登録日:2025/02/06 Thu 19:19:55
更新日:2025/03/23 Sun 08:17:43NEW!
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地球でのドラマは終わった
いま、世紀を超えた
〈エピックロマン〉が世界を翔ける!!
DUNE
『デューン/砂の惑星(原題:DUNE)』は、1984年12月14日に初公開された米国のSF/ファンタジー映画。
日本での公開は1985年3月21日。
製作はイタリアのディノ・デ・ラウレンティス・コーポレーションにより行われ、配給はユニヴァーサル・ピクチャーズが担当した。
監督と脚本は“カルトの帝王”デヴィッド・リンチで、超心理学や心霊の分野に踏み込んだ作品を多く遺していったリンチにとっても、極めて珍しい純然たるSF作品である。
しかし、本作は大作であることもあってか知名度が高い一方で、当時の似たような大作SF映画やアニメにありがちな理由で案の定の大爆死映画となってしまったことでも有名。
晩年(2024年6月)のインタビューでは「半世紀のキャリアの中で最悪の映画」とリンチ本人にも言わしめており、当人にとってはキャリアの汚点として捉えられていた模様。
……一応、現在までには本作を再評価する声も普通にあるので、そうした評価してくれているファンにとっては残念に思う向きもあるかもしれないが、後述の理由を思うと仕方のない所だろう。
尚、大爆死となった主な原因は圧倒的な説明不足と展開の早すぎる位の早さであり、
それ以外は当時としても最高峰と思われる特殊効果や美術センス、個性的なキャラクター達に演者達の魅力など見るべき所はあった。
更に、2021年からは新世代のSF映画の旗手の1人であるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督により、このリンチ版の影響を色濃く感じさせつつも長尺で、尚且つ分割のシリーズ物として展開されている『
DUNE/デューン 砂の惑星』が公開されている。
そして、ヴィルヌーヴ版で基本情報を仕入れていると
普通にリンチ版も見れてしまうようになるので改めて見比べてみるのも面白いだろう。
音楽担当はブライアン・イーノとTOTO。
荘厳かつ印象的なテーマ曲は、一度でも聴いたら忘れられなくレベルで、如何にも宗教的な楽曲を多く採用しているヴィルヌーヴ版とは別解釈のスペースオペラに相応しい楽曲となっている。
【概要と映像化までの紆余曲折】
フランク・ハーバートの同名小説『DUNE』の初の実写映像化作品。
前述の通り、リンチとしては極めて珍しい純然たるSF作品であり、プロの映像作家としては駆け出しの頃だったものの、その手腕を見込まれて手掛けた作品である。
というか、日常に潜む非日常や非日常を描く似しても日常から地続きのシチュエーションで描いてきたリンチに普通にSFを撮れる素養があったことはもっと注目されるべきだった。
……が、リンチに仕事を依頼したラウレンティスは『エレファント・マン』のみを見てリンチへの依頼を決めたらしく、
プロデビュー作であり、本来のリンチの作風が出ている『
イレイザーヘッド』については、後で視聴したようだが「気にいらなかった」と言われた旨を皮肉を込めてリンチは振り返っている。
つまりは、ラウレンティスは
リンチという映像作家の本来の持ち味を少しも理解していなかった━━ということである。
尚、リンチは仕事の依頼をされた時には原作小説すら知らなかったらしいのだが、話を受けて自分でも読んでみて原作の内容に大きな感銘を受けたとのことで、脚本化も自らの手で行っている。
……その甲斐もあってか、リンチの中ではちゃんと映像化後のビジョンが出来上がっていたようなのだが━━。
何と、本作では監督にも関わらずリンチに編集の最終決定権が与えられなかった。
その結果、試してみたいと思っていた演出プランも盛り込めなかった上に、主人公が勝利を収めるまでのシナリオを映像化したにも関わらず、僅か2時間余りに凝縮されてしまったことでダイジェスト映像と揶揄されてしまうようなスカスカな印象の映画となってしまったのだろうと考えられている。
実際、リンチとしては最低でも3時間、出来れば4時間に編集することを望んでいたそうなのだが、当時の映画の売り方といえば、映画館まで足を運んでもらってから1日に何回フィルムを回せるかな勝負だったので、配給会社としては上映時間が長くて回転率が低い映画なんかノーサンキューだったのだ。
上映形式がフィルムからデータに変わった現在では上映時間が3時間に迫ったり越える映画も普通になっているが、当時では特別な企画の映画でもなければ土台無理な話である。
さて、原作小説はSF小説史上に残るベストセラー大作であり、発表された直後から直ぐに幾度もの映画化が計画されたものの、原作の余りのボリュームから頓挫を繰り返していたという経緯があった。
━━しかし、本作(リンチ版)に繋がる企画に於いて、前任として『
エル・トポ』で鮮烈な資本主義社会でのデビューを飾っていたアレハンドロ・ホドロフスキーが指名されて、具体的に企画が実現しかけていた。
原作の大ファンであったホドロフスキーは夢の実現の為に邁進し、
“ぼくのかんがえたさいきょうの”スタッフ&キャスト━━としてドリームチームを揃えて、尚且つ一部の面子に関しては参加も確約させていた。
……が、並々ならず企画に入れ込んでいたホドロフスキーは、余りの熱意からかインタビューにて現代でも有り得ない10時間上映の構想を公言。
これには、流石に配給会社や出資者が戦いてしまったようで、結果的に予定されていた予算が確保できなくなって泣く泣く頓挫させられたのだとか。
━━尚、この“魂の戦士”の内から、既に契約を結べていたギーガーやダン・オバノンが替わりの仕事として手掛けたのが、かの初代『エイリアン』であったりする。
……尚、この辺の話は幾度も語り継がれてきてはいたのだが、2013年にドキュメンタリー映画『ホドロフスキーのDUNE』として公開されている。
ギーガーばかりか、SFコミックの大家として知られるメビウス(ジャン・ジロー)といった面子がデザインに参加する筈だった当該作は、
実現していたのならば、現在の『DUNE』のイメージの方向性を定めたリンチ版とは全くビジュアルイメージの違う作品となっていたようで、その意味でも興味深い。
さて、こうして頓挫したホドロフスキーの替わりに招聘されたのがリンチだった訳なのだが、このリンチが後任になったことについてホドロフスキーがどういう感情を抱いていたのかということも赤裸々に語られている。
先ず、自分の夢の企画が潰れてショックを受けていたホドロフスキーは、更に後任がリンチになったと聞いて“なんてこった、リンチなら成功させてしまうじゃないか”……と絶望したとのこと。
━━しかし、実際に映画を観にいって最初は落ち込んでいたのだが、観ていく内に余りの酷さに元気を取り戻したのだという。
他人の失敗を喜ぶなんて大人気ないにも程があると思ってしまうが、上記の通りでホドロフスキーはリンチの実力は知っていたので、直ぐに“これはリンチの編集ではないな”……と見抜いたらしい。
これは前述の通りで大正解であり、実際にリンチには編集作業の最終決定権が与えられていなかった。
結局、上映された映画は節々に“リンチらしさ”は感じるものの、繰り返しとなるが、圧倒的な説明不足と詰め込み過ぎで原作勢にも映画から入ろうとした勢の双方からも手厳しい評価を受けることになってしまったのだった。
それならば原作が長大なのは解っているのだから、最初からヴィルヌーヴ版や、それこそ『STAR WARS』のように分割方式にすれば……とも思うのだが、当時はそんな冒険も簡単には出来なかったのだろうが━━。
しかし、結果として大爆死となったものの、前述の通りでリンチの優れた映像センスに美術造形、ど迫力のサンドウォームをはじめとした当時でも最高峰のVFXの迫力は本当に素晴らしく、現在では普通に評価してくれる層も少なくない。
これ一作で終わらせるつもりだったことから、後に原作者の路線変更で悲劇性を増していった原作や、その原作により近い後のヴィルヌーヴ版よりも勧善懲悪のハッピーエンドとなってるのも娯楽性を求めている層には好まれている部分でもある。
興行的には失敗したとはいえ、当時は無名の新人だったカイル・マクラクランがブレイクする(&リンチと関係を深める)切っ掛けとなったりと、
何も残さないどころか、興行時の成績から考えるとリターンが大きかったというか。
実際、ビジュアルイメージに関してはリンチ版が殆ど完成させていたし、キャストの魅力やキャラクター造形に於いてはリンチ版が最高峰との声も挙がっている。(やっぱり肉体・精神のどちらでも振り切ったフリークスを描かせたならリンチは随一の作家である。)
【物語】
人類が恒星間を跨ぐ銀河帝国を築いてから1万と191年━━。
銀河皇帝シャッダム4世は、領主連合間で圧倒的な支持を得ている構成国の1つであるアトレイデス公爵家の人気に嫉妬し、
現当主であるレト公爵に、元々の領地である惑星カラダンに替わり、宇宙で最も重要視されるスパイスである“メランジ”が採れる唯一の惑星━━砂漠の惑星アラキスの統治を命じた。
しかし、それは皇帝その人の邪な陰謀の一手であった。
元々、アラキスの統治は母星ギディー・プライムが近いハルコネン男爵家が行い、圧政を敷くと共に莫大な利権を得ていたのだが、その利権を長年に渡り敵対するアトレイデス公爵家に渡すと見せかけることで男爵家から憎しみを引き出し、皇帝その人が裏から援助する形でアトレイデス公爵家に攻撃を仕掛けて滅ぼしてしまおうとしていたのだった。
不穏な予感を察知したスペースギルドは、皇帝の母星である惑星カイテインに第3級ナビゲーターを派遣して皇帝を詰問する。
長期に渡るメランジの使用で人間の姿を無くした替わりに強大な超能力を持つナビゲーターは、皇帝から本心を聞かされると、自分達スペースギルドもアトレイデス公爵家を注視しており、特に当主のレト公爵ではなく息子のポールの存在を怖れていると語り、襲撃の際には絶対に殺すようにと言い残して去っていく。
━━そう、ポール・アトレイデスこそはやがて銀河の命運を握る存在。
ベネ・ゲセリット教団が長年に渡り誕生を望んでいた超人“クゥイサッツ・ハデラック”であり、砂漠の民フレメンが望む救世主(リサーン・アル=ガイブ)。
邪な企みを成就させてアトレイデス公爵家を攻め滅ぼしたハルコネンと皇帝であったが、ハルコネンが求める公爵家の印章は、母レディ・ジェシカと共に砂漠に捨てられたと思われたポールの手に既に託されていた。
裏切り者となる道を選ばざるを得なかったながらも、最後の忠誠でポールとジェシカに生きる道を遺したDr.ユエとフレメンの助けを得て生き残ったポールとジェシカは、フレメンの予言とリンクするかのように垣間見ていたポールの予知夢に従い、フレメンの指導者としての道を歩み始めるのだった。
果たして、ポールの復讐と救世主の伝説の成就の行方や如何に━━。
【主な登場人物】
※吹替は日本テレビ版(VOD)・テレビ朝日版の順番。
- ポール・アトレイデス/“ウスール”ポール・ムアドディブ
演:カイル・マクラクラン/吹替:堀秀行・松橋登
本作の主人公。
レト公爵と愛妾レディ・ジェシカの間に生まれた愛の結晶にして、ベネ・ゲセリット教団やスペースギルドすら恐れさせる存在。
ベネ・ゲセリット教団が誕生を望みつつも長年に渡り失敗を重ねてきたことで半ば実現を諦められていた男のベネ・ゲセリット━━超人“クゥイサッツ・ハデラック”となる可能性を秘めており、母から“ボイス”の使い方も習っていた。
ダンカンやガーニイの訓練を受けてきたこともあってか、見た目によらず戦闘能力も高く父親が惑星イックスに開発させていた音波兵器“モジュール”もあっという間に使いこなした。
アラキスに来たことで大気中に溢れるメランジの効果で覚醒が強まると共に父の死と公爵家の滅亡を知り、何とか抵抗しようとするが葛藤シーンもおざなりに母と共に砂漠に放り出されてしまう。
その後、フレメンと合流してからは予言で語られていた救世主の可能性が高いとして“ウスール”のコードネームで期待をかけられつつも迎え入れられ、予知夢の中で見ていたアラキスの第2の月の影を指すフレメン達の詞“ムアドディブ”を新たな名として、反抗の為の戦闘教官を経て、その勢いのままに巨大なサンドウォームをも制して新たなるフレメンの長となる。
そして、真に“クゥイサッツ・ハデラック”であるか否かを己にも問うために、過去に幾人もが失敗してきた“命の水”による生命の根源に至るほどの深い瞑想の末に、メランジがサンドウォームの体内で精製されている事を感得。
本当の意味でウォームを従えると、アトレイデスの復讐とフレメンの解放、そしてメランジの精製の廃止を求めて戦い、ハルコネンと皇帝を打倒するまでのヴィルヌーヴ版のPart2に相当する内容がだいたい30分位で描かれる。無駄が無いね!
演:ユルゲン・プロホノフ/吹替:小川真司・前田昌明
ポールの父親。
アトレイデス公爵家の現当主。
非常に徳の高い人物らしく、領主連合間でも圧倒的な支持を受けているのだが、そのことで嫉妬深い皇帝の不興を買ってしまい、代々の宿敵であるハルコネン男爵を代理に立てての暗殺計画を立てられてしまうことになる。
尚、元々は自身でも皇帝の地位を目指していたという野心がモノローグで語られており、ベネ・ゲセリットであるジェシカを正妻として迎えなかったのも教団自体の思惑を見抜いていたからだった模様。
しかし、ジェシカとは本心から愛し合うようになり、更には彼女が教団の指示に逆らってでも跡取りとなるポールを生んでくれたことから蟠りも解け、家族を愛して下々にも共感し慈しむ理想の統治者となった模様。
Dr.ユエの裏切りによりハルコネンの襲撃前に死を免れない状況とされてしまうが、ユエが最後の忠誠としてポールとジェシカの身柄は守ると伝えた言葉に縋りつつ、薄れゆく意識の中でユエにより自身の口内に仕込まれた、毒ガスを吹き出させる義歯によりハルコネンと刺し違えようとするも失敗して果てていった。
ハルコネンに対抗するために“声”が武器となる新兵器の“モジュール”を開発させており、その技術は後にポールからフレメンに伝えられて帝国への大きな反抗の力となる。
演:フランチェスカ・アニス/吹替:小沢寿美恵・鈴木弘子
ポールの母親。
ベネ・ゲセリット教団の出身のためか、実はレト公爵とは正式な婚姻関係は結んでいない。
元々はジェシカも教団が目指す“クゥイサッツ・ハデラック”誕生のために働くつもりだったようだが、レト公爵と真実の愛で結ばれて教母から指示されていた娘ではなく、レトの望んだ息子を生んだことで教団からは裏切り者と見なされていた。
アトレイデスが打倒された後には、ポールと共に砂漠に捨てられることになったもののポールと協力して輸送機から脱出。
フレメンと出会った時には無力な女として捨てられそうになったものの、リーダーのスティルガーを習い覚えた格闘技で圧倒。部族に迎え入れられた後は唐突に前任の教母の跡を引き継いでフレメンの教母となり序でにレトの忘れ形見となる娘のアリアを出産。
そして、予言通りに救世主の母となったらしいのだが展開が早すぎて理解が追いつかない。
演:アリシア・ウィット/吹替:近藤玲子・
坂本真綾
フレメンと合流後に生まれたポールの妹。
落城時は妊娠もハッキリしていないという状態だったのだが覚醒を始めたポールは誕生を確信していた。
ジェシカが“命の水”を飲んで先代の教母の記憶を引き継いだ儀式を受けたことで、有り得ないスピードで赤子にまで成長して誕生。
“命の水”の影響か、生まれながらにベネ・ゲセリットとしての記憶と能力を引き継いでいる。
本編では殆ど活躍が削られているが、カットされたシーンでは“家族”となったフレメンにすら恐れられている様子が描かれている。(そして、そのことでキレ散らかしている。)
演じているのは、後に歌手・モデル・女優として大成するアリシア・ウィット。
演:ショーン・ヤング/吹替:佐々木優子・渕崎ゆり子
フレメンの娘。
ポールのパートナーとなることを宿命付けられており、予知夢の中で幾度も会っていた。
メインヴィジュアルにも堂々と登場してるし本作のヒロイン……の筈なのだが、この
映画では殆ど活躍せずにポールとチュッチュしてキャッキャウフフする位しか出番が無い。
演:マックス・フォン・シドー/吹替:家弓家正
帝国惑星学者。
皇帝の指示でアラキスに駐留してメランジの産出・精製状況を監督しているのだが、実際には長くアラキスに留まる中でフレメンと交流を結び密かに彼等の為に働いていた。
中立の立場ということで新しくやって来たレト公爵のことも頑張って疑おうとしていたのだが人柄を見てツンデレにも心の中で認めたり、予言通りのポールの登場にはクーデレにも興奮と感動の様子を見せていた。
原作同様にチャニの父親なのだが、この映画では尺の都合から少し説明されるだけで特に掘り下げられない。
演:エヴェレット・マッギル/吹替:
玄田哲章・池田勝
フレメンのリーダー。
砂漠にやって来たポールとジェシカを迎え入れる。
演:フレディ・ジョーンズ/吹替:峰恵研・宮川洋一
公爵家の重鎮。アトレイデス家のメンター。
落城後にハルコネン男爵の虜囚となる。
演:リチャード・ジョーダン/吹替:小島敏彦・曽我部和恭
公爵家の若き重鎮。アトレイデス家の副官。
ポールの師で善き兄貴分でもある。
レト公爵にフレメンの実態を伝える。
……リンチ版では殆ど目立たない。
演:パトリック・スチュワート/吹替:加藤精三・上田敏也
公爵家の重鎮。アトレイデス家の副官。
ダンカンと並ぶポールの師。
落城後も生き延び、モジュールは失われていたがゲリラとしてハルコネンと戦い続けていた。
後に、フレメンを率いるようになったポールと合流する。
演じているのは、後にピカード艦長やプロフェッサーX役でも有名となるパトリック・スチュワートだが、容姿が変わらなすぎやろこの人。
演:ディーン・ストックウェル/吹替:
屋良有作・納谷六朗
アトレイデス家付きの御典医。
公爵家の重鎮の1人だが妻がハルコネンの虜囚となっており、それを救うために苦渋の末にハルコネンの襲撃の手引きをしてアトレイデス家の落城の銃爪を引くが、レト公爵に自分の命と引き換えにハルコネン男爵を殺せる策を授けていたり、ポールとジェシカが生き残れる手引きを残しておくなどギリギリの抵抗をしていた。
演:リンダ・ハント/吹替:竹口安芸子・鈴木れい子
アラキスにて、新たにアトレイデス公爵家のメイドとして雇われた女性。
フレメンであり、ポールとジェシカが予言された救世主と聖母であるのか否かを確かめることと、公爵家に危機が迫っていることを伝えるために現れた。
演:ケネス・マクミラン/吹替:樋浦勉・
内海賢二
ハルコネン男爵家の現当主。
公爵家とは一万年にも及ぶ確執を抱えている。
非常な肥満体、かつ肉体の所々が壊死しているようで、移動には常に反重力を利用した飛行装置を用いている。
それが理由なのか、家臣や奴隷にも肉体の改造を強制している。
皇帝その人の思惑もあってか、アラキス統治の権利を奪われたと見せかけて家臣達のフラストレーションを溜めさせておいてから、皇帝の援護も受けた大攻勢により宿敵であるレト公爵を打ち倒した。
……が、裏切るように仕向けたDr.ユエの策略により何よりも欲しかった“公爵家の印章”は手に入らず、何よりも危険視すべきポールとジェシカをみすみすと逃がしてしまう。
……非常にインパクトのある本作最大の悪役━━の筈なのだが、尺の都合と説明不足で後半から一気に小物化してしまったように見えるのが惜しいところ。
演:スティング/吹替:東富士郎・
大塚芳忠
ハルコネン男爵の甥。
男爵の腹心で策謀術中を好む邪悪な超人。ポールのライバル━━とは、ナレーションの弁なのだが尺の都合から殆ど出番が無い。
元々の美しさからか、男爵の配下の中では例外的に肉体改造をされてはいない。
演じているのはミュージシャンのスティングで、再注目のキャストの筈だったのだが。
若き日のスティングのセミヌードを拝めるが。
演:ポール・L・スミス/吹替:小関一・福田信昭
ハルコネン男爵の甥。
男爵の腹心として、フェイドと組んで殺戮の限りを尽くす粗野で邪悪な男。
アトレイデス家が落城した後のアラキスの統治を任されていたが、ポールに率いられたフレメンの反抗に遭い、皇帝の手で粛清される。
演:ブラッド・ドゥーリフ/吹替:
天地麦人・千田光男
男爵家の重鎮でメンター。
男爵の腹心として働いていたが、レト公爵の道連れにされて死亡。
中の人は後のチャッキー(『チャイルド・プレイ』シリーズ。)
演:ジャック・ナンス
男爵家の親衛隊員。
中の人は『イレイザーヘッド』の主演の人でリンチ作品の常連。
演:ホセ・ファーラー/吹替:小林修・大木民夫
銀河皇帝(大王皇帝)
現在の銀河帝国の支配者だが、異常に嫉妬深く狭量な性格。
レト公爵への嫉妬だけでハルコネンを焚き付けた上に密かに援軍まで派遣してアトレイデス公爵家を滅ぼすが、予言通りの救世主=超人“クゥイサッツ・ハデラック”として覚醒したポールに打倒される。
演:ヴァージニア・マドセン/吹替:平淑恵・
小山茉美
皇帝の一人娘。本編では特に出番が無い。
……何で彼女が唐突にナレーションしてるのかは原作を読むか後のヴィルヌーヴ版でも見なければ解らないだろう。
演:シアン・フィリップス/吹替:初井言栄・麻生美代子
シャッダム四世に仕えるゲネ・ベセリット教団の現在のトップ。
ジェシカの師でもあるが、ジェシカが自身の思惑に反してポールを生んだことで裏切られたと思い距離を置いていたが、ポールが本当に“クゥイサッツ・ハデラック”の可能性があると解ったことから暗殺か支配かを目論むが何方にも失敗する。
この映画では尺の都合と説明不足で非常にあっさりとした印象になってしまっているが、ベネ・ゲセリットの邪な企みは原作者の死後に新シリーズが出来たり、ヴィルヌーヴ版の派生でドラマ版を作れる位に色々と濃いので気になるなら見てみよう。
声:不明/吹替:村松康雄・
銀河万丈
スペースギルド(スペーシングギルド)の要となる、航海(宙)士。
メランジを長期間に渡り摂取し続けたことで強大な超能力を得たものの、それと引き換えに人としての姿を無くしており、この映画でも巨大な水槽を思わせるチェンバーの中に巨体を浮かせて、メランジをもやしたオレンジの煙に満たされた姿で登場する。
宇宙空間を意志の力のみで折り曲げることで大艦隊をも一瞬でテレポートさせる力を持つギルドの要だが自分の肉体は殆ど動かすことが出来ずに多数のギルドマン(ギルドの構成員)に運んで貰う必要があるという悍ましいミュータントである。
ギルドは銀河帝国にとっても無くてはならない存在であるために皇帝すら及ばぬ権力を持つが、その地位はメランジを摂取し続けることでしか維持することが出来ないためにギルドはメランジの精製が止められることを過剰に恐れている。
それ故に、メランジを必要とせずに自分達を越える域に到達するであろうクゥイサッツ・ハデラックの誕生はスペースギルドにとっても恐ろしいものであり、皇帝の計画を看破しつつも見逃してポールを殺せと命じていたものの失敗。覚醒したポールの敵ではなかった。
【余談】
- 1994年に再編集されたTVサイズ長尺版として約1時間分も上映時間を増やした3時間越えバージョンが公開されており、案の定というか多少は改善が図られていたとのこと。
最初からこの決断が出来ていればヒットするかは不明だが駄作呼ばわりされることは無かったかもしれない。
追記修正はサンドウォームを乗りこなしてからお願い致します。
- 正直リンチ版の方が好き。あとTVサイズ長尺版はTVサイズ長尺版で問題があって不評だったりする(単に長尺なだけではなく編集の都合で新録して追加したシーンもあってそれが不評) -- 名無しさん (2025-02-06 22:10:16)
- ハートキャッチプリキュアの砂漠王デューンってここから来てるのかな -- 名無しさん (2025-02-07 01:10:46)
- あの巨匠:アレハンドロ・ホドロフスキーが作りたかったのに先越されたショックで病人のようによろよろと見に行ったら、あまりのひどさにうれしくなって元気を取り戻させたことで有名な本作 -- 名無しさん (2025-02-07 08:48:34)
- ヴィルヌーブ版を語る上でも決して外すことは出来ないんだけど、なまじ失敗作扱いされてきただけに隠れファンがホドロフスキーみたく拗らせちゃってて自分は言及を避けちゃう。 ヴィルヌーブ版の成功に嫉妬するんじゃなく、後進の礎になれたことは誇るべきだと思うんだけどなぁ。 -- 名無しさん (2025-02-07 20:13:13)
- サンドウォームやデューンウォームの元ネタ。よく目を付けたなスクウェア -- 名無しさん (2025-02-07 20:39:02)
- ↑2 逝去したリンチ本人も否定しまってるから余計に言い難いが再評価すべき作品だと思う。美術や音楽はこっちのが好み。 -- 名無しさん (2025-02-07 20:47:32)
- よくあの原作を映画1本コンパクトにまとめたなと逆に感心する。リンチ版もドゥニ版もそれぞれいい所あるから未視聴の人は是非見比べてみて貰いたい。 -- 名無しさん (2025-02-08 22:12:07)
- この映画でのフェイドがZガンダムのヤザンのモデルだったり -- 名無しさん (2025-02-11 12:16:04)
- 内容はともかく映像的には見るべき点が多く、後続に大きなインスピレーションを与えたってタイプの映画か -- 名無しさん (2025-02-11 12:39:12)
- ↑2 芳忠さんが声優なのはそれが理由か。ということはヤザンをスティング呼びしてもええんか?ええのんか? -- 名無しさん (2025-02-11 12:57:41)
- 同じ監督作のストレイト・ストーリーの主演俳優も「リンチは正直知らなかったんだけど『エレファント・マン』 -- 名無しさん (2025-02-27 10:08:22)
- ↑をみてオファーを受けることを決めたよ。とてもハートフルな作品を作る人なんだね」とインタビューに答えてたな。インタビュアーは「もし『イレイザーヘッド』を先に見ていたら主演は違う人だったかもしれない」と記事にしていたが -- 名無しさん (2025-02-27 10:10:31)
最終更新:2025年03月23日 08:17