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スタンド能力(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/09/09 Sun 20:44:26
更新日:2026/08/02 Sun 15:45:11
所要時間:約 7 分で読めます





この巻から『スタンド』と呼ばれる新しい能力が出てきますが、
それは超能力を絵でイメージ化したものです。

従来の超能力はビルを崩したり
光や電気のようなものでパワーの強さを表現していました。
それ自体を表現できないかと思って考え出したのが『スタンド』です。

さあ!承太郎たちといっしょに新しい冒険の旅にでかけましょう。

~「ジョジョの奇妙な冒険」第13巻 巻頭コメントより


「承太郎!おまえが悪霊だと思っていたのは、生命エネルギーが作り出す、パワーあるヴィジョンなのじゃ!
そばに現れ立つというところから、そのヴィジョンを名付けて・・・『幽波紋(スタンド)』!!」


スタンド能力とは、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する能力。ここでは主に概念を記載する。


概要

スタンドとは!?

「スタンド」とは、その人を守ってくれる守護霊のようなものである
「スタンド」とは、ひとりの人間に一体(一能力)である
「スタンド」を自由自在に意志で操れる人間が「スタンド使い」である
「スタンド」を傷つけられると「スタンド使い」も傷がつく
「スタンド」は「スタンド」でしか倒せない
「スタンド」とは「そばに立つ」(スタンド・バイ・ミー)という意味から来ている
「スタンド」とは基本的には普通の人間に見る事はできない
「スタンド」はその本人より遠くへ離れれば離れるほど力は弱くなる


スタンドとは生命エネルギーを元とする能力で、発現するとその能力者の傍に(ビジョン)として現れる。
その像は一体一体が形が異なり、人と殆ど変わらないものから亜人型、動物、機械等、千差万別である。

スタンド能力を発現する能力者を『本体』と呼ぶ。
その像は本体が念じればその手足、または像の持つ物理法則を越えた超能力によって能力者を守ったり敵を攻撃したりする。

そのため、そこから『守護霊』と言われることもあるが、
時と場合、能力によっては周囲はおろか能力者自身にも命に関わる危害を及ぼすので『悪霊』と言われることもある。

スタンド能力者には自分や他者のスタンドが見え、スタンドの素養がまるっきり無い人間には(一部例外を除いて)スタンドは見えない。そのため一般の人間には何もないのに奇怪な現象が起きているように見える。
通常スタンドはスタンドにしか干渉されず、スタンドは人体や物質をすり抜けて行動できる。そのためスタンドはスタンドでしか倒せないのが定石。
一方スタンドからは意思次第で物に触ることが可能。スタンド側から物に触れた場合は、場合によっては物質からの影響を受けることもある*1
魔術師の赤」の炎が普通の水で消火出来る一方、「エアロスミス」の硝煙は水でも消えず、「ラット」の針は空気抵抗を無視した弾道を取るなど、この辺りは能力次第である。これらについてはスタンドを操る本人の無意識下の認識によると説明できる。

「スタンドの攻撃に対抗するには(基本的に)スタンドを用いるしかない」「スタンドを倒せばスタンド能力者も重大なダメージを負う(例外もあるが)」という点から、
『スタンド能力者しかスタンド能力者を倒せない』ということが、シリーズを通して敵味方双方の共通認識になっている*2

名称

名前の由来は第3部では『傍に立つ (stand by me)』、第7部では『立ち向かう (stand up to)』の意味。

スタンドという名前は、物語開始時点で命名者やその関係者と全く縁のないはずの人間も同様に使用している。例として、DIOジョセフマウンテン・ティムの3者は独立してスタンドと名付けていた*3
(第五部のパッショーネはディアボロがエンヤ婆に矢を高額で売り払いそこから発展したので、エンヤ婆から「スタンド」の名を知れば伝播して不思議はない。)
ジョセフにスタンドの名を教えられる前の空条承太郎は『悪霊』、子供の頃に自然と使えるようになったスコリッピは『能力』や『力(パワー)』と呼んでいた。

呼称が共通して「スタンド」である点に関しては、「スタンド」に当たる各種超能力を指す言葉が別個に存在し、多様に使用されてはいるが作者が我々読者のための共通言語として「スタンド(能力)」と統一して翻訳してくれていると解釈することもできるだろう。
(漫画やアニメ作品において、外国人や宇宙人といったキャラクターであっても特段の理由なく日本語でコミュニケーションを取るのと同じようなことである。)
あるいはスタンドとその名前は、引力のように引きつけ合うのかもしれない

なお、実写ドラマ版『岸辺露伴は動かない』では、『ジョジョ』未読の視聴者に対する配慮もあってか「スタンド」の言葉は登場せず*4
露伴の「スタンド」である「ヘブンズ・ドアー」は「天から授かった能力」ということで「ギフト」と呼称され、スタンド像が登場しない他、
原作では「スタンド」の能力であったものの一部は「妖怪」や「怪異」の類であると設定が変更される等、総じて『ジョジョ』を知らなくとも問題なくドラマを楽しめる構成となっている。

この能力を扱うことが出来る者を、「スタンド使い」、または「スタンド能力者」と呼ぶ。
またそれぞれのスタンドの持ち主を、そのスタンドの「本体」と呼ぶ。

各スタンド名

スタンド名は第3部は主にタロットカードの大アルカナ関係(最初は名前にがついていたが途中でなくなった)とエジプト神話の神の名前(エジプト9栄神)、
第4部以降は洋楽のアーティスト名、バンド名、楽曲名、アルバム名から取られている。
第3部には一体だけ楽器名から、第7部では邦楽から取られているものなど一部例外もあるが、原則的にタロットとエジプト9栄神を使い切ってから=4部以降は、洋楽ネタが命名の法則と見なして差し支えない。

劇中では基本的に「本体」が名前を付けていると思われる。一部知人に付けてもらう、勝手に名付ける、スタンドが自分で名乗るといった例もある。
ちなみに、洋楽関係から取られたスタンド名に関しては、翻訳版やアニメの英語等の字幕といった海外向けのものでは商標上の問題等からか名前が変更されることが多く、
第5部の『スティッキィ・フィンガーズ』(『Zipper Man』に変更)等、一部スタンドに関しては元の秀逸なネーミング*5が台無しになっており、もっと他になにかなかったのかと問いたくなるような名前に変更されている。

スタンドの発現

スタンド能力は誰でも得られるという訳ではなく、獲得には素質が必要である。
素質は遺伝するので、作中ではスタンド使いの血縁者がスタンド能力を得ている・覚醒した例も多々ある。
これは単にスタンド使いの親からスタンド使いの子が生まれるだけではなく、ある者が後天的にスタンド能力を得るとその血縁者にまでスタンド能力が突如発現するなど、超常的な縁である。
なお、素質は遺伝するが発現する能力が血縁者の間で類似するかはケースバイケース。
スタンド使いの子供が必ずスタンド能力を得るとも限らない。ディアボロや承太郎といった強力なスタンド使いの子供でも、何らかの精神を大きく揺さぶる体験を経なければ能力に目覚めなかったり、矢で傷付かなければスタンドに覚醒しなかった場合がある。

また「スタンドの矢」や「聖人の遺体」、「悪魔の手のひら」など、素質を引き出すアイテムや場所に「選ばれた」者は能力を得ることができる。
ただし、逆に素質の無い者は「選ばれ」なかった時点で死亡してしまう。*6
なお、グリーン・ランドのケープヨーククレーター跡で鉱物資源調査をしていた作業員は、スタンドの矢の元となった隕石で軽いすり傷を作った程度で全身がトマトソースのようになって死亡、徐倫とエルメェスも矢の破片で小さな切り傷を作った程度でスタンドに目覚めているため、「選別される際死なないように矢を指などに刺す」といった小細工は無意味と思われる。

一方で虹村形兆は『凶悪な犯罪者ほどスタンド能力が目覚める可能性が高い』という発言をしており、その素質は先天的なものだけとは限らないことがうかがえる。
犯罪者の発現率が高い理由は不明だが、闘争心や自身の欲望に対するハングリーさといった攻撃的な精神力の強さが考えられる。また、『天国』に行くための手段として、「極刑を犯した罪人の魂は強いパワーを持つ」と説明されている。

第3部はスタンド能力の発現経緯は『強いスタンド能力を得た者の血縁的な影響』か『生まれついて』が明らかになっていたが、
後に後天的にスタンド能力を発現するアイテム『弓と矢』『聖人の遺体』や別人に能力を移植できるスタンド『ホワイトスネイク』、
スタンド能力を発現させる『悪魔の手のひら』や『壁の目』等が次々に明らかになっている。
スタンド発現の原理は、第5部では宇宙由来の隕石に含まれていた殺人ウイルスによる「ウイルス進化」とされ、第7部では波紋や鉄球の回転は「スタンド(人間が引き出す精神的なエネルギー)という才能に近づくための技術」と再定義されている。

人間以外の動物も持つことができ、作中ではオランウータンハヤブサドブネズミ
果てはプランクトンまで、スタンド能力を持った動物が登場している。
彼等は共通して知能は高く、人語を介し、話すものもいる。また、一部のものは身体的特徴の部分的な変化が確認された場合もある。

基本的にスタンドは『闘争心』や『自分や誰かの身を守る』という意志で操るため、
性格が穏やか過ぎる人間やまだ幼い子供などはスタンドへの抵抗力がなく、スタンド能力の素質があり覚醒したとしても能力が害になって、高熱・衰弱を引き起こし最終的に死んでしまう場合がある。
(犯罪者の発現率が高い理由はこのことが関係しているのかもしれない)
作中では元凶=発現の原因となった血縁者 を取り除くことで健康体に戻っている*7
また戦う意志でなくても、匹敵する強い意志があれば戦いに向かない人間でもスタンド能力を扱うことが出来るようである。*8

スタンド使いとスタンド使いは引かれ合うという性質もあり、それがどのようなきっかけであれ、どんな間柄であれ、いずれスタンド使い同士は出会うらしい。
特定の範囲内でスタンド使いの密度が濃かったり、同じ組織・建物内にいるなどの共通点があれば、その確率はさらに上昇する。
また、自覚する前より後の方がその遭遇率は高いようだ(実際にジョルノはスタンドを自覚した後に次々にスタンド使いに出会っている)。

いずれ出会う、のいずれがいつなのかは誰にも分からない。吉良吉影はスタンド能力を得てから他のスタンド使いに遭遇するまで10数年かかっていた。スタンド使いは全てのスタンド使いと必ず出会うという事でもないため、同時期・同地域にいながら互いに接点を持たなかったスタンド使いも多数いる。

スタンドの本体

スタンドは必ず『本体』を持ち、本体が発現させて使用する超能力である(後にいくつか例外が登場する)。

スタンドが負ったダメージは原則的に本体のスタンド能力者にも反映される。このフィードバックの有無や程度には個体差がある。
スタンドの頭が敵スタンドに吸い込まれたことでスタンド能力者が息が出来なくなって昏倒」などの展開を見るに、痛みだけでなく感覚もリンクしているらしい。
スタンドと本体の視覚の共有は各スタンドによりまちまちである。
本体のダメージがスタンド像に反映されることは少ないが、四肢の喪失などの重傷はそのままスタンドにも現れたり、記憶を失うとスタンド能力の一部も併せて封印されたりする。

どれだけ強力なスタンドも本体はあくまで普通の生物であり、本体が死んでしまえばスタンドも死んでしまう。このため本体への攻撃や暗殺が有効であり、この特徴がスタンドバトル独特のサスペンスを生んでいる。
極端な例としては史上最高・無敵のスタンド使いと称えられる空条承太郎は間田敏和のペンを脳髄に突き立てられかけて暗殺される寸前だった。

スタンドは本体の無意識の才能の発露であり、能力は適材適所であるため、絶対的な評価基準は設けようがない。そのため、スタンド能力の本質的な優劣は付けられない
同時にスタンド能力を使った戦闘は軍人将棋のように相性があり、「直接戦闘の場」など一定の基準に範囲を限定すればはっきりと優劣が付く。戦略や環境の利用など能力以外の頭脳戦も重要であるため、一定の基準内で能力の劣っている側が逆転するチャンスはある。

スタンドの系統

スタンドの種類は大きく分けて、
以上の3つが存在する。

基本的な原則として、スタンドのパワーと射程距離は反比例する。
本体から遠くに離れられないスタンドはパワーが強く、遠くまで動かせるスタンドはパワーが弱い。

スタンド攻撃を受けた際の対処方法を決めるにあたっては、相手の射程距離が極めて重要になるため、作中において特に言及されやすい分類である。すなわち、
  • 近距離型スタンドを本体ごと叩くか
  • 遠隔操作型スタンドをかわしつつ本体を探すか
  • スタンドをぶちのめす(無力化含む)か
遠隔自動操縦型は総じて射程距離が非常に長く本体を探すことがほぼ不可能なため、スタンドそのものに対処しなくてはならない。

使い手が死亡しても消滅しないタイプや使い手すら制御できない(ひどい場合は自身を殺しかねない)タイプも存在する。
こうした状態に陥ったスタンドは本体の精神力・身体能力といった制約が取り払われ性質や規模が凶悪化する傾向にあるため、使い手と対処する側どちらにとっても非常に危険。

遠隔自動操縦型に該当しない場合は、スタンドは本体の意思によって操作可能である。
スタンドを操作する際は本体が動かしたい動作を実際の体の動きで表す必要はなく、心の中で思うままに操作が可能であるため、「本体はクリント・イーストウッドのように静かにたたずみながら、スタンドは激しい突きの連打を繰り出す」といった二面性を演出できる。
6部あたりから本体とスタンドが動きを同調させているかのような描写がチラホラ出てくるようになった*9が、これは実際のスタンド操作に必要な動きではなく、スタンドと一体化した漫画的演出+本体の闘志が絵的な表現として表れているだけと受け止めるべきであろう。設定的にもスタンドは本体に近いほど強いパワーが出せるため、本体も同時に攻撃すれば原理的に最良のパフォーマンスが出せる利点もある。

第三部ではスタンドは一人につき一体と言われていたが、第4部以降はハーヴェストメタリカのような群体型のスタンドが登場している。これは「複数のヴィジョンをまとめて一つのスタンド」という扱いであり、第三部時点で不定形のスタンドが分裂していたり、発射した弾丸もスタンドとして操作するなど群体型の萌芽が見られる(分裂が可能ならば、最初から分割されたデザインは一能力の範疇におさまる)。第六部では作中でも「スタンドは一人一能力」と言われるなど、厳密な一人一体の原則から定義の拡張が行われている。


スタンドの性質

スタンドは「幽波紋」とも呼ばれるように波紋を伝達する事ができ、歴代で唯一波紋とスタンド両方を体得しているジョセフはスタンドに波紋を纏わせた戦法を披露しているほか、
ジョセフがそれを利用して波紋の罠を仕掛けた事に気付いたDIOがわざわざスタンドによる攻撃を中断した事から、スタンド越しに相手に波紋を流す事も可能なようだ。*10

特殊能力の発動に条件が必要なものもいる。
傾向として割とみられるのが、「相手に何らかのルールを提示し、それを違反した場合に発動する」というもの。
この場合、相手はルールを違反してしまったという後ろめたさに付け入る形となっており、基本的に防御不可
倒すには、ルールの範囲内で相手を打ち負かす以外にない。

「発動の条件」では他に「依代になるもの」が必要という連中もいる(物質同化型)。
これらの場合依代があるためか非スタンド使いでも姿が見えるという特徴*11と、明確に言われているわけではないが、
  • スタンドの基本能力である物体をすり抜けることができない。*12
  • スタンド攻撃以外でも破壊できる、ただしこの際ダメージのフィールドバックはない。*13

「特定の能力を持った生物を生み出す」という能力などもある。
ゴールド・エクスペリエンスが代表的だが、パープル・ヘイズグリーン・デイなども自然界にはいないであろう生物を生成している点では同じ。一応ベイビィ・フェイスもこれに当たる。
これらの生物はスタンドによって生み出されたが生物的・物質的な側面を有しており、実体がある関係上、スタンド使いでない者にも見ることができる。
また、生物である以上、本体であっても完全には制御できないタイプもおり、例えばゴールド・エクスペリエンスで生み出した生物の行動は本体であるジョルノも大まかにしかコントロールできないし、
ベイビィ・フェイスの本体であるメローネも、スタンド(が生み出した生物)が実質暴走状態に陥ってしまったことが遠因となって敗北している。

スタンド能力は持ち主の精神と深い関わりがあり、本体の性格を反映していたり、本体の願望を叶えるような能力を持っていたりする。
例えば、ジョルノはグリーン・ディの引き起こした地獄を見て「心のブレーキが無いからここまで凶悪化した」と分析しており、実際にその推察は当たっていた。

また、明言こそされていないが、一部のスタンドはある程度の自立行動も可能なようで、
  • 第3部冒頭、承太郎がスタープラチナを使って、常人の眼では暗闇にしか見えない背景を分析し、捕捉したハエをスケッチさせるというシーンがあるが、
    本体の承太郎もスケッチを見るまで「何を捕捉したか」は分かっておらず、スタープラチナ自身が捕捉したものを見たままにスケッチさせている。
  • 明らかに人間の感覚では捌ききれないであろう、飛び散るガラスの破片やら拳での高速ラッシュ攻撃やらをスタンドを使って防御。
  • 人型でも、ましてや生物や機械ですらないホワイトアルバムに「一時冷却を解除しろ」と命令。
  • エコーズACT3やスパイスガールに至っては普通に喋る。
  • ほとんどのスタンド使い達は叫んでスタンドに命令している。*14
この他、発現したばかりのスタンドが、危機に陥っている本体を独自に守ろうとしたり、自身の能力や使い方を本体に教えるようにふるまったりする場面もしばしば見受けられる。
スーツタイプ含むほぼ全てのスタンドにもれっきとした意思があり、必要性がないからラッシュくらいしか喋っていない・制御されているので勝手に行動していないだけ、という可能性がある。
ただし基本的に出し入れは本体の意思でないと出来ない様子。また、スタンドが他のスタンドに捕獲されている場合は本体の意思で出し入れ出来ない、というのは作中一貫している*15

実際にスタンドの自我だけで自立行動する「一人歩き」型のスタンドも存在し*16、制御から離れたパープル・ヘイズも明らかに自我を持っていた事から、一部のスタンドは自我だけで行動できるのは間違いないだろう(外伝作品ではパープル・ヘイズが「本体死亡後に一人歩きするのではないか?」と推測されたこともある)。

他にも特定の場所で起こる「自然現象」や「呪い」のような、本体も自我もないスタンドも確認されている。それが最早スタンドと言えるのかは謎だが、「漫画表現の都合でスタンドと表記しているだけ」という他にも、スタンドとは超常現象に一定のルールを与えたキャラクター化であるため、本質的にあらゆる現象を内包するのである。

スタンドはエネルギーのイメージ化した姿であるため、自身の意志でスタンド像を小型化する事も可能。このミクロ化は特定の能力による縮小とはまったく別物だが、サイズ相応に弱体化する上にスタンドパワーを消費するらしく、劇中で用いられたのは人体内に潜り込んだスタンドを早急に排除する必要があった時程度とごく僅か。

スタンドパラメータ

スタンドのステータスは単行本で「破壊力」「スピード」「射程距離」「持続力」「精密動作性」「成長性」の6系統についてA(超スゴイ)~E(超ニガテ)*17まで評価されたものが掲載されている。
スタンド能力チャート(ジョジョの奇妙な冒険)

読者間でのスタンドの強弱議論はこのステータスが元になることも多いが、問題の多いチャートでもある。
チャート評価と作中の表現・設定の矛盾が多い事と、スタンドの評価基準が統一されていない事(特殊能力への評価とスタンド像自体の性能評価が混在している)の2点が主要な批判である。
ホワイトスネイクキング・クリムゾンなどいくつかのスタンドは、物語への登場が早かった都合上ステータスの評価いくつかが「?」になっているという問題もある。

パラメータ評価と作中の描写の矛盾。
  • DIOの「ザ・ワールド」は承太郎の「スタープラチナ」をパワー・スピード・精密動作性で上回り、実際にラッシュの性能比べでもダメージ描写はDIO側が上回ったが、精密動作性の評価は「ザ・ワールド」がBで「スタープラチナ」がA。
  • ディエゴの「スケアリー・モンスターズ」はヴァレンタイン大統領の「D4C」にスピード能力で勝っているのに「スケアリー・モンスターズ」はスピードBで、「D4C」はA。
  • エコーズACT3パープル・ヘイズは同じ射程5mだが、単行本48巻ではエコーズACT3がD判定で、52巻ではパープル・ヘイズの方が評価Cになっている。(JOJO A-GOGO以降の公式書籍やアニメ版ではどちらもCに修正)

特殊能力への評価とスタンド像の性能評価の混在。
  • 「スタンド像の腕力の破壊力」と「特殊能力が持つ破壊力」への評価の混在。
    • クリーム」や「ザ・ハンド」の防御無視系スタンドの破壊力がBと低すぎる。
    • 「エコーズACT3」の破壊力が48巻だとA。「D4C」の破壊力がJOJOVELLERだとA。どちらもスタンドの腕力としては本編描写と比較して高すぎる。
  • 射程距離において、「特殊能力の効果範囲」と「スタンド像が本体から離れられる距離」の評価が混在。
    • ザ・ワールドは射程距離10メートルで評価Cだが、能力の時間停止の射程は全宇宙が対象であり、Cでは到底収まらない。これはスタンド像の射程。
    • 一方キッスの射程距離はAだが、キッス自体は完全な近距離パワー型であり、スタンド像の射程距離はザ・ワールド以下。こちらは特殊能力のシールの射程。

ストーン・フリースタープラチナは同じ破壊力Aだが、前者は発現当初鉄格子を壊せなかったのに対し後者は鉄格子をひん曲げていた、スティッキィ・フィンガーズオアシスも同じスピードAだが格闘戦で圧倒的な開きがあるなど、同じ評価内で性能に格差が激しい場合も見られるが、これはA~Eの5段階評価であるため致し方ないと思われる。

描写との矛盾に対する回答として、「物語を通してスタンドも成長する」という描写もあるので、このパラメーターで固定というわけではない。
  • 破壊力Cのゴールド・エクスペリエンスは人間に初めて使用した際は腕の骨をへし折れる程度であり、食らった当人も「破壊力はそれほどでもない」と語っていた。後日複数のスタンド使いとの戦いを経た後は自動車10台を一瞬でスクラップにした。
    • 成長性Aなので、戦闘経験によりパワーCからB以上に成長したとすれば矛盾なし。
  • ストーン・フリーも脱獄時は当初壊せなかった鉄格子を3分で破壊できるようになっていた。
  • バーニング・ダウン・ザ・ハウス」の評価は成長性なしのスタンド。初期設定では「拳銃には殺傷能力は無いため脅しにしかならない」と説明されていたが、物語後半では実体があって殺傷能力及び物理的な破壊力が備わっている。

精神エネルギーによって発現すると言われている通り、本体の精神状態によって設定されているステータス以上の能力を発揮している場面もある。仲間を失って激怒したポルナレフは一時的に『銀の戦車』の射程とスピードが大幅にアップした。
スタンドパラメータはあくまでおおよそのスペックであり、状況・成長次第ではそれ以上の能力を発揮できると考えるべきだろう。

メタ的な視点から

日本のバトル漫画界の在り方を大きく変えた「発明」であり、現代の日本漫画のほぼすべてが「能力バトル」の様相を呈する理由。
「現在のバトルマンガは全て『ジョジョ』の影響下にあると言っても過言ではない」という分析もあるくらいで*18、人によってはバトルという条件さえ外れてスポーツ漫画などにもこの理屈を応用することがあるほどである。

発明の経緯

ジョジョ3部でスタンド能力が初登場する前、荒木飛呂彦は壁にぶつかっていた。

当時のジャンプ漫画は「戦闘力」という概念による強さの数値化や、「ものすごく強い敵だと分かりやすく描写」「数値の低い主人公が高い敵を圧倒する」「トーナメント制バトル」というパターンが非常に多かった。
荒木は「こんなことをしていたらキリがない。そのうち限界を迎えてしまう」と戦闘力のインフレに非常に否定的であり、しかしインフレが流行るのはその方が読者のウケがいいからだということも理解していた。

担当編集者の椛島良介に「波紋からの卒業」「トーナメント制の禁止」の2つを提唱されたこともあって、このインフレの連鎖をどうにか断ち切る方法として「スタンド能力」を発明したのだった*19
スタンドの設定は先述の通りだが、メタ的な観点からは「毎回特色の違う敵が出てくれば、とても強い敵の次に弱い敵が出てきても演出的に不自然にならない」というもの。
つまり漫画の人気が落ちる原因になる「敵の格落ち」をあまり気にしないで済むようになったのだ*20
そうなるとバトル漫画として前に進んでいる描写がなくなってしまうが、そこはジョースター御一行様に世界旅行をさせることで「前に進んでいる感」を読者に与える。

「敵をひとり倒したら次の土地へ行く」「敵の数を最初に明示しておく」ことで、ちゃんと旅が進んでいることを読者に訴えたのである。

ちなみに荒木自身はこのシステムを「スゴロク形式」と呼んでいる。

2026年に開催されたイベント「SHUEISHA MANGA EXPO」で、荒木は『ジョジョ』で最も印象に残っている回として第3部の第1話を挙げ、以下のコメントを残している。


ジョジョの第2部が終わる1週間か2週間くらい前に当時の担当さんが
「波紋そろそろ飽きてきたから違うのにして第3部いこうよ」
と言い出し、「えっどうしよう」と焦りました。

それでも休みはくれないので、2週間くらいでなんとか
「スタンド」というのを考え、第3部に突入しました。
「波紋」というのは、波紋の絵を描いて超能力を表現していたので、
それとは別の方向で作りたいと思い、人の形をしたエネルギーで戦う
新たなルールができました。

スケジュール的にも難易度的にもめちゃくちゃ過酷なお題でしたが、
振り返ると幸せで思い出深い瞬間でしたね。


画期性

それまでも特殊な能力を持つ敵というのは多かったが、それらはいずれも「卑劣漢」「戦闘力の高い相手には能力が効かない」「努力をサボった小物」のような要素がついてくるし、そうでない敵であったとしても結局大技同士のぶつかり合いに終始した。
そして単に戦闘力の高い敵との戦いは、ラスボスなら「信念や絆の力や覚醒で倒す」といったご都合主義が多くなるし、ラスボス以外の敵とのバトルはほとんど印象に残らないこともしばしばある。

しかしスタンド能力の場合、
という形で、これまで力と力のぶつかり合いだったバトルに「心理戦」の要素を持ち込むことに成功し、能力バトルの在り方や能力の魅せ方を非常に大きく変えた。

ルールに基づくバトルを屁理屈とかこじつけなどと批判する声もあるが、その「ルール」と「破り方」を納得させられるかは作者の腕次第であり、荒木作品の理屈付けはすんなり面白く読める場面の方が圧倒的に多い(こじつけや屁理屈だらけなら読めたものではなくなる)。

これまで主流だった「何もない荒野やリングでの戦い」だけでなく、飛行機の中水中酷暑といった特定条件下でのバトル、映画のパロディ、「能力の謎を解く」という推理もの的な展開なども肯定してくれるこのスタンド能力はまさに発明そのものであり、革命であった。

そして読者の間でも
といった形で大変に盛り上がっていくと、とにかくいいことづくめだったのだ。最近ではこれらはノベライズやスピンオフという形で半公式化してきている。

このwikiでもスタンド解説のところなんかは編集者の私見が結構載っているし、コメント欄にもたびたび私見の開陳が見受けられるが、それが残ることを肯定される*21のはひとえに能力バトルというジャンルがそういうものだからだ。話が盛り上がるのである。

さらにこの「スタンドは一人一体」「本体の精神から生み出される」というルールが漫画のキャラクターの個性にもつながってくる。
たとえばジョセフの「隠者の紫」なら、パワーは弱いが人型スタンドを持つ他4人とは違った動きが可能というところが老境の策士感を醸す。
アバッキオの「ムーディー・ブルース」なら彼の過去と合わせてそこに皮肉な物語を見出すこともできる、といった具合。
実際に仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」やフーゴの「パープル・ヘイズ」は、作中でも彼らのどのような性格から発現したかについて触れられている。

グレーフライ吉良吉影のような平凡な容姿の人間が残虐なスタンドを持つ、ポルポのような肥満体が禍々しくも美しいスタンド像を持ちギャングの幹部たる貫録を示すなど、本体=表層とスタンド=本質の対比的な多面性も、スタンド能力の画期性の一つである。

後世への影響

能力に二つ名と一定のルールを与え、使い手の本質を反映してシンボライズする。
こういった手法がたいへんウケた結果、他の編集者にも優れた規範として模倣され、漫画家のみならず非常に多くの人間に影響を与え、バトルの主流が「能力バトル」へとシフトしていくことになる。
念能力悪魔の実呼吸アルター能力個性武装錬金……などなど様々な名前にアレンジされたスタンド能力は、その漫画の中で独自の設定を身に着けて進歩していき、それらが当たればまたそれに影響を受けた人が漫画に持ち込んでいく。

そしてたとえば単に日本刀を使う漫画の場合でも、「日本刀から繰り出される技を変える」「その日本刀自体に個性をつける」といった形になっていくし、異能力を使わない格闘漫画の必殺技でも「特定流派の奥義」「特異体質ゆえの技」「超すごいナイフ使いだから」、果てはオモチャのメディア展開などでも「○○の使うマシンやカードは××」という感じで事実上の固有能力のようになっていく。

スタンド能力よりもさらに複雑な能力を出して深い心理戦を行う漫画から、単なる美少女ゲームの演出を肯定するための雰囲気付け、果ては異能力が薄い本に応用されるなど、その裾野の広がりはとどまるところをしらない。

余談

勘違いされがちだが、「異能力同士がぶつかりあう」というバトル自体はジョジョ以前から非常にポピュラーだった。
そもそも神話の戦争とかそうだし、アメコミなんてもっと派手な能力が飛び交っている。
ジョジョの発明はこれを「1人1能力」「長所はあるが弱点もある」「この超能力を用いて心理戦を行う」というところへ昇華させて少年漫画に輸入した点にある。

そして荒木飛呂彦のどれだけ強調しても足りない偉大な功績は、週刊少年ジャンプという最も過酷だが最もたくさんの人が読む漫画雑誌で、競争に淘汰されず傑作を描き続けたこと。
アイディアが凄くてもそれが作品としてつまらなくて誰も見向きもしないものだったら、ここまで幅広い人々に広まるはずがない。
荒木飛呂彦は何よりも面白い漫画を描き続けた。だからジョジョの奇妙な冒険ドラゴンボールSLAM DUNK幽☆遊☆白書と同じ雑誌に載り、なおかつ打ち切られずに能力バトルの規範となれたのである。

4部ではさらにこれを「一般人が持ちうる」というところにまで拡張し、高校生同士、ないしは高校生と不審者の喧嘩が能力バトルになるという境地にまで切り拓いた。

この辺の話は一人のアニヲタの与太話というわけではなく、『荒木飛呂彦の漫画術』をはじめとした集英社新書の荒木飛呂彦が著した本に詳しく書いてあるし、漫画評論などの本でもたびたび載っているド定番の話題。
「漫画に学ぶ人生論」だの「謎本」みたいなしょうもない手抜き本でない限り、コーラを飲んだらゲップが出るくらいの確率で載っている。
読もう。めっちゃ面白いから。映画紹介の本などにも折に触れてインフレ否定論などを述べているぞ!




「アニヲタ!おまえが荒らしだと思っていたのは、パソコンとキーボードが作り出す、知識あるwiki篭りなのじゃ!
項目に書き加えたり直したりというところから、そのヴィジョンを名付けて・・・『追記・修正(エディット)』!!」


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最終更新:2026年08月02日 15:45

*1 走行する車に立ちはだかって撥ね飛ばされるなど。

*2 6部や7部では舞台がアメリカということもあって警官や看守、敵に雇われた殺し屋などが銃で武装していることもあって非能力者が脅威となるシーンもあった

*3 DIO→ジョセフに関しては念聴を行ってDIOの思考を読めばスタンドの名を知る機会はある。

*4 原作漫画・小説では普通に登場する。

*5 ローリング・ストーンズの「スティッキー・フィンガーズ」アルバムジャケットにはジッパーが付いている、元ネタは麻薬・ヘロインを意味するタイトルだが本体のブチャラティは麻薬によって家族を喪い憎んでいる…など。

*6 しかし4部の序盤に形兆によって矢に貫かれた広瀬康一が、仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」で治療された後、スタンド「エコーズ」を発現する現象が起きた。そのため、一部ファンでは「単純に死ななければ能力を身に付けるのではないか」という考察がなされている。

*7 具体例は空条ホリィと4歳だった時の東方仗助。仗助はスタンドを扱えるようになったが、ホリィの能力は喪失したのか休眠したのか制御できるようになったのか、詳細は不明である。

*8 トニオの場合は「人々を自身の能力で健康にしたい」など。

*9 本体の回し蹴りに合わせてスタンドも回し蹴りを繰り出す、等

*10 一見不可解にも見えるが、波紋法はあくまでも特殊な呼吸によって血中に発生させた「太陽の光と同じ波長の波(=振動)」を対象に伝える事で起こる現象であり、その振動がダメージなどと同じようにスタンドから本体へフィードバックされれば直に波紋を流した場合と同じ現象が起こりうる……といった理屈と思われる。そうであれば、逆にフィードバックの無いタイプのスタンドには効果が無いかもしれない。

*11 第3部時点で「エボニーデビル」(人形)、「力」(船)、「黄の節制」(肉)、「女帝」(人面疽)、「運命の車輪」(自動車)、「ゲブ神」(水)、「アヌビス神」(刀)などを、非スタンド使いが目視している。

*12 「アヌビス神」は例外的にすり抜けが可能だったが、他は「女帝」→コールタールで固まって動けない、第4部の「レッド・ホット・チリ・ペッパー(電気と一体化)」→タイヤ(絶縁体のゴム)に閉じ込められると穴を開けないと出られない。など。

*13 例:第4部「サーフェス」が手首をちぎられても本体の間田は無事。「ラブ・デラックス」も燃焼やハサミによる切断で影響がなかったが、ザ・ハンドで削られても影響が見られないことや本体の毛髪と一体化なのでそもそもスタンド自身にダメージが返っている可能性あり。

*14 一方で、毎回いちいち言葉に出して命令しているわけでもないので、単に目的や意志を口に出して気合いを入れているだけという可能性や、その時何をしたか分かりやすく演出するための漫画的表現の一環に過ぎない可能性も十分あるが。

*15 暗青の月のフジツボが生えたスタープラチナ、キラークイーンに踏みつけられたエコーズACT3、グリーンディに捕獲されたピストルズやキング・クリムゾンに捕獲されたスパイスガール、ストーン・フリーに捕獲されたグーグー・ドールズ等。

*16 スーパーフライといった(仮の)本体を必要とするものや、ノトーリアス・B・I・Gのように本体が死亡(本体不在)してから活動したものなど、「本体」自体が必要なのかはスタンドそれぞれ

*17 「∞(無限大)」「完成」「なし」といった例外的評価あり

*18 更科修一郎ほか著「JUMP CHRONICLE」など

*19 2週間で考えたという裏話が発表されたが、3部作としてディオが復活するという大まかな初期構想はあったので、まったくストックのない白紙状態から突貫でアイディアを完成させたとは考えにくい。

*20 ジョジョならたとえば3部のDIOより4部の吉良吉影の方が明らかに弱いが、舞台設定などが大きく異なることもあってそこを気にする人はほとんどいない。

*21 解釈というものは、公式情報に基づく根拠と論理によるものならば、ある程度の客観性を備えるものである。そういった私見は尊重すべきであろう。