凜雪鴉

登録日:2025/02/04 Tue 17:33:54
更新日:2025/04/16 Wed 11:40:32
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傲岸不遜なる悪人の心。
その誇りの在り処を奪い、驕慢という宝石を屈辱という土塊にすり替える。
これが盗賊たる私の真骨頂。人生の醍醐味さ。





凜雪鴉(リンセツア)とは、特撮人形劇『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』シリーズの登場人物の一人。
同作の主人公の一人である。後述する人柄からすると到底信じられないかもしれないが、主人公である。




CV:鳥海浩輔
キャラクターデザイン:三杜シノヴ
二つ名:掠風竊塵(リョウフウセツジン)
偽名:鬼鳥(キチョウ)雪鳴(セツメイ)ほか





概要


初登場は第1期の1話。雨の中、木陰で煙管を吹きながら優雅に雨宿りする謎の美丈夫として登場。

美麗な長い白髪と美形の顔面、そして風変わりな形状の煙管が特徴で、常に飄々と人を食ったような態度を崩さない人物。

西幽から来た殤不患が東離にて初めて出会った人物で、石仏の傘を持ち去ろうとした彼に、「傘を持ち去る代わりにこの先出会う人間に必ず義理を果たせ」と約束させた。
その後、殤不患は玄鬼宗に追われていた護印師の丹翡と出会い、彼女を助け、結果「厄介事」に巻き込まれる。

そして、あくまで成り行きとして殤不患を通じて丹翡と知り合った彼は、自らを「鬼鳥」と名乗り、丹翡の助力がしたいと申し出、殤不患を巻き込み退路を絶った上で協力者を集め、蔑天骸討伐と天刑劍の柄の奪還のための旅の段取りを整える。
このような、一見すると完璧な義侠心溢れる振る舞いで丹翡からは信頼を得たが、殤不患からは胡散臭さで疑いの目で見られていた。


……そう、殤不患の見立ては正しく、彼が義侠心から丹翡に協力したのは真っ赤な嘘。
その正体は、東離に悪名を轟かせる盗賊「掠風竊塵」であり、あらゆる財宝を一瞬のうちに盗み取ってしまう凄腕の怪盗として恐れられていた。
旅の目的も、天刑劍の柄と鍔を蔑天骸の横から掠め取り、彼を一泡吹かせるためであり、丹翡を助ける気など微塵もなかった。


そもそも、彼が盗賊業をしている理由は他でもなく、「悪党の驕慢を奪って愉悦を得る」ため。
あらゆる才能に恵まれた彼は、自前の詐術を使って人を騙すことに悦楽を抱くようになった。
だが、善性を持つ正直者は騙したところで面白味がないため*1「誰よりも強く賢いと思い込んでいる悪党」を獲物にし、騙し、盗みを働くことで驕慢を奪い、彼らの悔恨と屈辱に歪む顔を見て悦に浸ることを何よりの愉しみにしている。

つまり、悪党を騙して間接的にダメージを与えるものの、決して正義で動いているわけではなく、「結果的に悪党側が破滅するから『味方側』になっている」だけの話である。

この、盗賊としてはあまりに非合理的で歪んだ趣味には、殤不患は「イカれたド外道」浪巫謠「邪悪」聆牙「インチキ煙管野郎」刑亥「最悪の毒虫」「邪悪さにおいて魔族を凌ぐ」と散々な評価を下している。
なお、それは凜雪鴉自身も自覚的であり、自分で「邪智暴虐の徒を陥れ辱めることにのみ執着する気の触れた輩」と称しており、寧ろ己の悪性を誇っている。

そして、肝心の詐欺が失敗に終わり、愉悦が手に入らなかった場合、飄々としたいつもの様子からは考えられないほど激怒し、子供のような癇癪を起こす。
本編では獲物から仕返しされたり、驕慢を持つタイプではなかったりして、愉悦を得られなかったパターンがほとんどなので、視聴者からは溜飲を下げられているとか。

基本的に他人を信用してはおらず、第1期で協力を仰いでいた狩雲霄や刑亥でさえ「自分の邪魔をする」と見ていたが、殤不患の予想以上の働きや、彼の他人を放って置けず厄介事を引き入れる気質を見て、彼に一目を置くようになる。
以降は殤不患をお気に入りの人物としており、彼の周囲を探って獲物を選ぶようになった。



戦闘面


普段は舌先三寸口八丁の詐術や煙管の煙を使った幻術を駆使してその場を切り抜ける戦法を行う。

しかし、実は剣術も達人級であり、本気で戦った場合、蔑天骸にも引けを取らない。
若い頃は退屈を紛らわせるためにも剣の道を極めようとしていた時期もあったが、「剣の道は極めるには奥深過ぎた。寧ろ詐術こそ自分の愉悦」だと気づいて、すっぱり剣を諦めたらしい。
そのため、作中では身の危険を感じた場合、もしくは剣術で相手を屈服させる場合のみしか剣を取らない。


煙月


凜雪鴉愛用の煙管。
多種多様な仕掛けが施されており、相手に幻覚を見せる煙や、炎を撒き散らす術が使用可能。
更には先端部分に鎖が仕込んであるだけでなく、鉗子や剣に変形させることもできる。


玲瓏劍


禍世螟蝗が花無蹤に預けていたが、彼から偽異飄渺に託される形で使用した神誨魔械。
対魔神刑亥戦で使用。


必殺技


  • 天霜・煙月無痕
劇中では数少ない人物*2にのみ披露された凜雪鴉の必殺技。極限にまで冷えた冷気を放ち、敵を瞬時に切断する。
あまりにも尋常な剣技の域を逸脱しているため、達人である程にその変化を見切ることが難しくなるらしい。



道具


盗賊をするにあたって、様々な道具を活用する。
また、精度の高い贋物の製作術にも優れており、見る、あるいは少し触っただけで本物と見分けがつかないほどの偽物を作り、すり替えることが可能。

変装頭巾


他人に変装させるために使用する頭巾。なお、自分が変装する際は使用しないようだ。
これを頭に被ると別人の顔と声を得られる。
第1期では凜雪鴉の姿にしか化けられなかったが、第3期では捲殘雲の姿にも化けられるようになった。


毒物調査グッズ


体に盛られた毒を調査するための道具一式。
血を採取し、様々なサンプルと一緒に燃やして炎の反応を見ることで毒の由来を突き止める。



人形型通信機


凜雪鴉の形をした、遠隔で彼と通話できる人形。
表情豊かで可愛らしいが、殤不患は「呪いの人形」と呼んでいた。
殤不患型のものも存在する。
なお、ねんどろいどフィギュアとして実際に売られていたものが使われた。





活躍


本編前


殺無生や刑亥といった東離に名高い悪党をからかって遊んでいた。
詳細は各キャラの個別項目参照。
そのせいで彼らからは殺してやりたいくらいに恨まれているが、「私への執着で迷いを断ち切れたのだから感謝して欲しいくらい」と開き直っている。



第1期


ふと知り合った殤不患に目をつけ、その成り行きから丹翡と知り合うも、丹翡を利用して蔑天骸の懐に潜り込み、天刑劍の柄と鍔を奪って彼を悔しがらせる計画を立てていた。
そのために狩雲霄、刑亥、廉耆*3に声をかけ、協力者を募る。
なお、殤不患を引き込んだのは自分を出し抜こうとする狩雲霄達の目を誤魔化す囮役にするため。
途中、廉耆を殺無生に殺されるハプニングがあるも、彼は口八丁を使って逆に殺無生を仲間に引き入れる。

魔脊山への旅は、途中障害はあったものの、一同の連携で一見何事もなく進み、丹翡や捲殘雲は彼の采配で「義侠心に溢れた人」だとすっかり騙されていた。
やがて、丹翡、殤不患と一緒に玄鬼宗の魑翼を奪って一足先に七罪塔へと到着し、本性を現す。
丹翡を幻術にかけて殤不患を襲わせ、結果二人を捕まえさせ、自分は天刑劍の鍔(の偽物)を差し出して蔑天骸の歓待を受ける。
しかし、蔑天骸にそれを見抜かれ、腹の探り合いになる。

そこで、自分を問い詰めようとした殤不患を勧誘し、「天刑劍の柄と鍔を丹翡に返す」ことを条件に彼を協力させることに成功。*4
殤不患を自分に成り済まさせて、自分はもぬけの殻の七罪塔で、柄を盗もうとした。
だが、柄は既に蔑天骸に持ち去られており、狩雲霄達が独自に動いたと知る。

鍛劍祠に先回りして蔑天骸の動向を伺った彼は、蔑天骸の驕慢の在り処が「自身の剣術」であると気づき、天刑劍を手に入れた彼に剣で勝負を挑む。
剣術で蔑天骸をねじ伏せ、彼の屈辱で愉悦を得ようとしたが、彼は仕返しのために天刑劍を破壊し、魔神を完全復活させ世界を滅ぼそうとする。
結局、蔑天骸は勝ち逃げして笑いながら死んでしまい、愉悦を持ち逃げされ凜雪鴉は激昂するのだった。
「蔑天骸を怒らせ世界の破滅を招いた」ことで殤不患達から責められるも、凜雪鴉はとぼける一方で特に何もしなかった。

しかし、殤不患が達人級の気候術や魔剣目録等、凄まじい力を持っていると知り、彼を徹底的にマークして悪党を見繕うことにした。



生死一劍・殤不患編


チンドン屋の格好をしながら、殤不患の英雄譚を脚色しまくって周囲に吹聴していた。
結果、またしても殤不患の元には厄介事が舞い込み、彼にとっちめられている。


第2期


殤不患を追っているという西幽の緝察使・嘯狂狷に目をつけ、東離の四方御使に成り済まして接触。
一見、彼の味方として殤不患を追い詰める手助けをするが、最終的に悪徳役人である彼の驕慢を奪おうとした。

一方で、蠍瓔珞の毒に侵された殤不患を手助けに現れ、毒の正体を突き止めた上で解毒剤調合に協力する。
しかし、解毒剤の材料である竜の歿王の角を、浪巫謠と協力して奪う際は、歿王をおちょくるばかりで戦闘は浪巫謠に任せていた。
結局浪巫謠からは「悪」と見做されて攻撃されるが、難なく躱して解毒剤の調合法だけ彼に教えた。

その後は嘯狂狷の味方として殤不患の前に現れたりするも、殤不患からは「嘯狂狷を獲物にした」ことは見抜かれていた。

紆余曲折経て、嘯狂狷からは正体を見破られるが、これを逆用して密輸品売買をしようとした彼を陥れることに成功。
だが、彼は逆に開き直ってしまい、山賊で一山稼ぐ程度に甘んじた彼の小ささに激怒する。
その後、八つ当たりで七殺天凌を振るう婁震戒を魑翼に襲わせたりしたが、結局愉悦に飢えた感情を抑えきれず、殤不患に協力することに。

婁震戒との戦いでは、魔剣・喪月之夜を使って殤不患を傀儡にし、人を玩具にして技も盗み放題な剣にハシャギまくる。
「そーれ、天霜・煙月無痕……と見せかけて拙劍無式!」

戦いが終わった後も、喪月之夜を玩具にしたいと殤不患に持ちかけては断られていた。


第3期


殺無生の墓参りに験担ぎに行った後、殤不患、浪巫謠、捲殘雲と共に婁震戒と七殺天凌の捜索に出る。
魔脊山の谷を探すうちに刑亥の作った無界閣に入り込み、刑亥や異飄渺ら神蝗盟と戦う。
刑亥と戦う捲殘雲に助力し、彼女をおちょくったりした。

そして、逢魔漏で世界を転々とし、西幽へと転移し、萬軍破との出会いを通じて西幽や神蝗盟の実情と、猊下・禍世螟蝗の存在を知る。
禍世螟蝗を次なる獲物に定めた彼は、一同から離れ、まず萬軍破に取り入り、神蝗盟に潜り込むことに成功。

その後は殤不患達に情報を流しつつ、無界閣で策略を巡らせ、主に萬軍破周辺を引っ掻き回す。
そして、転移から置いて行かれた捲殘雲と異飄渺を利用して、二人と自分を変装させ入れ替わることで、更に状況を混乱させる。

彼が異飄渺に成り済ましている間の行動については彼の個別項目を参照。

なお、捲殘雲が化けた偽凜雪鴉は七殺天凌に魅了されるが、この時の彼の迂闊さには疑問を抱く視聴者もいたのではないか。*5

照君臨との決戦では、逢魔漏の使い方を熟知したことで殤不患を解放し、更に過去の世界に置き去りにされた婁震戒を引き摺り出し、照君臨を封印させた。
更に、婁震戒と取引して彼らを宇宙の果てに追放している。

異飄渺として禍世螟蝗の信頼を得た彼は次なる獲物に目を光らせ、再び殤不患達と別れ、神蝗盟への潜入を続けた。



第4期


浪巫謠を失い、腑抜けとなった殤不患をからかいに顔を出したりしたが、「退屈になった」として彼を突き放し、それきり別れてしまう。
神蝗盟には異飄渺として引き続き潜入しており、禍世螟蝗の命を受けて覇王玉、花無蹤の監視をするために魔界に入ることに。

異飄渺の顔で覇王玉と花無蹤の間を引っ掻き回そうとしたが、紆余曲折を経て二人の仲は縮まり、神蝗盟を出奔した彼らに癇癪を起こす。
なお、この時捨てた魔宮印章が危機を呼んでしまう。

その片手間、魔族に襲われていた睦天命、天工詭匠、嘲風を助けるが、睦天命からは「怪しい」と疑われていた。
そして、禍世螟蝗の命を受け、嘲風を西幽に連れ帰っている。*6

そんな凜雪鴉だったが、彼は刑亥にあることを相談した。
曰く、「人間にとって有毒である魔界の瘴気が異様に体に馴染む」と。
彼にとって魔も人も大差はないが、ここに来て自分の出生について疑うことになったのだ。
果たして、その意味とは何なのか……?




















余談


  • 主人公であるにもかかわらずそのあまりの邪悪な精神性から良くも悪くもシリーズ屈指の人気を誇るキャラ。「目論見が失敗した瞬間が一番輝く」とも言われている。


  • 見た目の共通点からこの人と並列して語られがちだが精神性は実は真逆。声帯が同じこの人ともタチの悪さとウザさは似ているが悪巧みが失敗した時に癇癪を起こすのでそれほど達観もしていない。「愉悦」を求めるが実のところ「世界に悪の存在意義を問いたい」ことが最大の目的のとも実は違う。そういった辺りで真性人外や根は真面目な聖職者である彼らに比べ、俗な人間らしさを持っている男と言えなくもないのかも?いい事か悪い事かはともかく












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最終更新:2025年04月16日 11:40

*1 ただし、正直者を騙すことに何ら罪悪感も抱かない。獲物の悪党を騙す上で副次的に被害が生じても知らん顔をする。

*2 第4期までは外伝含めて、蔑天骸(未遂)、猴爪、魔神化刑亥のみ。

*3 なお彼は道具作りの師匠的存在で、自分の悪趣味ぶりを「しょうがない奴め」と放置されていたほど悪党寄りの人物である。

*4 あくまで殤不患の信頼を得るためであり、本来なら丹翡がどうなろうと知ったことではなかった。

*5 同時に、七殺天凌の虜になった凜雪鴉を面白がる視聴者もいたようだ。

*6 ちなみに、嘲風には「この門を潜れば浪巫謠に会える」と虚言で誤魔化しており、そのせいで一人西幽に戻った彼女は浪巫謠を求めるあまり周囲に喚き散らして孤立してしまうのだが。