登録日:2023/12/23 Sat 13:07:54
更新日:2024/07/06 Sat 14:45:54
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アルプスの山を裂き、現れる二大怪獣。
その足元に広がる暮らしが破壊されていく。
取るに足らない男の小さな幸せは、華を咲かせることができるのか?
次回 ウルトラマンブレーザー
ソンポヒーロー
懸命に走る先に、見えるものはあるか。
スズキ テツオとは特撮ドラマ『
ウルトラマンブレーザー』第22話「ソンポヒーロー」に登場するゲストキャラクター……否、
本エピソードの主人公である。
演:金井勇太
【概要】
日本怪獣損害保険株式会社に勤務するサラリーマンで営業部所属。
年齢は明かされていないものの、恐らく20代後半から30代前半ほどと思わるが、すでにその表情は若さを殆ど感じられない疲れ切ったものとなっている。
というのも、元々気弱で人としての気迫に欠ける良くも悪くも穏やか過ぎる性格に加えて、不器用で要領も悪いせいで仕事の営業ではさしたる成果を上げられておらず、社内でも目立った地位に恵まれておらず、その鈍臭さのせいで上司からはいつも叱責され、後輩からも完全に舐められている等、その第一印象は冴えないサラリーマンそのもの。
営業方法も個人宅に直接足を運び、その場で保険の説明をして加入を促すという所謂「飛び込み営業」だが、その人柄と不器用さのせいで交渉事も得意とは言えず、大抵は強引に扉を締められて門前払いに遭うのが常になっている。
金銭的な余裕もないらしく、現在は2階建ての小さなアパートの一室に1人暮らしであり、食事もコンビニ弁当といった出来合い物で済ませている。
家族の安否は不明だが、少なくとも普段から連絡を取っている訳ではない模様。
また、学生時代の同級生達が起業やバンド結成といった一見華々しい人生を送っていることもあり、自分のあまりにも地味で報われない人生に半ば失望し、生きる意味を見失いかけていた。
そもそも今の職に就いたのも、就職活動の末に内定を取れたからというだけ物であり、その仕事に情熱や意欲を持つことすらできずにいる。
本人曰く、「仕事で身に付いたことと言えば、営業でよく行く住宅街の裏道に多少詳しくなったことぐらい」らしい。
このように、見る人によっては強烈に胸を抉られるような境遇にいる彼だが、元々どこかお人好しな性分もあり、そのおかげか腐って道を踏み外しかけるような素振りを見せていないのがせめてもの救いか。
本エピソードは、そんな彼の身に起きたささやかながらもかけがえのない出来事が描かれている。
【関連人物】
演:岡田謙
本名不明。営業部部長。
成績不振なテツオに普段から目を光らせているらしく、彼が遅刻をしてきた時には大勢の社員の前で叱責するという
パワーハラスメントめいた仕打ちに走っている。
一応遅刻をしたテツオに非があるのは事実ではあるものの、反省の意を示す本人が余計に恥をかくようにしている辺りは、必要以上の制裁とも捉えかねない。
一方、特定の社員を贔屓するようなことはせず、誰であっても落ち度は叱責し、逆に成果は認めて背中を押す等、良くも悪くも分かりやすく真面目な商売人であるとも言える。
演:山岸綾祐
テツオの後輩社員。
テツオとは対照的にエネルギッシュな雰囲気が強いが、その実態は俗に言う「意識高い系」を気取った「真面目系クズ」であり、普段から不必要に会話に英単語を交えて話しており、ろくに契約の取れないテツオのことも表向きこそ先輩として接しているものの、その態度の節々から皮肉と嫌味を垂れて小馬鹿にし、上司に叱責されている姿を見てクスクスと嘲笑する等完全に見下している。
仕事の腕自体はいいらしいが、顧客からの問い合わせに「怪獣が出たらご連絡ください」とろくに取り合おうとしない上、自社の負担が増えることを嫌がって怪獣退治に手こずるSKaRDにテレビ越しに毒を吐き、その戦闘で崩落する家を見て絶叫する等、終始利益のことしか考えていない。
演:山口果林
テツオが営業先で出会った老年女性。
物腰柔らかで柔和な人物だが、夫に先立たれて久しいらしくどこか自分の身の回りや生きることそのものに無頓着な面が見受けられる。
【活躍】
その日も、テツオにとっては何ということのない普通の一日になる筈だった。
遅刻をして上司にこっぴどく怒られ、
逃げるように営業に出向くもどの家庭にも相手にされず、その日最後の一軒として決めた先で、テツオはミチコと出会った。
漸く話を聞いて貰えたものの、既に独り身としてこれから先の人生に半ば無関心なことから渋られてしまうが、話の最中火にかけていた鍋の中身が焦げてしまっていた。
罪悪感に駆られたテツオは、思わず街に繰り出して食事を弁償。そのまま元のお人好しの性分に火がついてしまったらしく、ミチコ自身もついそれに甘えてしまい、そのまま掃除や花の水やりといった家事全般を手伝い、一日が終わった。
その後、そのままミチコに手料理を夕飯として振る舞われ、そこで自嘲気味に自分の冴えない人生を
「昔から大きな目標も無く流されるように生きてきた」「つまらない人生ですよ」と語るが、ミチコもテツオに自分の胸中を話し出す。
大きな目標が無きゃいけないのかしら?
私もね、早くに主人に先立たれて何となく生きてきたから、気持ちはよ~く分かるの。
でもね……綺麗なお花が咲くのを楽しみに、毎日お水をあげるような生活も、それはそれで素敵な物よ?
そしてミチコは、テツオの持ってきていた契約書にサインをした。
また、今度はテツオの好物である
ハンバーグを作るという約束もしていた。
後日、以前から活動が活発化していた
レッドキング(二代目)と
ギガスがミチコの居住区域に出現。
それを見かねたテツオは彼女の自宅に駆け込むが、ミチコは「もう年だし主人の所に行くのも悪くないかも」という考えでろくに
逃げる準備もせずに縮こまっていた。
テツオはそんなミチコを背負うと、自身の裏道の知識を活かして避難所を目指し、2大怪獣と
アースガロンが戦う足元を必死に逃げ回る。
ミチコは負担になりたくないと、「テッちゃん」……もといテツオだけで
逃げるように促すが、今のテツオは頑として譲らなかった。
ミチコさんと一緒に逃げ延びる!それが今の俺の目標なんです!!
なんでそんなに!?
……俺、あんなに温かいご飯、本当に久しぶりだったんです……
生き延びてミチコさんのハンバーグ、一緒に食べましょ?
その姿は、もう自己嫌悪に苦しむ取るに足らない男などではない……誰かの為に全力を尽くす一人の英雄だった。
一時は戦いに巻き込まれかけるも、ブレーザーの足止めによってどうにか避難所へ到着。
そして、2大怪獣もブレーザーと
アースガロンの活躍によって討伐され、またひと時ながらも平和が戻った。
テッちゃんのお陰で、死にそびれちゃった……。
それは良かった……。
安心から、そんな冗談めかし名やり取りをする2人。
直後、もう自宅がボロボロになって住めなくなっていることを心配するミチコに対し、テツオは温かく言葉を出す。
大丈夫。やり直せます。"その為の"保険屋ですから。
後日、そんなミチコが知り合いに進めてくれたこともあり、ずっと成績不振だったテツオは少しずつだが業績を伸ばし、評判も上がるようになっていった。
これには普段から厳しい態度だった上司も屈託のない好評価を出すが、それと同時に態度が悪いというクレームが連発したアイカワを叱責した。
そんな気まずい空気から
逃げるように、しかし自信を宿した表情で、テツオは今日も営業に向かうのだった。
【余談】
演者である金井氏は、子役時代に『
ウルトラマンダイナ』にてデマゴーグを作った少年・太一役で出演した経験がありウルトラシリーズへの出演は約25年ぶりとなった。
追記・修正は、小さな目標を見つけてからお願いします。
- 正直仮面ライダーNEXTみたいに最後クビになると思ってた -- 名無しさん (2023-12-23 15:31:06)
- ソンポヒーローって本当に損保ヒーローだったのか(困惑) -- 名無しさん (2023-12-25 08:26:39)
- ヒーロー物はヒーローと敵対者とそれらの関係者で話を回すのが基本だけどそれだけだとそこだけに閉じた狭い世界に感じられてしまう。そうならないように世界を広げる良い話だった -- 名無しさん (2023-12-26 11:24:40)
- オーブの頃に「SSPの車は怪獣災害保険入ってるから壊れても大丈夫」って超全集か何かの裏話で書かれる位だったので、遂にこれ(保険)テーマに1話書いてくれたか!と嬉しくなっちゃった。たまたま受かった企業·営業成績…うっ、頭が -- 名無しさん (2023-12-27 00:17:44)
- 話自体はよくあるステレオタイプなのだが、ブレーザーの舞台背景や世界観が見て取れる、とても興味深い話。そりゃ怪獣損害保険あるよね。きっと田口監督ずっと昔からこういう話撮りたかったんだろうなぁ、という思いを感じた。 -- 名無しさん (2024-02-01 10:31:02)
- CMの怪獣がめっちゃ強そうで驚いたw -- 名無しさん (2024-02-01 19:44:43)
最終更新:2024年07月06日 14:45