プリズナーNo.6

登録日:2023/07/24 Mon 21:03:03
更新日:2024/07/28 Sun 23:32:15
所要時間:約5分で読めます




「ここはどこだ?」


――「村だ」


「何が欲しい?」


――「情報だ」


「どっちの味方なんだ?」


――「いずれ分かる。さあ早く情報を吐くんだ。情報だ、情報だ!」


「しゃべるもんか」


――「どんな手段を講じてでもしゃべらせる」


「名前を言え」


――「新しいNo.2だ」


「No.1は誰だ?」


――「お前はNo.6だ」


「番号なんかで呼ぶな!私は自由な人間だ!」


「ハハハハハ…」


『プリズナーNo.6』(プリズナーなんばーしっくす、原題:The Prisoner)は、1967年から1968年にかけてイギリスで製作・放映された連続テレビドラマ作品。

概要

1967年9月29日から1968年2月4日にかけてイギリスで製作・放映された連続テレビドラマ作品。全17話。
パトリック・マクグーハンが企画・製作総指揮・主演の全てを務めた。
ジャンルとしてはスパイものだがフランツ・カフカの小説を思わせる前衛的な内容で知られる。
謎が謎を呼ぶ展開から話題になり、特に最終2話はその衝撃的な結末から現在でも語り草になっている。
『マトリックス』*1、『トゥルーマンショー』、TV版『新世紀エヴァンゲリオン』最終2話、『少女革命ウテナ』(特に劇場版の『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』)、『THE ビッグオー』、押井守*2の作品など、後世の作品に影響を与えたと言われ、現在でも熱狂的なファンがいる。
日本では1969年にNHK総合で放送された。
トマス・M・ディッシュによって小説化された他、2009年にはアメリカでリメイク版が制作されたがそれぞれオリジナルのTV版とは内容が異なっている。
パトリック・マクグーハンは続編作品を構想していたようだが実現せず死去した。
その後あのクリストファー・ノーランがリメイク企画を進めていたがこちらも実現しなかった。
本記事ではオリジナルのTV版について解説する。

あらすじ

イギリスの情報機関に勤める諜報員の男がある日、辞表を提出する。男が帰宅して荷物を纏めていると後を付けて来た何者かに不意を突かれて気絶する。目を覚ますと見たこともない村におり、現れたNo.2を名乗る人物からお前はNo.6だと言われ、知っていること全部、特に辞職理由について話すように要求される。
No.6はそれを拒否し村から脱出しようと試みるがNo.2たちはありとあらゆる方法で自白させようとする。
No.6は何度も自白の強要を切り抜け脱走未遂を繰り返すが同時に村の謎は深まって行く。

登場人物

村の住民は全て番号で呼ばれる。
  • No.6
イギリスの情報機関に勤めていたが辞職した諜報員。自分を番号で呼ぶなと言う一方で本名は不明。職場に辞表を提出して家に帰宅した所を何者かに襲われ、気が付くと“村”におり、No.2から自白を強要される。毎回村を脱走しようとしては失敗する。紅茶はレモンティー派。愛車はロータス・セヴン。
劇中で語られる彼の生年月日は演じるパトリック・マクグーハンのそれと同じ。
  • No.2たち
特定の人物ではなく任期制で、性別年齢もバラバラな村の支配者。毎回入れ替わっては文字通りありとあらゆる方法でNo.6に挑んで辞職理由を自白させようとする、のだが殺人・拷問・廃人化などの重大な後遺症の残る手法といったものはNo.1から禁止されているため毎回某宇宙人並みにやたら回りくどい方法で挑んでくる。
例として
  • No.6の理解者を装った村人を接近させ聞き出す。
  • 一見村の外部に見えるセットを作り役者を配置させてNo.6を睡眠中などに移動させたり騙して連れ込んだりして小芝居。
  • 後遺症が残らない程度に薬物を投与したり催眠術をかけたりして錯乱させる。
  • わざと脱走させた上で潜伏工作員を使い連れ戻す。
  • No.6を手術室に連行しこれからロボトミー手術を行うと告げて麻酔をかけた後、目を覚ました主人公に手術は成功したと告げる(実は手術はしてない)
  • そっくりさんを用意した上でわざと入れ替えて勘違いしたふりをする
  • 意識転移装置を使い他人と心を入れ替えさせる。
  • 子供を接近させおとぎ話をねだらせる。
ここまでくると拷問するか脅迫した方が手っ取り早い気がするのだが…
  • No.1
姿を見せないNo.2の上司で村の支配者。No.6に辞職の理由を自白させようとする一方、No.6の命を取ったり精神を壊すようなことは厳禁している。
  • ローヴァー
海中から出現し村を徘徊する謎の白い球体。村から逃げようとすると襲ってくる。捕まると中に閉じ込められ窒息してしまう。
  • 執事
No.2の司令室で給仕をする小男。No.6以外では数少ないレギュラーキャラ。
  • 管理官
No.2の司令室で監視カメラの捜査を行う眼鏡の中年男。No.6以外では数少ないレギュラーキャラ。彼が脱走者を発見し「オレンジ警報」を発令すると水中からローヴァーが出動する。回によっては新しく赴任して来たNo.2にいちゃもんを言われ一旦首になったりとうだつのあがらない中間管理職としての面を見せるが最終回では…
  • 村人たち
世界各国の軍・情報機関の元構成員。殆どが魂を抜かれたような状態か、No.2のスパイ
  • 議長
最終話に登場する、白衣のフードの集団を引きいる謎の人物。No.2よりも高位のようだが…
  • No.48
最終話に登場する、これまた謎の男。反逆者らしいが…

三方を通行不可能な山で囲まれ残りは海と干潟に面した、保養地にもテーマパークにも見える場所。一通りの設備は整っているが電話は内線電話しかなく地図は町内地図しかない。年がら年中チンドン屋のような仮装行列がやかましい音楽を鳴らして通りを行進している。No.2はヘリコプターで外部と行き来する。一見すると田舎の保養地か何かだが村中に隠し監視カメラと盗聴器があり大型電子計算機(スーパーコンピューター)や蘇生装置など地球の科学力の水準を超えた設備も持つ。

所在場所は不明だが最終回では…

撮影はイギリスのウェールズにあるホテル・ポートメイリオンを貸し切って行われたが、撮影が予定より長引いた結果契約期間が終わってしまったため終盤の話はスタジオでの撮影が多い。

イギリスの諜報機関が敵に正体がばれたり二重スパイの疑惑があったりする諜報部員を田舎の保養施設に軟禁していた実話が着想元だと言われる。

余談

この番組は『秘密諜報員ジョン・ドレイク』という番組の後番組だった。こちらもパトリック・マクグーハンが主演のスパイもので公式なアナウンスはなかったが視聴者の多くはこの番組を『秘密諜報員ジョン・ドレイク』の続編だと認識していた他、一部のスピンオフ小説では本編では明かされなかったNo.6の本名がドレイクになっている。

最終回のオチは1957年の日本の映画『幕末太陽傳』の没案に似ていることが指摘されているがマクグーハンが東の果ての国の映画の、それも没案について知っていたかどうかは不明(おそらく偶然の一致)。

「ここはどこだ?」


――「アニヲタwikiだ」


「何が欲しい?」


――「追記修正だ」


「荒らしとwiki籠り、どっちの味方なんだ?」


――「いずれ分かる。さあ早く追記修正するんだ。追記修正だ、追記修正だ!」

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  • エヴァ最終2話とウテナの元ネタ
最終更新:2024年07月28日 23:32

*1 劇中の人物が本作を観るシーンがある

*2 本作のファンであり、解説を書いたことがある