エリス・ボレアス・グレイラット

登録日:2024/07/25 Thu 00:46:00
更新日:2025/04/24 Thu 16:34:02
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好きじゃないってだけで文句を言うの!?全部、私とあんたのためにやってくれてることなのよ!



エリス・ボレアス・グレイラットは、ライトノベル『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』の登場キャラクター。



【概要】

『無職転生』の主人公ルーデウス・グレイラットの再従姉にあたる血縁で、アスラ王国の名門貴族ボレアス・グレイラット家の御令嬢。
ルーデウスの2歳年上で、父親が従兄弟同士にあたる。パウロはノトス・グレイラット家を出奔しており、現在のノトス・グレイラット家とボレアス・グレイラット家は派閥が異なるが、個人間の仲は良いため子供同士が繋がるきっかけとなった。

長耳族などの混血であるシルフィエット、魔族であるミグルド族のロキシー・ミグルディアと異なり純粋な人族のヒロインで、出会う順番としては最後にあたる。


【人物・性格】

容姿は赤髪のウェーブのかかった長髪で、登場当初こそ目立たなかったが魔大陸編以降ではその美貌からルーデウス以外の男性キャラからも好意を持たれている。
更に登場当初こそ子供だが、魔大陸編中期からは発育の良さが顕著に見られており、ヒロインで唯一の巨乳で15歳の頃には他ヒロインとは段違いにスタイルが良くなっている。
ただ女性らしい発育の良さとは別に腹筋なども相当に鍛え上げられており、雑誌掲載のイラストではバキバキに割れたシックスパックを見せた。

一方で性格はボレアス・グレイラット家の特徴である苛烈さを強く受け継ぎ、「狂犬」とあだ名されるほど非常に凶暴で、祖父サウロスの教育の影響で直ぐに手が出る性質から、貴族学校を退学。9歳の時点で剣術を教えていた「剣王」ギレーヌと乳母のエドナしか教育者がおらず、それ以外の教育者は全て病院送りにされている。そのため算術や語学はほぼ全く教育の施しを受けられていない。父親からは貴族として生きるのは無理だと判断されて、将来は冒険者にしようと思われていた*1

ただし、喧嘩を売られるなどしない限りは自分から手を出すことは滅多になく、口下手なのと暴力性から誤解されている所も大きい。家族や友人は自分からは殴らず、ギュエスにギレーヌを罵倒された際は殴れば相手の言葉を肯定することになると理解して泣きながら反論するなど、殴ってはいけない場面ではしっかり我慢している。
作中では気に入らない事があると反発こそすれど理由の説明を求めるシーンが多々あり、それで自分が納得するのなら素直に従う様子も見せる。
また信頼を置いた相手には非常に頼る節があり、我慢強く自分を見捨てなかったルーデウスをルイジェルドやパウロが貶そうものなら怒り狂い、本人が目の前にいようとベタ褒めしている。
つまりはツンデレ系ヒロインなのだが、ありがちな嫉妬からの暴力は見られず、ショタコンのテレーズが目の前でルーデウスを弄んでも手は出さなかった*2

特に魔大陸編以降の暴力には何かしら正当な理由があるからで、ルーデウスなどからセクハラを受けた時の反撃くらいに収まりつつある。
むしろルイジェルドの暴走やルーデウスの私的な制裁行為など、横暴さで言えば同行者の方がよほど理不尽さで上回っているような……。

ファッションセンスは良くも悪くも剣士気質で、身軽かつ着飾りの無いシンプルなものを好む。
なので礼服や女性らしい華やかなデザインの服を進んで着用する事は少なく、ともすれば実用性を優先して男性用の装備を着用する事もあった。ただし、ファッションセンス自体は悪くない。
獣族が着る縦耳付きフードをルーデウスからプレゼントとして贈られた際には愛着していた。
アスラ王国第二王女の護衛として装飾品にこだわるシルフィエットとは対照的。
余談だが専ら香水をつける慣習も無いせいか、やたら汗臭さが強調されていたりもする。

【戦闘能力】

剣術においては「剣王」ギレーヌ及びルイジェルドの訓練もあってか、剣神流の使い手としての実力は非常に高い。
将来的な素質も含めるとパウロを含めた先人よりも上達すると太鼓判を押されていた。勝利への執着が強く正道に拘る気質でもないため、変則的で邪道扱いされがちな北神流との相性も良い。
ただし、攻撃的で猪突猛進な性格故に、冷静な洞察や待ちの姿勢こそが肝要な水神流の技は相性が極めて悪く使えない。

幼少期のエリスは、ギレーヌ個人を慕っているのと、他の礼儀作法や勉学よりは比較的性に合うからとあくまでも趣味の範囲で剣術を学んでいた。
そのまま溢れんばかりの剣術の才を腐らせるかと思われたが、ルーデウスに何か勝てるものが欲しいという気持ちから真面目に学ぶようになり、一気に花開いた。

実力は15歳の時点で完全武装のシルフィエットよりも強いとヒロインで最強。

武器は魔大陸でロインから貰った無銘の片手剣があり、形状はカトラスに似ている。

魔術面ではルーデウスからの教育で初級攻撃魔術が若干使える。
ただし、本人が剣術中心の戦闘をするため実戦で使用した例はほぼ皆無で、アニメで意識朦朧の状態でオルステッド相手に足掻きで使用しようとした時には発動しなかった。


【来歴】

以下、アニメ1期~2期までのネタバレ注意

ボレアス家来訪

シルフィと共依存状態になっていたルーデウスだったが、パウロの手引きで強制的にロアの街へ移住。
町長のフィリップ家に送られたルーデウスと初対面するが、年下で生意気な態度を取られたため激高し頬を叩く*3
叩き返されると、馬乗りになって顔面に何度も暴行し、それに対し魔法で反撃されると歯止めが効かなくなり、逃亡したルーデウスを延々と追い掛け回した。
ちなみに初対面のルーデウスは彼女を「我儘お嬢様ではなく不良漫画の主人公」と評している。

あまりの傍若無人さに手を焼いたルーデウスは、フィリップの手を借りて一芝居を打つ。
それはいつも通り街中へ出て散歩をしている最中に人攫いに誘拐され、窮地をルーデウスが魔法と知略と勇気で乗り越える事で教育の大切さを伝えるというものだった。
しかし想定外な事に家臣が離反して本物の人攫いと結託されてしまい、北神流剣士により窮地に陥るがギレーヌによって救われる。
ルーデウス的には失策だった一件だが、エリスには見入るものがあったらしく、以後渋々ながら教育を受ける事を容認する。

当初は魔法の習い方にしか興味が無く、読み書きや算術の授業ではギレーヌよりも集中力を欠き逃亡する日々が続く。
そこでギレーヌの『剣術以外に知識が無いせいで飢え死にしかけた』という若干情けない冒険譚を聞かせる事で勉強の必要性を理解させて授業に出席するようになった。

10歳の誕生日会では慣れない言葉遣いと礼儀作法を乳母から叩き込まれ、当日も主賓らしく辛抱していた。
結局最後まで熟達しなかったダンスはルーデウスの補助を得て恥をかく事も無く、パーティ後には魔術師としての杖を贈られた。
ちなみにこの段階で読み書きはほぼ完璧で、九九も覚えている。大切な人には家族以外に初めてルーデウスの名前も載っている。


フィットア領消失~魔大陸冒険~

ルーデウスが10歳を迎える頃合いには、彼女が自らパーティの料理を作ろうと奮起するなどかなり好意的に接している。
そして10歳の誕生日祝いの場ではルーデウスにケーキを振る舞い、以後長い期間使用し続ける魔法杖「傲慢なる水竜王(アクアハーティア)」を贈った。
更に事情があるとはいえ家族が誰一人来られなかったルーデウスの身の上を不憫に思った母・ヒルダから結婚を指示されると、顔を真っ赤にしつつ否定。だが拒否はしておらず、否定に関しても年齢を理由としているため実質断っていない。

パーティ終了後はルーデウスの部屋へ赴き同衾を許可するが、あまりまだ覚悟が決まっていなかったらしく「15歳になったら手を出してもいい」と宣言し、結局は去ってしまった。

なお算術は割り算もでき、剣神流の使い手としては上級の域に達していた。
更に原作の欄外には大好きな人にルーデウスの名前が載っており、この時点でだいぶ意識はしていた模様。

その翌日、フィットア領転移事件が発生しルーデウスと共に魔大陸の北東部まで飛ばされてしまった。
偶然にも転移直後にスペルド族のルイジェルドに保護されるが、目覚めた瞬間に絶叫し今までの悪行全てを懺悔したうえで大泣きするなど勝気な彼女らしくない一応普通な反応をしてしまう。
ルーデウスの取り成しで一応普通に接するまでには回復し、ミグルド族の里では大はしゃぎをしつつ、魔族を相手にしてもボレアス流の挨拶で礼を返すなど人間的な成長も多分に見られた。初めての魔大陸で憧れていた冒険ができるという事でかなり上機嫌だったが、実はルーデウスに負担を掛けないようにせめて、できる限りいつもどおりに振舞おうとしていただけで、内心で不安に苛まれていた。

旅の路銀を稼ぐべくギルドにて3人パーティの『デッドエンド』を結成。
ルーデウスの奸計がルイジェルドの流儀と合わず衝突する事もあったが、その時にはルーデウスを庇いルイジェルドに楯突いた。
ただ不仲という訳ではなく、ルイジェルドからは直々に魔族の戦闘術の指南などをしてもらっていたため技術は大幅に進歩している。

ミリス神聖国のミリシオンでルーデウスが父パウロと再会するも喧嘩別れに終わった時は、激しく落ち込む彼の姿を見て激高している。
翌朝にパウロが宿所を訪れると面前に立ちはだかり文句を言うが、ルイジェルドにより強制的に退けられてしまった。
その後無理やり戻ろうとしたらしく、ルイジェルドに青痣を付けられるほど手痛い阻止を受けている。

赤竜の下顎では龍神オルステッドと遭遇。
呪いにより恐怖に包まれるが、影響を受けなかったルーデウスがオルステッドよりヒトガミの使徒と断定された事で強制的に戦闘に入る。
しかし全く歯が立たずルーデウスを目の前で殺害されてしまい悲壮感に包まれるが、同行していたナナホシの提案でルーデウスが蘇生されると号泣。
その後ルーデウスがオルステッドとの再戦を望んでいると知る*4と、足手まといにしかなっていなかった自分を後悔し強くなる事を決意する。

ウェストポートを経てフィットア領へ帰還すると、荒れ果てた大地を見て呆然とする。
同時に無事送り届ける事ができたルイジェルドと別れ、難民キャンプでギレーヌと執事アルフォンスと再会。
そして祖父と両親の非業の死を報告され、更にピレモン卿から妾として受け入れる用意があると言われる。
さすがに全てを受け入れる事はできず失意に暮れるが、夜になりルーデウスの元へ訪れたエリスは15歳になった時の約束を果たし初夜を共にする。
しかし翌日、ルーデウスに『今の私とルーデウスでは釣り合いが取れないから旅に出る』というあまりに不器用すぎる置手紙と断ち切った長髪を残して無言で去り、その手紙の内容を勘違いしたルーデウスに長年手痛いダメージを残してしまった*5

そしてエリスはギレーヌと共に大陸北部へ向かい、剣の聖地で長い間修行を積む事となった。

ちなみに取り残されたアルフォンスはエリスが無断で去った後もフィットア領に留まり、長い月日を掛けて土地の再建のため奮闘。彼等の計らいによって書類上「エリス・ボレアス・グレイラット」は死んだことになり、彼女は国の貴族に追われる事なくただの「エリス」として生きていけるようになった。




――ここまでがアニメ第1期である。
第2期に関しては最終話のEDにだけの登場*6で、他では僅かに外伝や関連キャラとの交流で名前が出る程度となっている。




【関連人物】

家庭教師にして初恋の人物。そしてお互いの初体験を捧げ合った仲である。
初対面では最悪な出会いではあったが、高い実力を持ちながら学び続ける姿勢と、自分を見捨てず魔大陸でもずっと共にしてくれた事で信頼関係を育んでいった。
しかしオルステッドとの戦闘で自らの弱さを実感し足手まといにしかなっていなかった事、ルーデウスをある種神格化し過ぎて頼りにし過ぎていた事を自覚し、守られる立場ではなく共に支え合う存在になりたいと願うようになった。
だがフィットア領での別れは誤解もあるが明らかに言葉足らずで、無意識に彼を長い期間苦しめてしまう。最もルーデウスの方からエリスに対して愛情を伝えたことは無いので、言葉足らずはお互い様な面もある。

  • ギレーヌ・デドルディア
家庭教師の一人で剣術の指南役。他の家庭教師はエリスの夜襲を受けて病院送りにされていたが、唯一彼女だけが反撃できたため残っている。
ルーデウスから見ても指導が的確で同じ剣神流の使い手という相性の良さからエリスの腕が伸びるきっかけとなった*7
そういった意味では剣術の師匠にあたるが、算術や読み書きなどではルーデウスから学ぶ同じ門下生として机を共にしている。

  • サウロス・ボレアス・グレイラットフィリップ・ボレアス・グレイラットヒルダ・ボレアス・グレイラット
祖父と両親。更に兄が複数名いるが、ボレアス家の慣習に従い男児は本家で育てられるため共に生活はしていない。
サウロスからは孫娘として可愛がられており、豪胆な性格と暴力的な気質は彼から教えられている。
フィリップからはそんな傍若無人な性格を心配されており、貴族としての将来より冒険者としての将来を早々に見込まれていた。しかし父自体の野心は相応に残っており、ルーデウスとの政略結婚からの地盤固めを画策されていた。また、パウロの父親のように自分の子を不出来と見下している訳ではないので、エリスとの仲は良好。
ヒルダからは一人娘として認識されており、ルーデウス10歳の誕生日パーティでは不憫に思った母からルーデウスとの結婚を要求されていた。

しかしフィットア領転移事件が発生しそれぞれ離別。
サウロスは比較的早くに帰還したが領民の捜索や復興のためにボレアス家の財産にも手を付けようとしたため、身内からも裏切られて事件の責任を取らされエリス帰還の前に処刑。
フィリップとヒルダは中央大陸の紛争地帯に飛ばされて現地でスパイと誤解され殺害されたため、生きて再会することは叶わなかった。

  • ルイジェルド・スペルディア
魔大陸でルーデウスと旅を共にしたスペルド族の男。
初対面では伝承から恐怖に慄いていたが、すぐに勝気な性格も相まって融和する。以後は旅を共にする傍らで剣術の指南を受け、ミリス神聖国の時点では手加減無しで相手しないと苦労する程度に実力を高められた。
フィットア領到着後に別れを告げられるが、彼女なりに愛着と恩義もあって涙を流し別れを惜しんだ。

直接対面は果たしていないが、ボレアス家の家庭教師として面接を受けに来ている。結果は不合格だったため、彼女と出会うのは20年近く後の話になってしまう。
とはいえルーデウスと出会う前の話だったため、やる気が無いとダメという思考だったので合格していても良好な関係を築けていた可能性は低い。



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最終更新:2025年04月24日 16:34

*1 実際はルーデウスが誕生しない歴史では騎士団に入る。そこで王女の護衛になって即位に貢献すると貴族として優秀な結果を残している

*2 これに関してはミリス神聖国で暗殺者に襲われたテレーズを救っており、その恩でテレーズがエリスに丁重な態度を取っているという理由もあるが、それ以外でも他の女性にうつつを抜かすルーデウスに嫉妬こそしても絶対に手は出していない。

*3 なお、作者曰くこの時のルーデウスはエリスをゲームのお嬢様キャラくらいの感覚で接しており、生意気というより明らかにエリスを見下している。

*4 この頃のルーデウス的には再戦する気などさらさらなく、似たような危機に陥った時に選択肢を増やして逃げ伸びるためにオルステッドが見せた技術を研究していたのだがそれを誤解した模様。

*5 エリスとしては「自分はルーデウスの足手まといなので強くなって戻ってきます」という意図だが、前世のあれこれもあって自己肯定感が高いと言えないルーデウスは「あなたでは私に及ばないのでさようなら」と受け取り、長らく不能に陥った。

*6 この頃には断髪した髪も元の長髪へと戻っている。

*7 実際は、自分が教わった事をそのまま教えることしかできないなど、応用力が無く、龍神オルステッドは「しかるべき師匠に付けば」とギレーヌの師匠としての指導を評価していない。