九頭竜八一

登録日:2023/10/19 Thu 04:37:45
更新日:2024/08/29 Thu 15:04:21
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九頭竜(くずりゅう)八一(やいち)とはりゅうおうのおしごと!の主人公。
声-内田雄馬

目次

【概要】

プロ棋士であり将棋の八大タイトルの一つ『竜王』のタイトルホルダー。清滝鋼介門下で第1巻時点では16歳。
中学在学中にプロ入りしたため、高校には進学せず、現在は関西将棋会館近くのアパートに一人で住んでいる(あいが同居してからは2人暮らし)。

容姿は水越澪から平凡と評されているものの、その将棋に対して真摯な人格や棋力などから彼に惚れている女性は多いが、
自己評価の低さや将棋以外にはとことん鈍いところも相まって女心にかなり疎い。
ちなみにタイトルホルダーな事もあり、普段でも背広や眼鏡を身に着けている事が多い。
小学生の女の子2人を弟子にしていることや、弟子を含めてなにかと女子小学生と縁があることから、周囲やネットからは「ロリコン」扱いを受け、世間や将棋仲間から「ロリ王」と呼ばれている。
当の本人は一応、巨乳好き。7巻限定版ドラマCDによれば、昔からこっそり読んでいる愛読書は「To LOVEる -とらぶる-」とのこと。
しかし、まだ少女のシャルロット・イゾアールに対しては、彼女の天使っぷりに癒されて暴走する。
師匠の娘である清滝桂香に思いを寄せてアプロ―チを続けているが、完全に弟扱い。
自業自得ながら、女心への疎さから姉弟子の空銀子や弟子の雛鶴あいから嫉妬を買いやすく、他にも実力以外がアレ過ぎる女流棋士祭神雷から一方的に愛を押しつけられる等女難体質。
またメンタル面でもやや弱さを抱えており、1巻ではプレッシャーからスランプ中だった他、17巻・18巻では銀子との関係の先に待つ可能性と天衣が(銀子についての悩みを振り払わせる意味も込めて)突きつけたスパコンが見せる将棋の未来と彼女の鬼気の前に、師匠から説教される程に惑う状態に陥っていた。

基本的にはお人好しで誰に対しても優しく、特に弟子のあいにはかなり甘い。
あいの存在もあって調子を戻していくが、周囲から「新婚ブースト」と称されることも。
時には師匠としてあいや天衣に厳しく接することもあるほか、勝負師として厳しいリアリストな一面を見せることもある。
あいや天衣の師匠としては内心「自分に務まっているか」という葛藤がかなりあり、原作4巻での自分の誕生日におけるあい達からの感謝の言葉に感極まったり、
4巻限定版ドラマCDで、女性陣による余興の疑似告白で、あいから感謝の言葉を伝えられた際に号泣している。

【棋風】

若干16歳で将棋の最高位の一つである「竜王」位を取得した若き天才。
師匠である清滝九段曰く「将棋を終わらせる(将棋の必勝手順を探し当てる)かもしれない」というほどの逸材。
調子に乗っていると敗北していることが多いゆえに自己評価は低いものの、師匠の見立てと同じように周囲からは才能を恐れられている。
幼少時から、負けても大げさに悔しがるような子供というより、涙を流しながら夜遅くまで一人将棋盤と向き合っているような子供であり、小学生時代から定跡に囚われない指し方で周囲を驚かせていた。
彼を尊敬する若き将棋の天才である椚創多曰く「逆に定跡を学んでしまったために弱くなっていた」と言われているほど。
若い頃から定跡外れの手を指していたため、銀子などからは皮肉と羨望を込めて「変態将棋」と言われ、「将棋星人(=将棋に関しては人間じゃない)」などと評される。
棋士としては居飛車党で泥臭い力戦調の将棋が得意だったが、後に振り飛車も学び、オールラウンダーへの棋風改造を図る。
付け焼刃ながらもわずかな期間で振り飛車をものにする天才性を見せている。

【来歴】

6歳で清滝九段の内弟子になり、小学3年生の時に2歳上の神鍋歩夢を破って小学生名人戦を優勝。その調子で翌年の小学生名人戦の勝者である姉弟子銀子と共に大人のアマチュア大会をも荒らしまわる程活躍した事で二人そろって奨励会入りした。
奨励会に入会してからも順調に昇段を続け、史上4人目の中学生棋士としてプロ入り、16歳で竜王位を取得した。
しかし、竜王取得後はそのプレッシャー*1と他の棋士に研究され尽くしたことから連敗に連敗を重ねる、超大スランプに陥る。
そんな最中に弟子入りを希望して押しかけてきた少女、雛鶴あいと出会い、失いかけた熱意を取り戻していくとともに、紆余曲折を経てあいを内弟子として育てることになる。

5巻では、永世七冠を目指す名人との竜王防衛戦に挑む。
名人との防衛戦では、自分の将棋に対する常識が打ち砕かれた感覚を覚え、加えて名人の永世七冠目前ということもあって世間からのバッシングも強くなり、
精神的にかなり疲弊してしまうが、桂香やあいの励ましや支えに気づき、スランプを脱する。
そのおかげもあって名人との棋戦もギリギリのところで逆転、防衛に成功。
防衛に成功したことで竜王2期となり17歳という若さで最年少九段となる。

以降は、悪癖になっていたエゴサーチもある種の諦めがついて辞めたほか、
棋力が大幅にアップし、逆に脳内の将棋盤が消えずに気が付けば時間が大幅に過ぎていたりする副作用も起きてしまうほど。
コンピュータソフトも使いこなし、定跡から外れた手で周囲を驚愕させている。
それゆえプロ棋士たちからは名人のように恐れられている。
また、勝負師として弟子2人の師匠として厳しく接する、または厳しい現実を教える面にも苛烈さが増していき、山城桜花戦でのやり取りなどでそれらが見られる。
無論愛情も隔てなく与えており、天衣に「お父さんと一緒に将棋を指せたい」と彼女の父の筆跡を宿した駒を与えるなど無上の愛を注いでいる。

あいの通う学校で将棋を教える機会を得た際には、上手な話題によって児童達の関心を引いて取りまとめたりと、司会に立つ機会や解説に立つ機会も多いためそうしたトーク力もかなりのもの。女性関係の話題になった場合を除く。

インターネットでは『史上最強のロリコン』という新たなあだ名もつけられ、弟子の女の子についても、彼女たちをわずかな期間で女流棋士にまで育てていることから新たに「トップブリーダー」とも呼ばれている。
その指導力を期待され、9巻限定版ドラマCDにて、『第1回九頭竜八一杯竜王位防衛記念将棋大会』を開いて賞品を「1位の女子は、あいをクビにして新たな内弟子にする」と(銀子が)したところ、多くの女流棋士の卵である少女たちが大会に参加した。

12巻では、挑戦者決定戦で名人を下し帝位戦の挑戦者となり、於鬼頭曜帝位との番勝負に挑む。。
終始ソフトの最善手を繰り出す於鬼頭に押されていたが、封じ手からソフトを越える手を繰り出し後手番から先勝する。
この時八一が出した手は人間の力どころかソフトにはできない読みの判断力やな人間技じゃないとすら言われた誘導力、柔軟な発想性や弟子のあいをほうふつとさせる読みの速さをもってソフトを超え得る人類という才能を発揮させた。
ここで初めて、今まで頑なに明かされていなかった関東での八一のあだ名、
西の魔王という異名が登場する*2
14巻で帝位を奪取して竜王・帝位の二冠となる。…が18巻で帝位は神鍋歩夢に奪われてしまい、現在は再び竜王のみ保持。

作中の表記を参考にすると、八一の昇段履歴は以下のとおり。
  • 15歳2ヶ月 四段
  • 16歳0〜1ヶ月 七段(竜王戦挑戦による飛び昇段)
  • 16歳4ヶ月 八段(竜王位1期)
  • 17歳4ヶ月 九段(竜王位2期)

【主な人間関係】

一番弟子。
将棋に関しては八一すらも超えるほどの才能の持ち主。
歳が離れているものの、八一に対しては師としての尊敬の念だけではなく、異性としての好意も持っている。
ややヤンデレ気質で八一が他の女性と親しくしていると嫉妬心を剥き出しにするが、14巻ラストではより棋士として先に進むため、つらい想いを抑え込んで八一離れを決意した。

弟子。
あいがヤンデレなら此方はツンデレ
八一の大ファンで幼い頃から八一の棋譜を並べて過ごしていた為、八一に似た棋風の持ち主。
当初は否定していたが9巻で八一に対する好意を自覚し、銀子とあいが相次いで八一の元を離れた14巻エンディングからついに行動を積極化。
17・18巻では実家の財力を借りて開発した将棋特化型スーパーコンピューター「淡路」による研究で得た力で、八一の心と将棋界、両方を圧倒するが…。
なお八一からは彼女が両親を早くに無くしている事から、どちらかと言うと「家族」として扱われている。

姉弟子。
同じく清滝の内弟子だった事から、八一とは同じ屋根の下で姉弟のように育った。
八一に対して異性としての好意を持っているが、素直になれずツイツイ厳しい態度を取ってしまう。
12巻最後で親密な中になるも、14巻で銀子が休養のため何も言わず消えてしまい、17巻で「銀子の身体が抱えるある懸念」を八一が銀子の母から聞かされた事で、お互いに将棋にも影響を及ぼしかねない迷いを抱えてしまうことに…。

  • 清滝鋼介
師匠。
幼い頃から八一と銀子を自宅に引き取り内弟子として育てた為、二人にとっては師匠であると同時に父親のような存在。
普段のだらしのなさや度々見せる奇行から扱いは軽いが弟子達からは尊敬されており、
18巻ラストでは諸々の人間関係と将棋関係で希望が見えず憔悴した八一に、あいと天衣の対局観戦を通じて喝を入れた。

  • 清滝桂香
師匠の娘であるが入門は遅く、年上の妹弟子にあたる。
八一と銀子の姉貴分でもあり、八一の初恋の相手で八一が巨乳好きになった元凶。
もっとも桂香本人は八一を弟分としか思っておらず、銀子の恋を応援している。


【余談】

複数の棋士をモデルとしており「このライトノベルがすごい!2017」の取材で、
プロフィールは糸谷哲郎八段、棋風は山崎隆之八段、考え方は渡辺明名人と作者が答えている。
経歴から藤井聡太がモデルだと間違われがちだが、1巻刊行当時、彼はまだめちゃくちゃ強いだけの奨励会員であった。
なお彼をモデルとしたと思われる人物は6巻から本格登場する。

作者は漫画版8巻あとがきにて、今作に対する当初の批判の一つとして「高校生竜王(八一)や小学生女流棋士(あい)なんてありえない」と言われていた*3が、
藤井聡太の登場で逆に「リアリティがある」と評価が変わったと述べている(曰く「キリストも真っ青の手のひら返し」)。
と思ったらあまりの躍進ぶりに逆にリアリティがないだの現実に敗北しただのJSの内弟子が最後の砦だの散々翻弄されまくっているのはまた別の話。
ちなみに本作開始後の令和時代、漫画の世界で吸血鬼のベテランアマチュア棋士が龍王戦に挑む『バンオウ-盤王-』(集英社)と新米女子中学生アマチュア棋士が龍王戦に挑む『龍と苺』(小学館)が発表されており、ある意味本作(と現実)がフィクションにおける龍王戦のハードルを引き上げたのかも知れない…。

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最終更新:2024年08月29日 15:04

*1 自分らしい将棋ではなく、「竜王らしい将棋を指す」と意識したことも一因。つまり、無様に食いついてでも勝とうとせず、敗色濃厚になるときれいな負け方を目指してしまう。

*2 「魔王」のあだ名は現実の初代永世竜王(資格保有者)の渡辺明名人から来ているものと思われる。もっともご当人のあだ名「魔太郎」は、その特徴的な童顔を指してのものではあるが。

*3 実際には中井広恵女流六段や藤田綾女流二段が11歳で女流棋士デビューしているため、小学生女流棋士自体は実例があるのだが。また囲碁の世界では2019年に仲邑菫が10歳でプロ棋士デビューを果たしている。