登録日:2025/04/09 Thu 22:55:00
更新日:2025/04/10 Thu 18:14:17
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【概要】
原案:矢立肇
原作:富野由悠季
監修:今西隆志
作画:夏元雅人
本作は、プラモデルシリーズ「U.C.ハードグラフ」を題材にした作品であり、「
機動戦士ガンダム」の第14話「時間よとまれ」に登場した
ジオン公国軍の兵士クワランを主人公にしている。
【あらすじ】
第三次降下作戦で地球に降り立つ、
ジオン公国軍の第4地上機動師団。
この物語は、その師団に所属する第908機動偵察中隊第二小隊の隊長クワラン曹長は、地球で、戦争に対し連邦軍へ逃亡を図った味方兵、スペースノイドを憎む連邦兵、そして、敵による仲間の死を見る。
そして、東部地区の作戦失敗の後、「ワッパによる対MS戦の模擬戦」を行う。
【登場人物】
○ジオン公国軍
○第908機動偵察中隊
◇クワラン
本作の主人公。第908機動偵察中隊第二小隊の隊長。階級は曹長。
後に、連邦の"白いMS"と恐れられた「ガンダム」の破壊に挑んだ男である。
基地の長距離無線を無断使用したり、キャメロン大尉曰く「いつもの」独断専行を行う不良下士官であるが、仲間を護り、共に生きて宇宙に帰るために戦う。
第四話より、宇宙開拓時代の挽歌、開拓の中で死んでいった者への葬送曲を聞いた彼は、10年前のことを思い出す。
彼の両親はコロニー外での爆発事故からクワランを救い、死亡している。遺体は宇宙へ流された。
終盤、キャメロン大尉による「ワッパによる対MS戦の模擬戦」に参加。見事成功させた。
◇ソル
原典にも登場したクワラン曹長の副官。階級は伍長。
兵学校時代では情報部志望であり、クワランの後輩である。
第二話、第三話では輸送機を使って物資の回収を行うものの、連邦兵によってその物資に爆弾が仕掛けられていた。
しかし、輸送機を発見したクワラン曹長の情報によって難を逃れた。
◇ギャル
偵察部隊が唯一保持するMSザクIIのパイロット。階級は軍曹。
何気に原典ではシャアやドアンと並ぶ「アムロと交戦して生き延びたザクパイロット」の一人だったりする。
◇ルルー・ベル・キャメロン
中隊長である女性。階級は大尉。
厳格な性格であるがワインが趣味らしく、フロステル伍長にワインを勧めていた。
キャメロン家はダイクン派で、ラル家に加担したことがある為か、軍部では冷遇されている。
終盤、ダブデ轟沈など作戦失敗の責を負わされ更迭、ジオン本国へ送還となる。
しかし、妹のメリルから、地球連邦軍がMSの配備を始めたことを知り、最後の手向けとして、「ワッパによる対MS戦の模擬戦」を実施する。
クワラン達はこの模擬戦で、「吸着時限爆弾の策」を思いつくことになる。
◇副指令
ルルー・ベル・キャメロン大尉の副指令。名前は不明。
ソル伍長の情報分析能力を高く評価している。
終盤、「ワッパによる対MS戦の訓練」の実施に対し、部隊の指揮権は自分にあるため反対するものの、キャメロン大尉および隊員たちの懇願によって、これを黙認した。
◇ティア・フロステル
オペレーターである女性。階級は伍長。
幼い頃に見た昆虫館のアリの巣とアリの生態を見たことから、アリの観察が趣味である。
キャメロン大尉の本国送還に、「あたしも一緒に行きます」と泣きついていた。
◇ゲオルグ伍長
第908機動偵察中隊の隊員の一人。
元傭兵であり、無口であるが、射撃の名手であり、彼によって窮地を救われることがあった。
彼は、かのコロニー落としに使われた、サイド2のコロニー「アイランド・イフィッシュ」出身である。
クワラン曹長曰く、「自分の故郷がジオン軍によって地球に落とされたよりも、スペースノイドの家であるコロニーを大量殺戮の道具にしてしまったことで、この戦争の大義は失われた」という。
第七話および第八話にて、東部地区の索敵任務に参加。
彼についてきたハンス軍曹とクラウスと共に、本部へ通信するために通信可能域の高山へ登り、そこで通信を成功させるが、直後にマングースの攻撃によって死亡した。
◇ベンパー伍長
第908機動偵察中隊の隊員の一人。
◇ロムス
第908機動偵察中隊の隊員の一人。階級は上等兵。
第四話で、クワラン曹長から撤退命令を受けるものの、敵の足止めを試みようとワッパに乗って戦うが、敵の攻撃を受けて死亡する。
◇整備長
第七話に登場。
クワラン曹長は彼に、乗機のワッパの出力を上げることを依頼した。
◇ハンス軍曹
第七話および第八話に登場。
ゲオルグ伍長のことを傭兵野郎と蔑み、彼と一緒に編成されることに不満を持っていたが、任務中の斥候部隊の攻撃
によって負傷し、彼に助けられる。
その後、本部への通信のために通信可能域へ向かうゲオルグに借りを返すため、彼について行く。
そして、その通信に成功させるが、直後に攻撃を受ける。
彼は、攻撃を受ける直前にゲオルグに突き飛ばされ、難を逃れた。
◇クラウス
第七話および第八話に登場。
○その他ジオン公国軍の人物
◇ザクのパイロット
第一話に登場。名前は不明。
敵の攻撃を受けて捕虜になり、乗機のザクIIを鹵獲されてしまう。
クワラン曹長はキャメロン大尉の「偵察のみ」の命令に違反し、彼を助けようとする。
実は、彼は敵に捕まったのではなく、戦争に対する嫌悪感から自ら投降していたのである。
彼はクワラン曹長に救出されるものの、再び連邦軍に投降しようと、乗せられたザクで、連邦軍の増援部隊に向けて進める。
しかし、増援部隊の一斉射撃によって、乗機のザクは爆発。彼は死亡した。
尚、クワラン曹長の命令違反は、MSの鹵獲が阻止されたことによって不問となった。
◇メリル・キャメロン
キャメロン大尉の妹。階級は少尉。
査察官で、表向きは慰問団として軍内部の規律違反の調査を行っている。
◇アリエス・ハロル
慰問団の女性の1人。
クワラン曹長に、爆弾から助けてくれたことにお礼を言った。
クワラン曹長は彼女を口説くものの、年下は恋愛対象外と断られてしまう。
◇ギレン・ザビ
第十話にて、ガルマ・ザビの戦死の追悼に演説を行っていた。
○地球連邦軍
◇負傷した女連邦兵
第四話および第五話に登場。名前は不明。
クワラン曹長が血の跡を辿って、彼女を発見。彼に銃を向けるが負傷しており、気を失ってしまう。その後、クワラン曹長から手当てを受け、救援を待つことになる。
コロニー落としによって故郷と両親を失っており、スペースノイドを憎悪している。
一緒に救援を待つクワラン曹長に発砲するも、彼に投石で反撃されてしまい、結局そのまま待つことに。
そして、クワラン曹長から信号弾拳銃を渡され、彼女はそれで自殺しようとするが、それを止めようとしたクワラン曹長に挑発されたことによって彼に向けて発射。クワラン曹長が去った後、味方の連邦に発見、救出される。
◇ザクハンター
重誘導弾リジーナを武器とする特殊部隊。
一つの小隊は複数の「分隊」に別れて行動し、待ち伏せしてMSを迎え撃つ。
一つの分隊は分隊長一名、分隊支援機関銃手一名、対MS特技兵三名で構成され、この内リジーナを直接扱うのは対MS特技兵のみである。
初出の『MS IGLOO 2重力戦線』では2機のザクを撃破するのに一つの小隊が全滅する大損害だったが、本作では地の利もあってほぼ一方的にザクを撃破していた。
【登場兵器】
○ジオン公国軍
◇
ザクI
第3話に登場。
…したのはいいが、リジーナで撃破されてしまう。
◇HLV
プロローグおよび第1話序盤にて登場。
幾つものHLVが地球に降下した。
◇
マゼラ・アイン
第九話等に登場。ザクIIなどと共にダブデ級の随伴をした。
◇ルッグン
ジオンの偵察機。
◇
ダブデ
第一話冒頭および、第九話に登場。独立第6戦闘団所属。
連邦軍のブラックハウンド隊のホバートラックによる
地雷で足止めされ、ヘビィ・フォーク級の砲撃を受け、轟沈。
◇
ウィーゼル
第七話に登場。
水陸両用の6輪式装甲車。
○地球連邦軍
◇
61式戦車
連邦軍にMSがまだ無かった頃の主力。
◇ホバートラック
第九話に登場。
ブラックハウンド隊が運用し、進軍するダブデ級に対して地雷を設置、身動きを取れなくしてからヘビィ・フォーク級の砲撃で仕留める。
●リジーナ
第2話、第3話に登場。
街中に潜むザクハンター部隊が使用し、ザクII1機とザクI1機を撃破している。
尚、「使用後のリジーナは置いて行け」と命じていたのだが、持ち帰る余裕ができていたのか、二人がかりでトラックまで運んで撤収した。
●
フライ・マンタ
第四話に登場。
ザクIIやマゼラ・アタックに爆撃を行い命中させて破壊する。
しかし、自身もザクに撃ち落されてしまった。
●
マングース
哨戒機として運用。
第八話にて、ゲオルグ伍長とハンス軍曹を焼夷榴弾で攻撃した。
●
ミデア
第六話にて、負傷した女連邦兵の回想に登場。
同機に乗っており、彼女は宇宙から落ちてきたコロニーが、故郷を破壊するのを見た。
●
ヘビィ・フォーク級陸上戦艦
第六話~第十話に登場。
迎撃に出たダブデ級の前後にホバートラックの部隊で地雷を設置し、身動きを取れなくしてから本艦の砲撃により撃沈している。
●
ドラゴン・フライ
第六話に登場。
哨戒機としてヘビィ・フォーク級陸上戦艦を先導している。
【余談】
エピローグでは、「クワラン曹長ら偵察部隊は、オデッサへ向かうことになった」という、打ち切りで終わってしまっている。
追記・修正は、本作を読んでからお願いします。
最終更新:2025年04月10日 18:14