ディメンション・スライド(遊戯王OCG)

登録日:2025/09/28 Sun 23:17:25
更新日:2025/09/28 Sun 23:29:30NEW!
所要時間:約 7 分で読めます








ディメンション・スライドとは、遊戯王OCGのカードの1枚である。





概要





ディメンション・スライド
通常罠
自分フィールド上にモンスターが特殊召喚された時に発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外する。
その特殊召喚がエクシーズ召喚だった場合、このカードはセットしたターンに発動できる。



初出はGALACTIC OVERLORD。
自分の場にモンスターが特殊召喚された場合に、相手の場の表側表示モンスターを除外する効果を持つ。

効果自体はシンプルなモンスターの除去であり、現代の遊戯王における環境では、特殊召喚を行う機会は非常に多いため、
自身が特殊召喚を多用しないようなデッキを使用しているか、もしくは相手から特殊召喚の制限をかけられている、といった状況でもない限りは発動するのも比較的容易なカードになっている。
また、除外による除去である為、単なる破壊よりも再利用が難しいや破壊耐性を無視して除去が出来る点もプラスなポイントになっている。
ちなみに古いカードテキストのため分かり難いかもしれないが、「選択して」とあるように対象を取る効果となっている。


ちなみに発動条件は「自分の場にモンスターが特殊召喚される」事である為、相手が自分の場に壊獣などのモンスターを特殊召喚してきた場合でもこのカードを発動することができる。(言い換えると、自分がそのようなカードを使って相手の場にモンスターを特殊召喚してもこのカードは発動できない。)
相手がモンスターの除去や何らかのデメリット押しつけを狙ってモンスターを出した際に思わぬ一撃を喰らわせることができる。
もっとも、上記の通り除去されたり、デメリット押し付けが行われているという事は自分側が大きな痛手を被っている状態という事でもある為、リカバーは別の手段を用いて対応する必要があるため、基本的には劣勢の返し





そして何といってもこのカードの特異な強みとしては、「特殊召喚がエクシーズ召喚であった場合、セットしたこのカードをそのターン中に発動できる」点にある。


エクシーズ召喚を主体とするデッキや、テーマ内に条件にエクシーズモンスターが存在するようなテーマであれば条件を満たすのは容易である為、セットしたターン中に発動するのも比較的狙いやすい効果になっている。
また、1ターン中の発動回数に制限も特にないため、1回の特殊召喚時に複数枚同時に発動することで相手の場のモンスターをごっそり持っていく事も可能になっている。



罠及び速攻魔法が持つ「セットしたターンに発動できない」と言う基本のルールを無視することができるため、通常の用途として罠カードとして使うもよし、エクシーズを主体としたデッキで擬似的な速攻魔法として使うもよしと、フレキシブルな使用が見込める。



またカードのセットは優先権を放棄する行為ではないため、セット後に相手に別のカードを発動されて発動タイミングを失うという事は無く、使い勝手としては手札から発動する場合と大差ない形で伏せた直後にすぐ使用する事が出来る。



因みに罠カードをセットしたターンに発動できるようにするカードとして、



王家の神殿
永続魔法
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分は罠カード1枚をセットしたターンに発動できる。
(2):自分フィールドの表側表示の「聖獣セルケト」1体とこのカードを墓地へ送って発動できる。手札・デッキのモンスター1体またはEXデッキの融合モンスター1体を特殊召喚する。



があるが、このカードが場にある状態でこのカードをエクシーズ召喚をトリガーとして発動する場合、カードの裁定として「王家の神殿」の効果でセットしたターンに発動したのか、「ディメンション・スライド」の効果でセットしたターンに発動したのかを自分で選ぶことができる。

もっとも、自身の効果でセットしたターンに発動できるこのカードに対して、ターン1制限の付いている、「王家の神殿」のセットした罠カードをそのターン中に発動させる効果を消費してしまうのはあまり美味しい選択とは言えないため、基本的には自身の効果で発動する事になる可能性が高い。




このカードを運用する上で、特に相性のいいデッキとしては次のような例が挙げられる。



十二獣モンスター1体から即座にエクシーズ召喚ができる為、モンスターを並べる手間を省きやすい。
またモンスターの効果の性質上、打点が低くなりがちなので、攻撃して次のメインフェイズ2にアーゼウスを出したい場合、ワイルドボウの効果が封じられた時に攻撃を行う際の保険や、予めこのカードで相手モンスター除去しておくことで、アーゼウスの全体除去を行う為のリソースを温存するなどの用途として使うことも出来る。




エクシーズモンスターがテーマ内に複数存在し、尚且つ(エクシーズモンスターではないものの)通常罠の発動によってモンスターの展開を行う事が出来るセラの蠱惑魔などが存在している。
「落とし穴」「ホール」系の罠カードの除去をすり抜けてきたモンスターに対するダメ押しの除去として有効な働きが見込める。


上記の他にもエクシーズ主体のデッキであればセットしたターンの発動が出来る可能性は十分ある為、構築時の枠に余裕がある場合入れてみると面白いかもしれない。

因みに「セットしたターンに発動できる」効果は基本的に自分のターンに使う事を前提としているが、相手ターンにこのカードがセットされた場合でも何らかの方法でエクシーズ召喚が行えればそのターン中に効果を使える。
ただし、この特殊召喚についても発動できるのはチェーン1での特殊召喚の場合に限られ、チェーン2以降の特殊召喚であった場合はチェーンの逆順処理によって別の処理が間に挟まれてタイミングを逃してしまう。



そんなこのカードだが、弱点もいくつか存在している。



1つ目としては「発動条件による制約」が挙げられる。
「自分の場にモンスターが特殊召喚された時」と言うこのカードの発動条件は確かに緩いものではあるのだが、それでもその制約上好きなタイミングで発動が出来るわけではない。

モンスターを単に除去したい場合、

強制脱出装置
通常罠
(1):フィールド上のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に戻す。


と、(手札へ戻すか除外するかの違いはあるものの)フリーチェーンでモンスターを除去できるカードがある。


また特殊召喚についてだが、昨今の遊戯王で相手ターンにモンスターを展開する手段が増えてきてはいるものの、(相手からの送り付けを期待せずに自発的なカードの発動を狙う場合は基本的に自分のターン中に行われることが多いため、相手ターンになると使うタイミングが限られてくる。

相手への奇襲を目的に設計される罠カードではこの効果は状況によってはかなりの足枷になり得る要素となる。

上述した通り、セットしたターンに発動が出来るという部分によって罠カードゆえのタイムラグを無視できる点は「ディメンション・スライド」の明確な強みであるため、差別化に使用していきたい……と、言いたいところだが、その独自性ゆえに少し困った問題点が挙げられる。



2つ目は「メインフェイズ1の動きが不自然になりがち」になる点である。


遊戯王OCGやマスターデュエルをプレイしたことのある人なら分かるだろうが、基本的には魔法・罠カードをセットする場合、メインフェイズ2に行うのが定石とされている。

ところがこのカードは自分のターン中に発動したい場合、どうしてもメインフェイズ1にセットする事が多くなるため、カードを伏せるタイミングとして不自然に思われ、何かしらの警戒をさせてしまう可能性がある。

昨今の遊戯王ではM∀LICEがセットしたターンに発動可能な罠カードを多数抱えているため、相手側のアンテナが高くなっている可能性も挙げられるため、なおさら注意が必要である。

しかし見ようによっては通常と異なるアクションを行うことで相手に対して動揺を誘ったり、リソースの浪費を誘発したりするなどの心理的な駆け引きに持ち込める可能性もあるということにもなるので、この部分については使い手の腕前が試されるところになる。


この様にクセの強い部分も多くあるが、セットしたターンに発動できる点などを有効に使用できれば、強力な効果になるのは間違いないので、エクシーズ召喚を多用するデッキなどで、枠に空きがある人は入れてみると面白い働きをするかもしれない。




余談



  • 自身の効果で「セットしたターン中に発動できる」用設定された初のカードになっている。「セットしたターン中に発動できる罠カード」は現在遊戯王OCG内で僅か11種類しか存在しておらず、貴重な効果である事がよく分かるだろう。

  • イラストでは「始祖の守護者ティラス」が暗黒界の龍神 グラファを異次元に飛ばしている。「暗黒界」墓地のリソースを多用していく関係上、除外はかなり強烈な痛手となる為、メタ面での性能で言えばかなり高い物になっている。





追記・修正は土下座をして床にセットされた後に行って、wiki篭りを異次元に飛ばしながらお願い致します。


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最終更新:2025年09月28日 23:29