登録日:2023/12/03(日) 22:44:57
更新日:2024/06/12 Wed 20:23:02
所要時間:約 11 分で読めます
――我を目覚めさせたのは――
――希望の光の声――
――それは、父の夢だった。
俺がまだ幼い頃、父は異郷の地へ旅立った。
母を捜すために。
この世には、人を喰らう魔獣がいる。
奴らは陰我のある人間に憑依して、人の世界に潜んでいる。
魔獣ホラー。
古より存在する、人間の天敵。
しかし、ホラーにも天敵が存在する。
魔戒騎士。ホラーを切り裂き、人を救う『守りし者』。
俺の父は魔戒騎士だった。
そして、俺は父から牙狼の称号を受け継いだ。
父は旅立つ時、俺に言葉を残した。
それは―――
『必ず戻る。信じて待ってろ!』
―想いは希望となり、未来へと受け継がれる――。―
牙狼<GARO>
月虹ノ旅人
夜の月が虹を放つとき、愛する旅人が愛する者の元に帰ってくる。
【概要】
2019年10月4日に公開された雨宮慶太原作の深夜特撮シリーズ「
牙狼-GARO-」の劇場版。
『
魔戒ノ花』の続編であり、
冴島雷牙シリーズ(所謂『雷牙狼』)の一区切りともいえる作品。
延期を重ねた結果、『
神ノ牙-JINGA-』と同時期の制作になり、神ノ牙を優秀なメンバーに任せ、雨宮監督が牙狼シリーズを離れていたスタッフを招集。
その結果、アクション監督の横山誠を筆頭に第1作を制作したメンバーがそろったという。
今作は、
冴島鋼牙シリーズ(所謂『鋼牙狼』)に終演した歴代牙狼登場俳優が集結。
序盤の街には松山メアリ、黒ノ列車の車内には
藤田玲や
小西遼生、
渡辺裕之がカメオ出演している。
他にも
クロウの回想で
毒島エイジ役の哀川翔が登場、あらかじめ予告編PVで明かされた通り
バラゴ役の京本政樹が特別友情出演となっている。
前半は『
蒼哭ノ魔竜』を彷彿とさせる雨宮ワールドが炸裂。
黒ノ列車を舞台に、『
銀河鉄道の夜』を思わせる幻想的な世界が展開。そして後半は魔戒騎士の熱い戦いが繰り広げられる作品に仕上がっている。
主題歌は、
JAM Projectの『雷牙-月虹ノ旅人-』。
『魔戒ノ花』OPの『雷牙~Tusk of thunder~』を歌詞を変え、バラード調にした楽曲。
【あらすじ】
ある日、ホラー討伐から帰ってきた雷牙は、マユリに乞われてカオルのアトリエを案内する。その帰りに、謎の仮面の男・白孔の襲撃に遭い、マユリが連れ去られてしまう。
黒ノ列車に乗ったマユリを追いかけ、列車に飛び乗った雷牙は謎の少年・バデルに出会い、マユリの待つ先頭車両へ向かう。
白孔の正体とは?バデルの正体とは?謎だらけの状況の中、雷牙の前に現れたのは、思いもよらない懐かしい人物だった。
【登場人物】
黄金騎士・牙狼の称号を継ぐ魔戒騎士。
ホラー・ルトとの戦いの後、屍人に邪気を注入されてしまい、様子がおかしくなる。ザルバに英霊の塔に行くことを薦められるが、白孔の襲撃でマユリが黒ノ列車に乗ってしまったことで、黒ノ列車に飛び乗ることに。
バデルの助けもあり、黒ノ列車の先頭に辿り着き、白孔との戦いの中、父・鋼牙を信じきれなかった自分自身に気づき、自分の弱さだと恥じる。
再会した鋼牙の指摘で、自身が屍人の邪気が原因でガロの鎧に取り込まれてしまい、死の淵を彷徨っていたことが判明する。クロウと鋼牙の尽力でガロの鎧から解放される。英霊の塔へ向かうも牙城の結界を破れず、ガジャリと交渉し鋼牙の窮地を救った。鋼牙と大河とともに復活したキバを破る。
全てが終わった後、マユリに鋼牙とカオルを迎えに行くことを打ち明け、すぐにでも旅立つことを話した。
かつて、エイリスとの戦いで雷牙やクロウとともに戦った魔導具の女性。戦いの果てに特殊な能力を失っている。そのため、雷牙たちの力になれず悩んでおり、カオルのアトリエへ向かい、雷牙たちの力になるヒントを探そうとする。
最近は、魔導具や薬の材料となる花を育てており、四道法師や媚空に送っている。
実はそもそも黒ノ列車に乗っていないことが判明する。雷牙がガロの鎧から帰還した後、英霊の塔へ向かう。クロウから雷牙への花を託されるが、時間停止に巻き込まれそうになる。その時、謎の少年に導かれ英霊の塔に入り、カオルとともに雷牙に花を送り、雷牙たちの反撃の起点となる。
英霊の塔はガロの系譜でないと入ることができないため、マユリは特別措置だと思っていたが、実はその体に雷牙の子を宿していた。そのため、英霊の塔に入ることができたのだった。
幻影騎士・吼狼の称号を持つ魔戒騎士。雷牙やマユリとともにエイリスを討伐した。中盤から登場する。
ガロの鎧に取り込まれた雷牙を救うために、冴島邸を訪れる。騎士の魂をぶつける儀式で雷牙を強制的にガロの鎧から引き剥がす。白孔からドグルスが放たれた後、雷牙を英霊の塔へ向かわせるために冴島邸に残り戦う。ドグルスを倒し、ゴンザから託されたマユリの花を英霊の塔へ運び、マユリに渡す。牙城の結界を破るために札を使用して突撃するが、バラゴの攻撃を受けて墜落しそのまま時を止められてしまった。その時クロウは、師であるエイジのことを考えていた。
冴島家に代々仕える執事。
マユリが大事に育てた雷牙のための花をクロウに託すも、パラゴの時間停止に巻き込まれてしまう。その時彼が守ったものは、鋼牙とカオルの原点となったあの絵だった。
黒ノ列車で雷牙が出会った少年。黒ノ列車に乗らないように雷牙に忠告するが無視される。その後も、黒ノ列車を降りるように雷牙に薦めたり、策を弄して強制的に雷牙を降ろそうとする。
黒ノ列車の牢で雷牙とバルチャスを行い敗北するが、なぜか雷牙とともに特別ルールで牢屋を出ることが叶った。
雷牙の祖父にして、鋼牙の父親。黒ノ列車の牢から出られたのは雷牙の血縁者だったからである。バデルは旧魔戒語で「父」を意味する。バデルの姿をしていたのは、力が完全に戻っていないためだった。
牙城にて、鋼牙と雷牙の窮地を救い、バラゴの前に立ちふさがった。雷牙と鋼牙とともにキバを破り、本来いるべき世界へと帰っていった。
英霊の塔へ向かう雷牙とマユリの前に現れた白い仮面の男。黒ノ列車にマユリを乗せ、雷牙を誘き出す。
当初は完全に仮面で隠れて顔が出ない役で、かつアクションができないと困る役柄という難しいポジションだった。雨宮監督が目を付けた松田悟志は、それでも演じたいと雨宮監督に願い出たことから実現した。
彼は屍人であり、ラスボスの傀儡である。元々は、人々を救った魔戒騎士であり、その遺体をゲートとするために、ラスボスに操られていたのだった。
雷牙の誕生の産声で復活した暗黒騎士・キバの怨念。
その目的は、黄金騎士の系譜を断ち切ることである。冒頭の屍人の女性も彼であり、全ては彼が仕組んだことだった。
英霊の塔のガロの英霊たちを吸収し、オウガの鎧を召喚。キバの鎧を融合することでキバオウガへと進化し、雷牙、鋼牙、大河と戦うが、ガロの鎧を装着した3人に倒される。
序盤にマユリと雷牙が訪れるアトリエの主で、雷牙の母親。
英霊の塔に辿り着いたマユリに力を貸し、雷牙の鎧召喚を成功させる。
バデルの連絡を受けて死人の世界にいる雷牙の元へ魂だけ転移する。雷牙に真実を告げた後、白孔と交戦するが死人の世界から強制的に締め出されてしまう。しかし、烈火の魔界竜の力で白孔の元に再び転移する。雷牙と大河が合流し、ガロの鎧が召喚されると、キバオウガと空中戦を演じる。
ちなみに、世に出す前の予告編には鋼牙が出ていたが、サプライズにならないと雨宮監督が難色を示したため、鋼牙が出ない予告編となった。
20年前、カオルを探すために英霊の塔で未来を見た際に、雷牙がガジャリを頼ることを知り、先手を打ってガジャリの試練を雷牙分まで終了していた。
【魔戒騎士】
三世代に渡り冴島家に受け継がれてきた黄金の鎧。序盤のホラー・ルト戦では、
轟天を使用する。
冒頭に屍人のおびただしい邪気を受けてしまい、邪気が溜まった状態になってしまう。そのため、雷牙は英霊の塔に向かうのだが...。
邪気を受けたことで雷牙を取り込んだまま石化してしまった。クロウの魂をぶつけたことで雷牙と分離。そのまま英霊の塔に移送される。
バラゴの邪気により一時召喚できなくなるが、クロウが結界に穴を開けたことと、カオルとマユリが花を飛ばし雷牙が受け取ったことで、再び召喚できるようになった。
最終決戦では、鎧が1つしかないため各パーツを3人がそれぞれ使うという変則的な方法で使用された。大河が装着した場合は赤い眼、鋼牙が装着したときは緑色の眼を持っている。
冒頭には、説明のために初代牙狼第1話の映像が使われている。
狼と鳥の姿を使い分ける濃紺の鎧。今回はほぼ鳥の姿しか登場しない。
暗黒騎士・呀の鎧。本作では
スタンドが如く、鎧を完全な形のまま飛ばして攻撃することもできる。その攻撃で、クロウを叩き落とした。
英霊を吸収して召喚したオウガの鎧と融合し、呀王牙形態に進化。黄金騎士3人を相手取るが、ガロの鎧を召喚されて逆転されてしまいオウガの鎧が分離。そのまま倒され消滅した。
『CR魔戒決戦牙王』が初登場の鷹皇騎士・王牙の鎧。パラゴが英霊たちを吸収し、召喚に成功する。そのままキバと融合したため、活躍は無し。
ちなみに、企画段階ではキバオウガは竜牙という名前が付いており、オウガと関係なかったようだが、白孔の仮面の白色(こっちも最初は白ではなかった)が見事なまでにハマったため、雨宮監督が白い魔戒騎士の鎧を出すことに決めたという。
【用語】
赤目へ向かう汽車。白孔に操られたマユリが乗車し、雷牙もそれを追う。時間によって、次の列車への扉が開く仕掛けになっている。
鎧男が違法に乗車した乗客を牢屋に送るが、バルチャスに勝った者は特別ルールに該当すれば誰か1人と一緒に牢屋から出られるというルールが存在する。
死者の世界を走る列車であり、赤目へ辿り着くと成仏する。雷牙は赤目へ辿り着く寸前に抜け出したため助かった。
黒ノ列車で雷牙とバデルが目撃した生物。捕まえると虹色の石に変わる蝶。石は旅人のお守りとなる。時空を超える力が存在する。バデルの一声で雷牙も掴もうとするが、英霊の塔に送られそうになったため離してしまった。
英霊の塔の近くに落下しており、雷牙が拾うことになる。
ガロの英霊たちが眠る場所。月虹蝶の登場シーンで登場する。
邪気に蝕まれたガロの鎧を浄化するため、ガロの鎧が安置されるもそれ自体がバラゴの狙いであり、牙城が真上に召喚され上部が破壊されてしまう。
英霊の力によってキバオウガの時間停止の影響を受けなかったため、中に入ったマユリは雷牙に花を届けることができた。
【余談】
- 四道法師の登場シーンもあったが、2018年2月21日に大杉漣氏が亡くなったため、本作では言及だけとなった。大杉氏が亡くなったショックで筆がしばらく止まってしまったと、雨宮監督がインタビューで吐露している。
- 冴島大河役の渡辺裕之氏が2022年5月3日に亡くなったため、牙狼シリーズでは本作が遺作となった。
バカな……たった一つの項目で……!?
一つではない!
この項目には、たくさんのwiki篭りの想いが込められている!
そして共に戦った、盟友の姿を刻んできた!
この項目は、その想い・姿を希望として未来へ運ぶ項目なのだ!!
感
謝
- 子、父、祖父による鎧のリレー戦が忘れられない。 -- 名無しさん (2023-12-03 23:22:24)
- 2019年はインフィニティ・サーガとスカイウォーカー・サーガとドゥームズデイ・クロックが終わって、ゴジラKOMが公開されて、平成が溢れ出して、それでもってこれだからね。本当、とんでもない年よ・・・ -- 名無しさん (2023-12-04 00:57:09)
- 2019年最強のヒーロー映画。異論は認める。 -- 名無しさん (2023-12-04 01:00:58)
- 白孔の扱いがなあ・・・ -- 名無しさん (2023-12-04 08:22:50)
- 冴島家三代と戦うってなれば、敵はこれ以外に無いよね。実際、あの3人と互角以上だったし。 -- 名無しさん (2023-12-04 10:51:28)
- 実際はバラゴ本人ではなく転生した本人の魂に置き去りにされた前世の怨念が京本さんの姿をとっている。あとくされなくやっつけられるが同時に「怨む」以外にできることのない身の上は可哀想でもある -- 名無しさん (2023-12-04 22:14:37)
- 映画の内容は語り尽くせないからみんなに任せるとして、松田悟志さんパねぇ!他のメインキャストも然ることながら、映画の完成度を左右する存在だったとは… -- 名無しさん (2023-12-05 09:15:11)
- 先にパチやってたせいで牙狼王牙出なくてちょっと肩透かしだった -- 名無しさん (2024-01-28 03:22:16)
- ↑2 大河が「貴様はバラゴではない!」って言う前に一瞬「何言ってんだこいつ」って感じで苦笑いしたのいいよね -- 名無しさん (2024-05-22 08:31:24)
最終更新:2024年06月12日 20:23