八雲なみ

登録日:2024/08/05 (月) 06:00:42
更新日:2024/08/21 Wed 00:51:59
所要時間:約 8 分で読めます





プロデューサー。

どうか、今ここで、アイドル(わたし)を殺してください。




概要

『八雲なみ』とは『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の登場人物。

かつて一世を風靡し、電撃引退した伝説のアイドル。斑鳩ルカの母親。
翳りが見えたアイドル冬の時代に彗星のようにデビューし、その完成されたパフォーマンスと華やかな存在感でトップアイドルに成りあがった逸材。
海外進出の日、空港に現れず突如失踪。そのまま電撃引退したという。

冬の時代と言っても八雲なみが活動した時代は本編の二十数年前らしいので、日高舞が活動した時代よりもさらに前となる。
なのでシャニマス世界では、アイドル業界の衰退→八雲なみ→日高舞・星野アイの活動期→冬の時代となる。
八雲なみの時代における『冬の時代』とは、人気アイドルグループの解散によるアイドル人気の低下、
バンドブームの余波による作詞作曲ができる実力派アーティストの台頭によって「アイドルが恥ずかしい時代」になってしまったことを指すらしい。
八雲なみは活動期間こそ短かったものの、その引退と同時にアイドルの冬もまた去っていったという……。


現在では283プロの社長である天井努が、まだプロデューサーだった頃に最初で最後にプロデュースしたアイドル。
八雲なみをスカウトした時の事を「人混みのなかで八雲なみのいる場所が特別に見えた。まるでスポットライトが当たり、カメラが回っているみたいに、特別な女の子の声がした」と当時のインタビューで語っている。

出す曲はいずれも大ヒットしたが、最後のシングル『そうだよ』はそれまでの彼女のイメージとは真逆で暗く悲しい曲なうえ、派手なダンスも演出もなかったため売り上げがイマイチだったらしい。

今では時がたち知る人ぞ知るアイドルになってはいるものの、283プロのアイドルの一人である七草にちかは彼女の大ファン。
彼女が参加しているシーズが八雲なみをリスペクトしていることもあって、現在はリバイバルヒットしている。

また天井やシーズのイベントで断片的に語られるだけなので、天井やシーズのシナリオにおける重要人物でありながら立ち絵やボイスはない。
なので長らく姿が不明であったが、漫画『アイドルマスター シャイニーカラーズ 事務的光空記録』の過去回にて八雲なみ回があり、そこで容姿が判明した。
どうやら黒髪ロングの美人で、斑鳩ルカと緋田美琴を足して割った感じのようだ。

八雲なみ伝説の真相



──……………………。

もう……………………。合わせられないんです……………………っ。



天性の天才アイドルとして現代では語られている八雲なみだが、その実態は天才的なプロデューサーであった天井が作り上げた偶像(アイドル)
八雲なみ自体は天才でもアイドルの適性があるわけでもない、女優志望の顔が良いだけの普通の女の子だった
歌は下手・ダンスはまぁまぁ・女優志望なのに演技力はないという、本当に普通の女の子だった。
性格もアイドルに向いているとはお世辞にも言えないほど、暗く卑屈で陰険な人だったようだ。
それでもその瞳には天井を動かすほどの強い光を宿していた。

運命的なスカウトなんて大嘘。というか八雲なみ伝説こそ天井が作った創作に過ぎない。
本当の八雲なみは才能自体がないため数々の事務所に落ちまくり、なんとか合格したのが当時の283プロだった。
学校を辞めてまで役者になろうとするも全然ダメで、当時のプロデューサーから見切りをつけられ、八課(アイドル専門課)に飛ばされてしまう。

彼女は役者志望でありアイドル志望ではない。当然プロデューサーに抗議をしたが、

「アイドルをやるか」「枕営業をして役者の仕事を取ってくるか」

の究極の二択を突き付けられてしまう。念のために書くが本作はシャニマス、もといアイドルマスターである。
「役者になるためにはなんでもする」と思っていた彼女でも枕営業はできるはずもなく、アイドルをするしかなかったのだ……。

そして天井の元でアイドル業を始めたわけだが……これが彼女の精神を摩耗させた。
天井は確かに天才的なプロデューサーであったが、そのプロデュース方針は「アイドルの足(性格や才能)を、靴(与えられる仕事)に合わせること」であった。
アイドルとしての才能がないのに「天才アイドル」という靴を履かせられたのだ。アイドルになりたくもない彼女が、である。
しかも天井が強引なプロデュースをするのは「キャリアのためではないか?」という不信感も生じさせた。
(当時の天井は本社の一課から八課に左遷されたばかりだったため)
ひたすら天井が用意する靴に自分の足を合わせる日々に疲れ、「こんなの私じゃない!」とスタジオから逃げ出したこともあった。
しかし「自分と同じくやりたくもない仕事をしているのに、まったく売れていない」という後述の女性とのやり取りの中で、
「自分は売れているだけマシ」ということを認識してしまい、アイドルを辞めたいのに辞めることができなくなってしまう。
結果、以降おとなしく天井のプロデュースに従うことになる。


しかし結局はやりたくもない事をやっている状態なので、目に見える形で精神が壊れかけてしまう。
そこで天井は自由にできる新曲を与えることで癒そうとし、「天才アイドル八雲なみ」としてではなく「八雲なみ」として表現できる千載一遇のチャンスに八雲なみは意気揚々と新曲の振り付けや演出を考える。
……だが、当時の彼女は天井のプロデュースで心が摩耗していた状態。そんな彼女が好きに曲を作ればどうなるのか?
当然業界批判の曲になるのは火を見るよりも明らかであった。なので上層部から曲のタイトルを変えられてしまった。それがラストシングル「そうだよ」の製作経緯。

断片的に語られる「そうだよ」の歌詞、にちかが「(夢を追うことに)背中を押された」「悲しい曲」と言っていること、上層部が「我々は夢を与えるのが仕事」と言っていること。
そして「そうだよ」のタイトルが本来「そうなの?」であったこと。
どうやら歌詞の内容は夢を追うことを肯定しているのに、タイトルの「そうなの?」を含めれば真逆の意味になるタイプの曲だったようだ。


自分を表現する機会すら奪われた八雲なみは完全に心が折れてしまい、海外進出の時に失踪してしまった――
というのが八雲なみの電撃引退の真相であった。

引退後

現在は海辺近くのスナックのママとして働いている。夫は2024年時点では詳細不明。*1
娘が斑鳩ルカという名前で活動していることから、母娘の名字が芸名とかではないのなら*2、斑鳩さんという男性と結婚したと思われる。*3

娘との仲は良好で、ルカからは「ママ」と呼ばれている。
しかし仲がいいがゆえに娘のルカは天井、ひいては283プロを激しく憎むようになってしまった。

ジムシャニで明かされた天井のプロデュース

  • 招致した海外の有名楽団を引き連れた生演奏コンサートツアー
  • 新曲発表の度にラジオ全局をジャック
  • 数秒のCMのために有名デザイナーに衣装を依頼
  • ツアー中の大物アーティストを急遽連れ戻してコラボ楽曲
  • 大量のエキストラを紛れ込ませた大規模路上ゲリラライブ
  • 人脈獲得のために高級クラブを貸し切った大規模パーティー。それも短期間に数回
  • 音楽雑誌に根回ししてトレンド介入
  • 音楽番組でのヒットチャートの操作
  • メディアを懐柔してスキャンダルの徹底的な排除

と不正ギリギリ……というか片足を突っ込むくらい、強引なプロデュースをしていたことが判明している。
一応天井は枕営業を勧めてきたプロデューサーを睨んでいるうえ、「服を脱いだくらいでやっていける業界ではない」と八雲に注意しているので、枕営業はさせなかったと思われる。

ただ八雲なみの人気はプロデュースによって作られたものだったかもしれないが、実力が伴っていなければすぐにそっぽを向かれていただろう。
天井が作った豪華なステージという名の靴を履けれるくらい、八雲なみも努力をしてきたということなのだろう。
だからこそ限界が訪れてしまったのだが……。

関連人物

現283プロの社長。八雲なみのプロデューサーだった人物。
八雲なみの電撃引退に伴う諸問題は彼が片付けたが、同時にプロデュース業から消えたという。
彼の徹底したアイドルの個性を無視したプロデュースが彼女の心を壊してしまった。
ただ悪意を持ってこんなことをしたのではなく、売れさせることが彼女のためと思っていたため。
漫画では「本当は応援がしたかった。でも自分にはこれしかできなかった」と独白している。
八雲なみの件は現在になっても引きずっており、現283プロの方針はこの件の反省を活かしたモノ。

  • アイドル志望のバックダンサーの娘
バックダンサーをしていたころに知り合った女性。
明るく元気な女性で、落ち込んでいる八雲なみを励まそうと悩み相談にのるなど、心優しい女性である。本来は。
八雲なみがアイドルとして羽ばたくなか、まったく芽が出ない。
それどころか裸同然の水着を着てお偉いさんの前で踊らなくてはならないなど、事実上の枕営業をしなくてはならないなど仕事がロクにないのだ。
この辺は天井の「服を脱いだくらいで仕事をもらえるほど甘い業界ではない」という言葉の証明のような状態である。

端的に言えば「アイドルになるために枕営業をしている娘」であり、八雲なみと同じく「夢のためにやりたくもないことをしている」状態であった。
しかし八雲なみは「成功」してこの娘は「失敗」しているのだ。

なので彼女の悩みを聞いたら、すぐさま「変わって」と目をキラキラさせながら打診した。
八雲なみと自分の違いがプロデューサーの能力の差と分かり、八雲なみが仕事をするのを嫌がっているのだから、当然といえば当然の反応である。
……しかし枕営業に近いことをしても売れていないというこの娘の立場を聞いてしまった八雲なみは「断ってしまった」
するとこの娘は手元の水を八雲なみにぶっかけ


舐めてんのか、てめぇ。

そのご身分を手放すつもりもねぇくせに、眠てえことばっかり言いやがって。


この一言で、八雲なみは「自分は恵まれている」ということを自覚すると同時にアイドルを辞めることができなくなってしまった。






追記・修正は自分の足を与えられる靴に合わせてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 八雲なみ
  • アイドルマスター シャイニーカラーズ
  • シャニマス
  • アイドル
  • 元アイドル
  • 伝説のアイドル
  • 電撃引退
  • 母親
  • スナック
  • ガラスの靴
  • そうだよ
  • そうなの?
  • ジムシャニ
  • 作られた偶像
  • THE_IDOLM@STER
  • アイドルマスター
  • アイマス

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年08月21日 00:51

*1 シャニマスでは2024年8月7日に「プロフィール」の項目内で「アイドルのひみつ」が追加されたが、ルカの家族構成は母親だけになっており父親の存在が無くなっている事が示唆されている。参考までに、両親を亡くしている白瀬咲耶は「父(故)、母(故)」といった感じで故人である事が記されているので、なみの夫は離婚等の理由で存在しないと思われる。

*2 ジムシャニでは、なみが天井に初めて自己紹介する際にそのままの名前で言っている為、なみの名前は十中八九本名と思われる。と言うか、そもそもアイマスシリーズでは芸名で活動しているキャラが非常に少ない。(該当するのは韓国版デレマスのジュニーとミリマスのジュリアくらい)

*3 ちなみに親子揃ってアイドルという前例は『DS』の日高舞&愛が存在しているが、舞が結婚前後問わず「日高」姓で名乗っている他、愛も「日高」姓で名乗っている為、舞の夫が婿養子に入ったかたまたま同じ苗字で結婚したと思われる。