2010年日本シリーズ

登録日:2024/01/23 Tue 11:59:39
更新日:2024/11/04 Mon 00:23:05
所要時間:約 6 分で読めます





ROAD TO VICTORY


概要

PREVIOUS 2009年日本シリーズ
NEXT 2011年日本シリーズ


この項目では、2010年のプロ野球日本シリーズの激闘を紹介する。

4年ぶりのセ・リーグ優勝を成し遂げた落合博満監督の中日ドラゴンズと、初めてリーグ3位からCSを勝ち抜いた西村徳文監督の千葉ロッテマリーンズのロッテOB監督同士の顔合わせとなり、ロッテが7戦の激闘を勝ち抜き「史上最大の下克上」を完成させた。

なお、この年は台風14号の接近が懸念されており、仮に10月30日~31日のナゴヤドームでの第1~2戦が中止された場合、本来なら第2~3戦の間の移動日はそのままとし、第5~6戦の移動日をなくして最大5連戦の日程になるところを、テレビの全国中継が4試合しかないことに配慮する形で、逆に第2~3戦の移動日を削除し第5~6戦の移動日をそのままとする日程が設定された。実際には台風による影響はなく、通常通りの日程で行われた。

日本シリーズとしては、第61回目のプロ野球日本選手権シリーズとなる。


試合内容

第1戦(10月30日・ナゴヤドーム)

中日 2‐5 ロッテ

成瀬善久
吉見一起
セーブ 小林宏

2回表に大松尚逸のタイムリーでロッテが先制するが、その裏に中日が和田一浩・谷繁元信のソロHRで逆転。
しかしロッテも3回にルーキー清田育宏のソロHRで試合を振り出しに戻すと5年前の日本シリーズでも大活躍した今江敏晃のタイムリーで勝ち越し、6・7回にも1点ずつ加えて逃げ切り勝利した。

なお、先制時に大松は肉離れを起こし交代。
代わって出てきた「ある男」がシリーズを象徴するような存在となることなど、誰も知る由もなかった。


第2戦(10月31日・ナゴヤドーム)

中日 12‐1 ロッテ

チェン・ウェイン
ビル・マーフィー

中日は初回に一死から和田のタイムリーで先制すると、その後は谷繁の押し出し四球と「子持ちルーキー」大島洋平のタイムリーでいきなり4点をリード。
2回・3回にも3点ずつリードを取って早々に10点先制した上、6回にもトニ・ブランコの2ランで圧勝した。
一方のロッテは4番手の吉見祐治以外の投手陣が揃って失点し、打線も4回表に今江がタイムリーで1点を返しただけという結果に終わった。


第3戦(11月2日・千葉マリンスタジアム)

ロッテ 7‐1 中日

渡辺俊介
山井大介

中日は3回に荒木雅博の犠牲フライで1点を先制するが、ロッテはその裏にサブローのタイムリーで早々に同点。
4回裏には清田が今度は満塁から走者一掃のタイムリーを放つと井口資仁のタイムリーで更に1点を加え、7回にも2点を加えて勝利した。

なおロッテ先発の渡辺は97球1失点で無四球完投し、史上初となる日本シリーズ先発機会2試合連続の無四球完投勝利を達成した。


第4戦(11月3日・千葉マリンスタジアム)

ロッテ 3‐4 中日

高橋聡文
伊藤義弘
セーブ 岩瀬仁紀

ロッテは3回に西岡のタイムリーと井口の2ランで早々に3点を先制し、中日の先発・山本昌はここで早々に降板。
しかし4回表に中日が和田のタイムリーと野本圭の犠牲フライで2点を返すとロッテの先発・唐川侑己も降板となり、両軍とも早い段階から継投に入った。

この後5回に中日が無死満塁から併殺打の間に1点を加えるも、その後は両軍再三のチャンスを活かせず無得点で試合が推移。9回裏には二死から西岡剛がサヨナラかという大ファウルを放つもその後フルカウントから空振り三振を喫し、西岡は悔しさのあまりバットを叩き割った。

延長に突入した試合が決着したのは11回。
その直前の10回裏に一死満塁のピンチを併殺打で脱していた中日が二死二塁から大島のタイムリーで遂に勝ち越しに成功すると、その裏を高橋・岩瀬で締めくくって逆転勝ちを収めた。


第5戦(11月4日・千葉マリンスタジアム)

ロッテ 10‐4 中日

ヘイデン・ペン
中田賢一

中日は1回に和田の犠牲フライで先制するが、その裏にエラーを皮切りに3本のタイムリーで4失点するなど、先発の中田が5回9失点と炎上。
ロッテは5回終了時点で先発全員安打の猛攻で9-1と大勢を決すると、6回のブランコのタイムリー、8回のブランコの2ランで3点を失っただけで快勝し、日本一に王手をかけた。

だが、このシリーズはここから誰も予想しなかった展開を見せる。


第6戦(11月6日・ナゴヤドーム)

中日 2‐2 ロッテ
※延長15回引き分け

ロッテがサブローのタイムリーで初回に先制したが、中日も森野将彦のタイムリーで追いつくと以降は投手戦の様相。
中日が6回裏二死にようやくブランコのタイムリーで勝ち越すが、8回から登板したこの年の最優秀中継ぎ投手・浅尾拓也がサブローにタイムリーを打たれるとそれから勝ち越しの一打が出ず試合は延長戦へ突入した。

延長戦でも両軍の投手が好調で、中日は10~14回に得点圏に走者を置きながら全てフイにする不運、ロッテも勝ち越し打が出ないまま結局規定の15回を終了した。
両軍合わせてシリーズ新記録となる44人の選手が出場したが、結局どちらも決め手を欠く結果に終わり、試合時間5時間43分・延長イニング15回はいずれも日本シリーズ最長記録となった。

第7戦(11月7日・ナゴヤドーム)

中日 7‐8 ロッテ

伊藤義弘
浅尾拓也

ロッテが初回に2点を先制するも、中日はその裏に早速タイムリーと犠牲フライで3点を取り逆転に成功。更に2回に大島のタイムリーで1点、3回には荒木の犠牲フライと大島のタイムリーで2点を加えて6-2とし、主導権を握ることに成功した。

ところが4回表、第1戦で負傷した大松に代わって第2戦以降のスタメンに入っていた育成上がりの苦労人・岡田幸文がタイムリーで1点を返すと、ロッテは5回に更に中日の2番手・河原純一から3得点を奪い同点に追いつき、遂に7回、金泰均のタイムリーで勝ち越した。

だが中日とて、地元での胴上げをただで達成させるわけにはいかない。
前日に同点打を打たれ勝ちを消していた浅尾は、試合前に医務室に運ばれるほどの高熱で登板予定が無かったにもかかわらず、試合中に自ら投球練習を開始。そのまま投手運用を一任されていた森繁和ヘッドコーチの反対を押し切って登板を志願し、9回表にマウンドに現れると無失点でこの場面を切り抜けた。
そしてその裏、後がない中日は地鳴りのようなチャンステーマの中で先頭打者の和田が三塁打を放ち出塁。続くブランコの犠牲フライでとうとう同点に追いつき、三度目の延長戦に突入した。

延長戦に入っても試合は膠着していたが、中日は浅尾が高熱を押して自らの意思で続投。気づけば延長12回、浅尾はレギュラーシーズンでもやらなかった4イニング跨ぎに突入していた。
試合が動いたのはこの12回表、二死二塁の場面だった。
同僚である今江や里崎智也の予測すら上回ったという岡田の値千金のタイムリースリーベースで、ロッテが勝ち越しを決めたのである。

浅尾がマウンドに散り、交代した岩瀬が最後のアウトを取って12回裏に突入するも、中日は三者凡退に倒れ、ロッテの日本一が決定。
レギュラーシーズン3位から初の日本一という、史上最大の下克上が完成した。

MVPは今江、敢闘選手賞は和田、優秀選手賞は中日から大島、ロッテからは清田と4回のリリーフで7回無失点の内竜也が選ばれた。








追記・修正は、下克上を果たした方または高熱を押して回跨ぎをした方にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 2010年
  • 2010年日本シリーズ
  • 千葉ロッテマリーンズ
  • 中日ドラゴンズ
  • 西村徳文
  • 落合博満
  • プロ野球
  • 日本シリーズ
  • 浅尾拓也
  • 岡田幸文
  • 史上最大の下克上
最終更新:2024年11月04日 00:23