無色クリーチャー/Colorless Creature

登録日:2023/12/29 Fri 19:08:00
更新日:2024/05/21 Tue 10:27:35
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Magic the Gathering』における無色クリーチャーとは、文字通り色が無いクリーチャーのことである。無職クリーチャーではない。


概要

MtGでは、の5つの色が存在する。これは他のTCGでいう属性や文明にあたり、ほとんどのクリーチャーはこの色を1つ以上持っている。

一方で色を持たないカードというのも存在し、アーティファクトや土地が代表例といえる。それ以外のカード・タイプでは無色というのは少ないが、無色クリーチャーは主に「アーティファクト・クリーチャー」として比較的数多く存在する。
またアーティファクト・クリーチャーでない無色クリーチゃーも少数ながら存在する。

クリーチャーに限らないが、無色である事のメリットとして、「色拘束が無く、事故が起こりづらい」事があげられる。
色を持ったカードは通常そのカードを唱えるために必要なマナ・コストに色マナシンボルが含まれる(「色拘束」と呼ぶ)。
例えば(2)(白)(白)であれば、白マナが最低2つ必要なため、平地などの白マナを生み出す手段をデッキに組み込む必要がある。
単色や2色程度であればそこまで困らないが、3色以上のデッキを使う場合、この色拘束が枷となり土地はあるのに出せない、という事につながりかねない。特別な能力を持つ土地には、能力と引き換えに無色のマナしか出さないこともあり、事故を誘発させる事がある。
ちなみに数字部分は「不特定マナ」と呼ばれ、マナの個数のみ必要で色は問わない。先の例だと(2)については2マナあれば白マナでも赤マナでも無色マナでも良いし、別色混じりで用意しても構わない。
そして、大抵の無色カードはこの不特定マナだけで唱える事が可能なため、事故をあまり気にしなくて済むのである。

但し例外として「無色マナのみをマナ・コストとして有する」カードがあり*1、これは不特定マナではないため有色マナと同様に指定されたマナ(無色)でないと支払えない。
多くの基本土地や大半の2色土地は有色マナしか生み出せないため、これらのカードを使うには専用の構築が求められる。なお、このマナ・シンボルの登場時に無色マナを生み出す基本土地《荒地/Wastes》が登場している。

そしてもう1つの大きなメリットは、「固有色が無い場合が多く、統率者戦でどんなデッキにも入れられる」事である。
統率者戦では、デッキ構築に際し「統率者と違う固有色を持っているとデッキに入れられない」というルールがある。無色カードは色を持たない(固有色は無色、ということはない)ため、固有色ルールに縛られづらいのである。
もっとも、固有色は起動型能力のマナ・シンボルにも左右されるため*2、必ずしも「無色カード=統率者デッキに入れ放題」ではないため注意したい。

一方デメリットとしては「基本的に有色クリーチャーに対して性能が低い」事が挙げられる。
正確にはは欠点というよりバランス調整の範疇になるが、例えば(2)(赤)3/3速攻クリーチャーと(3)3/3速攻クリーチャーがいた場合、色拘束が無い分だけ後者の方が上位互換扱いされやすく*3、また本来赤のがメインのカラーパイであるはずの速攻クリーチャーを他の色でも遜色無く扱えるということになってしまう。
それを避けるために無色クリーチャーはマナレシオが意図的に低くされていたり、カラーパイに関わるキーワード能力が外されていたりする。ただし下記の欠色持ちや「無色マナを要求するクリーチャー」は有色クリーチャーと同等のマナレシオや能力を持っていることが多い。

主な無色クリーチャーの種類

アーティファクト・クリーチャー

羽ばたき飛行機械/Ornithopter (0)
アーティファクト・クリーチャー — 飛行機械
飛行
0/2
ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine (6)
アーティファクト・クリーチャー — ファイレクシアン・ワーム
接死、絆魂
ワームとぐろエンジンが死亡したとき、接死を持つ無色の3/3のファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン1体と、絆魂を持つ無色の3/3のファイレクシアン・ワーム・アーティファクト・クリーチャー・トークン1体を生成する。
6/6

多くの無色クリーチャーはこの「アーティファクト・クリーチャー」に含まれる。
とはいえアーティファクト・クリーチャーであってもアラーラの断片、エスパー所属など、色が含まれるものもあるが。
内容はファンタジーらしく魔法で動く無機物とか、からくり人形、まんまロボットまで多種多様。

アーティファクトでありながらクリーチゃーでもある点は、アーティファクトサポートとクリーチャーサポートの両方を受けられる一方、両方の対策カードから狙われてしまうため一長一短。
親和デッキなど、アーティファクトである事に意味があるデッキで活躍させよう。



エルドラージ

引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn (15)
伝説のクリーチャー — エルドラージ
この呪文は打ち消されない。
あなたがこの呪文を唱えたとき、このターンに続いて追加の1ターンを行う。
飛行、プロテクション(1色以上の呪文)、滅殺6
引き裂かれし永劫、エムラクールがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれたとき、オーナーは自分の墓地を自分のライブラリーに加えて切り直す。
15/15
真実を覆すもの/Inverter of Truth (2)(黒)(黒)
クリーチャー — エルドラージ
欠色(このカードは無色である。)
飛行
真実を覆すものが戦場に出たとき、あなたのライブラリーからすべてのカードを裏向きに追放し、その後あなたの墓地からすべてのカードをあなたのライブラリーに加えて切り直す。
6/6

無の象徴たるエルドラージは、アーティファクト・クリーチャーに次いで無色クリーチャーの代表格と言えよう。
特に「戦乱のゼンディカー」で初登場した「欠色」という能力は、「色マナをコストに使うが、その色は持たず無色クリーチャーである」というさながら《幽霊火/Ghostfire》のような能力である。統率者戦の固有色は色マナを参照するためご注意。

余談だが、エルドラージは兄弟分のTCG『デュエル・マスターズ』でのゼニスの元ネタであり、大型の無色クリーチャーという点が共通している。そのためエムラクールがデュエマで出た際には種族*4にエルドラージとは別にゼニスがついている。

ウギン関連

ウギンの召喚体/Ugin's Conjurant (X)
クリーチャー — スピリット(Spirit) モンク(Monk)
ウギンの召喚体は+1/+1カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。
+1/+1カウンターが置かれているウギンの召喚体にダメージが与えられるなら、そのダメージを軽減し、ウギンの召喚体の上からそれに等しい数の+1/+1カウンターを取り除く。
0/0

無色の炎を操る無色のドラゴンプレインズウォーカーのウギン。彼に関連した一部クリーチャーも無色クリーチャーとなっている。

イコリアの一部クリーチャー

不思議な卵/Mysterious Egg (1)
クリーチャー — 卵
このクリーチャーが変容するたび、これの上に+1/+1カウンターを1個置く。
0/2

「イコリア:巨獣の棲処」では、いくつかの非アーティファクトの無色クリーチャーが収録される。これは変容*5サポートのために、無色クリーチャーが必要となったが、人類の敵である怪物ということもあってか人工物のアーティファクトではフレーバーが合わなかったため。

アルカイック

難解なアルカイック/Abstruse Archaic (4)
クリーチャー — アバター(Avatar)
警戒
(1),(T):あなたがコントロールしていて発生源が無色であり起動型や誘発型である能力1つを対象とする。それをコピーする。そのコピーの新しい対象を選んでもよい。(マナ能力は対象にできない。)
3/4

ストリクスヘイヴン:魔法学院」の舞台となったアルケヴィオス*6に生息するアバター。古の時代から生き続けているとされており、古代の魔法との繋がりが示唆されている。……のだが、アルケヴィオス次元は地理から成り立ちまで非常に謎が多く*7、なぜこいつらが無色であるかについても謎に包まれている。
一応、「ストリクスヘイヴン:魔法学院」ではどの勢力も学ぶ魔法として無色の講義呪文*8が存在するが……メカニズム的な関わりも特にないし、フレーバー的にもかたや難解な存在、かたや初等魔法と繋がりがあるようには一見して見受けられない。



余談

無色クリーチャーに限らず、アーティファクトでない無色のカードは能力欄が透けた特殊なレイアウトになっている。

無色のカードのみでのデッキを想像したくなるが、2023年に公式で無色カードのみの統率者デッキ「エルドラージ解放/Eldrazi Unbound」が発売された。エルドラージがテーマだが、新規の無色クリーチャーはイコリアやアルケヴィオス等、エルドラージと関係ない次元のものも含まれる。
なお固有色ルールのある統率者では、無色の基本土地である荒地の登場以前にも同様のデッキが組めるという事は分かっていたものの「無色しか出ない特殊地形を30枚以上集める」という点で非常に財力の要求されるデッキだった事で有名*9



追記・修正は色を持たない方にお願いします。

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最終更新:2024年05月21日 10:27

*1 目印としてマナ・シンボルが菱形(◇)で表示されている。

*2 例えば起動型能力で赤マナを使用する無色クリーチャー《鉄のゴーレム、ボッシュ/Bosh, Iron Golem》の固有色は赤。

*3 有色であることが有利に働くこともあるが色拘束が無いことの方が有利に働く場面の方が多い。

*4 MtGでいうクリーチャータイプのようなもの。

*5 変容コストを払うことで、人間以外のクリーチャーに自身の能力をすべて与えるか、自身にそのクリーチャーの能力を受け継ぐ能力。

*6 魔法学校ストリクスヘイヴンのある次元。

*7 ストリクスヘイヴン:魔法学院は主に魔法学校を舞台としており、次元のその他の部分については極めて断片的にしか語られていない

*8 カードの効果によってゲームの外部から持ってくることができるインスタントやソーサリー

*9 通常の構築なら別の基本土地で代用すればいいのだが、統率者戦の固有色ルールには引っかかる。