京成押上線・金町線

登録日:2025/03/31 (月曜日) 21:23:00
更新日:2025/05/21 Wed 21:24:23
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京成押上線は押上駅から青砥駅まで、京成金町線は京成高砂駅から京成金町駅までを結ぶ、いずれも京成電鉄の鉄道路線である。
路線記号はどちらもKS
どちらも京成本線の支線で接続駅も近いため、ここでは一つのページで紹介する。

▽目次

概要

両路線ともに京成本線の支線で全線が東京都内にあり、距離も非常に短い。
押上線は本線直通列車の他、成田空港線、北総鉄道北総線、都営地下鉄浅草線京急本線空港線と共に羽田空港成田空港双方を結ぶ成田スカイアクセスのメインルートとなっている。
最速列車であるスカイライナーこそ通らないものの、本線に劣らぬ重要な路線である。
ちなみにAE100形を使用してスカイライナーを直通させる案もあったが、これは実現はしていない*1

金町線は単線区間を含む3駅だけのローカル線となっているが、中間に柴又駅があることから観光利用の乗客も多い。
沿線が舞台となった映画男はつらいよや、こち亀のラッピング電車も走ったことがある。

歴史

押上線は1912年に京成本線として開業しており、1933年末に京成上野~青砥間が開業した際も本線はこちらだった。
1944年に京成上野~青砥間が本線に編入された際、押上線に改称され支線となった。
開業当初は線路幅が1435mmの標準軌ではなく京王線と同じ1372mmの馬車軌間で建設され、都営浅草線との直通に合わせて改軌した点も本線と同様である。

金町線は柴又帝釈天への参拝客輸送のために柴又人車鉄道(1907年から帝釈人車軌道)により1899年に柴又~金町間が開業したが、人車という名のとおり人の手で列車を押していた
1両6人乗りで通常期は1人で押していたらしい。
線路は複線で建設され、折り返しは終端でループしていたため一方向に押すだけの運行となっていた。
1912年に帝釈人車軌道から京成電気軌道(現京成電鉄)に軌道特許を譲渡し、同年に曲金(現:京成高砂)~柴又間が開業し、翌1913年に柴又~金町間を電車で延伸し全線開業となった。

運行形態

押上線

日中は普通が1時間6本、優等列車はアクセス特急・特急・快速合わせて1時間6本となっている。
快速が1時間3本だが、アクセス特急・特急についてはそれぞれ40分間隔の運転となっており、時間によって1:2or2:1の本数となっている。
押上線内のみの運転列車は非常に少なく、特に押上始発・終着列車はほとんどない。
また、途中通過駅が八広のみで通過線が上下共用で同時に追い越しが出来ないため、朝は上り列車、夕方は下り列車が優先的に使用されている。
ほとんどの列車が8両編成だが、都営浅草線に直通しない6両編成がわずかながら運行されている。
この他、年末年始の終夜運転では金町線直通の4両編成が運行される。

金町線

4両編成の普通列車のみで日中は15分間隔、ラッシュ時は10分間隔で運転される。
なお、2022年11月26日から日中時間帯でワンマン運転が行われている。
京成高砂の高架ホーム完成前は本線4番線と共用しており、ラッシュ時には京成上野からの直通列車も運行されていた。
年末年始の終夜運転の他、葛飾納涼花火大会開催時に臨時列車が運行される。
また、過去の年末年始には京急本線横浜駅や逗子線新逗子駅(現:逗子・葉山駅)から直通の臨時列車が走ったことがある。

列車種別

優等列車は押上・青砥以外はすべて通過する。
スカイライナーは走らないが2代目のAE100形*2は新製時と都営浅草線の馬込車両検修場のイベントで、押上線と浅草線を回送ながら走行したことがある。

快速特急
本線系統での無料最上位種別だが、押上線では朝夕ラッシュ上りと夜の下りのみ運転される。
設定当初は京急に合わせて快特(かいとく)だったが、読みが快速(かいそく)と紛らわしいため現在の快速特急に改められた。

アクセス特急
成田スカイアクセス線経由で羽田空港と成田空港を結ぶ無料種別で、終日運転される押上線の主力。
都営浅草線・京急線内ではエアポート快特として運転され、押上で種別変更を行うと同時に三崎口~青砥間の特急(京成線内普通)に接続する。
日中以外だと都営浅草線内を普通で運転する列車、本線京成上野発着の列車がある。

特急
日中は終日の他、平日ラッシュ時と土休日朝の上りで運転される種別。スカイライナーと区別するため「普通特急」と呼ばれることがある。
日中は京急線三崎口~京成高砂間での運転、ラッシュ時は本線経由成田空港発着列車や北総線印旛日本医大発着列車もある。

通勤特急
平日のみ運転される種別で、下りは夜間2本、上り列車は朝1本と少なめ。
下りはいずれも羽田空港発本線経由成田空港行き、上りは成田発西馬込行き。
京成線内における当種別の歴史は古く、1960年代後半~1974年、1985年~1998年に設定されたものに次ぎ三度目の登場。

快速
都営浅草線直通をメインとする速達種別で、終日運転される。
日中は西馬込~成田空港間を20分間隔で運行され、西馬込行きは押上で種別変更を行う。
日中以外には京成高砂発着列車や京急本線直通列車もある。
かつて運転されていた急行よりも停車駅が少ない。

普通
駅の表示や車内放送では普通だが、駅の列車接近放送では各駅停車と案内される。
押上線では日中は京急線三崎口~青砥間が40分間隔、他は羽田空港~北総線印旛日本医大間の運転で、いずれも京急線内は特急。押上や品川で種別変更を行う。
日中以外には西馬込発着列車も運行されるが、本線京成船橋方面への列車は運行されていない。
押上線内では基本的に8両編成での運行だが、都営浅草線に直通しない列車で一部6両編成が使用される。
金町線では4両編成のみの運転。

使用車両

押上線用の車両は本線及び都営浅草線と共通するため、本稿では金町線で運用される車両のみ記載する。
なお、金町線の車両もかつては押上線や地下鉄直通として使用されていた。

  • 3500形
1972年から導入された京成初の冷房車。4両編成24本が導入された。
車体は京成初のステンレス車体で、前面と側面にファイアオレンジの帯を巻く。
1996年から大規模なリニューアル工事が実施され、外観は原形をほとんど留めないものとなった。
リニューアル後は一部の編成が2両単位で分割され、2+4または4+2の6両編成も登場するようになった。
芝山鉄道に4両編成1本がリースされており、こちらも京成車と同様に金町線で運用されている。

  • 3600形
1982年から6両編成9本が導入された。
金町線で運用されているのは4両編成のみで、1997年に実施した8連への組み替えで余剰となった先頭車をサハと組み合わせてVVVFインバータ制御に改造し、その後サハを抜いて全電動車になったという複雑な経緯の持ち主。
この編成は加速性能の高さから「ターボ君」の愛称がつき、気づくと京成公認となった。
金町線以外では総合車両製作所からの新車搬入の牽引にも使用されている。

駅一覧


押上線

〇押上(KS45)
起点駅で都営地下鉄浅草線との境界駅。
東京メトロ半蔵門線東武スカイツリーライン乗り換え。
東京スカイツリー最寄り駅で、「スカイツリー前」という副駅名がある。
2面4線の地下駅だが、改札はホームよりも下の階にある。
改札には駅員による相互直通絡みのマニアックな車両を描いたホワイトボードのほか、スカイツリーに見立てた京成パンダのオブジェもあったが、後者は現在撤去されている。

〇京成曳舟(KS46)
2面2線の高架駅。
東武スカイツリーライン・亀戸線の曳舟駅とは徒歩5分ほどの距離だが、連絡運輸は行っていない。

〇八広(KS47)
2面3線の高架駅で、ラッシュ時に優等列車の通過待ちを行う。
開業当初は荒川の土手にあったことから「荒川駅」だったが、荒川橋梁付け替え及び駅の高架化に合わせ1994年に地元の地名と同じ「八広」に改称した。

〇四ツ木(KS48)
漫画キャプテン翼の原作者である高橋陽一の出身地で、2019年から駅全体が同漫画のラッピングが実施されている。
列車接近メロディも「燃えてヒーロー」が採用されたり、接近アナウンスにも担当声優を起用している。
また、当駅から京成立石駅にかけて登場キャラクターの銅像が多数ある。

〇京成立石(KS49)
2025年3月現在、押上線内で唯一立体交差化が完了していない地上駅。
葛飾区役所やクソゲーオブザイヤー玩具メーカー大手タカラトミー本社の最寄り駅でもある。

青砥(KS09)
京成本線乗り換え。終点駅。
ホームは2層構造となっていて、下り列車同士と上り列車同士で対面乗り換えが可能。
ここから隣の京成高砂まで1駅間だけだが方向別複々線となる。
当駅終着の下り列車は京成高砂方面にある分岐線に入って上り線南側にある引込線に入り、そこから折り返して上り方面ホームへ入線する。
なお、構造上本線方面への折り返しは不可。
なお、駅のある地名は「青戸」だが、駅名は昔の地名を使っているとかではない。

金町線

〇京成高砂(KS10)
京成本線・成田スカイアクセス線(成田空港線)、北総鉄道北総線乗り換え。
高砂車庫が併設されている駅で、京成の都心側の拠点となっている。
金町線は専用の高架ホームから発着する関係上、他路線とは改札外乗り換えとなる。
また、高砂車庫に入出庫する列車は本線ホーム4番線に回送で入線する。
隣の柴又駅までは途中から線路が2本並んで複線のように見えるが、地上ホーム・高架ホームそれぞれに繋がる単線並列となっている。

〇柴又(KS50)
線内唯一の途中駅かつ交換可能駅。
柴又帝釈天の最寄りである他、映画男はつらいよの舞台で同作にちなんだ「寅さん記念館」や「山田洋次ミュージアム」などがあり、駅前には寅さんとさくらの銅像もある。
駅舎改装時、同映画の監督である山田洋次の意見を取り入れて純和風の外観となった。
そのため、駅前にあるファミリーマートも景観に合わせ茶系統の看板となっている。
初詣や葛飾納涼花火大会などの多客時には、臨時改札が開くことがある。

〇京成金町(KS51)
JR常磐線各駅停車(金町駅)乗り換え。終点駅。
ホームは1面1線の地上駅。
駅近くの建物屋上に自動車学校があるが、建物自体は2022年9月までイトーヨーカドーが入っていた。


追記・修正は新逗子~京成金町間の終夜運転を乗り通した人がお願いします。

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最終更新:2025年05月21日 21:24

*1 都営フェスタ向けの送り込み回送とさよなら運転で入線実績がある。

*2 元々地下鉄乗り入れを計画して正面貫通扉を装備していたが、乗り入れは実現せず