もしもチート小説の主人公がうっかり人を殺したら

登録日:2024/01/17 Wed 13:44:56
更新日:2025/04/04 Fri 12:39:26
所要時間:約 4 分で読めます





へんじがない。でもしかばねじゃないとおもう。たぶんころしてないとおもう



「もしもチート小説の主人公がうっかり人を殺したら」とは、カクヨム及び小説家になろうに投稿されているネット小説である。

作者は「勇者と異常者」「ちんちん避けゲーム」「ドラゴンクワスゾ」のゲーム制作者であり、
東方二次創作動画やTRPGリプレイ動画MikuMikuDanceによる劇場動画など多数のジャンルを投稿していた動画投稿者でもある「ガッkoya」氏。(旧名:koya)最近は漫画原作者を自称している。

投稿当初は、「もしもなろう小説の主人公がうっかり人を殺したら」というタイトルであり、投稿もカクヨムオンリーとなっていたが、
2023年12月から月刊コミックREXで漫画化されたことに伴いタイトルが変更され「小説家になろう」にも投稿されるようになった。こちらの作画は「ガブリエルしょう」氏。

ちなみに原作者の手によってゲーム化されており、原作者自らが実況プレイ動画を上げている。嘘はついていない。
なお、配布の予定はない。

…タイトルからして嫌な予感がしないが、この作品は他人の不幸を嘲笑う愉悦系な作品であるとともに、特定の人間にはブッ刺さる内容となっている。
よくある追放系のチートテンプレとは追放される側が落ちぶれる程度の違いしかなく、世界観や設定などはテンプレ系と大差ない。
テンプレなろう系や追放系、ざまあ系の話が苦手な人閲覧を避けることをお勧めする。


あらすじ

16歳の少年ライト最強の盾を出すユニークスキルを武器に冒険者パーティで活躍していた!
しかしそれはそれとして実はそこまで活躍していなかったのである日リーダーのジョシュアにパーティから追放されてしまう!
だが転職活動を始めたライトはそこで自分の能力を好きなだけ上げられるという雑に最強な能力を持っていたことに気づき!?

「凄い! この能力があれば人生バラ色だ! きっとみんな僕の事を尊敬するぞ!」

よかったねと笑顔で祝福してあげたいいチート物語『もしもチート小説の主人公がうっかり人を殺したら』ここに開幕!
(作者本人が投稿した動画より引用)

登場人物

ライト


「そんなの決まってます、職員になってよかったです! 別に冒険者じゃなくてもこういう生き方があるんだなって気付かされました! 今まで地味な裏方だと思ってたけど意外に良いですね!」
「そうですか、それは良かった! あまり調子に乗らない事ですね」

本作の主人公。本作は彼の一人称視点によって描かれる。
16歳の冒険者の少年であり、ドラゴンのブレスすら防ぐ最強の盾を顕現するユニークスキル『イージスの盾』を持つ。
その一芸でなんとか冒険者パーティの一員として今までやっていけたが、「盾なのに他の人間から見えない」「動かせない」「横にまわりこまれて取りこぼしが出ている」「そもそもライト自身がクソ弱くて暴れ馬程度ですら抑えることが出来ないと問題点が山盛りである。
だがしかし、冒険者ギルドの事務について文字の読み書きを習った*1ことがきっかけとなり、
最強の盾が実はステータスウィンドウであること、そして筆記具さえあれば好き放題数値を弄れることが判明。
漫画では『イージスの盾』にモザイクがかかっていたが、文字を習ったことでモザイクが晴れたという演出になっている。自分の生命線となるスキルなのに、今まで一切興味を抱いていなかったのだろうか…?

彼のバラ色人生はここから始まるのだった。

人類の希望たる勇者ステラとは同じ村出身であり幼馴染の関係である。

+ だが、この作品のタイトルは…
僕ならできる(・・・・・・)
本当にそうか(・・・・・・)

「筋力9999の状態で幼馴染の腕を振り払ったら、振り返ったときに幼馴染の首の骨が折れていた」という事態が発生。

状況からライトが犯人と思われるが、ライトは魔族による暗殺だ陰謀だと持論を展開しこれを否定
そのチート能力を活かして殺害の証拠隠滅に勤しみつつ、真犯人探しに明け暮れることになる。

物語が進むにつれて
  • 自分に関係ないからと文字の読み書きを覚えないなど、自分の人生に対する当事者意識の無さ
  • 貯金や将来設計、お世話になった孤児院への対応など、明らかになっていく幼馴染ジョシュアとの人間としての出来の差
  • 自分に関係のないことには一才興味を抱かない、極端な視野の狭さ
  • 「何かをする!」と決めた後に「やっぱりやめた」とあっさり切り替えるなど、何がしたいのかさっぱり分からない心理描写

など、16歳という若さがあるにせよ、同じ孤児院出身の同世代の人間と比較してもあまりにも幼稚な人間性が露呈していく。
そんな人間にチートを与えたら、そして幼馴染を殺したという罪の十字架を背負わせたらどうなるか?

読者すらライトが次に何をするか分からない、そのくせチートキャラなので誰も彼には敵わない、「信頼できない語り手」によるサイコホラー、それが、「もしもなろう小説の主人公がうっかり人を殺したら」という作品である。

ステラ


「……あ、ちなみにその岩砕いたのは私だよ! ごめんねー強くて!」

ライトの幼馴染にして、住んでいた町の町長の娘。
ユニークスキル『モンスター破壊』を持ち、
  • 視界に入ったモンスターは問答無用で消滅
  • ダンジョンすら念じるだけで中のモンスターは絶命、
  • 岩をも砕く圧倒的な圧倒的な身体能力、整備されていない道を何kmも歩き回って魔物を破壊して回る無尽蔵のバイタリティ
という、「勇者」と呼ばれるに相応しい強さを持つ少女。

一方で、泥だらけになっても気にしない、孤児であるライトやジョシュアにも普通に接する、上記の台詞を吐いて無邪気に煽るなど、他の人間から大きく外れた素質を幼い頃から持っていたが故に無邪気な危うさを秘めている。

冒険者をクビになり、故郷に帰ってきたライトを歓迎するのだが…

+ 「あはははは! 一緒だねライト! 頑張ろうね! あははは!」
ライトが彼女の腕を振り払うと、気が付けば彼女の首はぽっきり折れていた
ライトはその圧倒的な回復魔法で治療を試みるも効果が無かったため、その場から逃げ出してしまった。

ただし、以下の点から本当にライトが人外の力で振り払ったことが原因で死亡したかは疑問が残る。
  • 振り払う際に首以外に触れていたものの、首以外に外傷が見当たらない。
  • 振り払った方向と首の折れ方が一致しない。
  • 首が折れるほどの力で振り払ったにしては座っていた場所からそのまま倒れ込んだような位置に倒れていた。
  • チートを使用した際の初めての戦闘でライトは力を制御し、完全に使いこなしていた。
  • 振り払った際のオノマトペが軽い。

人類の希望たる勇者の死は瞬く間に広まり、
ある者は、彼女の死による悲しみから立ち直れず
ある者は、怒りに燃えて犯人捜しに躍起になり
ある者は、この悲劇の中で小銭を稼ごうと詐欺を企んだ…

フィリア


「その代わり、明日もお仕事頑張ってくれますか?」

冒険者ギルドの受付嬢。
ライトの素質に目をつけ、冒険者ギルドの職員に勧誘した。
ライトも彼女から文字を教わり職務を教わることで、冒険者ギルドが天職だと思い仕事に意気込んでいくが…

+ チートでイキる人間に、モブの言葉は届かない
「うざ…」
チートを手に入れてイキるライトは迷うことなく冒険者ギルドを退職。
教育を施してくれた彼女の引き留めを断り、彼女へのまともな感謝もなく、ひとり荒野に繰り出すのであった。


ジョシュア


「んじゃ、パーティ抜けてくれやライト」

ライトと同じ孤児院出身の仲間にして、元冒険者メンバー。
ジョシュアはパーティのリーダー。パーティの先陣を切る前衛の戦士。
ちなみにライトのユニークスキルに目を付け、冒険者になるように勧めたのも彼である

本来の小説であれば、「追放してざまぁ」されるタイプの人間ではあるのだが、
ライトを追放してもそこまで困らなかったことや幼馴染という関係もあり、むしろパーティから抜けた後になって一層ライトに気を遣い、ステラの死に落ち込む彼を挑発して発破をかけたでも無能呼びはする

もっとも、リーダーの立場であるにも関わらず役に立たないライトに対して注意するわけでも訓練させるわけでもなく、早い段階でクビにすることもせず、表向きは愛想を良くしておいて陰口を言い合っており、最終的にブチギレるまで溜め込むなどかなり中途半端な人間ではある。
そういった点よくある追放系の無能なパーティーリーダーと変わりない。

ステラとも交友があり、彼女の死に深く悲しむとともに、復讐に燃えて犯人捜しに勤しむことになる。

+ 「確かにライトだけ全然寄付しないなとは思ってたけど、まさか話も行ってなかったとは……」
勇者として村を出ていくステラを応援するため、ステラが居なくなった後でも村が存続できるようにと改革を推し進めており、
常に自分の収入の何割かを村に送っていた。
ライトは一切そんなことを考えていないばかりか、「家を買いたい」などと日々漏らしていたため、声もかけられなかった。

「いやいや違うでしょ! あの頃のライト、口癖のように『いつか家を買うんだ!』って毎日言ってたじゃん! もうほんとダンジョンボス倒す度に『家にまた一歩近づいた!』みたいに言ってさ! だから言いたくても言えなかったんだよお!」

追放したのは、「孤児院に寄付していないいらないメンバー」に報酬を分けているせいで、村の改革計画が滞っているからということが理由の一つであった。

アナスタシア


「あれー、結局クビなんだ! うそー!」

同じくライトと同じ孤児院出身の仲間にして、元冒険者メンバー。
後衛の魔法使いであり、多彩な攻撃魔法を使いこなす。
ライトの見えない盾のせいで魔法が誤爆、危うく全滅しかけたことがある
同じくステラの死を悲しんでおり、独自に調査を進めているのだが…


マリア


「私達もむしろ少しくらい困る事があってほしかったんですけどね~。それが蓋を開けてみれば全然で(笑)」

ライトの元冒険者メンバー。後衛。
村から路頭に迷いそうになったライトたちを助け、パーティまで組んでくれた優しい女性。
ライトが追放された時も優しく気遣ってくれたがライトが隠れている場では毒を吐いた
ライトからしたら、村を出て右も左も分からないが自分で勉強する気もない自分を導いてくれた年上の女性ということもあり、チートを手に入れた後になっても雲の上の女性である。
幼馴染の死に悲しんでいると思っているライトを慰めようと、100%の善意より行動を起こすが…?


ガンドム


「まあジョシュアにしては我慢したほうかのう! がっはっは!」

ライトの元冒険者メンバー。前衛。
仮にも命を預けあった仲なのに、「おっさん」という言葉だけで片付けられ、まともな描写がされていない

余談

漫画版は作画ミスが非常に多く、特にライトの腰から下げている剣はコマごとに変形するなど安定していないことが多い。
剣の反りがまちまちなのは序の口で、腰に下げた剣が小さくなったり大きくなったり消えたり、ベンチに座る際はおもちゃの剣かと思うほど縮んだりもしている。


追記、修正は、自分が追記修正したという証拠を隠滅しながらお願いします。

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最終更新:2025年04月04日 12:39

*1 ライト自身が孤児であったのもあるが、文字の読み書き自体は1ヶ月あれば習えるとされており、事実ライトも1週間で読み書きを覚えることができた。それでもライトが文字の読み書きを覚えなかったのは、パーティに所属している間に優秀な大人や、勉強熱心な幼馴染がいたため、ライトは読み書きに関して一切任を負う必要がなかった