒。試合後に解雇を突き付ける。


  • もんじゃ屋の客
演:内藤哲也、髙橋ヒロム

プロレス好きが集まるもんじゃ屋の客。ドラゴンジョージのサインを盗んで店から逃げ出そうとした祥太とそれを追いかけるミチコに突き飛ばされ例の名セリフを放つ。
というか一応ベビーフェイスでもないのに出演してよかったのかこの2人は。



余談

孝志が試合中にマスクを脱ぎ捨てるという胸熱展開に寄田や社長がブチ切れるというシーンはプロレスを知らない人にとってはよく分からないかもしれないが、これはいわゆるブック破りというものであり、その後の興行や運営に多大な影響が出て関係各所に迷惑がかかるため契約解除はありえない話でもない。(孝志くらいの功労者であれば厳重注意やしばらくの冷遇で済む可能性が高いが)
日本のプロレスは様々な事情から暴露本がいくつか出た現在でもその辺のファンタジーを未だにふわっとさせている*1ため、このシーンに何を感じるかでプロレスオタク度を測ることができる。




追記修正はゴキブリマスクにブーイングを飛ばしてからお願いします。

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最終更新:2023年06月05日 20:33

*1 逆にアメリカのWWE等は株式上場するに際してブックの存在を明確にしている