ラオフェン(葬送のフリーレン)

登録日:2024/03/18 Mon 22:42:31
更新日:2025/05/08 Thu 07:02:32
所要時間:約 8 分で読めます






出典:葬送のフリーレン、20話『必要な殺し』、2023年9月29日~2024年3月22日まで放送。
「葬送のフリーレン」製作委員会、マッドハウス、
© 山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会。

葬送のフリーレン」に登場するキャラクター。


概要

一級魔法使い試験の受験者の1人で、南側諸国の山岳地方という僻地の出身。

身に着けている装束は他の魔法使い達とは趣を異にする、チャイナドレスのようなアジアンでエキゾチックなデザイン。
シニヨンのようなお団子頭の髪型も特徴的。

一次試験では、宮廷魔法使いのデンケン、二級魔法使いで大地を操る魔法を得意とするリヒターとチームを組み、
水場を凍らせて回っているフリーレンのチームを追跡し、彼女らが隕鉄鳥を捕まえたところを横取りする作戦を採り、
ラオフェンは肝心の隕鉄鳥を奪い取る役割を担当した。

しかし、フリーレンらの足止めを担当したデンケン、リヒターのうち、
フリーレンの足止めをする役割だったデンケンが彼女に敗北を喫する。
隕鉄鳥を奪った実行犯がまだ近くにいることを察したフリーレンは、デンケンを痛めつけて実行犯を誘い出そうとし、
デンケンはフリーレンに殺意がなく、自分を殺すまではしないとして、ラオフェンに出てこないように言うが、
痛めつけられるデンケンを見過ごせなかったラオフェンは、その指示を無視してデンケンを助けに入ってしまい、
目論見通り実行犯を誘い出したフリーレンに敢え無く捕まり、隕鉄鳥を奪還されてしまった。

一方のリヒターも、途中までラヴィーネとカンネ二人を圧倒していたが、
フリーレンが結界を破ったことで、雨を利用したカンネの水魔法の前に敗北。
三人揃って魔力が切れてしまったことで、一時は試験突破を諦めかけたが、
隕鉄鳥を捕まえるも魔力切れに陥っていたチームを見つけ、
デンケンとリヒターが腕づくで彼らから隕鉄鳥を奪い取り、滑り込みで試験突破を果たす。魔法(物理)

試験突破後、二次試験までの間を描いた話では、自らの危険を顧みずにデンケンを助け出そうとした優しさが彼に気に入られたのか、
デンケンと一緒に行動するばかりか、大量のドーナツを買い与えられている姿を見つけたリヒターに、
「完全に孫(とおじいちゃん)じゃねーか」とツッコまれるほど仲良くなっていた。

二次試験の「零落の王墓」攻略においては、最深部に辿り着いた者を全て合格とするという試験条件もあり、
デンケンからの「全員で協力してダンジョン攻略をするべき」という提案にリヒターと共に真っ先に応じるも、
結局殆どの参加者が独自に行動する事を選んだ為、一次試験時の仲間にメトーデ・レンゲの二名を加えたチームで迷宮攻略に挑むことになった。


人物

劇中の行動を見ると、いかにも老獪な悪役として登場したデンケンがただの嫌味な爺さんではなく、
平時は若者の世話を焼きたがる面倒見の良い好々爺である事を描写するための脇役の1人のような立場にいるが、
キャラクターデザインの秀逸さと作中でのデンケンとの絡みの可愛らしさから、地味に人気の高いキャラクターである。

原作ではそこまで出番が多くはないが、
一級魔法使いを目指す(少なくとも受験資格のある)魔法使いさえ打倒する魔物が出没する倫理的な問題に顔をしかめ、
手遅れであってもせめて人らしく木から降ろしてあげようとする優しさ、たとえ命まで取らなくても痛めつけられることを忌避する……等々。
アニメのキャラクター紹介では「魔法使いとしては未熟だが素直で優しい性格」と解説されている通り、
人格に一癖あるキャラクターが多い中、良くも悪くも真っ直ぐな性格なのが描写されている。

魔法

  • 高速で移動する魔法(ジルヴェーア) 
名前の通り、高速で移動する魔法。
そのスピードはほぼ瞬間移動に等しく、目の前に突然現れたり、背後や頭上を取っての奇襲や一撃離脱が得意戦法。
一次試験ではコレを使って、補足されたことに気づき警戒していたフリーレンから隕鉄鳥を奪う事に成功している。
フリーレンをして「おもしろい魔法」と評されたが、欠点はラオフェン自身の腕がまだ未熟故に移動の際に魔力の痕跡を残してしまう事。
魔力探知に長けた相手ならその軌跡を辿られるといずれ追いつかれてしまうか捕まってしまう。

実際、デンケンを人質に取られていた事とそれを助け出さなければならない事、
フリーレンが目の前にいたという不利な状況が重なっていたのもあるが、
二度目にはデンケンの見立て通り、あっさりと捕まってしまった。
そもそも速度に長けたゾルトラークの撃ち合いが現代魔法使いの必須技能であり、
フリーレンやデンケン等の一流魔法使いは、武芸に長けた将軍を打ち倒すマハトの斬撃にもある程度対応できるフィジカル(反応速度)も持つ。
単純に速いだけでは通用しない、恐ろしい世界である。

ところで、つい最近まで魔法使いの機動力はそう高くなかった。
現代魔法使いの必須技能その二、飛行魔法が魔族の特権だった時代は長かったのである。
……とすると、彼女の部族がこの『高速で移動する魔法』を扱うのにも合点がいく。
かつての時代、魔法使いが例外的に高い機動力を持っていたことが相当のアドバンテージだったことは想像に難くない。
では現代ではというと、飛行魔法も全速で飛ばせばかなりの速度が出るが、加速や最高速度ではこちらに軍配を上がるだろう。
人類の魔法の歴史と照らし合わせたくなる、趣深い魔法といえる……かもしれない。

この他、アニメ版では杖を光の鞭のように伸縮させて打撃を繰り出す魔法を使っているが
基本は杖での殴打や肉弾戦を用いた近接戦闘が主な攻撃手段と思われ、魔法使いという割にはかなりの肉体派である。

アニメでは

原作では作劇の関係で登場人物の心理描写や戦闘シーンは割と淡々としたテンションで描かれる事が多く
ラオフェンも登場シーンの少なさもあるが、そこまで個々のキャラクターとして掘り下げられる事はなかった。

2023年から放映が開始されたアニメ版では第2シーズンから一級魔法使い試験編が開始し、ラオフェンも事前のキャラクター紹介PVから登場。

細かな動作や表情の変化、声がついた事でラオフェンのキャラクター性がより緻密に描かれているのはもちろんだが
何よりもファンの度肝を抜いたのはそのド派手な戦闘シーンの数々であろう。

二次試験では、襲いかかってきたガーゴイルの像をデンケン達との連携で「高速で移動する魔法」で頭上を取って杖による強烈な刺突を見舞って破壊し、
シュピーゲルとの戦闘では、他のキャラクターがシンプルな飛行魔法で攻撃を避ける中、
ラオフェンだけはやたらアクロバティックな動きで攻撃を掻い潜ったり、杖の先端を光の鞭のように伸縮させて壁や床を薙ぎ払う、
自身の複製体を相手にした際は杖を戟のように振るい、複製体から繰り出される同様の攻撃を足や杖でいなす等の近接戦闘を繰り広げる*1など、
中国武術を思わせるアクションをダイナミックなアングルと描写で次々に繰り出し、SNS等で大きな反響を呼んだ。

元々「高速で移動する魔法」というアクション映えしそうな能力を持っていた事もあり、
アニメという媒体の利点を存分に生かした激しいアクションを行うための要員として白羽の矢が立ったと思われ、
この事からアニメ化の恩恵を特に強く受けたキャラクターと言って間違いないだろう。


関連人物


  • デンケン
海千山千の老獪さを持つと言われる宮廷魔法使い。
しかし、ひとたび闘争や謀略の場を離れれば、自身に子がいない事もあって何かと若者に世話を焼きたがる面倒見の良いお爺ちゃん。
一次試験でチームを組んだ縁でラオフェンもそんなデンケンに懐いているようで、
何かにつけてドーナツを買い与えられたり、食事の際には「野菜も食べんといかんぞ」と諭されたりと、
その様は端から見れば仲良しな祖父と孫そのものである。

  • リヒター
同じく一次試験でチームを組んだ魔法使い。
表面上は冷徹でぶっきらぼうな皮肉屋を装っているが、
試験会場となっているオイサーストで魔道具店を営み、地元の人間にも慕われる誠実さと優しさを持つ男。
二級魔法使いだけあって知識も豊富で、試験ではデンケンの副官的な役割を担っていた。
一次試験後に食事に誘いに来たデンケンを「俺達はもうチームじゃない」と突き放そうとしたが、
結局無碍に出来なかった末に、なし崩し的に以後も何かと行動を共にしている。
ファンからはデンケンが祖父、ラオフェンが孫なのでリヒターはその父や兄と見做されることが多い。

一次試験で隕鉄鳥を奪うために付け狙った。
一度目はうまく出し抜いて隕鉄鳥を奪う事に成功したが、弱点を看破された二度目は通じず、
逆に捕まって隕鉄鳥を奪い返され、危うく試験に脱落するところだった。
とはいえ、さすがにこれは相手が悪すぎたという他はない。
二次試験ではシュピーゲルを倒すために共闘した。


余談

音の響きでなんとなく中国語を連想しそうな「ラオフェン」という名前だが、
これも他のキャラクターの命名規則通りに「走る」という意味のドイツ語である。
ラオフェンのキャラクター性にぴったりと合致するなんともおあつらえ向きな単語である。



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最終更新:2025年05月08日 07:02
添付ファイル

*1 アニメ版のオリジナルシーン。自身の複製体をチームで撃破した後に「あまりいい気分じゃないね」と口にした。なお、このシーンは公式で孫vs複製孫などと呼ばれたりしている辺り「作画班に絶対ラオフェン好きな奴いるだろ」と推測されている