エディ・ゴルド(鉄拳)

登録日:2024/01/17 (水) 00:16:00
更新日:2025/01/13 Mon 07:28:35
所要時間:約 11 分で読めます




エディ・ゴルドは、格闘ゲーム「鉄拳」に登場するキャラクターである。


プロフィール

キャッチコピー:監獄の復讐鬼(7まで)、不屈の閃光(8)
国籍:ブラジル
格闘スタイル:カポエイラ
年齢:27歳
身長、体重:188cm、75kg
血液型:B型
仕事:なし
趣味:帝王学
好きなもの:権力
嫌いなもの:無力
声優:マーカス・ローレンス(鉄拳5、鉄拳7)、ロジャー・クレイグ・スミス(鉄拳6)、三宅健太(ストリートファイター X 鉄拳)、拓磨(実写映画日本語吹替)

概要

3D格闘ゲームとしては初の、カポエイラを使用するキャラクター。*1初登場した3では、その道の達人の動きをキャプチャーした奇抜かつ見栄えの良いモーションでプレイヤーに衝撃を与えた。*2
またカポエイラらしく連続技や構えからの連携が非常に多く、かなりテクニカルなキャラクターとしても知られる。

ブラジル有数の資産家の御曹司として生まれ、事業を継ぐため勤勉に帝王学を学んできたという生粋のエリート。
しかし19歳の時、父親を何者かに殺されてしまう。その際「親殺しの罪をかぶり刑務所に身を隠せ」と遺言を残され、自ら汚名を被って刑務所に服役する。

刑務所内で出会った老人*3からカポエイラという格闘技を知ったエディは、仇討ちのために修行に励むことになる。
そして模範囚として8年の時を経て出所。恨み心頭の彼は復讐を完遂するため奔走する。

…というのが彼のバックストーリー。
なにかとギャグ的描写の多い鉄拳世界の中ではトップクラスのシリアスな背景を持つ人物である。
ストーリーでも彼の関わるシナリオはかなり重く、真面目な内容であることが多い。

コスチュームはブラジル国旗と同じ配色のユニフォーム姿が有名だが、サングラスにスポーツウェアを着こなしたり、いかにも金持ちといった風貌の虎柄コートと金アクセの組み合わせなど、割とオシャレさんでもある。

タイガー・ジャクソン

キャッチコピー:伝説のダンサー
格闘スタイル:カポエイラ
国籍:不明
登場:鉄拳3、鉄拳TT、鉄拳TT2(家庭用版)

エディを語る上でもう一人欠かせないのがこの人物。エディ選択時にスタートボタンを押すと使える、いわゆる3Pカラーのキャラ。大会に突如現れた謎のダンサーという設定で、アフロヘアー・テッカテカのジャケット・サングラスと70年代ディスコのステレオタイプな風貌が特徴の色物。
また彼自身のストーリーは全くと言っていい程描かれない。しかし後述する通りエディ(とクリスティ)とは何らかの関わりがあると考えられる。

メタ的に言うと彼はエディの没デザインの一つで、オマケ要素として3に収録されたのがそもそもの始まりである。背景が語られないのはそのため。*4

各作品の動向


鉄拳3

三島財閥の強大な力を以って復讐を果たそうと、「The King of Iron Fist Tournament」に参加することを決意する。
エンディングでは父殺しの黒幕が三島一八だったことが示唆されている。またお前か。まるで刑事ドラマかのようなスタイリッシュな演出は必見。

鉄拳TAG

明確なストーリーのないお祭りゲームなので動向はハッキリとは語られていない。
エンディングではタイガーとジョゴ(組み手)を行う様子が映されており、ある程度親しい関係だと思われる。*5
タイガーのエンディングは遊園地ステージで多数の観衆を虜にする、というもの。

ちなみに3で一八が怨敵であると判明したため、両者をタッグで組ませると試合開始前の演出で一八の足を蹴る。そしてかなりボコボコにされないとレイジ状態にならないという驚異の相性の悪さを誇る。

鉄拳4

アーケード版では不参戦。
ストーリー的には、3でエディを育てた老人の頼みで、孫娘であるクリスティ・モンテイロにカポエイラを伝授することになる。2年の時を経てクリスティはかなりの実力をつけるが、突然「父の仇を討つ」と伝言を残してエディが失踪。彼女は大会に参加し、足取りを追うことにした…
というシナリオのため、エディとは入れ替わる形となった。

クリスティのエンディングでは、優勝インタビューを受けている最中、観衆に混じってエディが登場。記者や観客を押しのけてエディに抱きつき、師弟関係の強さを示した。

家庭用版ではクリスティの3Pカラーとしてエディが復活。モーションは共通で、以降のシリーズでもエディとクリスティは同じ動きをするが、体格の関係上エディのほうが若干リーチが長い。また5以降は声も新録されたため、「TAGまでの声で5以降のモーション」という何気に貴重な組み合わせとなっている。
なおあくまでクリスティと同キャラ扱いなので、専用のストーリーは用意されていない。

鉄拳5

初期版ではクリスティのコンパチキャラとして変わらず参戦していたが、アッパー版の5DRにて独立したキャラとして昇格。投げ技のモーションが差別化された。

大会終了直前に出所していた師匠の元へ赴くが、不治の病に侵されていた彼はかなり衰弱し、余命半年を宣告されていた。治療に三島財閥の技術が必要と知った二人は再び大会に参加することになる。
エンディングでは師匠の病気は無事に完治し、クリスティと共にジョゴを楽しむ姿が描かれた。エディはそれを微笑ましく見守っている。

鉄拳6

正史では第5回大会で優勝できなかったため、財閥当主の座を引き継いだ風間仁に師匠の治療を頼み込むことになる。その見返りとして鉄拳衆に所属することを了承しており、葛藤を抱えながらも各地で破壊工作を行っている。
シナリオキャンペーンでは三島財閥の中でも最重要拠点の警備を任されているらしく、その理由を問われると「師匠を救うためだ」「三島一八を殺すのは俺だ」と答えており、実力の高さと強い信念が窺える。
なおプレイヤーキャラがクリスティの場合、エディと対峙すると「あなたが三島財閥に与していたなんて…信じたくなかった!」*6というセリフを発する為かなり心が痛む。

エンディングでは治療が間に合わずに師匠は死亡。棺の前で弔うクリスティの元に現れ、「今更戻ってきても遅い」と平手打ちを食らい、自身の胸で泣き崩れられる。そして無力さに打ちひしがれたかのように財閥のバッジを投げ捨てるという、同作でもダントツで重く暗い内容となっている。*7

ストクロ

『4』AC版以来となるクリスティ単独参戦だが、彼女のストーリーにNPCとして登場。
未だに鉄拳衆を続けており、「箱」を回収するため南極に向かっていた。日本語版の声優はザンギエフと兼任。

鉄拳TAG2

今までセリフは英語で話していたが、この作品からはちゃんとポルトガル語を使うようになった。
タッグトーナメントのお約束どおりやはりストーリーは無いが、エンディングはちゃんと用意されている。

そこでは「エディ・ゴルド孤児院」を設立したことが語られており、子どもたちに日々カポエイラを教えている様子が描かれた。そしてある日「行かなきゃいけない用事がある」と言い残して孤児院を一人去る(子どもたちからは、エディの父を殺した悪者を倒しに行くのか、と察されている)。入れ違いに訪れたクリスティはエディが再び離れる事を知り引き止めに行くが、その際図らずもエディと同じアドバイスを子どもたちに伝えており、二人の絆の強さが再描写されている。

また同作では久しぶりにタイガーが参戦。エンディングこそ無いが、専用ボイスがようやく実装された。カポエイラキャラ同士でタッグを組んだ場合、コマンド投げのヴィラールを決めると二人揃って追撃を決めたり、特殊勝利ポーズで息ピッタリのジョゴやダンスを披露したりと、やはり親密な関係がアピールされている。
ちなみにエディのカスタムコスチュームにはタイガーとほぼ同じアフロ・サングラスがあり、ほぼ同じ見た目のキャラを同時に使うというシュールな絵面が拝める。

鉄拳7

今作のメインコスチュームはユニフォーム姿ではなく、虎柄のコート姿となっている。メインストーリーには関わらないが、家庭用で個別のキャラストーリーが用意された。

一八の足取りを追ってG社に潜入したエディは、7の新キャラであるラッキー・クロエと対峙することになる。
エディ側のエンディングではクロエを倒し、一八の居場所を聞き出そうとするが、メモと見せかけた落書きを渡され逃走される。去り際に「バーカバーカ」と罵倒され、まんまと出し抜かれたエディは怒りに震え、落書きを握りつぶした。

クロエ側のエンドでは格闘スタイルにダンサーの素質を見出され、負けた代償にバックダンサーとして雇われることになるのだが…

「おっさん何グダグダやってんだよ!」
「負けた分際でアタシの言う事が聞けねえのかよ!」
「このうどん頭野郎!」

と罵倒されながら蹴りを喰らいタジタジに。挙句の果てに「本番では女装させっから!」と予告され絶叫する…
というように、およそ今までのエディからは考えられないギャグ的扱いを受けることになった。

クロエ側に関しては「新たな一面が見れた」と好意的な意見が多いが、エディについてはシリアスなキャラクター像からの大幅な路線転換によって(欧米圏を中心に)かなりの賛否両論を巻き起こした。ただ「ポールの前例があるのに今更だろ」という(諦観交じりの)意見もある。*8

鉄拳8

初期の32名には含まれていなかったが、オープニングムービーのトレーラーにて、DLC第1弾としてしれっと参戦が予告。
実装された時にはタイトル画面やメニュー画面が一八からエディになるという優遇を受けている。
今までの長いドレッドを後ろで束ねた髪型から、刈り上げかつショートのドレッドヘアを横に撫でつけた若々しいヘアスタイルへと大きく変更。服装も以前のユニフォーム姿をベースに、全体的に黒の差し色が映えるデザインへリニューアルされた。またビリンバウ*9を持ち歩いており、その先にはクリスティの物と思われるリボンが巻かれている。

正史ではラッキークロエは無かったことにされなんとか三島一八の元へたどりつけたようだが、力の差を前に敗北。そこに吉光が現れ、間一髪のところで救出される。
吉光の手引きでとある人物*10の元へ案内されたエディは、一八から世界を守るために協力を仰がれる。そしてこんな言葉を受け取った。
「どんな苦難があろうと、人は再び立ち上がることができる」
その言葉を胸に、再びカポエイラの修行を始めるのだった。

行動目的が一貫して”復讐”だった過去作から一転し、8では人々の為に戦うことを決意している。
そのため、特殊イントロでは風間仁に「師匠のこと…すまなかった」と謝られても、エディは「お前が気に病むことはない」と返し、さらに勝利ポーズでは
「これからは共に過去を乗り越えてゆこう」
と、非常に熱いセリフを発する。
またG社襲撃により一八からマークされているようで、彼に雇われているニーナと対峙すると開幕いきなり発砲される。全弾避けながら蹴りを浴びせ、「容赦の無さは相変わらずだな」と軽口で返すエディも大概だが。

性能

とにかく技の種類、特に連続技と構えからの特殊技が豊富。
キックボタンとレバーを組み合わせれば何かしらの連携が出る為、適当なガチャプレイでもそれっぽい動きは出来てしまう。なんなら初心者同士ならそれだけで勝てるほど。
もちろんお願い行動だけでは伸びしろは皆無だが、ちゃんとエディの強みと弱み、技の特性を理解してやると他キャラでは真似できない立ち回りが可能になる。

長所

まずコンボ始動であるビリバ(3LK)、ルピエルナ(46LK/立ち途中LK)がリーチ・発生共に優秀。相手の暴れ・置きをスカして叩き込むことでダメージ効率を上げられる。

構えでは座り*11(2WK)からの二択が非常に強力で、中段のトロッカ・イ・アタッキ(座り中WK)が浮かせ技、下段のイエマンジャー(座り中LKLK)がダウン誘発と、その破壊力は強烈*12。潰そうと焦る相手には テーハ・ガファニョート(座り中LPLK)でカウンターからのコンボが刺さり、固まるならレヴァンタ~マレー・シェイア→座り(座り中RPRK2)でずっと攻められる。

逆立ち*13(6WP)からも実に多彩な技が出せ、ゴデーミ・トロヴォアーダ(逆立ち中LP)でとりあえず固めたり、固まったところに投げ抜け不可のバトゥカーダ(逆立ち中LP+LK)でプレッシャーを与えたり、焦って潰そうとする相手にパワークラッシュ*14のカベサーダ・ジレッタ(逆立ち中WP)で潰し返したり…*15
さらに通常の連携からも座り・逆立ちに移行でき、搦め手は非常に多い。

そしてエディの真骨頂である連続技。ガット(4LP)始動だけに絞っても、
  • 4LPRKWKで下段から崩し、座りへ移行
  • 4LPRKLKWKで潰そうとした相手にお仕置き
  • 4LPRKLKで止めて4段目を意識して固まったところに投げをぶち込む
  • 4LPRKで逆立ちに移行し、バトゥカーダで崩す
など、様々な選択肢が取れる。ガットに限らずエディの技は多くの連携ルートを持っており、全容を把握するだけでも困難。分からん殺しここに極まる。

またカポエイラらしくジンガという左右ステップを常に踏んでおり、棒立ちでも攻撃を避けることがある。そしてバックステップ・横移動の発生が非常に早く、相手の攻撃を縦向きにスカすという動きが得意。
8では「マンジンガ」という固有システムが追加。特定の技を当てるとラウンド中2回まで発動でき、本来崩しに乏しい逆立ちから大きく有利を取れる下段技を出せるようになる*16

短所

まず、これは強みと裏返しだが技の数が多すぎる。エディの技はただでさえカタカナが多く覚えにくいのに、派生、派生の派生、別の技への派生と、絶対数もトップクラス。それらを出来る限り頭に叩き込まないと、エディの強みである搦め手が使えなくなってしまう。もちろん手数が多い分不用意な操作をすれば、意図していない技や構えが暴発して隙を晒す。

次にこれは分からん殺し系のキャラにありがちだが、見破られると非常に弱い。相手からしたら「座り」からの二択はまず警戒されるので、レベルが上がると潰され座らせてもらえない。また、手数が多いと使いたい技に意識が向きすぎるあまり、「この技を使いそう」と読まれる危険性が増す。そうなればせっかくの戦法の多彩さも形無しである。

そして7までは横移動の性能が劣悪。他のキャラは横にステップを踏んだのち、その方向にレバーを倒し続けることで横歩きになるのだが、エディはジンガをしているせいで横歩きが出来ない。それどころか横移動の移動量が少なすぎて避けられない。回避の選択肢が一つ潰れている分、大きく横に移動するイスカラディモオゥン(4WP)やカウンターでコンボ始動になるベンリン(4LKLK)など、暴れ技に頼る機会が多かった。

他にも、下段のリスクが総じて高い*17、立ちからの確定反撃が弱い*18等、使いづらさを助長する弱点が多い。

…だったのだが、8で念願の横歩きを手に入れ、回避性能が向上。更に素早く逆立ちや座りへ移行できる技が追加され、格段に搦め手が増加している。
パワークラッシュなどで相手にプレッシャーを与える技も相まって、これまでのエディからは考えられないほど攻めが強いキャラへと変貌した。しかし見破られると弱いという本質は変わっていない為、攻めの強さを活かすにも手数をバラつかせるのは重要である。

評価

総じて初心者上級者向けという言葉がよく似合う性能。エディの強みを引き出すには、様々な手数をチラつかせながら距離を詰め、固めて攻める、手を出させて反撃をするという適当とは真逆の慎重さが求められる。

上級者のエディほど座らないが、座りが分からないわけではない。誰よりも座りを理解しているから座らない。だから相手にすると怖いのだ。

そんな「能ある鷹は爪を隠す」な立ち回りがカッコいいと思ったそこの君、おめでとう。今日から君もエディ使いだ。

追記・修正は、カポエイラを修行してからお願いします。

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最終更新:2025年01月13日 07:28

*1 2Dではすでに「餓狼伝説」のリチャード・マイヤなどがいた。

*2 鉄拳3は実在の格闘家の協力でモーションキャプチャーを実現した初の作品であり、2までと比べて各キャラの個性が大きく差別化されている。他にも同作ではファランやキングなどの動きが高く評価されている。

*3 後述するクリスティの祖父で、後の作品では「伝説のカポエイラマスター」と呼ばれている。また、鉄拳3家庭用版のパッケージでは過去に三島平八、仁八と戦ったことを匂わせている。

*4 もっとも、本を正せばエディもクリスティの没デザインである。諸事情で3には収録できず、代わりに実装されたのがエディだった。

*5 ただしTAGの世界は本編とはいわゆるパラレルなので、実際どうなのかは不明。

*6 6で仁は(ちゃんと目的があったとはいえ)各地で戦争を引き起こしており、多数の人間から恨みを買っている

*7 7でハッキリと「程なくして師匠は亡くなってしまう。」と言及されたため、これが正史だと思われる。

*8 また、背景は重く暗いのにストーリーがギャグという立場になったことから、「エディはもはや鉄拳版の火引弾だ」という指摘もある。

*9 ブラジルの民俗楽器。カポエイラの演武でよく使われる

*10 風間仁説もあるが10年ぶりの知り合いとされ、正体はリディア。

*11 8ではネガチーヴァという名称に変更。カポエイラ特有の低い構え方

*12 7までは下段もトゥファオン(座り中RK→LK)という浮かせ技で凄まじいプレッシャーとなっていたが、8で削除された

*13 8ではバナネイラという名称に変更。バナナの木のような体勢であることに由来

*14 いわゆるスーパーアーマーのこと

*15 ちなみに7までは逆立ちからも直接下段のテーハシュタール(逆立ち中4LK)で崩しながら座りに移行できたが、8では素の状態で出せる下段が削除された

*16 2回発動時はダウンまで奪える

*17 使いやすくリスクも低めなスィズモ(2LK)やシャパ・バイシャ(3RK)ですら、ガードで一部キャラには浮かされる

*18 たいていワンハイしか決まらない。ただ、しゃがみからは13Fで浮かせが決まるなどかなり強い部類