蠍瓔珞

登録日:2025/01/21 (火) 19:52:43
更新日:2025/02/08 Sat 06:17:54
所要時間:約 ? 分で読めます







力で決まる優劣を毒の技で覆してこそ我が面目!
ならばこそ、一度毒を仕込んだ貴様にこそ、どうあっても勝たねばならんのだ!






蠍瓔珞(カツエイラク)とは、特撮人形劇『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』シリーズの登場人物の一人。


CV:高垣彩陽
キャラクターデザイン:三杜シノヴ
二つ名:蝕心毒姫(ショクシンドッキ)



概要


初登場は映画『生死一劍』の「殤不患編」。殤不患の抹殺と魔剣目録の奪取の役目に立候補した。

長い銀髪を持つ美女であり、高飛車でプライドの高い性格。

西幽にて悪名を轟かす犯罪組織・神蝗盟の幹部の一人で、「」の紋章を持つ。

西幽随一の「毒使い」であり、あらゆる種類の毒に精通し、暗殺術に長けている。
また、幻術の使い手でもあり、それを駆使した不意打ちにも躊躇はない。

神蝗盟の猊下である禍世螟蝗には絶対の忠誠を誓っており、彼のためとあらば命も捨てる覚悟を持っている。



戦闘面


前述のように、毒を駆使した暗殺や幻術による攪乱、騙し討ちを好んで行う。
自慢の毒蠍は、死体を生きている人間同様の状態にしておいて油断して近づいた人間をも殺し、街一つを壊滅させたほどの脅威だったという。
この毒に関しては絶対の自信を持ち、「ひとたび自身の毒を受けたからにはその者は確実に死ななければならない」と言う矜持を持つ。*1
剣術にも長けており、殤不患がいくらか地ならしをした後とは言え鬼歿之地を単身で超えるなど、相当の実力者として描かれている。
一方で正面きっての戦闘力としては殤不患や浪巫謠と言った達人級には1歩も2歩も及ばず、そのことがコンプレックスとなっている。

荼蘼螫


蠍瓔珞愛用の武器。細身のレイピア状の剣で、不使用時には魔術により隠している。


必殺技


  • 毒蠱驟来
毒物を霧状に撒き、相手にぶつける最終奥義。殤不患に放ったが、跳ね返されてしまった。



活躍


西幽玹歌


時系列としては、殤不患や浪巫謠と対面したのは今回が最初。
飯店にて、啖劍太歳こと殤不患一行の毒蠍による暗殺を目論んだが、浪巫謠に見抜かれ、正体を現し戦闘になった。


第2期


殤不患の行方をいち早く掴み、彼が魔剣目録を預けに行った護印師の砦である仙鎮城に毒蠍を放ち、護印師の大半を毒殺。
主である伯陽侯が殺されかかったところを殤不患が駆けつけたが、既に蠍瓔珞は目録を強奪し、逃亡しようとしていた。
殤不患や応援に駆けつけた浪巫謠との大立ち回りの末に魔剣目録は破られ、うち二振りが収納された部分を奪い、逃走する。

蠍瓔珞は法術にも長けていたため、不完全な魔剣目録でも開ける方法を心得ていた。
そのため、奪った魔剣の一つ「喪月之夜」を戦力として利用することにする。
一方で、もう一つの剣「七殺天凌」の危険性に気づき、そちらは封じた。

早速彼女は、殤不患達を待ち伏せ、市街地にて喪月之夜を使用し、一般市民を操って彼らを襲わせた。
更に、一般人の少女に変装して殤不患を油断させ、彼に毒針を刺し、身体を弱らせる。
だが、仕留めるあと一歩のところで、浪巫謠の機転で2人は逃走。
更には、殤不患を捕らえるために西幽から来た緝察使の嘯狂狷が現れ、殤不患の仕業に見せかけるために傀儡にした市民を皆殺しにしたため、旗色が悪くなり撤退する。

その後、嘯狂狷から接触された彼女は、殤不患の首と引き換えに魔剣目録を渡すという交換条件の下で共闘を持ちかけられる。
刑部との共闘という沽券に関わる問題に悩む中、彼女は偶然、雨宿りをしに隠れ家に入り込んでいた行脚僧の諦空と出会う。
早速口封じに諦空を殺そうとしたが、彼は「拙僧を殺す意味を問いたい」「それに意味がないならそなたの剣には更に意味がない。戦う理由を答えられたらそなたに命を差し出す」と詭弁を連ねられた挙句に逃走される。
これ以降、彼女の脳裏には諦空の言葉がこびりつき、迷いが生じるようになる。

そして、蠍を使って殤不患の隠れ家を掴み、嘯狂狷らと共に一人になった殤不患を追い詰めることに成功。
この時、殤不患は気功により毒の巡りを遅めていたものの、既に限界が近い状態だった。
だが、直後現れた浪巫謠が、解毒剤を調合して殤不患に飲ませ、彼は完全復活する。
これには蠍瓔珞は仰天する。何せ殤不患に使用したのは、彼女自身ですら解毒方法を用意していない特別なものだったからだ。
もっとも、殤不患を陰で手助けした凜雪鴉が、彼女を上回る毒の知識があり、解毒剤調合の方法を知っていたのは彼女の知るところではなかったが。
毒殺失敗により毒使いの矜恃も奪われ、激昂する蠍瓔珞だが、殤不患には剣術でまるで歯が立たずにやられてしまう。
更に追い討ちをかけるように嘯狂狷が彼女を背後から襲い、喪月之夜を奪ってしまう。
味方を失い、丸腰同然となった彼女はまたも逃げるしかなかった。

憔悴しきり、行き倒れた蠍瓔珞だったが、通りがかった諦空に助けられ、介抱される。
「人が戦う意味がわからない」「見返りを求める忠節は本当の忠節ではない」と語る諦空の言葉に、蠍瓔珞は自分のこれまでの忠義のための戦いの日々に疑問を抱く。
力を求めた自分の歩みをも否定されたような気がして、顧みた彼女には、諦空の言葉が深く心に刺さっていた。




力への渇望と媛の傀儡


途方に暮れた蠍瓔珞は、唯一残った七殺天凌を禍世螟蝗の手土産に、西幽に帰ろうとする。
だが、そこを見張っていた嘯狂狷に見つかり、部下の捕吏達によって嬲り殺しにされそうになる。
追い詰められ、力を求めた彼女は、七殺天凌の誘惑に負け、遂に「彼女」を抜刀。




私を蟲と詰ったな!捻り潰すと嗤ったな!
良かろうぞ。蔑まれ、潰される蟲の心地を、その身でとくと味わうがいい!


そのまま彼女は七殺天凌の魅了の快楽に身を委ね、同じく魅了された捕吏達を次々と殺戮する。




嗚呼……力が漲る。殺した命が血となって私に流れ込んでくる!

そう。これこそが妾の恩寵。覇者の剣を振るう使い手が浴する喜悦である。

嗚呼、甘い!血が甘い!殺すほどに頭が痺れる!悦びに胸が滾る!



嘯狂狷の動向を知った殤不患と浪巫謠も現場に駆け付けるが、浪巫謠は魅了にかかった嘯狂狷との戦いで、殤不患は七殺天凌の魅了に抗うのに精一杯で、まともに戦うこともできなかった。
苦戦した殤不患を一方的に嬲る快感に酔った彼女は、彼にトドメを刺そうとしたが、「自分に屈辱を味わわせた殤不患は周りの人間を殺して苦しめてから最後に殺す」と言う七殺天凌に従い、その場を退散した。

とは言え、一度は七殺天凌に屈したものの、その恐怖は確実に彼女の心を苛んでいた。
作中では、禍世螟蝗を含めた神蝗盟のメンバーを皆殺しにする悪夢を見て罪悪感に苦しむほどに、殺戮の快楽に完全に酔うことはできなかったのだ。
だが今更逆らうことはできず、結局七殺天凌に言われるがまま、無関係の市民を大量に虐殺。
そこへ浪巫謠が駆け付け、一度は優位に立ったものの、「目をつぶったまま直感で戦う」浪巫謠の対七殺天凌用の戦術に苦戦し、追い詰められてしまう。
しかし、敢えて蠍瓔珞を泳がせたい嘯狂狷と凜雪鴉が邪魔に入ったため、辛くも逃走した。

浪巫謠にすら勝てなかった蠍瓔珞は七殺天凌から散々いびられ、罰として自分の血を捧げる羽目になる。
この時、七殺天凌を自分の腕に突き立て泣きながら命乞いをする彼女は、高垣彩陽女史と悠木碧女史の迫真の演技の掛け合いより非常に不憫に見える。一部には七殺天凌同様にドS心をくすぐられる視聴者もいるとか。
最早、七殺天凌からも搾取されるだけだと悟った彼女は、魅了を振り切って彼女に封印の札を貼り、呪縛から解放された。




無駄じゃ。一度血の悦楽を分かち合ったが最後、二度と妾を拒むことはできぬ。

黙れ……黙れェッ!!




本当の強さ、そしてその果てに……


その後、蠍瓔珞の行方を捜していた殤不患を待ち伏せ、七殺天凌の居場所を教え、自分との本気の勝負に勝つことを条件に渡すと約束する。
禍世螟蝗への忠義のために力を求め、結果それを振るう術を見失った彼女は、自分の本当の強さを試そうとしたのだ。



我が神妙、このまま誰かに弄ばれ潰えていくというのなら、今この場で、自らの手で燃やし尽くす!



毒を使わない本気の戦いを殤不患と繰り広げた結果、勝ったのは殤不患だったが、彼女は命を救われた。
殤不患は、魔剣を使わず、七殺天凌の魅了にも屈しなかった蠍瓔珞を称賛し、「負けても生き残る奴が本当に強い」「お前がお前自身の答えを得たことが肝心だ」と説く。
感嘆した蠍瓔珞は、去りゆく殤不患に問う。




ならば、お前の目指す強さとは?最強の在り処とは?

そうだな。誰よりも強いのは、負けて生き延びた奴の仕返しに怯えたりしない奴だわな。
ただの馬鹿と言うかもしれんが。な、俺は強いだろ?



最後まで好漢を貫いた殤不患に、完全に敗北を喫した蠍瓔珞。
だが、帰る場所も全て失っても、彼女は晴れやかな気持ちだった。
そこで、諦空の姿を見かけた彼女は、彼に話しかける。自分を見つめ直すきっかけをくれた彼に、礼を言いたかったのだ。
手始めに、自分の行いの償いをするための方法を探したいと告げ、「よければあなたも一緒に」と彼に誘いをかける。




旅は終わった。答えは……得たよ。



そう冷酷に告げる諦空の手には、七殺天凌が握られていた。
蠍瓔珞の隠れ家を訪れた彼は、七殺天凌に「魅入られた」のだ。*2

驚愕する蠍瓔珞の前で、七殺天凌は抜刀され、諦空―――婁震戒の放った一撃が、彼女の首を掻っ切る。

最早、七殺天凌という「最大の生きる意味」を手に入れた婁震戒にとって、蠍瓔珞の命は「麗しの媛に捧げる贄」でしかなかったのだ。
「つまらない持ち手」に見切りをつけた七殺天凌から見放された彼女の遺体は、その場にゴミのように捨てられる。

その後、蠍瓔珞の遺体は浪巫謠が発見し、彼に丁重に埋葬された。
最後まで他人の思惑に翻弄された、あまりに惨たらしい末路を迎えるのだった。





その後


蠍瓔珞の失敗は禍世螟蝗を激怒させ、彼女の死は同僚の誰からも顧みられることはなかった。
なお、萬軍破と思われる「百足」の紋章が彼女を愚弄しており、また異飄渺も、事あるごとに「蝕心毒姫がしくじっていなければ……」と嫌味を言っていた。

更にその後、部下が全員いなくなった禍世螟蝗は、娘の嘲風を神蝗盟に迎えた際、蠍瓔珞の「蠍」の紋章を空席として、彼女に譲り渡した。
敬愛される禍世螟蝗からはあまりに惨い扱いを死後まで受ける羽目になるのだった。



余談


  • 『サンファン』シリーズの中でもトップクラスに悲惨な目に遭った挙句、最期も報われなかったことで有名。「虚淵玄のお気に入りキャラ」とも言われている。












卑劣、邪道と忌み嫌われても、追記・修正こそは我が研鑽と練磨の粋!
その誇りに賭けて、譲れぬ一線がある!

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最終更新:2025年02月08日 06:17

*1 実際1~3期を通してみても、彼女の毒ほど殤不患の命を追い詰めた事例は存在しない

*2 しかし、後に判明するが、彼は七殺天凌の魔力に魅了されておらず、本心から彼女の虜になっている。